消防団の安否確認は、町内会や職場のそれとは前提が違います。団員は本業を別に持ちながら、災害が起きた瞬間に自宅や職場から現場へ向かう立場にあり、しかもその活動は市町村の公務として扱われます。つまり「無事かどうか」を聞くだけでは足りず、「いま動けるのか、何分後に詰所へ来られるのか」まで取れて初めて、分団長は次の指示が出せます。ここでは、団員に対する参集確認と、担当区域の住民に対する安否確認を分けたうえで、返事が来ない人をどう扱うかまでを具体的に決めていきます。
消防団の安否確認は、住民向けと団員向けの2本がある
同じ「安否確認」という言葉で呼ばれていても、消防団の中では性質のまったく違う2つが同時に走ります。1つは団員自身の安否と参集可否を確かめるもの、もう1つは担当区域の住民が無事かどうかを見に行って報告するものです。この2つを1つの連絡網で流すと、必ず混線します。地震発生から数十分のあいだ、分団長のところには「団員Aは無事」「B地区の高齢世帯が心配」「機庫のシャッターが開かない」といった性質の異なる情報が同じ形式で流れ込み、どれが指示に直結する情報なのか判別できなくなるからです。
先に決めておくべきは、この2本を別々の入口で受けることです。団員向けは、氏名と階級と所属班が最初から分かっている閉じた集団への確認なので、名簿と突き合わせて未回答者を割り出す方式が使えます。住民向けは、相手が誰から回答するか読めないため、団員が現地で見て報告する方式になります。前者は「全員のうち何人から返事が来たか」で進捗が測れますが、後者は分母が確定しないので進捗を数で測れません。測り方が違うものを同じ表に載せると、集計する側が必ず取り違えます。
規模の小さい分団では、この2本を分団長1人が抱えてしまいがちです。人数の少なさゆえに分けなくても回ると感じるのですが、実際に混乱するのは団員が10人前後の分団でも同じです。むしろ小さい分団ほど、分団長が現場へ出てしまうと集計する人が消えます。誰が団員側の点呼をまとめ、誰が住民側の報告を受けるかを、平時のうちに名前で決めておく必要があります。
「無事か」より先に「何分で来られるか」が要る
災害が起きたあとの数十分で分団長が判断したいのは、団員が生きているかどうかではなく、いま何人を現場に投入できるかです。したがって安否確認の設問は、無事かどうかを問う形ではなく、参集の可否と到着見込みを問う形にしておくほうが実務に合います。「無事です」という返答だけが100件並んでも、そこから人数を組み直す作業がもう一度発生してしまいます。
実際に使いやすいのは、選択肢を4つに絞った形です。すぐ向かえる、30分以内に向かえる、時間はかかるが向かえる、向かえない、の4段階にしておくと、集計した瞬間に投入可能な人数が出ます。ここに自由記述を1行だけ添えられるようにして、向かえない理由や、自宅側で発生している状況を書けるようにします。理由を必須にすると回答が遅れるので、必須にはしません。
この設問設計にはもう1つ利点があります。「向かえない」と正直に答えることが、後ろめたくない選択肢として並ぶことです。安否確認を「無事か」で聞くと、無事だと答えた以上は向かわなければならないという空気が生まれます。団員自身が被災している、家族の介護がある、勤務先が遠方で当日中に戻れない、といった状況は珍しくありません。向かえないという回答が最初から想定内の選択肢として置かれていれば、その報告が早く上がり、分団長は早く人数を読み直せます。
被雇用者が7割を超えた影響が、そのまま参集に出る
消防団の参集が読みにくくなっている理由は、団員の職業構成の変化にあります。かつては自営業者が中心で、日中でも地元にいる人が多数を占めていました。いまはそうではありません。
また、団員の職業構成は、かつては自営業者などが中心を占めていましたが、被雇用者である団員の割合が増加しており、昭和43年の26.5%が、令和5年には72.8%に達しています。 出典: fdma.go.jp
被雇用者が72.8%を占めるということは、平日昼間に招集がかかった場合、団員の多くは勤務先にいるということです。勤務先が同じ市町村内にあるとは限りませんし、電車で1時間以上かかる場所に通っている団員もいます。この構成のもとでは、名簿上の団員数と、平日昼間に実際に参集できる人数は、まったく別の数字になります。
だからこそ、安否確認の様式に「いまどこにいるか」を大まかに入れてもらう欄が効きます。自宅、市内、市外、の3つで十分です。所在まで取れると、分団長は「市内にいる4人で先に機庫を開ける」「市外の3人は帰着後に第2陣として当てる」という組み方ができます。所在を聞かないと、全員から返事が来ているのに誰を先に動かすべきか分からない、という妙な状態になります。
なお、勤務先の理解がどこまで得られているかも参集人数を左右します。消防団員を雇用する事業所を市町村が認定する制度が各地で運用されており、勤務中の出動に理解のある職場かどうかで、平日の参集率は大きく変わります。分団として把握しておくと、招集をかける相手の順番を組み替える材料になります。
一斉送信で取れるのは「届いた」までしかない
連絡手段としてメッセージアプリのグループを使っている分団は多く、これ自体は速さの点で理にかなっています。問題は、そこで取れる情報が「送信した」「既読が付いた」までであって、「参集できる」ではないという点です。既読が付いた人が向かっているとは限らず、既読が付いていない人が向かっていないとも限りません。運転中や作業中で画面を見られないだけ、という場合が最も多いからです。
グループの会話で返信を集める方式には、もう1つ実務上の弱点があります。返信が時系列で流れていくため、集計する人が画面をさかのぼって数えることになる点です。20人規模の分団でも、返信の合間に状況報告や写真が挟まると、誰から返事が来ていないかを目で追うのは急に難しくなります。集計する側は現場にも出たいので、この作業に人を1人張り付けておく余裕はありません。
現実的な落としどころは、回答を集める部分だけを一覧で残る形にすることです。名簿と回答が同じ画面で突き合わされ、未回答者が自動的に残る仕組みであれば、集計そのものが不要になります。既存のメッセージアプリで何ができて何ができないかを整理したLINEグループとの比較では、会話の流れの中に回答が混ざる形式と、回答が一覧として残る形式の違いを、運営側の手間という観点で並べています。判断材料として、いま使っている手段の限界がどこにあるかを確かめておくと決めやすくなります。
返事が来ない団員を3つに分ける
未回答者をひとまとめに「連絡が取れない人」として扱うと、追いかける手間が発散します。実際には性質の違う3種類が混ざっています。
・端末を見られる状況にないだけの人。運転中、勤務中、就寝中がここに入ります。時間をおけば返ってくるので、追いかける優先度は低い ・連絡手段そのものが届いていない人。番号やIDが変わった、端末を替えた、通知を切っている。これは平時の名簿整備の問題であり、災害時に解決できない ・本人が被災している可能性がある人。自宅が被害の大きい地区にあり、かつ普段は反応が速い人が返さない場合が該当します
分けたうえで、追いかける順番は3番目、2番目、1番目の順です。ここを間違えると、返事の早い人にばかり確認の連絡が飛び、本当に確認すべき相手に手が回りません。3番目に該当する団員がいる場合は、電話をかけるだけでなく、近くに住む団員に立ち寄りを頼む判断が要ります。ただしこの立ち寄りは二次被害の危険を伴うため、道路や建物の状況を踏まえて分団長が可否を判断し、複数人で向かわせることを原則にします。
未回答者を追いかけるときの期限も、あらかじめ決めておきます。初回の確認から15分で締めて人数を報告し、その後に返ってきた分は随時足していく運用が現実的です。全員そろうまで報告を待つと、上位への報告そのものが遅れます。
分団・部・班のどこで集計を止めるか
消防団の指揮系統は、団の下に分団、その下に部や班が置かれる形が一般的です。安否確認の集計は、この階層のどこかで一度止めなければ、分団長のところに個票が数十件そのまま届くことになります。
集計を止める場所は、班長です。班長が班員の回答を確認し、参集可能な人数と未回答者の名前だけを分団長へ上げます。分団長が受け取るのは班の数だけの報告になるので、5班あれば5件です。この形にしておくと、分団長は現場へ移動しながらでも把握できます。
ただし、班長自身が返事を返せない状況もあります。そのため、班ごとに副の担当をあらかじめ決めておき、班長から一定時間内に報告が上がらなければ副が代わりに集計する、という順番を明文化しておきます。順番が決まっていないと、班長不在の班だけ報告が丸ごと欠け、分団長はその班の人数を読めないまま判断することになります。
夜間と平日昼間で担当を変えている分団もあります。平日昼間は市内で働いている団員が集計役を持ち、夜間は自宅が詰所に近い団員が持つ、という分け方です。誰がいつ担当かを1枚の表にして、全員が同じものを見られる場所に置いておくと、災害の起きた時間帯によって迷わずに済みます。
招集の段階を分けて、呼ぶ人数を変える
安否確認と招集は別の行為ですが、実務では同じ連絡に乗ることが多く、結果として「連絡が来た=全員集合」と受け取られがちです。全員を一度に呼ぶと、詰所に人が余る一方で、長時間の活動が見込まれる場面で交代要員が枯渇します。
段階を分けておくと、この無駄が減ります。第1段階は安否と所在の確認のみで、参集は求めません。第2段階は特定の班や、詰所から近い団員だけを呼びます。第3段階で全団員を呼びます。連絡文の冒頭に、いまが何段階目かを必ず書きます。書いていないと、受け取った団員が自己判断で動くことになり、結果として全員が同時に出てきます。
段階の設定は、市町村の消防本部や自治体の災害対応計画と整合していなければ意味がありません。分団だけで独自の段階を作ると、上位からの指示と食い違います。年度初めに、市町村側の招集基準を確認し、分団の連絡文の段階名をそれに合わせておきます。
長時間の災害では、交代の組み方が結果を左右します。第1陣に何時間で第2陣と交代するかを最初の連絡で示しておくと、第2陣に当たる団員は自宅で待機し、体力を残したまま出られます。交代の見込みを伝えないと、全員が最初から出てきて、半日で全員が消耗します。
担当区域の住民安否を集めるときの様式
住民側の安否確認は、団員が現地を回って目視した結果を集めるのが基本です。ここで様式を決めておかないと、報告が文章になり、集計する側が読み解く作業を負います。
報告に必要な項目は多くありません。地区名、確認した時刻、確認できた世帯数、確認できなかった世帯、救助が必要な状況の有無、この5つで足ります。文章ではなく、この5項目を埋める形にします。写真を添える場合は、どの地点かが分かるように地区名と組にします。
避けたいのは、団員が個々の住民の氏名や健康状態を、そのまま自由記述で送ってしまうことです。避難行動要支援者の名簿は市町村が管理し、平常時の提供には本人の同意など一定の手続きが要るものです。消防団に提供されている場合でも、その扱いには市町村の定めた条件が付いています。現場から上げる報告は「支援が必要な世帯が1件ある」という事実にとどめ、氏名や状態の詳細は指揮側と名簿の範囲で突き合わせる、という切り分けにしておくほうが安全です。個人情報の取り扱いの基本的な考え方は個人情報保護委員会が示しており、市町村の定めと併せて分団内で確認しておく価値があります。
集めた報告の置き場所も決めておきます。会話の中に流れていく形だと、あとから「あの地区はいつ確認したか」を追えません。地区ごとに1件ずつ、上書きされていく形で残るほうが、確認の抜けを見つけやすくなります。
機庫と車両の状態を、同じ便で確認する
団員の安否確認と同時に確かめておきたいのが、機庫と積載車の状態です。人が集まっても、シャッターが開かない、車両が出せない、ホースが取り出せない、では出動できません。地震のあとは扉の枠が歪んで開かなくなることがあり、これは詰所に着いて初めて分かります。
そこで、最初の確認連絡に「機庫の状況」を答える枠を1つ足しておきます。答えるのは、詰所に最も近い団員1人で十分です。開けられた、開かない、確認できていない、の3択にします。ここが「開かない」で返ってきた場合、参集する団員の集合場所を別の地点に変える判断が、人が集まる前にできます。
車両については、燃料の残量を平時から一定以上に保つ運用にしている分団が多く、これは災害時の確認項目を1つ減らすための知恵です。点検の記録を紙の台帳だけに置いていると、災害時にその台帳を見に行かなければ残量が分かりません。点検結果が誰でも参照できる場所に残っていれば、確認の連絡そのものが不要になります。
公務災害の観点から、記録に残しておくこと
消防団員の活動中の負傷は、公務災害として補償される仕組みが法令に基づいて置かれています。この補償を受ける場面では、いつ招集がかかり、本人がいつ出発し、どの活動に従事していたかが問われます。安否確認と参集の記録は、そのまま公務災害の裏付けになり得る資料です。
消防団員の活動は、しばしば危険な状況のもとで遂行されるため、消防団員が公務により病気や負傷をしたり、亡くなった場合には、消防組織法の規定により、市町村は、政令で定める基準に従って、条例で定めるところにより、消防団員本人又は遺族の方に対し、消防団員が公務上の災害によって被った損害を補償しなければならないとされています。 出典: fdma.go.jp
したがって、招集の連絡を出した時刻と、各団員が参集の意思を返した時刻は、消えない形で残しておく価値があります。会話が流れていく形式だと、数か月後に特定の時刻の記録を取り出すのは難しく、遡って探す作業が発生します。招集と回答が一覧として残っていれば、必要な時刻をその場で示せます。
同じことは、出動報酬の根拠についても言えます。災害時の出動に対して支払われる報酬は、出動した事実の記録に基づきます。誰が何時から何時まで従事したかを、活動が終わってから思い出して書くのではなく、参集の記録と現場での交代の記録から組み立てられるようにしておくと、事務の手戻りが減ります。
家族の安否が先に来る前提で組む
団員が招集に応じるかどうかは、自分の家族の安否が分かっているかどうかに強く左右されます。これは責められるべきことではなく、むしろ前提として運営側が織り込むべき事柄です。家族の無事を確かめられないまま出動した団員は、活動中も気が散り、判断が鈍ります。
現実的な対応は、団員本人への確認連絡の中に「家族の状況が確認できているか」の欄を置くことです。確認済み、未確認、の2択で足ります。未確認の団員が第1陣に入っている場合、分団長は第2陣に回す判断ができます。この1項目があるだけで、無理に出てくる団員を減らせます。
あわせて、家族側に分団の連絡先が伝わっているかも確かめておきます。団員が長時間帰らないとき、家族がどこへ連絡すればよいか分からない、という状況は実際に起きます。分団長の連絡先と、詰所の場所を書いた1枚を、入団時に家族へ渡す運用にしている分団があります。安否確認の仕組みを作るときに、この1枚も一緒に見直しておくと無駄がありません。
通信が使えない前提を1つだけ持っておく
安否確認の仕組みを電子的な手段で組むとき、通信が途絶したらどうするかという問いが必ず出ます。ここで全部を紙に戻す判断をすると、平時の運用が重くなり、結局使われなくなります。
割り切り方は、通常時の手順を1つに決めたうえで、通信が使えないときの代替を1つだけ決めておくことです。代替は「連絡がつかない場合、団員は指定した時刻に詰所へ集まる」という形が最も単純です。時刻をあらかじめ決めておけば、連絡なしでも人は集まります。第1集合は発災から1時間後、以降は2時間おき、といった形です。
代替手段を3つも4つも並べると、どれを使うべきか迷う時間が生まれます。迷う時間は、そのまま参集の遅れになります。手段を増やすより、通信が死んだときの1つの決まりを全員が覚えているほうが、実際には強く働きます。
訓練で測る3つの数字
安否確認の仕組みは、作った時点では機能するかどうか分かりません。年に1回か2回、抜き打ちに近い形で試して、数字を取っておきます。取るべき数字は3つです。
1つ目は、最初の連絡から回答が半数に達するまでの時間です。ここが10分を超えるようであれば、連絡手段そのものを見直す材料になります。2つ目は、24時間経っても回答がなかった人数です。この人数は、名簿の連絡先が古くなっている件数とほぼ一致します。3つ目は、集計を担当した人が集計に費やした時間です。ここが長い場合、集計の仕組みではなく人力に頼っていることになります。
数字は年ごとに並べて残します。連絡手段を変えた年の前後で比べれば、変えた効果がそのまま出ます。数字を残していないと、手段を変えるたびに議論が印象論になり、年配の団員と若い団員のあいだで折り合いが付かなくなります。
訓練の際は、住民側の安否確認も併せて試しておきます。地区を1つ選び、班が回って様式に記入し、分団長まで上がる時間を測ります。実際にやってみると、報告が集まらない原因は連絡手段ではなく、担当する範囲の割り振りが曖昧だったことにある、と分かる場合があります。
平時の名簿整備が、災害時の回答率を決める
災害時に返事が来ない最大の原因は、連絡先が古いことです。団員の入退団は毎年動きますし、機種変更や番号の変更もあります。ここが更新されていなければ、どれほど良い仕組みを入れても届きません。
名簿の更新をいつやるかは、年度替わりに固定するのが確実です。入団と退団が動く時期に合わせて、全団員の連絡先を1度確認します。確認の方法は、本人に更新してもらう形にします。分団長が聞いて回る形にすると、分団長の負担が毎年発生し、いずれ省かれます。
更新の際に、緊急時に連絡が取れる家族の連絡先も1件だけ聞いておく分団があります。これは本人の同意を前提に、使う場面を「本人と長時間連絡が取れない場合に限る」と明示したうえで預かるものです。用途を書かずに集めると、後から目的外の使われ方を疑われます。
名簿を分団長の個人の端末だけに置いている状態も、実は危うい状況です。分団長が被災すれば名簿ごと使えなくなります。メンバー以外は見られない状態を保ちながら、複数の役職者が同じものを参照できる置き方にしておくと、この危険が消えます。
機能別団員と大規模災害団員をどう扱うか
特定の役割や活動に限って参加する機能別団員の制度や、大規模災害に限定して出動する制度を導入している市町村があります。この形の団員が分団に在籍している場合、安否確認の相手を全員一律にすると噛み合いません。日常の火災出動には出ない前提の団員に、火災のたびに参集可否を尋ねる連絡が飛ぶと、答える側は次第に反応しなくなります。反応しなくなった人が名簿に残っていると、本当に呼びたい大規模災害のときに、その人が生きているのか、単に無視しているのかが分からなくなります。
対処は単純で、連絡の宛先を活動区分ごとに分けておくことです。基本団員だけに届く宛先と、全団員に届く宛先を用意し、日常の出動は前者、大規模災害は後者を使います。宛先を分けるだけで、機能別団員の側は「自分に来た連絡は自分に関係がある」と受け取れるようになり、返答率が戻ります。宛先の切り替えを、その場で分団長が選べる形にしておくことが条件です。切り替えに手間がかかると、忙しい局面では結局すべて全員宛てになります。
区分ごとの人数は、年度初めに数えて残しておきます。基本団員が何人、機能別が何人、という内訳が分かっていれば、大規模災害の際に上乗せできる人数を事前に見積もれます。
相談から見えている、消防団の安否確認の詰まりどころ
集まりの連絡をひとつにまとめる道具を検討している団体から寄せられる相談を並べると、消防団の場合に共通して出てくる詰まりどころがいくつかあります。
最も多いのは、連絡は速いのに集計が遅い、という形です。メッセージは1秒で全員に届いているのに、誰が返してきたかを数える工程が人力のまま残っているため、そこで時間が消えます。連絡の速さと集計の速さは別の問題であり、手段を新しくしても集計の設計を変えなければ改善しません。
次に多いのが、役職が代わったときに仕組みごと消える、という形です。分団長が個人の端末で名簿と連絡網を持っていた場合、交代とともに引き継ぎが発生し、引き継ぎに失敗すると元の紙の連絡網に戻ります。町内会や自主防災組織との兼務がある地域では、同じ人が複数の連絡網を抱えており、負担がさらに集中します。地縁の団体で連絡と予定と記録をどう1か所にまとめているかは町内会での使われかたで具体的な画面とともに整理していますので、兼務している場合の見取り図として参考になります。
3つ目は、団員の家族や、消防団に関わりのある外部の人をどこまで入れるかという線引きです。分団の連絡網に部外者が混ざると、活動に関する情報の扱いが難しくなります。逆に閉じすぎると、行事の案内が行き渡りません。公開の範囲を場面ごとに変えられるかどうかは、道具を選ぶ際の実質的な判断軸になります。閉じた集団向けの手段と、誰でも入れる手段の性質の違いはLINEオープンチャットとの比較で整理しており、どちらの性質が消防団の連絡網に必要かを考える材料になります。
4つ目は、写真と記録が散らばることです。訓練や災害対応の写真は、活動報告や広報に使われますが、撮った団員の端末に残ったまま集まらないことが多く、必要になったときに探し回ることになります。連絡と予定と写真が同じ場所にあるかどうかで、年度末の報告書作りにかかる時間が変わります。
最後に、導入前の疑問として繰り返し出てくるのが、年配の団員が新しい手段に付いてこられるかという点です。ここは、新しいIDとパスワードを増やさないこと、そして最初に覚える操作を1つに絞ることで、ほとんどが解決します。導入時によく聞かれる点はよくある質問にまとめられており、分団内で説明する際の下敷きとして使えます。安否確認は、使う頻度が低いのに失敗が許されない仕組みです。だからこそ、普段の連絡で同じ道具を使っていて、災害時に初めて開くものではない、という状態にしておくことが最も効きます。
Q1. 消防団の安否確認では、まず何を聞けばよいですか?
無事かどうかではなく、参集できるかと到着見込みを聞きます。すぐ向かえる、30分以内、時間はかかるが向かえる、向かえない、の4択にしておくと、集計した瞬間に投入可能な人数が出ます。あわせて自宅か市内か市外かの所在を取ると、誰から先に動かすかを判断できます。
Q2. 返事が来ない団員は、どの順番で追いかければよいですか?
端末を見られないだけの人、連絡先が古くて届いていない人、本人が被災している可能性がある人の3つに分け、3番目から追いかけます。被害の大きい地区に住み普段は反応が速い団員が返さない場合が該当します。立ち寄りを頼むときは道路状況を確認し、複数人で向かわせます。
Q3. 住民の安否確認の報告には、何を書かせればよいですか?
地区名、確認時刻、確認できた世帯数、確認できなかった世帯、救助が必要な状況の有無の5項目に絞ります。氏名や健康状態の詳細を自由記述で流すと個人情報の扱いが難しくなるため、詳細は指揮側が名簿の範囲で突き合わせる形に分けておくと安全です。
Q4. 安否確認の記録は、どのくらい残しておくべきですか?
招集の時刻と各団員の回答時刻は、公務災害の補償や出動報酬の根拠を確かめる場面で使われるため、後から取り出せる形で残します。会話が流れていく形式だと数か月後に該当時刻を探すのが難しいので、招集と回答が一覧として残る置き方にしておくと事務の手戻りが減ります。
