PTAの日程調整が決まらないとき、原因は参加者の都合ではありません。候補日を出す順番を間違えているのです。全員に空いている日を尋ねてから調整を始めると、学校の行事と重なり、教室が使えず、管理職が同席できない日が候補に並びます。そこから再調整に入るので、二度手間になります。この記事では、PTAの会議に固有の制約を先に洗い出したうえで、候補を出す順番と、回答が集まらないときの締め方を整理します。
PTAの会議は、一種類ではない
日程調整の話を始める前に、いま何種類の会議を抱えているかを確かめてください。会議の種類によって、参加者も制約も決め方も違います。
一般的な小中学校のPTAには、次のような会議があります。
・本部役員会。会長、副会長、書記、会計などが集まる。人数は5人から10人程度で、月に一度の開催が多い ・運営委員会。本部役員と各専門委員会の委員長が集まる。人数が一気に増える ・専門委員会。広報、成人教育、校外指導、学年委員会など。委員会ごとに独立して動く ・地区委員会。登校班や地区の行事に関わる。地区ごとに開催時刻が違うこともある ・総会。全会員が対象。年に一度から二度 ・学校との合同の会議。管理職や地域の代表を交える
このうち、日程が決めにくいのは運営委員会と学校との合同の会議です。参加者が多く、しかも役割の異なる人が集まるからです。逆に、本部役員会と専門委員会は人数が少ないので、比較的柔軟に決められます。
日程調整の手間を減らしたいなら、まずこの一覧を作って、それぞれの参加人数と開催の頻度を書き出してください。年間で何回、何人を集める必要があるのかが見えます。多くの会で、この総回数が想定より多いことに気づきます。
動かせない予定を、先に埋める
候補日を考える前にやるべきなのは、動かせない予定をカレンダーに書き込むことです。この作業を先にやるかどうかで、調整の回数が変わります。
動かせない予定は、次の五つに分類できます。
・学校の年間行事。入学式、運動会、授業参観、修学旅行、卒業式、定期テストの期間 ・長期休業。夏季、冬季、学年末。この期間は学校が使えないことがある ・地域の行事。夏祭り、防災訓練、地区の運動会、資源回収 ・入試や進路に関わる日程。中学校では特に影響が大きい ・学校が設定する休養日。教職員の勤務に関わる日で、会議を入れられないことがある
このうち一番目は、四月の早い段階で学校から配られます。PTAの年間の日程を組むなら、この年間行事予定表を手に入れるのが出発点です。手に入る前に日程を決め始めると、必ずどこかで衝突します。
三番目の地域の行事は見落とされがちです。町内会や地区の行事とPTAの会議が重なると、両方に関わっている保護者が出られません。地域の役員を兼ねている保護者は珍しくないので、地区の年間予定も早めに確認してください。
五番目については、学校ごとに扱いが違います。教職員の在校時間を抑えるために特定の曜日を会議のない日と定めている学校では、その曜日にPTAの会議を入れることが難しくなります。年度の初めに管理職へ確認しておくと、後戻りが減ります。
学校の施設を借りるという制約を数える
PTAの会議の多くは学校の施設で開かれます。ここが、一般の団体の日程調整と決定的に違う点です。
確かめるべきなのは五つです。使える部屋はどこか。何時から何時まで使えるか。鍵は誰が開けるか。警備の設定を解除する必要があるか。そして、使用の申請はいつまでに誰に出すか。
夜間の利用については、警備の問題が絡みます。警備が入る時刻を過ぎて建物にいると警報が作動するため、終了時刻に厳しい制限がかかる学校があります。会議が長引いたときにどうするかを決めていないと、その場で慌てることになります。終了時刻を先に決めて、そこから逆算して議題の数を絞るのが正しい順番です。
鍵の管理も実務では大きな問題です。教職員が誰も残っていない時間帯に会議を開く場合、鍵を開ける人が必要になります。管理職に残ってもらう形にすると、その分だけ在校時間が延びます。PTAの役員が鍵を預かる形を認めている学校もありますが、これは学校の判断であってPTAが決められることではありません。
申請の期限も確かめてください。使用の申請を月単位で出す学校では、その月の会議の日程を前の月に確定させる必要があります。この期限が、実質的に日程調整の締め切りになります。
平日昼、平日夜、土曜午前の三択が、それぞれ誰を外すか
開催の時間帯は、実質的に三つの選択肢しかありません。そして、どれを選んでも誰かが外れます。
平日の日中は、専業で家にいる保護者や、勤務の融通がきく保護者には参加しやすい時間帯です。学校が開いているので施設も使いやすく、管理職も在校しています。外れるのは、勤務のある保護者です。この時間帯を選び続けると、参加者が固定され、役の引き受け手が偏ります。
平日の夜は、勤務のある保護者が参加しやすくなります。ただし、小さな子どもがいる家庭は預け先の問題が生じ、帰宅の時間帯が遅くなることを避けたい保護者も出ます。学校の施設を使う場合は、鍵と警備の制約が加わります。教職員が同席する場合、在校時間が延びます。
土曜日の午前は、勤務のある保護者にとって参加しやすく、施設も使いやすい時間帯です。外れるのは、土曜日に勤務がある保護者と、子どもの習い事や部活動の予定がある家庭です。教職員に出てもらう場合、休日の勤務になるため、学校側の負担が大きくなります。
三つのどれを選んでも外れる人がいる以上、目指すべきなのは「全員が出られる時間帯を見つける」ことではありません。年間を通して時間帯を分散させ、特定の層だけが常に外れる状態を避けることです。本部役員会は平日の夜、運営委員会は平日の日中、総会は土曜日の午前、といった具合に会議ごとに固定しておけば、参加できるかどうかを最初から見通せます。
教職員の勤務時間という制約を、正面から見る
PTAの会議に管理職や教職員が同席する場合、その時間は教職員の勤務時間に乗ります。この点は、近年の学校を取り巻く状況のなかで無視できない要素になりました。
文部科学省は、学校における働き方改革の目的を次のように示しています。
文部科学省では、教師のこれまでの働き方を見直し、自らの授業を磨くとともに、その人間性や創造性を高め、子供たちに対して効果的な教育活動を行うことができるようにすることを目的として、学校における働き方改革を進めております。 出典: mext.go.jp
この流れのなかで、夜間や休日のPTAの会議に教職員が同席することへの見直しが進んでいます。以前は当然のように教頭が最後まで残っていた会議でも、いまは冒頭の挨拶だけで退席する運用に変わっている学校があります。
会として取るべき対応は、教職員の同席が本当に必要な議題を絞ることです。学校の方針に関わる議題、行事の運営で学校と調整が要る議題、児童生徒の安全に関わる議題。これらは同席が要ります。一方で、会の内部の運営、会計、行事の役割分担といった議題は、PTAだけで進められます。
議題の順番を組み替えるだけでも効果があります。同席が必要な議題を会議の前半に集め、後半はPTAだけで進める。この形にすれば、教職員の在校時間は会議の半分で済みます。日程調整の段階から、この構成を前提に時間を確保してください。
「全員が出られる日」を探すと、決まらない
日程調整が長引く会には、共通する進め方があります。参加予定者の全員に空いている日を尋ね、全員が空いている日を探す、というやり方です。
参加者が20人を超えると、全員が空いている日はほぼ存在しません。存在したとしても、それは数か月先の一日だけ、といった条件になります。この方法では、会議の時期そのものが後ろにずれていきます。
代わりに置くべきなのは、参加者を二つに分ける考え方です。その会議に必ずいなければ議事が進まない人と、いなくても進められる人。前者を必須参加者と呼ぶことにします。
本部役員会なら、会長と書記は必須です。会計の議題があるなら会計も必須です。運営委員会なら、議題を提案する委員会の委員長が必須で、他の委員長は任意です。学校との合同の会議なら、管理職が必須です。この整理を先にやってください。
必須参加者だけで日程を合わせれば、調整の対象は3人から5人程度に減ります。この人数なら日程はすぐに決まります。任意の参加者には決まった日程を伝え、出られる人が出る形にします。
この方法には条件が一つあります。欠席した人への共有が確実に行われることです。共有の仕組みがないまま任意参加にすると、出席した人だけで物事が決まり、出られなかった人が疎外されます。
候補日を出す順番を、四つの手順に固定する
ここまでの制約を踏まえると、候補日を出す手順は次のように固定できます。
第一に、動かせない予定を除きます。学校行事、長期休業、地域行事、施設が使えない日。これらを外すと、選べる日は思ったより少なくなります。月に十日程度まで絞られることも珍しくありません。
第二に、時間帯を決めます。前の節で見た三択のうち、その会議に割り当てられている時間帯を選びます。会議ごとに時間帯を固定しておけば、この段階は自動的に決まります。
第三に、必須参加者に候補を投げます。ここで初めて人に尋ねます。候補は3つに絞ってください。多く出すほど回答が分散し、決まりません。三つに絞れないなら、第一と第二の作業が不十分です。
第四に、締め切りを切って回答を集め、多数が集まった日に決めます。締め切りは、開催日の何日前と決めておきます。施設の申請の期限がある場合は、そこから逆算します。
この順で進めると、尋ねる回数は一度で済みます。全員に空いている日を尋ねてから制約を当てはめる進め方だと、候補が消えるたびに尋ね直すことになります。同じ人に三度も四度も予定を尋ねると、回答率そのものが落ちます。
回答が集まらないときの締め方
候補を投げても、期限までに全員が回答することはまずありません。ここでどうするかを決めていないと、担当者が個別に催促して回ることになります。
まず、締め切りの時点で何人の回答があれば決められるかを、事前に決めておいてください。必須参加者の全員から回答があれば決める、という基準が最も分かりやすい形です。任意参加者の回答は、参加人数の見込みを立てるための情報であって、日程を決める材料ではありません。
次に、回答がなかった人の扱いを決めます。無回答をどの日も出られると解釈するのか、どの日も出られないと解釈するのか。前者にしておくほうが、日程は決まります。無回答の人が結果として出られなかった場合は、欠席として扱います。この方針を、候補を投げる時点で書いておいてください。「期限までにご回答がない場合は、いずれの候補でも差し支えないものとして進めます」の一文があるだけで、催促の作業が消えます。
催促する場合も、一度だけと決めてください。締め切りの前日に全体へ一度だけ声をかける。個別の催促はしません。個別に催促を始めると、催促する側の負担が際限なく増えますし、催促された側にも圧力がかかります。
決まったあとに「その日は出られない」と申し出があった場合の扱いも、先に決めておきます。必須参加者からの申し出なら再調整、任意参加者からなら欠席として扱い議事録で共有する。この線を引いておけば、その場で判断せずに済みます。
年間の予定を四月に一括で決める方式
日程調整の回数そのものを減らす方法として、年間の予定を年度の初めに一括で決めてしまう形があります。
第二水曜日の夜に本部役員会、第四水曜日の日中に運営委員会、といった形で曜日と週を固定し、一年分の日付を四月に確定させます。学校の年間行事予定と重なる回だけを個別にずらす、という運用です。
利点は明らかです。日程調整という作業が年に一度で済み、参加者は自分の予定を先に確保できます。勤務のある保護者にとって、半年先の予定が分かっているかどうかは参加率に直結します。
欠点は、変更への対応が発生することです。学校行事の日程が年度の途中で変わる、会議の議題がなくて開催の必要がなくなる、逆に緊急の議題が生じて臨時の会議が要る。こうした変更は必ず起きます。
対処としては、年間の予定を確定したうえで、開催の一週間前に開催するかどうかを確認する運用を組み合わせます。議題がなければ開催しない、という判断を毎回行えば、無駄な会議が減ります。年間で12回組んでいた本部役員会が、実際には8回で足りた、という結果になることは珍しくありません。
一括で決める方式を採る場合、決めた予定をどこに置くかが重要になります。四月に配った紙だけが情報源だと、変更が反映されません。会として一箇所に置き、変更があればそこが直る形にしてください。
学年で予定が違うことを、見落とさない
日程調整でしばしば起きる失敗が、学年ごとの予定の違いを考慮しないことです。
小中学校では、学年によって行事の予定が大きく異なります。修学旅行、宿泊学習、社会科見学、職場体験、高校の受験。これらは特定の学年だけに影響し、その学年の保護者と担任は動けなくなります。
学年委員会のように学年ごとに独立した会議なら問題は起きませんが、運営委員会のように学年をまたいで人が集まる会議では、特定の学年の委員長が毎回欠席する事態が生まれます。年間行事予定表を見るときは、全校の行事だけでなく、学年別の行事も確認してください。
最終学年は特に注意が必要です。卒業に関わる行事と進路の日程が重なり、その学年の保護者の負担が年度の後半に集中します。卒業対策に関わる会議がその上に乗ると、担当する保護者が疲弊します。最終学年の委員会の日程は、他の学年より早い時期に前倒しして組むほうが無理がありません。
新入学の学年についても、四月から五月にかけて説明会や面談が集中します。この時期に新一年生の保護者を集める会議を入れると、参加率が下がります。委員の選出そのものが遅れることもあるので、一年生の学年委員会は五月以降に置くのが現実的です。
日程調整の道具を使うときの落とし穴
候補日を投げて回答を集める道具はいくつもありますが、PTAで使うときに特有の詰まりどころがあります。
一つ目は、回答するときの名前です。誰が回答したかが分からない形だと、必須参加者から回答が来ているかを確認できません。名前を入れてもらう形にする必要がありますが、そうすると誰が何日に出られないかが全員に見えます。勤務の都合や家庭の事情が推測されることを嫌う人もいるので、この点は事前に説明しておいてください。
二つ目は、回答しない人の存在です。道具を使えば回答率が上がるわけではありません。回答を求める場所が普段使っている連絡の場から離れていると、かえって回答率は下がります。日程の候補を投げる場所は、普段の連絡と同じ場所にするのが確実です。
三つ目は、結果の保管です。回答の集計結果が外部の道具の中にしか残らないと、年度が変わったときに参照できなくなります。決まった日程は、会として管理している場所に書き写してください。
四つ目は、回答の形式です。丸と三角とバツの三段階で尋ねると、三角の扱いで揉めます。出られるか出られないかの二択にしておくほうが、集計も判断も速くなります。
日程の連絡を、どこで流すか
候補日の提示、決定の連絡、直前の確認、変更の連絡。日程調整は一回のやりとりでは終わりません。この一連が同じ場所で完結するかどうかで、担当者の負担が変わります。
メッセージアプリのグループを使う場合、候補日の投稿が他の話題に流されるのが最大の問題です。回答が集まる前に投稿が画面から消えると、回答率が落ちます。回答が個別の返信としてグループに流れると、集計する側が投稿を遡って数えることになります。投稿が流れる仕組みと、それが回答率に及ぼす影響はLINEグループとの比較で扱っています。
投稿を上に固定できる掲示板の形なら、候補日の投稿を締め切りまで見える位置に置けます。過去の会議の日程も残るので、翌年の参考になります。この見極めはBANDとの比較を確認してください。話題ごとに場所を分けたい場合はDiscordとの比較を、既存の交流サービスの機能を使う場合はFacebookグループとの比較を、参加の範囲を広く取る形についてはLINEオープンチャットとの比較を見てください。
日程調整の観点で見るべきなのは四つです。候補日の投稿が締め切りまで流れずに残るか。誰が回答していないかを一覧で確認できるか。決まった日程を予定として残せるか。そして、役員が交代しても過去の日程が残るか。委員の氏名と予定を扱う以上、メンバー以外は見られない状態であることも前提です。実際の使われ方はPTAでの使われかたに、学校との連絡が絡む場合は学校での使われかたに、少人数で回数の多い集まりについては教室での使われかたにまとめています。細かい条件についてはよくある質問に答えを置いています。
決まったあとに、欠席者へ何を渡すか
必須参加者だけで日程を決める方式を採るなら、欠席者への共有が生命線になります。ここが弱いと、会議に出られない人が意思決定から外れます。
渡すべきものは三つです。決まったこと。決まらなかったこと。そして、次に何をいつまでにするか。議事録を全文書き起こす必要はありません。この三つが書かれた短い文章があれば十分です。
書く人を決めておいてください。書記が担うのが自然ですが、書記が欠席する回もあります。会議の冒頭で記録する人を指名する運用にしておけば、書き手が空くことはありません。
共有する期限も決めます。会議の翌日まで、といった形で決めておかないと、次の会議の直前になって前回の記録が回ってくることになります。それでは欠席者が意見を出す余地がありません。
もう一つ、欠席者から意見を受け取る経路も用意してください。共有された内容に対して「その件はこう思う」と返せる場所がないと、共有は一方通行の報告で終わります。返せる場所があると分かっていれば、欠席することへの心理的な負担も軽くなります。
会議の時間の長さも、日程と一緒に決める
日程を決めるとき、開始の時刻だけを伝えて終了の時刻を伝えない会が多くあります。参加するかどうかの判断は、始まりの時刻より終わりの時刻に左右されます。
夜の会議で、終了が何時になるか分からないまま参加を求められると、子どもを預けている保護者や、翌朝が早い保護者は出席をためらいます。終了の時刻を先に示しておけば、預け先の手配や帰りの段取りが立てられます。参加率は、日程の選び方より終了時刻の明示で変わることがあります。
時間を決めたら、議題の数をその時間に収まる範囲に絞ってください。90分の会議に議題を10件載せると、必ず時間を超えます。判断を要する議題は一件あたり15分程度を見込み、報告だけの議題は事前に文章で配って会議では扱わない。この二つを守れば、時間内に終わります。
終了時刻を守ることには、もう一つの効果があります。時間内に終わる会議だと分かっていれば、次回も出席してもらえます。毎回延びる会議は、参加者が減っていきます。日程調整が難しくなる原因の一部は、過去の会議が長引いた経験にあります。
学校の施設を使っている場合は、警備や施錠の時刻がそのまま上限になります。この上限から逆算して開始の時刻を決め、議題の数を絞る。順番を逆にすると、必ず途中で打ち切ることになります。
会議そのものを減らせないかを、先に考える
日程調整の技術をどれだけ磨いても、会議の回数が多ければ負担は残ります。調整の方法を変える前に、回数を減らせないかを検討してください。
減らせる候補は三つあります。一つ目は、報告だけの会議です。報告を聞くために集まっているなら、文章で共有すれば足ります。集まる必要があるのは、その場で判断や合意が要るときだけです。
二つ目は、参加者が重なっている会議です。本部役員会と運営委員会の参加者が大きく重なっているなら、続けて開催するか統合できないかを検討します。同じ人が別々の日に二度集まる形は、日程調整の手間も二倍です。
三つ目は、慣習で続いている会議です。年間の予定に入っているから開いているが、議題が毎回ないという会議は、どの会にもあります。開催の一週間前に議題の有無を確認する運用を入れるだけで、こうした会議は自然に減ります。
会議を減らす提案は、前の年度からの引き継ぎを尊重する空気のなかで出しにくいものです。だからこそ、年度の初めに年間の予定を組む場で議題に載せてください。年度の途中で減らそうとすると、特定の会議を狙い撃ちにしているように見えます。
日程が決まらない会に、共通していること
最後に、日程調整が慢性的に長引く会の特徴を整理します。
第一に、制約を洗い出す前に人に尋ねています。学校の年間行事予定表を手に入れる前、施設の使用条件を確かめる前に、参加者へ都合を聞いています。だから候補が消え、尋ね直すことになります。
第二に、参加者を分けていません。全員を同じ重さで扱うので、全員が空いている日を探すことになり、日程が数か月先へずれます。
第三に、締め切りの扱いが決まっていません。無回答をどう解釈するかが決まっていないので、担当者が個別に催促して回ります。この作業が担当者を消耗させ、翌年に役を引き受ける人がいなくなる一因になります。
第四に、決まったあとの共有の経路がありません。共有がないので欠席が不利益になり、参加できない人ほど関与から遠ざかります。
この四つは、いずれも道具を変えれば解決するものではありません。手順を決めるだけで解決します。逆に言えば、手順が決まっていれば、使う道具は普段の連絡と同じ場所で構いません。手段ごとの違いを一枚で見たい場合は他のサービスとの比較が使えます。似た構造で会議を回している地域の組織については町内会での使われかたが参考になります。会の規模や会議の種類によって適した形は変わるので、具体的な条件があればお問い合わせから確認するのが早道です。
もう一つ、判断の材料として残しておきたい数字があります。候補を投げてから日程が確定するまでに何日かかったか、そして予定した参加人数に対して実際に何人が出席したか。この二つを会議ごとに記録しておくと、翌年の担当者が時間帯や締め切りの設定を見直せます。記録がなければ、参加率が低いのが日程のせいなのか議題のせいなのかも判断できません。手書きの一行で構わないので、会議の記録に添えておいてください。
年度の初めに決めるべきことは、実は多くありません。会議の種類ごとの時間帯、必須参加者の範囲、締め切りの日数、無回答の扱い、共有の期限。この五つを紙に書いて引き継げば、翌年の担当者は日程調整でつまずきません。
Q1. PTAの会議の候補日は、いくつ出すのが適切ですか?
3つに絞ってください。候補を多く出すほど回答が分散し、決まりません。3つに絞れない場合は、動かせない予定を除く作業と、時間帯を決める作業が不十分です。学校の年間行事予定、長期休業、地域行事、施設が使えない日を先に外してから候補を立ててください。
Q2. 参加予定者の全員に都合を聞くべきですか?
必須参加者と任意参加者を分けてください。その会議に必ずいなければ議事が進まない人だけに候補を投げれば、調整の対象は3人から5人程度に減り、日程はすぐ決まります。任意参加者には決まった日程を伝え、出られる人が出る形にします。ただし、欠席者への共有の仕組みを同時に用意することが条件です。
Q3. 期限までに回答が来ない人がいる場合、どうすればよいですか?
候補を投げる時点で、無回答の扱いを書いておいてください。「期限までにご回答がない場合は、いずれの候補でも差し支えないものとして進めます」と明記すれば、個別の催促が不要になります。催促は締め切りの前日に全体へ一度だけにとどめ、個別には行わないと決めておくと、担当者の負担が抑えられます。
Q4. 夜の会議に管理職の先生に同席してもらってもよいですか?
同席が必要な議題を絞ってください。学校の方針、行事の調整、児童生徒の安全に関わる議題は同席が要りますが、会の内部の運営や会計、役割分担はPTAだけで進められます。同席が要る議題を会議の前半に集めて構成すれば、教職員の在校時間は会議の半分で済みます。日程を組む段階から、この構成を前提にしてください。