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同窓会の個人情報をどう扱うか|集めてよいものと、置き場所の決め方

2026年9月11日 ・ Tsudoo編集部

同窓会が抱えている個人情報は、他の団体の名簿とは性質が違います。数千人分の氏名と住所が、卒業年次という属性つきで並んでいて、しかも本人の多くは自分の情報がそこにあることを意識していません。事故が起きたときに影響が及ぶ範囲も、会の中では収まりません。ここでは、集める段階、置く段階、渡す段階、消す段階の4つに分けて、同窓会の名簿を扱う側が決めておくべきことを示します。

同窓会も、法律の名宛人である

かつては、小規模な団体は個人情報の保護に関する法律の対象外だと理解されていました。取り扱う件数が一定数以下であれば適用を除外する扱いがあったためです。この除外はすでに無くなっており、いまは件数にかかわらず対象になります。

この章及び第六章から第八章までにおいて「個人情報取扱事業者」とは、個人情報データベース等を事業の用に供している者をいう。 出典: laws.e-gov.go.jp

同法の第16条第2項です。ここでいう「事業」に、営利かどうかの限定は置かれていません。会員名簿を検索できる形で持ち、会報の宛名に使い、総会の案内に使っているなら、同窓会はこの定義に当てはまります。会費で運営している非営利の任意団体だから関係ない、という理解は成り立ちません。

対象になるとどうなるか。求められるのは、大きく5つです。利用目的をできる限り特定すること。取得したら本人に通知するか公表すること。特定した目的の範囲を超えて使わないこと。本人の同意なく第三者に提供しないこと。安全に管理する措置を講じることです。

この5つは、規約や事務の手引きに書き込んで初めて機能します。役員の頭の中にあるだけでは、交代した時点で消えます。会として何をどう扱うかを文書にし、名簿に触れる人全員がそれを読んでいる状態を作ってください。同窓会の役員は数年で入れ替わるので、口伝えでは続きません。

何を集めてよいかは、何に使うかで決まる

集めてよい項目に、一律の線引きはありません。線を引くのは、その会が実際に何をするかです。会報を送るなら送付先が要り、総会の案内をするなら連絡先が要り、慶弔の連絡をするなら生没の情報が要ります。

したがって、順序が決まります。まず、会が行うことを列挙する。次に、それぞれに必要な項目を並べる。最後に、どれにも使わない項目を落とす。この順序を踏まずに「あったほうが便利だから」で項目を増やすと、使わない情報を抱えることになります。抱えた情報は、漏れたときに責任だけが残ります。

同窓会の名簿でよく見かける、落とすべき項目を挙げます。本籍。家族構成。配偶者の氏名。勤務先の部署と役職。年収の区分。生年月日。これらは、会報の送付にも総会の案内にも使いません。勤務先を載せる会がありますが、転職のたびに更新が要り、更新されなければ誤った情報が残り続けます。

逆に、同窓会には必要で、他の団体には要らない項目があります。卒業年次。卒業時の学科やクラス。卒業時の姓。この3つは、本人を特定する鍵として機能します。同姓同名がいても、卒業年次とクラスまで分かれば区別できます。

利用目的の書き方も具体にしてください。「同窓会の運営のため」では特定として弱すぎます。「会報の送付」「総会および行事の案内」「会費の請求」「名簿の作成」「慶弔の連絡」のように、実際に行うことを並べる。ここに書いていない用途には使えないので、将来やる見込みのあるものは最初に含めておきます。

名簿の冊子を配ると、その後は制御できない

同窓会の個人情報で最も判断が要るのが、名簿を冊子にして配るかどうかです。かつては数年おきに名簿を発行して会員に配るのが当たり前でしたが、この扱いを続けている会は少なくなっています。

理由は単純です。紙で配ったものは回収できません。3,000人に配った冊子のうち、1冊でも第三者の手に渡れば、そこには3,000人分の氏名と住所が並んでいます。配った側は、それがどこへ行ったかを追う手立てを持ちません。会員が亡くなった後に遺品として処分される、引っ越しの際に古紙に出される、といった経路も現実に存在します。

名簿を求める会員がいるのも事実です。同期と連絡を取りたい、恩師の消息を知りたい、という要望は自然なものです。この要望に応えつつ、配布の形を避ける方法がいくつか取られています。

第1に、事務局での閲覧に限る方法です。本人が事務局を訪れ、必要な範囲だけを確認する。手間はかかりますが、複製が出ません。第2に、本人が指定した相手への取り次ぎを会が行う方法です。連絡先そのものを渡さず、会が相手に「こういう人が連絡を取りたがっている」と伝え、相手が応じるかどうかを決めます。第3に、掲載の可否を項目ごとに本人が選べる形で、限られた範囲だけを載せた冊子を作る方法です。

どの形を採るにしても、掲載を望まない人の意思を反映できる作りにしてください。「載せてほしくない」と言える機会が無いまま作られた名簿は、後から問題になります。掲載の可否を確認する連絡を出し、返事が無かった人をどう扱うかも先に決めておく必要があります。返事が無い場合に載せない、という運用のほうが安全です。

冊子を作らないと決めた場合は、その理由を会員に伝えてください。何の説明もなく発行を止めると、会が仕事をしなくなったと受け取られます。回収できないこと、掲載を望まない人がいること、代わりにどういう手立てを用意したこと。この3点を会報で一度説明しておけば、以後の問い合わせが減ります。

第三者提供にあたる場面を、先に洗い出す

会が持っている名簿を、会の外に出す場面は思ったより多くあります。それぞれが第三者提供にあたるかを整理しておかないと、その場の判断で渡してしまいます。

個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。 出典: laws.e-gov.go.jp

同法の第27条第1項です。同窓会で判断が要る場面は、主に次のものです。

学年幹事に同期の連絡先を渡す場面。支部に地域の会員の住所を渡す場面。母校から在校生の進路指導のために卒業生を紹介してほしいと頼まれる場面。研究者や報道から取材の協力を求められる場面。そして、名簿の作成を外部の業者に委託する場面です。

このうち、委託は第三者提供とは扱いが異なります。会の指示のもとで作業を代行してもらう関係であれば、提供ではなく委託になります。ただし委託先を監督する責任が会に残るので、契約で扱いの範囲を定め、作業後にデータを返却または消去させる取り決めが要ります。名簿の印刷や宛名の印字を外に出すときは、この点を確認してください。

母校からの依頼は、判断が分かれやすい場面です。学校と同窓会は別の団体なので、卒業生の連絡先をそのまま渡せば提供にあたります。会が案内を代わりに送る形にすれば、連絡先そのものは動きません。この形を基本にしておけば、その都度悩まずに済みます。

商業目的の照会は、断ってください。同窓会の名簿を買い取ろうとする働きかけは実際に存在します。金銭の授受があるかどうかにかかわらず、本人の同意なく渡せば違反です。会として断る方針を文書に書き、事務局の誰が受けても同じ答えになるようにしておいてください。

卒業アルバムと過去の名簿を、いまどう扱うか

同窓会には、法律が現在の形になる前に作られた資料が残っています。卒業アルバム、過去に発行した名簿の冊子、学校から引き継いだ古い一覧。これらをどう扱うかは、いま集める情報とは別に整理が要ります。

まず押さえるべきは、古い資料であっても、そこに書かれているのは実在する人の情報だという点です。30年前の名簿に載っている住所は、いまは使えなくても、その人が当時そこに住んでいたという事実を示します。これが外に出れば、現在の情報が出た場合と同じ問題が起きます。

事務局に段ボールで積まれている過去の名簿は、置き場所を決めて施錠してください。廃棄する場合は、古紙に出すのではなく、溶解処理か細断が要ります。1冊でも紛れれば、そこには数千人分が並んでいます。

会員から「昔の名簿を見せてほしい」と求められる場面もあります。同期の消息を知りたいという理由が多いのですが、古い名簿を渡せば、いま掲載を望まない人の当時の情報まで渡すことになります。閲覧の求めに応じるとしても、事務局で本人の分だけを確認してもらう形にとどめるのが無難です。

名簿を扱う業者からの働きかけについても、方針を書いておいてください。過去の名簿を買い取る、あるいは新しい名簿の作成を請け負うという申し出が届くことがあります。作成を委託する場合と、情報を渡す場合はまったく別なので、どちらの話なのかを最初に確認し、判断を1人でしないことです。

総会や行事の写真を、どこまで載せてよいか

会報や記録のために撮る写真も、個人情報の扱いに関わります。同窓会の写真には、他の団体にない事情が2つあります。参加していない会員にも配られること、そして数十年後まで残ることです。

会報に載せる写真については、撮影の場で一言伝えておくのが最も確実です。「本日の写真は会報に掲載します」と開会の際に述べ、載せたくない人が申し出られるようにする。集合写真は避けにくいので、その場で伝える形が実務に合います。

氏名を添えるかどうかは、別に判断してください。写真だけなら誰か分からない場合もありますが、氏名と卒業年次を添えれば特定できます。会報に載せる際に氏名を書くなら、その点も含めて伝えておく必要があります。

会のページや掲示の場に載せる場合は、紙よりも扱いが重くなります。誰でも見られる場所に載せれば、会員以外にも届きます。載せる場所がメンバー以外は見られない形になっているかどうかで、必要な確認の重さが変わります。会員だけが見る場所に置くなら、紙の会報と同じ扱いで足ります。

物故者の写真については、遺族の意向を確認してください。追悼のために掲載することは自然な行為ですが、家族の側が望まない場合もあります。確認せずに載せた後で申し出を受けると、すでに配布が終わっています。

在校生や恩師の情報が混じるとき

同窓会が扱うのは卒業生の情報だけではありません。在校生への支援を行う会では未成年の情報が入り、恩師を招く会では教職員の情報が入ります。この2つは、卒業生とは扱いを変える必要があります。

在校生の情報は、学校が保護者との関係で預かっているものです。同窓会が奨学金や部活動の支援を行う場合、対象となる生徒の氏名や状況を知ることになります。この情報は、支援の判断に必要な範囲を超えて持たない。会報に受給者の氏名を載せるかどうかは、本人と保護者の意向を確認してから決める。学校を通じて確認する形が現実的です。

恩師の情報は、退職した教職員の連絡先を会が持つことになります。学校が現職の職員の連絡先を同窓会に渡すのは提供にあたるので、招待の案内は学校を通すか、本人から直接いただいた連絡先を使ってください。退職後に転居される方も多く、名簿の更新は卒業生より難しくなります。

高齢の恩師については、健康状態や介護の状況といった、より慎重な扱いを要する情報に触れる場面が出ます。招待の可否を確認する過程で自然に伝わってくるものですが、会の名簿に書き込む必要はありません。担当者が把握しておけば足ります。

いずれの場合も、卒業生の名簿と同じ場所に混ぜないでください。混ぜると、権限の設計も、消去の判断も、卒業生と同じ扱いになってしまいます。

名簿をいつまで持つか、亡くなった会員をどうするか

保有の期間を決めていない会は、名簿が増え続けます。同窓会は退会がほとんど発生しないので、放っておけば創立以来の全卒業生が並ぶことになります。

判断が要るのは3つの区分です。第1に、宛先不明が続いて連絡が取れなくなった人。第2に、退会の申し出があった人。第3に、亡くなった人です。

第1は、消さずに残しておくのが実務に合います。何年か後に本人から連絡が来ることがあり、そのときに過去の記録と結び付けられるからです。ただし、送付の対象からは外し、その旨を名簿に記録してください。住所の欄は、届かないと分かった時点で使わないと決めます。

第2は、会則の退会の手続きに沿って処理します。会費の返還の有無、名簿からの削除の時期、削除しない場合の理由を、本人に伝えてください。

第3が最も判断が要ります。亡くなった会員の情報を消してしまうと、追悼の記録も、遺族への対応の履歴も残りません。一方で、名簿に残したまま会報を送り続ければ、遺族に届きます。実務では、送付を止めたうえで会員の記録としては残し、物故者として区分する扱いが多く採られています。遺族が会報の受け取りを望む場合もあるので、確認したうえで扱いを分けてください。

区分を決めたら、その判断を誰が行うかも決めます。訃報が事務局に届いたとき、確認を取らずに区分を変えると、誤りが起きたときに取り返しがつきません。誰から情報が入り、誰が確認し、誰が記録を変えるか。この3つを手順として書いてください。

名簿を置く場所を、会として1か所に決める

安全に管理する措置として最初にやるべきは、置き場所を決めることです。同窓会の名簿が危ういのは、盗まれるからではなく、いつのまにか複製が増えるからです。

複製が増える経路は決まっています。会報の宛名を印字するために会計担当が写しを取る。総会の受付名簿を作るために別の役員が抜き出す。支部が独自に一覧を持つ。学年幹事が個人の端末で管理する。前任の役員の端末に古い版が残る。それぞれに悪意はありませんが、結果として同じ情報が5か所に散ります。

散った時点で、いくつかの問題が同時に起きます。どれが最新か分からなくなる。1か所を直しても他が古いまま残る。そして、退会や掲載拒否の申し出があったときに、全部から消せなくなります。

対策は、置き場所を1か所に決め、そこから必要な分だけを都度取り出す形にすることです。写しを作らせないためには、写しを作らなくても作業ができる状態が要ります。宛名の印字も、受付名簿も、支部への案内も、同じ場所から出せるなら、抜き出す理由がなくなります。

権限の設計も要ります。名簿の全体を見られる人と、自分の担当範囲だけ見られる人を分ける。役員が交代したら、権限を移すだけで引き継ぎが終わる。この形になっていれば、前任者の端末に何かが残る余地がありません。名簿を置く場所がメンバー以外は見られないことは前提として、会の中でも誰がどこまで見えるかを決めておいてください。

紙で持っている場合も同じです。施錠できる場所に置き、鍵を持つ人を決め、持ち出す場合は記録を残す。持ち出しの記録が無い会では、無くなったことにも気づけません。

名簿に触れる人の範囲も、決めて狭めてください。役員が20人いても、全員が全会員の住所を見る必要はありません。会報の宛名を扱う人、会費を扱う人、慶弔を扱う人。それぞれが自分の作業に要る範囲だけを見る形にすれば、事故が起きたときの影響も小さく収まります。範囲を狭めることは、役員を信用しないことではなく、役員を守ることでもあります。

役員が代わるときに、何を渡し、何を消すか

同窓会の情報の事故で最も多いのは、外部からの侵入ではなく、内部での残留です。役員を退いた人の手元に、名簿の写しが残り続けます。

交代のときに決めておくべきことが3つあります。第1に、引き渡すものの一覧です。名簿、過去の議事録、会場との交渉の記録、会計の帳簿。この一覧が無いと、何を渡したか、何が渡っていないかが分かりません。第2に、前任者の手元から消すものの確認です。端末に保存した表計算ファイル、印刷した名簿、受け取ったメールの添付。第3に、消したことをどう確かめるかです。

3つ目が難しいところです。個人の端末の中身を会が確認することはできません。だから、そもそも個人の端末に落とす必要がない形にしておくのが唯一の対策になります。名簿が会の場所にあり、権限で見る形なら、権限を外した時点でアクセスは止まります。ファイルを渡す形では、渡した瞬間に制御が離れます。

交代の時期も設計に含めてください。総会で役員が改選されてから実際の引き継ぎが終わるまで、数か月かかる会があります。その間、前任と後任の両方が名簿を見られる状態になります。これ自体は必要な期間ですが、いつまでかを決めておかないと、前任者の権限が何年も残ります。

引き継ぎの文書には、個人情報の扱いについての方針も含めてください。何を集め、何に使い、どこに置き、誰が見られるか。この4点が書かれた紙が1枚あるだけで、後任が同じ判断を続けられます。

掲載を断られたとき、消してほしいと言われたとき

会員から「名簿に載せないでほしい」「連絡をやめてほしい」「私の情報を消してほしい」という申し出が来たとき、どう応じるかを先に決めておいてください。申し出があってから理事会で議論する形では、本人を待たせることになります。

法律は、本人からの請求について定めを置いています。保有する情報の開示を求められたときの対応、利用の停止や消去を求められたときの対応です。同窓会の実務では、次の3段階に分けて考えると整理できます。

第1段階は、掲載の拒否です。名簿の冊子や会報に氏名を載せないでほしいという申し出で、会が情報を持つこと自体は認めるものです。この場合は、名簿に「掲載不可」の印を付け、冊子や紙面から外します。会報の送付は続きます。

第2段階は、連絡の停止です。会からの郵便やメールを止めてほしいという申し出です。この場合は送付の対象から外しますが、会員としての記録は残します。会費の扱いをどうするかを、あわせて本人に伝えてください。

第3段階は、情報の消去です。会が持っている自分の情報を消してほしいという申し出です。ここまで来たら、会員資格をどう扱うかという問題になります。会則で退会の手続きが定まっているなら、その手続きに沿って処理します。定まっていない会は、この申し出を受けた時点で何も返せません。

いずれの段階でも、受け付けた記録を残してください。誰から、いつ、どの段階の申し出があり、どう対応したか。記録が無いと、担当が代わった後に同じ人へ再び会報を送ってしまいます。同じ申し出を二度させることは、最も信頼を損なう扱いです。

申し出を受ける窓口も、1つに決めてください。会長、事務局、支部、学年幹事のどこに言っても同じ扱いになる状態が理想ですが、実際には受けた人によって対応が変わります。窓口を事務局に一本化し、他の役員が受けた場合は事務局へ回すという手順にしておけば、対応のばらつきが減ります。

窓口は、会員が見られる場所に常に掲げておいてください。会報の毎号、案内の紙面、会のページ。どこを見ても同じ連絡先が書いてある状態にすると、申し出をする側が探さずに済みます。申し出のしにくさは、そのまま苦情の大きさに変わります。

漏らしてしまったときに、何をするか

備えは、起きた後の手順まで含めて初めて備えになります。名簿が外に出たときに何をするかを決めていない会は、起きた瞬間に対応が遅れます。

法律は、一定の場合に報告と通知を義務づけています。

前項に規定する場合には、個人情報取扱事業者(同項ただし書の規定による通知をした者を除く。)は、本人に対し、個人情報保護委員会規則で定めるところにより、当該事態が生じた旨を通知しなければならない。 出典: laws.e-gov.go.jp

同法の第26条第2項です。同条の第1項は、個人の権利利益を害するおそれが大きい事態が生じたときに、監督する委員会へ報告することを求めています。制度の詳細は委員会の規則で定められているので、実際に起きた場合は個人情報保護委員会の案内を確認してください。

会として先に決めておくのは、次の4つです。誰が第一報を受けるか。誰が事実関係を確認するか。会員への連絡を誰の名前で出すか。外部からの問い合わせに誰が答えるか。この4つを決めていない会では、役員が個別に発言してしまい、内容が食い違います。

事実関係の確認では、何が、いつ、何件、どういう経路で外に出たかを押さえます。1件なのか数千件なのかで、対応の重さがまったく変わります。件数が分からないまま「一部の情報が」と発表すると、後から数が判明したときに二度目の説明が要ります。

会員への通知は、遅らせないでください。同窓会の会員は全国に散っていて、郵送では時間がかかります。急ぐ連絡の経路を普段から持っているかどうかが、ここで効きます。

名簿を持つ会が、実際に詰まっている場所

集まりの連絡をひとつにまとめる道具を用意する側から各地の相談を並べると、同窓会の個人情報で止まる場所は、方針を決められないことではなく、決めた方針を実行できないことにあります。

最も多いのが、名簿が何か所にあるか会として把握できていないという状態です。事務局の表計算ファイル、会計担当の宛名データ、支部の一覧、学年幹事の手元。数え上げたことが一度もなく、掲載拒否の申し出があっても全部から消せません。この状態では、どんな方針を文書にしても実行できません。まず数え上げるところからです。

次に多いのが、権限という考え方が無いことです。名簿を見られる人と見られない人を分ける仕組みが無く、ファイルを渡すか渡さないかの二択になっている。渡せば複製が生まれ、渡さなければ作業が回らない。この二択のままでは、どちらを選んでも問題が残ります。

3つ目は、記録が残らないことです。誰がいつ名簿を見たか、どの申し出にどう対応したか、どの写しを誰に渡したか。これらの記録が無いため、事故が起きたときに範囲を特定できません。範囲が特定できなければ、会員への通知も打てません。

この3つは、名簿と連絡と記録が同じ場所にあれば、大半が解消します。1人につき1行があり、掲載可否も連絡の停止も同じ行に持ち、誰が見られるかを権限で決め、変更の履歴が残る。役員が代わっても、権限を移すだけで引き継ぎが終わります。同じ構図は他の団体でも起きていて、町内会での使われかた教室での使われかたにまとめた例と重なります。ただし同窓会には、名簿が数千人規模であること、本人が自分の情報の存在を意識していないこと、そして卒業後の関係が続く分だけ保有期間が数十年に及ぶことという条件が加わります。他の会でどう畳んでいるかはよくある質問にある例が手掛かりになります。個人情報の扱いを整えるとは、方針を書くことではなく、名簿がどこに何か所あるかを1に減らす作業です。

Q1. 同窓会も個人情報保護法の対象になりますか?

なります。取り扱う件数による適用除外はすでに無くなっており、会員名簿を検索できる形で持ち、会報の宛名や総会の案内に使っているなら、法律のいう個人情報取扱事業者に当てはまります。非営利の任意団体であることは、対象から外れる理由になりません。

Q2. 名簿を冊子にして会員に配ってよいですか?

配ること自体が直ちに違反になるわけではありませんが、紙で配ったものは回収できません。1冊が第三者に渡れば、そこには全員分の氏名と住所が並びます。事務局での閲覧に限る、会が取り次ぐ、掲載項目を本人が選べる形にする、といった代替を検討してください。

Q3. 学年幹事に同期の連絡先を渡してよいですか?

会の外の個人に渡す形であれば第三者提供にあたります。連絡先そのものを渡すのではなく、会が案内を代わりに発送する形にすれば、情報は動きません。渡す必要がある場合は、あらかじめ本人の同意を得る手順を用意してください。

Q4. 名簿に載せないでほしいと言われたらどうしますか?

申し出には3段階あります。冊子や紙面への掲載を断る段階、会からの連絡を止める段階、情報そのものの消去を求める段階です。それぞれの扱いを先に決め、受け付けた記録を残してください。記録が無いと担当交代後に同じ人へ再び送ってしまいます。

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