学童保育の保護者会で会費を集める仕組みは、前の年の会計担当から受け継いだまま、何年も同じ形で続いていることがよくあります。封筒に入れて子どもに持たせる、お迎えのときに支援員に渡す、保護者会の日にまとめて集める。どれも一つずつは小さな手間ですが、現金が手から手へ渡るたびに、なくなる、数え間違える、誰が払ったか分からなくなるという危うさが積み重なります。この記事では、学童保育の保護者会が会費の集め方を変えるときに、どこから手を付ければ無理なく現金の受け渡しを減らせるのかを、順番に沿って整理します。
学童の保護者が払っているお金は、三つの財布に分かれている
集め方を見直す前に、保護者が学童に関して払っているお金の種類を分けておきます。ここが混ざったままだと、会費の話をしているつもりが利用料の話になり、議論がかみ合いません。
一つめは、クラブを利用するための料金です。自治体によって「利用料」「保育料」「負担金」など呼び方が違い、金額の決め方も自治体や運営者ごとに違います。自治体が運営するクラブなら自治体に、社会福祉法人や事業者が運営するクラブならその運営者に払います。保護者会が運営しているクラブでは、保護者会がこのお金を受け取ります。
二つめは、おやつ代や教材費、長期休業中の行事にかかる実費です。利用料に含めているクラブもあれば、別に集めているクラブもあります。誰が集めるかもまちまちで、運営側が集める場合と、保護者会に任されている場合があります。
三つめが、保護者会そのものの会費です。行事の費用、卒所する子どもへの記念品、地域の学童保育連絡協議会への分担金、会の通信費などに使われます。これは保護者会という任意の団体が会員から集めるお金で、クラブの利用とは本来切り離されています。
二つめの実費を保護者会が集めている会では、もう一つ注意が要ります。おやつ代は、子どもが食べた分を支払う性格のお金なので、年度末に余りが出たときの扱いが会費と違います。会費の余りは翌年度に繰り越せば済みますが、おやつ代の余りを繰り越すと、卒所した家庭が払ったお金を翌年の子どもが使うことになります。余りを返すのか、翌年度の単価に反映させるのかを、実費を集める会では先に決めておきます。
この記事で主に扱うのは三つめですが、二つめを保護者会が集めている場合は、その集め方も同じ順番で見直せます。まず、自分たちの会が三つのうちどれを扱っているのかを、会計担当と役員の間で一枚の表にしておくと、話が早く進みます。表の列は「お金の名前」「誰が集めるか」「誰に渡るか」「いつ集めるか」「いまの集め方」の五つで足ります。
保護者会が運営しているクラブでは、財布を二つに分けることが先になる
保護者会が運営主体になっているクラブでは、会費の集め方を変える前に、もう一つ片付けておくことがあります。事業としてのお金と、会の活動としてのお金を分けることです。
運営主体の保護者会は、利用料を受け取り、支援員に給与を払い、自治体から補助金を受けて実績を報告します。これは放課後児童クラブという事業の会計です。国の基準でも、事業者には帳簿を整えることが求められています。
放課後児童健全育成事業者は、職員、財産、収支及び利用者の処遇の状況を明らかにする帳簿を整備しておかなければならない。 出典: laws.e-gov.go.jp
同じ基準は、事業者が定める運営規程に、保護者が支払うべき額を書いておくことも求めています。つまり利用料は、事業の規程に根拠を持つお金です。
一方で、夏祭りの模擬店の売上や、卒所式の花束代、会員どうしの親睦のための費用は、事業ではなく会の活動のお金です。この二つが同じ通帳に入っていると、補助金の実績報告で行事の支出を説明しなければならなくなったり、行事の余りを利用料の不足に回してよいのかという議論が毎年起きたりします。
分け方は、通帳を二つにするのがいちばん確実です。事業の通帳には利用料と補助金と給与だけを通し、活動の通帳には会費と行事費だけを通します。会費の集め方を変えるのは、この分離を済ませてからにします。順番を逆にすると、振込先を案内し直す手間が二度発生します。
現金が誰の手を通っているかを、一年分書き出す
集め方を変える第一歩は、いま現金がどこを通っているかを書き出すことです。会計担当が一人で頭の中に持っている流れを、紙に出して役員全員で見ます。
学童の保護者会でよく見られる受け渡しの場面は、次のようなものです。
・子どもが封筒を連絡袋に入れて、学校からクラブへ持っていく ・保護者がお迎えのときに、支援員に封筒を渡す ・保護者会の定例会の日に、会計担当が集金袋で受け取る ・会計担当の自宅の郵便受けに、保護者が投函する ・行事の当日に、参加費を受付で現金で払う ・きょうだいの分をまとめて、上の子の封筒に入れる
一年分を書き出すと、たとえば月ごとの会費を封筒で集めている会では、会員が30家庭なら封筒は年に360通になります。そのうち何通が子どもを経由し、何通が支援員の手を通っているかを数えると、どこから減らせばよいかが見えてきます。
書き出すときには、誰が数えて、誰が記録しているかも一緒に書きます。封筒を受け取った人と、中身を数えた人と、帳簿に付けた人が同じ一人になっている場面は、間違いが起きても誰も気づけません。現金を減らす話と、確かめる人を二人にする話は、同じ表の上で一緒に考えられます。
第一段階は、子どもにお金を持たせるのをやめる
最初に手を付けるのは、子どもが現金を運んでいる場面です。ここは他の段階と違って、道具を変えなくても今日から止められます。
学童に通う子どもは、学校からクラブへ移動します。封筒を連絡袋に入れて家を出ると、登校して、授業を受けて、クラブまで歩いて、ようやく支援員の手に渡ります。その間、封筒は教室の机の横やロッカーに置かれています。なくしても、子どもはどこでなくしたか分かりません。低学年の子どもなら、お金が入っていること自体を忘れていることもあります。
封筒の中身がなくなったとき、保護者会はどうするかという判断を迫られます。払ったことにするのか、もう一度払ってもらうのか。どちらを選んでも、どこかの家庭が不満を持ちます。お金をめぐって子どもどうしが疑い合うような事態になれば、保護者会の手には負えません。
止め方は、次の集金の案内で「お子さんに現金を持たせないでください」と一行加えるだけです。代わりの受け取り方を用意しておかないと、結局子どもに持たせる家庭が出るので、第二段階以降のどれかと同時に案内します。すぐに振込へ移れない会なら、しばらくは保護者会の定例会の日に保護者本人から受け取る形にしておけば足ります。
きょうだいで在籍している家庭が、上の子の封筒に下の子の分をまとめて入れている場合も、ここで一緒に止めます。一通の封筒に二人分が入っていると、どちらの分が払われたのか帳簿上で分からなくなります。
第二段階は、支援員に保護者会のお金を預けない
次に止めるのは、お迎えのときに支援員が封筒を受け取っている場面です。保護者にとってはいちばん手軽な渡し方なので、ここを止めるには理由をきちんと説明する必要があります。
支援員は、子どもの放課後の生活を支える仕事をしています。保護者会の会費を受け取ることは、その仕事には入っていません。お迎えの時間帯は、帰る子どもの確認、保護者への一日の様子の伝達、残っている子どもの見守りが重なる、もっとも手の離せない時間です。そこで封筒を受け取り、名前を確かめ、どこかに保管するという作業が加わります。
保管の問題もあります。受け取った封筒をどこに置くのか。職員の机の引き出しか、事務室の棚か。鍵のかかる場所がないクラブもあります。翌日に保護者会の役員が取りに来るまでの間に封筒がなくなった場合、支援員が疑われる立場に置かれます。運営が事業者の場合、職員が業務と関係のない現金を預かることを事業者の決まりで認めていないこともあり、保護者会の慣習が支援員をその決まりに反する立場に追い込んでいることがあります。
保護者会が運営主体のクラブでは、利用料は事業のお金なので、支援員や事務担当の職員が受け取る流れがあり得ます。その場合でも、会の活動費である保護者会費は職員に扱わせず、利用料とは別の経路にします。第二段階の目的は、支援員の仕事と保護者会の仕事の線を引き直すことです。
説明するときは、「支援員の先生の負担を減らすため」と「なくなったときに誰も困らないため」の二つを伝えれば、多くの保護者は納得します。
第三段階は、集める回数を減らす
子どもと支援員を経路から外したら、次は集める回数そのものを減らします。月ごとに集めているなら学期ごと、学期ごとなら年に一度という形に寄せていきます。
回数を減らすと、受け渡しの回数も、記録の手間も、未納を追いかける回数も、同じ割合で減ります。月ごとに30家庭から集めていた会が年に一度にすれば、受け渡しは12分の1になります。
ただし、学童の保護者会では、回数を減らすときに他の団体にはない問題が出てきます。年度の途中で入る家庭と抜ける家庭が多いことです。
学童は、保護者の就労の状況に合わせて年度の途中から入所する家庭があります。育児休業から復帰した、転職した、引っ越してきたといった理由です。夏休みの間だけ利用する家庭を受け入れているクラブもあります。逆に、三年生の終わりや、学年の途中で習い事や留守番に切り替えて退所する家庭もあります。
年に一度まとめて集めると、途中で抜けた家庭に返金するのか、途中で入った家庭から月割りで取るのかを決めなければなりません。この決まりがないまま年払いに変えると、退所のたびに会計担当が個別に判断することになり、かえって手間が増えます。
回数を減らすのは、次の節に書く途中入退所の決まりを先に作ってからにします。決まりが作れないうちは、学期ごとの三回払いにとどめておくと、途中の出入りの影響が一学期分で収まります。
途中で入る家庭と抜ける家庭の会費を、先に決めておく
学童の保護者会の会費で、他の団体よりも決まりの細かさが求められるのがこの部分です。規約か、少なくとも役員会の申し合わせとして書いておきます。
決めておくことは、次の四つです。
・月の途中で入所した家庭の、その月の会費を取るか ・年払いの途中で退所した家庭に、残りの月の分を返すか ・長期休業中だけ利用する家庭の会費をどうするか ・卒所する学年の家庭の、最後の数か月の扱い
月の途中の入所については、基準日を一つ決めると迷いません。たとえば「その月の1日時点で在籍している家庭から、その月の分を取る」と決めれば、15日に入った家庭は翌月から、月末に抜けた家庭はその月まで払う、という判断が機械的にできます。
返金については、返さないと決めてしまうのも一つの考え方です。会費は行事や記念品にすでに使っているので、途中で抜けた家庭に返すお金は残っていないという整理です。その場合は、年払いを選ぶかどうかを家庭に任せ、学期払いも選べるようにしておくと、途中で抜けるかもしれない家庭が不利になりません。
長期休業中だけの利用家庭は、会の行事に参加する機会がほとんどありません。会員にするかどうか自体を役員会で決め、会員にする場合は月数分だけの会費にする形がよく取られます。
卒所の学年は、三月の卒所の行事で記念品を受け取る側になります。記念品の費用を下の学年の会費でまかなうのか、卒所する家庭からも最後まで会費を取るのかで、不公平感の出方が変わります。どちらにするかを毎年議論しないよう、一度決めたら規約に書き込んでおきます。
第四段階で振込に移すとき、名義の問題が必ず出てくる
回数を減らし、途中入退所の決まりを作ったら、いよいよ現金そのものをなくして口座への振込に移します。ここで学童の保護者会が必ずつまずくのが、誰が払ったのかを通帳から見分ける問題です。
振込の名義は、ふつう保護者の名前で表示されます。保護者会の名簿は、子どもの名前と学年で作っていることが多いので、通帳に並んだ保護者の名前と名簿を突き合わせる作業が発生します。名字が子どもと違う保護者、祖父母が代わりに振り込む家庭、会社名で振り込まれてしまう場合もあります。
これを避けるには、振込の名義の前に目印を付けてもらう方法が使えます。保護者会で家庭ごとに番号を割り振り、「番号と子どもの名字」を名義の頭に入れて振り込んでもらいます。番号は名簿の順番ではなく、年度ごとに振り直す任意の番号にしておくと、翌年に番号だけで家庭が特定されることを避けられます。
振込の手数料をどうするかも決めます。手数料を保護者の負担にするのか、会費から差し引くのか。金融機関や振込の方法によって手数料は変わるので、会として一律の金額を示すのは難しく、保護者の負担とするのが一般的です。その分、振込を年に一度か学期に一度に絞っておくと、保護者の負担の総額が抑えられます。
口座の名義についても確かめておきます。任意の団体の口座は、代表者の名前が口座の名義に入る形になることが多く、代表が交代するたびに金融機関での手続きが必要になります。手続きに規約や総会の議事録を求める金融機関もあるので、交代の時期に合わせて書類を用意できるよう、次の会計担当に引き継いでおきます。
第五段階で、行事の当日払いをなくす
振込に移っても、最後まで現金が残りやすいのが行事の参加費です。夏のキャンプ、秋のバザーの準備費、クリスマス会、卒所のお別れ会。当日に受付で集める形が長く続いている会が多くあります。
学童の行事は、参加する家庭が毎回ばらばらです。仕事の都合で参加できない家庭、子どもだけ参加して保護者は来ない家庭、きょうだいも一緒に来る家庭が混ざります。一律に会費に含めてしまうと、参加しない家庭から不満が出ます。参加する家庭だけから集めると、当日の現金になりがちです。
当日払いをなくすには、二つのやり方があります。
一つは、行事ごとに参加の申し込みを締め切り、その時点で参加費を振り込んでもらう方法です。申し込みと入金を同じ日に締めれば、当日の受付では名前を確かめるだけで済みます。キャンセルが出たときの返金の決まりも、申し込みの案内に一緒に書いておきます。
もう一つは、行事の費用を年間の会費に含めてしまい、参加しない家庭のぶんは翌年の会費に反映させるという考え方です。行事の数が多い会や、ほとんどの家庭が参加する行事なら、この形のほうが事務の手間はずっと少なくなります。
どちらを選ぶかは、行事の性格で分けます。全家庭に関わるお別れ会や記念品は会費に含め、参加の有無が分かれるキャンプや日帰りの遠足は申し込み制にする、という組み合わせが無理がありません。
外へ払うお金の時期から、集める時期を逆算する
会費の集め方を決めるとき、見落とされやすいのが、保護者会から外へ出ていくお金の時期です。集める時期と払う時期がずれていると、会計担当が一時的に立て替える、あるいは前年度の繰越金に頼るという状態が毎年起きます。
学童の保護者会が外へ払うお金には、いくつかの型があります。地域に学童保育の連絡協議会があり、そこに加入している会では、年度の初めに分担金の請求が来ることがあります。行事の際のけがに備えて保険に入っている会では、加入の手続きと保険料の支払いが行事の前に来ます。夏のキャンプのように施設や交通手段を予約する行事では、予約金の支払いが数か月前に発生します。三月の卒所の記念品は、注文の締め切りが二月ごろに来ることが多くあります。
これらを一年の暦に並べると、四月から六月、そして年明けに支払いが集まる会が多いことが分かります。一方で、四月は新入所の家庭の名簿がまだ固まっておらず、会費を集める準備が整いにくい時期です。年払いを四月に集めようとすると、名簿の確定を待つ間に分担金の期日が来てしまいます。
この場合は、集める時期を五月の連休明けに置き、四月の支払いは前年度からの繰越金でまかなうと決めておくと、会計担当の立て替えが起きません。そのために必要な繰越金の額は、前年度の四月の支出を見れば分かります。年に一度この額を確かめ、決算の報告で「翌年度の四月分として残す額」を明示しておくと、繰越金が多すぎる、少なすぎるという議論にも根拠を持って答えられます。
学期払いにしている会なら、各学期の支払いの山に合わせて、集める月を一か月ずつ前に置く形に調整します。
未納の知らせ方は、子どもにもほかの保護者にも見えない形にする
集め方を変えても、期日までに払われない家庭は出ます。学童の保護者会では、未納の知らせ方にとくに気を配る必要があります。
まず、子どもを通して伝えることはしません。「お母さんに、会費がまだだって伝えてね」と子どもに言えば、子どもは自分の家がお金を払っていないと感じ、クラブの中で居心地の悪い思いをします。支援員に伝言を頼むのも同じ理由で避けます。
お迎えの時間に、会計担当の保護者が直接声をかけるのも、ほかの保護者が近くにいる場では控えます。お迎えの時間帯は、同じ時刻に何家庭もの保護者がクラブの玄関に集まります。
知らせ方は、会計担当の名前で、その家庭の保護者にだけ届く形で送ります。文面は責める調子にせず、「行き違いでしたら申し訳ありません」と添え、振込先と期日をもう一度書きます。期日を二度過ぎた場合の扱い、たとえば会長から連絡する、行事の参加費を別に扱うといった流れを申し合わせておくと、会計担当が一人で抱え込まずに済みます。
未納の家庭の一覧を、役員全員が見られるトークに貼るのはやめておきます。事情があって払えない家庭もあり、その情報が役員の間で広がることは、会費の額よりも大きな問題になります。未納の一覧は会計担当と会長の二人で扱い、役員会には件数だけを報告します。
減免の申し出は、会計担当と会長の二人だけで扱う
学童の保護者会には、家計の事情で会費の負担が重い家庭が相談してくることがあります。ひとり親の家庭、きょうだいが複数在籍している家庭、保護者の失業や病気で収入が減った家庭などです。
最初に分けておきたいのは、クラブの利用料の減免と、保護者会費の減免は、まったく別の話だということです。利用料の減免は、自治体や運営者の制度として決まっていることが多く、保護者会は関わりません。保護者会が決められるのは、保護者会費と行事費の扱いだけです。
保護者会費の減免を扱うなら、基準を規約か申し合わせに書いておきます。基準がないまま個別に相談を受けると、会計担当や会長の人柄で判断が変わり、あとから「あの家庭は免除されたのに」という話が出ます。基準は細かくする必要はなく、「きょうだいで在籍している家庭の二人目は半額」「申し出があった家庭は、会長と会計担当で協議して決める」くらいで足ります。
申し出の中身は、会計担当と会長の二人だけで扱います。理由を詳しく書いてもらう必要はありません。申し出があったこと、どういう扱いにしたかだけを記録し、事情の詳細は記録に残しません。次の年度の会計担当に引き継ぐときも、「前年度に減免を受けた家庭がある」ことだけを伝え、家庭の名前と事情は、その家庭が翌年も申し出たときに改めて聞く形にします。
役員会に報告するときは、減免の件数と金額の合計だけにします。
会計担当の交代で、記録を個人の手元に残さない
学童の保護者会の役員は、子どもの在籍年数に合わせて入れ替わります。三年生で退所する家庭が多いクラブでは、会計担当が一年か二年で交代するのがふつうです。会費の集め方を変えても、交代のたびに記録が途切れると、翌年はまた前の形に戻ってしまいます。
引き継ぐべきものは、通帳と印鑑だけではありません。家庭ごとの入金の記録、途中入退所の決まり、減免の基準、振込の名義の付け方の案内文、行事ごとの申し込みと入金の締め切りの決め方。これらが前の担当の家のノートや個人の表計算ファイルにしかないと、新しい担当は四月の最初の集金から迷うことになります。
記録を置く場所は、役員の間で共有でき、担当が代わっても残る場所にします。案内文や決まりは、会員全員が見られる場所に掲示しておけば、保護者からの問い合わせにも「掲示を見てください」で答えられます。家庭ごとの入金の記録のように、会員に見せない情報は、会計担当と会長だけが見られる場所に分けて置きます。
交代の前には、年度末に会計の監査を行います。監査役を役員とは別の保護者に頼み、通帳の残高と帳簿の残高が一致しているか、領収書や支出の記録がそろっているかを確かめてもらいます。監査が済んだ帳簿を新しい担当に渡せば、前年度の数字に疑問が出ても、監査の記録で説明がつきます。
払った側からも、会費の使い道と記録が見える形にする
会費の集め方を変える話は、最終的には、会員が安心して払える状態を作ることにつながります。現金を減らすことはその手段で、会員の側から「自分はいつ払ったか」「会費が何に使われたか」が確かめられることが目的です。
振込に移ると、保護者は自分の通帳で払った記録を確かめられるようになります。一方で、保護者会の側から「入金を確認しました」と伝えないと、保護者は届いたかどうか分からず不安になります。一家庭ずつ個別に知らせるのは手間なので、「〇月〇日までの入金をすべて確認しました。心当たりのない方は会計担当まで」と全体に一度知らせる形が現実的です。
使い道は、年度の途中でも行事のたびに短く報告しておくと、年度末の決算報告で驚かれることが減ります。報告の場所が毎回違うと、保護者はどこを見ればよいか分からなくなります。お知らせを上に固定しておける場所に、会費の案内、振込先、途中入退所の決まり、決算の報告を並べておけば、年度の途中から入った家庭にもそのまま渡せます。町内会での使われかたには、お知らせを上に固定し、行事の写真と次の集まりの日程を同じ場所に残していく例があり、会費の案内を置く場所を考えるときの参考になります。
いまLINEのグループで会費の案内を流している会では、案内が新しい発言に押し流され、年度の途中で入った家庭が振込先を探せないということが起きがちです。LINEグループとの比較には、連絡の残り方や役員が代わったときの記録の扱いが項目ごとに並んでいます。
会費の記録や減免の相談のような情報を扱う以上、置き場所はメンバー以外は見られないことが前提です。道具を選ぶときに確かめたい点、たとえば知らない人が入ってこないか、データがどこで管理されているかは、よくある質問にまとめられています。
Q1. 学童保育の利用料と保護者会費は、同じものですか?
別のお金です。利用料は自治体や運営者に払うクラブの利用のための料金で、呼び方や金額の決め方は地域ごとに違います。保護者会費は、保護者会という任意の団体が行事や記念品、協議会への分担金などのために会員から集めるお金です。保護者会が運営主体のクラブでは両方を保護者会が受け取るので、通帳を分けて管理します。
Q2. 会費を年払いに変えたら、途中で退所した家庭に返金すべきですか?
会として決めておけば、どちらでも構いません。行事や記念品にすでに使っているため返金しないと決める会もあります。その場合は学期払いも選べるようにして、途中で抜けるかもしれない家庭が不利にならないようにします。大切なのは、退所のたびに会計担当が個別に判断しなくて済むよう、規約か申し合わせに書いておくことです。
Q3. お迎えのときに支援員に会費を渡してもよいですか?
避けたほうがよい渡し方です。お迎えの時間帯は支援員がもっとも手の離せない時間で、封筒を受け取り保管する作業は本来の仕事に入っていません。封筒がなくなったときに支援員が疑われる立場にもなります。保護者会費は、振込にするか、定例会の日に会計担当が保護者本人から受け取る形に切り替えます。
Q4. 振込に変えると、誰が払ったか分からなくなりませんか?
振込の名義は保護者の名前で表示されるため、子どもの名前で作った名簿と突き合わせにくくなります。家庭ごとに年度単位の番号を割り振り、番号と子どもの名字を振込名義の頭に入れてもらうと、通帳から見分けやすくなります。祖父母が振り込む家庭もあるので、この付け方を案内文に明記しておきます。
