部活動、少年団、教室、地域の行事。子どもが集まる場を預かっていると、いつかは救急車を呼ぶ場面に立ち会います。そのとき最も慌てるのが、保護者への連絡です。名簿がどこにあるか分からない、番号にかけても出ない、誰が付き添うかが決まっていない。この記事では、救急車を呼ぶ事態になったときの保護者への連絡を手順として整理し、あわせて、事前に何を用意しておけば当日に迷わずに済むかをまとめます。判断そのものは専門家に委ねる部分が大きいため、ここでは連絡と段取りに絞って書きます。
活動中に救急車を呼ぶ場面は、めったにないが必ず起きる
まず、頻度の話をしておきます。
子どもが集まる活動の中で、救急車を呼ぶ事態はめったに起きません。年に1度もない団体がほとんどです。だからこそ、備えが後回しになります。何年も何も起きなければ、手順を作る動機が生まれません。
一方で、起きたときの負担は極端に大きくなります。現場で対応しながら、保護者に連絡し、残った子どもたちを見て、他の保護者からの問い合わせに答える。これを、その場にいる数人でこなすことになります。準備がない状態で全部を同時にやるのは、実際には不可能です。
さらに、起きる場面には偏りがあります。暑い時期の屋外の活動、水に関わる活動、走る競技、調理を伴う行事。これらの活動を持っている団体では、可能性が高くなります。自分の団体がどの活動を持っているかを確認して、備えの優先度を決めてください。
もう一つ押さえておきたいのが、起きる時間帯です。多くは休日か放課後で、保護者が仕事をしている時間帯にあたります。すぐに電話に出られない状況にある可能性が高い、という前提で連絡の手順を組む必要があります。この前提を持っているかどうかで、当日の動きが変わります。
呼ぶかどうかの判断を、その場の人に任せきりにしない
救急車を呼ぶかどうかで迷う場面は、実際によくあります。呼ぶほどではないかもしれない、大げさだと思われるかもしれない、という気持ちが働きます。
判断を助ける仕組みは公的に用意されています。総務省消防庁は、緊急度の判定を支援する仕組みについて次のように説明しています。
該当する症状及び症候を画面上で選択していくと、緊急度に応じた必要な対応(「今すぐ救急車を呼びましょう」、「できるだけ早めに医療機関を受診しましょう」「緊急ではありませんが医療機関を受診しましょう」又は「引き続き、注意して様子をみてください」)が表示されます。 出典: fdma.go.jp
団体として備えるなら、こうした仕組みの存在を、活動に関わる大人全員が知っている状態にしておくことです。当日に初めて探すのでは間に合いません。あわせて、地域によっては電話での相談窓口が用意されています。自分の地域で使える番号を、あらかじめ調べて紙に書いておいてください。
団体の中でやっておくべきなのは、判断の基準を作ることではありません。医療の判断を素人が基準化するのは適切ではありません。決めておくべきなのは、迷ったときに誰が決めるか、その人がいないときは誰が決めるかという役割です。責任の所在が決まっていれば、その場の人は迷わずに動けます。
もう一つ決めておきたいのが、呼んだ後に責められない空気を作ることです。結果として大事に至らなかったとき、呼んだ人が「大げさだった」と言われる空気があると、次の機会に判断が遅れます。呼ぶ判断は常に正しかったこととして扱う、と団体の方針として決めておいてください。
連絡が遅れる原因は、たいてい連絡先の置き場所
保護者への連絡が遅れる原因は、慌てているからではありません。連絡先がすぐに出てこないからです。
実際に起きるのは、次のような状況です。名簿が紙で、事務局の棚にある。表計算のファイルにあるが、開ける人がその場にいない。連絡先はチャットのアプリで繋がっているが、電話番号は知らない。緊急時の連絡先を入会時に集めたが、その紙をどこに保管したか分からない。
いずれも、連絡先そのものは存在しています。存在しているのに取り出せない、という状態です。この状態は、平常時には問題として現れません。日常の連絡はアプリで足りているためです。
もう一つの遅れの原因が、誰の連絡先か分からないことです。子どもの名前は分かっても、その子の保護者の名前と番号が結びつかない。きょうだいがいる家庭では、どちらの保護者の番号なのかが分からない。名簿が子ども単位で作られていない団体では、この照合に時間がかかります。
さらに、平日の日中は電話に出られない保護者が多くいます。1つの番号にかけて出なければ、次にどこへかけるかが決まっていないと、そこで止まります。
かける側の番号も問題になります。団体の担当者が自分の携帯電話からかけると、保護者にとっては知らない番号からの着信です。知らない番号に出ない設定にしている人は少なくありません。年度の初めに「緊急時はこの番号からかけます」と伝えて登録してもらうか、団体として使う番号を決めておくと、出てもらえる確率が上がります。
つまり、備えるべきは「連絡先を持っていること」ではなく、「その場にいる人が数十秒で取り出せること」です。この違いが、当日の動きを分けます。
事前に集めておく5つの情報
活動に子どもを預かる団体で、最低限そろえておきたいのが次の5つです。
・活動の当日に連絡が取れる電話番号(2つ以上) ・保護者以外の緊急連絡先(祖父母など、日中に動ける人) ・かかりつけの医療機関 ・持病、服薬、アレルギーの有無 ・保険への加入の有無
このうち、最も重要なのが1つ目です。日常の連絡先ではなく、活動の当日に出られる番号を集めてください。勤務先の番号を含めてよいかは家庭によって判断が分かれるため、集めるときに「当日に出られる番号を」と明示します。
2つ目が効くのは、保護者に連絡がつかない場合です。2つの番号にかけて出なければ、次にかける先が要ります。祖父母や近隣の親族の番号があると、そこで止まりません。
4つ目については、扱いに配慮が要ります。持病や服薬の情報は、家庭にとって開示に抵抗のある情報です。誰が見られるのかを明示したうえで、任意で提出してもらう形にしている団体が多く見られます。集めた情報は、活動に関わる大人のうち限られた人だけが見られる状態にしておいてください。
5つ目は、事後の手続きで必要になります。加入している保険があれば、けがの記録を残す形式が決まっていることがあります。当日に確認するのは難しいため、年度の初めに把握しておきます。
集めた情報は、更新の仕組みも決めてください。年度の初めに集めたきり更新していない団体では、番号が変わっている家庭が出ます。年に1回、確認の連絡を出すだけで精度が保てます。
誰が誰に連絡するかを、役割で決めておく
当日に最も混乱するのが、役割の分担です。人ではなく役割で決めておくのが要点になります。
必要な役割は4つです。
1つ目は、傷病者に付き添う人です。この人は動けません。他の連絡は担えないと考えてください。
2つ目は、119番に通報する人です。通報中は場所や状況を伝え続けるため、こちらも他のことはできません。
3つ目は、保護者に連絡する人です。名簿にたどり着き、電話をかけ、状況を伝えます。
4つ目は、残った子どもたちを見る人です。人数を確認し、活動を続けるか中断するかを判断します。
つまり、最低でも4人の大人が必要になります。大人が2人しかいない活動では、この分担が成立しません。その場合は、あらかじめ「近くにいる別の大人に応援を頼む」という手順を決めておくか、活動の設計そのものを見直す必要があります。
役割を人の名前で決めておくと、その人が休んだ日に成立しません。当日に来ている大人の中で、誰がどの役割を担うかを、活動の始めに口頭で確認する形にしている団体があります。30秒で終わる確認ですが、当日の動きがまったく変わります。
保護者に伝えるときの文面と話し方
保護者に連絡するとき、伝える順番が決まっていると、相手の不安が小さくなります。
電話で伝える場合は、次の順で話します。
・自分が誰か ・お子さんの名前 ・いま何が起きているか(けがや体調の状況) ・救急車を呼んだこと、または呼ぼうとしていること ・どこに向かうか、または向かう予定か ・保護者にどうしてほしいか
最初に名乗ることが重要です。知らない番号からの電話に出た保護者は、最初の数秒で相手を判断します。団体名と自分の名前を先に言えば、その後の話が入ります。
状況の説明は、見たままを伝えます。原因の推測や、大丈夫かどうかの見立ては言わないほうが安全です。「頭を打って、いまは意識があります」という事実の説明にとどめ、「たぶん大丈夫です」とは言わない。後から状況が変わったとき、最初の見立てが不信につながります。
どこに向かうかは、決まっていなければ「決まり次第すぐに連絡します」と伝えます。分からないことを分からないと言うほうが、相手は動けます。
電話がつながらなかった場合は、文面も送ります。
〇〇(団体名)の△△です。 本日の活動中に、〇〇さんが足を痛めました。 念のため救急車を呼び、これから病院に向かいます。 搬送先が決まりましたら、あらためてご連絡します。 お電話をいただければすぐに出られます。
短くしてください。長い文面は、動転している相手には読めません。事実と、次に何が分かるかだけを書きます。
連絡が取れなかったときの手順
最も想定しておくべきなのが、連絡がつかない場合です。
手順としては、次の順に進めます。
登録されている1つ目の番号にかける。出なければ2つ目の番号にかける。それでも出なければ、緊急連絡先にかける。同時に、文面でも同じ内容を送る。ここまでを5分以内に終える形にしておくと、搬送に間に合います。
それでもつながらない場合は、団体の責任者に連絡し、以後の対応を引き継ぎます。付き添う人が電話をかけ続けると、傷病者から目を離すことになります。かけ続ける役は、現場から離れた人が担うほうが安全です。
搬送先が決まった段階で、もう一度連絡します。この連絡は必ず入れてください。最初の連絡だけを受け取って、その後の情報がない状態が最も不安を与えます。
保護者と連絡がついた後は、どこで合流するかを伝えます。病院の名前、入口、担当している人の名前。この3つがあれば、到着した保護者は迷いません。
なお、保護者が到着するまでのあいだ、団体の誰かが付き添うことになります。誰が付き添うか、そのあいだ活動をどうするかは、事前に決めておく事項です。
救急車が来るまでのあいだにやっておくこと
通報してから到着するまでには、一定の時間があります。この時間をどう使うかで、その後の流れが変わります。
まず、場所を伝わりやすくする準備です。屋外の広い場所や、入口が複数ある施設では、救急車が入る場所に人を立たせます。誰が誘導に行くかを決めていないと、到着してから探すことになります。学校や体育館では、どの入口から入るかを施設の管理者に確認しておくと確実です。
次に、伝える情報の整理です。いつ、どこで、何が起きたか。どんな症状が出ているか。持病や服薬、アレルギーの有無。この3点を、到着したときにすぐ渡せる形にしておきます。紙に書いておくのが最も確実で、口頭では抜けが出ます。
保護者への連絡は、この時間帯に始めます。到着してから連絡すると、搬送先が決まるまでのあいだ、保護者は何も知らない状態で待つことになります。少しでも早く伝えるほうが、保護者は動けます。
同時に、その場に残る子どもたちの人数を数えます。混乱の中で、誰かが勝手に帰ってしまうことがあります。人数の確認を担当する人を決めておいてください。
最後に、活動場所の住所を全員が言える状態にしておきます。通報の際に住所を聞かれますが、いつも使っている場所ほど正式な住所を覚えていないものです。年度の初めに、活動場所の住所と最寄りの目印を1枚に書いて配っておくと、この場面で詰まりません。
判断が分かれやすい場面を、あらかじめ想定しておく
救急車を呼ぶかどうかが明らかな場面ばかりではありません。判断が分かれる場面を想定しておくと、当日に迷う時間が短くなります。
暑い時期の屋外の活動では、体調不良の訴えが複数出ることがあります。誰から対応するか、日陰に移すか、活動を止めるかを、その場で決める必要があります。1人の対応に人手を取られている間に、次の子が倒れることもあります。人数が多い活動では、止める判断を早めに出すほうが安全です。
頭を打った場面も、判断が分かれます。その場では元気に見えても、時間が経ってから症状が出ることがあります。医療の判断は専門家に委ねるべき領域ですが、団体としては「頭を打ったら必ず保護者に連絡する」という運用を決めておくことができます。連絡するかどうかを、その場の人に判断させないための取り決めです。
食物によるアレルギーの反応も、同様です。事前に把握している家庭であれば、家庭から対応の方針を聞いておきます。何を持っているか、どういう場合に使うか、誰が把握しているか。この3点を年度の初めに確認しておくと、当日に探さずに済みます。
いずれの場面でも、団体が決めるのは医学的な基準ではなく、連絡と役割の取り決めです。この区別を持っておくと、決めるべきことがはっきりします。
活動の場所によって、備えは変わる
同じ団体でも、活動する場所によって備えの内容が変わります。
屋内の施設では、施設の管理者が常駐していることが多く、救急箱や連絡の設備が用意されています。確認しておくべきなのは、管理者への連絡の方法と、施設側の手順です。施設に手順があるなら、それに合わせるほうが早く動けます。
屋外の公園や河川敷では、住所が分かりにくく、目印も少なくなります。到着までの時間も長くなりがちです。活動を始める前に、最寄りの目印と、車が入れる場所を確認しておいてください。
遠征や合宿では、地域そのものが違います。最寄りの医療機関が分からず、保護者もすぐには来られません。宿泊を伴う行事では、現地の医療機関を事前に調べ、保護者の当日の連絡先をあらためて確認しておくのが基本の形です。
水に関わる活動では、備えの水準が変わります。人数の確認をより頻繁に行い、大人の配置を厚くします。この種の活動を持っている団体では、他の活動と同じ備えでは足りません。
活動の場所ごとに1枚の備えの紙を用意して、当日にその場所の紙を持っていく形にしている団体があります。作る手間は1回で、以後は使い回せます。
残った子どもたちと、他の家庭への対応
見落とされやすいのが、その場に残った子どもたちです。
目の前で救急車が来る場面を見た子どもは、動揺します。年齢が低いほど影響が大きくなります。活動を続けるのか、その日は終わりにするのかを、その場で判断する人が必要です。
判断の目安としては、けがの程度と、残っている大人の人数で決めます。付き添いで大人が1人抜けた状態で活動を続けられるかを見て、続けられないなら中断します。中断する判断を後から責められないよう、あらかじめ「大人が足りなくなったら中断する」と決めておいてください。
もう一つが、他の家庭への連絡です。子どもは家に帰ってから、見たことを話します。保護者が何も知らない状態でその話を聞くと、団体に問い合わせが集中します。
伝える内容は、慎重に決めます。当日にけがをした子どもの名前や、けがの詳しい内容を全体に流すのは適切ではありません。「本日の活動中に体調を崩した参加者があり、念のため救急車を呼びました。ご家族には連絡済みです」という程度にとどめ、詳細は伝えないのが一般的な形です。
伝える相手も選びます。その場に居合わせた子どもの家庭にだけ伝えれば足りる場面が多く、団体の全員に流す必要がないこともあります。宛先を選べる形になっていると、この判断がしやすくなります。
事後の記録と、次に生かすこと
対応が終わった後、記録を残してください。当日は疲れていますが、時間が経つほど細部が曖昧になります。
残すのは、次の項目です。日時、場所、活動の内容、何が起きたか、誰がどう対応したか、いつ誰に連絡したか、搬送先、その後の経過。
この記録は、2つの場面で必要になります。1つは、加入している保険の手続きです。もう1つは、同じことが起きないようにするための見直しです。
見直しでは、対応の遅れがどこで起きたかを見ます。判断に迷った時間、名簿を探した時間、連絡がつくまでの時間。時間で見ると、改善すべき場所がはっきりします。判断の遅れであれば役割の確認を、名簿であれば置き場所を、連絡であれば登録している番号を見直すことになります。
記録は、次の年度の担当者にも引き継ぎます。担当が交代するたびに同じ失敗を繰り返す団体では、記録が個人の手元にしかありません。団体として残る場所に置いてください。
保護者への事後の連絡も忘れないでください。その後の様子を確認する連絡を1回入れるだけで、団体への信頼が変わります。
保護者の側から見た、当日の不安
備える側は現場の段取りに目が向きますが、連絡を受け取る保護者の側にも、決まった不安があります。ここを理解しておくと、伝える内容が変わります。
最初の不安は、状況が分からないことです。「救急車を呼びました」とだけ伝えられると、どの程度の事態なのかが分かりません。命に関わるのか、念のためなのか。伝える側が分かる範囲で状況を添えるだけで、この不安は大きく減ります。
次が、どこへ行けばよいかです。搬送先が決まっていない段階では答えられませんが、「決まり次第すぐに連絡します」と伝えておけば、保護者は移動の準備を始められます。何も言わないと、待つべきか動くべきかが決まりません。
3つ目が、自分が到着するまで誰が付いているかです。子どもが一人で運ばれるのかどうかは、保護者にとって大きな関心事です。団体の誰が付き添うのかを伝えると、安心につながります。
4つ目が、費用や手続きです。この場面で細かく説明する必要はありませんが、加入している保険があることを後から伝えられる状態にしておいてください。当日ではなく、落ち着いてからで構いません。
こうした不安に先回りして答えるには、伝える順番を決めておくのが最も確実です。動転している状況で、その場で考えて話すと、必ず抜けが出ます。1枚の紙に順番を書いて持っていれば、読み上げるだけで済みます。
年度の初めにやっておく準備
ここまでの内容を、年度の初めに1回で片付ける形にします。
・当日に連絡が取れる番号を2つ以上、全世帯から集める ・緊急連絡先と、配慮が必要な事項を任意で集める ・保険の加入状況を確認する ・役割の分担と、判断する人を決める ・連絡が取れなかったときの手順を1枚にまとめる ・活動場所の最寄りの医療機関を調べておく
このうち、1つ目と5つ目が最も重要です。番号は取り出せる場所に置き、手順は活動場所に持っていく1枚にまとめます。
置き場所については、紙とデータの両方を用意するのが現実的です。屋外の活動では端末の電池が切れることがあり、屋内では紙を忘れることがあります。両方あれば、どちらかで届きます。
集めた情報は、誰が見られるかを決めます。持病や服薬の情報は、活動に関わる大人全員に見せる必要はありません。メンバー以外は見られない状態を保ちながら、必要な人だけが必要なときに見られる形にしておいてください。
年度の途中で入った家庭にも、同じ情報を集める手順を作っておきます。入会の受付に組み込んでおけば、集め忘れが起きません。
連絡先と名簿が同じ場所にあると、どれだけ早くなるか
作業の数で見直します。保護者に連絡するまでに必要な作業は、子どもを特定する、保護者を特定する、番号を取り出す、かける、つながらなければ次の番号を出す、文面でも送る、の6つです。
名簿が紙で事務局にあり、連絡先がアプリの中にあり、緊急連絡先が別の用紙にある団体では、この6つのために3か所を探すことになります。探している時間は、そのまま連絡の遅れになります。
名簿と連絡先が同じ場所にあり、その場にいる大人が自分の端末から開ける形であれば、子どもの名前を探した時点で、番号も緊急連絡先も配慮事項も同じ画面に出ます。6つの作業のうち、探す工程が消えます。
もう一つの効果が、誰でも開けることです。当日の担当が誰であっても、同じ情報にたどり着けます。特定の人しか開けない状態は、その人が休んだ日に備えが無いのと同じです。
更新のしやすさも効いてきます。番号が変わったときに、家庭の側から直せる形であれば、名簿は自然に新しく保たれます。役員が集めて打ち直す形だと、更新のたびに作業が発生するため、結局は年に1回の一斉更新になり、その間に古くなります。当日に取り出した番号が古いというのが、最も避けたい事態です。
もう一つ、日常の連絡と同じ場所にあることの意味があります。備え専用の仕組みを別に用意すると、普段は誰も開きません。開き慣れていないものは、緊急時にも開けません。日常的に使っている場所に必要な情報が入っていれば、当日も同じ操作でたどり着けます。
団体の種類ごとの使われ方は、部活動や学校の単位なら学校での使われかた、習い事や道場なら教室での使われかた、地域の会なら町内会での使われかた、保護者の組織ならPTAでの使われかた、年度の区切りがない集まりならサークルでの使われかたにまとめています。日常の連絡に使われている手段との違いはLINEグループとの比較、参加者をリンクで集める形との違いはLINEオープンチャットとの比較、掲示板の形との違いはBANDとの比較、既存のつながりを使う形との違いはFacebookグループとの比較、通話を軸にした道具との違いはDiscordとの比較で確認できます。よく出る質問はよくある質問に、手段ごとの違いは他のサービスとの比較からまとめています。個別の相談はお問い合わせから受け付けています。
準備の順序としては、まず当日に連絡が取れる番号を集めること。次に、役割と、連絡が取れなかったときの手順を1枚にまとめること。最後に、名簿と連絡先を、その場にいる大人が開ける場所に置くこと。この3つが揃っていれば、当日は手順どおりに動くだけで済みます。備えが足りない団体に共通しているのは、連絡先を持っていないことではなく、持っているのに取り出せない場所に置いていることです。置き場所を変えるだけで、連絡までの時間は大きく縮みます。
Q1. 活動中に子どもがけがをしたとき、保護者への連絡と119番はどちらが先ですか?
命に関わる可能性がある状況では、119番が先です。保護者への連絡は、通報とは別の人が並行して行う形にしてください。付き添う人、通報する人、保護者に連絡する人、残った子どもを見る人の4つの役割を、活動の始めに割り振っておくと、当日に迷わずに済みます。
Q2. 保護者に電話がつながらないときはどうすればよいですか?
登録されている番号に順にかけ、出なければ緊急連絡先にかけます。同時に、同じ内容を文面でも送ってください。搬送先が決まったら、必ずもう一度連絡を入れます。かけ続ける役は現場から離れた人が担い、付き添う人が電話に専念しないようにしておくと安全です。
Q3. 事前にどんな情報を集めておけばよいですか?
当日に連絡が取れる電話番号を2つ以上、保護者以外の緊急連絡先、かかりつけの医療機関、持病や服薬やアレルギーの有無、保険の加入状況です。持病などは家庭にとって開示に抵抗のある情報なので、誰が見られるかを明示したうえで任意の提出にしてください。年に1回は更新の確認を出します。
Q4. 他の参加者の家庭には、どこまで伝えるべきですか?
けがをした子どもの名前や詳しい内容は伝えないのが一般的です。「活動中に体調を崩した参加者があり、念のため救急車を呼びました。ご家族には連絡済みです」という程度にとどめます。その場に居合わせた子どもの家庭にだけ伝えれば足りる場面も多く、宛先を選べる形になっていると判断しやすくなります。