町内会の当番表を作り直したいという相談は、ほとんどが同じ形で持ち込まれます。前年度の表をそのまま引き継いだら、特定の世帯だけ年に何度も当たっていることが分かった、あるいは一度飛ばした世帯がそのまま二度と回ってこなくなっていた、という形です。当番表は作るのが難しいのではなく、一年かけて崩れていく仕組みを持っていることが問題です。ここでは、崩れる場所を先に特定してから、割り振りの単位と代わってもらうときの手順を決める順番で整理します。
町内会の当番が他の集まりの当番と違う点
部活の掃除当番や教室の道具当番と、町内会の当番は性質がまるで違います。違いは3つあります。
1つ目は、割り当てる単位が人ではなく世帯だという点です。部活なら部員一人ずつに割り振れますが、町内会は「◯◯さん宅」に割り当てます。すると、単身の高齢世帯と、大人が3人いる世帯が、同じ一口として扱われます。負担の実感がまったく違うのに、表の上では同じ重さに見えます。ここが最初のねじれです。
2つ目は、当番の中身が行政の仕事と地続きだという点です。ごみ集積所の清掃と鍵の管理、資源回収の立ち会い、防犯灯の球切れの連絡、防災訓練の受付、募金の取りまとめ。これらは町内会が勝手に始めた行事ではなく、市区町村から降りてきた業務が当番として世帯に配られたものが多くを占めます。総務省の地域コミュニティに関する研究会報告書は、この構造そのものを負担の原因として指摘しています。
また、市区町村と自治会等は本来対等な立場であるべきところ、実際は自治会等が行政側の下請けのような立場になっており、住民は受け身で地域活動に参加させられていると感じ、双方向のコミュニケーションが必ずしも十分とは言えないことや、自治会等の内部で役員中心主義というべき状況になっていることが負担感の大きさ、担い手不足に拍車を掛けていることが指摘されている。 出典: soumu.go.jp
つまり、当番表の負担が重いと感じるとき、原因の一部は表の作り方ではなく、そもそも引き受けている業務の量にあります。表を直す作業と、業務の棚卸しをする作業は別ものです。表だけをきれいにしても、量が変わらなければ来年また同じ相談が出ます。
3つ目は、当番を断る自由が実質的にないという点です。習い事の当番なら辞めるという選択肢がありますが、ごみ集積所は生活に直結しています。ここから、加入していない世帯が集積所を使うことをどう扱うかという、町内会特有のこじれが生まれます。当番表を作り直すとき、この論点を避けて通ると、必ず途中で議論が止まります。
同じ集まりの運営でも、教室や部活の当番とは詰まる場所が違うことは、町内会での使われかたと教室での使われかたを見比べると分かります。前者は世帯と地区の話、後者は個人と時間割の話で、そのまま流用できる形にはなっていません。
まず当番の種類を棚卸しする
割り振りを考える前に、いま町内会が抱えている当番を全部書き出す作業から始めます。役員の頭の中にしかない当番が、毎年2つか3つは出てきます。書き出すときは、名前だけでなく次の4項目を横に並べます。
・その当番が発生する頻度(毎日、週1回、月1回、年数回、単発) ・1回あたりの拘束時間 ・その時間帯(早朝、平日昼、休日) ・代わりが利くかどうか(誰でもできるか、鍵や道具を持っている人に限るか)
この4項目を並べると、同じ「1回の当番」でも重さがまったく違うことが見えます。ごみ集積所の管理は、収集日の朝にネットを掛けて、収集後にカゴを片付けて、周囲を掃く仕事です。1回は15分でも、週に2回から3回発生し、しかも早朝に固定されます。一方で年末の一斉清掃は、1回で1時間半ほどですが、年に1回か2回で、休日の午前中です。この2つを「1回」として同じ列に並べた表は、その時点で偏っています。
ごみの当番が重くなる背景には、収集方式の違いもあります。前掲の総務省報告書が引く調査では、回答した939自治体のうち集積所方式のみが56%、高齢者のごみ出し支援などで一部を戸別収集しつつ集積所方式も行うのが35%、戸別収集のみが8%となっています。自治体の規模が小さいほど集積所方式の割合が高くなるとされており、つまり多くの地域では、集積所を誰が管理するかという問題が構造的に残り続けます。当番表からごみを外すという解決は、市区町村の収集方式が変わらない限り取れません。ここは、割り振りで公平にするしかない領域です。
棚卸しの結果、当番の総数が多すぎると分かることがあります。そのときに検討する順番は、廃止できるか、まとめられるか、外部に頼めるか、最後に割り振りを変えるか、です。順番を逆にして割り振りの工夫から入ると、廃止できたはずの当番を上手に配り続けることになります。
世帯単位で回すか、人単位で回すか
棚卸しが済んだら、単位を決めます。町内会の実務では、多くが世帯単位を採っています。会費を世帯で徴収しているため、負担も世帯で揃えるという考え方です。この方式の利点は、名簿がそのまま順番表になることと、誰が出てくるかを世帯に任せられることです。
問題は、世帯の中身が均一でないことです。80代の単身世帯と、共働きで子どもが2人いる世帯を、同じ一口として並べると、片方は物理的にこなせず、もう片方は時間が取れません。ここで多くの町内会が採るのが、免除規定です。
免除の条件は、会則か申し合わせに文章で残します。口頭の運用にしておくと、役員が代わった瞬間に「去年は免除だったのに今年は当たった」という苦情になります。よく置かれている条件は次のようなものです。
・満75歳以上のみで構成される世帯 ・要介護認定を受けている人がいる世帯 ・乳児がいる世帯(月齢で期限を切る) ・長期の入院や単身赴任で、実際に居住している人がいない期間
条件を決めるときの要点は、期限を必ず書くことです。「当分の間免除」と書くと、その世帯は永久に外れます。「申請の翌年度から2年間。継続するときは再申請」のように、更新のたびに現状を確認する形にしておくと、外れっぱなしを防げます。
人単位に切り替えるという選択もあります。祭礼の準備や防災訓練の設営のように、頭数がいる仕事は人単位のほうが実態に合います。ただし人単位にすると名簿の粒度が上がり、家族の氏名と年齢を町内会が管理することになります。名簿の作り方については、個人情報保護委員会が非営利団体も規制の対象になることを明記しています。
個人情報保護法における「事業」とは、一定の目的をもって反復継続して遂行される同種の行為であって、かつ社会通念上事業と認められるものをいい、営利・非営利の別は問いません。したがって、非営利の活動を行っている団体であっても、個人情報データベース等を事業の用に供している場合は、個人情報取扱事業者に該当します。 出典: ppc.go.jp
当番表は氏名と住所が並んだ一覧です。それを掲示板に貼るのか、回覧で回すのか、加入世帯だけが見られる場所に置くのかは、単位を決めるときに同時に決めておく論点です。人単位にするなら、扱う情報が増える分だけ、置き場所の話は先送りにできません。
重さの違う当番を持ち点でならす
単位が決まったら、偏りをなくす計算に入ります。回数を揃えるだけでは揃わないことは、棚卸しの表を見れば分かっています。実務で使いやすいのは、当番に持ち点を付けて、世帯ごとの年間合計をならす方法です。
点の付け方は難しく考えなくて構いません。基準になる当番を1点と決めて、他をその倍数で表します。例えば、一斉清掃への参加を1点とするなら、ごみ集積所の1か月当番は拘束の回数が多いので3点、資源回収の立ち会いは1回で2時間かかるので2点、回覧板の受け渡しは負担が軽いので0.5点、といった具合です。数字の絶対値に意味はなく、世帯どうしを比べたときの比だけが意味を持ちます。
点を決める会議では、必ず「実際にやったことがある人」に発言してもらいます。やったことのない役員だけで点を付けると、目に見える行事の点が高く、日常的に続く当番の点が低く出ます。早朝に週3回起きる負担は、会議室では過小評価されます。
年間合計を出したら、世帯ごとの数字を並べて上位と下位の差を見ます。差が2倍を超えている世帯があれば、そこが翌年の調整対象です。多くの町内会では、班や組の中で順送りにしているため、班の規模の違いがそのまま偏りになっています。12世帯の班と28世帯の班が同じ当番を同じ数だけ引き受けていれば、1世帯あたりの回数は2倍以上違います。班の再編は手間が大きいので、当番の割り当て数を班の世帯数に比例させるほうが現実的です。
もう1つ、記録の話をしておきます。偏りは、当番を飛ばした記録が残らないことから育ちます。「今回は都合が悪いので次の方にお願いします」が口頭で処理されると、その世帯は順番から静かに抜けます。飛ばした事実、その理由、次にいつ回すかの3つを、表に書き込める欄を作っておきます。
未加入世帯と集積所をどう扱うか
当番表の作り直しで、必ず途中で持ち上がるのがこの論点です。加入率が下がっている地域では、集積所を使っているのに町内会に入っていない世帯が生まれます。当番は加入世帯だけで回し、利用は全世帯という状態が続くと、当番に当たる側から不満が出ます。これは表の作り方では解決しない問題で、方針を決めるしかありません。
実際に取られている方針は、大きく3つに分かれます。1つ目は、集積所の管理を町内会の事業と切り離し、利用者の集まりとして別に当番を組む形です。加入と当番が切り離されるため筋は通りますが、名簿と会計をもう1つ持つことになり、役員の仕事は増えます。2つ目は、集積所の維持費だけを実費として未加入世帯にも求める形です。金額を年間1,200円程度の実費に抑えている例が見られますが、徴収する人が要るため、結局は誰かの当番になります。3つ目は、当番からは外し、清掃用具の費用も町内会が持つと割り切る形です。もめごとは起きませんが、加入している側の不公平感は残ります。
どれを選ぶにせよ、決めた内容は総会で議決して議事録に残してください。役員の判断として運用していると、翌年に方針が揺れます。そして、未加入世帯への連絡手段を1つ確保しておくことが実務上の要点です。集積所の使い方が変わったとき、加入者向けの連絡網に流すだけでは届きません。掲示と投函を併用する前提で、文面のひな型を作っておくと、そのつど文章を考える手間がなくなります。
なお、集積所そのものの設置場所や収集方式は市区町村が決める事項です。当番の重さが限界を超えているなら、町内会として収集方式の見直しを市区町村に相談する道が残っています。前掲の報告書も、行政協力業務の総合的な見直し、いわば棚卸しを行うことが必要だとしています。当番表の内側だけで解決しようとせず、外に持ち出す選択肢を最初から数えておいてください。
班や組の区切りをいつ見直すか
当番の偏りをたどっていくと、班や組の区切りにたどり着くことがあります。多くの町内会の班は、宅地が造成された当時の区画をそのまま使っています。その後にアパートが建ち、空き家が増え、二世帯住宅が分かれたことで、班ごとの世帯数は当初の想定から大きくずれています。
見直しの判断は、班ごとの世帯数の比で行います。最も多い班と最も少ない班の比が1.5倍以内に収まっているなら、割り当て数を世帯数に比例させる調整で足ります。2倍を超えているなら、班の再編を検討する段階です。ただし再編は重い作業です。回覧板の順路、防災の担当区域、市区町村への報告区分、班長の選出方法が、すべて班の区切りに紐づいています。1つを動かすと4つが動きます。
現実的な手順は、いきなり区切りを引き直すのではなく、当番の割り当てだけを世帯数比に切り替えて1年運用し、それでも回らない箇所を特定してから再編に入る順番です。先に数字で困っている場所を確定させておくと、総会での説明が「不公平だから」ではなく「この班は1世帯あたりの当番が年2.4回で、隣の班は年1.1回だから」という形になります。数字が出ていれば議論は短く済みます。
再編するときは、地図を用意して、集積所の位置を先に置いてから区切りを引きます。班の区切りと集積所の担当範囲がずれていると、当番表がもう1つ必要になり、管理する表が2枚に増えます。表を1枚に保つことが、翌年の担当への最大の贈り物です。
年間のどこで表を作るか
当番表は、作る時期を決めていないと毎年ばたつきます。4月に役員が代わってから作り始めると、5月の一斉清掃に間に合いません。逆算した作業の並びを、引き継ぎの資料に書いておいてください。
1月から2月にかけて、世帯数を数え直します。転入と転出、世帯の分離、免除の申請と期限切れをこの時期に確定させます。市区町村への報告や会費の徴収と時期が重なるため、名簿を触る作業をまとめてしまうほうが手間が少なくて済みます。
2月から3月にかけて、当番の割り当て数を決めます。前年度の繰り越し、飛ばした世帯、点数の偏りをここで反映します。並行して、当番の種類そのものに増減がないかを確かめます。市区町村から新しい依頼が来ていないか、逆に不要になった当番が惰性で残っていないかを、この時点で1度見ます。
3月の総会で、当番表の方針を報告します。表そのものを議決にかける必要はありませんが、免除の条件を変える、代行の扱いを変える、未加入世帯の扱いを変えるといった変更は議決事項です。ここを飛ばすと、後から異議が出たときに戻す根拠がありません。
4月の頭に、確定した表を配ります。このとき、表と一緒に3つの短い文書を添えると問い合わせが減ります。当番ごとの手順(各5行程度)、交代を頼むときの相手と期限、免除を申請する方法です。3枚とも、翌年もそのまま使えます。毎年ゼロから作る文書を減らしていくことが、役員の負担を実際に軽くする唯一の道です。
代わってもらうときの頼み方を決めておく
当番表そのものより、運用で崩れるのは交代のところです。当日の朝に体調を崩す、仕事が急に入る、家族の入院が重なる。これは必ず起きます。起きたときに何をするかを決めていない町内会では、その都度、役員の携帯電話が鳴ります。
決めておくことは3つです。誰に言うか、いつまでに言うか、断られたときにどうなるか。
誰に言うか、を役員に固定するのは避けたほうが賢明です。役員が受け皿になると、代わりを探す仕事が役員に集中し、前掲の報告書が指摘する役員中心主義がそのまま強化されます。実務でうまく回っているのは、当番表の並び順で「次の順番の世帯」と「前の順番の世帯」に直接声を掛ける形です。順番を入れ替えるだけなので、年間の合計点が変わりません。役員は結果の報告を受けるだけで済みます。
いつまでに言うか、は当番の種類で分けます。ごみ集積所のように翌朝に迫る当番は「気付いた時点ですぐ」、清掃や行事のように日付が先の当番は「3日前まで」といった具合に、表の欄外に書いておきます。期限を決めておくと、直前の連絡が例外扱いになり、無理を頼む側も気が楽になります。
断られたときにどうなるか、が一番もめます。ここは金銭で解決するかどうかの判断になります。欠席した回に代行費を払う仕組みを入れている町内会は実際にありますが、導入するなら会則の変更が要り、総会の議題になります。金額は、負担を埋め合わせる実費相当にとどめるのが無難です。罰金の色が濃くなると、加入そのものを断られる理由になります。年間の会費が数千円の会で、1回3,000円の代行費を設定すれば、会費より重い罰則が当番に付いていることになります。順番を先送りにする、翌年の点数に繰り越す、といった金銭を伴わない選択肢を先に検討してください。
当番表をどこに置くか
作った表を、誰がいつ見られる状態にしておくかで、運用の手間はまったく変わります。よくある置き方は4つあり、それぞれ詰まる場所が違います。
紙で全戸に配る方法は、確実に届きます。ただし年度の途中で変更が出たときに、直した紙が全戸に行き渡りません。当番が入れ替わったことを知らないまま、旧版の紙を見ている世帯が残ります。
掲示板に貼る方法は、変更が1か所で済みます。反面、氏名と住所が通行人にも見えます。ごみ集積所の脇に当番表を貼っている光景は珍しくありませんが、名簿の掲示にあたるかどうかは、掲載内容によって判断が変わる領域です。番号や苗字だけにするなど、載せる情報を減らす工夫が要ります。
グループでのやり取りに使うアプリに投稿する方法は、直した表をすぐ配れます。困るのは、投稿が時間とともに流れることです。3か月前に貼った当番表を探すために、延々とさかのぼる作業が発生します。会話と資料が同じ流れに並ぶ仕組みでは、資料が必ず埋もれます。この性質の違いは、LINEグループとの比較に、投稿が流れる仕組みと固定できる範囲の違いとして整理してあります。
団体向けの連絡ツールに置く方法は、当番表を予定として登録できるため、当日の朝に本人へ通知が届きます。閲覧できる範囲を加入世帯に限れば、メンバー以外は見られない状態で氏名入りの表を共有できます。ただし、全世帯がその道具を使える前提が要ります。高齢世帯の多い地域では、紙と併用する期間を最初から見込んでおくのが現実的です。
置き場所を選ぶ基準は、便利さではなく引き継ぎです。次の年度の担当が、前任者に連絡を取らずに表へたどり着けるかどうか。前任者の個人のパソコンにだけ表計算のファイルがある状態は、翌年に必ず事故を起こします。
年度替わりで表が壊れる場所
当番表が最も壊れるのは、4月です。役員が代わり、前年度の運用の理由が失われます。壊れ方には型があります。
第1に、免除の記録が引き継がれません。前任者が口頭で了解していた免除は、資料に残らないため消えます。免除の申請書と有効期限の一覧を、当番表と同じ場所に置いてください。
第2に、飛ばした世帯の繰り越しが消えます。「今年は都合が悪かったので来年に回す」という約束は、担当が代わると誰も知りません。表の中に繰り越しの欄を作り、翌年度の表を作るときに最初にその欄から埋める手順にしておきます。
第3に、班の世帯数の変動が反映されません。転入と転出があった分、班ごとの世帯数は毎年動きます。前年度の割り当て数をそのまま写すと、世帯が減った班の負担だけが静かに増えます。年度末に世帯数を数え直し、割り当て数を掛け直す工程を、引き継ぎの手順に入れておきます。
第4に、当番のやり方そのものが失われます。ごみ集積所の鍵をどこから受け取るのか、資源回収の業者に何時に電話するのか、防災倉庫の暗証番号は誰が知っているのか。この種の情報は、当番表の余白か、当番ごとの手順書に短く書いておくだけで、翌年の問い合わせが激減します。1つの当番につき5行で足ります。
引き継ぎの単位を1つにまとめられるかどうかが、続くかどうかを分けます。役員が代わるときに渡すものが、表計算のファイルと紙の束と前任者の携帯電話番号に分かれていると、渡し漏れが起きます。他の団体がどうやって引き継ぎの荷物を減らしているかは、PTAでの使われかたにある年度替わりの扱いが参考になります。PTAは町内会より役員の交代が速いため、引き継ぎの工夫が先に進んでいます。
内部の相談から見えている当番表の詰まり方
集まりの連絡をまとめる道具の使われ方を見ていくと、当番表に関する相談は、作成の相談よりも、作った後の相談に偏っています。相談の中身は、おおむね3つに分かれます。
1つ目は、変更が伝わらないという相談です。表を配った後に交代が起き、直した表をもう一度全員に届ける手段がないというものです。ここで効くのは、表を配り直すことではなく、当番の日を予定として1人ずつに持たせることです。表は全体の見取り図として置いておき、実際に動くのは自分の日の通知だけ、という形にすると、変更のたびに全員へ配り直す必要がなくなります。
2つ目は、見た人が分からないという相談です。回覧板や紙の配布では、届いたかどうかを追えません。当番表のように、見落とすと実務に穴が開く連絡は、届いた人が分かる形で出すのが本筋です。ただし、既読の表示を全員に見せると、見ていない人が名指しで晒される形になり、会の空気を悪くします。とりまとめる側だけが確認できる形が扱いやすくなります。この違いは、BANDとの比較やFacebookグループとの比較で、確認状況をどこまで見せる設計になっているかとして比べられます。
3つ目は、加入していない世帯をどう扱うかという相談です。連絡の道具を変えると、この論点が必ず表に出ます。集積所を共同で使っている未加入世帯に当番表を見せるのか、そもそも当番に入れるのか。道具の側では、閲覧だけできる立場を用意して当番表と行事案内だけを見せ、会員向けの連絡とは分ける運用が取られています。会の側で先に方針を決めておかないと、道具の設定で迷います。
相談の傾向としてもう1つ挙げておくと、当番表を電子化したいという要望が出るのは、担当が交代した直後に集中しています。前任者の手元にしかなかった表を復元しようとして、置き場所を変える決心が付く、という順序です。裏を返せば、交代が起きていない年に置き場所を変える判断は下されにくく、結果として毎年のように前任者への問い合わせが繰り返されます。年度末に置き場所を見直す作業を、当番表そのものを作る作業とセットで手順に書き込んでおくと、交代を待たずに直せます。
また、当番表を移した会で最初につまずくのは、道具の使い方ではなく、誰を登録するかの線引きです。世帯単位で運用してきた表を人単位の連絡網に載せると、1世帯の中で誰が受け取るのかを決める必要が出ます。夫婦それぞれを登録するのか、代表者だけにするのか。ここを決めずに登録を始めると、同じ世帯に二重に通知が飛んだり、逆に誰にも届かなかったりします。移す前に、世帯と登録者の対応表を1枚作っておくだけで、この手戻りは避けられます。
これらを踏まえると、当番表の作り直しでやることは、順番の並べ替えではないことが分かります。棚卸しで量を確かめ、単位と免除を文章にし、重さを点でならし、交代の手順と記録の欄を作り、置き場所を引き継ぎの観点で選ぶ。この5つを1年かけて回せば、翌年の担当は前任者に電話をかけずに表を作れます。運用に迷う点はよくある質問にも同種の論点が並んでいるので、会則の文言を決める前に目を通しておくと、決め漏れが減ります。
Q1. 当番表は世帯単位と人単位のどちらで作るべきですか?
会費を世帯で集めているなら世帯単位が基本です。名簿がそのまま順番表になり、誰が出るかを世帯に任せられます。ただし単身高齢世帯と多人数世帯の負担差が出るため、免除の条件と有効期限を会則か申し合わせに文章で残してください。祭礼の設営など頭数が要る仕事だけ人単位にする併用も現実的です。
Q2. 当番の重さが違うとき、どうやって公平にしますか?
回数ではなく持ち点でならします。基準になる当番を1点と決め、拘束の回数と時間帯で倍数を付けます。早朝に週3回発生するごみ集積所の当番は、年1回の一斉清掃より重く見積もります。点を決める会議には、実際にその当番をやった人を必ず入れてください。会議室では日常的な当番が過小評価されます。
Q3. 当番を代われないと言われたとき、誰が代わりを探しますか?
役員に集めないでください。当番表の並び順で、前後の順番の世帯に本人から直接声を掛ける形にすると、順番の入れ替えだけで済み、年間の合計負担が変わりません。役員は結果の報告を受けるだけにします。飛ばした事実、理由、次にいつ回すかの3つを表に書き込む欄を作っておくのが要点です。
Q4. 当番表を掲示板に貼っても問題ありませんか?
掲載する内容によります。氏名と住所が並んだ表を通行人が読める場所に貼ると、名簿の掲示に近い扱いになります。番号や苗字だけにする、集積所には日付と担当の班だけ出す、といった形で載せる情報を減らしてください。氏名入りの表は、加入世帯だけが見られる場所に置き、掲示板とは分けるのが安全です。