line-limits

LINEグループの引き継ぎ方|役員交代で渡せるものと渡せないもの

2026年9月5日 ・ Tsudoo編集部

「lineグループ 引き継ぎ」で調べる人が知りたいのは、管理者の権限を移す操作の手順そのものではありません。役員が代わったあとに、連絡が止まらないか、過去のやり取りを見返せるか、そして自分が抜けたあとに前任者として呼び出され続けないか、この3つです。結論を先に書くと、LINEグループで次の代へ確実に渡せるのは「これから先の連絡の入れ物」だけで、過去のトーク履歴や個人の端末に貯まったものは、そのままの形では渡りません。この記事では、渡せるものと渡せないものを線引きしたうえで、引き継ぎが崩れる典型的な形と、交代前から準備しておく進め方を整理します。

役員交代のたびに連絡が途切れる会が多い理由

町内会・自治会・PTA・部活の保護者会・教室の連絡係。これらの役は、任期が1年から2年で回ることが多く、毎年決まった時期に引き継ぎが発生します。紙の回覧板や電話連絡網だった時代は、引き継ぐものが物理的に目に見えていました。名簿の紙束、連絡網の一覧表、行事のファイル。机の上に積んで渡せば、それで終わりでした。

連絡がメッセージアプリのグループに移ってから、この構図が変わりました。渡すべきものが目に見えなくなり、しかも一部は物理的に渡せない場所に置かれるようになったからです。前任者の携帯電話の中にしかない写真、前任者のアカウントでしか開けない設定、前任者しか経緯を知らない過去のやり取り。引き継ぎの場で「これは口で説明します」と言われるものが増えたのは、この変化のためです。

連絡がアプリに移ったこと自体は、悪い変化ではない

誤解のないように書くと、メッセージアプリのグループで連絡を回す運用が間違っているわけではありません。回覧板が一周するのに数日かかっていた連絡が、その日のうちに全員に届くようになりました。欠席の連絡も、写真の共有も、電話をかけ合っていた頃と比べれば圧倒的に速くなっています。多くの会にとって、これは確かな前進でした。

問題は、その速さと引き換えに、記録が個人の端末に紐づく形になったことです。総務省の情報通信白書などの調査でも、ソーシャルネットワーキングサービスを日常的に使う人の割合は幅広い年代に広がっていることが示されています。

個人のインターネット利用機器としてはスマートフォンの利用が最も多く、ソーシャルネットワーキングサービスの利用は年代を問わず広がっている。 出典: soumu.go.jp

つまり、道具として普及したことは前提として認めたうえで、引き継ぎだけが取り残されているのが現状です。使い始めるときには誰も引き継ぎの話をしませんし、実際、使い始めた本人が現役でいるうちは何も困りません。困るのは、その人が抜けるときです。

引き継ぎの相談が集中するのは、交代の直前

現場でよく聞くのは、引き継ぎの検討が始まるのが交代の2週間前から1か月前に集中しているという話です。総会や年度末で新しい役員が決まり、そこで初めて「グループはどうするのか」という話題が出ます。この時期に始めると、選択肢は事実上2つしかありません。前任者がグループに残るか、新しいグループを作り直すか。どちらも後で困る形です。

引き継ぎを楽にする最大の要素は、実は道具の機能ではなく、いつ考え始めるかです。交代の3か月前に一度でも棚卸しをしておけば、渡せないものを事前に別の場所へ写しておけます。この記事の後半で、その具体的な進め方を書きます。

「引き継ぎ」という言葉が指しているものは4つある

引き継ぎの話がかみ合わないのは、話している人ごとに指しているものが違うからです。まずこの4つを分けて考えると、自分の会で何が問題になるのかがはっきりします。

1つ目は、連絡の入れ物そのもの

会員が集まっているグループそのものです。誰が入っていて、誰が抜けているか。ここに新しい役員が入り、前の役員が抜ける。この操作自体は難しくありません。招待して、退会する。それだけです。

ただし、入れ物だけを渡しても、中身は渡りません。次の代の人は「連絡先の一覧は受け取ったが、中で何が話されてきたのかは分からない」という状態から始めることになります。会員名簿としての機能と、記録としての機能は別物です。

2つ目は、過去のやり取りの記録

去年の運動会で何時に集合したか、去年の総会で何が決まったか、去年のバザーで誰が何を担当したか。こうした情報は、たいてい過去のトークの中に埋もれています。前任者にとっては「探せば出てくるもの」ですが、後任者にとっては存在しないのと同じです。

会の運営で本当に価値があるのは、実はこの2つ目です。役員が代わっても会が回るのは、過去の判断が参照できるからです。ここが切れると、毎年ゼロから同じ議論をやり直すことになります。

3つ目は、写真や書類などの資料

行事の写真、名簿の表計算ファイル、会計の資料、案内文のひな型。これらは連絡アプリの中に置かれていることもあれば、前任者の端末やクラウドサービスに置かれていることもあります。所在がばらけているほど、引き継ぎで漏れます。

写真については特に注意が必要です。行事の写真を保存したまま前任者が抜けると、後から「あの写真をもう一度もらえないか」という依頼が来ます。前任者が端末を機種変更していたり、保存期間が過ぎていたりすると、その時点で消えます。

4つ目は、外部との窓口や設定

学校や行政への連絡、業者とのやり取り、会が契約しているサービスのアカウント。これらが個人の携帯電話番号や個人のメールアドレスに紐づいていると、引き継ぎのときにいちばん厄介です。前任者の電話番号を知っている外部の人が、退任後も連絡してくるという話は、どの会でもよく聞きます。

この4つのうち、LINEグループの操作だけで解決するのは1つ目だけです。残りの3つは、道具の機能とは別に、会としてどう持つかを決めておく必要があります。

LINEグループで引き継げるもの、引き継げないもの

ここから具体的に、何が渡って何が渡らないのかを整理します。なお、各サービスの仕様は更新されることがあるため、実際に操作する前には必ず公式のヘルプや案内で最新の内容を確認してください。ここでは、多くの会が実際に直面している一般的な状況として書きます。

渡せるもの:グループの席と、これから先の連絡

新しい役員をグループに招待し、前の役員が退会する。この操作でグループ自体は次の代に引き継がれます。多くのメッセージアプリのグループでは、管理者という概念が明確に分かれていない、あるいは分かれていても権限の幅が限られているため、「管理者を移す」というより「参加者が入れ替わる」に近い形になります。

これから先の連絡は問題なく回ります。新しい役員が投稿すれば全員に届きますし、会員側から見れば連絡先が変わらないので、周知の手間もありません。引き継ぎの中でここだけは、数分で終わる作業です。

渡せないもの1:参加前のトーク履歴

多くのメッセージアプリでは、グループに後から参加した人は、参加する前に投稿されたメッセージを見ることができません。つまり、新しく入った役員には、去年の連絡が一切見えない状態から始まります。前任者の画面には全部残っているのに、後任者の画面には何もない。この非対称が、引き継ぎでいちばん見落とされる点です。

対処として現場でよく行われているのは、必要な情報を人の手で拾い出して、別の形に書き写しておくことです。年間の行事予定、各行事の集合時間と持ち物、業者の連絡先、去年つまずいた点。これらを引き継ぎ書として文書にまとめておけば、履歴が見えなくても運営は回ります。逆に言えば、この書き写しを誰もやらない会では、毎年情報が失われ続けます。

渡せないもの2:写真とアルバム

グループ内に保存された写真は、保存期間や表示の条件がサービスごとに決まっています。トークに直接投稿した写真は一定期間で閲覧できなくなることが多く、現場では投稿から数週間ほどで開けなくなるという話をよく聞きます。アルバム機能に入れた写真は、より長く残る扱いになっているのが一般的ですが、これも枚数や個数の上限があり、無制限ではありません。

行事の写真を会の記録として残したいなら、連絡アプリの中だけに置くのは避けたほうが安全です。撮った直後に、会として決めた保存場所へ移す運用にしておくと、引き継ぎのときに「写真はここにあります」の一言で済みます。会の資料が個人の端末ではなく会のものとして残る形にしておくことが、引き継ぎを軽くする最大の工夫です。

渡せないもの3:個人アカウントに紐づいたもの

前任者の個人アカウントで作られたもの、前任者の電話番号で認証されたもの、前任者の個人の端末に入っているもの。これらは技術的に渡せません。渡そうとしてアカウント情報を共有すると、今度は前任者の個人的なやり取りまで見える状態になってしまい、別の問題が起きます。

団体の運営で個人アカウントを使うことは、少人数の会では避けにくい現実です。ただ、少なくとも「これは個人のものだから引き継げない」という線引きを引き継ぎ書に書いておくだけで、後任者が無駄に探し回らずに済みます。

渡せないもの4:会員が誰なのかという情報

グループの参加者一覧には表示名が並びますが、その表示名が本名とは限りません。ニックネーム、家族の名前、絵文字だけの表示名。前任者は顔と表示名が一致しているので困りませんが、後任者にはただの文字列です。「この人はどの家の人か」が分からないと、欠席連絡が来ても誰のことか判断できません。

このため、参加者一覧を名簿の代わりに使うのは危険です。会としての名簿は別に持ち、表示名と実名の対応表を引き継ぎ書に添えておく必要があります。連絡の入れ物と名簿を分けて考えることは、道具を変えても変わらない原則です。

引き継ぎが崩れる5つの型

相談の場でしばしば出るのが、次の5つの形です。どれか1つでも心当たりがあるなら、交代の前に手を打っておいたほうが後が楽になります。

型1:前の役員がグループに残り続ける

いちばん多い形です。「何かあったときのために」「操作が分からないと困るから」という理由で、前任者がグループに残ります。悪意はまったくないのですが、これが数年続くと、グループの中に元役員が何人も滞留します。

問題は2つあります。1つは、会員から見て誰が今の担当なのか分からなくなること。前任者が親切心で回答してしまい、現役の役員が把握していない約束が生まれます。もう1つは、退会するきっかけを永久に失うことです。3年前の役員がまだ会員名簿に載っていて、本人も抜けたいと思っているのに言い出せない、という状況は珍しくありません。

対処は単純で、退会する日をあらかじめ決めておくことです。引き継ぎ完了から1か月後に前任者は退会する、と会として決めておけば、誰も気まずい思いをしません。

型2:とりあえず新しいグループを作る

引き継ぎが面倒になると、新しいグループを作って作り直すという判断がよく出ます。これは一見きれいな解決ですが、実際には名簿が割れます。全員が新しいグループに移りきることはまずなく、必ず数人が旧グループに残ります。

そして、旧グループに残った人にも連絡が届くように、しばらく両方へ同じ内容を流すことになります。この二重運用が半年続き、いつのまにか誰も旧グループを見なくなり、そこに残っていた人への連絡が抜ける。よく聞く失敗の形です。作り直すなら、いつ旧グループを閉じるかを最初に決めて、その日を全員に伝えてから始める必要があります。

型3:資料が一人の端末にしかない

案内文のひな型、名簿の表計算ファイル、会計の記録、行事の写真。これらが前任者の端末にしか存在しない状態です。引き継ぎの場でファイルを送ってもらって解決したように見えますが、送られたファイルが最新版かどうかは誰も確認できません。

さらに厄介なのは、次の代でも同じことが起きることです。受け取った後任者が自分の端末で編集し、また次の代に送る。この連鎖が続くと、数年後には「どれが正しいのか誰も分からない複数のファイル」が生まれます。資料は会の場所に置く、という原則を一度決めておくだけで、この連鎖は止まります。

型4:外部の窓口が個人の連絡先になっている

学校、行政、業者、地域の他団体。外部との窓口が前任者の個人の携帯電話番号になっていると、退任後もそこに電話がかかってきます。相手からすれば「去年の担当の方」に連絡しているだけで、悪気はありません。

この形が続くと、前任者が実質的に引退できなくなります。外部への連絡先は、可能な範囲で会としての窓口にまとめておくことが望ましいです。難しい場合でも、交代のタイミングで主要な取引先に一斉に「担当が代わりました」と伝えるだけで、かかってくる電話はかなり減ります。

型5:ルールが暗黙のまま渡される

投稿は何時までにする、既読だけで返事はしなくてよい、写真は個人が特定できる形では出さない、といった運用上のルールが、文章になっていない形です。前任者の頭の中にしかないため、後任者が知らずに破り、会員から指摘されて初めて存在を知る、ということが起きます。

とくに子どもの写真の扱いは、会ごとに慎重さの度合いが違います。顔が写ったものは載せない会もあれば、後ろ姿だけにする会もあります。法律上の当てはめをこの記事で断定することはしませんが、多くの会がそれぞれの基準を持っており、その基準は引き継ぎ書に明文化しておくべきものです。判断に迷う場合は、個人情報保護委員会の案内や、学校を通じた集まりであれば学校側の方針を確認してください。

引き継ぎで困らないための決め方

ここからは、実際にどう進めるかです。順番に決めていけば、次の代からは同じ悩みを繰り返さずに済みます。

引き継ぐものを4つに仕分ける

最初にやるのは、渡すものを紙に書き出して仕分けることです。先ほどの4分類、つまり「連絡の入れ物」「過去の記録」「資料」「外部の窓口」に沿って並べます。書き出してみると、たいていの会で10項目から20項目ほどになります。

この作業には1時間もかかりません。しかし、書き出さずに口頭で引き継ぐと、必ず半分は抜けます。抜けたことに気づくのは、その情報が必要になった半年後です。

名簿は連絡の道具の外に持つ

連絡アプリの参加者一覧を名簿として使わない、という原則を立てます。会としての名簿を別に作り、そこには氏名、連絡先、続柄や学年、アプリ上の表示名を対応させて書いておきます。この名簿があれば、道具を変えるときにも、役員が代わるときにも、そのまま持ち出せます。

名簿は個人情報のかたまりなので、扱いには注意が要ります。誰が見られるか、どこに保管するか、退会した人の情報をいつ消すかを決めておきます。この点は道具の機能というより会の決めごとの話ですが、決めておかないと引き継ぎのたびに名簿の複製が増えていきます。

役職で受け渡し、人で受け渡さない

「田中さんから佐藤さんへ」ではなく、「広報担当から広報担当へ」という形で引き継ぐ設計にします。具体的には、外部への連絡先、資料の保管場所、連絡アプリ上の役割表示を、すべて役職名に紐づけておきます。

この考え方が効くのは、想定外の交代が起きたときです。急な引っ越しや体調不良で役員が抜けることは、どの会でも起こります。人に紐づいた運営をしていると、この瞬間に情報が丸ごと消えます。役職に紐づけておけば、誰かが席に座れば続きます。

引き継ぎ書に最低限書く7項目

引き継ぎ書は長い必要はありません。次の7項目が書いてあれば、後任者はほぼ困りません。

1つ目は年間の行事予定と、それぞれの準備を始める時期。2つ目は各行事の集合場所、時間、持ち物、去年つまずいた点。3つ目は外部の連絡先の一覧と、担当者の名前。4つ目は会員名簿の保管場所と、アクセスできる人。5つ目は写真や資料の保管場所。6つ目は連絡の運用ルール、つまり投稿の時間帯、返事の要否、写真の扱い。7つ目は前任者がいつ抜けるかの日付です。

この7項目を、次の代の人が読んで分かる言葉で書きます。専門用語や会の内輪の略語は避けます。書くのに2時間ほどかかりますが、この2時間が、次の代の何十時間かを節約します。

会の種類ごとに気をつける点

同じ引き継ぎでも、会の性格によって難所が変わります。自分の会に近いところを読んでください。

町内会・自治会の場合

年齢層が幅広いことが最大の特徴です。スマートフォンを持っていない世帯、持っていても操作に不安がある世帯が一定数あり、連絡手段を1つに統一しきれません。紙の回覧板と併用している会がほとんどです。

引き継ぎの観点では、「アプリに入っている人」と「紙で受け取っている人」の二重の名簿が生まれやすいことに注意が必要です。この2つが別々の人に管理されていると、片方だけ引き継がれて片方が消えます。地域の集まりで実際にどう連絡を回しているかは、町内会での使われかたにまとめた例が参考になります。回覧板とアプリを併用しながら記録を1か所に集める形を扱っています。

また、町内会では役員の任期が短く、輪番制で回ってくることが多いため、「引き継ぎ書があるかどうか」が会の負担を直接左右します。輪番で当たった人が前年の資料を見て動けるなら、役員を引き受ける心理的な負担も下がります。

PTA・保護者会の場合

毎年ほぼ全員が入れ替わるのが特徴です。1年で総入れ替えになる会も珍しくなく、引き継ぎの密度がそのまま翌年の運営品質になります。加えて、学校という組織との窓口があるため、外部との連絡が個人に紐づくと後が大変です。

子どもに関する情報を扱う点も、他の会と違います。写真、氏名、学年、緊急連絡先。どこまでを誰が見られる状態にするかは、学校の方針と保護者の意向の両方を踏まえて決める必要があります。学校を通じた集まりでの連絡の回し方は、PTAでの使われかた学校での使われかたにそれぞれ整理しています。前者は保護者どうしの連絡、後者は学校から家庭への一斉連絡を想定した内容です。

部活・サークルの場合

学生の集まりでは、卒業と入学で毎年メンバーが入れ替わります。役員だけでなく会員そのものが循環するため、過去の記録が特に失われやすい構造です。合宿の宿の連絡先、大会の申し込み方法、備品の保管場所。こうした情報が、いつのまにか誰も知らない状態になります。

サークル運営での連絡の集約は、サークルでの使われかたで扱っています。新歓から日常の出欠確認までを1か所にまとめる形を紹介しています。学生の集まりでは、卒業した先輩がグループに残り続ける問題も起きやすいため、卒業時に抜ける時期をあらかじめ決めておくと運営が締まります。

教室・スクールの場合

先生が個人で運営している教室では、そもそも引き継ぎという概念が薄いことがあります。ただし、講師が増えたとき、代講を頼むとき、教室を移転するときには、同じ問題が起きます。生徒の連絡先が先生の個人アカウントの中にしかないと、代講の先生に連絡を回せません。

教室での連絡のまとめ方は、教室での使われかたに例があります。振替の連絡や欠席の受付を1か所に集める形です。教室の場合は生徒と保護者という2つの宛先があるため、誰に何を送るかの整理が引き継ぎの中心になります。

次の連絡手段を選ぶときに見る5つの点

引き継ぎのたびに同じ苦労を繰り返すのが嫌になって、連絡手段そのものを見直す会もあります。その場合、機能の多さで選ぶと失敗します。見るべきは次の5点です。

点1:役職で引き継げるか

アカウントが個人に紐づくのか、役割に紐づくのかは決定的な違いです。個人アカウントに紐づく道具は、その人が抜けた瞬間に持っているものが消えます。役割で引き継げる道具なら、席を渡すだけで済みます。

日常の連絡に使われている道具との違いを整理したものとして、LINEグループとの比較があります。日々の連絡には十分でも、記録の引き継ぎでは別の考え方が要るという点を扱っています。

点2:過去の記録が後から入った人にも見えるか

新しい役員が過去の経緯を追えるかどうかは、引き継ぎ書の分量を直接左右します。参加前の記録が見えない道具では、人の手で書き写す作業が毎年必要になります。逆に、後から入っても過去が読める道具なら、引き継ぎ書は運用ルールだけで済みます。

不特定多数が参加する形の連絡手段については、LINEオープンチャットとの比較で整理しています。参加のしやすさと、会員以外に見えるかどうかのバランスが論点になります。会員限定の集まりでは、メンバー以外は見られない状態を保てるかどうかが判断材料になります。

点3:新しいIDとパスワードを増やさずに済むか

年配の会員がいる会では、これが最初の関門になります。新しいアカウントを作る、パスワードを覚える、という段階で脱落する人が出ると、その人への連絡だけ電話に戻ることになり、結局二重運用になります。

招待リンクを開けば参加できる形、あるいは既に使っているアカウントで入れる形かどうかを確認してください。参加のハードルは、機能の充実より優先度が高い項目です。

点4:写真と予定と連絡が1か所にまとまるか

引き継ぎが重くなる最大の原因は、置き場所が分散していることです。連絡はメッセージアプリ、予定は共有カレンダー、写真はクラウドストレージ、名簿は表計算ファイル。これだと引き継ぎ書に書く保管場所が4つになり、どれか1つは必ず抜けます。

団体向けの連絡の道具を比べる観点では、BANDとの比較Facebookグループとの比較が参考になります。どちらも掲示板と予定表を持つ形で、日常のチャットとは違う考え方で作られています。趣味の集まりやゲームのコミュニティで使われる形についてはDiscordとの比較にまとめており、話題ごとに部屋を分ける設計の向き不向きを扱っています。

点5:やめるときに持ち出せるか

意外に見落とされるのが、その道具をやめるときの話です。会員名簿、過去の記録、写真を外に持ち出せるかどうかを、入る前に確認しておきます。持ち出せない道具に会の記録を全部預けると、次に何かを変えたくなったときに動けなくなります。

道具選びで迷ったときによく出る疑問は、よくある質問にまとめてあります。費用のこと、参加の方法、既存の連絡手段との併用について整理しています。

交代の3か月前から始める引き継ぎの進め方

最後に、時間軸で整理します。この順番で進めると、交代の直前に慌てずに済みます。

交代の3か月前にやること

引き継ぐものの棚卸しをします。4分類に沿って書き出し、それぞれの現在の保管場所を書き添えます。この段階では移動させる必要はなく、どこに何があるかを把握するだけで十分です。

同時に、次の役員が決まっているなら、この時点で一度顔合わせをしておきます。何を引き継ぐことになるかを事前に知っていると、後任者は心の準備ができます。逆に、交代の直前に大量の情報を渡されると、受け取る側は消化しきれません。

交代の2か月前にやること

個人の端末にしかないものを、会の場所へ移します。写真、資料、名簿。ここがいちばん時間のかかる作業なので、余裕を持って始めます。写真は枚数が多いと移動に時間がかかるうえ、選別の判断も要ります。すべてを残す必要はなく、会の記録として意味のあるものだけを移せば十分です。

外部の連絡先の一覧も、この時期に作ります。過去のメールや通話履歴を見返して、誰とやり取りしたかを洗い出します。

交代の1か月前にやること

引き継ぎ書を書きます。先ほどの7項目を、後任者が読んで分かる言葉で。ここで初めて、渡せないものが何かがはっきりします。過去のトークの中にしかない情報は、この段階で文章に写します。

同時に、運用ルールを明文化します。投稿の時間帯、返事の要否、写真の扱い。前任者が当然と思っていることほど、書き漏らしやすい部分です。

交代の当日から1か月後まで

新しい役員をグループに入れ、引き継ぎ書を渡します。前任者はすぐには抜けず、1か月ほど並走します。この期間に、後任者が実際に運用してみて分からなかったことを聞ける状態にしておきます。

そして、決めた日に前任者が退会します。この退会を実行することが、引き継ぎの最後の仕事です。ここを曖昧にすると、型1で書いた滞留が始まります。退会の日を会員にも伝えておくと、会員の側も誰に連絡すればよいかを認識できます。

引き継ぎの実像を、道具の使われかたから読み直す

ここまで整理してきた内容を、集まりごとの使われかたという角度から見直しておきます。町内会、PTA、サークル、教室、学校という5つの場面を並べると、引き継ぎで問われているものが共通していることが分かります。

町内会での使われかたPTAでの使われかたを並べて見ると、どちらも「毎年人が代わる」という点で同じ構造を持っています。違うのは代わる範囲で、町内会は役員だけ、PTAはほぼ全員です。入れ替わりの幅が大きいほど、記録を人から切り離しておく必要が高まります。

サークルでの使われかた教室での使われかたは、対照的です。サークルは会員が循環し、教室は先生が固定で生徒が入れ替わります。前者では過去の記録の継承が課題になり、後者では個々の生徒とのやり取りの整理が課題になります。同じ「引き継ぎ」でも、守りたいものが違います。

学校での使われかたは、この中で最も一斉連絡の性格が強い場面です。届いたかどうかを把握することが優先され、双方向のやり取りは限定されます。この場合、引き継ぐべきものは会話の記録ではなく、配信先の名簿と配信の型そのものになります。

5つの場面に共通しているのは、引き継ぎで本当に問題になるのが「連絡が届くかどうか」ではなく「これまでの経緯を次の人が読めるかどうか」だという点です。連絡そのものは、どの道具を使っても届きます。届かなくなるのは、判断の根拠のほうです。

そしてもう1つ共通しているのは、道具を1つにまとめている会ほど引き継ぎが軽いということです。連絡、予定、写真、名簿が別々の場所にある会では、引き継ぎ書に書く保管場所が増え、その分だけ抜け落ちます。1か所にまとまっていれば、引き継ぎ書に書くのは「ここにあります」の一行と、運用のルールだけで済みます。

比較の観点から言えば、LINEグループとの比較で扱っているように、日常の速い連絡と、年をまたぐ記録の保管は、求められる性質が違います。速さを取るなら手元のメッセージアプリが強く、継承を取るなら記録が個人から切り離された道具が向きます。どちらか一方だけが正しいわけではなく、多くの会は当面この2つを併用することになります。その場合でも、記録として残すものはどちらに置くかを決めておけば、引き継ぎの負担は大きく変わります。

最後に、引き継ぎを設計するときの判断基準を1つに絞るなら、これになります。役員が代わるときに引き継ぐものが1つで済むかどうか。ここが決まっていれば、道具が何であれ、会は続きます。

Q1. LINEグループの管理者を次の役員に変更すれば引き継ぎは完了しますか?

完了しません。グループの席は移せますが、参加前のトーク履歴は新しく入った人には見えないことが一般的です。過去の経緯、行事の段取り、外部の連絡先は別途文書にまとめて渡す必要があります。仕様は変わることがあるため、操作前に公式のヘルプで最新の内容を確認してください。

Q2. 前の役員はいつグループを抜けるのが適切ですか?

引き継ぎ完了から1か月後を目安に、あらかじめ日付を決めておくのが現実的です。並走期間を置くと後任者が困ったときに聞けますが、期限を決めずに残ると元役員が何人も滞留し、誰が担当か分からなくなります。退会予定日を会員にも伝えておくと混乱が減ります。

Q3. グループを作り直すのと、既存のグループを引き継ぐのはどちらがよいですか?

既存のグループを引き継ぐほうが安全です。作り直すと必ず数人が移りきらず、名簿が二重になって連絡が抜けます。どうしても作り直す場合は、旧グループを閉じる日を最初に決め、全員に伝えてから移行してください。

Q4. 行事の写真はどこに保存しておけば引き継げますか?

連絡アプリの中だけに置くのは避けてください。トークに投稿した写真は一定期間で開けなくなることが多く、アルバム機能にも枚数の上限があります。撮影後すぐに会として決めた保存場所へ移し、その場所を引き継ぎ書に明記しておくと、次の代がそのまま使えます。

読みもの一覧へ