役員会や総会のあと、録音だけが手元に残っている。議事録を出さないと次の連絡も回せないのに、聞き直しながら打ち込む時間がない。議事録の文字起こしアプリを無料で探し始める人は、たいていこの場面にいます。
結論を先に書きます。無料の枠だけで議事録の文字起こしを回すことはできますが、その鍵は道具選びではなく、無料の枠の形を理解して会議の側を合わせることです。無料のプランはどれも「月の合計時間」と「1回の長さ」の2つで区切られており、後者で引っかかる集まりが圧倒的に多い。この記事では、無料で使える主な道具と実際の上限、すでに終わったサービスの見分け方、無料の枠に収める3つのコツ、議事録にするまでの手順、そして現場で崩れる箇所までを順に確かめます。料金と仕様は2026年9月時点で各社が自社の料金ページやヘルプに書いている内容にそろえています。
録音するだけで文字になる道具が、無料の範囲まで下りてきた
人が耳で聞きながら打ち込む場合、録音時間の3倍から4倍の時間がかかります。1時間の役員会なら3時間から4時間。作業に慣れた人でも大きくは縮みません。複数人が同時に話す総会の録音では、巻き戻す回数が増えて5倍近くになることもあります。
そして最近は、録音するだけで文字起こしまでしてくれるアプリが増えてきました。議事録やレポート作成の負担を減らす、注目すべき進化といえます。 出典: automemo.com
変わったのは速さだけではありません。数年前まで、この種の道具は仕事で使う前提の有料のものしかなく、会費で運営している集まりには手が届きませんでした。いまは無料の枠が付いた道具が並び、月に数本の会議なら費用をかけずに回せます。
一方で、無料の枠の形は各社でまったく違います。月の合計時間だけを区切る道具、1回の長さを厳しく区切る道具、読み込めるファイルの個数まで数える道具。この違いを見ずに評判だけで選ぶと、総会の当日に読み込めないことが分かる、という結末になります。
費用の感覚としても押さえておく価値があります。人に頼む外部の文字起こしサービスは、1分あたり100円から300円程度が相場です。1時間の録音で6,000円から18,000円。年に4回の役員会と総会があれば、それだけで会計を圧迫します。無料の枠で足りるなら、その分をほかに回せます。
無料の枠は「月の合計」と「1回の長さ」の2つで区切られる
無料のプランを見るときは、必ずこの2つを分けて見てください。月の合計時間が足りていても、1回の長さの上限で止まることがあります。
自動文字起こしの Notta は、料金ページで無料プランの枠を明示しています。2026年9月時点では、文字起こし時間が月120分まで、1回につき3分まで、ファイルの読み込みが月50個まで、AI による要約が月10回までです。話者識別は無料のプランでも使えます。
この度はご迷惑をおかけし、大変申し訳ござません。無料版では、リアルタイム文字起こしに3分の時間制限が適用されます。無料プランをご利用いただいた方がプレミアムプランを体験できるよう、「3日間無料体験」を提供しております。 出典: apps.apple.com
月120分という数字だけを見ると、1時間の会議が2回分に見えます。しかし1回3分の制限があるため、1時間の録音を1本そのまま読み込むことはできません。ここを見落としたまま総会の日を迎えると、打ち込むしかなくなります。
有料に上げる場合の金額も押さえておきます。Notta の個人向けのプレミアムは年間払いで月額1,185円(税込)、総額14,220円(税込)の12か月分一括払いです。文字起こし時間は月1,800分まで、1回につき5時間まで、ファイルの読み込みは月100個まで、AI 要約は月100回まで。文字起こしの結果をダウンロードする機能や、単語を登録して固有名詞の間違いを減らす機能も、ここから使えます。小さな集まりで共同作業までする場合のビジネスは月額2,508円(税込)で、文字起こし時間が無制限になります。
学校や教室が関わる集まりでは、学生と教職員向けの50%割引が用意されています。顧問や講師の立場で契約する場合は、こちらを確かめる価値があります。
無料で使える主な道具と、それぞれの向き不向き
無料で議事録の文字起こしに使える道具は、大きく4つの系統に分かれます。系統ごとに向いている場面が違うため、1つに決めるより、会議の長さで使い分けるほうが現実的です。
1つ目は、専用の文字起こしアプリの無料プランです。スマートフォンで録って、そのまま文字にできます。話者識別に対応しているものもあり、誰が話したかを分けて見られます。弱点は1回の長さの上限で、短い打ち合わせ向きです。
2つ目は、パソコンの文書作成ソフトに付いている機能です。Microsoft 365 を契約している人の Word や、Google ドキュメントの音声入力が該当します。追加の費用がかからない代わりに、使える条件と形が限られます。
3つ目は、会議ソフトに組み込まれた文字起こしです。画面越しの会議なら、会議が終わった時点で文書ができています。ただし有料の契約が前提になっている場合が多く、無料のアカウントでは項目そのものが出てきません。
4つ目は、無料で使えるウェブの文字起こしツールです。ブラウザでファイルを読み込むだけで動くものがあり、登録が要らないものもあります。手軽な代わりに、録音の中身をどこに送っているのかが分かりにくいものが混ざるため、会費や個人の事情を含む会議の録音を扱うには慎重さが必要です。
| 系統 | 向いている場面 | 気を付ける点 |
|---|---|---|
| 専用アプリの無料プラン | 30分以内の打ち合わせ | 1回の長さの上限で止まる |
| 文書作成ソフトの機能 | すでに契約がある団体 | 使える環境が限られる |
| 会議ソフトの文字起こし | 画面越しの会議 | 有料の契約が前提 |
| ウェブの無料ツール | 短い音声を1本だけ | 録音の送り先を確かめる |
すでに終わったサービスを勧めている記事に注意
無料の文字起こしアプリを紹介する記事を何本か読むと、同じ名前が繰り返し出てきます。ここに落とし穴があります。記事が書かれた時点では無料で使えたサービスが、いまは終わっていることがあるためです。
実例として、無料の文字起こしとして長く紹介されてきた CLOVA Note があります。公式サイトには、2025年7月31日をもって CLOVA Note のベータ版のサービスを終了したと書かれており、今後は正式版として公開された LINE WORKS AiNote を使うよう案内されています。
2025年7月31日(木)をもってCLOVA Noteβのサービスを終了いたしました。長い間ご利用いただきありがとうございました。今後は正式版としてリリースされたLINE WORKS AiNoteをご利用ください。 出典: clovanote.line.me
それにもかかわらず、無料で使える文字起こしの一覧記事には、いまもこの名前が並んでいます。記事を書いた時点では正しかった情報が、更新されずに残っている形です。
とりまとめる立場で道具を選ぶときは、一覧記事の内容をそのまま信じず、必ずその会社の公式サイトを開いて確かめてください。見るのは料金ページと新着情報の2か所です。料金ページに無料のプランが並んでいるか、新着情報にサービスの終了や新規の受付の停止が出ていないか。この2つを見れば、終わっているサービスに時間を使わずに済みます。会として使う道具は、来年も同じ形で使えることが前提になるため、この確認は毎回の手間として持っておく価値があります。
Word の文字起こしを使う場合の条件
仕事で Microsoft 365 を使っている役員がいる集まりでは、Word の機能が選べます。話した人ごとに区切って文書にする機能で、追加の契約なしで使えます。
Microsoft のサポートページによると、Microsoft 365 のサブスクリプションを持つ人は、読み込んだ音声を1か月あたり最大300分まで文字にできます。Copilot のライセンスを持つ場合は1か月あたり最大30,000分まで。月300分あれば、1時間の会議が5回分です。1回の長さを厳しく区切らないため、総会のような長い会議にも向いています。
条件が2つあります。1つは、この機能が商用のテナントの Windows 版 Word for Microsoft 365 でのみ使えることです。政府機関のテナントではウェブ版の Word だけになります。個人で買い切りの Office を使っている場合や、無料のウェブ版だけを使っている場合は、この機能が出てきません。もう1つは、録音を OneDrive に保存してから処理が始まることです。手元のパソコンだけで完結する形ではないため、会議の録音を社外の保存先に置きたくない集まりでは、そこを先に決める必要があります。
使い方は、ホームからディクテーションを開き、トランスクリプトを選びます。Word の中で直接録音することもでき、録音中は画面に文字が出ないまま、保存した時点で文字起こしが始まります。仮想の通話を録音する場合、ヘッドセットを使うと会議の音が拾えないため、パソコンから出る音を拾える形にしておく必要があります。
Google ドキュメントの音声入力を使う場合
追加の費用をかけずに試せる道として、Google ドキュメントの音声入力があります。ツールから音声入力を選ぶと、マイクの枠が出て、話した言葉がそのまま文書に入っていきます。Chrome、Edge、Safari の最新の版で動きます。
ここで押さえておきたいのは、この機能がマイクから拾った音を文字にするものだという点です。手元にある録音ファイルを読み込む機能ではありません。録音を文字にしたい場合は、録音を再生してその音をマイクで拾わせる形になり、周りの音が混ざります。会議の最中にパソコンを開いて、話を直接文字にしていく使い方のほうが向いています。
もう1つの注意は、音声コマンドが英語でしか使えないことです。文字を選んだり書式を変えたりする指示は、アカウントの言語と文書の言語の両方を英語にしないと動きません。日本語の会議で使う場合は、文字を入れるところまでと考えておくのが確実です。句読点を入れる指示も、言語によっては使えない場合があります。
無料で試せる範囲としては十分ですが、会議の記録として毎回使うには弱い部分が残ります。書記が会議中に打ち込めない集まりでは、録音してから読み込む形のほうが結局は早く終わります。
無料の枠に収める3つのコツ
無料のまま続けたい集まりは、会議の側を少し変えるだけで収まります。
1つ目は、全部を文字にしないことです。議事録に必要なのは、決まったことと報告されたことと次回までの宿題です。1時間の会議でも、この3つに関わる発言は後半の20分に集まります。必要な部分だけを切り出して読み込めば、1回の長さの上限にも月の合計にも余裕が出ます。
2つ目は、議題ごとに録音を切ることです。議題が5つある役員会なら、議題が変わるたびに録音を止めて新しく始めます。こうすると1本あたりが短くなり、1回の長さの上限に収まります。後から探すときにも、議題ごとにファイルが分かれているほうが早く見つかります。
3つ目は、月の初めに残りの枠を見る習慣です。月の途中で何度も試しているうちに、無料の枠を使い切っていた。締め切りの前夜にこれに気付くと、打ち込むしかなくなります。会議が終わったその日に読み込んでしまう形にしておけば、枠の残りを気にする場面がほとんどなくなります。
文字起こしから議事録にするまでの手順
文字起こしができた時点では、まだ議事録ではありません。ここを見落とすと、20分で終わるはずだった作業が2時間になります。
手直しが必要になるのは4か所です。1つ目は言い直しと相づちで、会話には「えー」「あのー」「はい、はい」が大量に入ります。2つ目は固有名詞で、地区の名前や会員の名字は似た音の別の言葉に置き換わります。3つ目は同時に話した部分で、2人が重なった箇所はどちらかが落ちるか混ざります。4つ目は数字で、会費の金額や日付は特に間違いが出やすく、そのまま載せると後で困ります。
手直しを減らす方法は、道具側ではなく会議の進め方にあります。発言の前に名前を言う、1人ずつ話す、金額と日付は口で言ったあとメモにも書く。この3つを会議の作法として決めておくと、手直しの時間が半分近くまで減ります。固有名詞を登録できる機能がある道具なら、地区名と役職名を先に登録しておくだけでも効きます。
議事録そのものの型も決めておきます。決議事項、報告事項、次回までの宿題、次回の日程の4つを並べる形にすると、1ページで収まり、書き終わりが分かります。誰がどう発言したかは文字起こしの側に残っているため、議事録には書かなくて構いません。
よくある失敗と、その回避
現場で崩れるのは、機能ではなく運用の側です。
1つ目は、録音の音が小さすぎる失敗です。会議室の端に置いたスマートフォンでは、向かい側の発言が拾えません。机の中央に置き、紙の上に乗せて机を叩く音を避けます。道具を良いものに替えるより、この置き方のほうが結果に効きます。
2つ目は、無料の枠の残りを知らないまま総会に臨む失敗です。前の月に試した分が枠を食っていることに、当日になって気付きます。総会の前の週に、残りの枠を見る手順を入れておきます。
3つ目は、録音を残す約束をしていない失敗です。文字にしたあとの録音を残すのか消すのかを決めていないと、役員のスマートフォンに溜まり続け、機種を買い替えたときに全部消えます。残すなら保存先と保存する期間まで決めます。
4つ目は、担当が1人に固定される失敗です。文字起こしの道具を無料のアカウントで使う場合、そのアカウントは個人のものになります。その人が会を離れると、過去の記録ごと見えなくなります。会として保存先を持つところまで決めておかないと、続きません。
録音の取り方で、文字起こしの出来が決まる
無料の道具で十分な結果を出している集まりと、有料に上げても満足できない集まりの違いは、道具ではなく録音の取り方にあります。どの道具も、入ってきた音の質を超える結果は返しません。
最初に決めるのは置き場所です。会議室の机の中央に、紙を1枚敷いてその上に録音する機械を乗せます。机の上に直接置くと、書類を動かす音やコップを置く音が振動として入り、その前後の発言が落ちます。紙を1枚挟むだけでこれが減ります。向かい合って座る形の役員会なら中央で足りますが、コの字に並ぶ総会では、発言する席の近くに置くか、発言者にマイクを回す形にします。
次に効くのは、始める前の10秒です。録音を始めてから10秒ほど、誰も話さない時間を作ります。その部屋の背景の音を道具に覚えさせる働きがあり、エアコンや廊下の音を差し引いて処理してくれる道具では結果が変わります。会議の始めに配布資料を回す時間があるなら、その前に録音を始めておけば自然に確保できます。
3つ目は、発言の前に名前を言う作法です。「会計の田中です」と言ってから話してもらうと、話者識別が入れ替わったときの手直しが一気に軽くなります。誰が言ったかを機械が判定できなくても、文字の中に名前が残っていれば復元できます。年配の会員が多い会では最初は忘れられますが、司会が一度促せば、その会議のあいだは続きます。
4つ目は、金額と日付を二重に残すことです。会費の金額、締め切りの日付、参加人数。この3つは文字起こしで最も間違いが出る部分です。口で言ったあと、ホワイトボードに書くか、チャットに書くか、その場の紙に書く。どれでも構いませんが、照合できる先を1つ作っておくと、議事録を作るときに聞き直す作業がなくなります。
団体の種類ごとに、無料の枠で足りるかを見積もる
無料の枠で足りるかどうかは、会議の回数と長さを掛けるだけで見当が付きます。年に一度この計算をしておくと、途中で困りません。
町内会や自治会は、総会が年1回で2時間、役員会が月1回で1時間程度という形が多くあります。全部を文字にすると年間で14時間を超え、無料の枠には収まりません。ただし議事録に必要な部分だけに絞れば、1回あたり20分ほどで足りるため、年間で5時間前後まで下がります。月の合計が120分の枠なら、余裕を持って収まる計算になります。
PTA は、学期ごとの委員会と月1回の実行委員会を持つ形が多く、1回あたりは40分から1時間です。回数は町内会より多くなりますが、1回が短いため、1回の長さの上限には引っかかりにくくなります。この場合は月の合計のほうを先に使い切るため、議題ごとに切る工夫より、必要な議題だけを文字にする工夫のほうが効きます。
部活の保護者会や少年団は、年に3回から4回の会合に集中します。1回が長く、しかも学年ごとの引き継ぎで内容が重いため、記録の価値が最も高い形です。回数が少ないので、総会がある月だけ有料に上げて、終わったら戻す使い方が合っています。
教室や習いごとの講師の連絡会は、15分から30分の短い打ち合わせが週に1回という形があります。この形は無料の枠と相性が良く、1回3分の上限でも、決まったことだけを口頭でまとめる30秒を作れば足ります。
有料に切り替える判断の目安
無料で粘るべきか、有料に上げるべきかは、次の3つのどれかに当てはまったときが目安になります。
1つ目は、無料の枠に収めるための作業のほうが高くついている場合です。録音を切り分けたり、必要な部分を探したりする作業に毎回30分かかっているなら、年間で6時間分の手間です。月額1,185円(税込)の年間払いなら年間で14,220円(税込)。とりまとめる立場の人の時間をどう見るかによりますが、続ける前提なら有料のほうが安く済む場合があります。
2つ目は、記録が会の義務になっている場合です。総会の議事録を規約で残すことになっている集まりでは、記録が作れなかった月があってはいけません。無料の枠が尽きたら止まる形は、義務がある場面には向きません。
3つ目は、担当を交代で回している場合です。無料のアカウントは個人に紐づくため、担当が代わるたびに新しいアカウントを作ることになり、過去の記録が散らばります。会として1つの契約を持つ形にすれば、引き継ぐものがアカウントの情報だけになります。
逆に、有料に上げる必要がないのは、年に1回か2回しか長い会議がない集まりです。その月だけ契約して、終わったら戻す形で足ります。契約を止めたあとに過去の記録が読めなくなる道具もあるため、止める前に手元へ書き出しておく手順だけは決めておいてください。
選ぶときに見る4つの点
無料で使える道具を選ぶとき、見るべき点は次の4つに絞れます。
| 見る点 | 確かめること |
|---|---|
| 1回の長さの上限 | 一番長い会議の時間が収まるか |
| 月の合計時間 | 年間の会議の回数で足りるか |
| 話者識別 | 誰が話したかを分けられるか |
| 保存先 | 会として持てるか、個人に紐づくか |
この4つのうち、一番後回しにされるのが保存先です。しかし翌年の担当者が困るのも、記録が行方不明になるのも、ここを決めていないところから始まります。
録音を扱うときに、会として決めておくこと
会議の録音には、会費の滞納や個人の事情が含まれます。無料の道具を使う場合、その録音を社外の保存先へ送って処理する形になるため、会としての扱いを決めておく必要があります。
見ておくのは、その会社が録音を学習に使うかどうかです。料金ページや安全にまつわる説明のページに、音声のデータを学習に使わないと明記している会社があります。明記がない場合は、契約の種類によって扱いが変わることがあります。会費や個人の事情を含む録音を扱うなら、ここを読んでから決めるほうが後で困りません。
もう1つは、文字にしたあとの録音をいつ消すかです。残すと決めた場合は、保存先と保存する期間を会として決めます。3年分を残す集まりもあり、議事録を作ったら消す集まりもあります。どちらでも構いませんが、決めていない状態が一番よくありません。役員のスマートフォンに溜まり続け、誰の持ち物なのかも分からなくなります。
3つ目は、録音することを会員に知らせるかどうかです。総会のように人事や会費を扱う会議では、記録を残すことを議題の最初に断ったほうが、後から問題になりません。伏せて録るより、断って録るほうが、発言の質も上がります。
記録の残し先を決めないと、無料でも続かない
文字起こしが終わった時点で、作業は半分です。残り半分は、その記録を会員が読める場所に残すところまでです。ここが決まっていない団体では、せっかく作った議事録がメールの添付ファイルとして流れていき、半年後には誰も探せなくなります。
相談として多いのは、連絡手段と記録の保存先が別々になっている状態です。連絡は LINE のグループ、予定は紙の回覧、記録は役員のパソコン。この形だと、できあがった議事録を届けるためにもう1つ別の経路を使うことになり、続きません。連絡の流れと同じ場所に記録が残る形にすると、探す手間が消えます。流れていく形式の連絡手段でファイルがどう扱われるかは、LINEグループとの比較で整理しています。過去の議事録を後から辿れるかどうかが、この用途では効いてきます。
もう1つの判断点は、誰に見せるかです。総会の議事録には、会費の滞納、個人の事情、役員の選任にまつわる発言が含まれます。誰でも入れる場所に残すと、これらが外から読める状態になります。会員として登録した人だけが読める、つまりメンバー以外は見られない形にしておくことが前提です。招待した人だけが入る形と、リンクを知っている人が入れる形の違いは、LINEオープンチャットとの比較で扱っています。
団体の種類によって、必要な残し方は変わります。町内会では総会と役員会の議事録を数年分保管する必要があり、町内会での使われかたでは連絡と記録を同じ場所にまとめた形を紹介しています。PTA では役員が毎年入れ替わるため、引き継ぐものを1つに減らすことが最優先になり、PTAでの使われかたではその観点でまとめています。サークルのように会計と名簿を同じ人が抱えがちな集まりでは、サークルでの使われかたが参考になります。
決める順番は、次のようになります。まず録音の取り方を決める。次に会議の長さから道具を1つ選ぶ。そのうえで議事録の型を決める。最後に、できあがった記録の保存先を会として1つ決める。無料の道具を探す前に、4つ目から決めたほうが早く落ち着きます。細かい疑問はよくある質問にまとめてあります。
Q1. 無料の文字起こしアプリで1時間の会議をそのまま文字にできますか?
多くの場合できません。無料のプランは月の合計時間とは別に1回の長さを区切っており、Notta の無料プランは2026年9月時点で1回につき3分までです。議題ごとに録音を切るか、議事録に必要な部分だけを切り出して読み込む形にすると、無料の枠で回せます。
Q2. 無料と有料では、どのくらい違いますか?
Notta を例にすると、無料は月120分で1回3分まで、AI 要約は月10回までです。個人向けのプレミアムは年間払いで月額1,185円(税込)、月1,800分で1回5時間まで、要約は月100回までになり、結果のダウンロードと単語登録が使えます。長い会議が年に何回あるかで判断できます。
Q3. CLOVA Note は今も無料で使えますか?
使えません。公式サイトに、2025年7月31日をもってベータ版のサービスを終了したと書かれており、正式版の LINE WORKS AiNote を使うよう案内されています。無料の文字起こしを紹介する記事にはいまも名前が残っているため、選ぶ前にその会社の公式サイトを開いて確かめてください。
Q4. 追加の費用をかけずに始める方法はありますか?
Microsoft 365 を契約している役員がいれば、Word の文字起こしで読み込んだ音声を1か月あたり最大300分まで文字にできます。契約がない場合は、Google ドキュメントの音声入力で会議中に直接文字にする方法があります。こちらはマイクから拾った音を文字にする機能で、録音ファイルを読み込むものではない点に注意してください。