PTA役員決めの季節になると、決め方そのものを変えたいという相談が増えます。くじ引きにしても、ポイント制にしても、当日の空気が重くなるのは変わりません。原因は決め方の選択ではなく、免除と辞退の線引きが文章になっていないことです。この記事では、決め方の4つの型と向き不向き、免除のルールを先に決める手順、当日の進め方、決まらなかったときの扱いまでを順番に並べます。
PTA役員決めが押しつけ合いになる構造
役員決めがこじれる場では、同じ形が繰り返されます。立候補を募っても手が挙がらない。仕方なくくじ引きに移る。そこで誰かが理由を述べて辞退する。その辞退が認められると、残った人の不公平感が一気に強くなる。
相談の場では、この流れがそのまま語られます。
役員決めの際に誰も立候補者がいませんでした。 わたしも含め皆さん、それぞれご家庭で事情があり引き受けることが難しいため公平にくじ引きを行うこととなりました。 出典: detail.chiebukuro.yahoo.co.jp
注目したいのは、揉めているのがくじ引きそのものではないという点です。この相談で問題になっているのは、別の役を務めていることを理由にした辞退が、その場の判断で認められたことです。ルールが文章になっていないため、認める根拠も断る根拠もありません。
ここに構造があります。役員決めの場で起きる摩擦は、ほぼすべて「例外を認めるかどうか」の争いです。仕事、介護、妊娠、下に小さい子がいる、ひとり親、転職して勤務時間が変わった、持病がある。どれも本当の事情です。事情の重さを比べ始めた時点で、その場は必ず荒れます。事情を比べる場にしないためには、比べなくて済む線を先に引いておく必要があります。
もう1つの構造が、決める人が当事者だという点です。翌年の役員を決める場には、決まらなければ自分に来るかもしれない人が座っています。誰かの辞退を認めることは、自分の確率を上げることと同じです。この場で公平な判断を求めるのは無理があります。だからこそ、判断を当日にさせない仕組みが必要になります。
30分で終わる会と、2時間かかる会の差は、参加者の人柄ではありません。当日までに何が決まっているかの差です。
決め方の4つの型と、それぞれのメリットとデメリット
決め方は大きく4つに分かれます。どれが正しいというものではなく、向く場面が違います。
立候補制は、やりたい人が手を挙げる形です。メリットは、引き受けた人が納得していること。活動の質もいちばん高くなります。デメリットは、人が足りない年に成立しないこと。そして、毎年同じ人が続けることになり、その人が抜けた年に一気に崩れます。立候補で埋まらなかった分をどうするかを決めていないと、ここから先の3つに流れ込みます。
推薦制は、候補者を絞ってから声をかける形です。メリットは、向いている人に当たること。役員経験者や、行事に顔を出している人に声をかければ、断られる確率も下がります。デメリットは、声をかける役が重いこと。そして、断られた記録が残らないと、翌年また同じ人に声がかかります。推薦制をとる会は、誰に声をかけて何と言われたかを記録として残す作業が必須になります。
くじ引きは、全員から等しく引く形です。メリットは、手続きの公平さが説明しやすいこと。デメリットは、引き受ける人の適性も事情も考慮できないこと。そして最大の問題が、辞退の申し出が出た瞬間に公平さが崩れることです。くじ引きを採る会は、引く前に辞退の扱いを決めておく必要があります。
ポイント制は、務めた役に点数を付けて、在学中に一定の点数を満たす形です。メリットは、一度務めた人が続けて当たらないこと。数字で説明できるため、その場の感情論になりにくいことも利点です。デメリットは、点数の管理が必要なこと。6年間の記録を引き継ぐ仕組みがない会では、3年目に誰が何点なのか分からなくなります。そして、点数を稼ぐために軽い役を先に取る動きが出ます。
おすすめの組み合わせとしてよく見られるのは、立候補を先に募り、埋まらなかった分を推薦で埋め、それでも足りない分をくじ引きにする三段構えです。この順番にすると、やりたい人の意思が最優先され、くじを引く対象が最小になります。
免除と辞退の扱いを、当日より前に文章にする
ここが本題です。決め方を変えても揉めるのは、免除の線引きがないからです。
ある学校では、役職ごとに辞退できる年数を決めています。地区委員長を務めたら次の年から4年間は辞退可能、地区副委員長なら3年間、地区代表なら2年間、地区委員と学年委員は翌年1年間のみ辞退可能。そして学年委員は、その年の本部役員や地区委員になっておらず、辞退権のない人から当たる形にしています。辞退権を持っていても立候補はできるようにしてあります。
この形の優れている点は3つあります。1つめ、重い役を務めた人が報われること。2つめ、辞退の可否がその場の判断ではなく年数で決まること。3つめ、辞退権があっても立候補できるため、やりたい人が排除されないこと。
会則に書いておく項目は5つです。どの役にどれだけの辞退権が付くか。同じ年に2つの役を兼任させるかどうか。前年に務めた人を翌年の対象に含めるかどうか。事情による免除を認めるかどうか、認めるなら何を認めるか。免除を申し出る先と期限。
4つめについて、事情による免除を一切認めない会もありますし、申し出があれば認める会もあります。どちらが正しいかは会ごとの判断です。決めておくべきなのは、認めるかどうかの結論ではなく、「その場で理由を述べさせない」ことです。相談の場でよく出るのは、当日にみんなの前で家庭の事情を説明させられたという声です。介護や持病を大勢の前で話すことになる場は、それ自体が問題になります。
そのために効くのが、5つめの申し出の期限です。役員決めの日の2週間前までに、書面で担当へ申し出る形にしてください。担当が受け取って、認めるかどうかを役員会で判断する。当日の場では「申し出があり受理された方は対象から外れています」と伝えるだけにする。これで、当日に事情を述べる場面が消えます。
ポイント制をとる会は、点数表を4月の総会資料に載せておくのも効きます。自分が何点で、あと何点必要かが分かっていれば、当日に驚く人がいなくなります。
役員決めの当日までにやること
当日の空気は、事前の準備でほぼ決まります。順番は6つです。
1つめ、必要な役と人数を確定します。前年と同じ数を並べるのではなく、その役が今年も必要かを1つずつ確かめてください。人数を減らせた役があれば、それだけで決めやすくなります。
2つめ、役ごとの仕事量を書き出します。年間の会議の回数、平日の昼にある用事の数、家で作業する時間の目安、他の役との関わり。この4項目を1行ずつ書くだけでかまいません。仕事量が分からない役は、いちばん重い役だと想像されます。書いてあれば、想像より軽い役から手が挙がります。
3つめ、辞退権と免除の一覧を確定します。前の章の5項目です。役員会で通して、文章にします。
4つめ、事前に希望と申し出を集めます。やりたい役、できる役、難しい事情の申し出。この3つを同じ用紙で集めてください。用紙に「希望がない場合は提出不要」と書いておくと、出てきた紙の数だけ処理が減ります。
5つめ、集まった希望で埋まった役を先に確定します。当日に決めるのは、残った分だけにします。
6つめ、当日の進め方を紙に印刷します。何時に始めて、どの順番で何をして、決まらなかったらどうするか。司会が読み上げる文章まで書いておくと、その場の言い方で揉めることがなくなります。
この6つを終えるのに必要な時間は、役員会2回ほどです。当日に2時間かけて荒れるより、事前に2回集まるほうが早く終わります。
当日の進め方と、司会が言う順番
当日の流れは決まった順番で進めるのがコツです。
最初に、この場で決めることと決めないことを伝えます。「本日決めるのは学年委員2名です。事前の申し出で対象から外れている方がいます。理由はこの場では扱いません」。この3文を最初に言うだけで、事情の話し合いが始まらなくなります。
次に、役の仕事量を読み上げます。事前に配った紙と同じ内容でも、声に出して読んでください。仕事量を知らないまま手を挙げる人はいません。
次に、立候補を募ります。ここで待つ時間を決めておくのがポイントです。1分と決めて、時計を見て待つ。無言の時間を短く切り上げると、挙げようとしていた人の手が止まります。長すぎると場が重くなります。1分は、実際に待つと十分な長さです。
次に、推薦を受け付けます。ここは強制しない形にしてください。推薦された人が断れる形にしておかないと、その場で断る言葉を探させることになります。「推薦を受けた方は、後日ご返事いただく形で構いません」と添えるだけでよくなります。
それでも埋まらなければ、決めておいた方法に移ります。くじ引きなら、対象者の名前を読み上げてから引く。ポイント制なら、点数の低い順に並べた一覧を示してから当てる。ここで手続きを説明せずに始めると、あとから「やり方がおかしい」という話になります。
最後に、決まった人の役と、次の会議の日を伝えます。役だけ決めて解散すると、引き受けた人が何をすればよいか分からないまま家に帰ることになり、その状態が翌年の立候補を減らします。
決まらなかったときの扱い
決まらない年があります。その場合の扱いを決めていないと、その日が終わりません。
選択肢は4つです。1つめ、その場は解散して後日に持ち越す。2つめ、本部役員が兼任して1年しのぐ。3つめ、その役を今年は置かない。4つめ、外部に委託するか、保護者以外の手を借りる。
多くの会が1つめを選びますが、これは同じ会をもう一度開くだけです。2回目も決まらない確率が高いので、1つめを選ぶなら「次の会で決まらなければ3つめにする」まで決めてください。
3つめを選べる役は、思っているより多くあります。前年の引き継ぎ資料を見て、その役が1年なくても行事が成立するかを確かめてください。成立する役なら、置かない判断ができます。役を減らすことは、翌年の役員決めをいちばん確実に楽にします。
4つめは、行事の運営や広報のように外に出せる作業がある場合に成立します。費用が発生するので総会の議決が必要になりますが、選択肢として持っておくと、決まらない場で追い詰められません。
あわせて決めておきたいのが、決まらなかったことを誰がどう伝えるかです。決まらなかった事実を伝えずに次の会を開くと、欠席した人が状況を知らないまま出てきます。決まらなかった、次はいつ、それでも決まらなければこうする。この3点を、その日のうちに全員へ流してください。
欠席者の扱いも先に決めてください。役員決めの場に来なかった人を対象に含めるかどうかで、揉め方が変わります。含める会は、欠席した人に当たったときの連絡の仕方まで決めておく必要があります。決まった直後に電話で伝えるのか、書面で伝えるのか、断られたときにどうするのか。ここを決めずに進めると、決まったはずの役が数日後に空きます。含めない会は、その方針を案内文に書いてください。書いていないと、欠席すれば当たらないという受け取り方が広がり、翌年の出席者が減ります。
もう1つ、決まらない年が2年続いた場合の扱いを役員会の記録に残してください。翌年の担当が同じ議論を最初から繰り返さないための材料になります。どの役が2年決まらなかったのか、そのときどう処理したのか、行事に支障が出たのか出なかったのか。この3点が残っていれば、その役を置かない判断がしやすくなります。
仕事を減らすほうが、決め方を工夫するより効く
役員決めの相談で見落とされるのが、この点です。決め方の工夫には限界がありますが、仕事の量は減らせます。
減らす候補は4つあります。1つめ、会議の回数です。月1回の定例会を年4回にして、間は文字のやりとりで済ませる形にした会があります。平日の昼に集まる会議は、働いている保護者にとっていちばん重い負担です。
2つめ、紙の作業です。プリントを刷って折って配る作業、集金の袋を数える作業、出欠を紙で集めて集計する作業。これらは仕組みを変えれば大きく減ります。
3つめ、慣例で続いている行事です。参加者が減り続けている行事、準備に3日かかって当日は1時間の行事。やめる判断は総会が必要ですが、やめた翌年に役員が決まりやすくなった会は多くあります。
4つめ、引き継ぎの作業です。前任者が新任者に口で説明する形をとっている会では、毎年この説明に何時間もかかります。書いて残す形にするだけで、引き受けるときの心理的な重さが変わります。
この4つのうち、2つめと4つめは道具で減ります。1つめと3つめは会としての判断が必要です。役員決めの前に減らせるのは2つめと4つめなので、そこから手をつけるのが現実的です。
体験談として語られる苦労の大半は、役そのものではなく付随する作業についてです。「やってみたら思ったほど大変ではなかった」という声が出る会は、この付随する作業が軽い会です。
役の一覧と仕事量の書き方
事前に配る紙のうち、いちばん効くのが役ごとの仕事量の一覧です。書き方に決まりはありませんが、4項目そろえると想像で膨らむのを止められます。
1項目め、年間の会議の回数と時間帯です。「年6回、平日の10時から11時30分」と書きます。回数だけ書くと、毎回半日かかると思われます。時間帯を書かないと、平日の昼なのか夜なのか分からず、働いている保護者は最悪の想定で考えます。
2項目め、行事で動く日数です。「運動会の前日準備と当日、バザーの当日、計3日」と書きます。行事の名前だけ並べると、全部の行事に出ると思われます。
3項目め、家で作業する時間の目安です。「会報の記事を年2回書く。1回あたり2時間ほど」と書きます。ここを書いていない会が多く、いちばん不安を生む部分です。書く作業、集計する作業、名簿を確認する作業のように、家でやる作業は見えないため、想像で大きくなります。
4項目め、他の役との関わりです。「学年委員と一緒に動く場面が年2回ある」「本部役員との会議はない」と書きます。誰と組むかが分からない役は、引き受けるのに勇気が要ります。
この4項目を役の数だけ並べると、A4で1枚から2枚になります。手間は2時間ほどで、翌年以降は前年の紙を直すだけで済みます。書き出す作業そのものが、その役が今年も必要かを見直す機会にもなります。
書くときの注意が1つあります。軽く見せようとして削らないでください。実際より軽く書くと、引き受けた人が「話が違う」と感じます。その人は翌年以降、誰にも引き受けるよう勧めません。重い役は重いと書いて、そのうえで減らせる作業を減らすほうが、長い目で見て人が集まります。
保護者への案内文で先に伝える4つのこと
役員決めの案内文は、日時と場所だけ書かれていることが多くあります。ここに4つ足すと、当日の空気が変わります。
1つめ、決める役と人数です。「学年委員2名を決めます」と具体的に書きます。何を決める場なのか分からないまま来ると、全員が身構えます。
2つめ、事前の申し出の方法と期限です。希望する役、引き受けられる役、難しい事情の申し出。この3つを同じ用紙で受け付けて、期限と宛先を書きます。「希望がない場合は提出不要」と添えると、集まる紙が必要な分だけになります。
3つめ、辞退権の一覧です。どの役を務めた人が何年間辞退できるか。会則にあるなら、その部分を抜き書きして載せます。当日にこの説明から始めると時間がかかり、知らなかった人が不満を持ちます。
4つめ、決まらなかった場合の扱いです。「決まらない場合は次回に持ち越し、次回も決まらない場合は今年度は置かないことを役員会で決定しています」。これを先に書いておくと、当日に追い詰められる人が出ません。書かずに当日を迎えると、決まらない不安から強い言い方をする人が出て、そこから場が荒れます。
案内文で避けたいのが、負担を強調する書き方です。「大変な役ですがどうかご協力を」と書くと、引き受ける人が減ります。仕事量は一覧で正確に示し、案内文では「ご都合を教えてください」に徹するほうが返事が集まります。
配る経路も確かめてください。紙で配った案内は、子どもの手を経由するため届かないことがあります。届いていない人が申し出の期限を過ぎると、当日に事情を述べることになります。紙と、保護者が直接受け取る経路の2つで流しておくのが確実です。
立候補を増やすために効く工夫
くじ引きの精度を上げるより、立候補を増やすほうが会の負担は軽くなります。実際に効いている工夫が4つあります。
1つめ、2人1組にすることです。1人で担う役を2人で担う形に変えると、手が挙がりやすくなります。人数は増えますが、1人あたりの負担が半分になるため、引き受けるハードルが大きく下がります。仲のよい保護者同士で組んで引き受ける形も生まれます。
2つめ、任期を短くすることです。1年を通した役を、前期と後期に分ける。行事ごとの係にする。半年や1つの行事なら引き受けられる人は、1年通しては引き受けられません。総会の議決が必要になりますが、役の総数が同じなら会の運営は変わりません。
3つめ、やることを1つに絞った役を作ることです。「会報の記事を年2回書くだけの係」「運動会の当日だけ受付に立つ係」。範囲がはっきりしている役には、手が挙がります。何をするか分からない役に手を挙げる人はいません。
4つめ、務めた人がどう感じたかを次の年に伝えることです。3行でかまいません。やってみて分かったこと、思ったより軽かった作業、実際に重かった作業。前年の担当が書いた3行を案内文に添えている会では、想像で膨らんでいた重さが下がります。
この4つに共通するのは、負担を減らすのではなく、負担の形を分かるようにしていることです。分からないものは重く見積もられます。分かれば引き受ける人が出てきます。
あわせて、立候補した人が損をしない形にしてください。手を挙げた人にだけ仕事が集まる会では、次の年から誰も手を挙げません。立候補で埋まった役の人が、埋まらなかった役の分まで抱える形になっていないかを確かめてください。埋まらなかった役は、置かないか、本部で分けて持つか、外に出すかで処理する。立候補した人に回すのは最後の手段です。
加入が任意であることを、決め方にどう織り込むか
近年の役員決めで扱いが難しくなっているのが、加入そのものの話です。相談の場では「入らなければよいのではないか」という声も出ます。法律で加入が義務付けられた団体ではないため、この指摘は成り立ちます。
ここで会として決めておく必要があるのは3つです。1つめ、加入の意思をいつ確認するか。入学時に一律で名簿に入れる形をとっている会は、確認の場を作るところから始まります。2つめ、加入しない世帯の子どもの扱い。行事への参加、記念品の配布、卒業対策の費用の扱い。ここを決めていないと、加入しない選択が子どもへの不利益に見えて、結果として選べない仕組みになります。3つめ、加入しない世帯を役員の対象に含めないこと。含めた瞬間に、加入が任意である説明と矛盾します。
この3つを先に整えている会では、役員決めの場から「入らなければよい」という議論が消えます。加入するかどうかの判断は別の場で済んでいるため、役員決めの場にいるのは加入を選んだ人だけになります。議論の場を分けることが、当日を短くします。
逆に、加入の確認をしないまま役員決めを進めると、この話が毎年その場で持ち出されます。決め方をいくら工夫しても、前提が揺れている場では決まりません。総会の議題として1年かけて整える会が多く、時間はかかりますが、整えたあとの役員決めは明らかに短くなります。
なお、加入を選ばない世帯が増えると、役の総数を減らす判断が必要になります。会員が減っているのに役の数が前年と同じままだと、1人あたりの当たる確率が上がり、押しつけ合いが強まります。会員数と役の数を毎年並べて確認してください。2年続けて会員が減っている会は、役の見直しを先に済ませるほうが確実です。
引き継ぎと連絡を1か所にまとめる
役員決めが毎年ゼロから始まる会には、共通の特徴があります。去年の記録が残っていないことです。
残っていてほしい記録は6つあります。去年の役と人数。誰に声をかけて何と言われたか。辞退権の一覧と現在の点数表。当日の進め方の台本。決まらなかった役があればその扱い。役ごとの仕事量の一覧。この6つが揃っていれば、翌年の担当は判断から始められます。揃っていなければ、また同じ議論を繰り返します。
問題は、この6つが同じ場所に残らないことです。メッセージアプリのやりとりの中、前任者の端末の写真、紙の資料、個人のメールの受信箱に散ります。特に連絡アプリのトークは、新しい発言が来るたびに上へ流れていき、端末を替えた時点で見られなくなります。LINEグループとの比較では、発言が押し流される構造と、投稿が1件ずつ残る構造の違いを項目ごとに並べています。渡すものが管理者の交代だけで済むかどうかが、毎年ゼロに戻るかを決めます。
誰が見られるかを絞れることも条件になります。役員決めに関する記録には、辞退の申し出や事情が含まれます。LINEオープンチャットとの比較では、URLを知っている人が入れる仕組みと、承認した人だけが入れる仕組みの差を整理しています。すでに別のアプリを使っている会なら、BANDとの比較で保存容量の条件や古いデータが自動で削除される条件を確かめておくと、記録として残すつもりのものが消えずに済みます。
運用の形は団体によって変わります。PTAでの使われかたは担当が1年で代わる前提の引き継ぎの例、学校での使われかたは学年やクラスごとに連絡を分ける例として並べてあります。人数の上限や費用、いま使っているグループからの移り方はよくある質問にまとめています。
切り替える時期について1つだけ。役員決めの直前に連絡手段を変えるのは避けてください。申し出の受付と当日の連絡が新しいやり方にかかる時期に変えると、届かなかった人の申し出がそのまま落ちます。切り替えるなら、役員が決まって新体制が動き始めたあと、行事の少ない時期にしてください。
Q1. PTA役員決めで、くじ引きとポイント制のどちらが揉めにくいですか?
手続きの公平さを説明しやすいのはくじ引き、一度務めた人が続けて当たらない点で納得を得やすいのはポイント制です。ただし、どちらを選んでも辞退の扱いが文章になっていなければ揉めます。先に決めるのは方式ではなく、どの役に何年の辞退権が付くか、免除を認めるかどうか、申し出の期限と宛先です。
Q2. 家庭の事情で引き受けられない場合、当日に理由を説明しないといけませんか?
その場で説明させない運用にしている会が増えています。役員決めの2週間前までに書面で担当へ申し出る形にして、認めるかどうかは役員会で判断し、当日は「申し出が受理された方は対象から外れています」と伝えるだけにする形です。介護や持病を大勢の前で話す場面をなくせます。
Q3. 誰も引き受けず役が決まらなかったときはどうすればよいですか?
後日に持ち越す、本部役員が兼任する、その役を今年は置かない、外部に委託する、の4つが選択肢です。持ち越しを選ぶなら「次の会で決まらなければ置かない」まで先に決めてください。前年の引き継ぎ資料を見て、1年なくても行事が成立する役なら、置かない判断ができます。
Q4. 役員決めを楽にするために、いちばん効くのは何ですか?
決め方を工夫するより、役の仕事量を減らすほうが効きます。会議の回数、紙を刷って配る作業、参加者が減り続けている行事、口で説明する引き継ぎの4つが候補です。このうち紙の作業と引き継ぎは仕組みで減らせます。仕事量の一覧を事前に配ると、想像より軽い役から手が挙がります。