消防団のお知らせは、出したのに来ない、という形で問題が表に出ます。当日になって「聞いていない」と言われ、担当は確かに流したと言い、どちらも嘘をついていない。この記事では、消防団のお知らせがなぜ届かないのかを経路の作りから見たうえで、4種類への分け方、記載しておくべき項目、上部から回ってきた文書の扱い、そして届かなかったときに誰の責任にもしないための組み方を書きます。結論から書くと、消防団のお知らせは出動指令と同じ経路に載せた瞬間に読まれなくなります。
消防団のお知らせは、出動指令と混ざると死ぬ
消防団には、他の集まりにはない情報が流れています。出動の指令です。
火災や災害が起きたとき、団員のもとには市町村の指令を伝える連絡が来ます。サイレン、無線、一斉のメール、専用のアプリなど、経路は地域によって違いますが、共通しているのは、これが来たら手を止めて動くという性質です。
日常のお知らせを、この経路に相乗りさせてしまう分団があります。同じグループ、同じ番号、同じ通知音で、火災の一報と「来月の訓練は第2日曜です」が並びます。
こうすると、二重に壊れます。
ひとつめは、指令の側です。日常の連絡が1日に何度も鳴る経路では、通知を切る団員が出ます。切らないまでも、鳴った音に反応しなくなります。緊急のときだけ鳴るから体が動くのであって、いつも鳴っている音では動きません。
ふたつめは、お知らせの側です。緊急の一報が混ざる場所に流れてくる事務連絡は、後で読もうと思われて、そのまま流れます。次の投稿で押し上げられ、二度と見返されません。
対処は単純で、経路を分けることです。出動に関わるものと、それ以外を、別の場所に置きます。分けたうえで、日常のお知らせのほうは、いつでも見返せて、過去のものが順に並んでいる形にします。指令の経路は流れて消えてよいのですが、お知らせの経路は残らなければ役に立ちません。
消防団のお知らせは、4種類に分かれる
ひとまとめに「お知らせ」と呼んでいるものを分けると、扱いがまるで違う4種類が出てきます。
第1種は、市町村や消防本部から降りてくる伝達です。装備の点検、報酬に関する手続き、条例や規程の変更、上部の行事への参加依頼。出どころが分団ではないので、内容を変えられません。ただし、そのまま流すと団員には読めません。
第2種は、分団の運営に関するものです。会計の報告、役職の交代、詰所の使い方、車両の整備、備品の購入。分団の中で完結する話です。
第3種は、訓練と行事の案内です。日時、場所、服装、持ち物。出席が必要なもので、量としてはこれが最も多くなります。
第4種は、慶弔と親睦です。訃報、退団する団員への対応、懇親の場の案内。他の3種類と性質が大きく違い、伝える相手も範囲も違います。
この4つを、同じ形式、同じ場所、同じ頻度で流すのが、いちばんよくある失敗です。第3種は毎月あり、第1種は年に数回で重く、第4種は突発します。まとめて扱うと、頻度の高い第3種に埋もれて第1種が消えます。
分けるときの目安は、返事が要るかどうかと、いつまでに読めばよいかです。第3種は返事が要り、期限があります。第1種と第2種は返事は要らないが、記録として残す必要があります。第4種は範囲を絞る必要があります。この3つのグループに分けるだけでも、届き方が変わります。
分団長から班長へ、という段数が抜けを作る
多くの分団が、上から順に伝える形を残しています。分団長が部長に伝え、部長が班長に伝え、班長が団員に伝える。
この形には、避けられない性質があります。
段のどこかで止まると、その先に届きません。しかも、止まったことが上には分かりません。分団長は部長に伝えた時点で「伝えた」と認識し、団員は「聞いていない」と言います。どちらも自分の認識の中では正しいので、後から原因を特定できません。
伝わる途中で内容が変わります。日時は正確に伝わっても、服装や持ち物は落ちます。口頭で伝えた部分ほど落ちます。
そして、時間がかかります。段が3つあれば、末端に届くまでに2日から3日かかることは珍しくありません。急な変更に対応できません。
置き換えるときの考え方は、伝達と確認を分けることです。内容そのものは、分団長から全団員へ一度に届く形にします。そのうえで、部長と班長の役目は「伝えること」ではなく「読んだかどうかを気にかけること」に変えます。伝えるのは1本、気にかけるのは人の手、という分け方です。
段を全部なくす必要はありません。年配の団員や、スマートフォンを使っていない団員には、これまで通り班長が声をかける形が要ります。ただし、その場合でも内容の原本は1か所にあって、班長はそれを見て話す、という形にしてください。班長が自分のメモから話すと、内容が分かれます。
被雇用者が7割を超えた組織に、平日の昼は届かない
消防庁の資料によれば、消防団員に占める被雇用者の割合は昭和43年の26.5%から令和5年には72.8%に達しています。
団員の職業構成は、かつては自営業者などが中心を占めていましたが、被雇用者である団員の割合が増加しており、昭和43年の26.5%が、令和5年には72.8%に達しています。 出典: 消防庁
自営業が中心だった時代は、昼に詰所に寄る、店先で顔を合わせる、という形で連絡が回りました。いまは違います。7割の団員は、平日の日中は勤務先にいます。
ここから、実務上の決めごとがいくつか出てきます。
平日の昼に出したお知らせは、その日のうちには読まれません。夕方以降に読まれます。急ぎでない連絡を昼に出す意味はありませんが、出しておけば夜に読まれるので、出すこと自体は問題ありません。問題は、昼に出して「夕方までに返事をください」と期限を切ることです。
夜に出す場合、遅い時刻は避けます。21時を過ぎると、家族が寝ている家庭に通知が届きます。翌朝でよい内容なら翌朝にしてください。ここを守らないと、通知そのものを切られます。
返事が要るものは、期限を3日以上取ります。夜勤の団員、出張中の団員、勤務地が遠い団員がいます。24時間の期限は、その人たちを最初から外すことになります。
そして、出す時刻を固定してください。訓練の案内は毎月同じ曜日の同じ時間帯に出す、と決めると、団員の側が見に来る習慣を作れます。不定期に出るものは、探しに来られません。
お知らせに必ず入れる項目は、他の団体より多い
町内会の行事の案内なら、日時、場所、持ち物で足ります。消防団はもう少し要ります。
必ず入れる項目は次のとおりです。
・日時。集合時刻と、終了予定時刻の両方 ・場所。詰所か、現地か。現地なら駐車できる場所も ・服装。活動服か、制服か、私服か。帽子と安全靴の要否 ・持ち物。個人装備で持参するもの ・使用する車両。ポンプ車を出すのか、可搬ポンプだけか ・雨天時の扱い。中止か、内容を変えて実施か、判断は何時に出るか ・欠席するときの連絡先と、その期限 ・担当者の名前
終了予定時刻を書くことは、特に効きます。何時に終わるか分からない予定は、家族の予定と噛み合わず、出席をためらう理由になります。予定より延びることはありますが、書いていないよりはるかにましです。
雨天時の判断を何時に出すかを先に書いておくのも重要です。「当日朝6時に判断して連絡します」と書いてあれば、団員は6時に確認します。書いていないと、前夜から何度も問い合わせが来て、担当の負担になります。
服装と車両を書かないと、当日に混乱する
消防団固有の項目として、服装と車両の指定があります。これを軽く見ると、当日に人が揃っても動けません。
服装の指定が要る理由は、活動によって着るものが違うからです。放水訓練なら活動服と長靴、式典なら制服と白手袋、火災予防の広報なら地域によって法被、資機材の点検なら作業のできる服。同じ「訓練」という言葉でも、必要なものが変わります。案内に「訓練を行います」としか書かないと、当日に制服と活動服が混在します。式典を兼ねている場合、これは目に見える形で問題になります。
車両の指定が要る理由は、運転できる人が限られているからです。道路交通法の改正により、平成29年3月12日以降に普通自動車免許を取得した人が運転できるのは車両総重量3.5トン未満に限られています。それ以前に普通免許を取った人は総重量5トン未満まで運転できます。つまり、免許を取った時期によって、同じ普通免許でも運転できるポンプ車が違います。
案内に「ポンプ車を出します」と書いてあれば、運転できる団員が自分の参加を前提に予定を組みます。書いていないと、当日に車を動かせる人がいないという事態が起きます。市町村によっては準中型免許の取得費用に対する助成制度があり、警察庁は令和8年4月からAT準中型免許を導入する方針を示しています。誰が何を運転できるかを分団で把握し、それを前提に案内を書いてください。
上から来た文書を、そのまま団員に流さない
市町村や県から、消防団向けの通知が回ってきます。これを受け取った担当が、原文のまま全団員に転送する場面がよくあります。
行政の文書は、読み手が担当者であることを前提に書かれています。制度の名前、条項の番号、所管の課の名前が並び、団員にとって何をすればよいのかは最後まで出てきません。読み飛ばされます。
そして、こうした転送が続くと、団員はその経路に流れてくるものを一律で読まなくなります。分団が自分たちのために出したお知らせも、同じ扱いを受けます。
担当がやるべきことは、間に立って書き直すことです。
・全文を読む。団員が何かをしなければならない部分だけを抜き出す ・団員が動く必要がないなら、流さない。記録として残しておけば足ります ・動く必要があるなら、何を、いつまでに、どうするかを3行で書く ・原文は、見たい人が見られる場所に置いておく
読む手間は担当に集まりますが、団員20人が同じ文書を読み解く時間を考えれば、そのほうが全体としては短くて済みます。
詰所の貼り紙は、来ていない人を確実に外す
多くの分団で、詰所の掲示板が使われています。訓練の予定、当番表、上からの通知が貼られています。
貼り紙には利点があります。全員が同じものを見ますし、消えません。書き込んで訂正することもできます。
弱点は明白で、詰所に来ない人には届かないことです。そして、詰所に来る頻度は団員によって大きく違います。役職に就いている人は週に何度も来ますが、平日は勤務先が遠く、月に1回の訓練でしか来ない団員もいます。貼り紙だけで運用すると、来る頻度の低い団員が構造的に情報から外れ、その人たちが「聞いていない」と言う側に回ります。
貼り紙をやめる必要はありません。同じ内容が、来なくても見られる場所にもあるようにしてください。貼り紙を写真に撮って共有する形でも構いませんが、それだと過去の分を探せません。文字で残る形にしておくと、後から日付で追えます。
同じことが、回覧の文書にも言えます。順に回すと、最後の人に届くのが遅く、途中で止まると分かりません。急ぎでない話ならそれで足りますが、期限のあるものを回覧に載せないでください。
読まれたかを確認しようとしない。ただし例外がある
お知らせを出す側は、読まれたかどうかを知りたくなります。既読が付く仕組みがあると、付いていない人を数えたくなります。
日常のお知らせについては、これをやらないほうがうまくいきます。既読を確認し始めると、団員は「読んだことにされる」ことを避けるために、通知を開かなくなります。監視されている感覚が生まれ、経路そのものが敬遠されます。
例外は2つあります。
ひとつは、出席の可否を返してもらうものです。これは読んだかどうかではなく、返事があるかどうかで管理します。返事のない人にだけ、期限の前に個別に声をかけます。全員宛てに「まだの人は返事をください」と流すと、返した人にも届いて、返したかどうか分からなくなります。
もうひとつは、出動や安全に関わるものです。危険箇所の情報、資機材の不具合、訓練内容の急な変更。これは読まれていないと事故につながるので、確認します。ただしその場合は、確認する必要があるものだと明示してください。何も言わずに既読を数えるのと、「これは全員の確認が必要な内容です」と書いてあるのとでは、受け取り方がまったく違います。
訃報と慶弔は、別の経路で出す
消防団は地域に密着した組織なので、慶弔の連絡が回る場面があります。団員本人、家族、地域の関係者。
これを日常のお知らせと同じ場所に出すのは避けてください。理由は3つあります。
範囲が違います。訃報は、遺族の意向によって知らせてよい範囲が変わります。家族葬にする、団としての参列は辞退する、といった意向がある場合、広く流すこと自体が問題になります。
速さの性質が違います。訃報は半日から1日で伝える必要がありますが、一斉に流すのではなく、まず意向を確認する順番が入ります。確認する前に流れてしまうと取り消せません。
そして、残ってほしくない情報です。日常のお知らせは後から見返せることが利点ですが、訃報が一覧の中に何年も残り続けるのは、遺族から見て気持ちのよいものではありません。
実務としては、慶弔は分団長と副分団長など限られた人の間で先に確認し、範囲を決めてから、その範囲にだけ伝える形にします。誰が確認して誰が出すかを、平時に決めておいてください。起きてから決めると、必ず遅れます。
定例のお知らせは、年間で作って使い回す
消防団の1年は、かなりの部分が決まっています。
・出初式 ・年度当初の辞令と役職の交代 ・車両と資機材の定期点検 ・操法の訓練と大会 ・火災予防運動の期間中の広報 ・秋の訓練 ・歳末特別警戒 ・機械器具の年末点検
これらは毎年ほぼ同じ内容です。にもかかわらず、多くの分団で毎年ゼロから文面が作られています。担当が代わるたびに書き方が変わり、去年入っていた項目が今年は抜けます。
年度の初めに、この定例分の案内の下書きを作ってしまってください。日付と担当者だけを空欄にしておけば、その都度埋めるだけで出せます。作るのに3時間ほどかかりますが、翌年以降の担当がその3時間を使わずに済みます。
これは引き継ぎの話でもあります。消防団の役職は数年で動きます。前の担当が個人の端末に持っていた文面は、代替わりの時点で消えます。分団の中に残る場所に置いてあるかどうかが、翌年の負担を決めます。
過去のやり取りが役職の交代をまたいで残るかどうかは、道具を選ぶときの判断材料になります。よく使われている手段との違いはLINEグループとの比較に、閉じた場をどう作るかについてはBANDとの比較に整理があります。
地域の住民に向けたお知らせは、団内のものと分ける
消防団が出すお知らせには、団員に向けたものと、地域の住民に向けたものの2種類があります。混ぜている分団が多いのですが、性質がまったく違います。
住民に向けて出すものは、たとえば次のようなものです。
・放水訓練を行う日時と場所。水の飛散や音が出ること ・訓練でサイレンを吹鳴する時間帯。火災と間違えられないための事前の周知 ・火災予防運動の期間中に、車両で巡回広報を行う時間帯 ・歳末特別警戒で夜間に巡回すること ・消火栓や防火水槽の点検で、一時的に道路を使うこと
これらは、出しておかないと通報や苦情につながります。サイレンを鳴らす訓練を知らせずに実施すれば、近隣から消防本部に問い合わせが入ります。夜間の巡回を知らせずに行えば、不審な車として通報されることがあります。
出す先も、出す時期も、団内のお知らせとは違います。回覧板、自治会の掲示板、市町村の広報紙、施設への掲示。2週間前には出しておきたいところです。団員に流している経路には、住民は入っていません。
分団の担当としては、行事の予定を立てた時点で、これは団内だけか、住民にも知らせるものかを仕分けてください。仕分けを行事の直前にやると、回覧の回る時間が足りなくなります。年間の予定を作る段階で、住民向けの周知が要るものに印を付けておくと、取りこぼしません。
新しく入った団員に、最初に渡すもの
入団したばかりの団員が最初につまずくのは、活動の内容ではなく、どこを見れば予定が分かるのかです。
既存の団員は、長い時間をかけて経路を覚えています。この予定はここに出る、この連絡は班長から来る、この掲示は詰所に貼られる。誰も説明していませんが、全員が知っています。新しく入った人だけが知りません。
入団のときに、次のことを紙1枚で渡してください。
・予定が出る場所はどこか。1か所に決まっていること ・出動に関する連絡は、どの経路で来るか。通知を切らないこと ・欠席するときは、誰に、いつまでに、どうやって伝えるか ・分からないことを聞く相手は誰か。名前と連絡先 ・年間の主な行事の一覧。おおよその時期
この5つが書いてあれば、最初の1年は困りません。書いていないと、毎回誰かに聞くことになり、聞くこと自体が負担になって、出席が減ります。
消防団への入り方は市町村ごとに条例で定められていて、手続きの流れも地域差があります。入団の直後に、その地域の分団としての決めごとを伝える機会は、意識して作らないと生まれません。歓迎の場を設けることより、この紙1枚のほうが実務としては効きます。
出したのに来ない、を人の責任にしない
当日に人が足りなかったとき、原因を「見ていない団員が悪い」で片付けると、何も改善しません。
見ていない理由は、たいてい仕組みの側にあります。
・出した経路が、その団員の使っていない経路だった ・出した時刻が、その団員が見られない時間帯だった ・他の連絡に埋もれて、押し流された ・そもそも届いていない。連絡先が古い ・読んだが、日付だけ覚えて服装と持ち物を忘れた
このどれなのかを一度確かめてください。個別に聞けば分かります。原因が分かれば、直せるものがほとんどです。
連絡先が古いという原因は、意外に多く残っています。携帯番号を変えた、勤務先が変わってメールアドレスが変わった、家族の事情で連絡先を分けた。年に1回、名簿の内容を本人に確認してもらう機会を作ってください。訓練の日にまとめてやれば、それほど手間はかかりません。
訂正とお詫びは、短く、上書きで出す
日時を間違えた、場所を間違えた、という訂正は必ず起きます。
やってはいけないのは、元の案内を消して新しいものを出すことです。すでに元の案内を見た団員が、消えたことに気づきません。古い日付のまま覚えている人が残ります。
やるべきことは、元の案内に訂正が入ったと分かる形にすることです。同じ場所に、何を、何から何に直したかを明記した短い連絡を出します。
・訂正である、と冒頭に書く ・変わった項目だけを書く。全文を書き直さない ・変わっていない項目は「その他は変更ありません」と一言 ・謝罪は1行で足ります
訂正が続くと信用を失うので、出す前に日時と場所を別の人が見る、という手順を1つ入れると事故が減ります。担当1人で作って1人で出す形は、必ずどこかで間違えます。
全員宛てを減らすと、読まれる率が上がる
分団の中でも、活動の関わり方は一律ではありません。基本となる団員のほか、能力や事情に応じて特定の活動にだけ参加する機能別の団員がいる分団もあります。女性団員が防火訪問や応急手当の指導を担っている地域もあります。
にもかかわらず、お知らせはたいてい全員宛てに出されます。関係のない案内が続くと、自分に関係する案内も同じ扱いで流されます。
出す前に、これは誰に必要かを一度考えてください。
・全団員に関わるもの。年間行事、規程の変更、報酬の手続き ・特定の部や班だけに関わるもの。当番、車両の整備 ・特定の役割の団員だけに関わるもの。広報、指導、事務 ・幹部だけで済むもの。会議、調整、対外的な依頼
このうち下の2つを全員に流すのをやめるだけで、1人が受け取る量はかなり減ります。全員宛てが月に10件あるうち4件が自分に関係ないなら、残りの6件も読まれにくくなります。
相手を絞れる形にしておくと、この仕分けができます。絞れない道具しか持っていないと、結局は全部を全員に流すことになり、読まれない状態が固定します。
置き場所を選ぶときに見る点
消防団のお知らせをどこに置くかを決めるとき、確かめるべきことは次のとおりです。
ひとつめは、出動の経路と分けられるかどうかです。同じ場所に混ぜられない作りになっているか、あるいは分けて運用できるか。ここが最初の条件です。
ふたつめは、過去のものが日付順に残り、探せるかどうかです。流れて消える場所では、後から「あの訓練の集合場所はどこだったか」を確かめられません。
みっつめは、見られる範囲が閉じているかどうかです。分団の活動には、車両の配置や資機材の状況など、外に出す必要のない情報が含まれます。メンバー以外は見られないことは、条件のひとつになります。
よっつめは、役職が代わったときに引き継げるかどうかです。前任者の個人の持ち物になっていると、代替わりのたびに過去が消えます。
いつつめは、団員に新しい登録を増やさないことです。すでにいくつもの連絡手段を持たされている団員に、また別のIDとパスワードを覚えてもらうのは、それだけで反発の理由になります。
団体ごとの使い方は、地域の役員が使う形をまとめた町内会での使われかたや、活動の予定を共有する形のサークルでの使われかたが近い場面を扱っています。判断に迷う点はよくある質問にまとまっています。
お知らせの質は、書く人の文章力では決まらない
最後に、実務としていちばん効く話を書きます。
お知らせが届くかどうかは、文章の上手さではほとんど決まりません。決まるのは、次の3つです。
決まった場所に置いてあるか。団員が「あそこを見れば分かる」と思える場所が1つあるかどうか。場所が複数あると、どれを見ればよいか分からず、結局どれも見なくなります。
決まった項目が埋まっているか。日時、場所、服装、持ち物、雨天時、終了予定、欠席の連絡先。この7つが毎回埋まっていれば、文章が素っ気なくても困りません。逆に、丁寧な文章でも服装が抜けていれば当日に混乱します。
決まった時刻に出ているか。いつ出るか分かっていれば、見に来る習慣ができます。
この3つは、担当が代わっても引き継げます。文章の上手さは引き継げません。だから、仕組みの側に寄せておくほうが、分団としては長く持ちます。担当になった人が最初にやるべきことは、うまい文章を書く練習ではなく、置き場所を1つに決めて、項目の型を作ることです。
Q1. 出動の連絡と日常のお知らせを、分けるべきですか?
分けてください。同じ経路に載せると、事務連絡で何度も鳴る通知を団員が切るようになり、肝心の出動の一報に反応しなくなります。逆に、緊急の一報が混ざる場所に流れる事務連絡は後回しにされて流れます。出動に関わるものは流れて消えてよく、お知らせは残って探せる形が要ります。
Q2. お知らせに必ず書くべき項目は何ですか?
日時は集合時刻と終了予定時刻の両方、場所、服装、持ち物、使用する車両、雨天時の扱いと判断を出す時刻、欠席の連絡先と期限、担当者の名前です。特に終了予定時刻と、雨天時の判断を何時に出すかを書いておくと、家族の予定と噛み合い、前夜からの問い合わせも減ります。
Q3. 既読を確認して、読んでいない団員に催促してよいですか?
日常のお知らせでは避けてください。既読を数え始めると、団員は開くこと自体をためらい、経路が敬遠されます。例外は出席の可否を返してもらうものと、安全に関わる内容です。前者は返事の有無で管理し、後者は「全員の確認が必要」と明示したうえで確認します。
Q4. 詰所の貼り紙だけでは駄目ですか?
貼り紙は消えず全員が同じものを見られる利点がありますが、詰所に来る頻度は団員によって大きく違います。役職者は週に何度も来ますが、月1回の訓練でしか来ない団員は構造的に外れます。貼り紙は残したまま、同じ内容が来なくても見られて、後から日付で追える場所にもある状態にしてください。
