消防団の個人情報の話がややこしいのは、扱っている名簿が実は2種類あって、それぞれ根拠になる決まりが違うからです。市町村が団員として把握している情報と、分団が活動のために自分で作った名簿は、性質が別のものです。この記事では、その2つを分けるところから始めて、免許や勤務先や家族の連絡先をどこまで集めてよいか、健康に関する情報をどう扱うか、退団した人の情報をいつ消すか、漏れたときにどこへ連絡するかを順に書きます。分団の担当が最初にやるべきことは、いま手元にある名簿がどちらの箱に入るものかを確かめることです。
消防団の名簿は、2つの箱に分かれている
分団の担当が持っている名簿を思い浮かべてください。おそらく、次のようなものが混ざっています。
・氏名、生年月日、住所、階級、入団年月日 ・携帯電話の番号、メールアドレス ・勤務先の名称と、そこの電話番号 ・運転免許の種類と番号 ・家族の氏名と連絡先 ・血液型、持病、アレルギー ・親睦会の会費の納入状況 ・懇親会の出欠、行事の写真
これらは1枚の紙、あるいは1つの表計算ファイルに並んでいることが多いのですが、出どころと根拠がまったく違います。
上のほうにある、氏名や階級や入団年月日といった情報は、市町村が団員を任命した結果として持っている情報です。消防団は市町村の消防機関で、団員は非常勤特別職の地方公務員です。市町村が公務として持っている情報を、分団の担当が業務のために手元に置いている、という構造になります。
下のほうにある、親睦会の会費や懇親会の出欠は、公務とは関係ありません。団員が任意で作っている集まりの情報です。
この2つを1枚に混ぜてしまうと、消してよいものと消してはいけないものの区別がつかなくなります。退団した人の情報をどうするか、という場面で必ず困ります。まず分けてください。
消防団は市町村の消防機関である。ここが出発点
町内会やPTAの個人情報の話と、消防団の話が違うのは、この一点です。
消防庁の資料には、消防団の位置づけがはっきり書かれています。
消防団は、市町村の消防機関です(消防組織法第9条)。構成員である団員は、権限と責任を有する非常勤特別職の地方公務員である一方、他に本業を持ちながら、自らの意思に基づく参加、すなわちボランティアとしての性格も併せ有しています。 出典: 消防庁
つまり、団員の名簿は市町村が公務のために持っている情報です。分団の担当がその写しを預かって使っているのであって、分団が自分の判断で自由に扱ってよい情報ではありません。
ここから実務上の帰結がいくつか出ます。
団員の名簿を、活動と関係のない目的に使うことはできません。地域の物産の勧誘、選挙、宗教の案内、団員の家業の営業。これは分団長であってもできません。
外部に渡すこともできません。地域の他の団体から「消防団の名簿をもらえないか」と言われることがありますが、分団の判断で渡す話ではありません。市町村の担当課に判断を委ねてください。
そして、扱いに迷ったときの相談先は、分団の中ではなく市町村の担当課です。市町村には個人情報の取り扱いについての決まりがあり、担当する部署があります。分団で結論を出そうとしないでください。
分団の親睦会や後援会の側は、別の決まりで見る
一方、分団の親睦会、消防団OB会、後援会といった任意の集まりが持っている名簿は、公務の情報ではありません。
個人情報保護委員会は、非営利の団体についてこう説明しています。
個人情報保護法における「事業」とは、一定の目的をもって反復継続して遂行される同種の行為であって、かつ社会通念上事業と認められるものをいい、営利・非営利の別は問いません。したがって、非営利の活動を行っている団体であっても、個人情報データベース等を事業の用に供している場合は、個人情報取扱事業者に該当します。 出典: 個人情報保護委員会
親睦会が会員の名簿を作って繰り返し使っているなら、その名簿については取り扱いの決まりに従うことになります。何のために集めるかを本人に伝える、目的の外に使わない、必要がなくなったら消す、という基本は同じです。
厄介なのは、分団長が両方の名簿を持っていて、頭の中で区別していないことです。公務の名簿から親睦会の名簿を作る、というのは目的の外の利用にあたる可能性があります。親睦会の名簿は、親睦会として本人から改めて聞いて作るのが筋です。手間に見えますが、この手間を惜しむと、退団した人の情報が親睦会側に残り続けるという形で後から問題になります。
集める項目を、必要性で仕分ける
名簿の項目を減らすことは、そのまま守る手間を減らすことです。いま集めている項目を一度並べて、それぞれについて「何のために要るのか」を書いてみてください。書けない項目は要りません。
必ず要るもの。
・氏名。本人の特定に要ります ・住所。出動の際の参集の距離、担当区域の把握に要ります ・生年月日または年齢。入団の資格、退職報償金の算定、活動の配慮に関わります ・携帯電話の番号。出動と連絡に要ります ・階級、所属する分団と部、入団年月日
活動によって要るもの。
・運転免許の種類。車両を出せるかどうかに直結します ・勤務先の所在地。平日の昼に参集できる範囲を知るために要ります ・家族の連絡先。負傷や殉職のときに要ります
集めなくてよいことが多いもの。
・勤務先の詳しい部署名や役職 ・勤務先の直通の電話番号 ・家族全員の氏名と生年月日 ・本籍、家族構成の詳細 ・銀行の口座番号。報酬は市町村から本人へ直接支給されるので、分団が知る必要はありません ・写真。名簿に顔写真を並べる必要は、多くの分団でありません
最後の口座番号は特に重要です。総務省消防庁が定めた基準では、報酬は団員個人に対して直接支給することとされており、消防団の幹部が団員の預金通帳やキャッシュカード、届出印を預かって預金を引き出す行為は、基準の趣旨を大きく逸脱するものとして、早急に是正することが望ましいと明記されています。分団が団員の口座情報を持つ理由は、原則としてありません。
免許の種類を把握する理由と、その扱い
消防団の名簿に運転免許の情報が入っているのは、他の団体にはない特徴です。
道路交通法の一部を改正する法律が平成29年3月12日に施行され、準中型自動車免許が新たに作られました。この日以降に普通自動車免許を取得した人が運転できるのは車両総重量3.5トン未満に限られます。それ以前に普通免許を取得した人は、引き続き車両総重量5トン未満まで運転できます。
つまり、同じ普通免許でも、取得した時期によって運転できるポンプ自動車が変わります。分団としては、誰がどの車両を動かせるのかを把握していないと、出動のときに車を出せません。
ただし、把握するのに免許証の番号までは要りません。
・要るもの。運転できる区分と、いつ取ったか(改正の前か後か) ・要らないもの。免許証の番号、有効期限、本籍、免許証の写し
免許証の写しを提出させて保管している分団がありますが、写しには本籍や免許証番号が載っています。必要な情報だけを聞き取って記録し、写しは返すか処分してください。写しを取るなら、必要のない欄を隠したうえで、保管する期間と場所を決めてから取ります。
なお、市町村によっては準中型免許の取得費用への助成制度があり、助成を行った市町村には特別交付税の措置があります。警察庁は令和8年4月からAT準中型免許を導入する方針を示しており、取得に必要な技能教習の時間が短くなる見込みです。免許の把握は、誰に取得を勧めるかという話にもつながります。
勤務先をどこまで聞くか
被雇用者の団員が多数を占める現在、平日の昼にどれだけの人が動けるかは、勤務先の場所で決まります。消防庁の資料では、団員に占める被雇用者の割合は令和5年に72.8%に達しているとされています。
そのため、分団としては勤務先の情報がある程度は要ります。ただし、聞き方に注意が必要です。
聞いてよい範囲は、平日の昼に参集できるかどうかを判断するために必要な範囲です。勤務先が管内にあるのか、車で30分の距離なのか、それとも県外なのか。この程度の粒度で足ります。会社名を聞くとしても、それを名簿に載せて団員間で共有する必要があるかは別の話です。
勤務先の会社名が要る場面は、消防団協力事業所表示制度に関わるときです。この制度は令和7年4月1日現在で1,385団体の市町村が導入しており、認定された事業所は18,007事業所にのぼります。ただし、事業所への働きかけは市町村や消防本部が行う仕事です。分団が団員の勤務先の一覧を持って営業に回る話ではありません。
団員本人が「勤務先には消防団に入っていることを言っていない」という場合もあります。この場合、勤務先の情報を名簿に載せて共有することは、本人にとって不利益になりえます。聞くときに、共有する範囲を伝えてください。
家族の連絡先は、誰が持つのが正しいか
消防団の活動は危険を伴います。活動中に負傷したり亡くなったりした場合、市町村は条例の定めるところにより、本人または遺族に対して補償を行うこととされています。療養補償、休業補償、傷病補償年金、障害補償、介護補償、遺族補償、葬祭補償の7つの制度があります。
そのため、いざというときに家族へ連絡できる状態は必要です。問題は、誰がその情報を持つかです。
現場でありがちなのは、分団長が個人の携帯電話の連絡先に、団員の家族の番号を登録しているという形です。これは2つの点で問題があります。分団長が交代したときに情報が引き継がれず、しかも前任者の端末には残り続けます。そして、分団長が出動している最中に負傷者が出た場合、その情報を他の人が使えません。
望ましいのは、市町村の担当課が把握していて、分団としては誰に確認すればよいかが分かっている状態です。そのうえで、分団の側でも、複数の役職者が同じ情報にたどりつける形にしておきます。1人の頭の中や1台の端末にしかない情報は、いざというときに使えません。
家族の情報として持つのは、緊急時に連絡がつく人1人の氏名と続柄と電話番号で足ります。家族全員の生年月日や勤務先までは要りません。
健康に関する情報は、集める前に目的を書く
血液型、持病、常用している薬、アレルギー。これらを名簿に載せている分団があります。
出動する組織なので、必要性はあります。熱中症で倒れたときに持病が分かっていれば対応が変わります。ただし、健康に関する情報は取り扱いに配慮が要る情報です。集めるなら、次の条件を満たしてください。
・何のために集めるかを、はっきり書いて本人に伝える ・見られる人を限る。全団員が見られる名簿には載せない ・書くかどうかを本人が選べるようにする。空欄でも不利にならないと明記する ・保管する場所と期間を決める。退団したら消す
血液型については、実際の医療の現場では自己申告の血液型で輸血が行われることはありません。名簿に載せる意味があるかどうかは、一度考えてみてください。載せる理由が説明できないなら、項目ごと外すのが安全です。
持病やアレルギーは、全員分を一覧にするより、本人が携行する形のほうが実用的な場合があります。活動服のポケットに入れるカードにする、といった方法です。分団が一覧を持つ場合は、閲覧できる人を分団長と副分団長に限る、といった運用を決めてください。
地域の住民の情報を、市町村から預かる場合がある
消防団が扱う個人情報は、団員のものだけではありません。
災害時に自力での避難が難しい人をまとめた名簿を、市町村から提供されている消防団があります。高齢者、障害のある人、要介護の認定を受けている人など、避難のときに支援が要る住民の情報です。避難の支援に関わる関係者に対して、市町村長がこうした名簿を提供する仕組みが、法令に基づいて設けられています。
これを受け取っている分団は、団員の名簿とは別に、はるかに慎重な扱いが求められる情報を抱えていることになります。他人の、しかも本人の同意のもとで支援のためだけに渡された情報だからです。
守るべき点は、市町村から渡されるときに条件として示されているはずです。分団として最低限決めておくことは次のとおりです。
・保管する場所を1つに決める。鍵のかかる場所以外に置かない ・見られる人を、名前で限定する。全団員が見られる状態にしない ・写しを作らない。作るなら、何部作って誰が持っているかを記録する ・団員の個人の端末に写真として撮らない ・訓練で使うときも、終わったら回収する ・年度が変わって内容が更新されたら、古いものを確実に処分する ・役職が代わったら、その場で引き継ぐ。自宅に残さない
そして、これらの条件は市町村ごとに違います。分団の判断で運用を決めず、渡してくれた担当課に確認してください。渡す側は、渡した後の扱いに責任を負っています。分団が独自に運用を変えると、次の年から渡してもらえなくなることもあります。
日常の連絡に使っている手段に、この種の情報を載せることは避けてください。避難の支援に必要な情報を、平時の連絡と同じ場所に置いてはいけません。使う場面が限られている情報は、置き場所も限ってください。
入団のときに、何を伝えて、何をもらうか
個人情報の運用は、入団の手続きの時点でほぼ決まります。あとから直すのは難しいので、ここを整えてください。
入団のときに本人へ伝えるべきことは、次の4つです。
ひとつめは、何のために情報を集めるかです。出動の連絡、参集の把握、報酬の手続き、公務災害への対応。目的を書いておくと、その外に使わないという線が引けます。
ふたつめは、誰が見るかです。市町村の担当課、消防本部、分団の役職者、他の団員。どの項目をどこまで共有するかを示します。全項目が全団員に見えると思われていると、書きたくない情報を書かないという形で名簿の精度が落ちます。
みっつめは、書かなくてよい項目はどれかです。健康に関する情報や、勤務先の詳細は、書かないという選択があってよいものです。空欄でも不利にならないと明記してください。
よっつめは、退団したときにどうなるかです。どの情報がいつまで残り、いつ消えるのか。ここを最初に伝えておくと、退団のときの手続きが揉めません。
入団の申し込み自体を電子化している自治体も増えています。神奈川県横浜市では、市のホームページからオンラインで入団の申請ができる形にした結果、令和5年度は月に10件から20件、年間で180件以上の申し込みがあったとされています。京都府京都市では、面談の申し込みをオンラインで受け付ける仕組みを整えています。入口が変われば、集める項目と保管の場所も見直す機会になります。
紙の申込書を使い続けるにしても、書式を1度見直してください。前任者から引き継いだ書式に、いま必要のない欄が残っていることがよくあります。欄があれば、団員はそこを埋めます。埋められた情報は、守る対象になります。
紙の名簿は、車と詰所と自宅に残る
情報が外に出る経路として、実際にいちばん多いのは紙です。
消防団の場合、紙の名簿が置かれやすい場所が決まっています。
・消防車両の中。出動時に使うために置きっぱなしになる ・詰所の机の上や、鍵のかかっていない引き出し ・役職者の自宅。持ち帰ったまま返らない ・過去の担当者の手元。代替わりのときに回収されていない
車両の中に置く名簿は、必要性があるので一律に禁止できません。ただし、載せる項目を絞ってください。出動の場面で要るのは、氏名と電話番号と担当区域です。家族の連絡先や健康の情報は、車内の名簿には要りません。
詰所については、鍵のかかる場所に置くという一点を決めるだけで、かなり変わります。金庫でなくても、鍵のかかる引き出しがあれば足ります。鍵を誰が持つかも決めておいてください。
自宅に持ち帰った紙は、いちばん回収されません。年に1回、役職の交代のときに、紙の名簿を何部作って誰に渡したかを確認する機会を作ってください。作った枚数を記録していないと、回収したかどうかも分かりません。
連絡の手段そのものが、情報を持ってしまう
紙以外の経路として、日常の連絡に使っている手段そのものが問題になることがあります。
団員全員を1つのグループに入れると、そこに参加している全員が、他の全員の表示名を見ることになります。手段によっては電話番号や、本人が普段使っている名前、投稿の内容から分かる生活の情報が見えます。
分団の中であれば、顔見知りなので大きな問題にならないことが多いのですが、次のような場面で問題になります。
・機能別の団員や、新しく入った人がいる場合 ・分団を越えて団全体のグループを作る場合 ・退団した人が、グループから抜けないまま残っている場合 ・家族が団員の端末を使っている場合
特に3つめは、実際によく起きます。退団したのにグループに残っている人がいると、その後の活動の情報がすべて見えます。抜けてもらう手続きを、退団の手続きに組み込んでください。
連絡の場に入れる範囲を管理できることは、道具を選ぶときの条件のひとつです。メンバー以外は見られないことに加えて、誰がいま入っているかを一覧で確認できるかどうかを見てください。無料で広く使われている手段との違いはLINEグループとの比較に、参加者を限定しない場との違いはLINEオープンチャットとの比較にまとまっています。
活動の写真を、どこまで出してよいか
消防団は広報にも力を入れる組織なので、活動の写真を撮る機会が多くあります。訓練、火災予防運動、出初式、地域の行事。
写真の扱いで決めておくことは3つです。
ひとつめは、撮る範囲です。活動中の団員を撮るのは、広報の目的で説明がつきます。ただし、現場の写真には被災した住宅や、住民の姿が写り込むことがあります。これは公表できません。撮った時点で、公表用と記録用を分ける習慣をつけてください。
ふたつめは、出す先です。分団の中で共有するだけなのか、市町村の広報紙に載せるのか、消防団の公式なアカウントで公表するのか。段階によって、必要な確認の範囲が変わります。公表する場合は、写っている団員に確認するのが基本です。
みっつめは、団員以外が写っている場合です。地域の行事で子どもと一緒に撮った写真、防火訪問で高齢者の自宅を訪れたときの写真。これらは、その場で本人や保護者の意向を確認していない限り、公表しないのが安全です。
写真を置く場所も決めてください。役職者の個人の端末に何年分も溜まっている状態は、代替わりのときに引き継げず、しかも残り続けます。分団として残すものと、撮った本人が持っているだけのものを分けて、残すものは1か所にまとめる形にします。団体での写真の共有についてはFacebookグループとの比較に、場の作り方の違いが整理されています。
退団した人の情報を、いつ、どこまで消すか
必要がなくなった情報は消す。これが原則ですが、消防団の場合は少し複雑です。
市町村が持つ情報については、退職報償金の算定や、公務災害の補償に関わるため、退団後も一定期間は必要です。これは市町村の決まりに従います。分団が判断する話ではありません。
分団が独自に持っている情報については、分団で決めます。
・活動のための連絡先。退団と同時に消してよいものです ・親睦会の会費の記録。会計の年度が締まり、監査が済むまで ・行事の出欠の記録。次年度の計画を立てるまで ・グループへの参加。退団の手続きと同時に外す
やってはいけないのは、退団した人の連絡先をOB会や後援会にそのまま流用することです。OB会に入るかどうかは本人の意思であり、活動のために集めた連絡先を別の目的に使うのは筋が違います。OB会として声をかけたいなら、退団のときに本人に確認してください。「退団後もOB会からの連絡を受け取りますか」の一言があれば済む話です。
退団した人からの申し出も想定しておいてください。「自分の情報を消してほしい」と言われたときに、どこに何があるか分からない状態だと対応できません。項目ごとに置き場所を把握しておくことが、そのまま対応できる状態を作ります。
漏れたときに、どこへ連絡するか
紛失や漏えいは起きます。名簿の入った鞄を置き忘れる、端末をなくす、宛先を間違えて送る。
このとき、分団の中で処理しようとしないでください。消防団は市町村の消防機関なので、団員の情報が漏れた場合、対応の主体は市町村です。
決めておくべきことは次のとおりです。
・気づいた人が最初に連絡する相手。分団長と、市町村の担当課 ・連絡する期限。気づいた時点で即座に。翌日ではありません ・伝える内容。何が、いつ、どこで、何人分、どういう状態で ・分団として勝手にやらないこと。当事者への謝罪、公表、回収の交渉
分団の担当が個人で判断して当事者に連絡を取ると、市町村としての対応と食い違うことがあります。まず報告してください。
そして、この連絡先と手順を、平時に紙1枚で作って詰所に置いてください。起きてから調べる余裕はありません。担当が代わっても引き継げる形にしておくことが要点です。
役職の交代のときに、いちばん漏れる
消防団の役職は数年で動きます。分団長、部長、班長、会計。交代のたびに、名簿と記録が引き継がれます。
このときに起きることは、だいたい決まっています。
前任者の端末に、名簿のファイルが残ります。消したつもりでも、メールの添付や、写真として撮ったものが残ります。紙の名簿が自宅に残ります。連絡のグループから前任者が抜けず、役職を離れた後も情報を見続けます。
対策は、引き継ぎの手順を紙1枚にすることです。
・渡すもの。名簿の原本、鍵、通帳と印鑑、過去の記録の置き場所 ・消すもの。前任者の端末にある写し、紙の写し ・変えるもの。連絡のグループの管理権限、共有の設定 ・確認すること。前任者が抜けたこと、後任が入ったこと
これを、交代の場でその場で確認します。後日でよいことにすると、そのまま忘れられます。役職が代わるときに引き継ぐものが1つで済むかどうかは、道具の選び方でも変わってきます。運用の細かい点はよくある質問にまとまっており、団体ごとの使い方は町内会での使われかたが参考になります。
名簿を減らすことが、いちばん確実な対策
ここまで書いてきたことを一言でまとめると、守るのが大変な情報は、最初から持たないのがいちばん確実だ、ということになります。
分団が持っている名簿の項目を1つ減らせば、その項目についての管理も、漏れたときの被害も、引き継ぎの手間もゼロになります。項目を増やす判断は簡単ですが、増やした後にそれを守る作業は、毎年の担当者に永久に引き継がれます。
だから、名簿を作り直す機会があれば、まず減らす方向で見直してください。前任者から引き継いだ項目を、理由も分からないまま持ち続けているケースはよくあります。何のために要るのかを説明できない項目は、その時点で外していい項目です。
そして、残した項目については、置き場所を1か所に決めて、見られる人を決めて、いつ消すかを決める。この3つを書いた紙が分団に1枚あれば、担当が代わっても運用は続きます。決まりを覚えている人がいなくなった時点で崩れる運用は、いずれ必ず崩れます。
Q1. 消防団の名簿は、町内会の名簿と同じ扱いでよいですか?
違います。消防団は消防組織法第9条に基づく市町村の消防機関で、団員は非常勤特別職の地方公務員です。団員の名簿は市町村が公務のために持つ情報であり、分団はその写しを預かって使っている立場になります。扱いに迷ったときの相談先は分団の中ではなく、市町村の担当課です。
Q2. 団員の運転免許の情報は、どこまで持つべきですか?
運転できる区分と、平成29年3月12日の改正の前後どちらに取得したかが分かれば足ります。改正後に普通免許を取った人は車両総重量3.5トン未満までしか運転できず、それ以前の人は5トン未満まで運転できるためです。免許証の番号、有効期限、本籍は要りません。写しを保管しているなら見直してください。
Q3. 退団した団員の連絡先を、OB会の案内に使ってよいですか?
活動のために集めた連絡先を、別の目的に流用するのは筋が違います。OB会に入るかどうかは本人の意思です。退団の手続きのときに「退団後もOB会からの連絡を受け取りますか」と確認し、承諾を得た人だけをOB会の名簿に移してください。あわせて連絡のグループからも外す手続きを組み込みます。
Q4. 名簿を紛失したら、まず何をすればよいですか?
気づいた時点で、分団長と市町村の担当課に連絡してください。翌日に回さないことが重要です。何が、いつ、どこで、何人分、どういう状態で失われたかを伝えます。分団の判断で当事者へ謝罪したり公表したりすると、市町村としての対応と食い違います。この連絡先と手順を平時に紙1枚で作り、詰所に置いておいてください。
