discord とは何かを調べる場面は、たいてい人から勧められたときです。若い会員が「Discordのほうが楽ですよ」と言い出した、子どもが部活で使っている、地域の若手グループがそこで集まっている。ゲーム用の道具という印象が強く、会の連絡に使えるのかどうかが分からないまま検索する人が多いはずです。ここでは、Discordが何であるかを公式の説明で確かめたうえで、町内会やPTAや部活のような集まりで使ったときに何ができて、どこが引っかかるのかを整理します。
Discordとは何か
Discordは、文字と音声と映像でやりとりするための場所を提供するサービスです。公式のヘルプセンターでは、次のように説明されています。
Discordは、ユーザーがテキスト、音声、ビデオを通じてコミュニケーションできるプラットフォームです。 ユーザーはさまざまなトピック、興味、またはゲームグループに基づいて自分のコミュニティを作成または参加できます。 出典: support.discord.com
ここで押さえるべきなのは、LINEのように1対1の連絡先を中心に組み立てられていない点です。Discordの中心にあるのはサーバーと呼ばれる場所で、公式の説明ではこれを仮想の集会所にたとえています。集まりごとに1つの場所を作り、その中を用途別の部屋に分ける、という構造です。
会の運営に引き寄せて言えば、町内会という建物があり、その中に「全体連絡」「役員会」「防災」「行事の写真」といった部屋が並んでいる形になります。話題ごとに部屋が分かれているので、防災の相談と行事の持ち物の話が同じ画面で混ざることがありません。LINEのグループで起きがちな、大事な連絡が雑談に押し流される現象は、構造として起きにくくなっています。
サーバーは無料で作成できます。公式のセットアップガイドには、Discordサーバーは無料で作成でき、小規模な友人グループから何千人ものメンバーを持つ大規模コミュニティまで対応できる、と書かれています。会の人数で料金が変わる仕組みではありません。
参加や作成には上限があります。1人のユーザーが参加または新規作成できるDiscordサーバーは、最大100個までです。有料のDiscord Nitroに登録すると、この上限は200個に引き上げられます。会で使う分には、この上限が問題になることはまずありません。
サーバーとチャンネルという分け方
サーバーの中は、チャンネルと呼ばれる部屋に分かれています。大きく3種類あります。
1つ目はテキストチャンネルです。文字でのやりとり、ファイルの共有、続いている議論のための場所です。話題ごとに部屋を分けられるので、会の連絡を「全員向け」と「役員だけ」と「行事の実行委員だけ」に分けて置けます。
2つ目はボイスチャンネルです。音声と映像でのやりとりに使います。ここには、会の運営に効く特徴があります。公式の説明によれば、ボイスチャンネルはクリックするだけで参加でき、呼び出しは必要ありません。誰かが入っているかどうかは、サーバーの他のメンバーから見えます。つまり、電話のように相手を呼び出して待つのではなく、決まった時間に部屋へ集まる形になります。役員会のような定例の集まりには、この形のほうが合います。
3つ目はフォーラムチャンネルです。トピックごとの投稿を重複させずに作れる整理された議論の場所とされていますが、これはコミュニティサーバーでのみ利用できます。サーバーの種類については後で触れます。
チャンネルはカテゴリにまとめられます。似たチャンネルをグループ化して、ドラッグして並べ替えられます。会の構造をそのまま画面に写せるので、「常設」「今年度の行事」「過去の記録」といった形で整理しておくと、新しい役員が見て分かる状態になります。
チャンネルごとに、誰がアクセスできるかを決めることもできます。特定のメンバーだけが入れるロール専用チャンネルを作れるので、役員だけの相談と全員への連絡を、同じサーバーの中で分けられます。LINEで役員用のグループと全体のグループを別々に作って両方を管理する、という手間が要りません。
このほか、チャンネルの中で会話を整理するスレッド、意見を集める投票の機能もあります。行事の日程を決めるときに、投票を1つ立てて集約する、といった使い方ができます。
実際に作る手順
言葉だけでは掴みにくいので、作る手順を追っておきます。公式のセットアップガイドによれば、最初のサーバーを作る作業は数分で終わります。
まず、パソコンのアプリかブラウザでDiscordを開き、左側のサイドバーにあるサーバーを追加するアイコンを押します。次に、自分で作成を選ぶか、用意されているテンプレートを選びます。自分で作成を選んだ場合は、クラブやコミュニティのためか、自分と友達のためかを選びます。あとはサーバーに名前を付け、必要ならアイコンの画像を追加して、作成のボタンを押すだけです。
会で使う場合、ここで決める名前に注意してください。招待リンクを受け取った人が最初に見るのがこの名前です。学校名と学年とクラスを全部並べると、リンクが外へ出たときに、どこの誰の集まりかが分かります。会の中では通じるが外からは特定しにくい名前にしておくのが無難です。
サーバーを作ったら、次はチャンネルを作ります。チャンネルのカテゴリの横にあるプラスの記号を押して、テキストか音声かを選び、名前を入力して、チャンネルを作成を押します。チャンネルの一覧を右クリックしても同じ作業ができます。この方法で作った場合、ボイスチャンネルは一番上に置かれるので、あとからドラッグしてカテゴリに移します。
チャンネルを作る権限は、誰にでもあるわけではありません。公式のヘルプには、ボイスチャンネルを作成するにはサーバーの所有者であるか、モデレーターの権限を設定する必要がある、と書かれています。会の役員に作業を分担してもらうなら、先に権限を渡しておく必要があります。
最初に作るチャンネルの数は、多くても3つから4つに抑えてください。使う前に部屋をたくさん作ると、どこに何を書けばよいか誰も分からなくなります。全体への連絡、雑談、役員の相談。この3つから始めて、必要になったときに足すのが定着しやすい形です。
誰が入れるかを決める仕組み
会の連絡に使えるかどうかは、結局ここで決まります。Discordのサーバーは、初期状態では招待制です。公式のヘルプには、招待のみがすべてのDiscordサーバーの初期のプライバシー設定であり、これにより誰がサーバーに参加するかを最大限に制御できる、と書かれています。検索すれば誰でも入れる場所ではありません。
参加の方法は3つ用意されています。招待のみ、参加申請、発見対象です。設定は、左上のサーバー名を押してサーバー設定のアクセスに進み、どのようにサーバーへ参加するかの項目から選びます。
招待のみを選んだ場合、メンバーは有効な招待リンクを通じてのみ参加できます。招待リンクには種類があり、ひとクリックで招待するインスタント招待、覚えやすい独自のURLを使うカスタム招待リンク、決められた時間または使用回数の後に期限切れになる一時的な招待、そして期限切れにならない永久招待があります。公式のガイドでは、永久招待は注意して使うようにと添えられています。
会の運営では、この期限と使用回数の設定が効きます。総会の案内に載せるリンクを、有効期限を切って発行する。役員だけを入れるリンクは、使用回数を人数分に限って発行する。こうしておけば、リンクが外へ流れても、期限が過ぎれば入れません。紙の回覧にQRコードを載せる会では、この仕組みがあるかどうかで安全性がかなり変わります。
参加申請を選んだ場合は、もう一段厳しくなります。申請フォームに答えた人を管理者が確認してから入れる形で、申請が保留の間、その人はサーバーの中身を閲覧できません。質問は自分で作れるので、班や学年やクラスといった、名簿と突き合わせられる項目を聞けます。申請を受けた側は、承認、拒否、あるいは直接やりとりして確かめるインタビューの3つから選べます。承認や拒否ができるのは、サーバー管理者と、メンバーをキックする権限を持つメンバーです。
発見対象は、Discordの中で新しいコミュニティを探している人に見つけてもらうための設定で、サーバーをコミュニティサーバーとして設定し、要件を満たす必要があります。会の連絡に使う場合、ここを選ぶことはまずありません。
ロールと権限で役割を分ける
Discordが会の運営に向く最大の理由が、この仕組みです。メンバーにロールを割り当て、ロールごとにできることを決められます。
設定は、サーバー名をタップしてサーバー設定に入り、ロールに進みます。編集したいロールを選んで権限のタブを開くと、項目ごとに有効と無効を切り替えられます。たとえばチャンネルの管理の権限を有効にすると、そのロールを持つ人はテキストチャンネルとボイスチャンネルを作成したり削除したりできるようになります。
会に当てはめると、会長と副会長には全体の管理を、書記には記録の部屋の管理を、班長には自分の班の部屋だけを、一般の会員には読むことと書くことだけを、という形で分けられます。LINEのグループには、こうした段階がありません。全員が同じ権限を持つか、あるいはオープンチャットの管理者のように、権限を持つ人と持たない人の2段階しかありません。
そして、この権限は人ではなくロールに付いています。役員が交代するときは、辞める人からロールを外し、新しい人にロールを付けるだけで済みます。部屋を作り直す必要も、設定をやり直す必要もありません。毎年役員が代わる会にとって、これは実務上かなり大きな違いです。
ボイスチャンネルにも権限が効きます。参加する権限がないボイスチャンネルには錠前のアイコンが付いて、入れないことが分かります。役員会の部屋を作っておいても、一般の会員には見えるが入れない、という状態にできます。
ただし、良いことばかりではありません。権限の項目は細かく、設定を間違えると、見えるはずの人に見えない、見えてはいけない人に見える、という事故が起きます。最初に作るときは、ロールを2つか3つに絞り、必要になってから増やすのが安全です。役員、会員、この2つだけでも、たいていの会は回ります。
身内で使うための安全側の設定
外から人が入ってくるリスクを下げる仕組みとして、認証レベルという設定があります。公式の説明では、認証レベルとは、ユーザーがチャンネルでテキストメッセージの送信を許可される前に満たさなければならないセキュリティ要件であり、ボットやスパムのアカウントが大量に参加するのを防ぐのに役立つ、とされています。
段階は5つです。なしを選ぶと認証の制限がなくなり、入った人はすぐに書き込めます。公式の説明では、これは仲間内のプライベートなサーバーに適しているとされています。低は、参加するときにアカウントがメールアドレスで認証されている必要があります。中は、それに加えて、会話を始める前に5分以上待つ必要があります。高は、メール認証に加えて、Discordに登録してから5分以上経っていること、さらにサーバーに参加してから10分以上経っていることが条件になります。最高は、そのすべてに加えて、アカウントに確認済みの電話番号がつながっている必要があります。
ただし、注意すべき例外が1つあります。公式のヘルプには、認証済みの電話番号を持っている場合は他のすべての要件よりも優先される、と書かれています。つまり、電話番号を認証しているアカウントであれば、メールの認証や時間の条件を満たさずに、どの認証レベルのサーバーにも参加できます。認証レベルは、あくまでボットやスパムの大量流入を抑えるための仕組みであって、知らない人を1人ずつ止める関門ではありません。個別に確かめたいなら、前に述べた参加申請を使うべきです。
会の連絡に使うなら、実務的な組み合わせは決まっています。参加の方法は招待のみか参加申請にする。招待リンクには有効期限と使用回数を設定する。認証レベルは低か中にしておく。ロールは役員と会員の2つから始める。この4つを済ませてから招待を出せば、閉じた場として使えます。
なお、参加する側にも設定があります。招待リンクを直接押すと、正式に参加する前に、そのサーバーで使うニックネームを変えたり、サーバーのメンバーからのダイレクトメッセージを許可するかどうかを決めたり、自分の活動状況を表示するかどうかを選べます。会の名簿として本名を出したくない人への配慮が、入口の時点でできるということです。
音声で集まるという使い方
会の運営でDiscordがいちばん力を発揮するのは、実はここかもしれません。ボイスチャンネルの作りが、定例の集まりと相性がよいからです。
電話やビデオ通話は、誰かが誰かを呼び出すところから始まります。呼び出す側には「今かけてよいのか」という迷いがあり、呼ばれる側には「出なければ」という圧があります。Discordのボイスチャンネルはそうではありません。部屋が常にそこにあり、入りたい人が入る。公式の説明でも、ボイスチャンネルはクリックするだけで参加でき、呼び出しは必要ない、とされています。
誰が入っているかはサーバーの他のメンバーから見えます。役員会の時間になったら、入れる人が入る。遅れる人は遅れて入る。用事が済んだら抜ける。会議室に集まるのと同じ感覚で扱えます。出欠を厳密に取らない打ち合わせであれば、この形はかなり楽です。
ボイスチャンネルには状態を設定する機能もあります。参加したあとにチャンネル名の下にあるチャンネルステータスの設定を押すと、今そこで何をしているかを短く書けて、絵文字も付けられます。「役員会」「行事の打ち合わせ」といった表示を出しておけば、通りかかった会員が入ってよいのかどうかを判断できます。この機能を使える範囲も、ロールの権限で調整できます。
資料を見ながら話したい場面にも対応しています。ボイスチャンネル、ダイレクトメッセージ、グループのダイレクトメッセージに接続している間は、自分の画面を共有できます。会計の一覧や行事の案内図を映しながら説明できるので、集まって紙を回す手間が減ります。
ただし、この使い方には前提があります。参加する側がアプリを入れていて、マイクの権限を許可していることです。年に数回しか集まらない会でこれを求めるのは負担が大きいので、日常の連絡に使っていて、ついでに音声も使う、という順番のほうが無理がありません。
招待を配るときの実務
招待の仕組みは前に触れましたが、会で配るときに気をつける点を具体的にしておきます。事故のほとんどは、リンクの配り方で起きるからです。
第一に、リンクの種類を場面で使い分けます。役員だけを入れるなら、使用回数を人数分に限った招待を作ります。全会員に配るなら、有効期限を設けた招待を、配布から1週間程度で切れるように作ります。期限切れにならない永久招待は、公式のガイドでも注意して使うようにと書かれているとおり、会の運営では基本的に避けるべきです。
第二に、配る経路を1本に絞ります。回覧で配り、メールでも送り、LINEでも流す、という配り方をすると、どの経路から漏れたのかを後から追えません。会の正式な連絡手段を1つ決めて、そこからだけ配る。追加で必要になった人には、そのつど新しいリンクを発行して個別に渡す。この形にしておけば、漏れた経路が特定できます。
第三に、申請をかけている場合は、抜け道があることを知っておいてください。公式のヘルプには、メンバーをキックする権限を有効にしているメンバーは、申請の手続きを迂回する特別な招待リンクを作成できる、と書かれています。そのリンクは、サーバー設定の招待の画面で確認できます。役員に広い権限を渡している会では、誰がどの招待を出したかを、この画面で定期的に見ておく必要があります。
第四に、招待を出す前に設定を終えることです。サーバーを作り、チャンネルを作り、ロールを決め、参加の方法と認証レベルを決める。ここまで済ませてから人を入れます。先に人を入れてから設定を直すと、設定の途中経過をメンバーに見られますし、権限の付け替えの最中に見えてはいけない部屋が見えることがあります。
第五に、入った人への案内を最初のチャンネルに置いておきます。どの部屋に何を書くのか、通知をどう設定すればよいのか、困ったときは誰に聞くのか。この3つを書いた投稿が1本あるだけで、役員に来る問い合わせが目に見えて減ります。
会で使うときに引っかかるところ
ここまでは使える側面を並べましたが、とりまとめる立場の人が知っておくべき制約もあります。ここを伏せたまま導入すると、年配の会員から反発が出ます。
1つ目は、導入の入口の高さです。Discordはアプリを入れてアカウントを作るところから始まります。LINEは日本ではすでに入っている前提で話ができますが、Discordはそうではありません。メールアドレスを登録し、場合によっては電話番号の認証まで進む必要があります。年配の会員が多い会では、この時点で脱落する人が出ます。新しいIDとパスワードを1つ増やすことが、会にとってどれだけの負担になるかを先に見積もってください。
2つ目は、画面の情報量です。サーバーの一覧、チャンネルの一覧、メンバーの一覧が同時に並ぶ画面は、慣れると効率的ですが、初めて見る人には複雑です。LINEのトーク一覧に慣れた人が、そのまま扱えるものではありません。導入するなら、最初のチャンネルを2つか3つに絞り、使いながら増やすほうが定着します。
3つ目は、見た目を整える機能の一部が有料である点です。サーバーごとに異なるアバターやバナーや自己紹介を設定するサーバープロフィールは、Nitroの特典として案内されています。ニックネームをサーバーごとに変えること自体は入口の設定でできますが、それ以上の個別化には課金が要ります。会として必須の機能ではないので、ここは気にしなくて構いません。
4つ目は、会の名簿としての性格を持たない点です。メンバーの一覧は見られますが、それはDiscordのアカウントの一覧であって、住所や電話番号や世帯の情報を持つ名簿ではありません。会費の管理や、緊急連絡先の保持は、別の場所で行う必要があります。この点は、LINEのグループやオープンチャットでも同じです。
5つ目は、コミュニティサーバーにしないと使えない機能があることです。フォーラムチャンネル、サーバーインサイトと呼ばれる分析、荒らしへの対策、ルールとオンボーディングの仕組み、ウェルカムスクリーン。こうした機能は、大きな集まりを想定した設定を有効にしたときに使えるようになります。数十人の会では、そこまで踏み込まなくても足ります。
何人の会なら向いているか
向き不向きを、規模と性格で整理しておきます。
人数が多く、話題が多い会には向いています。話題ごとにチャンネルを分けられること、権限をロールで管理できること、ボイスチャンネルに集まれること。この3つが効くのは、部屋を分ける必要があるほど話題がある場合です。部活の保護者会で、学年ごと、係ごと、大会ごとに話が分かれるような会であれば、LINEのグループをいくつも作るよりはるかに整理されます。
役員の入れ替わりが激しい会にも向いています。権限がロールに付いているので、人が代わっても付け替えるだけで済みます。LINEのグループのように、誰かが抜けた瞬間に管理が宙に浮くことがありません。
逆に、人数が少なく、連絡が月に数回しかない会には過剰です。10人で、行事の前に日程を合わせるだけであれば、すでに使っているLINEのグループのほうが確実に届きます。道具を増やすこと自体が、とりまとめる人の仕事を増やします。
年齢層が高い会にも、そのままでは勧められません。導入を決めるなら、最初の1か月はLINEとDiscordを並行し、入れなかった人を個別に手助けする覚悟が要ります。この手間を誰が負うのかを先に決めずに始めると、その負担は言い出した1人に集中します。
判断の材料として、機能を横に並べたものはDiscordとの比較に整理してあります。いま使っている道具との差を見るなら、LINEグループとの比較とLINEオープンチャットとの比較に、名簿の持ち方と記録の残り方を同じ観点で並べてあります。掲示板として比較されることが多いサービスはBANDとの比較にまとめてあります。
連絡の道具を選ぶときの軸
Discordを調べた人が最後に迷うのは、結局どれを使えばよいのか、という点です。ここまでの内容を踏まえると、比べるべき軸は3つに絞れます。
1つ目は、届くかどうかです。どれだけ機能が優れていても、会員が入れなければ連絡は届きません。日本の集まりでLINEが使われ続けているのは、機能が優れているからではなく、全員がすでに持っているからです。Discordを選ぶなら、会員が入れるかどうかを先に確かめる必要があります。
2つ目は、記録が引き継げるかどうかです。会の記録は、人が入れ替わっても残ることが前提です。Discordはロールで権限を管理するため、この点ではLINEのグループより優れています。ただし、サーバーを作った人のアカウントが基点になることは変わりません。誰が所有者で、その人が辞めるときにどう渡すかを、最初に決めておく必要があります。
3つ目は、散らばらないかどうかです。連絡はここ、名簿は表計算ファイル、出欠はトークの返事、写真は誰かの端末、会費の記録は紙。この散らばりは、道具を1つ変えただけでは解消しません。チャンネルを分けられるDiscordは整理には強いですが、名簿と出欠と会費を持つ仕組みではないからです。
この3つ目を道具の側で引き受ける形が、団体向けの連絡ツールです。連絡と名簿と予定と出欠と記録を同じ場所に置き、その場所の管理権限を会として持つ。役員が代わっても引き継ぐものが1つで済むという形は、年度替わりのある会ほど効いてきます。実際の画面の並べ方は、町内会での使われかたとPTAでの使われかたに、引き継ぎの場面を想定して載せてあります。
Discordが合う会は確かにあります。話題が多く、若い会員が中心で、役員の入れ替わりが激しい集まりであれば、無料で使える範囲だけでもかなりのことができます。決める前に、会員が入れるか、記録を誰が持つか、散らばりが減るか。この3点を確かめてください。会ごとの条件に応じた判断の材料はよくある質問に整理してあります。
Q1. Discordは無料で使えますか?
サーバーの作成と利用は無料です。公式のガイドには、Discordサーバーは無料で作成でき、小規模なグループから何千人もの大規模コミュニティまで対応できると書かれています。1人が参加または作成できるサーバーは最大100個までで、有料のNitroに登録すると200個に増えます。会の連絡で上限に届くことはまずありません。
Q2. 会の連絡に使うとき、知らない人が入ってきませんか?
初期設定は招待のみで、有効な招待リンクを通じてのみ参加できます。招待リンクには有効期限や使用回数を設定できるため、リンクが外へ流れても期限が過ぎれば入れません。さらに厳しくしたい場合は参加申請に切り替えると、質問に答えた人を管理者が確認してから入れる形になります。
Q3. LINEのグループと比べて、何がいちばん違いますか?
役割ごとに権限を分けられる点です。サーバー設定のロールで、チャンネルを管理できる人、書き込める人、読むだけの人を分けられます。権限は人ではなくロールに付いているため、役員が交代するときはロールを付け替えるだけで済み、部屋を作り直す必要がありません。
Q4. 年配の会員が多い会でも使えますか?
導入の負担は小さくありません。アプリを入れてアカウントを作り、メールアドレスの登録が必要で、画面の情報量もLINEより多くなります。導入するなら最初のチャンネルを2つか3つに絞り、1か月ほどは今の連絡手段と並行して、入れない人を個別に手助けする体制を先に決めておいてください。