部活が預かっている情報の量は、たいてい本人たちが思っているより多くなっています。入部届に書かれた住所と電話番号、競技団体に登録するための生年月日と顔写真、保険に入るための名簿、合宿のときに集めたアレルギーと服薬の申告、大会の記録、練習中に撮った写真と動画。これらが顧問のパソコン、部室の棚、マネージャーのノート、誰かの端末に分かれて置かれています。
問題が表に出るのは、たいてい人が代わるときです。顧問が異動する、部長が引退する、保護者会の役員が交代する。そのときに、何がどこにあるのか誰も把握していないことが分かります。この記事では、部活が何を持っているかを並べるところから、健康の情報と写真の扱い、置き場所の条件、そして消し方までを順番に決めていきます。
部活が持っている情報は、学校の名簿とは別物になっている
最初に押さえておきたいのは、学校が持つ児童生徒の情報と、部活が持つ情報は別のものだということです。同じ生徒の情報でも、集めた主体も目的も管理の枠組みも違います。
学校が持っているのは、学籍に関する情報です。氏名、生年月日、保護者の氏名、住所、緊急連絡先。これらは学校が学籍簿として管理し、教育委員会が定めた規程のもとで扱われます。持ち出しの手続きも、廃棄の時期も定められています。
一方、部活が持つのは、活動のために新しく集めたものです。競技団体に登録するための情報、保険に入るための情報、送迎ができる保護者の連絡先、合宿で必要になる健康の情報、遠征先で使う緊急の連絡先。これらは学校の学籍簿には入っていません。だから部が自分で集めて、自分で持つことになります。
ここに落とし穴があります。学校の情報は規程で守られているので、部活の情報も同じように守られているだろう、と思われがちなことです。実際には、部活が集めた名簿の置き場所も廃棄の時期も、誰も決めていないことがほとんどです。顧問の個人のパソコンの中にあり、異動と一緒に移動し、そのまま残り続けます。
もう1つ、学校が持っている連絡先を部活で使ってよいかという論点があります。学校が学籍のために集めた連絡先を、部活の連絡に流用するのは、集めたときの目的から外れます。学校の判断で使える範囲が決まるので、部が独自に判断すべきことではありません。原則としては、部活で使う連絡先は部活として集め直すのが筋です。
何を持っているかを、一度全部並べる
対策を考える前に、棚卸しをします。紙に書き出すだけで、半分は片が付きます。並べる軸は、何を、誰が、どこに、いつまで、の4つです。
部活で出てくる項目は、おおよそ次のとおりです。
・生徒の氏名、学年と組、生年月日、性別 ・生徒の住所、通学経路 ・保護者の氏名、続柄、電話番号、メールアドレス、勤務先の連絡先 ・緊急時の連絡先を2つ、それぞれの続柄 ・既往症、アレルギー、服薬、けがの履歴、医療機関の情報 ・身長、体重、視力といった身体の情報(競技によっては登録に必要) ・顔写真、活動中の写真と動画 ・競技団体への登録番号、大会の記録、成績 ・保険の加入者名簿と証券番号 ・部費や遠征費の入金状況 ・退部や休部の相談の記録
このうち、部の運営に本当に必要なものだけを残します。判断の基準は「これが無いと何が止まるか」です。答えられない項目は、集めるのをやめます。集めなければ、守る必要も、消す必要もありません。
法律の考え方も、この方向を示しています。
個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たっては、利用目的をできる限り具体的に特定しなければならないが、利用目的の特定に当たっては、利用目的を単に抽象的、一般的に特定するのではなく、個人情報が個人情報取扱事業者において、最終的にどのような事業の用に供され、どのような目的で個人情報を利用されるのかが、本人にとって一般的かつ合理的に想定できる程度に具体的に特定することが望ましい 出典: ppc.go.jp
「部の運営のため」という書き方は、ここで言う抽象的な特定にあたります。「緊急時の連絡、大会への登録、保険の加入、遠征時の健康管理のために使用します」と具体的に書くほうが、集める側にとっても線引きが明確になります。書けないものは、そもそも使い道が決まっていないということです。
健康に関する情報は、他と分けて扱う
部活で集める情報のうち、扱いが明らかに重いのが健康に関するものです。既往症、持病、アレルギー、服薬、けがの履歴。これらは法律上、特に配慮を要する情報として位置づけられており、取得するときに本人の同意が必要になります。
部活でこれを集める理由ははっきりしています。運動中に体調が急変したとき、アレルギーのある食品が合宿の食事に出たとき、けがの部位に負担をかける練習をさせようとしたときに、知らなければ対応できません。集めること自体は必要です。
問題は扱い方です。よくある形は、入部届の裏面に健康の欄があり、その用紙が部室のファイルに綴じられ、生徒も出入りする場所に置かれている状態です。これは避けたほうがよい形です。
分けるべき点は3つあります。
・保管の場所を分ける。連絡先の名簿とは別のファイルにし、施錠できる場所に置く ・見る人を絞る。顧問と副顧問、そして合宿や遠征の引率者に限る。生徒は見ない ・持ち出す場面を決める。遠征に持っていくときは、必要な生徒の分だけを抜き出す
3つ目は実務でよく問題になります。遠征に名簿ごと持っていって、そのまま宿に置き忘れる。あるいは移動中に紛失する。参加する生徒の分だけを抜き出したものを作れば、失うものが小さくなります。
デジタルで持つ場合も同じ考え方です。全員の健康情報が入った一覧を、部の連絡の場に投稿してはいけません。見せる範囲を分けられる形になっていることが条件になります。分けられないなら、その場所には置かないという判断になります。
更新の頻度も決めます。健康の状態は変わります。年度の初めに集めたきり更新していない情報は、正確でないぶん危険です。少なくとも年に1回、そして合宿や遠征の前には、変更がないかを確認します。変更がなければ「変更なし」と回答してもらう形にすると、確認したという記録が残ります。
競技団体への登録で、外に出す情報
部活の情報が外に出る最大の場面が、大会のエントリーです。中学校体育連盟、高等学校体育連盟、各競技の連盟や協会に、生徒の情報を登録します。
登録の内容は競技によって違いますが、氏名、生年月日、学年、性別、学校名は共通です。競技によっては、身長と体重、顔写真、過去の記録、選手登録番号が加わります。これらは大会の運営、記録の管理、公式の記録集への掲載に使われます。
ここで確認しておくべきことは3つあります。
1つ目は、登録することを生徒と保護者が知っているかです。入部の時点で「大会に出るには競技団体への登録が必要で、氏名と生年月日を提出します」と伝えておきます。あとから伝えると、提出済みの状態で同意を求めることになります。
2つ目は、公開される範囲です。多くの競技で、出場者の氏名と学校名は組み合わせ表や記録として公開されます。競技によっては学年や記録も公開されます。これは大会の性質上避けられませんが、知らないまま出場して、名前が検索で出てくることに驚く家庭があります。事前に伝えておけば、驚きは起きません。
3つ目は、登録の期限です。登録の締め切りは連盟が決めており、動きません。この期限から逆算して部の中の確認を進めます。締め切り前日に生年月日が1人分足りないという状態は、毎年どこかで起きています。
登録に使う情報は、部が持っている名簿から抜き出します。抜き出した一覧を作ったら、登録が終わったあとにその一覧をどうするかも決めておきます。作業用に作ったファイルが、そのまま何年も残っているのはよくある状態です。
保険の加入者名簿と、けがの記録
部活では、傷害の補償のために保険に加入することが一般的です。加入には氏名と生年月日、学年が要り、事故が起きたときには診断の内容と経過が記録されます。
保険の加入者名簿は、部が持つ名簿の中でも扱いが分かりやすい部類です。目的が明確で、提出先も決まっており、保管の期間も保険の期間に紐づいています。ただし、加入していない生徒がいる場合の扱いには注意が要ります。経済的な事情で加入していない家庭がある場合、その事実が部内に知られる形になるのは望ましくありません。加入状況を部員全員が見られる一覧に載せない、という配慮が要ります。
けがの記録は、これとは別に重みがあります。いつ、どの練習中に、どの部位を、どのように痛めたか。この記録は、次の事故を防ぐためにも、補償の手続きのためにも必要です。国が示している部活動の指針でも、事故の防止と発生後の対応が繰り返し扱われています。
記録を残すときの原則は、事実だけを書くことです。誰の判断が間違っていたか、誰の責任かという評価を書き込むと、記録そのものが扱いにくくなります。日時、場所、状況、対応、連絡した相手、その後の経過。この6項目で足ります。
そして、けがの記録は生徒が扱う範囲に入れません。マネージャーが練習日誌の一部として記録している部がありますが、その場合は診断名や治療の内容までは書かせない形にします。日誌に書くのは、練習に参加できない期間と、制限がある動作までにとどめます。
顧問の私物端末に、情報が残るという問題
部活の個人情報で、最も見落とされているのがここです。顧問の私物のスマートフォンに、保護者の電話番号が入っている。私物のパソコンに、名簿のファイルが入っている。この状態は、かなり多くの部で起きています。
何が問題かというと、3つあります。
・端末の管理が個人に委ねられる。紛失や故障のときに、部としては何もできない ・異動のときに、情報が部から出ていく。前任者の端末に残り続ける ・その端末が家庭内で共有されている場合、家族が見られる状態になる
学校によっては、教職員が私物の端末で保護者と連絡を取ることを制限しています。制限がある場合はもちろん、無い場合でも、部として避けるべき形です。
現実的な対応は、連絡先を個人の端末の連絡帳に保存しないことです。連絡先が部の場所にあり、そこにアクセスして連絡する形にすれば、端末には何も残りません。異動のときは、その場所へのアクセス権を外すだけで済みます。
生徒との個別のやりとりについても、同じ問題があります。多くの自治体や学校で、教職員と生徒が私的な手段で個別にやりとりすることに制限が設けられています。部活では連絡の必要が実際に生じるため、抜け道として個別のやりとりが常態化しやすい領域です。
ここで決めておくのは、個別に連絡する必要が生じたときにどうするかです。原則として保護者を通す、複数の教職員が見られる場所でやりとりする、記録が残る形を使う。この3つのうちどれを取るかを、部として明文化しておきます。決めていないと、それぞれの顧問が自分の判断で運用することになります。
部員名簿と連絡網を、配るかどうか
紙の名簿を配るかどうかは、部活でも判断が分かれる点です。
配る利点は明確です。緊急のときに手元で確認できる、保護者どうしが送迎を調整できる、電気も通信も使えない状況で機能する。特に送迎の調整が必要な部では、保護者間で連絡が取れることの価値は小さくありません。
配る欠点も明確です。一度配ったものは回収できない、卒業後も残り続ける、コピーされて広がる可能性がある、退部した生徒の情報も残る。そして、配ることに同意していない家庭の情報が載る問題があります。
判断の手順としては、次のようになります。
・そもそも全員分が要るのかを考える。学年ごと、パートごとで足りることが多い ・載せる項目を絞る。氏名と、連絡が取れる番号1つで足りることが多い。住所は要らない ・載せることに同意しない家庭の扱いを先に決める。載せない選択ができるようにする ・配る範囲と、廃棄の時期を紙面に書く。「本名簿は今年度限りです。年度末に処分してください」
デジタルに移す場合は、配る代わりに見られるようにする形になります。この場合、見られる範囲を限定できるかどうかが判断の中心になります。検索で出てくる場所や、招待なしで入れる場所に部員名簿を置くのは避けるべきです。メンバー以外は見られないことが仕組みとして保証されているかを確かめてから決めます。参加者を限定する仕組みの違いはLINEオープンチャットとの比較で整理されている論点と重なります。
写真と動画を、どこまで出すか
部活は写真と動画が多く発生する活動です。練習の記録、フォームの確認、大会の様子、集合写真、卒業のときの記念。これらの扱いを決めていない部は多くあります。
決めるべきことは4つです。撮ってよいか、部内で共有してよいか、部の外に出してよいか、いつまで残すか。この4つは別の問題なので、まとめて同意を取ると後で困ります。
撮ることについては、フォームの確認のように指導上必要な撮影と、記録として残す撮影を分けます。指導上の撮影は、確認が済んだら消す前提で運用できます。
部内での共有は、比較的問題が起きにくい領域です。ただし、共有する場所が部員と保護者だけに限られていることが条件になります。
部の外に出すのは、いちばん慎重に決める部分です。学校のホームページ、地域の広報紙、競技団体の記録、部として運営している外向けの発信。それぞれで見る人が違い、残る期間も違います。ユニフォームには学校名と背番号が入っているので、写真1枚から個人が特定できます。同意を取るときは、どこに出すのかを具体的に書きます。
残す期間については、年度で区切るのが分かりやすい形です。3年間分だけ残す、卒業時に本人が取り出せるようにして部からは消す、といった運用を先に決めます。決めておかないと、何年も前の卒業生の写真が残り続けることになります。
同意しない家庭への配慮も要ります。写真に写りたくないという申し出があった場合、集合写真の撮影のたびにその生徒だけ外すのは現実的ではありません。撮影はするが外部には出さない、部内の共有にとどめる、といった段階的な扱いを用意しておくほうが運用できます。
卒業生とOB会に、情報を渡すかどうか
部活には、卒業した先輩との関係が続くという特徴があります。OB会や後援会が組織されている部、卒業生が指導に来る部、記念行事で名簿を作る部。ここで、在校生の情報が外へ出る経路が生まれます。
原則として、在校生の情報を卒業生の組織に渡すことはできません。集めたときの目的に入っていないからです。逆に、卒業生の連絡先を部が持ち続けることにも根拠が要ります。卒業した時点で、部として連絡を取る必要は無くなっているはずです。
現実には、記念行事の案内や、指導に来てもらう連絡のために卒業生の連絡先が必要になる場面があります。この場合は、部の名簿とは別に、OB会が自分で集めて自分で持つ形にします。部が持っている卒業生の連絡先を渡すのではなく、卒業のときに「今後も連絡を受け取ってよいか」を本人に確認し、同意した人だけがOB会の名簿に入る形です。この一手間を挟むかどうかで、あとから問題になるかどうかが変わります。
在校生と卒業生が同じ連絡の場に入っている状態も、見直しの対象です。卒業生が在校生の予定や連絡先を見られる状態は、必要が無い限り作らないほうがよいものです。見せる範囲を分けられる場所であれば、同じ場所を使いながら卒業生の権限だけを下げることができます。分けられない場合は、卒業の時点で抜けてもらう運用になります。そのときは、いつ抜けるかを本人に伝えます。黙って外すと、意図が伝わりません。
指導に来る卒業生の扱いは、外部指導者と同じです。活動日と会場、参加する部員の人数までは伝える必要がありますが、生徒の連絡先や健康の申告を渡す必要はありません。
保管の期間を決めて、消す日を決める
個人情報で最も忘れられるのが、消すことです。集める仕組みは作られますが、消す仕組みは作られません。
部活で期間を決めやすいものと、決めにくいものがあります。決めやすいのは、目的が終わる時期がはっきりしているものです。
・大会の登録に使った作業用の一覧は、大会が終わったら消す ・合宿の健康申告は、合宿が終わって一定期間が過ぎたら消す。事後にけがの申告が出る可能性を考えて3か月程度は残す ・部費の入金記録は、会計の報告と監査が終わるまで残す ・保険の加入者名簿は、保険の期間が終わるまで
決めにくいのは、けがの記録と、部としての活動の記録です。事故に関わる記録は、あとから問い合わせが来る可能性があるため、一定期間残す判断が取られることが多くあります。この場合も、いつまで残すかを決めておくことに意味があります。決めていない状態と、5年と決めた状態では、次の担当者の判断が変わります。
消し方も決めます。紙は裁断します。まとめて業者に依頼する場合は、処理が完了したことの証明を受け取っておきます。デジタルは、削除したつもりで別の場所に複製が残っていることが多いので、どこに何があるかを棚卸しの段階で把握しておくことが前提になります。共有されたファイルは、共有を解除しても相手の手元に複製が残っている可能性があります。
消したことを記録に残すのも、同じくらい大切です。いつ、何を、誰が消したか。1行でよいので残しておけば、あとから「まだ残っているのではないか」と問われたときに答えられます。
年に1回、消す日を決めておくのが最も確実です。年度末に、その年に終わった目的の情報を消す。この作業を引き継ぎの手順に組み込んでおけば、忘れません。
引き継ぎのときが、いちばん危ない
部活の個人情報が最も流出しやすいのは、日常の運用中ではなく、人が入れ替わるときです。
起きることは決まっています。前任の顧問が、引き継ぎのために名簿のファイルを個人のメールで送る。前部長が、後任に連絡先の一覧を自分の端末から転送する。保護者会の役員が、次の役員に紙の名簿を手渡しする。どれも善意で行われますが、どれも記録が残らず、複製が増えます。
この問題は、引き継ぎの手順を変えるだけでは解決しません。渡すという行為そのものを無くす形にする必要があります。つまり、情報が個人の手元ではなく部の場所にあり、担当者が代わったらアクセスできる人を入れ替えるだけで済む形です。
判断の材料になるのは、次の3点です。
・新しい担当者が、着任した日に必要なものを開けるか。前任者に連絡しなくて済むか ・前任者のアクセスを、確実に外せるか。外したことを確認できるか ・誰がいつ見たかが分かるか。分からなくても、少なくとも誰が見られるかは一覧で分かるか
3点目は、事故が起きたときに効きます。情報がどこかに出たとき、誰が見られる状態だったかが分からなければ、範囲を確定できません。
もう1つ、引き継ぎのときに渡すべきなのは、情報そのものではなく決めごとです。何を集めているか、何のために集めているか、どこに置いているか、いつ消すか。この4つが文書で残っていれば、新しい担当者は同じ運用を続けられます。文書が残っていない部では、担当者が代わるたびに運用が変わり、そのたびに古い情報が置き去りになります。
事故が起きたときに、どう動くか
情報が漏れたとき、部として何をするかを決めておきます。決めていないと、最初の数時間で判断を誤ります。
起こりうる事故は、そう多くありません。名簿を紛失する、間違った相手に送る、連絡の場に見せてはいけない情報を投稿する、端末を紛失する。この4つでほぼ尽きます。
動き方の順番は決まっています。
・広がりを止める。誤って投稿したものは削除し、誤送信は相手に連絡して破棄を依頼する ・何が、誰の情報が、どれだけ出たかを特定する ・学校の管理職に報告する。部の中で処理しない ・対象になった家庭に伝える。伝える内容は、何が出たか、いつ出たか、いま何をしているか ・再発を防ぐために何を変えるかを決める
3番目が重要です。部の中で収めようとすると、あとで大きくなります。学校の情報として扱われるべきものが含まれている場合もあり、その判断は管理職が行います。
4番目については、隠さないことが原則です。生徒の連絡先が含まれる名簿が外に出た場合、家庭は自分で身を守る行動を取る必要があります。伝えなければ、その機会を奪うことになります。
事故が起きにくい形にすることも同時に考えます。持ち出す機会が少ないこと、複製が増えないこと、間違った相手に送る経路がそもそも無いこと。この3つを満たす置き方であれば、事故の多くは物理的に起きなくなります。
置き場所を選ぶときに、何を見るか
ここまでの内容は、すべて置き場所の話に集約されます。何をどこに置くかを決めれば、集め方も消し方も自然に決まります。
部活の情報を置く場所を選ぶときに見る点は、次のとおりです。
・見える範囲を分けられるか。部員が見てよいもの、保護者が見るもの、顧問だけが見るものを分けられるか ・外部から見えないことが仕組みとして保証されているか。検索に出ない、招待なしで入れない ・担当者が代わったときに、アクセスできる人だけを入れ替えられるか ・過去の記録がさかのぼれるか。同時に、消したいものを消せるか ・個人の端末に情報の複製を作らずに使えるか
最初の項目は、部活では特に重要です。外部指導者が見る範囲、生徒が見る範囲、保護者が見る範囲、顧問だけが見る範囲。これが1つの場所で分けられれば、経路を増やさずに済みます。分けられない道具を使っている場合、健康の情報や連絡先は別の場所に置くことになり、置き場所が増えます。置き場所が増えるほど、消し忘れも増えます。
いま使っている道具でどこまでできるかを、一度並べてみるのが確実です。それぞれの道具について、参加者をどう限定するか、過去の投稿がどう残るか、管理者をどう引き継ぐかを項目ごとに整理した比較として、LINEグループとの比較やBANDとの比較があります。学校という場での使われ方の整理は学校での使われかたにまとまっています。
そして、決めたことは文書にして残します。集める項目、目的、置き場所、見る人の範囲、保管の期間、消す時期。この6項目を1枚にまとめたものが、部の個人情報の扱いについての方針になります。1枚あれば、保護者から質問されたときにそれを見せれば済みます。新しい顧問にも、それを渡せば済みます。細かい判断で迷う点はよくある質問に整理されている観点と照らして詰めていくと、部として説明できる形になります。
Q1. 学校が持っている保護者の連絡先を、部活の連絡に使ってよいですか?
学校が学籍のために集めた連絡先を部活で流用するのは、集めたときの目的から外れます。使える範囲は学校が判断することなので、部が独自に決めるべきことではありません。原則としては、部活で使う連絡先は部活として集め直します。入部届の段階で、緊急時の連絡、大会への登録、保険の加入といった具体的な使い道を書いて集めておくのが確実です。
Q2. アレルギーや持病の申告を、入部届と同じ用紙で集めてよいですか?
分けてください。持病や服薬、アレルギーは特に配慮を要する情報として位置づけられており、取得に本人の同意が要ります。保管の場所を連絡先の名簿と分け、見る人を顧問と副顧問、引率者に限り、生徒は見ない形にします。遠征に持っていくときは名簿ごとではなく、参加する生徒の分だけを抜き出したものを作ると、紛失したときの被害が小さくなります。
Q3. 顧問のスマートフォンに保護者の連絡先が入っています。問題がありますか?
望ましくない状態です。端末の管理が個人に委ねられ、紛失時に部として対応できません。異動のときに情報が部の外へ出ていき、前任者の端末に残り続けます。連絡先を個人の連絡帳に保存せず、部の場所に置いてそこから連絡する形にすれば、端末には何も残らず、異動時はアクセス権を外すだけで済みます。
Q4. 部員名簿を紙で配るのは、やめたほうがよいですか?
一律にやめる必要はありませんが、条件を決めてください。全員分ではなく学年やパートごとで足りることが多く、載せる項目は氏名と連絡先1つで足ります。住所は要りません。載せることに同意しない家庭が載せない選択をできるようにし、紙面に「今年度限り、年度末に処分」と明記します。デジタルに移す場合は、見られる範囲を限定できる場所かどうかで判断します。