PTAのアプリを無料で使いたい、という探し方をする人がまず知りたいのは、無料でどこまでできるのかという線です。連絡を配るところまでは無料で足りるのか、出欠の集計や名簿の管理まで含めて無料なのか。この記事では、実際に公開されている料金表と無料の範囲を並べて、どこで費用が発生するのかを確かめます。そのうえで、役員が1年で代わる前提に立ったとき、無料を選ぶべき場面と、費用を払ったほうが結局は楽になる場面を分けて整理します。結論を先に書くと、連絡を配るだけなら無料で足ります。費用が発生するのは、送る回数が多い会と、名簿や会費までまとめたい会です。
PTAでアプリが必要と言われるようになった背景
PTAの連絡は、長いあいだ紙と電話でできていました。おたよりを子どもに持たせ、緊急のときは電話の連絡網を回す。この形が崩れたのは、共働きの世帯が増えて日中に電話がつながらなくなり、子どもがおたよりを渡し忘れる前提で運営せざるを得なくなったためです。
連絡が届いたかどうかが分からない、という不安が役員にとって最も重い負担になります。紙の配布物には、届いたことを確かめる手立てがありません。欠席の連絡を朝の電話で受ける学校では、8時前後の20分に電話が集中し、担任も事務室も動けなくなります。この2つを解決する道具として、学校向けや団体向けの連絡サービスが広がりました。
ただし、PTAと学校は別の組織です。学校が導入している連絡網は学校からの連絡を配る仕組みで、PTAが自分たちの委員会の中で連絡を回す道具としては使えないことがあります。ここを混同すると、学校の連絡網に相乗りできると思って進めた話が、後から止まります。PTAが自分で選ぶ場合は、学校の許可が要る範囲と、PTAだけで決められる範囲を先に分けておくと話が早くなります。
もう1つの背景は、役員の任期です。多くのPTAでは委員が1年で代わります。年度が替わるたびに、名簿を作り直し、連絡先を集め直し、前の役員のグループを解散して新しく作る。この作業がそのまま毎年の負担になっています。アプリを選ぶときに機能の多さを見る人は多いのですが、実際に効くのは、年度が替わるときに何を渡せば済むかという点です。
無料で使えるアプリの4つの種類
PTAで使われている無料のアプリは、成り立ちで4つに分かれます。それぞれ無料の範囲の切り方が違うため、種類を掴んでから個別の名前を見ると比較が速くなります。
1つ目は、身近な連絡アプリのグループ機能です。LINEのグループが代表で、導入の手間がほとんどかからないことが最大の利点です。多くの保護者がすでに使っており、新しいアプリを入れてもらう説明が要りません。弱点は、記録が残らないことです。トークは新しい発言で押し流されるため、前に決まったことを遡って探すことになります。写真はアルバムに残せますが、作れる数と入れられる件数に上限があります。
2つ目は、団体向けのグループアプリです。掲示板とカレンダー、出欠の確認を備えており、連絡が流れていかない形で残ります。無料で使えるものが多く、費用が発生するのは保存容量を追加する場合に限られることが一般的です。ただし保存のふるまいには差があります。容量がいっぱいになったときに古いファイルや動画から順に自動で削除される仕組みのサービスがあり、この形は行事の写真を何年も残したいPTAには向きません。
3つ目は、PTA専用の支援サービスです。名簿、おたよりの配信、アンケート、会費の集金までひとつの中で回せます。ここは無料ではなく年会費の形が多く、代わりに試用の期間が長く取られています。会費の集金を現金でやめたい会にとっては、他の種類では置き換えられない部分です。
4つ目は、Googleのフォームやスプレッドシートのように、汎用の道具を組み合わせる形です。費用はかかりません。出欠はフォームで集め、集計はスプレッドシートで見る。柔軟に作れる代わりに、作った人しか直せない仕組みになりがちで、引き継ぎで最も苦労するのがこの形です。作った人が卒業した年に、誰も触れないファイルが残ります。
どれを選ぶかは、PTAの規模と、何を置き換えたいかで決まります。
PTAの規模や目的によります。連絡網が中心の小規模PTAであれば、BANDなどの無料アプリで十分な場合も多いです。一方、会計業務の効率化や手厚いサポート、高度なセキュリティを求めるなら、PTA専用の有料アプリがおすすめです。まずは無料プランや試用期間で使い勝手を試し、必要に応じて有料プランを検討するのが良いでしょう。 出典: biz.moneyforward.com
無料と有料の境目は、通数と容量にある
無料と有料がどこで分かれるのかを、公開されている料金表の数字で確かめます。ここを知っておくと、無料で始めて後から足りなくなる形を避けられます。
事業者向けの連絡手段としてよく検討されるLINE公式アカウントは、月額固定費が0円のプランで送れる無料メッセージが月200通までと決められています。ここで注意したいのは、通数の数え方です。1回の配信で200人に送れば200通と数えます。つまり200世帯のPTAでは、月に1回の配信で無料の枠を使い切ることになります。次の段のライトプランは月額5,000円(税別)で5,000通、スタンダードプランは月額15,000円(税別)で30,000通です。PTAの連絡を毎週配る前提で計算すると、無料の範囲では収まらないと分かります。
団体向けのグループアプリは、通数ではなく保存容量で線を引きます。BANDの場合、追加の保存容量は100GBで1年5,000円、6か月で2,500円という値付けが公開されています。写真と3分未満の動画は容量を使わないとされている一方、一般のファイルと3分以上の動画はストレージに保管され、容量がいっぱいになると古いものから順に自動で削除されます。運動会の動画を何年分も残す会は、ここで費用が発生するか、古い記録を失うかの選択になります。
PTA専用のサービスは、団体単位の年会費です。Piitaは会員の人数に関わらず1団体あたり年間9,800円(税込)で、6か月間は年会費なしで全機能を試せると案内されています。会費の集金機能を使う場合は、集めた金額に対する決済利用料6%と、固定の振込手数料275円がかかります。学校向けの連絡網では価格帯が変わり、さくら連絡網の通常版は200人プランの基本料金が年間53,900円、300人プランが64,900円と公開されています。自動翻訳は別料金で、200人プランなら5,500円です。なお同社は2027年4月1日から料金体系を改定し、ライトとスタンダードの2プランにすると案内しています。
グループウェアを安く使う道もあります。
サイボウズ Officeは情報共有をまとめたグループウェア、kintoneは用途に合わせて業務アプリを作るプラットフォームで、役割が異なります。チーム応援ライセンスでは、サイボウズ Officeは300ユーザー、kintoneは900ユーザーまで利用でき、いずれも対象団体は審査を経て年額9,900円(税抜)/サービスの特別価格で利用できます。 出典: zen-p.net
審査を通る必要はありますが、非営利の団体向けに価格を下げている事業者はいくつかあります。無料にこだわるより、団体向けの価格を探したほうが結果として安く済む場合があるという点は、知っておく価値があります。
PTAのアプリを選ぶときの7つのポイント
機能表を上から順に見ていくと、どれも同じように見えます。役員の立場で差が出るところを7つに絞ります。
第1に、保護者に新しいIDとパスワードを作らせるかどうかです。ここが導入の最大の関門になります。すでに持っているアカウントで入れる形なら、説明会を開かずに済みます。新しい登録が必要な場合は、登録できない保護者からの問い合わせが役員に集まります。新しいIDとパスワードを増やさないことを条件に入れるだけで、導入の失敗がかなり減ります。
第2に、委員会ごとに分けられるかです。PTAの連絡は全体向けと委員会向けが混ざります。全員に届く連絡と、広報委員だけに届く連絡を分けられないと、関係のない連絡が大量に流れて誰も読まなくなります。学年やクラス、委員会という単位で送り先を選べるかを確かめてください。
第3に、届いたかどうかが分かるかです。開封の状況を確認できる機能があると、届いていないと言われる問題が消えます。未開封の人へ自動で再送する仕組みを持つサービスもあります。ここは紙では絶対にできない部分で、アプリに替える最大の理由になります。
第4に、出欠とアンケートが取れるかです。役員会の日程調整、行事のボランティア募集、学校評価のアンケート。この3つは毎年必ず発生します。回答が自動で集計されるかどうかで、担当者の作業時間が変わります。手集計に戻る仕組みなら、紙と同じ手間が残ります。
第5に、記録が残る形かです。決まったことが遡って読めるか、行事の写真が何年も残るか。トークが流れていく形の道具と、掲示板に1件ずつ残る形の道具の違いは、性質の差として整理できます。両者を項目ごとに並べたLINEグループとの比較やBANDとの比較を見ると、自分の会がどちらを必要としているかが決めやすくなります。
第6に、個人情報の扱いです。名簿を預けるなら、どの国のサーバーで管理されるのか、準拠する法律はどこの国かを確かめてください。海外の会社が運営するサービスでは、規約の準拠法が日本ではないことがあります。トラブルが起きたときに、その国の手続きに従うことになります。子どもの写真を扱う以上、ここは会として説明できる状態にしておきたい部分です。
第7に、パソコンから使えるかです。会計や名簿の作業は、スマートフォンの画面では終わりません。パソコン専用のアプリを入れないと通知が届かないサービスがあり、役員が自分のパソコンに何かを入れる必要が出ます。ブラウザのままで足りる形のほうが、引き継ぎのときの説明が短くなります。
無料で始めるときの手順
順番を間違えると、途中で止まります。実際に回っている手順を5段階で並べます。
最初に、置き換えるものを1つだけ決めます。連絡の配布、出欠の集計、名簿、会費。全部を一度に替えようとした会は、ほぼ例外なく途中で戻ります。いちばん手間がかかっているものを1つ選び、それだけを替える。多くのPTAでは、おたよりの配布か、行事の出欠の集計がここに当たります。
次に、学校と話します。PTAが独自にアプリを使う場合でも、名簿の扱いと、学校からの連絡との重複について、先に相談しておくほうが後が楽です。学校が導入している連絡網で足りる部分があれば、二重に作る必要がなくなります。
3つ目に、役員だけで1か月試します。試用の期間が長く取られているサービスなら、その期間に本番と同じ使い方をしてください。役員会の連絡をそのアプリだけで回してみる。ここで操作に詰まる役員が出たら、その時点で別の候補に移ります。
無料トライアルで使用感を確認することは、PTA支援アプリ選定の最終確認として非常に重要です。画面の分かりやすさや操作の流れは、カタログや説明だけでは判断しづらく、実際に触れてみないとわからない部分が多いため、トライアル検証を通じた見極めが欠かせません。 出典: itreview.jp
4つ目に、総会か役員会で決議を取ります。無料で始める場合でも、会として使う道具を決めたという記録を残してください。これがないと、次の役員が勝手に別の道具へ移し、記録が2か所に分かれます。費用が発生するなら、年度の予算に載せる必要があるため、年度の初めに決めるのが基本です。
5つ目に、保護者への案内を紙で1枚配ります。アプリの話をアプリで案内することはできません。参加のしかたを1枚にまとめ、子どもに持たせて配る。二次元コードと、うまくいかないときの連絡先を必ず書いておきます。この1枚の出来で、参加率が大きく変わります。
保護者に参加してもらうまでの、案内のしかた
道具を決めたあとに残る最後の壁が、保護者に入ってもらうことです。役員が使えるようになっても、参加率が半分で止まると紙の配布を続けることになり、手間が二重になります。
効くのは3つです。第1に、期限を書くことです。「今月末までにご参加ください」と書かれた案内と、書かれていない案内では、参加率が大きく変わります。人は期限のない依頼を後回しにします。第2に、入れない人の逃げ道を用意することです。参加できなかった家庭へは紙で配り続ける、と最初に宣言しておくと、参加を強制される感じがなくなり、かえって参加が進みます。第3に、最初の1回で価値を見せることです。参加した人にだけ届く情報を最初の配信に入れる。行事の写真や、当日の集合時間の変更など、見た人が得をする内容が入っていると、次から開くようになります。
参加できない保護者への対応も、先に決めておいてください。スマートフォンを持っていない家庭、文字が読みにくい家庭、日本語以外の言語を使う家庭。学校向けの連絡網には自動翻訳の機能が別料金で用意されているものがあり、10言語ほどに対応していると案内されているサービスもあります。PTAが使う道具にそこまでの機能がない場合は、担当の役員が個別に連絡する形を残すことになります。1つの道具で全員を覆おうとせず、覆えない数世帯には人が対応する、と決めておくほうが現実的に回ります。
無料のまま続けたときに起きること
無料で回している会に共通して起きることがあります。悪いことばかりではないため、メリットと落とし穴を両方並べます。
メリットは明確です。費用の決議が要らないため、思い立った月から始められます。会の予算に載せる必要がなく、年度の途中でも動けます。合わない道具だったときに、やめる判断が軽いという点も大きな利点です。費用を払った道具は、合わなくても「もったいない」で続けてしまいます。
落とし穴は3つあります。1つは、無料が複数に増えることです。連絡はグループアプリ、出欠はフォーム、名簿は表計算、写真は写真共有サービス。それぞれ無料ですが、引き継ぐものが4つになります。次の役員に渡すときの説明が4回になり、そのうち1つが必ず抜けます。
2つ目は、上限に達する時期が読めないことです。保存容量の上限は、行事の写真と動画で一気に埋まります。運動会の週に上限へ達し、古い写真が自動で消えていたことに後から気づく、という事故がここから起きます。上限を超えたときに何が起きるかを、始める前に確かめておいてください。保存済みのものは削除されず、新しいアップロードだけが停止する形のサービスなら、この心配は要りません。
3つ目は、個人のアカウントに紐づくことです。無料の道具は、作った役員のアカウントが管理者になります。その人が卒業したあと、誰も設定を変えられません。管理者を複数にできるか、途中で交代できるかを、始める前に確かめる必要があります。
会費の集金を現金でやめるときに確かめること
連絡の次に負担が大きいのが、会費の集金です。現金を集めて数え、未納の家庭に声をかけ、会計が通帳へ入れる。この一連の作業は、連絡をアプリに替えても残ります。ここを替えるかどうかは、費用の話が絡むため慎重に見る必要があります。
オンラインの支払いを使うと、集金そのものと集計、未納の管理が一度に片付きます。代わりに決済の手数料がかかります。PTA専用のサービスでは、集めた金額に対する決済利用料6%と、固定の振込手数料275円という形が公開されています。ここで重要なのは、この手数料を誰が負担するかです。会員が負担する設定と、PTAが負担する設定を選べる仕組みになっているサービスがあり、既定では会員の負担になっていることがあります。年会費2,000円の会で会員が負担する形にすると、保護者が払う額は2,120円になります。総会で説明せずに始めると、値上げしたと受け取られます。
現金のままにする判断も、十分に成り立ちます。手数料がゼロで、口座を持たない家庭にも対応できるためです。この場合でも、未納の管理だけをアプリ側に移すことはできます。名簿の機能で入金の済んだ家庭に印を付けていく形にすると、会計と会長が同じ画面を見られるようになり、電話での確認が消えます。現金を扱う部分だけ従来どおりにして、記録だけを移す。段階を踏むやり方のほうが、会の合意を得やすくなります。
いずれの形でも、会計の記録を個人の端末だけに保存しないでください。会計が使っている表計算のファイルが本人のパソコンの中にしかない状態は、監査のときにも引き継ぎのときにも困ります。会として読める場所に保存し、複数の役員が開ける状態にしておくことが、金銭を扱う以上の前提になります。
行事の写真と動画をどこに保存するか
PTAの道具選びで見落とされやすいのが、写真と動画です。連絡と出欠の話で決めてしまい、運動会のあとに困る会が多くあります。
問題は3つあります。1つは容量です。写真は1枚あたり数MBですが、動画は数分で数百MBになります。無料の保存容量は、動画を数本入れた時点で埋まります。上限に達したときに古いものから自動で削除される仕組みだと、去年の写真が消えます。上限を超えても保存済みのものは残り、新しいアップロードだけが停止する形なら、消える心配はありません。ここは事業者ごとに扱いが違うため、始める前に書いてあるかを確かめてください。
2つ目は、見られる範囲です。子どもの顔が写った写真を、URLを知っている人が開ける状態にしてはいけません。写真共有サービスの共有リンクは、リンクを知っていれば誰でも開ける仕組みのものがあります。保護者の誰かがそのリンクを別の場所に貼った時点で、範囲の管理はできなくなります。メンバー以外は見られない仕組みになっているかどうかを、機能表の中で最初に確かめる項目にしてください。
3つ目は、撮ってよい範囲の取り決めです。行事で写真を撮ること自体に、撮られたくない家庭があります。入学時に写真の扱いについて意向を聞いている学校が多く、PTAが独自に撮って共有する場合は、その意向と合わせる必要があります。こう運用している会が多いという形で言えば、全体の集合写真は共有し、特定の子どもが大きく写ったものは共有しない、という線を引いている会がよく見られます。法律の解釈を会で断定するより、学校の方針に合わせるほうが安全です。
セキュリティと安全のどこを見ればよいか
名簿と子どもの写真を扱うため、安全に関する確認は会の責任として残ります。専門の知識がなくても確かめられる項目に絞ります。
第1に、第三者の認証を取っているかです。情報セキュリティの管理について、ISO/IEC 27001の認証やプライバシーマークを取得していることを明記している事業者があります。認証があれば絶対に安全という話ではありませんが、外部の審査を毎年受けている状態であることは分かります。ページのどこにも書かれていない場合は、問い合わせて答えをもらってください。
第2に、データの保管場所です。日本国内のサーバーで管理していると書かれているか、海外へ委託することが明記されているか。プライバシーポリシーの委託に関する項目に書かれています。海外への委託を拒否したい場合は退会するしかない、という形の規約もあります。保護者に説明を求められたときに答えられる状態にしておくことが目的です。
第3に、乗っ取られたときに気づけるかです。役員のアカウントが第三者に使われると、名簿が丸ごと外に出ます。パスワードやメールアドレスが変更されたときに、変更する前のアドレスへ知らせが届く仕組みなら、身に覚えのない変更にその場で気づけます。ログインの手段をパスワードに頼らず、すでに持っているアカウントでの認証にする形も、実務では有効です。会員が自分でパスワードを管理しなくてよくなるためです。
第4に、退会したあとに何が残るかです。卒業した家庭の連絡先はいつ削除されるのか。学校向けの連絡網では、卒業後に学校側で登録情報を削除する運用になっており、削除の時期は学校ごとに異なると案内されています。PTAが自分で管理する道具では、この削除を誰がいつやるかを決めておかないと、卒業から3年経った家庭の連絡先が残ります。年度末の作業として、名簿から外す手順を引き継ぎの書類に入れておいてください。
引き継ぎの手間で選ぶ、という考え方
PTAの道具選びで最後に残るのは、機能でも費用でもなく、来年どうするかという問題です。ここを基準にすると、選ぶものが変わります。
年度が替わるときに発生する作業を書き出すと、名簿の学年の繰り上げ、卒業する家庭の削除、新入生の家庭の追加、役員の権限の付け替え、この4つになります。PTA専用のサービスには、この作業をまとめて行う引き継ぎの機能が用意されているものがあります。学年の繰り上げと新旧役員の交代を操作で済ませられる形です。汎用の道具を組み合わせている会では、この4つを手作業でやることになり、毎年3月から4月に数十時間が消えます。
渡すものが1つで済むかどうかも、同じ意味で効きます。記録がグループの側に残る仕組みなら、リーダーを交代しても過去の投稿と写真はそのまま残ります。端末ごとに履歴を持つ仕組みでは、引き継ぐ手立てを別に用意することになります。この違いは、始めて1年目には見えず、2年目の3月に初めて分かります。だからこそ、選ぶ時点で確かめておく価値があります。
権限の設計も確かめてください。学年主任は学年だけ、委員長は自分の委員会だけ、というように送れる範囲を限定できる仕組みがあると、役員に安心して任せられます。全員が全員に送れる状態だと、誤送信が起きたときに止められません。逆に、会長だけが送れる形にすると、会長が忙しい週は連絡が止まります。ここは会の運営のかたちに合わせて決める部分で、実際の使い分けはPTAでの使われかたのように、団体の種類ごとに整理された例を見ると判断しやすくなります。
最後に、費用の考え方を整理します。無料の道具を4つ並べている会と、団体で年間1万円前後を払って1つにまとめている会を比べると、現金の支出では前者が有利です。ただし後者は、引き継ぎの作業と、記録が散らばることによる作り直しが消えます。役員の時間を1時間あたりいくらと数える文化はPTAにありませんが、続けられるかどうかという基準で見ると、判断は変わってきます。契約や解約の条件、無料の範囲がどこまでかは、候補にした事業者のよくある質問にあたる一覧を先に読み、分からない点は問い合わせて答えをもらってから決めてください。無料という言葉の中身は事業者ごとに違い、その違いが2年目に効いてきます。
Q1. PTAのアプリは無料のままで足りますか?
連絡を配るだけなら足ります。掲示板とカレンダー、出欠の確認を備えた団体向けのアプリは、保存容量を追加しない限り無料で使えるものが多くあります。費用が発生しやすいのは、配信の通数で課金される仕組みを使う場合と、名簿や会費の管理までまとめたい場合です。
Q2. LINEのグループで済ませるのは無理がありますか?
連絡の速さでは最も有利です。弱いのは記録で、新しい発言で押し流されるため前に決まったことを遡れません。写真のアルバムにも数と件数の上限があります。役員会の記録や行事の写真を何年も残す用途には、掲示板の形を持つ道具を足すほうが確実です。
Q3. 費用がかかるとしたら相場はいくらですか?
PTA専用のサービスは1団体あたり年間9,800円(税込)という例があり、会員の人数では変わりません。学校向けの連絡網は規模で変わり、200人プランの基本料金が年間53,900円という価格表が公開されています。事業者向けの配信サービスは月額5,000円(税別)からです。
Q4. 役員が代わるときに困らないのは、どんな形ですか?
記録がグループの側に残り、管理者を交代できる形です。個人のアカウントに紐づく道具は、作った役員が卒業すると誰も設定を変えられません。名簿の学年の繰り上げや新旧役員の交代を操作で済ませられる機能があるかも、先に確かめてください。
