消防団の入団の受け付けは、他の地域団体の入会と決定的に違う点が1つあります。分団が「入ってください」と言っただけでは入団にならず、市町村が団員として任命する手続きを経て初めて成立することです。この構造を分団の側が理解していないと、声をかけてから実際に活動が始まるまでのあいだに相手の気持ちが冷め、せっかくの入団希望者を取りこぼします。ここでは、受け付けの窓口の作り方から、最初に渡すもの、聞いておくべきこと、そして最初の3か月をどう組むかまでを具体的に決めていきます。
入団は分団の判断だけでは完結しない
まず押さえておくべきは、消防団が市町村の消防機関であり、団員がその市町村に任命される立場だという点です。
消防団は、消防組織法に基づき、全国の各市町村に設置されている組織です。その構成員である消防団員は、他に本業を持ちながら、権限と責任を有する非常勤特別職の地方公務員として、消防防災活動を行っています。 出典: fdma.go.jp
任命される立場である以上、入団の可否や資格は市町村の条例で定められています。分団長が「うちで引き受ける」と言っても、条例上の要件を満たしていなければ団員にはなれませんし、逆に要件を満たしていれば分団の裁量で断ることも簡単ではありません。年齢の下限は18歳以上とされているのが一般的で、居住のほか勤務先や通学先がその地域にあることで入団できる市町村も多くあります。上限の有無や、居住要件の細かい線引きは市町村ごとに違うため、分団として説明する前に自分の市町村の条例を確認しておく必要があります。
この構造から導かれる実務上の要点は2つです。1つは、分団が入団希望者に伝えるべき情報の中に、市町村の手続きが含まれるということ。もう1つは、声をかけてから任命まで数週間から数か月の空白が生じ得るということです。この空白を放置すると、相手は「話が進んでいないのでは」と感じます。
受け付けの入口を、分団長個人の携帯にしない
入団の相談を受ける窓口が分団長の個人の携帯番号だけ、という状態は多くの分団で見られます。これには2つの弱点があります。分団長が交代すると窓口が消えることと、相談する側にとって個人の携帯に電話をかけるハードルが高いことです。
とくに後者は影響が大きく、興味を持った段階の人が最初にやりたいのは「話を聞く」ことであって、「電話をかけて名乗る」ことではありません。電話しかない状態だと、迷っている段階の人は連絡してきません。書き込んで送れる入口が1つあるだけで、相談の総数は変わります。
入口を作るときに揃えておきたいのは、名前、連絡先、居住地か勤務地、そして「聞きたいこと」の自由記述の4つです。この段階で職業や生年月日まで聞くと、正式な申込みだと受け取られて構えられます。最初の入口は相談の受け皿であって、申込書ではありません。
もう1つ、受け付けの入口には返答の期限を書いておきます。「3日以内に折り返します」と書いてあれば、送った側は待てます。書いていないと、返事が来るまでのあいだに気持ちが冷めます。分団側も、期限を書いておくことで誰かが必ず対応する体制を意識できます。
初回の面談で伝えるべき5つのこと
相談を受けたあと、実際に会って話す場では、伝える内容を決めておきます。分団によって話す内容がばらつくと、入団後に「聞いていない」が発生します。伝えるべきは5つです。
・活動の頻度と時間帯。月に何回、どの曜日のどの時間帯に集まるのか ・報酬の仕組み。年額報酬と出動報酬があること、金額は市町村の条例で決まっていること ・補償の仕組み。活動中の負傷が公務災害として補償されること ・貸与されるもの。被服など活動に必要なものは貸与されること ・断る自由があること。話を聞いたからといって入団を決める必要はないこと
最後の1つを明示するかどうかで、相手の警戒心が変わります。地域の団体の勧誘は断りにくいと感じられがちで、その警戒があると質問が出てきません。質問が出ない面談は、入団後の齟齬の温床になります。
報酬について説明するときは、具体的な数字を示せる状態にしておきます。国が示している標準額は、団員階級の年額報酬が36,500円、災害時の出動報酬が1日あたり8,000円です。ただし実際の額は市町村の条例で決まるため、自分の市町村の額を確認したうえで伝えます。標準額と自分の市町村の額が違う場合、その違いを説明できないと不信につながります。
活動の頻度は、多めに伝える
入団の説明で最も後悔が起きやすいのが、活動の頻度を実際より少なく伝えてしまう場面です。人手が欲しい局面では、負担が軽く見えるように話したくなります。しかしここで少なめに伝えると、入団後の実態との差が不満になり、1年以内の退団につながります。
伝えるときは、定例の訓練だけでなく、季節ごとに増える分も含めて話します。操法大会の前は練習が週に何回か入る、年末は夜警がある、出初式の前は準備がある、といった山の部分を先に示します。年間を通してならすと月に2回でも、練習期間だけは週に3回になる分団は珍しくありません。この山を隠さずに伝えたほうが、結果として定着します。
あわせて、出られないときにどうするかも伝えます。仕事や家庭の事情で参加できない回があるのは前提であり、その都度連絡すれば済むこと、無断で来ないことだけが避けたい、という線を最初に引いておきます。この線が引かれていないと、1回休んだことに引け目を感じてそのまま来なくなる、という辞め方をする人が出ます。
機能別団員や、大規模災害のときだけ出動する区分を市町村が設けている場合は、その選択肢も示します。フルタイムの活動は難しいが何らかの形で関わりたい、という層が確実にいます。区分の存在を知らせないまま「毎週は無理です」と断られるのは、双方にとって損です。
申込みの段階で聞くこと、聞かないこと
正式な申込みの段階では、市町村が定める様式に沿って情報を集めることになります。ここで分団が独自に項目を足すと、必要性を説明できない情報を預かることになります。
市町村の様式に含まれることが多いのは、氏名、生年月日、住所、連絡先、職業、勤務先、緊急連絡先です。生年月日は年齢要件の確認と、報酬や補償の事務に必要です。勤務先は、平日昼間の参集可能性の把握と、勤務先の理解を得る手続きに関わります。緊急連絡先は、活動中に本人と連絡が取れなくなった場合に使います。
分団が独自に聞きたくなるのは、運転免許の種類、資格の有無、健康上の留意点あたりです。運転免許は積載車を運転できるかに直結するので、聞く理由が明確です。健康上の留意点は、活動中の安全に関わるため聞く意味がありますが、これは慎重に扱うべき情報です。何のために聞き、誰が見るのかを明示したうえで、答えたくなければ空欄でよいとする扱いが無難です。
聞かないほうがよいのは、家族構成の詳細、収入、思想信条に関わる事柄です。これらは活動の運営に必要ではなく、預かること自体が負担になります。集めた情報の管理については個人情報保護委員会が基本的な考え方を示しており、市町村の定めと併せて分団内で確認しておくと、判断に迷いません。
最初に渡すものを、6点に固定する
入団が決まったあと、最初に渡すものを固定しておくと、渡し忘れが消えます。実際に必要なのは次の6点です。
・貸与される被服一式。活動服、ヘルメット、長靴などで、サイズの確認が要ります ・年間の予定表。次の1年で確定している行事の日付が入ったもの ・分団の連絡網への案内。どこで連絡を受け取るのか ・詰所と機庫の場所、鍵の扱いについての説明 ・報酬の支給に関する案内。振込先の届け出が必要な場合はその用紙 ・活動中の負傷や事故が起きたときに、誰にどう連絡するかを書いた1枚
このうち忘れられやすいのが最後の1枚です。入団直後の団員が現場で怪我をしたとき、誰に連絡すればよいか分からないという状況は実際に起こります。分団長の連絡先と、公務災害として扱われるものであること、まず現場の指揮者に伝えることの3点を書いた紙が1枚あるだけで違います。
被服のサイズは、入団が決まってから確認すると渡すまでに時間がかかります。相談の段階でおおよそのサイズを聞いておくと、任命の手続きと並行して用意でき、初回の活動から装備がそろった状態で参加できます。装備がないまま数回参加させると、本人は見学者のような立場に置かれ、居心地の悪さから離れていきます。
報酬の振込先は、本人の口座で受け取れるかを確認する
報酬の扱いは、入団時に説明しておくべき事項のなかで、後からもめやすい部分です。年額報酬や出動報酬は団員本人に支給されるものとして制度が組まれていますが、実際の運用では分団の口座にまとめて入り、そこから活動費に充てられている地域もありました。近年は本人への直接支給が進められており、市町村によって運用が異なります。
分団としては、自分の市町村がどちらの運用かを正確に説明できる状態にしておきます。本人の口座に入るのであれば、口座の届け出が必要になるので、入団の手続きと一緒に済ませます。分団の運営費を別途集める仕組みがあるなら、それは報酬とは別のものとして、金額と使い道を先に説明します。この2つを混ぜて説明すると、入団者は自分の報酬がどこへ行ったのか分からなくなります。
税の扱いについても、聞かれたときに答えられる程度には把握しておきます。年額報酬は年5万円までの部分が費用弁償として非課税とされ、災害出動の報酬は1日8,000円まで、災害以外の出動は1日4,000円までが非課税とされています。出動に伴う交通費の費用弁償は非課税です。細かい判断は各人の状況によるため、分団が断定するのではなく、市町村の担当か税務の窓口に確認するよう案内するのが適切です。
勤務先への説明を、本人任せにしない
被雇用者の団員が多数を占める現在、入団の可否を実際に左右するのは勤務先の理解です。本人が入りたいと思っても、勤務時間中の出動や、平日の訓練への参加を職場が認めなければ続きません。ここを本人1人に交渉させると、言い出しにくさから話が止まります。
分団の側でできるのは、説明の材料を用意しておくことです。年間の活動予定、出動がかかる頻度の目安、勤務時間中に呼ばれる可能性の有無を、1枚にまとめた紙があれば、本人はそれを持って上司に相談できます。口頭で「消防団に入りたい」と伝えるのと、活動の実態が書かれた紙を出すのとでは、職場側の受け止めが変わります。
市町村によっては、消防団員を雇用する事業所を認定して表示できるようにする制度が運用されています。認定を受けている事業所であれば、勤務中の出動についての理解が最初からある可能性が高くなります。入団希望者の勤務先が認定を受けているかどうかを分団が把握していれば、説明の仕方を変えられます。
学生の場合は、勤務先ではなく学業との両立が論点になります。市町村によっては、学生の消防団活動を認証する制度があり、就職活動で自己PRとして使えるものが用意されています。こうした制度の有無を説明できると、学生にとっての参加の意味が具体的になります。
女性団員を迎えるときに、先に整えておくこと
女性を団員として任命している消防団は全国で約8割に達しており、女性団員数は増加が続いています。ただし、受け入れの体制が整っていない分団に女性が入ると、本人が居づらさを感じて短期間で辞めることになります。
先に整えておくべきは、設備の面です。詰所に更衣できる場所があるか、トイレが使えるか、といった点は、入ってから気づいても急には直せません。専用の設備が用意できない場合でも、着替えの時間帯をずらす、近隣の施設を使うといった運用で対応できます。何も決めていない状態が最も困ります。
被服のサイズも確認しておく点です。標準の貸与品が男性の体格を前提に用意されている分団では、合うサイズが手元にないことがあります。任命の手続きと並行して市町村に照会し、初回の活動までに間に合わせます。
活動の内容についても、選択肢を示せるようにしておきます。消火活動だけでなく、防火指導、応急手当の講習、広報、幼稚園などでの防火教育といった平常時の活動が幅広くあり、そこで力を発揮している女性団員が多くいます。入団の説明の段階でこの幅を示せると、参加の形が具体的に想像できます。
任命までの空白期間を埋める
入団の意思を確認してから市町村の任命が下りるまで、数週間かかることがあります。この期間に何も連絡がないと、相手は宙ぶらりんの状態に置かれます。
埋め方は簡単で、手続きの現在地を伝えることです。「書類を市に提出しました」「今月の辞令交付に間に合う見込みです」という短い連絡が1回か2回入るだけで、待っている側の不安は消えます。連絡の内容そのものより、忘れられていないと分かることに意味があります。
この期間に、活動の見学に誘っておく方法もあります。任命前なので正規の活動には加われませんが、訓練の見学や、詰所での顔合わせであれば可能です。実際に人に会っておくと、初回の活動での緊張が減り、続けやすくなります。ただし、任命前の人を危険を伴う作業に加わらせることは避けます。補償の対象になるかどうかが曖昧な状態で怪我をすると、双方にとって重い問題になります。
見学に誘うタイミングは、その分団の雰囲気が一番よく出る回を選びます。厳しい訓練の回だけを見せると尻込みされますし、緩い回だけを見せると入団後に驚かれます。通常の定例訓練が最も実態に近く、判断材料としても適切です。
最初の3か月で、続くかどうかが決まる
入団後に辞める人の多くは、最初の数か月で辞めます。理由の大半は、活動そのものの厳しさではなく、居場所が見つからないことです。誰と話せばよいか分からず、何をすればよいか指示されず、立っているだけの回が続くと、来なくなります。
対策として効くのは、指導役を1人決めることです。分団全体で面倒を見るという形にすると、結果として誰も見ません。名前で1人決め、その人が最初の3か月は隣に付く、という形にします。指導役は階級が近い団員のほうがよく、分団長が直接付くと新入団員は質問しづらくなります。
もう1つは、最初の数回で必ず役割を渡すことです。ホースの搬送でも、記録を取ることでも、何かを担当している状態を作ります。役割があると、次回に来る理由ができます。
3か月が過ぎたら、一度だけ話を聞く場を作ります。負担が想定と違わないか、続けられそうか、を短く確かめます。ここで無理があると分かれば、機能別の区分に移るなどの選択肢を提示できます。何も聞かずに放置すると、次に聞くのは退団の申し出になります。
声をかける相手を、どこから見つけるか
入団の受け付けの手順が整っていても、そもそも相談が来なければ人は増えません。従来は、地縁のつながりで先輩団員が声をかける形が中心でした。この方法は確実ですが、声をかけられる範囲が団員の知人に限られるため、団員が減るほど声をかけられる相手も減る、という縮小の循環に入ります。
範囲を広げるための入口は3つあります。1つは、市町村の窓口から回ってくる相談です。転入の手続きや、市の広報を見て問い合わせた人が、居住地の分団に回されます。この経路で来た人は地縁がないため、迎える側の説明が丁寧である必要があります。
2つ目は、地域の行事で接点を作る経路です。防火指導や応急手当の講習、地域の祭礼での警戒活動は、団員以外の住民が消防団の活動を実際に見る数少ない機会です。この場で活動の様子を見て興味を持つ人がいます。行事のたびに、問い合わせ先を書いた紙を用意しておくだけで、その場の関心を後の相談につなげられます。
3つ目は、消防団のOBや、その家族です。かつて団員だった人が、機能別の区分で戻ってくる例があります。経験があるため教育の負担が小さく、大規模災害時の戦力として計算できます。退団した人との連絡が切れていると、この経路は使えません。退団時に連絡先を残してもらい、年に1回程度の案内が届く状態を保っておくと、数年後に効いてきます。
入団直後の連絡先の登録を、その場で済ませる
入団の手続きが終わったあと、連絡網への登録が後回しになって、しばらく連絡が届かない団員が生まれることがあります。次の訓練の案内が届かず、本人は入ったつもりでいるのに呼ばれない、という状態になります。
これを防ぐ最も確実な方法は、被服を渡す場で連絡網への登録まで一緒に済ませることです。本人が目の前にいるうちに、実際に連絡が受け取れる状態になっているかを確認します。番号やIDを紙に書いてもらって後から誰かが入力する形にすると、入力する人の作業待ちが発生し、そのあいだに次の連絡が飛びます。
登録の際には、通知が届く設定になっているかも一緒に確かめます。導入の場面で最も多いつまずきは、登録は済んでいるのに通知が来ない、という状態です。目の前で試しに1通送ってみて、手元で鳴ることを確かめれば、それ以降の取りこぼしが消えます。
あわせて、その場で年間の予定表と過去の連絡が見られることを示しておきます。入ったばかりの人にとって、これまでの流れが見えるかどうかは大きな違いです。過去の連絡が見えない形式だと、入った時点より前の情報は誰かに聞くしかなく、聞くこと自体をためらいます。
入団の記録を、年ごとに数えて残す
入団の受け付けを改善したかどうかは、数えていなければ分かりません。年ごとに、相談が何件あり、そのうち何人が入団し、1年後に何人が残っているかを記録しておきます。
3つの数字のうち、最も見落とされるのが1年後の在籍です。入団者数だけを追うと、入れては辞めるを繰り返している状態が見えません。5人入って4人が1年以内に辞めている分団と、2人入って2人とも残っている分団では、打つべき手がまったく違います。
数字は、相談の入口ごとに分けておくとさらに使えます。市町村の窓口から来た人、団員の紹介で来た人、行事で接点ができた人のどれが定着しているかが分かれば、次にどこへ力を入れるかが決まります。
退団の受け付けも、同じときに整える
入団の手順を整えるとき、退団の手順も一緒に決めておくのが実務的です。辞め方が分からないと、辞めたい人は連絡を絶つ形で辞めます。連絡を絶たれると、名簿上は在籍しているのに実際は活動していない団員が積み上がり、災害時の参集見込みが読めなくなります。
退団の申し出をどこに出せばよいか、どのくらい前に伝えればよいか、貸与された被服はどう返すかの3点を、入団時の説明に1行ずつ入れておきます。この3行があるだけで、辞めるときに正面から言えるようになります。
退団の際には、勤務年数に応じて退職報償金が支給される仕組みがあります。一定期間以上勤務した団員が対象で、階級と勤務年数に応じて条例で定められています。この存在を知らないまま連絡を絶って辞めると、本人が受け取れるはずのものを受け取れません。入団時と退団時の両方で伝えておく価値があります。
入団者が増えた年に、教える側が足りなくなる
入団の受け付けを整えて相談が増えると、次に詰まるのは教える側です。同時期に3人が入ると、指導役も3人必要になります。分団の規模が小さいほど、この人手が確保できません。
回避の仕方は2つあります。1つは、入団の受け入れ時期をある程度そろえることです。年度の切り替わりに合わせて迎えると、基礎的な説明を1回でまとめて行えます。装備の手配や、市町村の辞令交付の日程とも合いやすくなります。ただし、入りたいと言ってきた人を半年待たせるのは論外なので、随時受け付けたうえで、共通の説明だけを定期的に行う形にします。
2つ目は、教える内容を人に依存させないことです。分団ごとの独自の手順や、資機材の扱い、詰所の決まりごとは、口伝えで受け継がれていることが多く、教える人によって内容が変わります。写真つきの手順が1か所に置かれていれば、新入団員は自分で確認でき、指導役は補足だけで済みます。
置き場所を作る作業は、実際には過去の教育資料や訓練の写真を集めるところから始まります。分散して各自の端末にある状態から、1か所に集めるだけで、教える負担はかなり軽くなります。
相談から見えている、消防団の入団まわりの詰まりどころ
集まりの連絡や名簿をひとつにまとめる道具について相談を受けるなかで、消防団の入団まわりからは特徴のある話が出てきます。
最も多いのは、名簿が複数あるという形です。市町村に提出した正式な名簿、分団長が持っている連絡用の一覧、班長が持っている班の名簿、後援会が持っている名簿が別々に存在し、入団と退団のたびにすべてを直さなければなりません。どこか1つの更新が漏れると、連絡が届かない団員が生まれます。名簿を1つにして、そこから連絡も予定も出るようにすると、更新の作業が1回で済みます。
次に多いのが、入団時に渡した情報が本人の手元から消える形です。年間予定表や連絡先の一覧を紙で渡しても、数か月後には見当たらなくなります。必要な情報が常に同じ場所にあり、いつでも見に行けるようにしておくと、同じ説明を何度もする手間が減ります。
3つ目は、連絡網に誰を入れるかという線引きです。団員だけの連絡網に、後援会の関係者や、団員の家族、OBが混ざっている分団があります。活動に関する情報のなかには、外に出したくないものも含まれます。メンバー以外は見られない状態が保たれているかどうかは、この線引きを実際に運用できるかに直結します。誰でも入れる形式と、招いた人だけが入る形式の違いはFacebookグループとの比較で公開範囲の観点から整理されており、入団者を迎えるときの受け入れ先を考える材料になります。
4つ目は、新しく入る人が若い層である場合の手段の合わせ方です。電話と紙で回している分団に20代が入ってくると、その人だけが情報から取り残されます。逆に、既存の団員が使い慣れていない手段に一気に移すと、年配の団員が抜けます。移行のときにどちらも切り捨てない進め方については、他の団体が同じ問題をどう扱ったかがPTAでの使われかたに整理されており、年齢層が広い団体での進め方として参考になります。
最後に、入団の受け付けそのものを外向きに開いておくかどうかがあります。分団の中だけで完結する連絡の場と、これから入る人が触れられる入口は、性質が違います。前者を閉じたまま、後者だけを開いておく形が作れるかどうかで、声をかけられる範囲が変わります。手段を選ぶ際の細かい疑問はよくある質問にまとまっているので、分団内で検討する際の下敷きとして使えます。入団の受け付けは、人手を確保するための入口であると同時に、その人が数年続けられるかを決める最初の設計でもあります。
Q1. 消防団の入団は、分団の判断だけで決められますか?
決められません。消防団は市町村の消防機関で、団員は市町村に任命される非常勤特別職の地方公務員です。入団の資格は市町村の条例で定められており、年齢は18歳以上とされているのが一般的です。分団は受け付けと案内を担い、成立は市町村の任命によります。
Q2. 入団が決まった人に、最初に何を渡せばよいですか?
被服一式、年間の予定表、連絡網への案内、詰所と機庫の場所と鍵の扱い、報酬の振込に関する案内、そして怪我や事故のときに誰へどう連絡するかを書いた1枚の6点です。最後の1枚が抜けやすく、入団直後の負傷時に連絡先が分からない事態を招きます。
Q3. 活動の頻度は、どのくらい正直に伝えるべきですか?
山の部分まで含めて伝えます。年間ならせば月2回でも、操法大会の前は週3回、年末は夜警、出初式の前は準備が入ります。少なめに伝えると入団後の実態との差が不満になり、1年以内の退団につながります。出られない回は連絡すれば済むことも同時に伝えます。
Q4. 報酬はどのくらいで、どこに振り込まれますか?
国が示す標準額は団員階級の年額報酬が36,500円、災害時の出動報酬が1日8,000円ですが、実際の額は市町村の条例で決まります。本人の口座への直接支給が進められており、運用は市町村ごとに異なるため、入団時に自分の市町村の扱いを確認して説明します。
