町内会の班長が回ってきたとき、いちばん困るのは何をやる役なのかが最後まで分からないことです。前の班長から回覧板のファイルと集金の袋を渡されただけで、年間にいくつ仕事があるのか、どの月が忙しいのかを誰も教えてくれない。この記事では、班長が引き受ける仕事を6つに分けて、それぞれの中身と時期を並べ、共働きの世帯でも回るようにする工夫と、次の人へ渡す記録の残し方までを書きます。順番で回ってきた1年を、なるべく軽く終わらせるための段取りの話です。
町内会の班長は、全国でどれだけいるか
自分の会だけが大変なのかを知るために、全体の数を1つ押さえておくと気が楽になります。
総務省の調査によると、令和5年4月1日を基準日として、市町村が把握した地縁団体の総数は295,838団体です。名称別の内訳は、自治会が130,569、町内会が67,329、町会が17,882、区が34,735、部落会が4,218、区会が2,731、その他が38,374となっています。呼び名は地域で違いますが、同じ仕組みの団体です。
団体が29万を超えるということは、1団体に班が10あれば290万人、20あれば580万人が班長を経験する計算になります。順番で回ってくる役として、これだけの数の人が同じ作業をしています。教えてもらえないまま始める人が多いのも、この数を考えれば当然です。
会の加入率については、別の調査で傾向が示されています。総務省の研究会の資料では、加入率を毎年度把握している624市区町村を人口の規模で8つに分けて分析した結果、平均加入率が最も低いのは人口50万以上の市区町村で70%に満たず、最も高いのは人口1万未満で90%程度でした。10年間の減少幅は人口20万以上30万未満で7.6ポイントと最も大きく、人口1万未満で2.9ポイントと最も小さくなっています。
加入率が下がっているということは、班の世帯数が減る一方で、会の仕事の量は変わらないという状況を意味します。班長の負担が以前より重く感じられるのは、感覚の問題ではありません。
班長が引き受ける仕事は6つに分かれる
会によって違いはありますが、班長の仕事は6つに整理できます。全部を最初に把握しておくと、1年の見通しが立ちます。
1つめが、回覧板を回すことです。頻度がいちばん高く、月に2回から4回あります。
2つめが、町内会費の集金です。年に1回か2回で、時間と気遣いがいちばんかかります。
3つめが、班長会や役員会への出席です。月に1回、会によっては2か月に1回です。
4つめが、行事の呼びかけと参加のとりまとめです。祭り、清掃、防災訓練、歳末の夜回りなど、会の行事ごとに班の人へ声をかけます。
5つめが、当番の割り振りです。ごみ集積所の管理、清掃の担当、資源回収の立ち会い。班の中で順番を作って回します。
6つめが、班の人からの相談を受けることです。街灯が切れている、ごみの出し方が守られていない、といった話が班長のところに来ます。会の役員へ伝える経路の入口になります。
このうち、時間を取られるのは1つめと2つめ、気を使うのは4つめと6つめです。3つめは出席するだけなので予定を押さえれば終わります。5つめは最初に表を作れば1年動きます。忙しさの山は、集金の月と、大きな行事の前の月に来ます。年度の初めにこの山がいつ来るかを前の班長に聞いておいてください。
回覧板は、回し方を最初に決めてしまう
回覧板は、班長の仕事のうち最も回数が多いものです。1回あたりの作業は短いのですが、月に3回あれば年間で36回になります。ここを軽くすると全体が軽くなります。
最初に決めるのは、回す順番です。前の班長から順番の表を受け取ってください。無ければ作ります。住所の並びで作ると、回す側が迷いません。順番の表は、回覧板のファイルの表紙に貼っておくと、次の人が迷いません。
次に決めるのは、自分の家に戻ってくるまでの期限です。回覧板は1軒ずつ手渡しで回るため、途中で止まると全体が止まります。よくある止まり方は3つです。1つめが、留守で渡せないまま何日も置かれる場合。2つめが、受け取った人が読むのを後回しにする場合。3つめが、次の家がどこか分からない場合。3つめは順番の表で防げます。1つめと2つめは、期限を書いた紙を挟んでおくと減ります。
急ぎの連絡を回覧板に入れないのも大事です。回覧板は最後の家に届くまで数日かかります。締め切りが3日後の申し込みを回覧板で流すと、最後の家では締め切りが過ぎています。期限のあるものは、別の手段で同時に流してください。
挟む紙の量も調整してください。市の広報、会からのお知らせ、募金の案内、行事の申し込み。10枚挟むと読む側が全部読みません。いちばん大事な1枚を上にして、班長の手書きで「この1枚だけご確認ください」と書き添える形が効きます。
戻ってこないときの追い方も決めておいてください。1週間で戻らなければ、最後に渡した家へ電話で確かめる。この手順を自分の中で決めておけば、探し回らずに済みます。
町内会費の集金が、いちばんの難関になる
班長の仕事のうち、最も時間と気遣いを使うのが集金です。経験した人の話でも、ここが最大の難関として挙げられます。
しかも私たちの夫婦は共働き。この年は妻が産休・育休中とはいえ、赤ちゃんのお世話がある状況。そんな中で経験した、町内会班長で特に大変だったこととその対処法を紹介します。 出典: note.com
集金が大変な理由は3つあります。1つめが、相手が家にいる時間に行かなければならないことです。平日の昼に働いている班長は、夜か週末しか動けません。2つめが、1軒で終わらないことです。10軒あれば、留守の家に何度も行き直します。3つめが、払わない世帯が出た場合の扱いです。
軽くする工夫は3つです。1つめが、事前に案内の紙を配ることです。金額、集める期間、伺う時間帯、不在のときの連絡先を書いて、集金の1週間前に全戸へ入れておく。これだけで、留守の回数が減ります。用意して待ってくれる家が増えるので、1軒あたりの時間も短くなります。
2つめが、集める期間を1日に限定しないことです。「この土日のどちらかに伺います」ではなく「2週間の間に伺います」と書き、都合のよい日を先に教えてもらう形にすると、行き直しが激減します。
3つめが、口座振替や現金以外の方法が会に用意されているかを確かめることです。用意されている会なら、班長が現金を扱う場面が減ります。無い会では、導入を役員会で提案する余地があります。現金を預かって歩く形は、落としたときの責任が班長個人に来ます。
払わない世帯が出た場合は、班長が判断しないでください。何度か伺って会えない、または断られたという事実を役員へ伝えて、そこから先は会の判断にします。班長個人が説得する役ではありません。ここを引き受けてしまうと、翌年も同じ人に頼まれます。
班長会と役員会は、予定を先に押さえる
会議への出席は、作業としては軽いのですが、日程が読めないと予定が崩れます。年度の初めに、年間の日程を必ず確かめてください。
多くの会では、班長会や理事会が月に1回あります。総会が年に1回、それ以外に行事の前の打ち合わせが入ります。年間で12回から15回程度になります。曜日と時間が固定されている会が多いので、確かめれば予定に入れられます。
出られない日が出たときの扱いも、最初に聞いてください。代理でよいのか、欠席の連絡だけでよいのか、資料をもらえるのか。共働きの世帯で全部に出るのは難しいので、出られないことを前提に確かめておくほうが現実的です。欠席が続くと情報が入らなくなるため、資料だけは受け取る形を確保してください。
会議の内容は、決定事項と班へ伝えることの2つに分かれます。持ち帰るのは2つめだけです。議事の全部を班の人に伝える必要はありません。班の人に関係するのは、行事の日程、当番の割り振り、集金の額と時期です。この3つだけをメモして、あとは資料に任せてください。
会議のあとに班へ伝える手段も決めておいてください。回覧板だけに頼ると、伝わるまでに数日かかります。急ぎのものは別の手段で流し、急がないものは回覧板に載せる。この切り分けを自分の中で持っておくと、毎回悩まずに済みます。
行事の呼びかけと、当番の割り振り
会の行事は、年間で5つから10件あります。祭り、清掃、防災訓練、資源回収、歳末の夜回り、どんど焼き。班長の役は、班の人に声をかけて、出られる人をまとめて役員へ伝えることです。
呼びかけで大事なのは、断りやすくしておくことです。全員参加を前提にした呼びかけをすると、出られない人が気まずくなって、翌年から会そのものを避けます。「出られる方はご連絡ください」という形にしておけば、出た人も出られなかった人も後が残りません。
人数が集まらない行事もあります。集まらなかったという事実をそのまま役員へ伝えてください。班長が無理をして自分の家族で埋めると、翌年も同じ人数で頼まれます。集まらない状態が続けば、会として行事の見直しの議論になります。それが正しい流れです。
当番の割り振りは、最初に表を作ってしまうのが確実です。ごみ集積所の管理、清掃の担当、資源回収の立ち会い。班の世帯を並べて、1年分の順番を紙にして全戸へ配ってください。配ってしまえば、その後は班長が動かなくても回ります。順番を毎回決める形にすると、毎回連絡が必要になります。
当番を代わってほしいという相談は必ず来ます。代わる相手を班長が探すのではなく、当事者同士で交代してから班長に知らせる形にしてください。この決まりを表に1行書いておけば、調整の連絡が班長に集まりません。
年度の途中で転居する世帯が出た場合は、表を作り直す必要があります。作り直した表を配り直すところまでが班長の仕事です。配り直さないと、いない家が当番の日に空きます。
班の人からの相談を、どこまで引き受けるか
6つめの仕事は、量が読めないぶん負担になりやすいものです。街灯が切れている、ごみの出し方が守られていない、隣の家の木が伸びてきている、空き家の草が茂っている。こうした話が班長のところに来ます。
引き受ける範囲を最初に決めてください。班長は、会の役員へ伝える経路の入口です。解決する役ではありません。相談を受けたら、内容を控えて役員へ伝える。ここまでが班長の仕事だと考えると、抱え込まずに済みます。
伝え方は、事実だけを書いてください。誰から聞いたか、いつの話か、どこの場所か。相談してきた人の感情や、班長自身の判断を足さないほうが、役員の側も動けます。「うるさいと言っている人がいます」ではなく「何時ごろに何の音がするという相談が1件ありました」と伝えてください。
家と家の間の話は、特に慎重に扱ってください。木の枝、駐車の場所、ペットの鳴き声、たばこの煙。こうした話を班長が仲立ちすると、どちらからも恨まれます。会に窓口があるかを確かめて、無ければ役員へ上げてください。自分で間に入るのは避けるのが安全です。
市に伝える話も混ざります。街灯、道路の穴、側溝の詰まり、不法投棄。これらは市区町村の担当課が窓口です。会を通す必要があるか、直接連絡してよいかを役員に聞いておくと、その後の対応が早くなります。班長が市へ直接連絡している会もあります。
相談が来なかった年もあります。来ないことは、何も起きていないという意味なので、良いことです。来ると思って構えていた分の時間は、他に回してください。
名簿の扱いを、1年の最初に確かめる
班長は、班の世帯の名前と連絡先を1年間預かる立場になります。個人の情報を扱うので、扱い方を最初に確かめてください。
確かめるのは4つです。1つめが、名簿に何が書かれているかです。氏名と住所だけなのか、電話番号や年齢も入っているのか。入っている情報が多いほど、扱いに気を使う必要があります。2つめが、どこまで配ってよいかです。班の人に配る形なのか、班長だけが持つ形なのか。会の方針を確かめてください。3つめが、保管の場所です。玄関に置いたままにしない、車の中に残さない、といった当たり前のことを最初に決めておきます。4つめが、年度末にどうするかです。次の班長に渡すのか、返すのか、破棄するのか。
名簿を自分の端末に写す場合は、写した場所を覚えておいてください。写真で撮って端末に残したまま忘れると、機種を変えるときに困ります。写すなら1つの場所に決めて、年度末に消してください。
名簿に載っていない情報を自分で足すのも避けてください。この家は1人暮らしの高齢者、この家は留守が多い。役に立つ情報ですが、書いて残すと会の名簿とは別の記録ができます。災害時の助け合いに使う情報は、会として作る形にしてください。個人が控えとして持つものと、会の記録は分けるのが原則です。
会員から「名簿に載せたくない」と言われた場合は、自分で判断せず役員へ伝えてください。載せない場合の連絡の経路をどうするか、会として決める話になります。
就任のときの挨拶と、最初にやること
班長になった直後にやることは4つです。順番も決まっています。
1つめが、前の班長から引き継ぎを受けることです。回覧板のファイル、班の名簿、集金の袋と領収書、当番の表、去年の行事の資料。この5つを受け取ってください。揃っていなければ、無いものを聞いて、会の役員に確かめます。
2つめが、班の名簿を自分で確かめることです。転居した世帯、世帯主が代わった家、連絡先が変わった家。名簿が古いままだと、1年間ずっと連絡が届きません。最初に1回歩いて確かめるのが確実です。
3つめが、挨拶の紙を回すことです。班長が代わったことを班の人へ知らせる紙を1枚作って回覧します。書くのは3つで、班長になったこと、連絡先、困ったときは連絡してほしいという一言です。長く書く必要はありません。これを回しておくと、1年間の連絡が通りやすくなります。
4つめが、年間の予定を書き出すことです。集金の月、行事の日、班長会の日。カレンダーに書き込んでおけば、忙しい月が先に分かります。
この4つを最初の2週間で終わらせると、その後が楽になります。逆に、引き継ぎを受けないまま始めると、集金の時期に金額が分からず、行事の直前に呼びかけを頼まれ、慌てることになります。前の班長に会う時間を作るのが、いちばん効く投資です。
1年の流れを月ごとに並べる
会によって時期は違いますが、班長の1年はだいたい同じ形で流れます。前の班長に確かめる前でも、おおまかな山が分かっていると身構えられます。
年度の初めの月は、引き継ぎと挨拶です。前の班長から5つの書類を受け取り、名簿を確かめ、挨拶の紙を回します。最初の班長会にも出ます。この月は作業が集中しますが、ここを丁寧にやると後が楽になります。
春から初夏にかけては、清掃活動と総会が入る会が多くあります。総会は会の1年を決める場なので、出席するか委任状を出すかを班の人に確かめる作業が入ります。委任状の回収は締め切りがあるため、回覧板ではなく個別に声をかけたほうが確実です。
夏は行事の季節です。祭り、盆踊り、ラジオ体操。準備の当番と、参加の呼びかけが重なります。暑い時期の作業になるので、班の人に無理をさせない配慮が必要です。
秋は防災訓練と、資源回収が入ります。防災訓練は参加の呼びかけと、当日の安否確認の受け持ちがある会もあります。
冬は歳末の夜回りと、次の年度の準備です。次の班長を決める作業が入る会もあります。順番で回っている会なら名簿の順に決まりますが、決め方でもめる会では役員へ相談してください。
年度末は引き継ぎです。5つの書類をまとめて、次の人へ渡します。集金の記録と未納の有無は、必ず引き継いでください。渡さないと、来年の人が同じ家に二度伺うことになります。
この流れを1枚の紙に書いて、自分の家の見えるところに保存しておくと、忘れずに済みます。月ごとに何があるかが分かっていれば、予定を先に押さえられます。
共働きや子育て中の世帯が班長になったとき
平日の昼に動けない世帯が班長になった場合、やり方を変えないと回りません。変えられる点は4つあります。
1つめが、集金の方法です。夜と週末だけで全戸を回るのは難しいので、先に案内を配って日時を決めてもらう形に変えてください。会に口座振替の仕組みがあれば、その案内も一緒に配ります。
2つめが、回覧板の受け渡しです。手渡しにこだわらず、玄関の決めた場所へ保存しておく形を、班の人と申し合わせておいてください。雨に濡れない場所であることと、そこに置いたら短い連絡を入れることを決めておけば、双方が待たずに済みます。
3つめが、会議の出席です。全部に出るのは難しいと最初に役員へ伝えてください。伝えておけば、資料だけ渡してもらえる場合があります。黙って欠席を続けると、やる気がないと受け取られます。
4つめが、家族で分担することです。班長の名義は1人でも、作業は世帯で分けられます。回覧板は家にいる人、集金は週末に動ける人、会議は出られる人。名義の人が全部やる必要はありません。
そして、無理な部分は無理だと伝えてください。順番で回ってくる役なので、できないことを引き受けても次の人のために基準が上がるだけです。前の班長が全部を完璧にやっていた会では、次の人が同じ水準を求められます。できる範囲で回すことが、次の人を助けます。
引き受けるのが難しいと感じたときの相談のしかた
事情があって引き受けられない場合、断り方を考える前に、会の仕組みを確かめてください。
多くの会には、免除や軽減の決まりがあります。高齢の世帯、介護をしている世帯、小さな子どもがいる世帯、単身の世帯。決まりの有無と条件を役員に聞いてください。決まりがある会では、申し出れば順番を飛ばしてもらえます。
決まりが無い会でも、相談する価値はあります。2年後に順番を変えてもらう、班を分けてもらう、仕事の一部を他の人に持ってもらう。全部か無しかではなく、部分的に減らす相談が通る場合があります。
相談するときは、できないことを具体的に言ってください。「忙しいので無理です」ではなく「平日の昼は動けないので集金の時間が取れません」と伝えると、集金だけ他の人が持つという案が出ます。できることとできないことを分けて伝えるのが、いちばん通ります。
会そのものに入り続けるかどうかの判断は、別の話として整理してください。会は任意の団体ですが、ごみの集積所の管理、街灯の維持、災害時の助け合いなど、会が引き受けている実務があります。抜けた場合にそれらがどうなるかを、抜ける前に確かめてください。会によって扱いが違うので、一般論では決められません。
役員の側に立つと、断られること自体は困りません。困るのは、引き受けたあとに動けなくなることです。無理なら最初に言ってもらうほうが、会としても対応できます。
班長の負担を減らす仕組みは、会の側にもある
班長個人の工夫だけでは減らない負担があります。会の仕組みに手を入れる話なので、役員会の議題として出す形になります。
総務省の研究会の資料では、市区町村が自治会の負担を軽くする取り組みとして、窓口の一元化と、委嘱委員の推薦依頼の見直しが挙げられています。市区町村の複数の課から別々に依頼が来る状態をまとめる、会の役員に委員を出してほしいという依頼を減らす、という方向です。同じ資料では、705市区町村が条例や計画等で自治会に期待する方向性を定めていることも示されています。
つまり、班長の忙しさの一部は、市区町村から会への依頼の量から来ています。募金の取りまとめ、各種の委員の推薦、調査への協力。これらが会へ降りてきて、班長まで届きます。班長の立場でできるのは、依頼が多すぎると感じたことを役員へ伝えることです。会としてまとめて市区町村へ相談する道があります。
会の中の仕組みも見直せます。回覧板の回数を減らす、集金を年1回にまとめる、当番の表を2年分作る。どれも役員会で決められる範囲です。班長を経験した人が「ここが大変だった」と1つだけ伝えると、次の年から変わる会があります。
言いにくいことを伝える場面では、個人の不満としてではなく、仕組みの話として伝えてください。「集金が大変でした」より「平日の昼に動けない世帯が班長になったとき、集金の方法が1つしかないと回りません」のほうが議題になります。
会の仕組みは、順番で回ってきた人が少しずつ変えてきたものです。1年で全部を変える必要はありません。1つだけ言い残してください。
1年で終わらせるために、記録を残す
班長の1年でいちばん価値があるのは、次の人へ渡す記録です。ここを作っておくと、自分の1年も軽くなり、来年の人も助かります。
残すものは5つです。1つめが、班の名簿の最新版です。転居と世帯主の変更を反映したもの。2つめが、回覧板の順番の表です。3つめが、当番の表と、途中で変えた点。4つめが、集金の記録です。いつ誰から受け取ったか、未納の世帯があるか。5つめが、行事ごとに何人集まったかです。
この5つを1つのファイルにまとめて、次の班長に渡してください。渡すものが1つになっていると、引き継ぎの時間が30分で終わります。ばらばらに渡すと、来年の人が最初の2か月を探す作業に使います。
紙のファイルで渡す形は、行方不明になりやすいという弱点があります。班の連絡を文字で流している会なら、記録も同じ場所に残すほうが確実です。町内会での使われかたでは、回覧板の内容と行事の記録を同じ場所に集める運用の形をまとめています。連絡が流れていく形の手段を使っている会は、去年の記録を探すところから毎年始まります。LINEグループとの比較では、押し流される形と1件ずつ残る形の違い、役員が代わるときに渡せるかどうかを項目ごとに並べています。
手段を変えるかどうかを検討している会は、比較する項目を3つに絞ってください。役員が代わるときに渡せるか、会員以外に見られないか、新しいIDとパスワードを覚えずに入れるか。すでに団体向けのアプリを使っている会ならBANDとの比較、個人のアカウントに紐づく場を使っている会ならFacebookグループとの比較が近い比較になります。他の団体の運用を見たい場合はPTAでの使われかたも参考になります。費用や移り方はよくある質問に並んでいます。
最後に1つ。班長の1年で気付いたことを1行だけ書き残してください。集金は案内を先に配ると早い、この行事は人が集まらない、この家は夜のほうがよい。こうした1行が、来年の人にとっていちばん役に立ちます。会の仕組みを変える力は班長にありませんが、次の人を楽にすることはできます。
Q1. 町内会の班長の仕事は、全部でどれくらいありますか?
6つに整理できます。回覧板を回すこと、町内会費の集金、班長会や役員会への出席、行事の呼びかけと参加のとりまとめ、当番の割り振り、班の人からの相談を受けることです。回数が多いのは回覧板で月に2回から4回、時間と気遣いがかかるのは集金です。会議は年間で12回から15回程度の会が多くあります。
Q2. 集金を楽にする方法はありますか?
3つあります。金額と集める期間と伺う時間帯を書いた案内を1週間前に全戸へ配ること、集める期間を1日に限定せず2週間ほどの幅を取ること、口座振替などの方法が会にあるかを確かめることです。払わない世帯が出た場合は班長が説得せず、事実を役員へ伝えて会の判断に委ねてください。
Q3. 平日の昼に動けない場合、班長は務まりますか?
やり方を変えれば務まります。集金は先に案内を配って日時を決めてもらう形にし、回覧板は玄関の決めた場所へ保存する形を申し合わせ、会議に全部出られないことは最初に役員へ伝えてください。名義は1人でも作業は世帯で分けられます。無理な部分は最初に伝えるほうが、会としても対応できます。
Q4. 班長を引き受けられない事情がある場合はどうすればよいですか?
まず会に免除や軽減の決まりがあるかを役員に聞いてください。高齢や介護、子育て中の世帯を対象にした決まりがある会があります。決まりが無い場合も、順番を先に延ばす、仕事の一部を他の人が持つといった相談が通る場合があります。できないことを具体的に伝えるのが、いちばん通りやすい形です。