学童保育の保護者会で安否確認の仕組みを作ろうとすると、町内会やPTAの手順をそのまま借りてもうまく回りません。子どもは親の手元から離れた場所にいて、保護者は全員が職場にいて、しかも子どもの所在を確かめる責任はまず放課後児童クラブの側にあるからです。この記事では、学童保育の保護者会が安否確認で担うべき範囲を切り出したうえで、返事が来ない保護者をどの順番で追えばよいかを具体的に整理します。
学童の安否確認は、子どもの居場所がすでに分かっているところから始まる
放課後児童クラブには、その日に来所した子どもの出席記録があります。誰が何時に来て、誰がまだ帰っていないかは、支援員の手元の名簿で分かります。災害や大きな事故が起きたとき、子どもの所在を数えて確かめる最初の仕事は、クラブの職員が担います。
この点は国の基準にも表れています。放課後児童クラブの設備と運営について定めた省令では、事業者に安全計画を作ることを求め、その内容を保護者に知らせることまで書かれています。
放課後児童健全育成事業者は、利用者の安全の確保に関して保護者との連携が図られるよう、保護者に対し、安全計画に基づく取組の内容等について周知しなければならない。 出典: laws.e-gov.go.jp
保護者会が安否確認の手順を作る前に、まずこの安全計画の中身をクラブから受け取っておくのが順番です。避難場所はどこか、引き渡しはどこで行うのか、迎えが来ない子どもを何時まで預かるのか。ここが分からないまま保護者会が独自に「全員の子どもの無事を確認します」と動くと、クラブの点呼と保護者会の問い合わせが同時に保護者へ飛び、どちらに返事をすればよいのか分からなくなります。
運営を自治体や社会福祉法人、事業者が担っているクラブでは、子どもの所在確認と保護者への引き渡し連絡は運営側の仕事です。保護者会はそこに割り込むのではなく、運営側の連絡では拾えないものを拾う役に回ります。反対に、保護者会そのものが運営主体になっているクラブでは、この線が引けません。事業者として子どもの所在を確かめる責任と、会員どうしの安否をたずねる活動が、同じ役員の手に乗ってきます。どちらの形なのかを最初に確かめておくことが、手順作りの出発点になります。
保護者会が確かめるのは、子どもの無事ではなく迎えの見通し
学童の保護者会が安否確認で集めるべき情報は、突き詰めると一つです。その家庭の子どもを、誰が、いつ迎えに行けるのか。
就労している保護者は、職場から子どものいる場所まで距離があります。電車が止まれば帰れません。医療や介護、保育の現場で働いている保護者は、災害のときほど職場を離れられません。工場や店舗の勤務では、揺れが収まったあとも業務の後始末で数時間は動けないことがあります。子どもがクラブで無事にしていても、迎えが来なければクラブは子どもを預かり続けることになり、支援員の人数では夜まで持たない場合があります。
この「迎えの見通し」は、クラブの点呼では分かりません。クラブが把握しているのは子どもの側の情報で、保護者がいまどこにいて、何時に着けそうかは、保護者に聞かなければ出てきません。保護者会が集めた回答をクラブに渡せば、支援員は「この子の家は20時まで無理そうだ」「この子は近所の家の人が引き取れる」という見立てを立てられます。
聞き方も、この目的から逆算します。「ご無事ですか」とだけ聞くと、「無事です」という返事が集まり、肝心の迎えの時刻が分かりません。「お子さんの迎えに行けますか。行ける場合は到着の見込み時刻、行けない場合は代わりに引き取れる人がいるか」と聞けば、一回の返信で必要なことがそろいます。
保護者自身がけがをしている、家が被害を受けているといった情報は、この段階では集めません。大切な情報ですが、発災直後に保護者会が受け取っても動きようがなく、返事を長く重くするだけです。そうした話は、子どもの引き渡しが一段落してから、別の問いかけとして出します。
発災した時刻によって、子どもの居場所は四つに分かれる
学童に通う子どもの一日は、授業、下校、クラブ、帰宅という流れで動いています。どの時間帯に起きたかで、子どもがどこにいて、誰が所在を確かめるのかが変わります。
一つめは、授業中です。子どもは学校にいて、所在の確認と引き渡しは学校の手順で進みます。この時間帯に学童の保護者会が動く場面は多くありません。ただし、学校が引き渡しを始めたとき、学童に通う家庭には独特の問題が出ます。学校から直接クラブへ移動させるのか、学校で保護者の迎えを待つのか。これは自治体や学校、クラブの取り決めによって違うので、年度の初めにクラブを通じて確かめておきます。
二つめは、学校からクラブへ移動している途中です。学校の敷地内にあるクラブなら移動は短いですが、少し離れた場所にあるクラブや、複数の学校から子どもが集まる民間のクラブでは、子どもだけで道を歩いている時間があります。この時間帯の所在確認はもっとも難しく、学校とクラブのどちらの名簿にも「いま確かにここにいる」と載っていない子どもが出ます。
三つめは、クラブにいる時間です。所在はクラブの点呼で確かめられます。保護者会の出番は、先に書いた迎えの見通しを集めることです。
四つめは、クラブを出て自宅に向かっている、あるいはすでに自宅にいる時間です。高学年を中心に、決まった時刻に一人で帰る子どもがいます。この子どもたちは、クラブを出た時点でクラブの所在確認の対象から外れます。保護者も職場にいるので、家に一人でいる子どもの無事を誰も確かめていない時間が生まれます。保護者会の安否確認がいちばん意味を持つのは、実はこの四つめの時間帯です。
返事が来ない保護者を、クラブに残っている子の有無で並べ替える
安否確認で役員をもっとも疲れさせるのは、返事が来ない家庭をどう追うかです。学童の保護者会には、この追いかけの順番を決める材料が一つあります。子どもがいまクラブにいるかどうかです。
返事が来ない家庭を、次の三つの組に分けて考えます。
・子どもがクラブにいて、保護者の返事がない家庭 ・子どもがすでに一人で帰宅していて、保護者の返事がない家庭 ・その日は利用がなく、子どもの居場所が保護者会からは分からない家庭
最優先は一つめの組です。子どもの安全はクラブで守られていますが、迎えの見通しが立たないため、クラブが夜の預かりを判断できません。支援員が保護者に直接電話をかけていることも多いので、保護者会からの問い合わせと重ならないよう、クラブと「どちらが誰に連絡するか」をその場で分け合います。
二つめの組は、緊急度が別の意味で高くなります。子どもは家に一人でいる可能性があり、保護者が職場から連絡を取れていない場合、その子の無事を確かめる人がいません。近くに住む会員の家庭に様子を見に行ってもらえるかどうかは、事前の申し合わせがなければ頼めません。この組のために、次の節で書く「近所の組」を平時に作っておきます。
三つめの組は、急いで追う必要はありません。その日クラブを使っていない子どもは、祖父母の家や習い事、保護者の在宅勤務など、別の見守りの下にいます。保護者会が夜に何度も連絡を入れるより、翌日以降に落ち着いてから確かめるほうが、相手の負担になりません。
この並べ替えをするには、発災したその時点で「今日クラブに来ている子ども」の一覧が保護者会の手元に必要です。これはクラブの記録なので、保護者会がふだんから持っているものではありません。災害のときにだけ、クラブから保護者会の担当役員に共有してよいかを、あらかじめ運営側と話しておきます。
返事が来ない理由は、勤務の形からおおよそ読める
学童の保護者会の会員は、全員が何らかの形で働いています。返事が来ない理由の多くは、無関心ではなく勤務の形から来ています。理由が読めれば、次の手の打ち方も変わります。
病院や介護施設、保育所で働く保護者は、災害のときに持ち場を離れられません。スマートフォンを更衣室のロッカーに入れている職場も多く、勤務が終わるまで通知を見られないことがよくあります。この場合、何度連絡を入れても返事は来ません。代わりに、あらかじめ届け出てある第二の連絡先、つまり配偶者や祖父母に当たるほうが早く届きます。
車で通勤している保護者は、運転中は応答できません。揺れのあと道路が混み、職場から出ても1時間以上車の中という状況はめずらしくありません。返事が遅いのは、迎えに向かっている途中だからという場合があります。
交代制で夜勤をしている保護者は、昼間に寝ている時間帯があります。平日の午後に発災すると、自宅で寝ていて最初の揺れで起きたものの、通知には気づいていないということもあります。
在宅勤務の保護者は返事が早い傾向がありますが、そのぶん「近所の子を見に行ってもらえますか」という頼みが集中しやすくなります。一部の家庭にだけ負担が偏らないよう、頼む相手は事前の申し合わせの範囲にとどめます。
こうした事情を踏まえると、名簿に入れておくべきなのは勤務先の名前や住所ではありません。「日中に連絡がつきにくい時間帯があるか」「第二の連絡先は誰か」の二点で足ります。勤務先の情報まで保護者会が抱える必要はなく、それはクラブが入所の手続きで持っている情報です。
代わりに引き取れる人を、安否確認の前に決めておく
迎えに行けない保護者がいることが分かったとき、その場で代わりの引き取り手を探し始めても間に合いません。しかも、クラブは届け出のない人に子どもを引き渡さないのが原則です。災害の最中に「隣の家の人が迎えに行きます」と連絡しても、クラブの側で本人確認ができなければ引き渡せない場合があります。
そこで、安否確認の手順を作るのと同時に、代理の引き取りの申し合わせを作ります。やり方は単純で、同じ地域に住む家庭どうしで「非常時にはお互いの子どもを引き取ってよい」という合意を取り、それぞれがクラブの引き取り者の届け出に相手の名前を書き加えておきます。
組み方には学童ならではの注意が要ります。同じ学年の家庭どうしで組むと、下校時刻もクラブを出る時刻もそろっていて動きやすいのですが、二人とも同じ業種で同じように職場を離れられないという偏りが起きがちです。住まいが近いことを第一の条件にして、勤務の形がばらけるように組むほうが、実際に機能します。
3家庭か4家庭で一つの組を作り、組の中の誰か一人が迎えに行ければ全員の子どもを引き取れる形にしておくと、誰か一人が動けない日でも回ります。組の名前と構成は保護者会の中で共有しますが、住所そのものは載せず、「同じ町内」「同じマンション」くらいの粒度にとどめます。
年度が替わると、この組は崩れます。三年生の終わりにクラブを退所する家庭が抜け、四月に新しい一年生の家庭が入ってきます。組の見直しは、新年度の最初の保護者会の議題に毎年入れておきます。これを忘れると、組の相手がすでに退所していて、クラブの届け出にも残っていないという状態で災害の日を迎えます。
一人で帰る子どもの家庭は、別の一覧で持つ
先に書いたとおり、クラブを出たあとの子どもは、クラブの所在確認から外れます。この子どもたちの家庭は、安否確認の一覧を分けて持っておくと、発災したときに迷わず優先できます。
一人で帰るかどうかは、多くのクラブで保護者が入所のときや学期ごとに届け出ています。帰る時刻が季節で変わるクラブもあり、日が短い冬の間は一人帰りを止めて迎えを必須にしているところもあります。保護者会が一覧を作るときは、この届け出の内容をクラブから写してもらうのではなく、保護者会として会員に直接たずねるほうが、情報の持ち方として無理がありません。
たずね方は、次のくらいで足ります。
・お子さんがクラブから一人で帰る日があるか ・ある場合、何曜日のおおよそ何時ごろか ・帰宅後、大人がいない時間があるか
この一覧があれば、平日の夕方に発災したとき、担当役員は「いま家に一人でいるかもしれない子ども」を数分で拾い出せます。そのうえで、保護者に一斉の問いかけとは別に個別の連絡を入れ、返事がなければ近所の組に様子を見に行ってもらえるかを打診します。
高学年の子どもが自分でスマートフォンやキッズ携帯を持っている家庭もあります。子どもの端末に保護者会から直接連絡を入れるのは、トラブルのもとになるので避けます。子どもへの連絡は保護者を通すという線を、手順の中に書いておきます。
保護者会が運営しているクラブでは、支援員の安否と翌日の開所が加わる
運営を保護者会が担っているクラブでは、安否確認の対象がもう一つ増えます。雇っている支援員です。
支援員が勤務中に発災した場合、支援員は子どもの安全を守る側にいますが、同時に自分の家族の安否も気がかりな立場にあります。子どもの引き渡しが長引けば、支援員が帰れない時間も延びます。雇用主である保護者会の役員は、支援員の家族の状況を確かめ、交代できる役員や保護者が現地に行けるかを判断する必要があります。
休みの日に発災した場合は、翌日の開所をどうするかという判断がすぐに来ます。建物は使えるか、支援員は出勤できるか、水や電気は来ているか。これを確かめるのは運営主体の仕事です。自治体が運営するクラブなら自治体が判断しますが、保護者会が運営するクラブでは、役員会が判断を出すことになります。
この判断の連絡は、会員の安否確認とは別に出します。一つの問いかけに「ご無事ですか」と「明日は開所できない可能性があります」を混ぜると、返事の中身がばらばらになり、集計できません。安否の問いかけと、翌日の運営の知らせは、別の投稿、別の時刻で出します。
また、支援員の個人の連絡先を、役員以外の保護者が持っていることがあります。非常時に保護者が支援員に直接電話をかけ始めると、支援員は子どもの対応をしながら電話に出続けることになります。支援員への問い合わせは役員を通すことを、平時から会員に伝えておきます。
長期休業中と平日の午後で、手順を分けておく
学童は、学校が休みの日にも朝から開いています。夏休みや冬休み、春休みの間は、子どもが朝からクラブにいて、昼食もクラブでとり、夕方まで過ごします。平日の午後とは、子どもの人数も、クラブにいる時間の長さも、保護者の予定も違います。
長期休業中に発災した場合、クラブにいる子どもの数が平日より多くなりやすく、しかも朝から夕方までの長い時間のどこで起きてもおかしくありません。午前中に起きれば、保護者は勤務を始めたばかりで、職場を離れる判断がつきにくい時間帯です。迎えの見通しを聞いても「昼過ぎには行けると思う」「夕方まで無理」とばらつきが大きくなります。
長期休業中にはクラブの外に出る活動も増えます。公園や児童館、図書館への外出、プール、遠足のような行事です。外出先で発災すると、子どもの所在はクラブの建物ではなく引率している支援員の手元で確かめることになり、引き渡しの場所も変わります。外出の予定は、前日までに保護者会の担当役員が把握しておくと、発災したときに保護者からの問い合わせに答えやすくなります。
逆に、平日の午後は時間が短く、子どもが学校からクラブへ移ってくる途中を含むため、所在の確認に穴が空きやすい時間帯です。先に書いた「移動中」の子どもの扱いは、この時間帯の手順にだけ書いておけば足ります。
手順の紙を一枚にまとめようとすると、この違いが消えます。平日の午後用と、長期休業中用の二枚に分けて持っておくほうが、実際の場面で読みやすくなります。
聞く項目は三つまで、返事の形はそろえる
安否確認の問いかけは、短いほど返ってきます。学童の保護者会の場合、発災直後に聞くのは次の三つで足ります。
・お子さんを迎えに行けるか(行ける、代わりの人が行く、当面行けない) ・行ける場合、到着のおおよその時刻 ・当面行けない場合、連絡がつく別の大人の名前
答え方を自由記述にすると、長文が届いて読み切れなくなります。一つめは選択肢で答えてもらい、二つめは「17時半ごろ」のように時刻だけ、三つめは名前と続柄だけにします。返事の形をそろえておけば、30家庭分の返事が来ても、担当役員は数分で一覧にできます。
問いかけの文面は、平時にひな形として作っておきます。発災したときに役員がゼロから文章を考えていると、そのぶん最初の発信が遅れます。「〇〇地域で強い揺れがありました。クラブのお子さんは全員施設内にいます。迎えの見込みを次の形でお返事ください」のように、状況を一行、依頼を一行、答え方を一行で書けるひな形を用意しておきます。
締め切りの時刻も書きます。「30分以内に」と書くと、見た人がいつから数えるのか分からなくなるので、「16時までに」と時刻で書きます。締め切りを過ぎた家庭は、先に書いた三つの組に分けて追いかけに入ります。
もう一つ、返事を送る先を一つに決めておくことも欠かせません。グループのトークに返す人、役員に個別に送る人、クラブに電話する人が混ざると、どこに誰の返事があるのかが分からなくなります。「この投稿へのコメントで返事をください」と、返す場所を指定して出します。
集まった回答を、クラブとどう分け合うか
保護者会が集めた迎えの見通しは、クラブに渡して初めて役に立ちます。ここで気をつけたいのは、渡し方と渡す範囲です。
渡し方は、支援員が子どもの対応をしながら読める形にします。電話で一家庭ずつ読み上げるのは、支援員の手を止めてしまいます。一覧を一つにまとめ、「迎えに行ける(時刻)」「代わりの人が行く(名前)」「当面行けない」の三つに分けて、クラブの責任者に一度に送ります。更新があれば、同じ一覧を書き直して送り直します。
渡す範囲は、迎えに関わる情報に絞ります。保護者が返事の中に「家の中がめちゃくちゃで」「実家の親と連絡が取れない」といった事情を書いてくることがあります。これはクラブの引き渡しの判断には要らない情報なので、担当役員の手元にとどめ、クラブに渡す一覧には載せません。
保護者会の中での共有も同じ考え方をします。誰が迎えに行けて誰が行けないかを、会員全員が見られる場所に並べると、行けない家庭が責められているように感じることがあります。迎えの見通しの一覧は、担当役員とクラブの間でだけ扱い、会員全体には「全員のお子さんの引き渡しの見通しが立ちました」という結果だけを知らせます。
情報を置く場所についても考えておきます。担当役員が個人のメモ帳や個人のトークで一覧を持つと、その役員が動けなくなったときに誰も続きを引き継げません。役員の間で共有でき、なおかつ会員以外が見られない場所に置いておくと、担当が途中で交代しても手順が止まりません。
災害から数日たってからの確認は、別の問いかけとして出す
発災当日の安否確認が終わったあとにも、学童の保護者会が確かめることがあります。当日の問いかけとは目的が違うので、日を改めて別の形で出します。
一つは、クラブの利用が続けられるかどうかです。家が被害を受けて一時的に別の地域へ移る家庭、勤務先が止まって当面は子どもを家で見られる家庭が出ます。利用を休む、退所するといった手続きはクラブや自治体とのやり取りですが、保護者会としては当番や行事の割り振りを組み直す必要があります。
二つめは、保護者会費や行事費の扱いです。休む家庭の会費をどうするか、中止になった行事の積立をどうするかは、役員会で方針を決めてから知らせます。一家庭ずつの事情を聞き取るのではなく、「休所する月の会費は徴収しない」のように方針を先に示し、それに当てはまるかどうかだけを答えてもらう形にすると、家庭の事情を細かく聞き出さずに済みます。
三つめは、次に同じことが起きたときのための振り返りです。迎えの見通しは何分で集まったか、返事が来なかった家庭はどの組だったか、クラブとの受け渡しで詰まったところはどこか。個人を責める材料ではなく、手順の穴を見つける材料として、役員会で一度だけ話し合います。
この三つの問いかけは、当日の緊急の問いかけと同じ場所に流すと、見返したときに混ざります。お知らせを上に固定できる掲示板の形の道具なら、当日の問いかけと数日後の問いかけを別の投稿として並べておけます。トークが流れていくタイプのグループでは、数日後に当日のやり取りを探し直すことになり、振り返りの材料を集めるだけで時間がかかります。
名簿は、年度の初めと三年生の退所でずれていく
学童の保護者会の名簿は、他の団体の名簿よりも入れ替わりが大きくなります。四月には新一年生の家庭がまとめて入り、三年生の終わりや四年生への進級のタイミングで多くの家庭が抜けます。夏休みの間だけ利用する家庭を受け入れているクラブもあります。
安否確認の手順がどれほど整っていても、名簿が古ければ届きません。とくに危ないのは、年度の途中で入った家庭です。四月の名簿作りのあとに入所した家庭は、保護者会の連絡の場に招かれるのが遅れがちで、近所の組にも入っていないことがあります。途中入所の家庭には、入所が決まった時点で保護者会の担当役員から連絡の場への案内を送り、安否確認の手順と近所の組の話を一緒に伝えるという流れを決めておきます。
抜けていく家庭の扱いも決めておきます。退所した家庭の連絡先を名簿に残したままにしておくと、安否確認の一斉の問いかけが退所した家庭にも届き、返事が来ない家庭として数えられて追いかけの手間が増えます。退所の月の末に、名簿と連絡の場から外すことを手順にしておきます。
年に一度、実際に問いかけを流して返事を集める練習をしておくと、名簿のずれが見つかります。避難訓練の日にクラブと日程を合わせ、「訓練です」と明記したうえで、迎えの見通しの三つの項目に答えてもらいます。返事が来なかった家庭の多くは、通知を切っている、別の端末で登録している、名簿の連絡先が古いのどれかです。練習の結果を見てから、名簿を直します。
連絡の置き場所が、非常時の届き方をそのまま決めている
学童の保護者会の安否確認がうまくいくかどうかは、災害の日の役員の手際より、ふだんの連絡の場所がどう作られているかで決まります。
保護者会の連絡を個人のトークグループで回していると、年度が替わるたびにグループを作り直すか、退所した家庭を一人ずつ外す作業が発生します。役員が代わると、新しい役員がグループの管理者になっていないこともあります。LINEのグループで連絡を回している会なら、LINEグループとの比較に、トークが新しい発言で上に流れていくことや、役員が代わったときに履歴をどう引き継ぐかといった違いが項目ごとに並んでいます。安否確認のひな形や近所の組の一覧を、流れていく場所に置いてよいかを考える材料になります。
すでにBANDで保護者会を運営している場合は、BANDとの比較に、記録の残り方や預け先の違いがまとめられています。いまの道具を続けるかどうかを決める前に、非常時に使う情報をどこに置いておくかという観点で読んでみると、判断がしやすくなります。
保護者どうしが連絡先を交換せずにやり取りできるかどうかも、学童の保護者会では大きな論点です。近所の組を作るとき、電話番号を交換しなければ連絡が取れない形だと、組に入ること自体をためらう家庭が出ます。PTAでの使われかたでは、連絡先を交換しないまま、参加を承認してから入ってもらう形の例が示されています。学童の保護者会でも、年度ごとの入れ替わりに合わせて参加を承認する流れは同じように使えます。
どの道具を使うにしても、安否確認に関わる一覧はメンバー以外は見られない場所に置くことが前提です。子どもが一人で帰る曜日と時刻、大人のいない時間帯といった情報は、外に出れば子どもの安全そのものにかかわります。通知が届くか、年配の祖父母を第二の連絡先として加えられるか、データがどこで管理されているかといった点は、よくある質問で道具ごとに確かめてから選ぶと、役員が交代したあとも同じ手順を続けられます。
Q1. 学童保育の保護者会は、子ども全員の安否を確認する必要がありますか?
クラブにいる子どもの所在確認と引き渡しは、まず運営側の職員が担います。保護者会が独自に全員の子どもの無事をたずねると、クラブの連絡と重なって保護者が混乱します。保護者会が集めるべきなのは、迎えに行けるか、何時ごろ着けるか、代わりの人はいるかという迎えの見通しです。ただし保護者会自身が運営主体のクラブでは、両方を役員が担うことになります。
Q2. 安否確認に返事が来ない保護者には、どの順番で連絡すればよいですか?
子どもがクラブにいて保護者の返事がない家庭、子どもが一人で帰宅していて返事がない家庭、その日は利用がない家庭の三つに分けます。迎えの判断が止まる一つめと、家に子どもが一人でいるかもしれない二つめを先に追い、三つめは翌日以降に落ち着いて確かめます。支援員が直接電話していることもあるので、分担をクラブと決めます。
Q3. 近所の家庭に子どもの引き取りを頼むには、何を準備すればよいですか?
住まいの近い3家庭か4家庭で組を作り、非常時にお互いの子どもを引き取ってよいという合意を取ります。そのうえで、各家庭がクラブの引き取り者の届け出に相手の名前を加えておきます。届け出がないと、災害時でもクラブが引き渡せない場合があります。三年生の退所や新一年生の入所で組が崩れるので、毎年度の初めに見直します。
Q4. 安否確認の練習は、どのように行えばよいですか?
クラブの避難訓練の日に日程を合わせ、訓練であることを明記して、迎えに行けるか、到着の見込み時刻、代わりの大人の名前の三つに答えてもらいます。返事が来なかった家庭は、通知を切っている、別の端末で登録している、名簿の連絡先が古いのいずれかであることが多く、練習の結果を見て名簿を直すのが目的です。年に1回で足ります。
