部活で急ぎの連絡が要る場面は、時間帯が偏っています。平日の日中はほとんど起きません。起きるのは、朝練の前の午前6時台、土日の早朝、遠征の移動中、大会の会場、そして解散したあとの夜です。学校は閉まっていて、職員室に電話しても誰も出ません。判断も発信も、その場にいる顧問か、引率している大人が引き受けることになります。
うまく回らない部に足りていないのは、道具ではありません。中止や搬送を決める基準が数字で置かれていないこと、発信できる人が1人しかいないこと、そして連絡先が個人の端末の中にしか無いこと。この3つです。この記事では、起きる場面を分けたうえで、基準の置き方から連絡先の持ち方までを順に決めていきます。
部活の急ぎの連絡は、学校の一斉配信では埋まらない
まず、学校が持っている一斉配信の仕組みで部活の連絡が賄えるかを考えます。多くの場合、賄えません。理由は3つあります。
1つ目は、対象です。学校の配信は全校または学年単位です。部活の連絡は、その部の生徒と保護者だけに届けば足ります。全校に「野球部の朝練は中止です」と流すことはできません。
2つ目は、発信する権限です。学校の配信は管理職の承認を経て出るのが通例です。土曜の朝5時半に、雨で朝練を中止する判断を管理職に取り次ぐことは現実的ではありません。承認を待っているうちに、生徒は家を出ます。
3つ目は、内容です。学校の配信は臨時休業や不審者情報のような、学校としての判断を伝えるものです。部の練習の可否は部の判断であり、学校の判断ではありません。学校の配信に載せてもらおうとすると、そのたびに管理職の手を止めることになります。
だから、部活には部活の経路が要ります。ここを認めてから設計を始めると、話が早く進みます。
一方で、学校の判断に従う部分もはっきりさせておきます。暴風警報や大雨警報が出ているときの扱い、臨時休業の日の部活動の扱い、感染症で学級閉鎖になったときの扱い。これらは学校の決まりに従うもので、部が独自に決めるものではありません。学校の決まりを部の連絡の場に一度書き写しておけば、毎回確認する必要がなくなります。
起きる場面を6つに分けて、それぞれの基準を決める
急ぎの連絡が要る場面を並べると、おおよそ6つになります。場面ごとに、判断する人も、決める時刻も、伝える相手も違います。まとめて考えると設計できません。
・朝練や休日練習の中止。天候、警報、気温 ・練習試合や大会の中止と順延。相手校や主催者からの連絡 ・活動中のけがと体調不良。搬送するかどうか ・遠征と移動中の異変。電車の遅延、乗り遅れ、体調不良 ・解散後の連絡。生徒が帰宅しない、忘れ物、翌日の変更 ・感染症や事故による活動の一時停止
このうち、あらかじめ基準を数字で決めておけるのは最初の2つと3つ目の一部です。残りはその場の判断になりますが、判断する人と連絡の順番は先に決められます。
場面ごとに決めておく項目は共通しています。誰が判断するか、いつまでに判断するか、誰に伝えるか、どこに出すか、連絡が無い場合はどう扱うか。この5つを場面ごとに1行ずつ書いた表を作ると、年度の初めに配れる形になります。
特に最後の項目を決めていない部が多くあります。連絡が届かなかったときにどうなるかを決めていないと、届かなかった生徒だけが誤った行動を取ります。「連絡が無い場合は予定どおり実施」と決めておけば、届かなくても集合場所には全員が来ます。逆にしていると、届かなかった生徒だけが会場に来て、誰もいない場所で待つことになります。
朝練と休日練習の中止を、いつ誰が決めるか
朝練の中止は、部活の急ぎの連絡の中で最も頻度が高いものです。そして最も設計しやすいものでもあります。
決めるのは3つです。判断する時刻、判断する人、そして基準です。
判断する時刻は、生徒が家を出る時刻から逆算します。朝練の集合が7時で、遠い生徒が6時に家を出るなら、判断は5時30分までに出す必要があります。この時刻を年度の初めに公表しておけば、家庭はその時刻に確認すればよいと分かります。
判断する人は、役職で決めます。顧問、不在時は副顧問、両方が不在なら学年主任、という順番です。個人名で決めると、その人が異動した翌年に決めごとが消えます。そして、判断する人が起きていられる時刻かどうかも現実的に考えます。5時30分に判断すると決めたなら、その時刻に必ず誰かが起きている体制になっていなければ、決めた意味がありません。
基準は、雨が降っているかどうかではなく、外形的に確認できるもので置きます。
・警報が発表されている場合は中止 ・注意報のみの場合は実施。ただしグラウンドの状態で判断する ・気温が一定を超える場合の扱いを別に定める ・前日から一定量以上の降雨があった場合、グラウンドは使わない
3つ目については、暑さ指数を使った運動の指針が広く使われています。暑さ指数が31以上のときは運動を原則中止とし、28以上では厳重な警戒のもとで激しい運動を避ける、という段階が示されています。この段階を年度の初めに示しておけば、当日の判断について個別に説明を求められることが減ります。判断する人によって基準が変わる状態は、家庭から見ると不公平に映ります。
活動中のけがと体調不良。連絡の順番を決めておく
けがや急な体調不良は、判断する時間がありません。だから順番だけを決めておきます。
順番は次のとおりです。
・現場の安全を確保し、活動を止める ・生徒の状態を確認する。意識、呼吸、出血、痛みの部位 ・搬送が必要かを判断する。迷ったら救急要請を選ぶ ・保護者に連絡する。状況、いまどこにいるか、これからどこへ行くか ・学校の管理職に連絡する ・記録を残す。日時、場所、状況、対応、連絡した相手、経過
3番目で迷うのが、実際にはいちばん多い場面です。判断の助けになるのは、あらかじめ決めた基準です。頭部を打った場合、意識の変化がある場合、しびれがある場合、呼吸が苦しい場合、けいれんがある場合は搬送する。この5つを部の方針として書いておけば、迷う時間が短くなります。
4番目の保護者への連絡では、伝える順番を固定します。まず生徒の名前と、いま安全な状態かどうか。次に何が起きたか。そしてこれからどうするか。最後に、保護者に来てもらう必要があるかどうかと、どこへ来ればよいか。この順番でないと、聞いている側は最初の一言で頭が真っ白になり、その後の情報が入りません。
連絡がつかない場合の第2、第3の連絡先が要ります。ここで効いてくるのが、緊急連絡先を複数持っているかどうかです。1つしか持っていない部では、平日の日中に保護者が仕事中で電話に出られないだけで、連絡が止まります。
国の指針でも、事故と体調の急変への備えは繰り返し扱われています。
近年も運動部活動で生徒の突然死、頭頸部の事故、熱中症等が発生しており、けがや事故を未然に防止し、安全な活動を実現するための学校全体としての万全の体制づくりが必要です。 出典: mext.go.jp
同じ資料の中では、事故が起こった場合の対処の仕方の確認と、医療関係者への連絡体制の整備に留意することが挙げられています。連絡体制というのは、電話番号の一覧を持っていることではなく、誰がどの順番でどこへ連絡するかが決まっている状態のことです。
遠征と移動中に起きたことを、どう回すか
遠征は、急ぎの連絡が最も難しい場面です。理由は、生徒が学校にも家庭にもいないこと、引率者の人数が限られること、そして通信の状況が読めないことです。
出発前に決めておくことは4つあります。
・引率者の連絡先を、全員に配る。1人ではなく2人以上 ・宿泊先の名称と代表電話を、家庭に配る ・移動の経路と、乗る予定の便を配る。遅延が出たときに家庭が状況を把握できる ・現地で解散する場合の集合場所と時刻を、事前に決めて配る
宿泊先の代表電話を配るのは、生徒の端末が使えない状況で、家庭からの唯一の経路になるからです。夜間に家庭側で急な事情が生じたときにも使われます。
移動中に起きる異変は、電車の遅延、乗り遅れ、体調不良の3つがほとんどです。それぞれに対応を決めておきます。遅延の場合は、到着予定時刻の変更を家庭に一括で伝えるかどうか。乗り遅れの場合、生徒が単独で移動を続けるのか、引率者が待つのか。体調不良の場合、どこで降りて、誰が付き添うのか。
決めておかないと、その場で全部を考えることになります。1人の引率者が、生徒の対応と、家庭への連絡と、学校への報告を同時にすることになり、どれかが抜けます。
現地に着いてからの連絡も、経路を1本にしておきます。家庭からの問い合わせが引率者の個人の端末に集中すると、対応そのものができなくなります。「試合の結果と到着の連絡は、部の連絡の場に出します。個別の問い合わせは緊急のもの以外お控えください」と、出発前に伝えておくだけで違います。連絡の集約先をどう決めるかはBANDとの比較で扱われている、団体の連絡をどこに置くかという論点と重なります。
相手校と主催者からの連絡を、どう受けるか
部活の急ぎの連絡には、こちらが出すものだけでなく、外から受けるものがあります。練習試合の中止、大会の順延、会場の変更。これらは相手校や主催者の判断で決まり、こちらは受け取る側になります。
問題は、受け取る窓口が顧問1人になっていることです。顧問が電話に出られない時間帯に相手校から連絡が入り、そのまま止まる。これは実際に起きています。
対策は2つです。1つは、受け取る窓口を複数にすることです。顧問と副顧問の両方の連絡先を相手校に伝えておきます。もう1つは、受け取った連絡を部の中に流す経路を、受け取った人が自分で使える形にしておくことです。顧問しか投稿できない場所に情報を集めていると、副顧問が受け取っても流せません。
主催者からの連絡については、確認する場所を決めておきます。多くの競技団体は、大会の順延や中止を自団体の情報発信の場で知らせます。そこを見に行く担当を決め、確認した結果を部の中に流す。この2段階にしておけば、情報の出どころが1つに定まります。
そして、受け取った連絡をそのまま転送しないことです。相手校からの連絡には、こちらの部に関係のない情報が含まれていることがあります。必要な部分だけを、部の型に合わせて書き直して出します。日付、時刻、会場、変更点、これからどうするか。この5項目に整えてから流せば、読む側は迷いません。
顧問1人に集めない。役割を分けておく
部活の急ぎの連絡が止まる最大の原因は、全部が顧問1人に集まっていることです。判断も、発信も、問い合わせの対応も、記録も。
分けられるものを分けます。
・判断する人。顧問、不在時は副顧問。ここは大人が担う ・発信する人。判断した内容を部の連絡の場に出す。副顧問や保護者会の担当でもできる ・確認する人。届いていない家庭がないかを見る。保護者会の担当が向いている ・部員に伝える人。部長やマネージャーが、生徒どうしの経路で確認する ・記録する人。何が起きて、どう対応したかを残す
このうち、生徒に任せてよいのは4番目だけです。判断も、家庭への連絡も、記録も、大人が担います。生徒に判断を委ねる形になっていないかは、一度確認したほうがよい点です。部長が「今日はやりますか」と各家庭に電話している状態は、負担であると同時に、責任の所在が曖昧になります。
保護者会の担当を組み込むのは、有効な方法です。家庭への確認や、届いていない家庭への声かけは、保護者どうしのほうが動きやすい面があります。ただし、健康に関する情報や個別の事情は保護者の担当には渡しません。役割を分けるときは、渡す情報の範囲も同時に決めます。
そして、この分担を年度の初めに文書にして配ります。誰が何をするかが書かれていれば、実際に何かが起きたときに、その紙を見れば動けます。頭の中にしかない分担は、当事者が不在のときに機能しません。
生徒が端末を持てない学校での組み立て
多くの中学校で、校内へのスマートフォンの持ち込みが禁止または制限されています。この条件では、生徒に直接連絡する経路が使えません。
組み立ては、次のようになります。
・すべての急ぎの連絡は、保護者に届く経路で出す ・生徒への伝達は、保護者から生徒へ、または活動の場で口頭で ・生徒が単独で移動する場面では、公衆電話や学校の電話からかけられる番号を持たせる
3つ目は、遠征のときに効きます。生徒が乗り遅れたり、はぐれたりした場合に連絡できる番号を、紙に書いて全員に持たせます。端末が無い生徒にとって、これが唯一の手段になります。
保護者から生徒への伝達に頼る部分は、必ず時間差が生じます。だから、当日の朝に伝える必要がある内容は、前日のうちに条件付きで伝えておきます。「明日は雨の場合、体育館で8時集合に変更します」と前日に伝えておけば、当日の朝は雨かどうかを見るだけで済みます。条件を先に伝えることで、当日の連絡を減らせます。
高校では持ち込みが認められていることが多く、生徒への直接の連絡が可能になります。ただし、その場合も保護者への連絡を省かないことです。生徒に伝えたから保護者にも伝わる、という前提は成り立ちません。
解散したあとに起きること
見落とされやすいのが、解散後の時間帯です。活動が終わって生徒が帰路についたあと、部としての責任がどこまで続くのかは曖昧になりがちですが、連絡が必要になる場面は確実にあります。
起きるのは次のようなことです。生徒が予定の時刻を過ぎても帰宅しない。下校の途中で事故に遭う。忘れ物の連絡が家庭から入る。夜になって体調を崩し、日中の活動との関係を家庭が心配する。翌朝の予定が急に変わる。
このうち、最も重いのは1つ目です。家庭から「まだ帰っていない」という連絡が入ったとき、部として答えられるのは、何時に解散したか、その生徒が解散時にいたか、誰と一緒に帰ったか、の3点です。これを答えられるようにしておくために、解散の時刻と、その日の参加者を記録しておきます。記録が無いと、家庭からの問い合わせに何も答えられません。
解散の連絡そのものを出す部もあります。遠征や夜遅くなる活動のとき、「19時30分に学校で解散しました」と一言出しておくだけで、家庭は帰宅の見込みを立てられます。到着が遅れているかどうかを家庭が判断できるようになります。
夜間に家庭から連絡が入る経路も決めておきます。顧問の個人の番号にかかってくる状態は、続きません。部の連絡の場に書いてもらう形にして、緊急のものだけ電話という線引きにします。ただし、線引きを伝えるときは「緊急とは何か」を具体的に書きます。書かないと、判断を家庭に丸投げすることになり、結局どちらも起きます。生徒の安否に関わること、けがや体調の急変、翌朝の活動に間に合わないことが確定した場合。この3つに限る、といった書き方にします。
感染症や事故で、活動を止めるときの連絡
活動そのものを一定期間止める判断が必要になる場面があります。感染症の広がり、学級閉鎖、施設の破損、地域での事故。これらは1日で終わらないので、連絡の性質も変わります。
出すべき内容は5つです。いつからいつまで止めるか、なぜ止めるか、その間の練習をどうするか、再開の判断をいつ誰がするか、そして期間中に予定していた大会や練習試合をどうするか。
3つ目と5つ目が抜けやすい部分です。活動を止めると伝えただけでは、生徒は自主練習をしてよいのか、道具を持ち帰るのか、大会は出られるのかが分かりません。分からないまま各自が判断すると、止めた意味が薄れます。
5つ目については、相手校や主催者への連絡も同時に必要になります。こちらの都合で練習試合を断る場合、早いほど相手の負担が小さくなります。部の中への連絡と、外への連絡を同時に出す段取りにしておきます。
期間が長引く場合は、途中でもう1本出します。状況が変わっていなくても、「現時点で変更はありません。次の判断は3日後に出します」と出しておくと、問い合わせが止まります。何も出さない期間が長いと、個別の確認が増えます。
再開のときの連絡も、止めるときと同じだけ丁寧に出します。再開の日時、その日の内容、持ち物、体調に不安がある生徒の扱い。休んでいた期間があると、体力が落ちている生徒がいます。再開直後の練習量についての方針も添えておくと、家庭の不安が減ります。
年に1回、実際に流してみる
決めた仕組みが動くかどうかは、使ってみないと分かりません。そして、初めて使うのが本当に急ぐ場面だとしたら、そこで不具合が見つかります。
年に1回、実際に流してみる機会を作ります。年度の初めが適しています。内容は簡単なもので構いません。「連絡の確認です。届いた方は返信してください」で足ります。これを流して、返ってこない家庭を洗い出します。
このとき確認するのは、届いたかどうかだけではありません。判断する人が、実際にその場で発信できたか。副顧問が発信できる状態になっているか。届いていない家庭を見つける作業を誰がやったか。この3つも同時に確認します。
洗い出された不具合は、たいてい単純なものです。登録されていない、通知が切れている、機種変更のあと入れ直していない、そもそも案内が届いていなかった。どれも平常時なら数分で直せます。急ぐ場面で見つかると、直す時間がありません。
確認の結果は、部の中に一言残しておきます。何人に届いて何人に届かなかったか、そのうち何人を直したか。次の年の担当者が、同じ作業をどのくらいの手間で見込めばよいかの目安になります。
長期休業の前にもう1回入れると、なお確実です。夏の大会や合宿の前は、急ぎの連絡が最も必要になる時期です。その直前に一度確認しておくことには意味があります。
連絡先の持ち方と、4月に消えるもの
急ぎの連絡が届かない原因の多くは、連絡先が古いことです。そして連絡先が最も大きく変わるのが、年度の変わり目です。
4月に起きることは決まっています。新入部員が入り、3年生が引退し、顧問が代わり、保護者会の役員が代わります。このとき、前年の連絡先の一覧が誰の手元にあるかで、その年の連絡の質が決まります。
持ち方の条件は3つです。
・緊急の連絡先を、生徒1人につき2つ以上持つ。続柄も一緒に持つ ・顧問の個人の端末ではなく、部の場所に置く。異動しても残る ・更新の機会を年に1回作る。年度の初めに、変更の有無を全員に確認する
2つ目は、部活で特に重要です。顧問の私物の端末に保護者の番号が入っているだけの状態では、異動の日に部の連絡先が消えます。逆に、前任者の端末には残り続けます。どちらも望ましくありません。
3つ目の更新は、変更が無い場合も「変更なし」と回答してもらう形にします。回答が無い家庭は、確認できていない家庭として扱います。30人の部で毎年2件から3件は変更が出るので、この作業を省くと数年で相当数が古くなります。
届いているかどうかの確認も、平常時にやっておきます。急ぎの連絡が必要になったときに初めて届かないと分かるのでは遅すぎます。年度の初めと、長期休業の前に、動作の確認を兼ねた連絡を1本流します。反応が無い家庭には個別に確認します。この作業を年に2回入れておくだけで、いざというときの不達がかなり減ります。
届いたことを、どう確かめるか
出したことと、届いたことは別です。ここを区別していない部が多くあります。
確かめる方法は、大きく3つあります。
・読んだかどうかが分かる仕組みを使う。誰が見ていないかが一覧で分かる ・返事をもらう形にする。「了解」の一言を返してもらう ・次の活動の場で、口頭で確認する
1つ目が最も手間がかかりません。見ていない人が一覧で分かれば、その人にだけ声をかければ済みます。全員に電話する必要がなくなります。
2つ目は確実ですが、返事を数える手間が発生します。急ぎの連絡で全員の返事を待つのは現実的ではないので、参加の可否のように返事そのものが必要な場面に限って使います。
3つ目は事後の確認です。届いていなかったことが分かるだけですが、次に向けた修正はできます。届かなかった原因を聞くと、通知が切れていた、登録されていなかった、機種変更のあと入れ直していなかった、といった具体的な理由が出てきます。
そして、確認の作業を誰がやるかを決めます。決めていないと誰もやりません。保護者会の担当か、副顧問が向いています。顧問が判断と発信をした直後に確認まで担うのは、負担が大きすぎます。
急ぎの連絡が置かれる場所を、1つにする
ここまでの内容は、置き場所を決めることに集約されます。
判断の基準は書いてあるか。連絡先はそこにあるか。急ぎの連絡はそこに出るか。過去にどう対応したかがさかのぼれるか。担当が代わっても同じ場所が使えるか。この5つを満たす場所が1つあれば、急ぎの連絡はかなり静かになります。
見る点を具体的に挙げると、次のようになります。
・通知が確実に届くか。休日の早朝でも音が鳴るか ・誰が見ていないかが分かるか ・発信できる人を複数にできるか。管理者が1人に固定されないか ・年度をまたいで同じ場所が使えるか。担当の入れ替えだけで済むか ・部員向けと保護者向けと外部指導者向けで、見える範囲を分けられるか
3つ目と4つ目は、部活では決定的です。管理者が顧問1人に固定される仕組みは、その顧問が不在の日に穴があきます。年度ごとに場所を作り直す運用は、過去の対応が全部消えます。
外に見えない形であることも確認します。急ぎの連絡には、生徒の名前、けがの状況、家庭の事情といった情報が混ざります。メンバー以外は見られないことが仕組みとして保証されている場所でなければ、これらを流せません。流せない情報が出てくると、また別の経路が生まれ、経路が増えます。
いま使っている道具でどこまでできるかは、項目を並べて比べるのが早道です。LINEグループとの比較やDiscordとの比較には、通知の届き方、過去の記録の残り方、管理者の引き継ぎといった観点で整理された内容があります。学校という場での使われ方は学校での使われかたにまとまっています。判断に迷う細かい点はよくある質問の観点と照らし合わせて詰めていくと、部として説明できる形になります。
決めるべきことは多くありません。中止の基準を数字で置くこと、判断する人と発信する人を役職で決めること、連絡先を部の場所に置くこと、そして届いたかを確かめる担当を作ること。この4つが揃えば、土曜の朝5時半に誰かが1人で抱え込む状態は無くなります。
Q1. 朝練の中止を、何時までに決めればよいですか?
生徒が家を出る時刻から逆算します。集合が7時で、遠い生徒が6時に家を出るなら、5時30分までに判断して出す必要があります。この時刻を年度の初めに公表しておけば、家庭はその時刻に確認すればよいと分かります。あわせて、連絡が無い場合は実施なのか中止なのかを必ず決めてください。決めていないと、届かなかった家庭だけが誤った行動を取ります。
Q2. 暑さを理由に中止するとき、基準はどう決めればよいですか?
暑さ指数を使った運動の指針が広く使われており、31以上は運動を原則中止、28以上は激しい運動を避けるという段階が示されています。この段階を年度の初めに示しておけば、当日の判断について個別に説明を求められることが減ります。判断する人によって基準が変わる状態は、家庭から見ると不公平に映ります。
Q3. 練習中にけがが起きたとき、連絡の順番はどうすればよいですか?
活動を止めて安全を確保し、状態を確認し、搬送の要否を判断し、保護者に連絡し、学校の管理職に連絡し、記録を残す順番です。保護者へは、まず生徒の名前といまが安全かどうか、次に何が起きたか、これからどうするか、来てもらう必要があるかの順で伝えます。連絡がつかない場合に備えて、緊急連絡先は生徒1人につき2つ以上、続柄付きで持っておきます。
Q4. 顧問が電話に出られないと、相手校からの中止連絡が止まります?
受け取る窓口を複数にしてください。顧問と副顧問の両方の連絡先を相手校に伝え、受け取った人が自分で部の中に流せる形にします。顧問しか投稿できない場所に情報を集めていると、副顧問が受け取っても流せません。受け取った内容はそのまま転送せず、日付、時刻、会場、変更点、これからどうするかの5項目に整えてから出します。