合唱団の緊急連絡は、町内会の防災連絡とも、学校の休校連絡とも性格が違います。合唱団の練習は平日の夜か週末に集中していて、判断が要る場面が起きるのは、ちょうど役員が仕事を終えて移動している時間や、家族と過ごしている休日です。しかも、止めるかどうかを団だけで決められません。指揮者、伴奏者、会場の3者の事情が絡みます。この記事では、合唱団で実際に起きる緊急の場面を分け、誰が判断し、どの順で知らせ、届いたかどうかをどう確かめるかを書きます。
合唱団の緊急は、3つの場面に集まる
合唱団で「緊急連絡」と呼ばれるものを並べると、ほぼ次の3つに分かれます。
ひとつめは、練習の直前の中止や変更です。台風や大雪、大雨の警報、会場の急な休館、指揮者や伴奏者の急病がきっかけになります。練習の数時間前から当日の昼までに起き、団員全員に「今日は来ないでください」と伝える必要があります。
ふたつめは、練習中の団員の急病やけがです。合唱団は年配の団員が多い団も多く、長時間立って歌うこと、夏場の空調の弱い部屋で練習すること、ひな壇の上り下りがあることから、体調を崩す人が出る場面は少なくありません。この場合の連絡先は団員全員ではなく、救急と、その人の家族です。
みっつめは、演奏会やコンクールの当日の異変です。集合時刻の変更、交通機関の乱れによる遅刻、声が出なくなった団員、指揮者の到着の遅れ、最悪の場合は演奏会そのものの中止があります。当日は団員の多くが楽屋でスマートフォンを鞄にしまっていて、連絡がいちばん届きにくい状態にあります。
この3つは、判断する人も、知らせる相手も、使える時間も違います。1つの連絡網で全部をこなそうとすると、どれかが必ず抜けます。団としては、場面ごとに「誰が決めるか」「誰に知らせるか」「届いたかをどう確かめるか」を分けて持っておくことが出発点になります。
練習を止めるかどうかは、判断する人を1人に決めておく
練習の中止でいちばん混乱するのは、誰が決めるのかがはっきりしていない団です。台風が近づいている日の午後、団員の何人かが「今日はやるの」とトークで尋ね、役員の1人が「たぶん中止」と返し、別の役員が「指揮者の先生に確認中」と書き、最終的な連絡が出るのが練習開始の30分前、ということが起きます。すでに家を出た人もいます。
合唱団の練習の中止には、3者の事情が関わります。
・会場:公民館などの施設が警報で休館するかどうか ・指揮者と伴奏者:来られるかどうか、移動に危険がないか ・団員:安全に来て、安全に帰れるか
このうち会場の休館は、施設ごとに決まりがあり、団の判断の外にあります。指揮者と伴奏者の事情は、本人に聞かないと分かりません。団員の安全は、住んでいる地域が散らばっているので、団として一律に判断するしかありません。
判断する人は、団長か、団長が不在のときの代わりの人を1人だけ決めておきます。その人が指揮者と会場に確認し、決めた結果だけを団員に流します。途中経過は流しません。「確認中」の連絡は、団員に判断を保留させるだけで、何の役にも立たないからです。
そのうえで、判断の基準と時刻を前もって団員に知らせておきます。たとえば「練習の日の15時の時点で、会場のある市区町村に大雨や暴風などの警報が出ていたら中止」「中止の連絡は16時までに出す」と決めておけば、団員はその時刻に一度確認すればよく、判断する人も迷わずに済みます。基準を先に共有しておくと、「警報が出ているのに連絡がない」と気づいた団員が自分で判断することもできます。
夜と週末に判断する人が、連絡を出せる状態にしておく
合唱団の練習が平日の19時からだとすると、中止を判断すべき時間帯は、判断する人が職場にいる時間です。週末の練習なら、家族の用事の最中かもしれません。緊急連絡の仕組みは、判断する人がそういう状況でも短い時間で出せる形になっていないと、実際には動きません。
よくある詰まり方は、連絡を出す手段が特定の端末や特定の人に紐づいていることです。団員の連絡先の一覧が団長の自宅のパソコンにしかない、一斉に送るための仕組みを使えるのが連絡担当の1人だけ、といった状態では、その人が職場にいる平日の昼に中止の連絡を出せません。
次の3つを確認しておきます。
・判断する人と、その代わりの人の両方が、スマートフォン1台から全団員に連絡を出せるか ・連絡を出すのに、パソコンや自宅の書類が要らないか ・判断する人と代わりの人が、同時に連絡を出して二重にならない決まりがあるか
3つ目は見落とされがちです。団長が中止の連絡を出したのと同じころに、副団長も気を利かせて連絡を出すと、文面が微妙に違い、団員が混乱します。「団長が15時30分までに出さなければ副団長が出す」のように、時刻で交代を決めておくと重なりません。
もうひとつ、夜の練習の中止は、練習が終わったあとの帰り道にも関わります。練習の途中で天気が急変した場合、予定より早く切り上げるかどうかを、その場で指揮者と団長が決めることになります。このときは、その場にいる全員に口頭で伝えれば済みますが、欠席していた人には、翌日以降の予定に変更があるかどうかを改めて知らせる必要があります。
届いたかどうかを確かめる連絡と、流すだけの連絡を分ける
練習の中止の連絡は、全員に流すだけでは足りない場合があります。流した連絡を見ていない団員が、雨の中を会場まで来てしまうことがあるからです。特に年配の団員は、通知に気づかないまま家を出ることがあります。
一方で、全員から「見ました」と返事をもらうのは、30人、40人の団では大きな手間です。そこで、確認の要る連絡と要らない連絡を分けます。
・流すだけでよいもの:翌週以降の予定の変更、演奏会の持ち物の追加など、時間に余裕があるもの ・確認を取るもの:当日の練習の中止、集合場所の急な変更など、見ていないと人が動いてしまうもの
確認を取る連絡は、全員に返事を求めるのではなく、「見ていない人」を探す形にします。連絡を出してから1時間たっても既読や反応がない団員を洗い出し、その人たちにだけ電話をかけます。電話をかける役は、パートリーダーに頼むと分担しやすくなります。パートの中の人の顔と連絡先を知っていて、1人あたり数人に電話をかけるだけで済むからです。
この形を取るには、誰が見て誰が見ていないかが分かる連絡の手段である必要があります。既読の人数は分かっても誰が読んだかが分からない手段では、見ていない人を探せません。電話をかける役のパートリーダーが、自分のパートの未確認者を一覧で見られるかどうかも、手段を選ぶときの確認点になります。
電話がつながらない人がいた場合に備えて、会場にも誰か1人が行けるようにしておくと安心です。中止の日に会場の前で待っている団員がいないかを見るためで、団長の自宅が会場に近いなら団長、そうでなければ近くに住む役員に頼んでおきます。
練習中に団員が倒れたときに、その場で要る情報
練習中の急病は、団員全員への連絡の話ではありません。その場にいる人が、救急を呼び、家族に知らせる話です。このときに必要な情報が、その場で手に入るかどうかが問われます。
その場で要る情報は、次のようなものです。
・練習会場の正確な住所と、建物の中の部屋の位置 ・会場のAEDの置き場所 ・倒れた団員の家族などの緊急連絡先 ・持病や服用している薬について、本人が伝えておきたいと言っていること
1つ目は意外に言えないものです。公民館の名前は分かっても、救急に伝える住所が出てこないことがあります。練習会場の住所と部屋の名前は、団の連絡の場のいちばん上に置いておくか、紙に書いて団長と指揮者の楽譜ファイルに挟んでおきます。会場が複数ある団は、会場ごとに用意します。
2つ目のAEDは、施設の受付や廊下のどこにあるかを、役員が一度見に行って確かめておきます。夜の練習で施設の職員が帰ったあとは、自分たちで探すことになります。
夏場の練習では、倒れる前の段階で気づくことも大切です。合唱の練習は、窓を閉め切った部屋で声を出し続け、演奏会が近づくと休憩を削りがちです。施設によっては夜間に空調の設定が弱まることもあります。指揮者と団長で「45分ごとに必ず水を飲む時間を取る」と決めておくと、団員が自分から休みを言い出しにくい空気を避けられます。気分が悪くなった団員が、声をかけずに廊下で座り込んでいることもあるので、休憩のたびにパートリーダーが自分のパートの顔ぶれを見渡す習慣も効きます。
3つ目と4つ目は、団の名簿に入っている情報のうち、いちばん慎重に扱うべきものです。緊急連絡先は、入団のときに本人から預かっておき、見られる人を団長など数人に限ります。持病や薬のことは、団から聞き出すものではなく、本人が伝えておきたい場合にだけ預かります。
こうした情報を、緊急時に本人の同意を取らずに救急隊などに伝えてよいのか、と心配する役員もいます。個人情報保護委員会は、自治会などを例に次のように説明しています。
したがって、大規模災害等の緊急時に、人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるときには自治会等の個人情報取扱事業者が保有する個人データを本人の同意なく関係者等に提供することは可能と解されます。 出典: 個人情報保護委員会
合唱団がこの説明の対象にどう当てはまるかは団の実態によりますが、少なくとも、命に関わる場面で情報を出すことをためらう必要は薄いと読めます。大事なのは、出すべき情報がその場で取り出せることのほうです。緊急連絡先を見られる人が練習に来ていない日には誰も見られない、という状態を避けるため、見られる人を2人以上にしておきます。
指揮者や伴奏者が来られなくなったとき
合唱団に特有の緊急が、指揮者や伴奏者の急な欠席です。団員の誰かが休んでも練習は成り立ちますが、指揮者が来られないと、その日の練習の組み立てそのものが変わります。
指揮者や伴奏者から欠席の連絡が入る先は、たいてい団長か連絡担当です。ここで判断することは2つあります。練習を中止するか、内容を変えて実施するかです。
中止にする場合は、前の節で書いた練習の中止と同じ手順で知らせます。内容を変えて実施する場合は、あらかじめ「指揮者が来られない日のメニュー」を決めておくと、慌てずに済みます。
・伴奏者だけが来られない日:音取り用の音源を流しながらのパート練習、発声練習を長めに取る ・指揮者だけが来られない日:伴奏者と一緒に、パートリーダーの主導で音の確認をする ・両方とも来られない日:パートごとに分かれて、苦手な箇所の音取りをする
このメニューを決めておくと、団員への連絡は「本日は指揮者の先生がお休みのため、パート練習に切り替えます」の一文で済みます。連絡を受けた団員は、来るか休むかを自分で判断できます。パート練習ならば休む、という人もいますが、それは団員の自由です。
指揮者の欠席は、会場の使用料や謝礼の扱いにも関わります。会場を当日取り消すと使用料が戻らない施設が多く、パート練習でも会場を使うほうが無駄になりません。謝礼の扱いは、指揮者との取り決めによりますが、急な欠席の日の扱いを年度の初めに確かめておくと、会計が当日に悩まずに済みます。
演奏会の当日は、団員の手元に電話がない
演奏会やコンクールの当日の緊急連絡は、練習の日とは条件が大きく違います。団員は楽屋で衣装に着替え、スマートフォンは鞄の中か、電源を切ってロッカーに入れています。舞台の袖や客席の裏では、音を出すことも許されません。ふだんの連絡の手段が、この日だけは使えないということです。
当日の連絡は、次の2つの時間帯に分けて考えます。
会場に着くまでの時間帯は、ふだんの手段が使えます。交通機関の乱れで集合時刻に遅れる団員は、ここで連絡してきます。遅刻の連絡の受け手は、団長ではなく、当日の舞台の進行を受け持つ役員に決めておきます。団長は受付や来賓の対応で手が離せないことが多いからです。
会場に入ってからの時間帯は、人から人へ伝える形になります。舞台の進行を受け持つ役員が楽屋に常にいて、各パートのパートリーダーに直接伝え、パートリーダーがパートの中で伝えます。紙に書いて楽屋の入口に貼ることも効きます。
当日によく起きる異変と、判断する人を整理しておきます。
・団員が遅れて、リハーサルに間に合わない:並び順の変更を指揮者に相談するのは舞台の進行役 ・団員の声が出なくなった:舞台に立って口だけ動かすか、降りるかを本人と指揮者で決める ・団員が体調を崩した:楽屋から出し、家族への連絡は団長 ・指揮者の到着が遅れる:リハーサルの順番の入れ替えを、ホールの担当者と舞台の進行役で決める
演奏会の当日は、平日の練習の日と違って、団の役員の多くが会場にいます。判断する人を1人に絞るより、場面ごとに受け持つ人を決めておき、その人に情報を集めることが大切です。
演奏会を中止するときは、団の外の人に知らせる
演奏会を台風などで中止する場合、知らせる相手は団員だけではありません。チケットを買った人、入場無料の演奏会に来ようとしている人、賛助出演者、ホールの担当者、プログラムの印刷を頼んだ業者と、団の外に広がります。
このうち、来場を予定している人への連絡がいちばん難しい。団がすべての来場者の連絡先を持っているわけではないからです。団員が知人にチケットを手渡しした場合、団員を通して伝えることになります。入場無料の演奏会では、誰が来ようとしているのかさえ分かりません。
来場者に知らせる手段は、次のように重ねて使います。
・団のホームページや公開している告知の場所に、中止の知らせを載せる ・団員から、チケットを渡した知人に直接伝えてもらう ・ホールに相談して、入口に中止の掲示を出してもらう ・当日、会場の入口に団員を立たせ、来てしまった人に説明する
ここで気をつけたいのは、団員向けの連絡の場に来場者を入れてしまわないことです。中止を知らせたいからといって、団の内部の連絡の場所を外に公開すると、団員の名前や練習の話まで外から見えるようになります。団の外に知らせる場所と、団の中の連絡の場所は、はじめから分けておきます。
中止を決める時刻も、団員向けより早めに置きます。遠方から来る人は、当日の朝には家を出ています。前日の18時など、来場者が予定を変えられる時刻に判断の期限を置き、それまでに決められない場合の扱いも告知の中に書いておきます。
合宿と、少年少女合唱団の場合
合唱団の緊急連絡で、もうひとつ別に考えておきたいのが、合宿や遠征の場面と、子どもが団員の少年少女合唱団です。
合宿では、団員が普段いない場所に、夜を越えて集まります。宿の住所と電話番号、最寄りの病院の場所、宿泊中の団員の緊急連絡先を、団長ともう1人の役員が紙でも持っておきます。山あいの宿泊施設では携帯電話の電波が弱いことがあり、画面の中の一覧だけでは取り出せない場面があるからです。
少年少女合唱団では、緊急連絡の相手が団員本人ではなく保護者になります。練習の中止は、子どもがすでに家を出ているかもしれない時間に伝わることがあり、保護者が送迎の予定を変える必要があります。中止の判断の時刻は、大人の合唱団より早めに置きます。
少年少女合唱団で特に大切なのは、練習が終わったあとの引き渡しの連絡です。天気の急変で練習を早く切り上げる場合、保護者の迎えが来るまで子どもを会場で預かることになります。全保護者に「何時に切り上げるので迎えに来てください」と伝え、全員の迎えが済むまで指導者か役員が残ります。この連絡は、流すだけでは足りず、保護者ごとに受け取ったことを確かめる必要があります。
団員の入院や訃報は、急ぐ連絡と急がない連絡に分ける
年配の団員が中心の合唱団では、団員やその家族の入院、訃報の知らせも、緊急連絡の仕組みで扱うことになります。この連絡は、練習の中止とは逆の性質を持っています。早く全員に流せばよいというものではなく、流す範囲と時期を、本人や家族の意向に合わせて決める必要があるからです。
入院の知らせは、本人が団に知らせてほしいと言っているかどうかで扱いが分かれます。練習を長く休むことになるので、団長やパートリーダーには伝わりますが、病名や入院先まで団員全員に流すことは避けます。団員に伝えるのは「しばらくお休みされます」までで、お見舞いを受けるかどうかは本人に確かめてからにします。
訃報は、急ぐ部分と急がない部分に分けます。急ぐのは、通夜や葬儀の日時と場所を、参列を考える団員に知らせることです。多くの場合、知らせてから通夜まで1日か2日しかありません。一方で、家族葬として身内だけで送る場合は、日時や場所を団員に流してはいけません。家族から団長に伝わった内容のうち、何を団員に知らせてよいかを、団長が家族に確かめてから流します。
合唱団ならではの判断として、葬儀や偲ぶ会で団として歌うかどうか、があります。長く在籍した団員を歌で送りたいという声は、多くの団で上がります。ただ、歌うには家族の了承、式場の都合、歌える団員の招集、曲と伴奏の手配が要り、それを1日か2日で整えることになります。団長が家族の意向を聞き、歌うことになった場合は、参加できる団員を募る連絡を、訃報の連絡とは別に出します。同じ連絡に混ぜると、参列だけのつもりの団員が歌う側に数えられる、といった取り違えが起きます。
こうした連絡は、流れていく場所に置くと、後から「知らなかった」という団員が出ます。日時と場所は、あとから見返せる場所に残し、家族葬などで流せない場合は、流せないこと自体を団長が把握しておきます。
緊急の文面は、平時に作っておく
緊急の場面で連絡の文面を一から考えると、必要なことが抜けます。「今日の練習は中止です」とだけ書いて、振替の練習があるのか、次回の予定は変わらないのか、が書かれていない連絡はよくあります。団員から問い合わせが相次ぎ、判断する人の手がまた止まります。
合唱団で用意しておきたい文面は、次の4種類です。
・練習の中止:理由、次回の練習の日時、振替の有無 ・練習の内容の変更:指揮者や伴奏者の欠席、パート練習への切り替え ・演奏会の当日の集合の変更:新しい集合時刻と場所、遅れる場合の連絡先 ・演奏会の中止:理由、振替公演の有無、チケットの扱い、団員が知人に伝える文面
最後の「団員が知人に伝える文面」は、合唱団ならではのものです。団員がそれぞれの言葉で知人に伝えると、チケットの扱いの説明が人によってばらつきます。団から、そのまま転送できる短い文面を渡しておくと、説明がそろいます。
文面は、判断する人と代わりの人の両方が、すぐ取り出せる場所に置きます。スマートフォンのメモに入れておくか、団の連絡の場に役員だけが見られる形で置いておきます。文面の中で変わるのは日付と理由くらいなので、空欄を埋めるだけで出せる形にしておくと、判断から連絡までの時間が短くなります。
年に一度、演奏会の前に試しておく
緊急連絡の仕組みは、使わない期間が長いほど、いざというときに動きません。連絡先が変わった団員、機種を変えて通知が届かなくなった団員、パートリーダーの交代で電話をかける役がいなくなったパートが、1年のうちに必ず出てきます。
合唱団では、試す時期を定期演奏会の2か月前ごろに置くのが向いています。演奏会の当日の連絡の手順を確かめる必要があり、団員の出演の申告と合わせて連絡先を更新する機会にもなるからです。
試し方は、実際の中止ではなく、確認の要る連絡を1本流す形で十分です。「この連絡を見たら、反応をつけてください」と流し、1時間後に反応のない団員をパートリーダーに伝え、電話で確かめてもらいます。つながらなかった人、連絡先が古かった人を洗い出し、名簿を直します。
同じ機会に、次の点も確かめます。
・判断する人と代わりの人が、今年も同じ人でよいか ・練習会場の住所とAEDの場所の情報が、最新になっているか ・緊急連絡先を見られる人が、2人以上いるか ・演奏会の当日の舞台の進行役が決まっているか
これを毎年同じ時期に繰り返しておくと、役員が交代しても、手順が引き継がれます。
連絡の道具の違いから、緊急連絡の置き場所を考える
緊急連絡の組み方は、団がふだん使っている連絡の道具によって、できることとできないことが変わります。道具ごとの公開されている仕様を並べると、合唱団の緊急連絡でどこが詰まりやすいかが見えてきます。
LINEのグループは、多くの団員がすでに使っていて、通知に気づいてもらいやすいという強みがあります。一方で、練習の中止の連絡がほかのやりとりに流され、あとから入った団員が見落とすことがあります。LINEグループとの比較では、トークが新しい発言で流れていく形と、大事なお知らせを上に固定しておける形の違いを、連絡の残り方や役員が代わったときの扱いまで含めて並べています。緊急の判断の基準や練習会場の住所のように、いつでも取り出せる場所に置いておきたい情報をどこに置くかを考える材料になります。
BANDでは、お知らせを上に固定したり、出欠を確認したりする機能が使えます。BANDとの比較では、パソコンでの通知の受け取り方や、保存したファイルの残り方、個人情報の置き場所まで項目ごとに並べているので、緊急連絡先のような慎重に扱う情報をどこに預けるかを考えるときに確かめておくと役立ちます。
年配の団員が多い合唱団では、画面の文字の大きさも、緊急時の読み取りやすさに関わります。Discordとの比較では、入口の重さや年配の方への配慮の違いを扱っています。仕組みの多さより、団員全員が迷わずに開けるかどうかのほうが、緊急連絡では効いてきます。
判断の順番としては、道具より先に、判断する人、判断の基準と時刻、確認を取る連絡の範囲、緊急連絡先を見られる人を決めることです。道具はそのあとに、決めたことを実行できるかどうかで選びます。導入の前によく出る疑問はよくある質問にまとめてあります。
Q1. 合唱団の練習を天気で中止するとき、誰が判断すればよいですか?
団長か、団長が不在のときの代わりの人を1人だけ決めておきます。その人が指揮者と会場に確認し、決めた結果だけを団員に流します。あわせて「練習の日の15時に警報が出ていたら中止」「連絡は16時までに出す」のように基準と時刻を先に共有しておくと、判断する人も団員も迷わずに済みます。途中経過は流さないほうが混乱が減ります。
Q2. 中止の連絡を見ていない団員が会場に来てしまうのを防ぐには、どうすればよいですか?
当日の中止のような連絡は、流すだけでなく、見ていない人を探して電話をかける形にします。連絡から1時間たっても反応のない団員を洗い出し、パートリーダーが自分のパートの分だけ電話をかけます。誰が見たかが分かる連絡の手段を使うことと、会場の近くに住む役員が念のため会場の前を確かめることも効きます。
Q3. 練習中に団員が倒れたときに備えて、何を用意しておけばよいですか?
練習会場の正確な住所と部屋の名前、会場のAEDの置き場所、団員の緊急連絡先の3つを、その場で取り出せるようにしておきます。住所は団長と指揮者の楽譜ファイルに紙で挟んでおくと確実です。緊急連絡先は見られる人を限りつつ、その人が欠席の日にも困らないよう、見られる人を2人以上にしておきます。
Q4. 演奏会を中止する場合、来場予定の人にはどう知らせればよいですか?
団のホームページなど公開の告知場所への掲載、チケットを渡した団員から知人への連絡、ホールの入口への掲示、当日の入口での説明を重ねて使います。団員には、そのまま転送できる短い文面を渡しておくと、チケットの扱いの説明がそろいます。団の内部の連絡の場所を外に公開して知らせるのは避け、外向けの場所を分けておきます。
