合唱団の個人情報というと、団員名簿のことだけを思い浮かべる役員が多いのですが、実際に団が抱えているものはもっと広い範囲にわたります。衣装を発注するためのサイズ、ひな壇の並び順を決めるための身長、パートの力量を確かめるための歌声の録音、演奏会の記録映像、プログラムに刷り込む出演者の名前。どれも合唱団を運営していれば自然に集まるもので、それだけに、誰が持っていて、いつまで持つのかが決まっていないことがほとんどです。この記事では、合唱団が扱う個人情報を棚卸しし、集める範囲、見られる人、置き場所、消す時期を順に決めていく手順を書きます。
合唱団も、個人情報を扱う団体になり得る
趣味の合唱団に、会社と同じような個人情報の決まりが関係するのか、という疑問はよく出ます。個人情報保護委員会は、非営利の団体についても次のように説明しています。
個人情報保護法における「事業」とは、一定の目的をもって反復継続して遂行される同種の行為であって、かつ社会通念上事業と認められるものをいい、営利・非営利の別は問いません。したがって、非営利の活動を行っている団体であっても、個人情報データベース等を事業の用に供している場合は、個人情報取扱事業者に該当します。NPO法人や自治会・町内会、同窓会、PTAのほか、サークルやマンション管理組合なども個人情報取扱事業者に該当し得ます。 出典: 個人情報保護委員会
合唱団は、毎週の練習を続け、演奏会を毎年開き、団員の名簿を整理して使っています。個々の団がこの説明にどう当てはまるかは団の実態によるので、ここで断定はしません。ただ、「趣味の集まりだから関係ない」と考えて扱いを決めずにおくより、団体として扱う前提で決めごとを作っておくほうが、団員に説明もしやすく、役員が交代しても迷いません。
合唱団の個人情報の扱いで難しいのは、法律の話よりも、団の中の慣習のほうです。昔から全員に名簿を配ってきた、演奏会のプログラムには全員の名前を載せてきた、練習の録音は誰でも聞けるようにしてきた。こうした慣習の一つひとつに、団員の中には快く思っていない人がいる可能性があります。長く在籍している団員ほど声を上げにくいので、慣習をそのまま続けるかどうかを、役員の側から見直すことになります。
合唱団が抱えている個人情報を、一度すべて書き出す
扱いを決める前に、団が何を持っているかを書き出します。合唱団の場合、次のように分けると漏れが少なくなります。
名簿に関わるもの ・氏名、住所、電話番号、メールアドレス ・パート(ソプラノ、アルト、テノール、バスなど) ・入団した年、生年月日または年代 ・緊急連絡先
活動の記録に関わるもの ・練習の出欠 ・会費の納入の記録 ・楽譜の貸し出しの記録 ・演奏会やコンクールへの出演の記録
体に関わるもの ・衣装のサイズ ・身長(ひな壇の並び順のため) ・本番で椅子が要るかどうか、声の不調による休団の理由
声と姿に関わるもの ・練習の録音や動画 ・パートの力量を確かめるための個人の歌声の録音 ・演奏会の写真と記録映像
外に出すもの ・演奏会のプログラムに載せる出演者の名前 ・コンクールや合同演奏会の申し込みで提出する名簿 ・来場者アンケートで集めた、団の外の人の名前と住所
書き出してみると、名簿の一覧は団長、衣装のサイズは衣装係、録音は指揮者やパートリーダー、来場者の用紙は受付係と、持っている人がばらばらなことに気づきます。それぞれが自分の役目のために集めたもので、役目が終わったあとも手元に残っている、というのが多くの団の実情です。
集める項目は、使い道から逆算して決める
書き出したものを一つずつ見直し、「何に使うために集めているのか」を言えないものは、集めるのをやめます。合唱団で見直しの対象になりやすいのは次の項目です。
生年月日は、名簿に欄があるから書いてもらっている、という団が多い項目です。何に使っているかを尋ねると、答えが出てこないことがあります。誕生日を祝う慣習があるなら月日だけで足り、年齢層を把握したいなら年代で足ります。コンクールの年齢区分など、実際に生年月日が要る場面があるなら、その申し込みのときに本人に確かめれば済みます。
身長は、ひな壇の並び順を決めるために必要ですが、名簿に常に載せておく必要はありません。並び順を決める指揮者か舞台係が、演奏会ごとに確かめれば足ります。
衣装のサイズは、発注のときだけ使うものです。発注が終われば、衣装係の手元に残す理由は、追加で発注するときに備える程度しかありません。
職業や勤め先は、合唱団ではほとんど必要ありません。平日の練習に来られるかどうかを知りたいだけなら、来られる曜日を聞けば足ります。
見直しの目安は、「その項目が名簿から消えたら、誰が何に困るか」を考えることです。困る人がいない項目は、集めなくてよい項目です。集める項目が減るほど、預かったものを漏らしたときの影響も小さくなり、役員の負担も軽くなります。
体と健康に関わることは、対応に必要な形でだけ聞く
合唱団では、声の不調による休団や、長時間立つことが難しい団員への配慮のために、体や健康に関わることを耳にする機会があります。この種の情報は、他の項目とは分けて慎重に扱います。
病気や障害に関する情報は、個人情報の中でも特に配慮が要るものとされています。取り扱いの細かな決まりについてここで断定はしませんが、団として実務で守りたいのは、次の3つです。
ひとつめは、病名や診断の内容を聞かないことです。団が知る必要があるのは、「本番で椅子を使いたい」「しばらく高音域を控えたい」「3か月休団したい」といった、団の対応に関わることだけです。理由を詳しく書いてもらう欄を名簿や休団届に設けないようにします。
ふたつめは、本人が話してくれたことを、本人の了承なく広げないことです。パートリーダーに声の不調を相談した団員の話が、いつの間にか団の全員に知られている、ということは合唱団では起きやすい。同じパートで毎週隣に並んでいる関係は、話しやすさと広がりやすさの両方を持っています。相談を受けた人は、団長に伝える必要があるかどうかを本人に確かめてから伝えます。
みっつめは、書き留めた場合の置き場所を名簿と分けることです。休団の理由を名簿の備考欄に書き込むと、名簿を見る人全員の目に触れます。休団の期間と復帰の予定だけを名簿に残し、理由は書かないか、団長だけが持つ控えに分けます。
演奏会のプログラムに名前を載せるのは、団の外に出すこと
合唱団に特有の個人情報の扱いが、演奏会のプログラムに出演者の名前を載せる慣習です。パートごとに団員の氏名を並べ、来場者に配る。長く続く団の多くが、当然のこととしてこれを続けています。
プログラムは来場者に配られ、持ち帰られ、場合によっては団の外の人の手元に長く残ります。団員の名前は、団の外に出ていくということです。名簿を配ることについて、個人情報保護委員会は次のように説明しています。
名簿を配布するなど、本人以外の者に個人データを提供する場合には、原則として、本人の同意を得る必要があります。 出典: 個人情報保護委員会
プログラムの出演者一覧がこれとどう関係するかは、名簿の作り方や載せる項目によって変わるので、ここで断定はしません。実務としては、プログラムに名前を載せることを、入団のときや出演の申告のときに本人に確かめておくのが確実です。
確かめ方は、選択肢を3つ用意すると答えやすくなります。
・氏名をそのまま載せる ・名字だけ載せる ・載せない
「載せない」を選ぶ団員には、それぞれ事情があります。家族に知られたくない活動である、以前の人間関係から所在を知られたくない、単に目立ちたくない。理由は聞かず、選んだ扱いを出演の申告の一覧に記録しておきます。プログラムの原稿を作る係は、その一覧を見ながら名前を並べます。
プログラムの原稿をデータで印刷業者に渡すときも、名前の一覧が団の外に出ます。業者に渡したデータを演奏会のあとに削除してもらうことまでは求めにくいので、渡すデータには、印刷に必要な名前以外の情報を入れないようにします。
写真、映像、演奏の配信は、客席の人も写る
演奏会の記録として、写真や映像を撮る団は多くあります。最近では、演奏の映像を動画共有サイトで公開する団も増えています。ここで扱っているのは、団員の顔と姿、そして歌声です。
団員の写真や映像については、次の場面ごとに扱いを決めておきます。
・団の中だけで見る記録として残す ・団のホームページやチラシに載せる ・動画共有サイトなどで誰でも見られる形で公開する
団の中だけで見る記録なら、入団のときに説明しておけば足りることが多いでしょう。誰でも見られる形で公開する場合は、演奏会ごとに出演する団員に確かめるのが丁寧です。顔が写らない角度から撮る、引きの映像だけを公開するといった配慮で、公開を望まない団員の事情に合わせることもできます。
見落とされがちなのが、客席の人と、賛助出演者です。客席を含めた映像を撮ると、来場者の顔が写ります。演奏会の案内やプログラムに、記録のための撮影があることを書いておきます。賛助出演者は団員ではないので、団員と同じ扱いを当てはめず、出演をお願いする段階で撮影と公開の扱いを伝えます。
少年少女合唱団では、映像の公開はさらに慎重に扱います。子どもの顔と名前、所属する団と練習の場所が結びつくと、通っている地域まで推測できることがあります。公開の可否は保護者に確かめ、公開する映像には子どもの名前を出さない団が多くあります。
個人の歌声の録音は、成績表と同じ扱いにする
合唱団には、他の団体にはあまりない個人情報があります。団員一人ひとりの歌声を録音したものです。パート分けのための声域の確認、ソロを担当する人の選考、パートの力量を指揮者が確かめるための個別の録音などで集まります。
個人の歌声の録音は、団員にとって、学校の成績表に近い性質を持っています。うまく歌えていない録音を他の団員に聞かれたくない、という気持ちは当然です。録音を集める場合は、次のことを先に決めて団員に伝えます。
・何のために録音するのか(ソロの選考、パートの見直しなど) ・誰が聞くのか(指揮者だけ、指揮者とパートリーダーなど) ・いつ消すのか(選考が終わったら、演奏会が終わったら)
特に大事なのが、聞く人を限ることです。団員が録音を送る先を、団員全員が見られる連絡の場にしないようにします。指揮者に直接渡す経路を用意し、パートリーダーが一緒に聞く場合は、その旨を録音を頼む時点で伝えます。
練習全体の録音も、扱いを決めておきます。練習の録音は、休んだ団員が内容を追うために役立ちます。一方で、指揮者が特定の団員の音程を指摘する場面が入っていることがあり、それが団の外に出ると、指摘された団員には不本意です。練習の録音は団の中だけで聞くものとし、外に出さないことを決まりとして明示しておきます。
名簿を見られる人を、役割で決める
集める項目を絞ったら、次に、誰が何を見られるかを決めます。合唱団の役員の構成に合わせると、次のような分け方が実務に合います。
・団長:名簿の全項目、緊急連絡先 ・会計:氏名と会費の納入の記録 ・連絡担当:氏名、パート、連絡先 ・パートリーダー:自分のパートの団員の氏名と連絡先、出欠 ・衣装係:演奏会の前だけ、出演する団員の衣装のサイズ ・指揮者:氏名、パート、出欠
パートリーダーが見られるのを自分のパートの分だけにしておくと、パートの人数が5人から10人程度に収まり、見られる範囲が小さくなります。団全体で40人いても、1人のパートリーダーが扱うのはその4分の1ほどです。
こうした分け方を紙の名簿で実現するのは難しく、団長が全項目の名簿を持ち、必要な人に必要な部分を書き写して渡す、という形になりがちです。書き写した紙は、渡された人の手元に残り続けます。紙で運用するなら、渡した紙を役目の終わりに回収することまでを手順に入れておきます。
名簿を団員全員に配る慣習がある団は、配ることの目的を見直します。団員どうしで連絡を取り合うためであれば、住所まで載せる必要はなく、連絡の場の中で互いに連絡できれば足ります。配る場合は、載せる項目と、配ることそのものについて、本人に確かめておきます。
置き場所は、交代のときに渡せる形で選ぶ
合唱団の個人情報が失われたり、所在が分からなくなったりする場面は、ほとんどが役員の交代のときに起きます。合唱団は、団長や会計が数年、長ければ10年以上同じ人ということもあり、交代が起きたときには前任者の自宅のパソコンや引き出しの中に、何年分もの情報が残っています。
置き場所を選ぶときに確かめたいのは、次の点です。
・特定の個人の端末や自宅に置いていないか ・役員が交代したときに、中身をまとめて次の人に渡せるか ・前任者の手元から、確実に消せるか ・見られる人を役割ごとに分けられるか ・団員がやめたときに、その人の情報を消せるか
個人の端末に置いた表計算のファイルは、コピーが簡単なぶん、交代のたびに複製が増えます。前任者も、その前の前任者も、同じ名簿のファイルを持ったまま、ということが起きます。団の共有の場所に一つだけ置き、役員が交代したら閲覧の権限を付け替える形にすると、複製が増えません。
紙の名簿を使い続ける場合は、原本を1部に限り、保管する人を決め、交代のときに原本を手渡しします。書き写した紙や、コピーを取った紙は、交代のときに一緒に回収して処分します。
やめた団員の情報を、いつ消すか
合唱団では、退団した人の情報が名簿に残り続けていることがよくあります。演奏会の案内を送るため、OBとOGに声をかけるため、という理由で、あえて残している団もあります。
退団した人の情報をどう扱うかは、退団のときに本人に確かめるのがいちばん確実です。聞くことは2つです。
・演奏会の案内を今後も受け取りたいか ・記念の演奏会などで、OBとOGとして声をかけてよいか
どちらも希望しない人は、名簿から消します。案内だけを希望する人は、団員名簿から外し、案内の送り先の一覧に移します。団員の名簿と、案内の送り先の一覧を分けておくと、団員向けの連絡がやめた人に届くことを防げます。
連絡の場からの退出も、名簿から消すのと同時に行います。名簿からは消したのに、連絡の場には残っていて、団の内輪の話や会計の話が届き続けている、という状態は珍しくありません。退団の手続きの中に、名簿の削除、連絡の場からの退出、貸し出していた楽譜の回収を、ひとまとめの手順として書いておきます。
個人の歌声の録音や、衣装のサイズなど、在籍中の役目のために集めたものは、退団のときに消します。演奏会の記録映像に写っている姿は、映像そのものを消すわけにはいかないので、公開している映像については、本人から申し出があれば対応を相談する、という扱いにしておきます。
合同演奏やコンクールで、団の外に名簿を渡すとき
合唱団は、他の団体と一緒に活動する機会が多い団体です。複数の合唱団が集まる合同演奏会、地域の音楽祭、合唱コンクールへの参加のたびに、実行委員会や主催者に団員の情報を提出します。
提出を求められる項目は、主催者によって違います。出演者の氏名とパートだけのこともあれば、年齢や連絡先を求められることもあります。提出の前に、次の点を確かめます。
・提出する項目は、主催者から求められたものに限っているか ・団員に、提出することと、提出する項目を伝えているか ・提出したものが、主催者の側でいつまで使われるか
団の側で気をつけたいのは、求められていない項目まで、手元の名簿をそのまま渡してしまうことです。主催者が氏名とパートしか求めていないのに、住所や電話番号の入った名簿のファイルを送る、ということが、手間を省こうとして起きます。提出用には、求められた項目だけを抜き出した一覧を別に作ります。
合同演奏会では、他の団の団員の情報を、こちらが受け取る側になることもあります。実行委員を引き受けた場合、他の団の名簿を預かることになるので、演奏会が終わったら、預かったものをどう処分するかを実行委員会で決めておきます。
指揮者、伴奏者、賛助出演者の情報も団が預かっている
合唱団の個人情報の話は、団員のことだけで終わりがちです。実際には、団は団員以外の人の情報も預かっています。謝礼を払っている指揮者と伴奏者、演奏会に賛助で出てくれる歌い手や器楽の奏者、依頼演奏の先方の担当者です。
指揮者と伴奏者については、謝礼を振り込むための口座の情報、住所、連絡先を会計が持っています。謝礼の受け取りの記録として、領収の書類を保管している団もあります。こうした書類は、会計の引き継ぎのたびに次の人に渡りますが、団員名簿のように扱いを決めている団は少なく、会計の書類の束の中に紛れていることが多いのが実情です。
賛助出演者は、演奏会ごとにお願いする相手が変わることがあります。出演のお願いのやりとりで受け取った連絡先、謝礼の振込先、プログラムに載せる経歴の文章などが、演奏会の担当者の手元に集まります。演奏会が終わると担当者は役目を終えますが、受け取った情報は担当者の携帯電話やメールの中に残ります。
これらは、団員の情報とは別の一覧にまとめ、見られる人を会計と団長に限ります。口座の情報は、謝礼を払う時期にだけ使うものなので、ほかの連絡の場で共有しないようにします。賛助出演者の情報は、次の演奏会でも同じ人にお願いするかどうかで扱いを分け、お願いしない見込みの人の口座の情報は、支払いの記録を残す必要がある範囲を除いて手元から消します。
経歴の文章をプログラムに載せる場合は、載せる文面を事前に本人に見てもらいます。団の側で経歴を書き足したり、以前のプログラムの文章を使い回したりすると、本人が載せたくない情報が含まれることがあります。
チケットの取り置きの一覧は、当日の受付に置きっぱなしにしない
入場料を取る演奏会では、団員が知人のためにチケットを取り置き、当日の受付で渡す形を取ることがあります。このとき受付には、取り置きをした人の名前、場合によっては電話番号を並べた一覧が置かれます。
この一覧は、演奏会の当日に、団の外の人が多く行き来する場所に置かれる個人情報です。開場前の慌ただしい時間に、受付の机の上に広げたままになり、来場者の目に触れることがあります。演奏会が終わったあと、片付けの中で一覧がどこにいったか分からなくなることもあります。
受付の一覧は、次のように扱います。
・載せる項目は、名前と枚数だけにする。電話番号は受付では使わないので載せない ・名前の順番は、五十音順にして、探す時間を短くする ・受付係以外が見られない位置に置く。机の上に広げず、手元のバインダーに挟む ・演奏会が終わったら、受付の責任者が回収して処分する
取り置きの受け付けを、団員が個別に知人から聞いて担当者に伝える形にしている団では、知人の名前と連絡先が、団員と担当者の間のやりとりに残ります。やりとりの場を団員全員が見られる連絡の場にすると、誰がどの知人を招いているかが全員に見えてしまいます。取り置きの連絡は、担当者に直接送る形にします。
入団のときに渡す説明は、短く具体的に書く
ここまでに決めた扱いは、入団のときに文章で渡しておくと、団員にとっても役員にとっても基準になります。長い規程を作る必要はなく、1枚に収まる説明で足ります。
書く内容は、次の項目です。
・団が集める情報と、その使い道 ・情報を見られる役員 ・演奏会のプログラムへの名前の掲載について、選べる扱い ・写真と映像の撮影、団のホームページなどでの公開について ・退団したときに、情報をどう扱うか ・扱いについて相談したいときの窓口
使い道は、「団の運営のため」のようにまとめて書くより、「練習や演奏会の連絡のため」「会費の管理のため」「演奏会の衣装の発注のため」と、場面ごとに書くほうが、団員に伝わります。
窓口は、団長ひとりにせず、団長ともう1人の役員の2人を書いておくと、団長に言いにくい相談も届きやすくなります。この説明を配ったあとに扱いを変えた場合は、変えた内容を団員全員に知らせ、次に入団する人から新しい説明を渡します。
すでに在籍している団員には、扱いを見直したタイミングで同じ説明を配り、プログラムへの掲載や映像の公開について、改めて選んでもらいます。長く在籍している団員ほど、昔の慣習のまま「載せてよい」と思われていることが多いので、この機会に確かめておきます。
置き場所の違いから、合唱団の情報の扱いを考える
個人情報の置き場所を考えるとき、団がふだん使っている連絡の道具の仕様が関わってきます。道具ごとの公開されている仕様を並べると、合唱団の情報の扱いでどこを確かめるべきかが見えてきます。
LINEのグループでは、トークの履歴が端末ごとに持たれる形になっています。LINEグループとの比較では、役員が代わったときに記録をどう引き継ぐかという観点を含めて、連絡の残り方や写真の扱いの違いを並べています。練習の録音や演奏会の写真を連絡の場で共有している団は、交代のときに何が残り何が残らないかを確かめる材料になります。
BANDの場合、個人情報を海外に委託することがプライバシーポリシーに明記されています。BANDとの比較では、運営する会社、準拠法、個人情報の置き場所、保存したファイルの残り方を項目ごとに並べています。どちらがよいかは団の考え方によりますが、団員の情報がどこに置かれるのかを、団員に説明できる状態にしておくことは大切です。
写真や映像を団の外の人に見せたい場面も、合唱団では多くあります。演奏会の告知に使う写真だけを外に見せたい、という場合に、団の内部の連絡の場をまるごと公開してしまうと、団員の名前や練習の録音まで外から見えるようになります。団の中の場所と、外に見せる場所を分けて持てるかどうかは、道具を選ぶときの確認点になります。
地域の団体が名簿や連絡をどう扱っているかは、町内会での使われかたでも見られます。年に一度の役員の交代を前提に、記録を個人ではなく団体に残す形がどう組まれているかは、交代の間隔が長い合唱団にも参考になります。導入の前によく出る疑問はよくある質問にまとめてあります。
Q1. 合唱団の名簿に生年月日の欄は必要ですか?
何に使うかを言えないなら、欄を設ける必要はありません。誕生日を祝う慣習があるなら月日だけ、年齢層を把握したいなら年代だけで足ります。コンクールの年齢区分など、生年月日が実際に要る場面があれば、その申し込みのときに本人に確かめます。集める項目を減らすほど、漏れたときの影響も役員の負担も小さくなります。
Q2. 演奏会のプログラムに団員全員の名前を載せてもよいですか?
プログラムは来場者に配られて持ち帰られるので、団員の名前が団の外に出ることになります。入団のときや出演の申告のときに、「氏名をそのまま載せる」「名字だけ載せる」「載せない」の3つから選んでもらい、記録しておくのが確実です。載せないことを選んだ団員に理由は聞かず、原稿を作る係がその一覧を見て名前を並べます。
Q3. パート分けやソロの選考で集めた個人の録音は、どう扱えばよいですか?
学校の成績表に近いものとして扱います。録音を頼む前に、何のために録るのか、誰が聞くのか、いつ消すのかを団員に伝えます。送る先を団員全員が見られる連絡の場にせず、指揮者に直接渡す経路を用意してください。選考やパートの見直しが終わったら、録音は消します。練習全体の録音も、団の外に出さないことを決まりにしておきます。
Q4. 役員が交代するとき、名簿はどう引き継げばよいですか?
前任者の自宅のパソコンや引き出しに、何年分もの名簿の複製が残っていることがよくあります。団の共有の場所に一つだけ置き、交代のときは閲覧の権限を付け替える形にすると複製が増えません。紙で運用する場合は原本を1部に限って手渡しし、書き写した紙やコピーは交代のときに一緒に回収して処分します。
