消防団の当番表が他の団体の当番表と決定的に違うのは、割り当てる時間帯が全員の本業とぶつかることです。平日の夜と休日しか活動できない以上、どう割っても誰かの生活に食い込みます。だから当番表づくりの目的は、負担をなくすことではなく、偏りを見えるようにして、代われる仕組みを用意することになります。この記事は、その組み方を順に決めていくためのものです。
消防団の当番は、時間帯そのものが本業とぶつかる
まず、当番表に載る活動がどういう性質のものかを確認します。総務省消防庁は、平常時の活動と、それを行う時間帯について次のように示しています。
災害対応のための訓練、車両や資機材の点検のほか、各家庭を訪問しての防火指導、幼稚園などでの防火教育等の啓発活動を行います。 仕事が休みの日や、仕事が終わった後などに集まって訓練等を行っています。 出典: 総務省消防庁
団員は他に本業を持っています。だから活動は、仕事が終わった後か、休みの日に置かれます。つまり当番表は、団員の平日の夜と、土日の時間を割り当てる表だということです。
ここが、町内会の清掃当番や、部活の保護者の車出し当番とは根本的に違うところです。それらは日中の一部を使いますが、消防団の当番は、家族と過ごす時間帯そのものを占めます。同じ「年に4回」でも、重さがまったく違います。
もう1つの違いが、災害への出動が当番と無関係に発生することです。当番でない日でも、火災が起きれば駆けつけます。当番表で割り当てているのは平常時の活動だけで、その上に不定期の出動が乗る。この二重構造を前提にしないと、当番表を作った時点では平等に見えても、実際の負担はまったく違うものになります。
だから当番表の役割は、負担を等しくすることではなく、平常時の活動が特定の人に寄っていないかを見えるようにすることです。見えていれば、代わることも、減らすことも議論できます。
当番表に載る活動を、4つに分けて考える
「当番」とひとくくりにすると、割り振りができません。分団で発生する当番は、性質の違う4つに分かれます。
1つ目が、定期の点検です。車両の点検、資機材の確認、水利の点検、詰所の管理。月に1回か2回、決まった曜日に発生します。人数は少なくてよく、時間も短い。当番表としては最も組みやすい種類です。
2つ目が、警戒です。年末の特別警戒、祭りや花火の警戒、風水害が予想される日の待機。日数が限られる代わりに、拘束時間が長く、夜間に集中します。
3つ目が、訓練と大会です。定例の訓練と、操法大会の練習。大会の年は、これが数か月にわたって毎晩発生します。当番表の設計が最も難しくなるのがここです。
4つ目が、地域の行事です。防火指導の訪問、消火器の点検の立ち会い、幼稚園や小学校での防火の啓発、救命講習の補助、地域の祭りの出役。日中の平日に入ることがあり、仕事を休める人に偏ります。
この4つを1枚の表にまとめて作ろうとすると、必ず失敗します。性質が違うので、割り振りの基準も違うからです。4つを別々の表として作り、最後に1人あたりの合計を出して偏りを見る。この順序にすると、組みやすくなります。
年末特別警戒は、当番表の作り方が他と違う
多くの分団で最も重い当番が、年末の特別警戒です。数日間、夜に詰所へ集まり、地域を巡回する。この期間だけで、年間の当番の半分近い時間を占める分団もあります。
作り方が他と違うのは、日ごとに必要な人数が決まっていて、全員がどこかの日に入る必要があるからです。空き枠を埋めていく形ではなく、全員を配る形になります。
組む手順は、先に出られない日を全員から集めることから始めます。年末は、仕事の繁忙期と、家族の予定と、帰省が重なります。空いている日を聞くのではなく、出られない日を聞くほうが回答が早く集まります。
次に、班の単位で日を割り当てます。個人単位で割ると、当日に欠員が出たときに埋められません。班で持てば、班の中で融通が効きます。班の人数に差がある場合は、日数で調整します。
そして、大晦日と元日の扱いを決めます。ここは希望が最も割れる日です。毎年同じ人が入っている分団は珍しくありません。数年分の記録を残しておいて、前に入った人を外すという決め方にすると、納得が得られやすくなります。
夜食や飲料の手配も当番表に載せます。当日に誰が用意するかが決まっていないと、結局は分団長や班長が毎回やることになります。警戒の当番とは別の欄を作って、そこにも名前を入れます。
操法大会の年は、当番表を1から組み直す
操法大会に出る年は、それまでの当番表が使えなくなります。練習が数か月にわたって、週に何日も夜に発生するからです。
まず決めるのが、選手と、それ以外の役割の線引きです。選手は毎回出ることになるので、他の当番から外します。外さないと、選手だけが極端に重くなり、次の年に誰も選手を引き受けなくなります。
次に、練習を支える側の当番を作ります。ホースの準備と片付け、水の補給、タイムの計測、器具の運搬、そして夜間の照明の管理。これらを選手にやらせると、練習の時間そのものが減ります。支える側の当番表を別に作って、選手以外の団員で回します。
期間中は、他の当番を減らします。定期の点検を月2回から1回にする、地域の行事の出役を最小限にする。減らせないなら、練習に出ない団員に寄せます。総量を変えずに練習を足すと、団員が疲弊します。
そして、大会が終わったあとの回復期間を作ります。数か月の練習のあと、すぐに次の当番が始まると、辞める人が出ます。大会の翌月は当番を軽くする、と決めておくのも1つの方法です。
選手の選び方についても、当番表と同じ考え方が使えます。数年分の記録を残しておき、続けて選手をやっている人がいないかを見る。実力で選ぶ場面もありますが、記録があれば「毎年同じ人」になっていることに気づけます。
偏りは、回数ではなく時間帯と季節に出る
当番表を作った人は、たいてい回数で平等を確かめます。1人あたり年6回ずつ、といった具合です。ところが団員の実感は、回数では説明できません。
偏りが出るのは、時間帯です。平日の夜に入っている人と、休日の昼に入っている人では、同じ1回でも重さが違います。平日の夜は、仕事から帰ってすぐ出ることになり、家族と過ごす時間が消えます。休日の昼は、予定を空けておく必要はありますが、生活のリズムは崩れません。
もう1つが、季節です。年末の警戒と、操法の練習期間と、夏の祭りの出役が、特定の人に重なることがあります。年間の回数は同じでも、3か月に集中していれば、その人にとっては別の話です。
これを見るには、回数ではなく、月ごとの時間で表を作ります。誰が、何月に、何時間出たか。数字を入れると、平等に見えていた表の偏りが一目で分かります。作るのに手間はかかりますが、一度作れば翌年からは埋めるだけです。
そして、この表を全員が見られるようにします。自分がどれだけ出ているかは分かっても、他の人がどれだけ出ているかは分かりません。見えていないから「自分ばかり」という感覚が生まれます。メンバー以外は見られない場所に置けば、団員の名前と出役の状況を並べても外へ出る心配はありません。
出られない条件を、先に全員から集める
当番表を作ってから調整すると、作り直しになります。作る前に、全員の条件を集めます。
聞くのは、恒常的に出られない条件です。夜勤がある週、遠距離通勤で平日の夜は間に合わない、農繁期の数週間、介護や子どもの都合で特定の曜日が難しい。これらは毎回同じなので、一度聞けば1年使えます。
聞き方は、自由に書いてもらう形ではなく、選択肢を示す形にします。曜日と時間帯の表を渡して、丸を付けてもらう。自由記述だと、書く人と書かない人の差が出て、書かない人が全部入れられてしまいます。
集めた条件は、当番表と同じ場所に置いておきます。作った人の頭の中にしかないと、代替わりしたときに消えます。翌年の担当が、また一から聞くことになります。
条件を出しにくい空気があると、この方法は機能しません。「出られない日を言うと、やる気がないと思われる」と感じさせないことが前提です。分団長から「条件を書くのは義務です」と伝えるのが、いちばん効きます。
そして、条件は年に一度更新します。転職、異動、家族の状況は変わります。年度の初めに、前の年の内容を見せて、変更があるかだけを聞けば済みます。
割り振りの手順を、4段階に固定する
条件が揃ったら、割り振りに入ります。手順を固定しておくと、担当が替わっても同じ結果が出ます。
第1段階は、必ず出る人を先に置きます。分団長、副分団長、班長といった役職者は、役割上その場にいる必要がある当番があります。これを先に埋めます。
第2段階は、出られない条件で埋まらない枠を確定させます。この時点で、置ける人が限られる枠が見えてきます。難しい枠から先に埋めるのが、こういう表を作るときの定石です。
第3段階は、残りを機械的に配ります。前年の記録を見て、出役が少ない人から順に入れる。ここで気を遣うと、必ず特定の人に偏ります。機械的に配って、そのあとで無理があるところだけ手で直す。この順です。
第4段階は、1人あたりの合計を出して確かめます。回数だけでなく、時間帯の内訳も出します。平日の夜が3回以上続いている人がいたら、そこだけ入れ替えます。
作った表は、確定する前に一度全員に見せます。「この案でよいか」と聞く工程を1回入れるだけで、あとから出てくる不満がかなり減ります。見せる期間は1週間あれば足ります。
交代の頼み方を、仕組みにする
当番表は必ず崩れます。仕事が入る、家族が体調を崩す、急な出張が入る。崩れることを前提に、代わりを頼む道を作っておきます。
いま多くの分団で行われているのは、個人のやり取りで直接頼む形です。仲のよい団員に連絡して代わってもらう。これには2つの問題があります。頼める相手が限られること、そして代わったことが幹部に伝わらないことです。
仕組みにするなら、頼む先を全体にします。「この日、代われる方はいますか」と全員が見える場所に出す。すると、頼まれる側は断りやすくなり、頼む側も気を遣わずに済みます。1対1で頼むと、断ると角が立つからです。
代わりが決まったら、当番表そのものを書き換えます。ここを省くと、当日に幹部が把握していない人が来ることになり、出役の記録も合わなくなります。書き換える人を決めておきます。
そして、代わった回数も記録します。よく代わってくれる人は、たいてい決まっています。この人の負担が見えないまま増え続けるのが、当番表の最も静かな不平等です。記録があれば、翌年の割り振りで調整できます。
交代できないときの扱いも決めます。誰も代われなかった日は、欠員のまま実施するのか、中止するのか、班長が入るのか。決めておかないと、毎回その場の話し合いになります。
直前の欠員をどう埋めるか
前日や当日の欠員は、交代とは別の設計が要ります。頼む時間がないからです。
まず、必要な最低人数を決めます。この人数を下回ったら中止か縮小にする、という線です。決めていないと、少ない人数で無理に実施して、事故のもとになります。
次に、直前の連絡がどこに流れるかを決めます。分団長の個人の連絡先に入る形だと、分団長が気づかなければ止まります。全員が見える場所に流れる形なら、近くにいる誰かが動けます。
そして、代われる人を事前に募っておく方法もあります。「その日は予定がないので、必要なら出られる」という人を、あらかじめ表に書いておく。予備の欄を1つ作るだけで、当日の連絡が格段に楽になります。
当日の欠員が続く場合は、当番表そのものに無理があります。特定の曜日や時間帯に欠員が集中していないかを見ます。集中しているなら、その枠の人数を減らすか、時間を変えるかの検討に入ります。
欠員を責める空気を作らないことも大事です。本業がある人の集まりである以上、欠員は必ず出ます。責める運用にすると、次からは連絡せずに来なくなります。連絡が来ることのほうが、はるかに価値があります。
災害の招集は、当番表の外にある
当番表を作るときに混同されやすいのが、災害への出動です。火災や風水害への出動は、当番の人だけが行くものではありません。
平常時の活動では消火や救助の訓練を行い、実際の災害では消火活動のほか、風水害の際の河川の水位の警戒や土のう積み、震災では倒壊した家屋からの救助活動といった対応にあたります。これらは、その時に駆けつけられる人が向かうものであって、当番表とは別の話です。
だから、当番表に「災害対応」の欄を作る必要はありません。作ると、当番でない人が「自分は行かなくてよい」と受け取る余地が生まれます。当番表は平常時の活動を割り振るもの、という位置づけをはっきりさせます。
一方で、招集の連絡が確実に届く仕組みは、当番表とは別に用意します。全員に一斉に届いて、誰が向かえるかがすぐに分かる形です。当番の連絡と災害の招集を同じ場所で流していると、日常の連絡に埋もれます。
そして、招集に応じた記録は残します。誰が、いつ、どの災害に出動したか。この記録は、次の項目で触れるとおり、報酬の根拠になります。
出動の記録は、報酬の根拠になる
当番表の話が記録の話につながるのは、出動に対して報酬が支払われるからです。災害への出動には出動報酬が、日々の活動には年額報酬が支払われる仕組みになっています。
つまり、誰がどの活動に出たかの記録は、団の内部の話にとどまりません。市町村への報告の根拠になります。記録が曖昧だと、報告も曖昧になり、団員が受け取るべきものを受け取れないことが起きます。
残す項目は4つで足ります。日付、活動の種類、出た人の氏名、時間です。当番表に出欠の欄を作り、その場で丸を付ける形にしておけば、あとからまとめる手間がかかりません。
やってはいけないのが、班長が記憶で後からまとめることです。数日経つと、誰が来ていたか正確には思い出せません。その場で記録する形にしておくのが、いちばん確実です。
記録の置き場所は、当番表と同じにします。表と記録が別の場所にあると、突き合わせが必要になります。同じ表に予定と実績が並んでいれば、確認が一目で終わります。
そして、この記録は年度をまたいで残します。翌年の割り振りの材料になり、退職報償金の根拠になる勤務の年数の確認にも使えます。年度が終わったら消す、という運用にはしません。
当番表をどこに置き、どこで見せるか
当番表は、詰所に貼るだけでは足りません。詰所に来られない団員が、自分の当番を確認できないからです。
置き場所に求める条件は4つです。いつでも見られること、最新のものが1つだけ存在すること、書き換えたら全員に伝わること、そして団員以外の目に入らないことです。
紙で配る形は、この4つのうち2つを満たしません。配ったあとに変更があると、古い紙が家庭に残り続けます。当日に「もらった紙にはそう書いてあった」という食い違いが起きます。
貼るなら、詰所と、見られる場所の両方に置きます。詰所の掲示は変更のたびに貼り替え、見られる場所のほうも同時に直す。2か所で済ませるのが現実的です。
書き換えたときに全員へ伝わる形にしておくことも重要です。書き換えただけでは、見に行った人にしか伝わりません。変更があったことが通知される形なら、見落としが減ります。
そして、翌月や翌週の当番を、事前に思い出させる仕組みがあると欠席が減ります。表があっても見ない人はいます。前日に一言流れるだけで、忘れによる欠員はかなり減ります。
当番を軽くするために、当番そのものを見直す
割り振りの工夫には限界があります。総量が多ければ、どう配っても重い。だから年に一度は、当番そのものを減らせないかを見ます。
見直しの候補になるのは、慣習で続いている当番です。毎週の詰所の掃除、毎月の水利の点検の頻度、地域の行事への出役の人数。どれも必要だと思われていますが、頻度や人数を見直せることがあります。
進め方は、なくす提案ではなく、頻度を変える提案から入ります。週1回を隔週にする、6人で行っていた点検を4人にする。なくす話は反発が大きく、頻度の話は議論できます。
市町村や消防本部との調整が要る当番もあります。訓練の回数や、講習の補助の依頼は、分団の判断だけでは変えられません。ただ、実情を伝えていなければ、向こうも減らしようがありません。伝えることから始めます。
そして、団員数が減っているなら、当番の総量もそれに合わせて減らす必要があります。人数が2割減ったのに当番の量が同じなら、1人あたりは2割増えます。この当たり前の計算をしていない分団は多く、気づかないうちに1人あたりの負担が積み上がっています。
日中の当番は、仕事を休める人に必ず偏る
当番表の中で、最も偏りが出やすいのが平日の日中に入る枠です。防火指導の訪問、幼稚園や小学校での啓発、救命講習の補助、市町村の行事への出役。どれも相手方の都合で日時が決まるので、平日の昼になります。
この枠に入れるのは、自営業の団員、農業や漁業に携わる団員、勤務先が地元で融通が効く団員に限られます。会社勤めで勤務地が遠い団員は、まず入れません。結果として、毎回同じ数人が日中の当番を担うことになります。
放っておくと、この数人が疲弊します。しかも、夜の訓練にも出ているので、年間の負担が突出します。当番表の上では「日中の枠は自営の人」で自然に見えるため、問題として認識されないのが厄介なところです。
対策は3つあります。1つは、日中の当番に入った人の分を、夜の当番から差し引くこと。時間で見る表を作っていれば、この調整が根拠を持ってできます。
2つ目は、依頼の受け方を見直すことです。相手方から来る依頼を全部受けていると、日中の枠が増え続けます。年間で受けられる件数を決めて、それを超えたら断るか、日程の変更を相談する。分団の側から条件を出してよい話です。
3つ目は、夜や休日に振り替えられないかを打診することです。救命講習や防火の啓発は、日程の融通が効くことがあります。聞いてみなければ、相手も日中しか選択肢がないと思っています。
顔ぶれが変われば、当番表の前提も変わる
当番表の形は、その分団の団員構成に強く縛られます。構成が変わったのに表の形が昔のままだと、無理が出ます。
顔ぶれの幅は、以前より確実に広がっています。全国の消防団のうち約8割は女性を団員として任命しており、学生には就職活動の自己PRなどに使える活動の認証制度が設けられています。入団時に決めた特定の役割や活動にだけ参加する機能別の団員や分団の仕組みもあり、消防職員や消防団の経験者が改めて加わる例もあります。
こうした団員がいる分団では、「全員が同じ当番を同じように回す」という前提が成り立ちません。参加できる活動が限られている人に、参加できない枠まで割り当てても、欠員になるだけです。
対応としては、当番の種類ごとに、対象となる団員を分けます。夜の訓練と警戒は全員、日中の啓発は出られる人、車両の運転を伴う当番は免許のある人。この区分を先に決めておけば、割り振りの段階で無理な枠が生まれません。
そのうえで、参加できる当番が少ない団員には、別の形で関わってもらいます。記録の整理、資料の作成、当番表の管理といった、時間帯に縛られない役割です。負担を等しくすることはできませんが、役割がある状態を作ることはできます。
当番表を作る人の負担も、当番のうち
見落とされがちなのが、当番表そのものを作る人の負担です。条件を集め、割り振り、変更のたびに直し、記録をまとめる。これは相当な作業量で、しかも当番表には載りません。
この作業が分団長や特定の班長に固定されていると、その人が辞めた瞬間に誰も作れなくなります。作り方が頭の中にしかないからです。
対策は、作り方を文章にすることです。条件をいつ集めるか、どの順で割り振るか、変更をどこに反映するか。この3つを1枚に書いておけば、次の担当が引き継げます。
もう1つは、作る作業を分けることです。条件を集める人、割り振る人、変更を反映する人。全部を1人がやる必要はありません。とくに変更の反映は、当番表を置く場所を全員が書き込める形にしておけば、代わった本人が直せます。
そして、作る負担を減らすには、変更が少ない表にするのがいちばん効きます。条件を先に集めておけば、あとからの変更は減ります。年に一度の手間を惜しんだ結果、1年を通じて調整に追われる、というのがよくある形です。
作る時期も決めておきます。年度が始まってから作り始めると、最初の数か月は表がないまま走ることになり、その間の割り振りが場当たりになります。前の年度の2月ごろに条件を集め、3月に案を作って全員に見せ、年度の初めには確定している。この流れにしておけば、4月からの当番が最初の日から決まっています。
前の年の表を捨てないことも大切です。翌年の割り振りの土台になり、偏りの確認にも使えます。年度が終わったら表と実績をそのまま残し、次の担当が開ける場所に置いておく。この積み重ねが3年分たまると、当番表づくりは埋める作業に変わります。
当番表の置き場所を選ぶときに見る点
最後に、当番表と、その連絡をどこに置くかを整理します。見るのは4点です。
1つ目は、表が1つだけ存在して、全員が同じものを見られること。2つ目は、書き換えたことが全員に伝わること。3つ目は、交代の依頼を全体に出せること。4つ目は、役職が替わったときに、表と記録がそのまま引き継がれることです。
分団でよく使われている手段は、この4点への向き不向きがはっきり分かれます。全員がすでに入れている手軽さの一方で、当番表を送ってもすぐ流れて探しにくくなる点はLINEグループとの比較に整理しました。誰でも入れる形にしたときの見え方はLINEオープンチャットとの比較、予定や掲示を残して見せる運用に近いものはBANDとの比較、話題ごとに分けて残す形はDiscordとの比較にまとめてあります。
似た構造で当番を回している団体の運用も参考になります。班に分かれ、役職が数年で替わり、地域の行事とも関わる点は町内会での使われかたが近く、活動日ごとに担当を割り振る形はサークルでの使われかたに似ています。細かい条件はよくある質問にまとまっています。
当番表づくりで自分の代にできることは、そう多くありません。4つの当番を分けて作る、出られない条件を集めて残す、月ごとの時間で偏りを見えるようにする。この3つを済ませて次に渡せば、次の担当は白紙から始めずに済みます。
Q1. 消防団の当番表は、年間で何回ずつ割り振るのが適切ですか?
回数の目安を決めるより、月ごとの時間で偏りを見るほうが実情に合います。同じ1回でも、平日の夜と休日の昼では重さが違い、年末の警戒や操法の練習期間が特定の人に重なると、年間の回数が同じでも負担はまったく違います。誰が何月に何時間出たかの表を作ると、偏りが一目で分かります。
Q2. 災害への出動も当番表に入れるべきですか?
入れないほうがよい形です。災害への出動は、その時に駆けつけられる人が向かうもので、当番の人だけが行くものではありません。当番表に欄を作ると、当番でない人が行かなくてよいと受け取る余地が生まれます。招集の連絡は、当番の連絡とは別の経路で全員に届く形にしておきます。
Q3. 当番を代わってもらうとき、どう頼むのがよいですか?
1対1で頼むのではなく、全員が見える場所に「この日、代われる方はいますか」と出す形をおすすめします。個人に直接頼むと断りにくく、頼める相手も限られます。代わりが決まったら当番表そのものを書き換え、誰が何回代わったかも記録しておくと、翌年の割り振りで調整できます。
Q4. 出役の記録は、どこまで残す必要がありますか?
日付、活動の種類、出た人の氏名、時間の4つがあれば足ります。この記録は団の内部の話にとどまらず、市町村への報告や出動報酬の根拠になります。あとから記憶でまとめると正確さを欠くので、当番表に出欠の欄を作り、その場で記入する形にしておきます。年度をまたいで残しておくと、勤務年数の確認にも使えます。
