合唱団の安否確認は、町内会や消防団のように地域の住民を確かめる仕事ではありません。確かめる相手は、週に一度か二度、歌うために集まる大人たちです。それでも合唱団には、ほかの団体にない難しさがあります。本番のステージではスマホを持たずに立ち、練習は夜の公民館で行い、演奏会には名簿に載っていない賛助出演者が加わり、団員の年齢の幅も広い。一斉に「無事ですか」と送っても、返事が来ない理由が団員ごとに違います。ここでは、合唱団の安否確認を場面ごとに分け、返事が来ない団員をどう扱うかまでを、合唱団に特有の事情から順に整理します。
合唱団の安否確認は、4つの場面で中身が変わる
合唱団で安否を確かめる必要が出るのは、大きな地震や風水害のときだけではありません。団員が集まっている最中に何かが起きる場面と、集まっていない日に何かが起きる場面では、確かめる中身がまったく違います。
・練習中:練習会場にいる団員を、その場で数える ・本番中:ステージ、楽屋、客席に分かれている出演者を数える ・合宿や演奏旅行、コンクールの遠征中:移動や宿泊の単位で数える ・活動のない日:それぞれの自宅や職場にいる団員の様子を、必要な範囲で確かめる
最初の3つは、団が集めた場で起きることなので、団として出席者の無事を確かめる責任が生じます。数える相手はその日に来ている人に限られ、答えは「全員いるか、いない人は誰か」です。
4つ目は性質が違います。合唱団は趣味の団体で、団員の生活の安全に責任を負う立場ではありません。この場面で確かめる目的は、次の練習や演奏会をどうするかを決めることと、一人暮らしの高齢の団員などの様子を気にかけることです。家族の安否や自宅の片付けが先の団員に、返事を急がせる理由はありません。
この4つを1つの手順で済ませようとすると、練習中の点呼には手順が重すぎ、活動のない日の確認には催促が強すぎる、という形になります。手順は場面ごとに分けて用意しておきます。
練習中は、その日の出欠の記録がなければ数えられない
練習の最中に大きな揺れが来たとき、その場で最初に必要なのは「今日、誰が来ていたか」の一覧です。ところが合唱団の練習では、出欠をきちんと記録していない団が少なくありません。遅れて来る団員、途中で帰る団員がいて、全員がそろう時間がないまま練習が進むからです。
出欠の記録がないと、避難した先で人数を数えても、それが全員なのかどうか判断できません。「たぶん今日は30人くらいだった」では、1人足りないことに気づけないのです。
練習の出欠は、安否確認のためにも、練習の始めに記録しておく必要があります。
・受付に名簿を置き、来た団員が自分で印を付ける ・遅れて来た団員も、到着したときに印を付ける ・途中で帰る団員は、帰るときに印を付けるか、パートリーダーに声をかける
途中で帰る団員の記録は抜けやすい部分です。仕事の都合で練習の後半に抜ける団員は、音を出している最中に静かに部屋を出ていくことが多く、誰も気づきません。帰るときの印は、安否確認のためだと理由を伝えておくと、団員も協力しやすくなります。
出欠を登録先の出欠の機能で取っている団では、練習の前に「出席」と答えていても、当日来なかった団員がいます。事前の返事と当日の実際が違う以上、その日に誰がいたかは、会場での記録で確かめる必要があります。
数えるときはパートで分け、パートリーダーが数える
練習会場から避難した後、全員を指揮者や団長が1人で数えようとすると時間がかかります。合唱団には、人数を数えるための単位が既にあります。パートです。
混声合唱ならソプラノ、アルト、テナー、バス、女声合唱や男声合唱でも2つから4つのパートに分かれていて、練習のときもパートごとにまとまって座っています。パートの人数は多くても十数人程度で、パートリーダーは自分のパートに誰がいるかを顔で分かっています。
避難のときは、パートごとに集まり、パートリーダーがその日の出欠の記録と照らして人数を数え、団長か指揮者に報告する流れにしておきます。報告は「ソプラノ12人、全員います」「アルト9人中8人、○○さんがいません」と、人数と、いない人の名前だけを伝えます。
パートリーダーが休んでいる日のために、パートごとに代わりに数える人を決めておきます。合唱団では、パートリーダーが仕事の都合で練習に来られない日が珍しくありません。「パートリーダーが不在なら、そのパートでいちばん在団年数の長い人が数える」のように、その場で決められる決まりにしておくと、誰が数えるかで迷う時間がなくなります。
練習会場が公民館や学校の音楽室など、団の持ち物ではない施設の場合、避難の経路や集まる場所は施設の決まりに従います。年度の初めに、施設の避難経路を団員全員で一度確かめておくと、いざというときにパートごとに集まる場所を決めやすくなります。
本番中は、ホールの指示に従うことが先になる
演奏会やコンクールの本番中に大きな地震が起きたときは、団の手順より先に、ホールの係員の指示に従うことになります。気象庁は、緊急地震速報を見聞きしたときの行動の例として、人が大勢いる施設での行動を次のように示しています。
施設の係員の指示に従ってください。 落ち着いて行動し、あわてて出口には走り出さないでください。 出典: 気象庁「緊急地震速報を見聞きしたときは」
同じページでは、緊急地震速報を見聞きしたときの基本として、まわりの人に声をかけながら、周囲の状況に応じてあわてずに、まず身の安全を確保することが挙げられています。
合唱団の本番で難しいのは、出演者が3つの場所に分かれていることです。ステージ上で歌っている団員、楽屋や舞台袖で出番を待っている団員、客席で他の団の演奏を聴いている団員です。コンクールや合同演奏会では、ほかの団体も同じホールにいるため、自分たちの団員だけがどこにいるかを把握するのはさらに難しくなります。
ホールの係員の指示で避難が終わった後に、団としての点呼を行います。このときの集合場所を、本番の前に決めておくことが大切です。ホールの外の、ほかの団体と重ならない場所を1つ決め、当日の集合時刻の連絡と一緒に団員へ伝えておきます。
ステージに立つ団員は、スマホを持っていない
合唱団の本番の安否確認で、ほかの団体と決定的に違うのがここです。ステージで歌う団員は、衣装を着て、手には楽譜かファイルだけを持ち、スマホは楽屋の荷物の中に置いています。
この状態で避難すると、団員は連絡の手段を持たないまま、ホールの外に出ることになります。楽屋に戻れなければ、荷物も、財布も、家の鍵も、スマホも取りに行けません。一斉に安否を尋ねる連絡を送っても、ステージにいた団員からは返事が来ません。無事でも返事ができないのです。
このことから、本番中の安否確認は、連絡を送って返事を待つ形では成り立ちません。避難した先で、顔を見て数える形になります。そのための道具として、合唱団には本番のときだけ使える一覧があります。立ち位置表です。
本番では、ひな壇のどの段のどの位置に誰が立つかを決めた表を作ります。この表は、その日にステージに立つ全員の名前が、パートごとに並んだ一覧になっています。この表の写しを、団長か係の団員が1枚だけ紙で持っておき、避難した先で表と顔を照らして数えます。紙で持つのは、表を持っている係の団員自身もスマホを持っていない可能性があるからです。
楽屋に置いてきた荷物を取りに戻れない団員のために、帰りの交通費や家族への連絡をどうするかも考えておきます。本番の日だけでも、係の団員が少額の現金と、団員の家族の連絡先を控えた紙を身につけておくと、戻れない場面で役に立ちます。
賛助出演者と、外部の演奏者を数えに入れる
演奏会の日にステージに立つのは、団員だけではありません。人数の少ないパートを補う賛助出演者、ピアノや管弦楽の演奏者、ソリスト、指揮者、合同演奏の他団体のメンバーなど、団の名簿に載っていない人が加わります。
この人たちは、団の連絡網に入っていないことが多く、緊急連絡先も団は持っていません。団員の安否確認の手順だけを用意していると、避難した先で賛助出演者が1人いないことに誰も気づかない、ということが起こりえます。
本番の日の点呼には、団員の名簿ではなく、その日の出演者の一覧を使います。立ち位置表に賛助出演者を含めておき、演奏者やソリストについては、別の行に名前を並べておきます。
賛助出演者の連絡先は、本番の期間だけ、係の団員が預かる形にしておきます。団の連絡網に正式に加えるのではなく、本番の数週間前から本番の翌週までの連絡用として預かり、終わったら消すと伝えておくと、賛助出演者の側も連絡先を出しやすくなります。外部の演奏者やソリストについては、依頼の窓口になった団員が連絡先を持っているはずなので、本番の日にその団員が点呼の係と情報を分け合う段取りにしておきます。
客席の来場者は、ホールと主催者の役割になる
自主公演の演奏会では、客席に団員の家族や知人をはじめ、多くの来場者がいます。来場者の避難はホールの係員の指示で行われ、団が来場者一人ひとりの安否を確かめることは現実的ではありません。
団が主催者になっている演奏会では、受付やもぎり、客席の案内を、団員の家族や手伝いの人に頼んでいることがあります。この手伝いの人たちは、団員でも出演者でもないため、名簿のどこにも載っていません。本番の日の係の一覧に、手伝いの人の名前と、どの持ち場にいたかを書いておき、出演者の点呼とは別に、係の代表者が手伝いの人を数える形にしておきます。
来場者に対して団ができるのは、演奏会を中止したことや、後日の扱いを知らせることです。チケットを販売していた場合は、購入者への連絡の方法を事前に決めておきます。これは安否確認とは別の連絡なので、団員の安否確認の手順とは分け、担当の団員も分けておくと、本番の日の混乱の中で2つの仕事が1人に集まらずに済みます。
合宿と演奏旅行では、部屋割りと座席表を名簿に使う
合宿や演奏旅行、コンクールの遠征では、団員が泊まりがけで移動します。この間に何かが起きたときに数える単位は、パートではなく、移動と宿泊の単位です。
バスで移動しているなら座席表、電車なら号車ごとの一覧、宿なら部屋割りの表が、そのまま点呼の一覧になります。合宿の準備で必ず作るこれらの表を、安否確認の一覧として使うと決めておけば、新しい名簿を作る必要はありません。
遠征では、途中から合流する団員や、先に帰る団員が出ます。仕事の都合で2日目から来る、コンクールの本番が終わったら自分で帰る、といった団員です。この団員の出入りを座席表や部屋割りに書き込んでおかないと、移動中に何かあったとき、いない人が「先に帰った人」なのか「はぐれた人」なのか分かりません。出入りのたびに、係の団員に一言伝える決まりにしておきます。
遠征では、団員の家族も気にかけています。移動中に災害の知らせを聞いた家族から、団長や係の団員に「うちの家族は大丈夫か」と問い合わせが来ることがあります。点呼が終わったら、団員自身から家族へ連絡してもらうよう促すとともに、スマホの電池が切れている団員や、電波の届かない場所にいる団員の分は、係の団員がまとめて伝える段取りにしておきます。
活動のない日の確認は、急がせず、目的を絞る
練習も本番もない日に大きな災害が起きたとき、合唱団として安否を尋ねるかどうかは、団の性格によって判断が分かれます。団員の多くが同じ地域に住んでいる団と、広い範囲から通ってくる団では、被害の受け方も違います。
尋ねる場合は、目的を2つに絞ります。
・次の練習や演奏会を予定どおり行えるかを判断するため ・一人暮らしの高齢の団員など、気にかけておきたい人の様子を知るため
1つ目の目的なら、返事を急がせる必要はありません。「次の練習に来られるかどうかを、○日までに教えてください」と、練習の出欠を聞く形で尋ねれば、団員は自分や家族の状況が落ち着いてから答えられます。安否そのものを聞くより、団員にとって答えやすい問いになります。
2つ目の目的は、団全体に一斉に尋ねる形には向きません。気にかけておきたい団員の様子は、同じパートで親しくしている団員や、近くに住んでいる団員に、個別に気にかけてもらうほうが自然です。団としては、誰が誰を気にかけるかを平時に決めておくところまでにとどめます。
家族や親族の被害、自宅の被害については、団から尋ねません。団員が自分から伝えてきた場合も、ほかの団員へどこまで伝えるかは、本人に確かめてから決めます。
返事が来ない団員を、理由ごとに分けて考える
一斉に尋ねたとき、返事が来ない団員は必ず出ます。合唱団の場合、返事が来ない理由は、ほかの団体とは少し違う形で分かれます。
・スマホを持たずに練習や本番に出ていた、あるいは楽屋に置いたまま戻れない ・連絡の登録先をふだん見ていない、または使い方に慣れていない ・休団中で、連絡網から外れている ・ほかの合唱団と掛け持ちしていて、そちらの活動中だった ・本当に、返事ができない状況にある
1つ目は本番の日に特有の理由で、先に書いたとおり、顔を見て数える以外に確かめる方法がありません。2つ目は、ふだんから紙の連絡や電話でやり取りしている団員に多い理由です。3つ目は、合唱団では休団の制度を設けていることが多く、休団中の団員を連絡網から外している団では、そもそも連絡が届いていません。4つ目は、複数の団で歌っている団員が珍しくない合唱団ならではの事情です。
こうして分けてみると、返事が来ない団員の多くは、何かあったのではなく、届いていないか、見ていないか、返せないかのどれかです。返事がないことを、すぐに危険な状態だと受け取る必要はありません。ただし、どの理由なのかを確かめる順番は決めておきます。
返事が来ない団員を追う順番を決めておく
返事が来ない団員を確かめる順番は、次のように段階を踏みます。
・1段階目:同じパートの団員が、個別に連絡してみる ・2段階目:団員本人に電話をかける ・3段階目:本人から預かっている連絡先があれば、そこに連絡する ・4段階目:それでも確かめられない場合は、団としてそれ以上は追わず、状況が落ち着いてから改めて連絡する
1段階目をパートの団員にしているのは、合唱団ではパートの中の関係がいちばん近く、ふだん使っている連絡の手段も分かっているからです。団長から突然個別に連絡が来るより、同じパートの団員から「大丈夫ですか」と来るほうが、本人も返しやすくなります。
電話は、災害の直後は回線が混み合ってつながりにくいことがあります。災害用伝言ダイヤルのように、災害時に使える伝言の仕組みがあることを、平時に団員へ一度知らせておくと、電話がつながらない場面での選択肢になります。
4段階目で追うのをやめると決めておくことは、冷たく見えるかもしれませんが大切です。合唱団は、団員の生活の安全を守る立場にはありません。団長や係の団員が、自分の家族のことを後回しにして団員を追い続けるのは、長く続けられるやり方ではありません。本当に心配な状況なら、団として追うのではなく、本人の家族や地域の窓口に任せるのが筋です。
緊急連絡先を預かるかどうかは、場面で決める
団員の緊急連絡先、つまり本人以外の家族などの連絡先を、合唱団がふだんから預かっておくべきかどうかは、判断が分かれるところです。
大人の趣味の団体として考えれば、ふだんから家族の連絡先まで預かる必要は必ずしもありません。預かれば、その名簿を安全に管理し、団員の出入りに合わせて更新し続ける手間が生じます。更新されないまま古くなった緊急連絡先は、いざというときに役に立ちません。
一方で、次のような場面では、預かっておく意味があります。
・合宿や演奏旅行など、泊まりがけの活動の期間 ・練習中に体調を崩しやすい持病がある団員が、本人の希望で届け出る場合 ・少年少女合唱団やジュニアの部など、子どもが団員になっている場合
最後の子どもの団員については、事情がまったく違います。子どもの安否は、団が数えるだけでは完結せず、保護者の元に戻るまでを見届けることになります。保護者の連絡先は必ず預かり、大人の団員の安否確認とは別の一覧で持っておきます。
大人の団員について預かる場合は、何のために預かり、誰が見られるのか、いつ処分するのかを、届け出てもらうときに示します。見られる人は団長と係の団員など2人ほどに絞り、団員全体の名簿とは分けて保管します。
練習を再開するかどうかを、パートごとの人数で決める
大きな災害の後、合唱団の安否確認は「全員無事か」で終わりません。次に決めなければならないのは、いつ練習を再開するかです。ここに合唱団ならではの判断の難しさがあります。
合唱の練習は、全体の人数が足りていても、パートが欠けると成り立ちません。団員が40人来られても、テナーが1人しか来られなければ、混声の曲は練習になりません。安否確認の返事を集めるときに、無事かどうかだけでなく、次の練習に来られる見込みを聞いておくと、その答えをパートごとに数えることで再開の判断ができます。
・パートごとに、次の練習に来られる人数を数える ・人数の少ないパートがあれば、その日はパート練習や、そのパートを含まない曲に切り替える ・どのパートも半数を下回るなら、全体の練習は見送り、再開の日を改めて知らせる
練習会場の事情も確かめます。合唱団が練習に使っている公民館や学校の体育館、集会所は、災害の後に避難所として使われることがあります。その場合、しばらくは練習に使えません。施設の管理者に、利用の再開の見込みを確かめてから、再開の日を決めます。代わりの会場を探すときは、ピアノがあるかどうかも条件になるので、平時から候補を1つ持っておくと慌てずに済みます。
演奏会が近い時期に災害が起きた場合は、演奏会を予定どおり開くかどうかの判断も加わります。この判断は、団員の安否と来られる人数、ホールの状況、賛助出演者や外部の演奏者の都合を合わせて行うことになり、安否確認で集めた答えがそのまま材料になります。再開や開催の判断を伝えるときは、来られない団員を責める形にならないよう、「来られる方だけで進めます。無理はしないでください」と一言添えます。
休団中の団員と、掛け持ちの団員を名簿でどう扱うか
合唱団の名簿には、ほかの団体にない区分があります。休団中の団員と、ほかの合唱団と掛け持ちしている団員です。安否確認の対象を決めるとき、この2つの扱いを先に決めておかないと、数え方がぶれます。
休団中の団員は、体調、仕事、介護、子育てなど、さまざまな理由で練習に来ていません。連絡網から外している団では、安否確認の連絡も届きません。一方で、休団中でも団のお知らせは受け取りたいという団員もいます。安否確認の対象に含めるかどうかは、休団の届けを受けるときに本人に聞いておき、名簿に書いておきます。対象に含めない団員について、返事が来ないことを気にかける必要はありません。
掛け持ちの団員は、同じ災害について、複数の団から安否を尋ねられることになります。どの団にも同じように返事をするのは負担になり、結果として、どの団にも返事をしない、ということも起こります。掛け持ちの団員には、「ほかの団で既に無事を伝えていれば、こちらへの返事は後回しで構いません」と伝えておくと、返事の負担が軽くなります。
掛け持ちの団員が、ほかの団の練習や本番の最中に被災することもあります。その場合、その団員の安否はまずその団の点呼で確かめられます。団どうしで団員の情報をやり取りする必要はなく、本人が落ち着いてから自分で知らせてくれるのを待てば足ります。
どちらの区分も、団員の出入りとともに変わります。年度の初めや演奏会の区切りなど、名簿を見直す時期に合わせて、休団と掛け持ちの状況も確かめておきます。
連絡の道具の比較から見える、合唱団の安否確認で詰まるところ
集まりの連絡をひとつにまとめる道具の使われ方を見ていくと、合唱団の安否確認で詰まりやすいのは、非常時の連絡の速さよりも、平時の名簿と連絡の置き場所が整っていないことです。
合唱団には、ふだん紙や電話でやり取りしている団員と、画面で連絡を受け取る団員が混在しています。画面の連絡に慣れていない団員が置いていかれると、安否を尋ねた場面で返事が来ない団員が増えます。Discordとの比較では、サーバーとチャンネルに分かれる二階建ての画面と、グループの中に掲示板・予定・メンバーが並ぶだけの画面の違いに加え、文字を大きくする設定の有無が項目として並べられています。よくある質問にも、年配の方でも使えるかという問いに対して、アプリの中だけで文字を大きくできる設定と、LINEのアカウントでログインできることが説明されています。新しいIDやパスワードを増やさないことは、高齢の団員が連絡網から抜け落ちないための条件になります。
団長やパートリーダーの交代も、合唱団の安否確認に響きます。演奏会ごとに係が入れ替わる団では、前回の本番の立ち位置表や、合宿の部屋割りの表がどこにあるのか分からなくなりがちです。LINEグループとの比較では、トークの履歴を端末ごとに持つ形と、記録がグループに残りリーダーを交代しても投稿がそのまま残る形の違いが、役員が代わったときの項目として整理されています。
練習の出欠をどこで取るかも、安否確認の前提になります。BANDとの比較では、カレンダーと出欠確認に投票や時間帯を分けた参加者募集まで備えた形と、カレンダーと出欠に絞った形の違いが並べられています。どちらの形でも、事前の出欠と当日の実際の出席は別物であり、会場で誰がいたかを記録する手順は、道具とは別に団として持っておく必要があります。
安否確認の手順そのものは、非常時に初めて使うものです。平時の練習の出欠、本番の立ち位置表、合宿の部屋割りといった、合唱団が既に作っている一覧を、そのまま点呼の一覧として使えるように置いておくことが、合唱団の安否確認をいちばん確実にします。
Q1. 合唱団の本番中に地震が起きたら、団として何を先にすればよいですか?
まずホールの係員の指示に従って避難することが先になります。団としての点呼は、避難が終わった後に、事前に決めておいた集合場所で行います。ステージの団員はスマホを持っていないことが多いため、立ち位置表の写しを係の団員が紙で持ち、顔を見て数える形にしておくと確実です。
Q2. 賛助出演者の連絡先も、団で預かっておくべきですか?
本番の期間に限って、係の団員が預かる形がおすすめです。賛助出演者は団の名簿に載っていないため、本番の日の点呼から抜けやすくなります。立ち位置表に名前を入れておき、連絡先は本番の数週間前から本番の翌週まで預かって、終わったら処分すると伝えておくと、相手も出しやすくなります。
Q3. 安否を尋ねても返事が来ない団員には、どう対応すればよいですか?
返事が来ない理由は、スマホを持っていない、ふだん連絡を見ていない、休団中で連絡が届いていないなど、何かあった以外のことが多くあります。まず同じパートの団員から個別に連絡し、次に本人へ電話する、と順番を決めておきます。それでも確かめられなければ、団として追い続けず、落ち着いてから改めて連絡します。
Q4. 団員の家族の連絡先を、ふだんから集めておく必要はありますか?
大人の団員については、ふだんから全員分を集める必要は必ずしもありません。合宿や演奏旅行の期間や、持病のある団員が本人の希望で届け出る場合など、場面を絞って預かる形が扱いやすくなります。子どもの団員がいる場合は別で、保護者の連絡先を必ず預かり、引き渡しの手順を用意しておきます。
