サークルの新歓でビラも配ったし、SNSの投稿も出したのに、見学に来る人が去年より少ない。とりまとめる立場の人から出てくる相談は、毎年この形をしています。原因を告知の量に求めて、翌年さらにビラを刷る。それでも数字が動かないという繰り返しが、多くのサークルで起きています。この記事では、サークルの新歓で人を集めるために何をどの順番で決めればよいのかを整理します。結論を先に書くと、増やすべきなのは告知の量ではなく、見学したいと思った人がそこから先に進める道の本数です。興味を持った瞬間から実際に活動の場に立つまでに手順が3つ以上あると、そのほとんどが途中で止まります。
新歓が難しくなったのは、告知が届いていないからではない
新歓がうまくいかない年に、まず疑われるのは告知です。ビラの枚数、掲示の場所、SNSの投稿頻度。ところが現場で起きていることを順に見ていくと、告知そのものは以前より届いています。届いたあとの導線が切れているだけです。
選択肢が増え、比べられる時間が短くなった
新入生や新しいメンバーの側から見ると、選択肢の数は昔とは比べものになりません。大学のサークルであれば、規模の大きい大学で公認・非公認を合わせて200を超える団体が同時に新歓をしています。社会人の趣味の集まりでも、地域の教室、オンラインのコミュニティ、単発のイベントが同じ時間帯を取り合っています。
情報が多いこと自体は、集める側にとって不利ではありません。問題は、比べるのに使われる時間が極端に短くなったことです。ビラを受け取った人がそれを見ている時間は数秒で、SNSの投稿なら1秒に満たないこともあります。その数秒で判断されるのは、活動内容の魅力より前に「自分が入れる場所かどうか」です。何をしているのか、いつ集まるのか、いくらかかるのか、初心者でも大丈夫なのか。この4つが数秒で分からない告知は、内容がどれだけ良くても比較の土俵に上がりません。
母数そのものが減っている前提を持つ
告知を工夫しても届く相手の数には上限があります。学生を対象にするサークルであれば、18歳人口の減少はそのまま新歓の母数に効きます。
大学(学部)の在学者数は約263万人で推移している。18歳人口が減少する一方で、進学率の上昇が学生数を支えている構造にある。 出典: www.mext.go.jp
進学率で支えられている以上、今後は各校の学生数が大きく増えることは期待しにくくなります。同じ学内で同じ人数を取り合う競争が続くという前提で考えると、他団体より多く告知するという戦い方には限界があります。取れる手は2つで、1つは対象を広げること、もう1つは興味を持った人を取りこぼさないことです。前者は他学部・他学年・地域の社会人へと間口を広げる話で、後者が入り口の設計の話です。手間に対する効果は、圧倒的に後者が大きくなります。
「入りやすさ」は雰囲気ではなく手順の数
入りやすいサークルという言葉は、雰囲気の良さとして語られがちです。実際に効いているのは、興味を持った人が実際に活動の場に立つまでに踏む手順の数です。ビラを見る、SNSを検索する、アカウントをフォローする、個別に連絡先を送る、返事を待つ、日程を確認する、場所を聞く。ここまでで7手順あります。1手順増えるごとに一定数が抜けていくため、途中で止まるのが普通です。
よく聞くのは、見学の申し込みが個人アカウントへの直接連絡になっていて、そこで止まっているという話です。知らない相手に自分から連絡を送るのは、本人にとっては小さくない負担です。手順を3つに減らすだけで、告知の量を変えなくても見学者の数は変わります。新歓の改善は、まずこの手順を数えるところから始まります。
新歓の導線を1本の線として設計する
新歓を「イベントの集合」として考えると、当日の運営だけに意識が向きます。実際に見るべきなのは、最初に名前を知ってから入会が確定するまでの1本の線です。線のどこが細くなっているかを把握すると、手を入れる場所は自然に決まります。
認知から入会までの5段階に分けて数える
新歓の導線は、5つの段階に分けて考えると扱いやすくなります。1つ目は認知で、団体の存在を知る段階です。2つ目は関心で、何をしているのか調べる段階。3つ目は接触で、見学や体験に申し込む段階。4つ目は参加で、実際に活動の場に来る段階。5つ目が定着で、続けて通うようになる段階です。
多くのサークルは1つ目と2つ目にだけ力を入れています。ビラ、立て看板、SNS、説明会。ところが数が落ちるのは3つ目から4つ目にかけてです。関心を持った人のうち、実際に見学の申し込みまで進む割合は、体感では1割から2割程度だと語られることが多く、さらにそこから当日実際に来る人はその7割前後にとどまります。ここに手を入れると、認知を2倍にする労力より小さい手間で参加者が増えます。
どこで人が止まっているかを新歓期間中に記録する
段階ごとの人数を、新歓の期間中に記録しておきます。配ったビラの枚数、説明会に来た人数、見学の申し込み数、実際に来た人数、2回目に来た人数、入会した人数。表計算ソフトの1シートで足ります。所要時間は毎日3分ほどです。
この記録があると、翌年の新歓が推測ではなく数字から始められます。申し込みは多いのに当日来ない年なら、案内の分かりにくさや集合場所の伝え方に原因があります。申し込み自体が少ない年なら、申し込み方法そのものが重いということです。記録がないと、毎年「今年は雰囲気が悪かった」といった曖昧な総括になり、同じ場所で詰まり続けます。とりまとめる立場の人にとって、この記録は次の担当に渡せる数少ない資産でもあります。
申し込みの受け皿を、個人アカウントから外す
導線の中で最も直しやすく、効果が大きいのが申し込みの受け皿です。個人のアカウントに直接連絡させる方式には、3つの問題があります。1つ目は、連絡する側の心理的な負担が大きいこと。2つ目は、受ける側の1人に連絡が集中し、返信が遅れると機会を失うこと。3つ目は、その人が忙しくなったり交代したりすると、申し込みの受け口ごと消えることです。
受け皿は、個人ではなく団体として持っておきます。申し込みのフォームを1つ用意し、そのURLだけを告知に載せる形が最も軽くなります。氏名と連絡先と希望日だけの3項目にしておけば、入力は30秒で終わります。項目を増やすほど途中で離脱するため、学年や志望動機のような後から聞ける情報は当日に回します。
新歓のスケジュールを逆算して組む
新歓は、始まってから考えると必ず間に合いません。開始日から逆算して、いつ何を決めるかを先に並べておきます。以下は大学のサークルを想定した組み方ですが、社会人の集まりでも期間を伸縮させれば同じ形が使えます。
4週間前|決めることを決める
この時期にやるのは、告知物を作ることではなく、決めごとを固めることです。今年の新歓で何人を目標にするのか、体験できる内容は何か、費用はいくらで初回に何を持ってくればよいのか、雨天や欠員が出たときにどうするのか。ここが曖昧なまま告知を作ると、問い合わせが増えて、その対応に運営の時間が奪われます。
特に費用は最初に確定させます。学生サークルの会費は年3,000円から1万円程度、社会人の趣味の集まりでは月500円から2,000円程度が目安として語られます。加えて道具代や合宿費が別途かかる場合、その金額を新歓の時点で示すかどうかで、入会後の離脱率が変わります。あとから知らされた費用は、金額の大小に関係なく不信感につながります。
2週間前|告知物と受け皿を同時に出す
告知物と申し込みの受け皿は、必ず同時に出します。ビラを先に配り、フォームは後から用意するという順序にすると、最も関心が高い時期の人を取りこぼします。告知物に載せるのは、活動内容、日時、場所、費用、初心者可否、申し込み先の6つだけです。デザインに時間をかけるより、この6つが数秒で読み取れることのほうが効きます。
この時期に、運営側の役割分担も決めておきます。当日の受け付け担当、案内担当、写真担当、申し込みへの返信担当。返信担当は2人以上置きます。1人だと、その人の予定が詰まった日に返信が止まります。
新歓期間中|返信を24時間以内に返す
新歓が始まったら、運営側の最優先は返信です。申し込みや質問への返信が遅れると、その間に他の団体で決めてしまう人が出ます。返信は24時間以内を基準にし、内容は短くて構いません。日時と場所と持ち物を書いた定型文を先に用意しておけば、1件1分で返せます。
当日の前日には、リマインドを1回入れます。ここを省くと当日来ない人が増えます。人は申し込んだこと自体を忘れるからで、悪気があるわけではありません。集合場所は文字だけでなく、目印になる建物や地図の画像を添えると、当日に迷う人がほぼいなくなります。
新歓後1週間|入会の意思確認をこちらから出す
新歓が終わったあと、来た人からの連絡を待つのは最も人を減らす対応です。参加した人の側は、入会したい気持ちがあっても、自分から「入れてください」と言うのに勇気が要ります。運営側から1週間以内に声をかけ、入会の手続きと次回の活動日を伝えます。
この連絡で伝えるのは3つです。次回の活動日時と場所、入会する場合の手続き、続けるかどうかを決めるのはもう少し先で構わないということ。3つ目を伝えると、迷っている人がもう1回来ます。もう1回来た人は、そのまま定着することが多いと語られます。
入りやすさを作る具体策
導線を整えたうえで、入り口そのものを軽くする工夫を並べます。どれも大きな準備が要らないものだけを挙げます。
見学と体験を分けて用意する
見学と体験を1つにまとめているサークルは多いのですが、この2つは求められる心理的な準備がまったく違います。見学は「見るだけ」で済むため、迷っている人でも来られます。体験は実際に活動に混ざるため、ある程度気持ちが固まっていないと申し込めません。
両方を用意し、告知にも別々に書きます。見学だけの人が来たときに、その場で体験に誘うのは構いませんが、断れる余地を残します。断りにくい空気を作ると、その人は次から来なくなります。よく聞くのは、見学に来た人を全員参加させる運営にしたところ、翌年から見学申し込みが減ったという話です。
1人で来た人が孤立しない配置にする
新歓に1人で来る人は、複数人で来る人より入会の意思が固いことが多い一方、当日に孤立すると最も強く帰りたくなります。受け付けの段階で1人かどうかを把握し、案内担当がその人に付く形にしておきます。担当を決めていないと、全員が「誰かが話しかけるだろう」と考えて誰も動きません。
具体的な運用としては、来場者3人につき運営側1人を目安に配置します。既存メンバー同士で固まって話している時間が長い新歓は、内容が良くても入会につながりません。来た人から見えているのは活動の中身ではなく、自分がその輪に入れるかどうかだからです。
初回に必要なものを減らす
初回参加のハードルは、持ち物と費用と服装で決まります。道具が必要な活動であれば、初回は貸し出す形にします。費用がかかる場合は、初回無料か少額に抑えます。服装の指定があるなら、具体的に書きます。「動きやすい服装」という表現は、実際には判断できません。
もう1つ、初回に連絡先の交換を求めないことも効きます。まだ入るか決めていない段階で個人の連絡先を渡すのは負担が大きく、そこで足が止まる人がいます。個人の電話番号やアカウントを交換しなくても、団体の連絡先だけで案内が届く形にしておくと、決めきれていない人も次回の情報を受け取れます。
体験してもらう内容を1つに絞る
新歓の当日に、活動の魅力を全部見せようとすると、かえって伝わりません。時間が足りずにどれも中途半端になり、来た人の記憶に残るものがなくなります。見せる内容は1つに絞り、その1つを最後までやってもらう構成にします。
絞るときの基準は、初めての人が30分以内にできるようになるものかどうかです。上達に時間がかかる活動でも、その入り口だけを切り出せば必ず1つは見つかります。運動系なら基礎の動きを1つ、音楽系なら簡単なフレーズを1つ、制作系なら小さな完成物を1つ。できたという実感を持って帰った人は、次も来ます。逆に、上級者の演技や試合を見学するだけで終わった人は、自分にはできないという印象だけを持ち帰ります。
当日の時間配分も決めておきます。説明10分、体験40分、雑談と質問10分のように区切ると、全体で1時間に収まります。長時間の新歓は、参加を検討している段階の人にとっては負担です。短く区切り、もっと知りたい人だけが残れる形にしておくほうが、次につながります。
活動の頻度と拘束の強さを先に明示する
入会をためらう理由で最も多いのは、時間の拘束が読めないことです。週何回あるのか、参加は義務か任意か、行けない日があっても続けられるのか、行事や合宿の参加は必須か。ここを曖昧にしたまま人を集めると、入会後に辞める人が増えます。
明示するときは、実態より軽く見せないことが大事です。週3回集まっているのに「自由参加です」とだけ伝えると、入った人が周囲との温度差に耐えられなくなります。頻度が高いこと自体は、それを望む人にとっては魅力です。正確に伝えたうえで来た人のほうが、結果的に長く続きます。
新歓の連絡手段をどう選ぶか
新歓の時期は、連絡の量が1年で最も増えます。問い合わせ、日程変更、集合場所の案内、当日の欠席連絡。この時期に連絡手段が破綻すると、せっかく来た人を失います。同時に、新歓で使った連絡手段はそのまま入会後の連絡手段になるため、ここでの選択は1年間の運営に影響します。
個人の連絡先を交換させない形にする
新歓で最初に決めるのは、見学者や体験参加者との連絡をどう取るかです。個人の連絡先を交換する形にすると、入会しなかった人の連絡先が運営側の個人端末に残り続けます。これは預かる側にとっても、渡した側にとっても負担です。
団体としての連絡経路を1つ持ち、そこに入ってもらう形にすると、入会しなかった人は自分で抜けられます。運営側も、誰の端末に誰の連絡先が残っているかを管理しなくて済みます。メンバー以外は中身を見られない場所に連絡をまとめておけば、活動の様子を見せながらも、外部に情報が漏れる心配を減らせます。
いま使っている道具を、新歓の負荷で見直す
多くのサークルはグループトークで連絡しています。新歓の時期に困りやすいのは、参加確認と過去の連絡の見つけにくさです。参加できる人の数を把握したいだけなのに、返信が並んで数え直しになる。集合場所を書いた連絡が、雑談で流れて見つからない。この2つは新歓に限らず起きますが、人数と連絡量が増える新歓期に最も表面化します。
グループトークで運営を続ける場合と、団体向けの連絡ツールに移す場合の違いは、LINEグループとの比較に、出欠の取り方や過去の連絡の残り方といった観点で整理されています。誰でも参加できる形の掲示板的な使い方を検討しているなら、参加者の匿名性や管理者の権限がどう変わるかを扱ったLINEオープンチャットとの比較が判断材料になります。
部活動や地域の団体で使われてきた仕組みと比べたい場合は、予定表と連絡の一体化がどこまでできるかをまとめたBANDとの比較が参考になります。過去の投稿を年単位で残す運用や、卒業した人との緩やかなつながりを重視するなら、公開範囲の設定と実名前提の運用について整理したFacebookグループとの比較を見ておくと、いまの使い方との差が分かります。オンライン中心の活動で、通話やチャンネル分けを重視する場合の向き不向きはDiscordとの比較にまとめられています。
新歓後にそのまま使い続けられるかで選ぶ
新歓の期間だけ別の道具を使い、入会後に本来の連絡手段へ移すという運用は、移行の手間が二重にかかります。新しく入った人にとっては、入って早々に2つ目の道具を入れることになり、そこで抜ける人が出ます。
選ぶときの基準は、新歓の受け付けから入会後の日常連絡まで、同じ場所で完結するかどうかです。見学者を仮の状態で受け入れておき、入会したらそのまま正式なメンバーに切り替えられる形なら、案内は1回で済みます。とりまとめる立場から見ると、この「案内が1回で済む」という点が、新歓期の負担をいちばん大きく下げます。
名簿と写真をどう預かるか
新歓では、それまで関わりのなかった人の情報を短期間に大量に預かることになります。ここの扱いを決めずに始めると、あとから修正がききません。
集める情報を必要最小限にする
申し込みの段階で集めるのは、氏名と連絡先と希望日の3つで足ります。学年、所属、住所、生年月日、緊急連絡先といった情報は、入会が決まってから改めて集めます。入会しなかった人の情報を持ち続けないことが、預かる側の負担を最も軽くします。
集めた情報の保管場所も先に決めます。個人の端末に表計算ファイルとして保存する運用は、その人が交代したときに引き継げないか、逆に引き継いだあとも元の端末に残り続けるかのどちらかになります。団体として管理する場所に保存し、閲覧できる人を役職で決めておくと、交代のたびに作り直す作業がなくなります。個人情報の扱い方の基本的な考え方は個人情報保護委員会が公開している資料が参考になります。
会費をいつ、どうやって集めるかを決めておく
新歓の時期に決まっていないと後で揉めるのが、会費の集め方です。入会と同時に集めるのか、体験期間を置いてから集めるのか。現金で集めるのか、振込にするのか。年払いか月払いか。これらが決まっていないと、集める側が個別に判断することになり、人によって扱いが変わります。扱いが変わったという話は、必ずあとから出てきます。
現金を手渡しで集める運用は、集金する人の負担が大きく、記録も残りにくくなります。誰が払ったかを表計算ファイルで管理し、その表を個人の端末に保存すると、担当が交代したときに引き継げません。入金状況は、会計と代表の2人以上が見られる場所に保存します。督促が必要な場合も、全員に一斉に呼びかけるのではなく、未納の人だけに個別に伝わる形にしておくと、払っている人に不快な思いをさせずに済みます。
新歓の告知に金額を書くときは、年間の総額と、初回に必要な金額を分けて書きます。年6,000円と書かれていると入会をためらう人でも、初回は0円で、入会後に月500円と分かれば判断しやすくなります。同じ金額でも、見え方で決断のしやすさが変わります。
写真の扱いを入会時に伝える
新歓では活動の様子を撮り、告知に使うことが多くなります。撮られる側からすると、どこに載るのかが分からないまま撮られるのは不安です。撮影する場合は、その場で用途を伝えます。団体内での共有だけに使うのか、公開の告知にも使うのか。この2つは分けて考える必要があります。
外部に載せたくない人が申し出やすい形を作っておくと、あとからの個別対応が減ります。運用としては、入会時に「公開の告知に使う場合は事前に確認する」と伝えている会が多く見られます。写真の保管場所も、撮った人の端末にしか残っていない状態は避けます。その人が抜けたときに、活動の記録ごと失われるためです。団体の中だけで見られる場所に写真を保存し、外部からは検索できない形にしておくと、共有と安全性を両立できます。
入会後1か月で定着が決まる
新歓の成果は、入会した人数ではなく、3か月後に残っている人数で測るべきものです。入会直後の1か月で辞める人が多いサークルは、新歓を強化しても人数が積み上がりません。
2回目の参加までを設計する
入会したあと、2回目の参加をするまでが最も抜けやすい期間です。1回目は新歓として歓迎されますが、2回目は通常の活動に混ざることになり、そこで居場所がないと感じると来なくなります。
対策は単純で、2回目に来たときに名前を呼べるようにしておくことです。名前と顔を覚えている既存メンバーが1人でもいれば、その人は3回目も来ます。新歓の受け付けで撮った写真と名前を運営側で共有しておくと、これができます。また、次回の日程が確定して伝わっていることも条件になります。「たぶん来週も同じ時間です」という伝え方では、来ない理由を作ってしまいます。
欠席した人を放置しない
入会後に1回休むと、次から来にくくなります。休んだ回に何をしたのか分からないため、次に行ったときについていけないと感じるからです。欠席した人に、その日の内容を一言でも共有する運用があると、この断絶が起きません。
共有の内容は詳細でなくて構いません。何をしたか、次回は何をするか、持ち物に変更があるか。この3点を活動後に1回投稿するだけで、休んだ人が戻りやすくなります。この作業を毎回誰かが個別に連絡する形にすると続かないため、全員が見られる場所に1回書けば済む形にしておきます。
来年の担当が同じ苦労をしない形にする
新歓は毎年やってきます。今年うまくいっても、その方法が来年の担当に伝わらなければ、また同じ試行錯誤が繰り返されます。とりまとめる立場の人にとって、最後に押さえるべきなのはこの引き継ぎです。
残すのは資料ではなく記録と場所
引き継ぎ資料を作ろうとすると、作る手間が大きく、結局作られないまま交代することになります。代わりに残すのは、今年の記録そのものです。実際に配った告知物、申し込みフォーム、返信に使った定型文、段階ごとの人数の記録、当日の役割分担表。これらが1か所にまとまっていれば、次の担当はそれを見て動けます。
重要なのは、これらが個人の端末ではなく団体の場所にあることです。よく聞くのは、前年の告知データが引き継がれず、毎年ゼロから作り直しているという話です。デザインを作り直す時間があるなら、その時間は導線の改善に使ったほうが効果があります。
管理できる人を最初から複数にする
申し込みフォームや連絡の仕組みを、1人のアカウントだけで管理していると、その人が抜けたときに引き継げません。作った時点で管理できる人を2人以上にしておきます。これは新歓に限らず、団体の運営全般で最も見落とされやすい点です。
交代の時期も決めておきます。新歓が終わってすぐ引き継ぐと、記録が新しいうちに渡せます。年度の終わりまで引き延ばすと、細部を忘れた状態で渡すことになり、次の担当は結局ゼロから考えることになります。
散らばった連絡・予定・写真をどう畳むか
ここまでの内容を、とりまとめる立場から一枚に畳みます。新歓で人を集めるという課題は、突き詰めると「情報がどこにあるか」の問題に行き着きます。
団体ごとに事情は違いますが、実際の使われかたを見ると共通点があります。会員が入れ替わる前提で運営されている集まりでは、連絡と予定と写真を同じ場所に保存し、役職で権限を渡す形が定着しやすくなります。地域の集まりでどう運用されているかは町内会での使われかたに、役員が毎年代わる前提での運用例がまとめられています。学年ごとに担当が入れ替わる組織での回し方はPTAでの使われかたが近い形です。
サークルに最も条件が近いのはサークルでの使われかたで、見学者の受け入れから入会後の連絡まで、同じ場所で扱う流れが示されています。参加者の入れ替わりが早く、欠席者への共有が課題になりやすい場合は教室での使われかたの運用が参考になります。人数が多く、学年やクラス単位で連絡を分ける必要がある場合は学校での使われかたに、階層のある連絡の整理の仕方が載っています。費用の扱い、退会した人の情報をどうするか、管理する権限の移し方といった運用上の疑問はよくある質問に整理されているため、新歓の準備を始める前に目を通しておくと、その場で答えられる範囲が広がります。
最後に、判断の順番だけ確認します。新歓を改善するとき、最初に手を付けるべきなのは告知物ではありません。1つ目に、申し込みの受け皿を個人から団体に移すこと。これだけで、興味を持った人が止まる場所が1つ減ります。2つ目に、段階ごとの人数を記録すること。どこで人が止まっているかが分かれば、翌年の打ち手が推測でなくなります。3つ目に、新歓で使った連絡の場所を、そのまま入会後も使える形にしておくこと。案内が1回で済み、入会直後に抜ける人が減ります。
サークルの新歓は、1年でいちばん人が動く時期であると同時に、運営の弱いところが全部表に出る時期でもあります。連絡が1人に集中していれば返信が滞り、予定が個人の頭の中にあれば当日に迷う人が出て、写真が誰かの端末にしか残らなければ翌年の告知が作れません。新歓を強くするというのは、その場限りの企画を増やすことではなく、1年を通じて回っている仕組みを、外から来た人にも見える形に置き直す作業です。置き直しさえ済んでいれば、来年の担当は今年の記録を見ながら始められます。人を集める力は、その積み重ねから出てきます。
Q1. 新歓のビラやSNSの投稿には、最低限どこまで書けばよいですか?
活動内容、日時、場所、費用、初心者でも参加できるかどうか、申し込み先の6つで足ります。受け取った人が見ている時間は数秒なので、この6つが一目で読み取れることを優先します。デザインに時間をかけるより、申し込み先のURLを載せて、その場から次に進める状態にしておくほうが効果があります。
Q2. 見学の申し込みを、個人の連絡先ではなく団体で受けるべき理由は何ですか?
3つあります。知らない相手に個別に連絡するのは負担が大きく、そこで止まる人がいること。受ける人が1人だと返信が遅れて機会を逃すこと。担当が交代したり忙しくなったりすると受け口ごと消えることです。氏名と連絡先と希望日だけのフォームを1つ用意し、そのURLを告知に載せる形が最も軽くなります。
Q3. 新歓に来てくれた人が、そのあと来なくなるのを防ぐには何をすればよいですか?
新歓から1週間以内に運営側から連絡し、次回の日時と場所、入会の手続き、決めるのはもう少し先で構わないことを伝えます。2回目に来たときに名前を呼べる状態にしておくことも効きます。休んだ回の内容を全員が見られる場所に一言書いておくと、1回休んだ人が戻りやすくなります。
Q4. 新歓で集めた個人情報や写真は、どう扱えばよいですか?
申し込み時は氏名と連絡先と希望日だけにし、詳しい情報は入会が決まってから集めます。保管は個人の端末ではなく団体の場所にして、閲覧できる人を役職で決めます。写真は撮る場に用途を伝え、公開の告知に使う場合は事前に確認する運用が多く取られています。外部に載せたくない人の申し出先も、入会時に伝えておきます。
