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高齢者のスマホ連絡でつまずく場所は決まっている|会の決め方

2026年9月4日 ・ Tsudoo編集部

高齢の会員にスマホで連絡を回そうとして、途中で立ち止まった経験のある役員は多いはずです。全員がスマホを持っているのに、なぜか届かない人が残る。説明会を開いても、次の月にはまた同じ質問が来る。この記事では、高齢者のスマホ連絡がうまくいかない原因を「覚えられないから」で片づけず、実際につまずいている場所を特定したうえで、とりまとめる立場の人が何をどう決めればよいのかを整理します。結論を先に書くと、つまずく場所は数が限られていて、そのほとんどは会の側の決め方で消せます。

高齢者のスマホ連絡をめぐる前提は、この数年で大きく変わった

「高齢者はスマホを持っていないから紙が必要だ」という前提は、もう実態と合わなくなっています。総務省の通信利用動向調査を年齢階層別に見ると、60歳代のインターネット利用率はすでに8割を超え、70歳代でも過半数に届いています。会の連絡を紙とスマホの二本立てで回している会でも、実際に紙しか受け取れない人は名簿全体の1割前後にとどまっている、という数え直しの結果はよく聞きます。

年齢階層別にみると、60歳代のインターネット利用率は8割を超える水準にある一方、80歳以上では他の年齢層に比べて低い水準にとどまっている。 出典: soumu.go.jp

つまり、問題は端末を持っているかどうかではありません。持っているのに会の連絡が届かない、という状態がなぜ起きるのかを見ないと、いつまでも「高齢者だから仕方ない」という結論に戻ってしまいます。そしてこの結論は、とりまとめる人の仕事を毎年増やし続けます。

「持っている」と「グループ連絡が続く」の間には段差がある

家族との写真のやりとりや、通院の予約確認、天気の確認は問題なくできる人が、会のグループ連絡になると急に止まる。この現象は珍しくありません。原因は操作の難易度ではなく、使う頻度と目的の違いにあります。家族とのやりとりは毎日あり、返事をしないと相手が心配するので、自然に習慣になります。会の連絡は月に2回から3回しかなく、見なくてもその場では困りません。

覚えた操作は、使わない期間が空くと確実に抜けます。現場では、教えた操作が2週間使われないと開けなくなることが多いと言われています。これは記憶力の問題ではなく、間隔の問題です。だとすれば、対策は「もっと丁寧に教える」ではなく、「間隔が空いても迷わない形にする」になります。ここを取り違えると、説明会を何度開いても状況は変わりません。

会の側の事情も、同時に変わっている

高齢の会員の側だけを見ていると判断を誤ります。会の側でも、紙を維持するコストが年々重くなっています。回覧板を回す班長の負担、印刷代、配布に歩く時間。とくに単身世帯や共働き世帯が増えた地域では、回覧板が止まる家が出て、末端まで1週間以上かかる例も出ています。紙は確実だという前提も、実は崩れかけています。

さらに、行政からの連絡が電子化されつつあります。デジタル庁は高齢者を含む幅広い層のデジタル活用を支える取り組みを進めており、自治体からの案内も紙と電子の併用に移りつつあります。会の内部だけ紙で完結させ続けると、外からの連絡と会の中の連絡で経路が分かれ、とりまとめる人の転記作業が増えます。この転記こそが、いちばん人が辞める原因になっている、という話は各地で共通しています。

つまずいている場所は5つに絞られる

高齢の会員がスマホの連絡から離脱するとき、離脱の理由はばらばらに見えて、実際には決まった5か所に集中しています。順番に見ていくと、自分の会がどこで詰まっているかがはっきりします。大事なのは、この5つのうち4つまでは、会の側の決め方だけで解消できるという点です。

最初の登録で止まる

いちばん人数が減るのはここです。新しいサービスを使うと決めた会が、案内の紙を配り、各自で登録してもらう形をとった場合、実際に登録が完了するのは配った人数の半分程度にとどまることがよくあります。理由は操作の複雑さだけではありません。新しいIDとパスワードを1つ増やすという行為そのものが、強い抵抗を生みます。

すでに銀行、病院、通販、行政の手続きでIDとパスワードを抱えている人にとって、もう1つ増やすことは管理する紙が1枚増えることを意味します。しかも会の連絡は月に数回しか使わないので、次に使うときには必ず忘れています。忘れて、再設定の案内を読んで、メールを確認して、という手順を1人でこなせる人は多くありません。ここで止まった人は「難しかった」とだけ言い、具体的にどこで止まったかは伝えてくれません。とりまとめる人からは、ただ登録者数が伸びない状態としてしか見えないわけです。

通知が来ない、または来すぎる

登録が済んでも、次の関門があります。通知の設定です。スマホを買ったときの初期設定のまま、通知をすべて切っている人は一定数います。本人はそう設定した覚えがなく、店頭で「うるさいから切っておきますね」と言われたまま使っている場合もあります。この人には、どれだけ連絡を投げても届きません。しかも本人は届いていないことに気づかないので、「見ていない」とだけ受け取られます。

逆の失敗もあります。通知が来すぎて、必要な連絡が埋もれるパターンです。雑談のやりとりが1日に50件流れるグループでは、行事の日程変更が2時間後には画面の外へ押し出されます。高齢の会員に限らず、この状態では誰も追えません。ただ、若い会員はさかのぼって探すという操作を自然にやりますが、その操作を知らない人は、埋もれた時点で情報を失います。ここが年齢による差が出やすい場所です。

どこに何が書いてあるか分からない

連絡が届いたとしても、後から見返せないと結局は電話がかかってきます。「来週の集まりは何時からだったか」「持ち物は何か」という問い合わせが、行事のたびに同じ人から来る会は多いはずです。これを本人の記憶力のせいにしても解決しません。原因は、時系列で流れる場所にしか情報がないことです。

紙の回覧板には、この問題がありませんでした。冷蔵庫に貼っておけば、いつでも同じ場所を見れば同じ情報がある。これは非常に強い性質で、スマホに移ったときに真っ先に失われるものです。流れる連絡と、貼っておく情報は役割が違います。両方を同じ場所に混ぜると、高齢の会員から順に脱落していきます。決まったことがいつも同じ場所にあるという状態を作れるかどうかが、実は年齢を問わず一番効きます。

写真と予定が別々の場所にある

行事の写真は写真共有サービス、予定は連絡アプリのグループ、名簿は表計算のファイル、という具合に保管場所が分かれている会は多くあります。とりまとめる人はそれぞれの場所を覚えているので不便を感じませんが、会員から見ると、目的ごとに違うアプリを開く必要があります。この時点で、使うアプリが3つになります。

3つのうち1つでも開けなくなると、その人はそこから先に進めません。しかも「どれが開けないのか」を説明することが難しいので、相談も来ません。運動会の写真が見られなかった祖父母が、翌年から行事に来なくなった、という話はあちこちで聞きます。会の側は写真を見せているつもりでも、届いていないわけです。保管場所の数は、そのまま脱落する確率になります。

役員が代わると、また最初からになる

5つ目は、高齢の会員側ではなく会の側の問題です。連絡グループが前任者の個人アカウントで作られていると、役員交代のたびに作り直しが起きます。作り直せば、全員に入り直してもらうことになり、登録の壁をもう一度全員が越えなければなりません。1回目でぎりぎり越えた人が、2回目も越えられるとは限りません。

この作り直しが2年に一度起きている会では、そのたびに何人か脱落します。脱落した人は紙に戻るしかなく、紙の対象者が増え、とりまとめる人の負担が元に戻ります。せっかくスマホに移したのに数年で紙に戻った、という会のほとんどは、覚えられなかったからではなく、この作り直しで少しずつ削られています。

登録の壁を低くするための決め方

つまずきの1つ目である登録を軽くすることが、全体でもっとも効きます。ここを越えられれば残りは運用でどうにかなりますが、ここを越えられない人には何も届きません。決め方は3つあります。

新しいIDとパスワードを増やさない

まず、招待リンクを開くだけで参加できる形かどうかを、道具選びの第一条件にしてください。名前を入力するだけ、あるいはリンクを開くだけで参加できるなら、覚えるものはゼロです。アカウント登録を必須とするサービスは、それだけで参加率が大きく下がります。とりまとめる立場としては、機能の豊富さより、この一点を優先する価値があります。

会員の側から見ると、パスワードを1つ増やすことは、忘れたときに誰かに聞かなければならない負債を1つ増やすことと同じです。会の連絡のためにそこまでの負債を負う理由は、本人にはありません。新しいIDとパスワードを覚えなくてよいという条件を満たすだけで、登録完了率は大きく変わります。

その場で一緒に登録する時間を作る

紙を配って各自にやってもらう方式は、高齢の会員が多い会では機能しにくい方法です。総会や定例の集まりの終わりに15分だけ時間をとり、その場で全員に登録してもらう形にすると、完了率がまったく違います。分からない人が隣の人に聞ける状態を作ることが目的で、教える側は1人か2人いれば足ります。

このとき、代わりに操作してあげるのではなく、本人の指で1回操作してもらうことが大事です。手を出して済ませると、次に困ったときにまた誰かを呼ぶことになります。時間はかかりますが、この15分が、あとで発生する電話対応の数十時間を減らします。急ぐ会ほど、この時間を惜しんで結局長く苦労します。

参加できない人を最初から数に入れておく

全員がスマホで受け取る形を目指すと、達成できない数人のためにいつまでも切り替えが完了しません。最初から「紙で受け取る人が何人いるか」を数え、その人数分だけ印刷する形にしてしまうほうが早く安定します。名簿全体で5人なら、5枚刷って手渡しすればよいだけです。100枚刷って全戸に配るのとは、負担がまったく違います。

この決め方には、もう1つ利点があります。紙が必要な人が名簿の中で明示されるので、役員が代わっても対応が引き継がれます。「あの家は紙ですよ」という口伝えに頼っていると、交代した瞬間に届かない家が生まれます。誰に紙を届けるかを記録として持つことが、実際の運用では効きます。

流れて消える連絡を、保存しておける形にする

登録の次に効くのが、情報の置き方です。ここは道具の選択と運用ルールの両方が関わります。

流すものと貼るものを分ける

連絡には2種類あります。「今から雨なので中止します」のように、その瞬間だけ意味を持つもの。「今年度の役員名簿」「毎月の掃除は第2日曜」のように、いつ見ても同じ意味を持つもの。前者は流れてよく、後者は流れてはいけません。ところが多くの会は、両方を同じグループのやりとりに投げています。

後者を固定された場所に保存できるかどうかは、道具によって差が出ます。掲示板のような常設の場所を持つものと、時系列のやりとりしかないものでは、高齢の会員にとっての使いやすさがまったく違います。同じ場所を開けば同じ情報があるという状態は、冷蔵庫に貼った紙と同じ役割を果たします。この一点だけで、問い合わせの電話は目に見えて減ります。

予定は文章ではなくカレンダーに入れる

「次回は10月12日の日曜、朝9時から公民館」という文章は、読んだ人が自分で予定表に書き写す必要があります。書き写す手間が発生する時点で、一定の割合の人が忘れます。予定として登録できる形になっていれば、書き写しは不要になり、当日に自動で知らせが来ます。

高齢の会員ほど、この差が大きく出ます。手帳に書き写す習慣がある人は問題ありませんが、その習慣がない人は、連絡を読んだ時点で満足して忘れます。予定と連絡が同じ場所にあり、連絡から予定へ自動的につながる形なら、書き写しという工程そのものが消えます。工程を減らすことは、覚えることを減らすことと同じ効果があります。

雑談と業務連絡の場所を分ける

雑談を禁止する必要はありません。むしろ会のつながりを保つには雑談があったほうがよく、禁止すると別の場所で勝手に始まります。分けるべきなのは、置く場所です。業務連絡だけが並ぶ場所があれば、そこを見れば必要なことは全部わかる、という状態を作れます。

分ける運用を始めるときは、最初の1か月だけとりまとめる人が誘導する必要があります。雑談が業務連絡の場所に入ってきたら、静かにもう一方へ移す。責める必要はまったくありません。1か月も続ければ、多くの会員が自然と使い分けるようになります。ここでも、注意して覚えさせるより、迷わない形を作るほうが確実です。

高齢の会員への説明で、実際に効く言い方

説明の仕方でも結果は変わります。ただし、丁寧さを増やす方向ではなく、減らす方向に効きます。

手順書は1枚、操作は3つまでに絞る

全機能を説明した冊子を配ると、ほぼ読まれません。読まれるのは、A4で1枚、操作が3つまでのものです。「開く」「読む」「参加すると答える」の3つに絞り、それ以外は書かない。写真の投稿や予定の追加は、必要になった人だけが後から覚えれば足ります。最初に全部教えようとすることが、いちばん人を遠ざけます。

文字の大きさも実務的な問題です。手順書を作るなら本文は14ポイント以上にし、画面の写真を大きく載せてください。小さい字で情報を詰め込んだ紙は、受け取った時点で読まれないことが確定します。1枚に収まらないなら、載せる内容が多すぎるという合図です。

「かんたんです」と言わない

説明の場でよく出るのが「かんたんですから大丈夫ですよ」という言い方です。これは善意から出た言葉ですが、受け取る側には逆に働くことがあります。かんたんだと言われたことができなかった場合、質問しにくくなるからです。結果として、分からないまま黙って離脱する人が増えます。

代わりに「最初は誰でも迷うので、迷ったら聞いてください」と伝えるほうが、質問が出やすくなります。質問が出れば対処できますが、黙って離脱されると気づけません。会の連絡で本当に困るのは、できない人がいることではなく、できていないことに誰も気づかないまま行事の当日を迎えることです。

聞ける相手を役員以外にも作る

質問の窓口が会長1人だと、その人に電話が集中し、続きません。班ごとに1人、少し慣れている人を「聞いてよい人」として決めておくと、負担が分散します。この役は若い世代でなくてもよく、むしろ同世代の人が担当したほうが質問のハードルは下がります。

ある町内会では、この役を担った人自身がいちばん詳しくなり、翌年から自然に情報担当になったという例もあります。教える側に回ると、人は急速に覚えます。高齢の会員を教わる側にだけ固定しないことが、長い目では会の力になります。

道具を選ぶときに見る軸と、既存サービスとの違い

すでに何かを使っている会が多いので、比較は現実的な形で進める必要があります。いま使っているものを否定するのではなく、どの条件が満たされていないかを確認する作業です。

見るべき軸は5つ

第1に、登録にアカウント作成が必要かどうか。第2に、決まったことを固定して保存しておける場所があるか。第3に、予定がカレンダーとして扱えるか。第4に、写真を同じ場所に保存できるか。第5に、管理者を人ではなく役職として引き継げるか。この5つを表にして、いま使っているものに丸をつけていくと、自分の会がどこで苦労しているかがはっきりします。

見る軸 満たされていないと起きること
登録がリンクだけで済むか 参加率が半分程度で止まる
固定して保存できる場所があるか 同じ問い合わせが毎回来る
予定がカレンダーになるか 書き写しの工程で忘れる人が出る
写真が同じ場所にあるか 開くアプリが増えて脱落する
管理者を引き継げるか 役員交代のたびに作り直しになる

いま使っているものごとの相性

もっとも多いのは連絡アプリのグループでの運用です。日常的に使われているぶん通知には強い一方、決まったことが流れて消える点と、管理者が個人に紐づく点で苦労が出ます。この差を具体的に整理したものがLINEグループとの比較で、既読の見え方や引き継ぎの扱いがどう違うかをまとめています。電話番号を交換せずに使える形を探している会には、LINEオープンチャットとの比較が、匿名性と管理のしやすさの兼ね合いを判断する材料になります。

掲示板と予定表を持つ形をすでに使っている会もあります。機能としては近いので、BANDとの比較では、どこが重なり、どこで運用の手間が変わるかを比べています。会員に個人アカウントを作ってもらう前提のサービスについては、Facebookグループとの比較に、高齢の会員が登録で止まりやすい理由を含めて整理しました。若い世代が主体の会で候補に挙がることの多いものについては、Discordとの比較で、通知の細かさと初見での分かりにくさの両面を見ています。

乗り換えを目的にしない

比較の結果、いまのままで足りているなら変える必要はありません。判断の基準は、とりまとめる人が同じ作業を毎年繰り返しているかどうかです。毎年同じ説明をし、毎年同じ問い合わせを受け、役員交代のたびに作り直しているなら、それは運用の努力では消えない種類の負担です。逆に、そうした繰り返しがないなら、道具を変える理由はありません。

会の種類ごとに、落としどころは違う

同じ「高齢の会員にスマホで連絡する」でも、会の性質によって現実的な着地点は変わります。

町内会や自治会の場合

年齢の幅がもっとも広く、80代以上の会員が一定数いる前提で組み立てる必要があります。全員をスマホに寄せることは目標にせず、紙が必要な人を明示して残す形が現実的です。回覧板を完全に廃止するのではなく、緊急性の高い連絡だけスマホに移し、回覧板は月に1回の定期便として残す、という二段構えを採る会もあります。この形なら、紙が届く安心感を保ったまま、急ぎの連絡だけ確実に届くようになります。班長の負担も、回す回数が減るぶん軽くなります。実際の運用の形は町内会での使われかたにまとめてあり、名簿と回覧をどう分けるかの考え方が参考になります。

PTAや学校関係の場合

保護者世代が中心なので、スマホの操作そのものが問題になることは多くありません。ただし祖父母が送り迎えや行事参加を担っている家庭では、連絡が保護者を経由して伝わらない問題が起きます。世帯単位で複数の人が同じ連絡を見られる形にできるかどうかが、この場合の分かれ目です。役員の任期が1年と短いため、引き継ぎの軽さも同じくらい重要になります。PTAでの使われかたと学校での使われかたには、学年ごとの連絡と全体連絡をどう分けるか、写真の扱いをどう決めるかを整理しています。

サークルや教室の場合

参加者の年齢層が高い会も多く、しかも入退会が随時発生します。新しく入った人にその都度説明する手間が積み上がるので、説明なしで参加できる形かどうかが効いてきます。とりまとめる人が長く固定されがちなぶん、交代時の落差も大きくなります。サークルでの使われかたでは出欠と会費の扱いを、教室での使われかたでは欠席連絡と振替の記録の残し方を扱っており、どちらも担当が代わっても続く形を前提にしています。

切り替えるなら、時期と順番で失敗が減る

決めたあとの進め方にも、うまくいきやすい形があります。

年度の切り替わりに合わせる

役員が代わる時期に合わせて切り替えると、新旧の役員が両方いる期間を使えます。年度の途中で切り替えると、前任者への確認が必要になったときに連絡がつかないことがあります。年度末の総会で説明し、新年度の最初の行事から本運用に入る形が、もっとも摩擦が少なくなります。

並行期間を3か月とる

いきなり紙をやめると、届かない人が出たときに取り返しがつきません。3か月は両方で流し、その間に「スマホだけで足りている人」を確定させてください。この期間があると、届いていない人を発見できます。並行はとりまとめる人の負担が二重になるので、期間を先に決めて区切ることが大事です。期限を切らないと、いつまでも二重運用が続きます。

最初に流すのは、見たくなる連絡にする

切り替え直後に流す内容が事務連絡だけだと、開く習慣がつきません。最初の1か月は、行事の写真や、地域の話題など、見て楽しいものを混ぜてください。開く習慣がついてから事務連絡に比重を移すほうが、定着率は上がります。習慣ができる前に義務だけを流すと、開かない人が固定されます。

写真を流すときは、掲載してよい範囲を先に決めておく必要があります。とくに子どもが写った写真については、会の中だけで見られる状態かどうかで扱いが変わります。メンバー以外は見られない場所に保存する運用にしている会が多く、そのうえで顔がはっきり写ったものは事前に確認をとる、という二段階にしている例が目立ちます。法律上の解釈をその場で断定するより、会として決めた運用を文章にして残しておくほうが、後任にとっても判断しやすくなります。

うまくいかなかったときの戻し方も先に決めておく

切り替えの計画には、うまくいかなかった場合の扱いも入れておいてください。並行期間の終わりに、届いていない人が想定より多かったら、紙の対象者を増やして続けるのか、いったん全体を戻すのかを決めておきます。この判断基準を先に決めておかないと、うまくいっていない状態のまま何か月も引きずることになります。

判断の材料は、参加している人数ではなく、行事の直前に電話や個別の問い合わせが何件来たかで見るのが実務的です。参加登録だけ済ませて実際には開いていない人は、名簿の上では成功に見えます。問い合わせの件数は、実際に情報が届いているかどうかを直接映します。行事のたびに5件以上の同じ問い合わせが来るなら、届いていない人がまだ残っているという合図です。

途中から入る人のための入口を残す

会は入退会が随時発生します。切り替えのときに一斉に登録してもらった会でも、半年後に入った人はその場にいません。この人たちに毎回個別対応していると、負担がじわじわ戻ります。入会の案内書類に参加の手順を1枚入れておく、あるいは招待の方法を役員の誰でも実行できる形にしておくと、この負担が消えます。とりまとめる人が不在でも会員が追加できる状態にしておくことが、長く続ける条件になります。

相談の内容から見えてくる、判断の分かれ目

集まりの連絡をまとめる道具について寄せられる相談を眺めると、高齢の会員に関する悩みは、内容がかなり似通っています。多いのは「登録してもらえない」「同じことを何度も聞かれる」「役員が代わったら振り出しに戻った」の3つで、この3つで相談の大半を占めます。技術的に難しいことを聞かれることは、実はほとんどありません。

ここから読み取れることは明確です。悩みの中心は機能ではなく、続くかどうかにあります。とりまとめる人が知りたいのは、新しく何ができるかではなく、来年も自分が同じ苦労をしなくて済むかどうかです。だから道具を選ぶときも、機能の数を比べるより、上に挙げた5つの軸のうちいくつが満たされるかで見たほうが、実際の負担の差に近い判断ができます。

もう1つ、相談の内容から見えるのは、高齢の会員を「教育する」方向の対策がほとんど成果を出していないことです。説明会を増やした会と、登録の手順を減らした会を比べると、後者のほうが定着します。覚える量を増やす方向は、使う頻度が月に数回である以上、構造的に無理があります。減らす方向にしか答えがないと考えたほうが、対策の精度が上がります。

さらに、引き継ぎに関する相談は、年度末に集中せず、年間を通じてまんべんなく発生しています。これは、引き継ぎの問題が交代の瞬間ではなく、日常の運用の中に埋め込まれていることを意味します。日々の連絡がとりまとめる人の個人アカウントに溜まっている会は、交代のずっと前から、すでに引き継げない状態になっています。運用の途中で気づいた会が、その時点で相談してくるわけです。

判断に迷う点や、切り替えの前に確認しておきたい細かい条件はよくある質問に整理してあるので、会の状況と照らし合わせて確認してみてください。高齢の会員が多い会ほど、最初の決め方で結果が決まります。決めるべきことは多くありません。登録で新しいものを覚えさせないこと、決まったことを固定して置くこと、そして管理を人ではなく役職に紐づけること。この3つが揃っていれば、あとは時間が解決します。揃っていなければ、どれだけ丁寧に教えても、毎年同じ場所に戻ってきます。

Q1. 高齢の会員にスマホで連絡するとき、最初に決めるべきことは何ですか?

新しいIDとパスワードを増やさない形を選ぶことです。登録でつまずく人がいちばん多く、しかも本人からは「難しかった」としか伝わらないので原因が見えません。招待リンクを開くだけで参加できる形なら、この壁がなくなります。あわせて、紙でしか受け取れない人が何人いるかを先に数え、その人数分だけ印刷する運用にしておくと、切り替えが止まりません。

Q2. 説明会を開いても、次の月には忘れられてしまいます。どうすればよいですか?

会の連絡は月に2回か3回しかないため、間隔が空いて操作が抜けるのは自然なことです。教え直すより、覚える量そのものを減らしてください。手順書はA4で1枚、操作は「開く」「読む」「参加すると答える」の3つまでに絞ります。写真の投稿や予定の追加は必要になった人が後から覚えれば足ります。文字は14ポイント以上にしてください。

Q3. 紙の回覧板はやめたほうがよいですか?

一度にやめる必要はありません。緊急性の高い連絡だけスマホに移し、回覧板は月1回の定期便として残す二段構えを採る会が多くあります。並行して流す期間は3か月と決めて区切ってください。期限を決めないと二重運用が続き、とりまとめる人の負担が倍のままになります。この期間に、スマホだけで足りている人を確定させます。

Q4. 役員が代わるたびにグループを作り直しています。防ぐ方法はありますか?

グループが前任者の個人アカウントに紐づいていることが原因です。管理を人ではなく役職に引き継げる形を選んでください。作り直しが起きるたびに全員が登録をやり直すことになり、そのたびに数人が脱落します。数年で紙に戻ってしまう会の多くは、覚えられなかったからではなく、この作り直しで少しずつ人が削られています。

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