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OB会の連絡手段の決め方|幹事が代わっても続く形にする手順

2026年9月5日 ・ Tsudoo編集部

OB会の連絡について調べる人の多くは、まだ「どのアプリがいいか」の段階にいません。総会の案内を出したのに返事が半分も返ってこない、名簿が誰の手元にあるのか分からない、去年の幹事が使っていたグループに自分が入っていない。そうした行き詰まりを一度に片づけたくて検索にたどり着きます。

先に結論を書きます。OB会の連絡がうまく回らない原因は、幹事の熱意でも会員の無関心でもなく、連絡・名簿・出欠・会費・写真という性質の違う情報が、それぞれ別の場所に散らばっていることにあります。手段を選ぶ前に「何を1か所に集めるか」と「誰がそれを引き継ぐか」を決めておかないと、どんなに評判のいいアプリに乗り換えても、2年後には同じ場所に戻ります。

この記事では、OB会という集まりに固有の事情、つまり年に1回か2回しか動かない、会員の年齢幅が40年以上ある、幹事が持ち回りで毎年入れ替わる、という3つの条件を踏まえて、連絡手段の決め方を順に整理します。読み終えたときに、次に自分が何を決めればよいかが一覧で残る形にしました。

OB会の連絡が続かなくなる理由は、幹事の熱意ではなく仕組みにある

OB会の運営で相談として多く挙がるのは、「案内を出しても反応がない」「毎年ゼロから作り直している」という2つです。どちらも個人の頑張りで解決しようとすると必ず消耗します。構造の問題だからです。

名簿が卒業年次ごとにばらばらに存在している

OB会の名簿は、多くの場合ひとつではありません。事務局が持つ全体名簿、各期の幹事が個人的に管理している期別の連絡先、部活動なら監督やコーチが持つ現役とOBの混在名簿、地域支部があればその支部名簿。これらが別々の表計算ファイルやメールの下書き、個人のスマートフォンの連絡先として存在しています。

この状態で起きるのは、住所変更や結婚による改姓が一部にしか反映されないことです。総会の案内を出すたびに宛先不明が積み上がり、翌年もその宛先不明のまま送り続けることになります。運営の現場では、名簿の更新作業そのものより、どのファイルが最新なのかを突き合わせる時間のほうが長くなっているという話をよく聞きます。

さらに厄介なのは、名簿を統合しようとした瞬間に「個人情報を集約してよいのか」という論点が立ち上がることです。ここで議論が止まって、結局ばらばらのまま次の年を迎える会が少なくありません。名簿の一元化は、置き場所を決めるだけでなく、誰が見られて誰が見られないのかを同時に決めないと前に進みません。

連絡手段が幹事の私物になっている

OB会でよくある形は、その年の幹事が自分のスマートフォンでグループを作り、自分のメールアドレスで一斉送信し、自分のクラウドストレージに写真を置く、というものです。動いている間は速くて便利です。問題は交代のときに起きます。

グループの管理権限、送信に使ったメールアドレスの送信履歴、写真の共有リンク、これらが個人のアカウントに紐づいているため、まとめて渡すことができません。実際には「新しい幹事が新しいグループを作り直し、そこに入れる人だけを集める」という形で引き継がれます。この作り直しのたびに、連絡先が確実に何人分か落ちます。年に1回の集まりであれば、落ちた人は落ちたことに気づかないまま数年が過ぎます。

引き継ぐものが多いほど、引き継ぎは失敗します。逆に言えば、引き継ぐものが1つで済む形にできれば、幹事が毎年代わっても会は続きます。連絡手段を選ぶときの最優先の基準はここに置くべきです。

「返事をしない人」が悪いわけではない

出欠の返事が集まらないとき、会員側の熱意の問題として語られがちですが、実務的にはほとんどが導線の問題です。案内を読んだ場所と、返事をする場所が違うと、返事は落ちます。

メールで案内を受け取り、添付された往復はがきの画像を見て、別のフォームのURLを開いて、そこで氏名と卒業年次を入力し直す。この工程が3つ以上に分かれると、返事をしようと思った人でも後回しにします。後回しにしたものは戻ってきません。案内が届いてから返事をするまでの操作を2ステップ以内に収めるだけで、返信率は目に見えて変わります。

年配の会員が多い会では、ここに「新しいIDとパスワードを作る」という工程が挟まると一段と落ちます。新規登録が必要な仕組みを選ぶかどうかは、単なる使い勝手の話ではなく、何人の会員を失うかという話です。

連絡手段を選ぶ前に決めておく5つのこと

どのアプリを使うかは最後に決めます。先に決めるのは次の5つです。この5つが決まっていない状態で道具だけ変えると、道具の設定項目を前に議論が止まります。

誰が名簿を持つのかを先に決める

名簿の持ち主は、その年の幹事ではなく、会として決めた役職に置きます。会長でも事務局でも構いませんが、個人名ではなく役職に紐づけるのが要点です。そのうえで、名簿を見られる人の範囲を3段階くらいに分けて明文化しておきます。

  • 全員が見られる情報: 氏名、卒業年次
  • 役員だけが見られる情報: メールアドレス、電話番号
  • 事務局だけが見られる情報: 住所、会費の納入状況

この線引きを先に決めておくと、連絡手段の候補を絞り込む条件が自動的に定まります。たとえば全員が全員の電話番号を見られてしまう仕組みは、この時点で候補から外れます。

名簿の保管場所についても、個人のパソコンのデスクトップに置かない、という一文を会則か内規に入れておくだけで、退任時の混乱がかなり減ります。

連絡の頻度と種類を分ける

OB会の連絡は、性質の異なるものが混ざっています。年に1回の総会案内、会費の督促、訃報や慶事の共有、支部や期ごとの飲み会の声かけ、現役への支援の依頼。これらを同じ場所に同じ扱いで流すと、受け取る側は全部を「あとで読むもの」に分類します。

分け方の目安は、返事が必要かどうかです。返事が必要な連絡は年に3回程度に絞り、それ以外は読むだけで完結する形にします。返事が必要な連絡が多すぎる会ほど、いざ必要なときの返信率が下がります。

訃報のように急ぎかつ重い連絡をどこに流すかは、事前に決めておくべき項目です。日常の雑談と同じ場所に流すのが適切かどうかは会によって判断が分かれます。決めていない会では、そのたびに幹事が悩み、結果として電話連絡網に戻ります。

出欠の締切と催促の回数を決める

出欠の集計は、締切と催促の回数を先に決めておけば、幹事の判断が不要になります。目安としては、締切を開催の3週間前に置き、催促は締切の1週間前と締切当日の2回まで、と決めておく形です。

催促の回数に上限を置くのは、幹事を守るためです。上限がないと「もう一度送るべきか」を毎回考えることになり、その負担で幹事の引き受け手がいなくなります。会場の人数確定が締切より後になる場合は、締切後の追加受付をどう扱うかも同時に決めておきます。

未回答の人だけに催促を送れるかどうかは、連絡手段によって差が出るところです。全員に同じ督促が届く仕組みでは、すでに回答した人の心証を損ないます。この点は道具選びの実質的な判断材料になります。

会費のやり取りをどこに置くか

OB会の会費は、年会費制、都度徴収、終身会費の一括納入など形がさまざまです。どの形であっても、納入状況の記録と連絡が別の場所にあると、督促のたびに突き合わせが発生します。

現金の手渡しを当日受付で行う会は依然として多く、これ自体は悪い方法ではありません。ただし当日受付にすると、参加人数の確定が直前まで揺れます。会場の最終人数の締切が1週間前である場合、会費の事前振込と当日払いのどちらを標準にするかで、幹事の負担がまったく変わります。

振込にする場合は、口座を会の名義で開設できているかを確認します。個人名義の口座で会費を集める形が続いている会は、その口座の名義人が退任するタイミングで必ず問題になります。連絡手段の見直しは、この種の積み残しを点検する良い機会です。

写真と個人情報の扱いを文章にしておく

総会や懇親会の集合写真をどこに置き、誰が見られるようにするか。これは決めていない会が多い項目ですが、決めていないことによる事故が最も起きやすい場所でもあります。

写真共有サービスのURLを知っている人なら誰でも見られる状態で共有すると、そのURLは転送されて会の外に出ます。実務上は、参加しているメンバー以外には見えない場所に置くのが基本で、そのうえで「掲載してほしくない人は事務局に申し出る」という窓口を案内に1行入れておく運用にしている会が多く見られます。

個人情報の取り扱いについては、法令の考え方を押さえておくと判断がぶれません。

個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。 出典: 個人情報保護委員会

OB会そのものがこの規定の対象となるかは会の実態によって判断が分かれるため、断定はできません。ただし、名簿を会の外に渡すときは本人に断る、という原則で運用しておけば、判断に迷う場面はほとんどなくなります。この考え方で内規を作っている会は多く、実務上も無理がありません。

いま使われている連絡手段を、OB会の条件で並べ直す

一般的な比較記事は「使いやすさ」「無料かどうか」で並べますが、OB会の条件、つまり年に数回しか動かない、年齢幅が広い、幹事が毎年代わる、という3点で見ると評価は変わります。ここでは代表的な手段を、その3点に照らして整理します。

メールと往復はがき

もっとも古い手段ですが、OB会では今も現役です。強みは、相手に新しい操作を求めないことと、記録が残ることです。弱みは、宛先の更新が手作業であること、出欠の集計を人がやること、そして写真のような重いものを送れないことです。

往復はがきは返信率が高い手段として知られていますが、印刷と郵送の実費がかかります。200人規模の会で往復はがきを使うと、往復の郵便料金と印刷代で数万円の規模になります。年会費の使途としてこれが妥当かは会の判断ですが、費用対効果を一度計算してみる価値はあります。

現実的な落としどころは、メールとはがきを併用しつつ、返事だけは1か所に集める形です。はがきで案内を受け取った人が電話で事務局に返事をしても、その結果が電子的な出欠表に反映されるようにしておけば、集計は一本化できます。

LINEグループ

日本の集まりで最も広く使われている手段です。到達の速さと、追加の登録が不要な点で他を圧倒します。一方で、OB会の条件に照らすと3つの弱点があります。

1つ目は、時系列に全部が流れることです。総会の案内も、雑談も、訃報も同じ列に並び、上に流れていきます。年に数回しか開かない会では、必要な情報を探すのに毎回さかのぼる作業が発生します。

2つ目は、参加者全員の表示名しか分からないことです。卒業年次や旧姓が分からないため、100人を超えるグループでは誰が誰か分からなくなります。3つ目は、管理権限の引き継ぎです。作成者が退会したときの扱いは、幹事が毎年代わる会では現実的な問題になります。

グループとして使い続けるか、別の手段に移すかの判断材料は、LINEグループとの比較に、名簿・出欠・写真の3点でどう違うかを整理してあります。移行を検討する前に、いま何が足りていないのかを言葉にしておくと、会での説明が通りやすくなります。

LINEオープンチャット

電話番号を交換せずに参加できる点が、OB会と相性のよい特徴です。旧友同士とはいえ、卒業から数十年経った相手と個人の連絡先を交換することに抵抗がある人は一定数います。

一方で、参加用のリンクやコードが外部に流出すると、会と関係のない人が入ってくる可能性があります。管理者が承認制にすることで防げますが、承認作業そのものが幹事の仕事として積み上がります。また、参加者のプロフィールが会の名簿と紐づかないため、出欠の集計や会費の管理には別の仕組みが必要です。

匿名性と名簿管理はトレードオフの関係にあります。この点をどう考えるかは、LINEオープンチャットとの比較で、参加のしやすさと会員の特定のしやすさを分けて整理しています。会員の高齢化が進んでいる会ほど、後者を重く見る傾向があります。

BAND

もともと部活動やサークルの運営向けに作られた作りで、掲示板、予定表、出欠確認、アルバムが最初から分かれています。OB会の用途にはよく合う構成です。日程調整の投票機能があるため、幹事の集計作業が減ります。

導入の関門は、新しいアカウントを作る必要があることです。年配の会員が多い会では、この1点で参加率が下がります。移行を成功させている会は、総会の受付でその場で登録を手伝う、期別の幹事が数人ずつ声をかける、といった対面の補助を組み合わせています。

機能の並びと運営の手間がどう変わるかは、BANDとの比較にまとめてあります。掲示板型の運営に慣れている会と、そうでない会で評価が割れる手段です。

Facebookグループ

卒業生のつながりという用途では長く使われてきた手段です。実名で使っている人が多いため、卒業年次と本名が一致しやすく、旧友の検索がしやすいという利点があります。

課題は、利用者の年齢層が上下に偏っていることと、投稿がタイムラインのアルゴリズムに左右されるため、全員に確実に届くとは限らないことです。総会の案内のように「全員に届いていること」が前提の連絡には向きません。加えて、アカウントを持っていない会員をどう扱うかという問題が常に残ります。

告知の到達を確実にしたい連絡と、思い出の共有のような流れてよい連絡を分ける考え方は、Facebookグループとの比較で扱っています。両方を1つの場所でやろうとすると、どちらかが必ず犠牲になります。

Discord

若い期のOBが中心の会や、eスポーツ系・音楽系の部活動OB会では選択肢に入ります。話題ごとにチャンネルを分けられるため、期別、支部別、企画別の会話を並行して進められます。音声通話が標準で使えるのも、遠方の会員が多い会には利点です。

ただし、画面の情報量が多く、初めて触る人にとっては操作の学習が必要です。60代以上の会員が多数を占める会で全体連絡の基盤にするのは現実的ではありません。実行委員会など、動いている数人の作業場として使い、全体連絡は別に置く形が無理のない使い方です。

役割分担の考え方は、Discordとの比較に整理してあります。全体連絡と作業用の場を分けるという発想は、規模の大きいOB会では有効です。

幹事が代わっても続く形にする、引き継ぎの設計

連絡手段の議論で最後まで残るのは「誰が管理するか」です。ここを詰めておかないと、どの手段を選んでも2年後に同じ相談が発生します。

引き継ぐものを1つにする

引き継ぎ書に並ぶ項目が多いほど、引き継ぎは形骸化します。理想は、次の幹事に渡すものが「会のアカウントの管理権限」1つで済む状態です。名簿も、出欠の履歴も、写真も、過去の案内文も、その1つの中にあるようにします。

現実には、会計の帳簿や口座、会場との契約書など、外に出さざるを得ないものは残ります。それでも、日常の連絡に関わるものだけでも1か所にまとまっていれば、引き継ぎ会にかかる時間は大幅に短縮されます。引き継ぎに2時間かかっていたものが30分で終わるようになれば、幹事を引き受ける心理的な壁も下がります。

権限は2人以上で持つ

管理権限を1人だけが持つ状態は、その1人が連絡不能になった瞬間に会が止まります。転勤、入院、単なる機種変更でも起きます。管理者は必ず2人以上にし、うち1人は毎年代わらない役職に置くのが安全です。

会長と事務局長、あるいは事務局長と会計、といった組み合わせが一般的です。権限を持つ人が変わったときに何をするかも、手順として1枚にまとめておきます。この1枚があるかないかで、非常時の対応速度が変わります。

年次幹事と常設事務局を分ける

OB会の運営では、その年の総会を回す「年次幹事」と、名簿や会費を継続的に管理する「常設事務局」を分けている会が安定しています。年次幹事は当番制でよく、負担は総会前後の数か月に集中します。常設事務局は数年単位で務め、名簿の一貫性を守ります。

この分業ができていると、連絡手段の選定基準もはっきりします。年次幹事が使う機能は覚えやすさ優先、常設事務局が使う機能は記録の残りやすさ優先、という具合に評価軸を分けられるからです。1人が全部を担っている会では、この2つの要求が衝突して結論が出ません。

年配の会員がいるOB会で、脱落者を出さない進め方

移行の失敗はほとんどが「一斉に切り替えた」ことによって起きます。OB会は年齢幅が広く、同じ案内文が全員に同じように届くことはありません。

移行は二重運用の期間を作る

新しい手段に切り替えるときは、旧来の手段を1年は並行して残します。総会を1回はさむと、対面で登録を手伝える機会が生まれるためです。並行期間中は、同じ内容を両方に流す手間が発生しますが、この手間を惜しむと、切り替えのタイミングで参加率が落ちます。

並行期間の終わりは、日付ではなく到達率で判断します。会員のうち新しい手段に参加した人の割合が8割を超えたら旧来の手段を縮小する、といった基準を先に置いておくと、感情論にならずに済みます。

最初の1通で全部を説明しない

移行の案内で機能を全部説明すると、読まれません。最初の1通に書くのは、何が変わるか、何をすればよいか、困ったら誰に聞けばよいか、の3点だけにします。400字を超えると読了率が落ちるという感覚は、案内文を出している会でよく共有されています。

操作の説明は、必要になった段階で必要な人にだけ届ける形が効率的です。総会の案内、出欠の返事、写真の閲覧、それぞれのタイミングで1つずつ案内すれば、覚えることが分散します。

電話と紙を最後まで残す

デジタルへの移行を進める会でも、電話と郵送の窓口は残しておきます。全体の5%程度は、どの手段を選んでも電子的な連絡に乗ってこない層が残ります。この層を切り捨てるかどうかは、会の性格の問題です。

現実的な運用は、電話や郵送で受けた返事を事務局が代理で入力し、集計だけは一本化する形です。入り口は複数でよく、出口を1つにすれば運営の手間は増えません。この設計にしておくと、高齢の会員が多い会でも移行を止めずに進められます。

総会と懇親会の連絡を1年サイクルで組み立てる

連絡手段が決まったら、次は1年の流れに落とします。決まった時期に決まった連絡を出す形にしておけば、幹事が代わっても再現できます。

開催の3か月前に、日程と会場だけを予告します。この段階で欠席が確定する人が申し出てくれると、その後の督促対象が減ります。2か月前に正式な案内を出し、出欠の受付を開始します。プログラムや会費はこの時点で確定させておきます。

1か月前に未回答者へ1回目の催促、3週間前の締切当日に2回目の催促を出します。締切後は人数を会場に伝え、変更の受付を締めます。1週間前に参加者だけへ持ち物と集合時間の連絡、当日は受付の運用に集中します。

開催後1週間以内に、写真の共有と会計報告の予告を出します。ここで反応があった人は翌年の参加率が高いため、この1通を省かないことが翌年の負担を軽くします。この一連の流れを、集まりごとにどう組み立てているかは、町内会での使われかたに、年間行事を抱える団体の例として整理してあります。役員が毎年代わる点はOB会と共通しており、連絡の型を作る発想はそのまま応用できます。

連絡が届かなくなった人を、毎年少しずつ取り戻す

OB会でいちばん静かに進む損失は、連絡が届かなくなった会員が毎年少しずつ増えることです。宛先不明で戻ってきたはがきを脇に置いたまま翌年を迎えると、その人は名簿の上では会員のまま、実質的にはいない人になります。

この状態を放置すると、10年で会員の相当数が連絡不能になります。総会の出席者が減っているように見えて、実際には案内が届いていないだけ、というのはよくある話です。出席率という数字を見る前に、案内が届いた人の数を分母に置き直すと、会の実態が正確に見えます。

回復の方法は地道ですが、効果が出やすいのは次の3つです。1つ目は、宛先不明で戻ってきた分を年に1回まとめて洗い出し、同期の幹事に照会することです。個人的なつながりが残っている人は必ずいます。2つ目は、総会の受付で連絡先の確認欄を作り、その場で最新の情報に更新することです。3つ目は、慶弔の連絡が届いた機会に、その相手の情報だけでも確実に更新しておくことです。

洗い出しを毎年の定例作業にしておくと、消えていく速度より回復する速度が上回ります。年に10人ずつでも取り戻せれば、5年で名簿の質は目に見えて変わります。連絡手段を1つにまとめる効果は、この作業の手間を下げることにも表れます。名簿と連絡と出欠が同じ場所にあれば、「案内は届いたが返事がない人」と「案内自体が届いていない人」を分けて把握できるからです。この2つを分けられないまま督促を続けると、届いていない人に向かって督促を出し続けることになります。

費用と手間の相場観をつかむ

連絡手段の見直しを会に提案するとき、費用の話は必ず出ます。数字の見当をつけておくと議論が早く終わります。

紙と郵送を中心にした運営では、案内1回あたりの郵便料金と印刷代が主な費用です。往復はがきを200通出すと、はがき代と印刷代で3万円前後が目安になります。年に2回出せば年間6万円規模です。

これに対して、電子的な連絡手段の多くは基本機能が無料か、有料でも団体単位の月額課金です。金額そのものより、宛名書きと投函にかかる人手が消えることのほうが実質的な効果として大きい、という声がよく聞かれます。作業時間で見ると、200通の宛名印刷と封入に半日を要していた会が、その半日を丸ごと不要にできます。

ただし移行の初年度は、名簿の整理と登録の案内で一時的に手間が増えます。この初年度の負担を誰が引き受けるかを決めずに提案すると、総論賛成のまま実行されません。常設事務局がある会では事務局が、ない会では会長が旗を振るのが現実的です。

集まりの性格によって、決め手になる条件は変わる

同じ「連絡手段を1つにまとめる」でも、集まりの性格によって最後に決め手となる条件は異なります。ここまでの整理を、他の団体との比較で見直すと、OB会に固有の条件がはっきりします。

学校のPTAは、在籍する1年から6年のあいだだけ関わる人の集まりで、毎年メンバーが大きく入れ替わります。そのため、入退会の手続きの軽さが決め手になります。実際の運用の組み立てはPTAでの使われかたにまとめてあります。OB会は逆に、一度入った人が数十年在籍し続けるため、名簿の長期的な正確さのほうが重くなります。

サークルは活動の頻度が高く、日程調整が連絡の中心になります。サークルでの使われかたでは、出欠の取り方と当日の連絡に重点を置いています。OB会の総会も日程調整という点では同じですが、頻度が年に1回か2回である分、日程調整より「全員に届くこと」の優先度が上がります。

教室や道場のように先生と生徒の関係がある集まりでは、同じ説明を何度も繰り返す負担が中心の課題になります。教室での使われかたでは、欠席者への共有をどう自動化するかを扱っています。OB会でも、欠席者に総会の報告を届ける工程は同じ構造で、ここを型にしておくと毎年の作業が軽くなります。

学校そのものが運営する連絡では、保護者と教職員という立場の違う人が同じ場所に入るため、権限の分け方が最初の設計課題になります。学校での使われかたにその考え方があります。OB会でも、役員と一般会員、現役部員とOBといった立場の違いを権限で表現できるかどうかは、規模が大きくなるほど効いてきます。

これらを横に並べると、OB会に固有の条件は3つに絞られます。1つ目は、活動頻度が低いのに名簿の寿命が長いこと。2つ目は、年齢幅が40年以上に及ぶこと。3つ目は、幹事が毎年入れ替わること。この3条件をすべて満たす手段は多くありません。頻度が低いからこそ「探せば見つかる」形が要り、年齢幅が広いからこそ新規登録の関門を低くする必要があり、幹事が代わるからこそ権限が役職に紐づいている必要があります。

導入前に判断がつかない項目については、料金体系、退会時のデータの扱い、管理者の交代手順といった実務的な論点がよくある質問に集約されています。会に提案する前に、想定される質問への回答を用意しておくと、総会や役員会での決定が一度で済みます。

連絡手段の選定は、道具の優劣を比べる作業ではありません。会の3条件に照らして、どの条件を最優先するかを合意する作業です。その合意ができていれば、選んだ手段が何であれ、会は続きます。合意がないまま道具だけを変えた会は、数年後に同じ検索をすることになります。まず決めるのは、名簿の持ち主と、引き継ぐものの数です。

Q1. OB会の連絡手段を変えるとき、会員の同意はどこまで必要ですか?

名簿の情報を新しい場所に移す場合は、移す旨と、誰が見られるようになるのかを事前に案内しておくのが安全です。総会での決議か、案内文での通知と異議申し立ての窓口設置のどちらかを踏んでいる会が多く見られます。連絡手段そのものの変更は運営の裁量とし、名簿の取り扱いだけ丁寧に説明する形が現実的です。

Q2. 年配の会員が多い会でも、新しい連絡手段に移行できますか?

移行できている会は、一斉切り替えではなく1年程度の並行運用をしています。総会の受付でその場で登録を手伝い、期別の幹事が数人ずつ声をかける方法が有効です。参加率が8割を超えた段階で旧来の手段を縮小し、電話と郵送の窓口だけは最後まで残す形にすると、脱落者を出さずに進められます。

Q3. 出欠の返事が集まらないのですが、どうすれば返信率が上がりますか?

案内を読んだ場所と返事をする場所を同じにするのが最も効果があります。操作が3つ以上に分かれると返事は落ちるため、2ステップ以内に収めます。あわせて締切を開催の3週間前に固定し、催促は1週間前と締切当日の2回までと決めておくと、幹事の判断も不要になります。

Q4. 総会の写真はどこに置くのが安全ですか?

URLを知っていれば誰でも見られる場所は、転送によって会の外に出ます。参加しているメンバー以外には見えない場所に置き、案内文に「掲載してほしくない場合は事務局へ」の一行を添える運用にしている会が多いです。個人が特定できる写真は、本人の申し出があれば速やかに取り下げられる体制にしておきます。

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