団体ごとの決め方

消防団の緊急連絡をどう回すか|夜間と休日に届かせる組み方

2026年9月20日 ・ Tsudoo編集部

消防団の緊急連絡がうまくいかないとき、たいてい問題は「知らせが届かないこと」ではなく「誰が来るのか分からないこと」にあります。指令自体は市町村から届いているのに、詰所に何人集まるのか、車を動かせる人がいるのかが、集まってみるまで分からない。この記事では、消防団の緊急時の連絡を、市町村から来る指令と分団が回す参集の把握の二層に分けたうえで、参集の返事の取り方、車両を出せるかどうかの確認、出動の記録が報酬と補償につながること、誤報や引き上げの伝え方を順に書きます。分団が作るべきなのは指令の伝達網ではありません。参集の見通しを立てる仕組みです。

消防団の緊急連絡は、二層でできている

まず用語を整理します。ひとつのものとして語られがちですが、性質の違う2つの層があります。

第1層は、市町村から団員への指令です。火災や災害の発生を知らせ、出動を求めるもの。サイレン、防災行政無線、消防団向けの一斉メール、専用のアプリ、地域によっては半鐘。これは市町村や消防本部が用意していて、分団が勝手に変えられるものではありません。

第2層は、分団の中の連絡です。指令を受けた団員が、行けるのか行けないのか、いつ着くのかを互いに知らせ、詰所に何人揃うのかを把握する。ここは分団の仕事です。

多くの分団が困っているのは第2層です。第1層は市町村が整えているので、少なくとも知らせは届いています。届いた後に、誰が動いているのかが見えないから、詰所で待つことになります。

分団の担当が改善に取り組むとき、この区別をつけずに「連絡網を作り直そう」と考えると、第1層をなぞった別の伝達網を作ってしまいます。同じ知らせが2つの経路から届くだけで、参集の見通しは相変わらず立ちません。手を入れるべきは第2層です。

詰所に何人来るかが分からない、という状態が生む損失

参集の見通しが立たないと、具体的に何が起きるかを書いておきます。

まず、待ちが発生します。2人で行けるものではないので、人が揃うまで待ちます。何人来るのか分からないので、いつまで待てばよいのかも分かりません。結果として、判断が遅れます。

次に、無駄足が出ます。すでに十分な人数が集まっているのに、後から到着した団員がそれを知らずに駆けつける。これは本人の時間を奪うだけでなく、夜間の運転という危険を増やします。

そして、隣の分団への応援の判断が遅れます。自分の分団で人が足りないと分かったのが集合してからでは、応援を頼むのがさらに遅れます。

参集の可否を先に集められれば、この3つはかなり解消します。人数の見通しが早い段階で立てば、足りないと分かった時点で次の手が打てます。逆に十分だと分かれば、遠方にいる団員に「今回は不要」と伝えられます。

頭数より先に確かめるべきは、車を出せるかどうか

参集の把握で最初に見るべきなのは、人数ではありません。ポンプ自動車を動かせる団員が来るかどうかです。

道路交通法の一部を改正する法律が平成29年3月12日に施行され、準中型自動車免許が創設されました。これに伴い、同日以降に普通自動車免許を取得した人が運転できるのは車両総重量3.5トン未満に限られます。同日より前に普通免許を取得した人は、引き続き車両総重量5トン未満まで運転できます。

つまり、若い団員ほど、分団のポンプ自動車を運転できない可能性が高いということです。10人集まっても、その全員が改正後に免許を取っていれば、車が出せません。

分団としてやるべきことは2つです。

ひとつは、誰がどの車両を運転できるかを、あらかじめ全員が分かる形にしておくことです。名簿の片隅に書いてあるだけでは、夜中に確認できません。参集の連絡の中で、運転できる団員が来るかどうかが一目で分かるようにしておきます。

もうひとつは、運転できる団員を増やすことです。市町村では準中型免許の取得費用に対する公費助成の制度が設けられており、市町村が助成を行った場合には助成額の2分の1に対して特別交付税の措置が講じられます。また、警察庁は令和8年4月から、車両総重量3.5トン以上7.5トン未満の車両についてAT車に限る条件を付したAT準中型免許などを導入する方針で、これにより技能教習の時間が短くなる見込みです。免許を取ってもらう働きかけは、緊急連絡の改善の一部です。

車両を軽量なものに更新するという選択肢もあります。改正後の普通免許でも車両総重量3.5トン未満なら運転できるため、更新の機会に軽量の車両を検討するよう、消防庁から地方公共団体に呼びかけが行われています。

参集の返事は、2択ではなく3択にする

参集の可否を集めるとき、「行く」「行かない」の2択にしている分団があります。これでは足りません。

現実には、次の3つに分かれます。

・いますぐ出られる。数分で詰所に着く ・出られるが時間がかかる。勤務先から戻る、家族の対応をしてから、など ・今回は出られない

3つめは正直に返せる空気があるかどうかが分かれ目です。返しにくいと、団員は何も返しません。すると、来ないのか、遅れているのかが分かりません。分団としては、これがいちばん困ります。

「行けない」を返しやすくする工夫は2つあります。理由を書かせないこと。そして、行けないと返したことが他の団員に見えるかどうかを、あらかじめ決めておくことです。全員に見える形だと返しにくいので、幹部だけが見える形にする、という選び方もあります。

2つめの「時間がかかる」には、おおよその到着時刻を添えてもらいます。15分後なのか40分後なのかで、待つかどうかの判断が変わります。

そして、返事を求める時間を短くしてください。緊急の場面では、返事に時間をかけられません。指を1回動かせば返せる形になっていることが条件です。文章を打たせる形にすると、運転中や支度中の団員は返せません。

昼と夜で、動ける団員の顔ぶれが入れ替わる

消防団員に占める被雇用者の割合は、消防庁の資料によれば令和5年に72.8%に達しています。昭和43年には26.5%でした。

団員の職業構成は、かつては自営業者などが中心を占めていましたが、被雇用者である団員の割合が増加しており、昭和43年の26.5%が、令和5年には72.8%に達しています。 出典: 消防庁

この数字は、緊急連絡の設計に直接影響します。平日の昼と、夜間や休日とでは、動ける団員がまるで違うということだからです。

分団としてやっておくべきことは、時間帯ごとの参集可能な人数を、平時に把握しておくことです。

・平日の日中に管内にいる団員は何人か ・平日の夜に出られる団員は何人か ・休日の日中に出られる団員は何人か ・そのうち、車両を運転できるのは何人か

これを一度数えると、どの時間帯が薄いかが見えます。多くの分団で、平日の日中がいちばん薄くなります。薄いと分かっていれば、その時間帯は最初から隣接する分団と一緒に動く前提で組む、という手が打てます。当日に足りないと気づくのとは、対応の速さがまったく違います。

団員の勤務先に理解を求める仕組みもあります。消防団協力事業所表示制度は令和7年4月1日現在で1,385団体の市町村が導入しており、認定された事業所は18,007事業所にのぼります。平日の昼に人が出せるかどうかは、団員の意思ではなく勤務先の判断に握られています。ここに働きかけるのは市町村や消防本部の仕事ですが、どの事業所に団員がいるかを分団が把握していないと、働きかけの相手が決まりません。

現場に着いてからの連絡と、そこまでの連絡を分ける

出動の連絡というと、詰所に集まるまでの話だと思われがちですが、現場に着いてからの情報のやり取りも同じくらい重要です。

現場では無線が主になります。手が塞がっている、騒音がある、雨に濡れる。携帯電話で長いやり取りをする場面ではありません。

一方で、無線では伝えにくいものもあります。位置の情報、現場の写真、消火栓や防火水槽の場所。消防庁がまとめた団員確保のマニュアルには、消防団の活動に使うアプリを導入した鳥取県日野町の例が載っています。

効果として、報酬計算もアプリ上で自動的に計算されるようになり、事務局の負担が軽減されたことに加え、出動時の幹部同士、団員同士のコミュニケーションが迅速になることや、写真と位置情報を共有できることで、細かな報告がなくても状況を把握できるようになった。 出典: 消防庁

分団として決めておくべきなのは、どの情報をどちらで扱うかです。

・指揮の伝達、危険の警告、応援の要請。無線 ・位置の共有、現場の写真、後から見返す必要のある情報。文字と画像の残る手段 ・参集の可否、到着の見込み。文字の残る手段

これを混ぜると、無線が私語で埋まったり、逆に重要な指示が携帯の通知の中で流れたりします。平時に決めて、訓練で1度やってみてください。

出動の記録が、報酬と補償に直結する

消防団の緊急連絡が他の団体と決定的に違うのは、誰がいつ出動したかの記録が、お金と補償に直結することです。

総務省消防庁が定めた基準では、団員階級の年額報酬の標準額は36,500円、災害に関する出動報酬の標準額は1日あたり8,000円とされています。課税の扱いについては、災害出動は1日8,000円まで、災害以外の出動は1日4,000円までの部分が費用弁償として非課税とされ、これを超える部分は課税されます。報酬は団員個人に対して直接支給されます。

つまり、出動した事実が記録されていなければ、その団員は報酬を受け取れません。記録は分団の事務ではなく、団員個人の収入に関わる話です。

もうひとつ、公務災害の補償があります。消防団活動中に負傷した場合は公務災害として補償されます。療養補償、休業補償、傷病補償年金、障害補償、介護補償、遺族補償、葬祭補償の制度があります。ここでも、いつ、どの活動で、誰が出動していたかの記録が前提になります。

だから、参集の連絡と出動の記録を切り離さないでください。切り離すと、現場が終わった後に、誰が来ていたかを思い出しながら書く作業が発生します。深夜に3時間活動した後の記憶で書かれた記録は、必ずどこかが抜けます。

参集の可否を返してもらう仕組みが、そのまま出動した人の一覧になる形が理想です。少なくとも、後から日時つきで見返せる場所に残る形にしてください。役職者の記憶と手帳に依存する運用は、担当が代わった時点で崩れます。

誤報と中止の連絡は、出動の連絡と同じ強さで出す

出動の指令が出た後、現場に着く前に、火災でなかったと分かる場面があります。自動火災報知設備の誤作動、野焼きの誤認、すでに鎮火していた、など。

このとき、引き返す連絡が出動の連絡より弱いと、知らない団員が現場や詰所へ向かい続けます。夜間の運転を増やし、勤務先を抜けてきた団員の時間を無駄にします。

決めておくことは3つです。

誰が出すか。出動を指示した人と同じ人が出す、と決めておくのがいちばん間違いがありません。

どこに出すか。出動の連絡と同じ場所です。別の場所に出すと、届かない人が出ます。

何を書くか。中止であること、理由の要約、詰所に来てしまった人はどうするか。「本日の出動は中止です。誤報でした。詰所に集まっている方は解散してください」の3行で足ります。

同じことが、訓練や行事の中止にも言えます。雨天中止の判断を、出動と同じ経路で同じ強さで出しているかを確かめてください。訓練の中止だけ別の経路になっていると、そこを見ていない団員が現地に行きます。

引き上げの合図を、あいまいにしない

現場での活動が終わった後、いつ解散なのかがはっきりしない、という話もよく聞きます。

残務があるので、車両の片付け、ホースの洗浄と乾燥、資機材の点検、詰所の整理と続きます。このどこまでが全員でやることで、どこからが当番の仕事なのかが決まっていないと、全員が最後まで残ります。深夜の出動で、片付けまで含めて3時間を超えることは珍しくありません。

決めておくことは次のとおりです。

・現場での活動終了と、分団としての解散を、別の合図にする ・片付けのうち、全員でやること、当番でやること、翌日でよいことを分ける ・翌朝に勤務がある団員が先に帰れる仕組みを作る ・解散したことを、来られなかった団員にも伝える

最後の項目は忘れられがちですが、重要です。参集できなかった団員は、その後どうなったかを知りません。翌朝まで気にしています。「本日の出動は◯時に終了しました。負傷者はありません」の一行があるだけで、分団の中の情報の落差が埋まります。

大規模災害のときは、火災のときとは別の組み方になる

火災の出動と、地震や大規模な風水害のときの参集は、同じ仕組みでは回りません。理由は3つあります。

ひとつめは、団員自身が被災していることです。火災のときは、団員は基本的に無事です。地震のときは違います。自宅が壊れている、家族が怪我をしている、道路が塞がって出られない。この状態で参集を求められても動けません。

ふたつめは、指令が来ないことがあることです。市町村の側も被災しています。通信が途絶えれば、指令そのものが届きません。指令を待っていると何も始まらない場面が出てきます。

みっつめは、活動が長期にわたることです。火災は数時間で終わりますが、大規模災害では数日から数週間続きます。交代の仕組みが要ります。

だから、大規模災害については、あらかじめ次のことを決めておきます。

・一定の震度を超えたら、指令を待たずに参集する。その震度をいくつにするか ・参集する前に、自宅と家族の安全を確認してよいこと。これを明文化する ・自分や家族が被災していて出られない場合、その旨を返すこと。返せるうちに返す ・参集する場所。詰所が使えない場合の第2の場所 ・連絡が取れない場合の判断。何時間で次の行動に移るか

2つめは、必ず書いてください。書いていないと、家族を置いて出るべきかどうかで団員が迷います。迷ったまま出て、後で悔いを残す例があります。自分と家族の安全の確保が先であることを、分団として明文化しておくのは、団員を守る仕事です。

そして、これらは平時に紙1枚にして配ってください。地震が起きてから読むものではありません。詰所に貼るだけでは、詰所に行けない人が読めません。

通信が止まったときに、何が残るか

大規模災害では、携帯電話が使えなくなることがあります。基地局が停電する、回線が混み合う、端末の電池が切れる。

このとき何が残るかを、平時に確かめておいてください。

残る可能性が高いもの。

・消防団の無線。電源を確保できていれば使えます ・詰所のサイレン。動力があれば鳴らせます ・徒歩と自転車での連絡。原始的ですが確実です ・あらかじめ決めてある集合の場所と時刻。連絡がなくても人が集まります

最後の項目が実は最も強力です。「震度5強以上で、連絡の有無にかかわらず詰所に集まる」と決まっていれば、通信が止まっていても人は集まります。決まっていないと、連絡を待って動けません。

電池についても決めておいてください。詰所に充電の手段があるか。乾電池式の充電器を備えているか。車両から充電できるか。1日目は動いていた端末が、2日目に全滅する、というのはよくある話です。

そして、平時の連絡の中身のうち、紙にしておくべきものを決めてください。団員の名簿、参集の場所、担当区域の地図、防火水槽と消火栓の位置。画面でしか見られない情報は、電池が切れた時点で消えます。日常の運用は画面で構いませんが、災害時に要るものは紙でも持っておく、という二重化が現実的です。

家族への連絡を、誰がどうするか

出動が長引いたとき、団員の家族は何も知らされないまま待つことになります。これが積み重なると、家族の理解が得られなくなり、離団の理由になります。

決めておくとよいことが3つあります。

ひとつめは、出動が一定の時間を超えたら、家族に連絡が入る形にすることです。団員本人が連絡できればよいのですが、活動中は難しい場面があります。詰所に残っている人から、まとめて連絡を入れる形にするという方法もあります。

ふたつめは、負傷者が出たときの連絡です。誰が、いつ、誰に連絡するか。これは平時に決めておかないと、その場で混乱します。分団で判断して家族に直接連絡するのか、消防本部や市町村を通すのか。地域によって手順が違うので、確認しておいてください。

みっつめは、家族が問い合わせる先を伝えておくことです。家族から見ると、出動した後の情報は何もありません。誰に聞けばよいのかが分かっているだけで、不安の質が変わります。入団のときに、家族向けの連絡先を1つ伝えておいてください。

あわせて、活動中に負傷した場合は公務災害として補償されることも、家族に伝えておく価値があります。補償の仕組みを知らないまま「危険なことをしている」とだけ思っている家族は少なくありません。

平時に使っていない手段は、緊急時に使えない

これは緊急時の連絡について最も守るべき原則で、消防団に限った話ではありませんが、消防団には特に強く当てはまります。

年に数回しか使わない仕組みは、いざというときに使えません。使い方を忘れます。端末が変わって入れ直していない団員がいます。通知を切ったままの団員がいます。

だから、緊急時に使うつもりの手段は、平時の連絡でも使ってください。訓練の案内、当番の連絡、行事の出欠。日常的に触れているからこそ、深夜に鳴ったときに反応できます。

ただし、これは「全部を1つの場所に混ぜろ」という意味ではありません。同じ道具の中で、出動に関わるものとそれ以外を分けて置く、という形が現実的です。道具を分けると使わないほうを忘れますが、置き場所を分けるだけなら忘れません。

置き場所を変えることを考えているなら、いま分団で使っている手段が何を残せて何を残せないのかを先に確かめてください。無料で広く使われている手段との違いはLINEグループとの比較に、閉じた場を作る形の違いはBANDとの比較にまとまっています。

機能別の団員には、呼ぶ場面をあらかじめ限る

能力や事情に応じて特定の活動にだけ参加する機能別団員や機能別分団の制度を取り入れている地域があります。大規模災害のときだけ出る人、火災予防の広報だけを担う人、事務や広報だけに関わる人など、関わり方はさまざまです。

この人たちを、基本となる団員と同じ経路で同じように呼ぶと、両方が困ります。呼ばれた側は自分が対象なのか分からず、呼ぶ側は返事が返ってこない理由が分かりません。

決めておくべきことは3つです。

ひとつめは、どの出動で呼ぶかです。「火災では呼ばない。震度5強以上の地震では呼ぶ」のように、条件で書きます。役割の名前で書くと、境目の場面で判断できません。

ふたつめは、呼ばない場面でも情報が届くかどうかです。呼ばないからといって、何が起きたか知らせないでよいわけではありません。翌日に「昨夜は火災がありました」と分かる形にしておくと、地域の一員として関われます。

みっつめは、返事を求めるかどうかです。呼ばない出動については、返事を求めないと明示してください。求めていないつもりでも、通知が届けば返さなければと感じる人がいます。

呼ぶ相手を場面ごとに分けられる形になっているかどうかは、道具を選ぶときの条件のひとつになります。全員宛てしか出せない仕組みでは、この分け方ができません。

年に1度、招集そのものを試す

火災の訓練は毎年やっているのに、招集の訓練をやっている分団は多くありません。

やることは簡単です。事前の予告なしに、平日の夜に参集の連絡を出し、返事が何分で何人から返ってくるかを数えます。実際に集まる必要はありません。返事だけで十分です。

これをやると、次のことが分かります。

・連絡が届いていない団員が何人いるか。連絡先が古い、通知を切っている ・返事が返るまでの中央値が何分か ・車両を運転できる団員が何人反応したか ・時間帯を変えたら結果がどう変わるか

1度やれば、連絡先の更新が必要な団員が特定できます。これが最大の収穫です。年に1回、名簿を眺めて確認するより、実際に流したほうが確実に分かります。

やる前に、これは訓練であることを最初の一文に書いてください。書かないと本当の出動だと思って駆けつける団員が出ます。「これは連絡の訓練です。出動の必要はありません。到着できるかどうかだけ返してください」と最初に書きます。

結果は団員に返してください。何人に届いて何人から返ってきたか。数字を見せると、連絡先の更新に協力してもらいやすくなります。

置き場所を選ぶときに見る点

参集の連絡をどこに置くかを決めるとき、確かめるべきことは次のとおりです。

ひとつめは、返事が指1本で返せるかどうかです。文章を打たせる形は、緊急時には機能しません。

ふたつめは、誰が返したかが一覧で見えるかどうかです。個別の返事がばらばらに届く形だと、幹部が数える作業が発生します。深夜にその作業をする余裕はありません。

みっつめは、後から日時つきで残るかどうかです。出動の記録は報酬と補償につながります。流れて消える場所では、後から確かめられません。

よっつめは、見られる範囲が閉じていることです。出動の情報には、現場の場所や状況が含まれます。メンバー以外は見られないことは条件になります。

いつつめは、日常の連絡と同じ道具で扱えることです。緊急のときだけ別の道具を出すと、使い方を忘れます。

むっつめは、役職が代わったときに引き継げることです。過去の出動の記録が前任者の端末にしかない状態は避けてください。

団体ごとの使い方は、地域の役員が使う形をまとめた町内会での使われかたや、活動の予定と出欠を扱うサークルでの使われかたが近い場面を扱っています。細かい点はよくある質問にまとまっています。

緊急連絡の質は、届いた数ではなく、見通しの早さで測る

最後に、改善したかどうかをどう判断するかを書きます。

「全員に届いたか」で測ると、たいてい改善したように見えます。一斉に出す仕組みを入れれば、届く数は増えるからです。しかし、それだけでは詰所での待ち時間は変わりません。

測るべきは、指令が出てから、何人来るのかの見通しが立つまでの時間です。

・指令から、最初の返事が返るまで何分か ・指令から、団員の半数が返事をするまで何分か ・車両を運転できる団員の可否が分かるまで何分か

この3つが短くなっていれば、改善しています。長いままなら、届く数が増えても現場は変わりません。

そして、この時間を短くする方法は2つしかありません。返事を返しやすくすることと、平時から同じ場所を使っていることです。新しい仕組みを入れること自体が答えではありません。入れた仕組みを日常で使っているかどうかが、深夜の数分を決めます。

Q1. 分団で連絡網を作り直せば、緊急連絡は改善しますか?

指令そのものは市町村や消防本部が送っているので、同じ知らせを流す別の伝達網を作っても効果は薄いです。分団が作るべきなのは、指令を受けた団員が行けるか行けないかを返し、詰所に何人揃うのかの見通しを立てる仕組みです。手を入れる場所を間違えると、労力の割に待ち時間が変わりません。

Q2. 参集の返事は、行く行かないの2択で足りますか?

足りません。すぐ出られる、時間はかかるが出られる、今回は出られない、の3択にしてください。2つめには到着の見込み時刻を添えてもらいます。15分後か40分後かで、待つかどうかの判断が変わります。3つめを返しやすくするために、理由は書かせないでください。

Q3. なぜ人数より先に、車を運転できる人を確かめるのですか?

平成29年3月12日以降に普通免許を取得した人は、車両総重量3.5トン未満までしか運転できません。若い団員ほどポンプ自動車を動かせない可能性があります。10人集まっても全員が改正後の免許なら車が出せないため、頭数だけを数えても出動の可否が判断できないからです。

Q4. 出動の記録は、後からまとめて書いてもよいですか?

避けてください。出動の記録は出動報酬の支給と公務災害の補償に直結し、団員個人の収入と補償に関わります。深夜に数時間活動した後の記憶で書けば、必ずどこかが抜けます。参集の可否を返してもらう仕組みが、そのまま出動した人の一覧として日時つきで残る形にしてください。

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