保護者会のアンケートが戻ってこないのは、設問が長いからでも、質問の文章が難しいからでもありません。用紙が子どもの手を経由して往復すること、そして最も回収したい役員選出の意向調査が、答えにくい内容であること。この2つが重なっているためです。ここでは、聞く目的の分け方、選択肢の作り方、締め切りの置き方、集計の分担までを、保護者会が実際に取っているアンケートに即して具体的に示します。
保護者会が取るアンケートは、目的が4つに分かれる
同じ「アンケート」という言葉で呼んでいても、保護者会が取っているものは性質の違う4種類に分かれます。混ぜて設計すると、どれも中途半端になります。
1つ目は、日程や出欠を集める調査です。個人懇談の希望日、行事への参加の可否、講演会の出席人数。答えは選択肢から選ぶだけで、集計も機械的です。回収率が低いと予定が組めないため、締め切りの管理が最も厳しくなります。
2つ目は、役員や当番の意向調査です。来年度の役員を引き受けられるか、どの役職なら可能か。これが最も戻ってきません。答えることが、そのまま負担の引き受けにつながるためです。
3つ目は、行事や活動への希望を聞く調査です。講演会のテーマ、バザーで扱う品物、活動の頻度。答えても直ちに負担が生じないため、比較的返ってきます。ただし集めた希望を反映しないと、翌年から返ってこなくなります。
4つ目は、活動の振り返りを聞く調査です。行事が終わった後の感想、改善してほしい点。自由記述が中心になり、集計に時間がかかります。
この4つは、締め切りの厳しさも、記名の要否も、集計の手間もまったく違います。1枚の用紙にまとめて聞こうとすると、締め切りを厳しく設定できる1つ目に引きずられて、答えにくい2つ目まで急かすことになります。用紙は目的ごとに分けてください。
年間で見ると、保護者会が取るアンケートは5回から10回程度になる会が多く見られます。この回数を減らすことより、1回あたりの負担を軽くするほうが、回収率には効きます。
役員選出の意向調査が、いちばん戻ってこない
役員の意向調査は、保護者会のアンケートの中で最も回収率が低くなります。理由ははっきりしていて、答えないことが最も有利だからです。引き受けると書けば負担が来る。できないと書けば理由を問われるかもしれない。何も書かなければ、とりあえず今日は何も起きません。
この構造がある以上、聞き方を工夫するだけでは回収率は上がりません。設計そのものを変える必要があります。実際に取られている手は3つあります。
1つ目は、全員が必ず何かを選ぶ形にすることです。「引き受けられる」「引き受けられない」の2択ではなく、「今年度引き受ける」「来年度以降なら引き受ける」「当日の手伝いだけなら出られる」「今年度は難しい」といった段階を用意します。選択肢が段階になっていると、最も軽いものを選ぶ人が出ます。2択だと、重い方を避けるために提出しないという行動になります。
2つ目は、できない理由を書かせないことです。理由を書く欄があると、書くこと自体が重くなり、提出が遅れます。また、書かれた理由を役員が読むことで、その家庭の事情が会の中に残ります。免除の基準を会として決めてあるなら、該当するかどうかを選ぶだけで足ります。
3つ目は、締め切りを学級懇談会の日に合わせることです。紙で提出を待つより、保護者が学校に来る日にその場で書いてもらうほうが確実です。来られなかった家庭にだけ、後から回収すればよくなります。
なお、意向調査の結果を、選出の場でどう使うかも先に決めておきます。「引き受けられない」と答えた人を候補から外すのか、それでも候補に含めるのか。含めるなら、意向調査を取る意味を説明できません。外すなら、そう明示しておくべきです。ここが曖昧だと、正直に答えた人が損をする形になり、翌年から誰も答えなくなります。
日程の希望調査は、選択肢の作り方で決まる
個人懇談や面談の日程調整は、保護者会が学校の作業を手伝う形で関わることがあります。この調査は、選択肢の作り方で回収率も集計の手間も変わります。
学校現場では、この工程を紙から切り替える取り組みが進んでいます。切り替えたうえでの注意点として、文部科学省の事例集には次の記述があります。
保護者もスマートフォン等の情報端末から、都合の良い時間に回答できるので便利です。ただ、しばらくしても回答のない方には再度連絡することや、紙媒体でも配布して、回答を促すことも運用初期には必要であると考えます。 出典: mext.go.jp
選択肢を作るときの要点は3つです。
1つ目は、第1希望だけでなく第2希望まで聞くことです。第1希望だけを集めると、人気のある枠に集中し、調整のために結局もう一度聞き直すことになります。第2希望まで取っておけば、1回の調査で組めます。
2つ目は、「この日は不可」という否定形の欄を作らないことです。否定形で集めると、空欄が「可」なのか「未記入」なのか分かりません。すべての候補日について、可か不可かを選ぶ形にします。
3つ目は、候補の枠を実際に用意できる数より少し多めに出すことです。用意した枠がすべて埋まる前提で作ると、1人の変更で全体が組み直しになります。余裕を持たせておけば、後からの変更を吸収できます。
きょうだいが在籍している家庭には、別の配慮が要ります。上の子と下の子の懇談が離れた時間に入ると、その家庭は学校に長く滞在することになります。希望を聞く用紙に「同じ学校にきょうだいがいる」欄を作り、続けて組めるようにしておくと、当日の混乱が減ります。
子ども経由の往復が、締め切りをずらす
保護者会のアンケートが返ってこない最大の要因は、設問ではなく経路です。用紙は担任から子どもへ、子どもから家庭へ、家庭から子どもへ、子どもから担任へと、4回の受け渡しを経ます。どの受け渡しでも止まります。
止まり方には傾向があります。行きで止まるのは、お便り袋から出てこない場合です。低学年ほど多く、保護者が金曜日にまとめて確認するまで気づきません。帰りで止まるのは、書いたのに持たせ忘れる場合です。書いた本人は済んだつもりでいるため、催促されるまで気づきません。
この経路を前提にすると、締め切りの置き方が決まります。
・配る日を週の前半にし、締め切りを翌週の前半に置く。週末を1回はさむ ・締め切りを日付だけでなく曜日でも書く。「10日まで」より「来週の水曜日まで」のほうが伝わる ・締め切りの2日前に、まだ出していない家庭がいることを学級全体に伝える。個別の催促の前に一度出す ・当日の朝も受け付ける。前日締め切りにすると、忘れた家庭が出せなくなる
週末をはさむ理由は、平日の夜に書く時間が取れない家庭があるためです。配って翌々日が締め切りという設定にすると、その層が構造的に落ちます。
紙の経路を保ちながら、画面からも答えられる形を併設すると、この往復のうち帰りの2回が消えます。書いた内容がその場で届くため、持たせ忘れが起きません。行きの2回は残りますが、案内を別の経路でも出しておけば、お便り袋を開けなくても答えられます。
記名にするか、無記名にするか
保護者会のアンケートを無記名にするかどうかは、目的によって答えが変わります。一律に決めると、どちらかで問題が出ます。
記名が必要なのは、誰が答えていないかを追う必要がある調査です。日程の希望、出欠、役員の意向。これらは、未提出の家庭に個別に声をかけなければ予定が組めません。無記名にすると、誰に声をかければよいか分かりません。
無記名が向くのは、率直な意見を集めたい調査です。行事の改善点、活動の負担感、運営への意見。記名だと、書きにくい内容が書かれなくなります。
ただし、保護者会で無記名にするときは、注意が要ります。学級の人数が30人程度しかいない中で、自由記述に具体的な内容が書かれると、書いた人がほぼ特定できます。「下の子が乳児で」「勤務の都合で」といった記述は、学級の中では誰のことか分かってしまいます。
したがって、無記名にする調査では、集計する人の範囲を先に決めておきます。原文を読むのは役員のうち限られた人だけにし、共有するのは要約だけにする。この扱いを、アンケートの用紙に書いておきます。書いてあれば、書く側も判断できます。
学級を特定できる情報を集めるかどうかも、同じ観点で決めます。学年だけを聞き、学級までは聞かない形にすれば、特定の度合いは下がります。学級ごとの傾向を見る必要がないなら、聞かないほうが安全です。
設問の数と、並べる順番
設問が多いほど回収率は下がります。保護者会のアンケートでは、7問を超えると目に見えて戻りが悪くなると言われています。用紙が1枚に収まるかどうかが、実務上の目安になります。
減らすときは、「集めた後に、この答えをどう使うか」を1問ずつ確認します。使い道を説明できない設問は落とします。参考までに聞いておく、という設問が最も回収率を下げます。
並べる順番にも決まりがあります。
・答えやすい設問を先に置く。選択肢から選ぶだけのものから始める ・自由記述は最後に置く。途中に置くと、そこで手が止まる ・属性を聞く設問は最後に置く。学年やきょうだいの有無を先頭に置くと、答え始める前に構えられる ・関連する設問を並べる。話題が飛ぶと、答える側が毎回考え直すことになる
1つの設問で2つのことを聞かない、という点も重要です。「行事の日程と内容について、どう思いますか」と聞くと、日程には満足で内容には不満という人が答えられません。日程と内容を分けて聞きます。
設問文の書き方では、誘導になっていないかを確認します。「負担が大きいと感じますか」と聞けば、感じると答える人が増えます。「負担についてどう感じますか」と中立に聞き、選択肢の側で程度を分けます。
きょうだいが在籍する家庭の重複を、どう防ぐか
保護者会のアンケートで、集計を狂わせる原因になりやすいのが、きょうだいの在籍です。学級ごとに配ると、2人在籍している家庭には2枚届きます。世帯の意見を聞く調査で2枚返ってくると、その家庭の票が2倍になります。
防ぎ方は、調査の性質によって分かれます。
子どもごとに答えるべき調査であれば、2枚返ってきて構いません。個人懇談の日程、行事への参加、持ち物の確認。これらは子どもの数だけ答えが必要です。
世帯として答えるべき調査であれば、1枚に絞ります。会費の額についての意見、活動の頻度についての希望、規約の改正への賛否。この場合は、用紙に「同じ学校にきょうだいが在籍している場合は、上のお子さんの学級にのみご提出ください」と書きます。書いていないと、丁寧な家庭ほど2枚出します。
集計する側でも確認します。同じ保護者名が複数の学級から出ていないかを、集計の途中で1度見ます。学年をまたぐと気づきにくいため、学年ごとに集計した後、合算する前に確認する工程を入れておきます。
なお、この重複の問題は、名簿の作り方とつながっています。会員を児童生徒単位で管理しているか、世帯単位で管理しているかで、そもそも何票あるべきかが変わります。アンケートを設計する前に、名簿の単位を確認しておいてください。
集計を、学級と学年でどう分担するか
保護者会のアンケートは、学級で集めて学年で合算し、全体でまとめるという三層の構造になります。この分担が決まっていないと、集計だけで数週間かかります。
決めておく点は3つです。
1つ目は、誰が何を集計するかです。学級委員が学級分を数え、学年委員が合算する形が一般的です。全体の集計を1人が担うと、その人のところで全部が止まります。
2つ目は、いつまでに次の層へ渡すかです。学級から学年へ、学年から全体へ、それぞれの期限を切ります。切っていないと、最後の学級が出すまで全体が動きません。
3つ目は、渡す形式を揃えることです。学級ごとに数え方や書式が違うと、合算する人が全部作り直すことになります。表の形をあらかじめ配り、そこに数字を入れて渡す形にしておいてください。
自由記述がある調査では、集計の負担が跳ね上がります。200世帯から自由記述が返ってくると、読んで分類するだけで数時間かかります。分類の軸を先に決めておき、記述をその軸に振り分ける形にすると、時間は大きく縮みます。軸を後から作ろうとすると、全部読み直すことになります。
答えが返ってきた時点で自動的に数が積み上がる形にできれば、この工程の大半は消えます。学級ごとの数え上げも、学年での合算も不要になり、残るのは自由記述の読み込みだけです。集計に費やしていた時間を、結果を返す作業に回せます。
未回答の家庭に、どこまで催促するか
締め切りを過ぎても返ってこない家庭は必ず出ます。ここで催促のしかたを誤ると、その家庭との関係が悪くなり、翌年以降も返ってこなくなります。
段階を3つに分けます。
第1段階は、学級全体に向けた呼びかけです。誰が出していないかを名指しせず、「まだ出していない方はお願いします」と一度出します。この段階で半分近くが戻ります。個別に呼ばれる前に済ませたい家庭が多いためです。
第2段階は、未提出の家庭にだけ届く形の連絡です。全体への呼びかけを繰り返すと、すでに出した家庭にも届き続けます。出した人に催促が届くと、出したのに読まれていないという印象になります。宛先を絞れるかどうかが、ここで効きます。
第3段階は、担任を通した個別の声かけです。ここまで来ると担任の負担になるため、日程調整のように出席が組めなくなる調査に限ります。感想を聞くだけの調査で担任に頼むべきではありません。
催促するかどうかの判断基準は、その回答がないと会が動けないかどうかです。動けるなら、催促しません。回収率が7割あれば傾向は読めます。全員から集めることを目的にすると、集める作業だけで年度が終わります。
なお、毎回同じ家庭が未提出になる場合、その家庭に案内が届いていない可能性があります。催促の前に、経路が生きているかを確認してください。登録した連絡先が変わっている、通知が届かない設定になっている、といった原因のほうが多く見られます。
行事の振り返りを聞くときの設計
行事が終わった後の振り返りは、翌年の担当が最も必要とする情報です。ところが、実際には取っていない会が多く、取っても次に渡らないまま消えています。
取る相手を分けます。参加した保護者に聞くことと、運営した役員に聞くことは、内容がまったく違います。
参加者に聞くのは、参加してよかったか、時間や場所が適切だったか、次も参加したいかの3点で足ります。長く聞くと、行事の直後という疲れている時期に負担がかかります。設問は3問で終える形にすると、その場で答えてもらえます。
役員に聞くのは、準備にかかった時間、詰まった工程、次に変えたい点です。ここは記名で構いません。誰がどの役を担ったかは分かっているので、隠す意味がありません。むしろ、誰が答えたかが分かるほうが、翌年の担当が直接聞けます。
聞く時期は、行事の当日か翌日です。1週間経つと、細かい詰まりどころを忘れます。当日その場で答えてもらえる形にしておくと、回収率も内容の具体性も上がります。
集めた内容は、翌年の担当が探せる場所に置きます。行事の名前で探せるようにしておくと、準備を始めるときに最初に見つかります。役員の交代で引き継ぎ資料が散ると、翌年の担当は一から考え直すことになります。
保護者会のアンケートで、聞かないほうがよいこと
設問を作るとき、集めておけば役に立ちそうだという理由で項目を増やしたくなります。ただし、集めた時点で預かる責任が生じるため、使い道のない項目は落とします。
聞かないほうがよいのは、次のような項目です。
・勤務先の名称や職種。役員選出の材料として集めたくなるが、選出の根拠に使うと問題になる ・家庭の構成の詳細。ひとり親かどうか、同居の家族がいるか ・世帯の収入や、経済的な状況 ・子どもの障害や持病の有無。学校が把握している情報を、保護者会が重ねて持つ必要はない
これらは、免除や配慮の判断に使うために集めたくなる項目です。しかし、免除の基準を会として決めてあるなら、該当するかどうかを自己申告で選んでもらえば足ります。詳細な事情まで集める必要はありません。
判断に迷ったときは、「この項目が外に漏れたとき、その家庭にどんな不利益があるか」を考えます。不利益が想像できる項目は、集めない側に倒します。
すでに集めてしまっている項目についても、次の年度から落とせます。前年度の用紙をそのまま使い回すと、誰も必要性を検討しないまま項目が引き継がれます。年度の初めに1度、全部の設問の使い道を確認する機会を作ってください。
結果を返さないと、次から戻ってこない
アンケートを取ったのに結果を返さない会は少なくありません。取ることで力を使い切ってしまい、返すところまで手が回らない。これが、翌年の回収率を下げる最大の原因になります。
返す内容は、次の3つで足ります。
・何人から回答があったか。母数と回収率 ・主な結果。設問ごとの数字を短く ・その結果を受けて、会が何をするか、あるいはしないか
3つ目が最も重要です。集めた意見に対して何もしないなら、しない理由を書きます。「予算の都合で今年度は見送ります」と書いてあれば、読んだ人は納得します。何も書かないと、聞いただけだったと受け取られます。
返す時期は、締め切りから2週間以内が目安です。それを超えると、何を答えたのか回答した側も忘れています。集計に時間がかかる場合でも、回収率と大まかな傾向だけを先に出し、詳細を後から出す形にできます。
返す場所は、答えた人が全員見られる場所にします。学級だよりに載せる形だと、その学級の分しか届きません。全体で取った調査なら、全体に返します。
自由記述を返すときは、原文をそのまま出さないほうが安全です。学級の規模では書いた人が特定されるためです。内容を分類し、件数と要旨を出す形にします。
回収率をどう読むか
集まった数字をどこまで根拠にしてよいかは、調査の種類で変わります。保護者会のアンケートでは、回収率の水準を先に決めておかないと、結果の扱いで揉めます。
日程や出欠の調査は、回収率がそのまま実務に響きます。9割集まっても、残りの1割の予定が組めません。この種の調査は、全数に近い回収が要ります。
一方、意見や希望を聞く調査は、全数である必要がありません。半数から回答があれば、傾向は読めます。ここで全数を目指すと、催促の手間ばかりが積み上がります。
読み方で注意したいのは、答えた人に偏りがあることです。行事に熱心な保護者ほど答え、関心の薄い層は答えません。「行事を続けてほしい」という回答が8割を占めても、それは答えた人の中での8割です。答えなかった層の意向は含まれていません。
したがって、重い判断を回収率の低いアンケートだけで決めないでください。行事をやめる、会費を上げる、規約を変えるといった判断は、アンケートの結果を材料として示したうえで、総会で決めます。アンケートが決議の代わりになるわけではありません。
反対が一定数ある結果が出たときも、扱いを決めておきます。何割の反対があれば見送るのか。基準がないと、その時々の役員の判断で変わり、去年と違うという話になります。
紙と画面を並べて使うときの決め事
いきなり全部を画面に移す必要はありません。併用する会が多く、その組み方には注意点があります。
最も避けたいのは、同じ調査を紙と画面の両方で受け付けて、突き合わせをしないことです。同じ家庭が両方から答えると、二重に数えます。防ぐには、どちらか一方でしか答えられない形にするか、名前で突き合わせる工程を必ず入れるかのどちらかです。
現実的なのは、画面を既定にし、紙は希望した家庭にだけ配る形です。紙で答えた分は、集計する人が画面側に入力して一本化します。学級で3世帯程度であれば、入力の手間はわずかです。
もう1つの組み方は、調査の種類で分けることです。日程や出欠のように選ぶだけの調査は画面で、自由記述が中心の調査は紙で受ける。答える側の負担が軽いほうを、それぞれ選ぶ形です。
併用の期間は区切ります。期限を決めずに続けると、両方の手間がかかったまま固定します。1年を目安に、どちらかへ寄せる判断をしてください。
答えを集める場所を選ぶときは、答えた内容が誰に見えるかを確認します。会話が流れる場所で出欠を募ると、他の人の答えが全員に見えます。誰が来られないかが分かってしまうことを避けたい調査では、この違いが効きます。答えの見え方の差は、LINEグループとの比較やBANDとの比較で、投稿と回答がどう扱われるかという観点から確かめられます。
相談から見えている、アンケートまわりの詰まりどころ
集まりの連絡をひとつにまとめる道具の使われ方を追っていくと、保護者会のアンケートに関する相談は、設問の作り方ではなく、回収と集計の工程に集中しています。
最も多いのは、誰が出していないか分からないという相談です。紙で集めると、集まった枚数は分かっても、誰の分が来ていないかは名簿と突き合わせないと分かりません。学級で30人分を突き合わせる作業が、締め切りのたびに発生します。答えた人が自動的に記録される形であれば、この作業は消えます。
次に多いのが、締め切りの直前に催促できないという相談です。未提出の家庭が分かっても、個別に声をかける手段が担任経由しかない。担任に督促を頼むと、その負担が直接増えます。未提出の人にだけ届く形の連絡ができるかどうかで、担任に頼む必要があるかが変わります。
3つ目は、学級と学年と全体で単位が変わるという相談です。学級だけに聞く調査、学年だけに聞く調査、全会員に聞く調査が混ざります。単位ごとに別々の集まりを作ると、きょうだいのいる家庭は掛け持ちが増えます。1つの場所の中で宛先を切り替えられる形が向きます。学校の単位での組み方は学校での使われかたに、PTAの規模での運用はPTAでの使われかたにまとまっています。
整理すると、アンケートで決めておくのは5つです。目的別に用紙を分ける。役員の意向は段階のある選択肢にし、理由は書かせない。締め切りは週末をはさみ、曜日でも書く。世帯として答える調査はきょうだいの重複を用紙で防ぐ。そして、締め切りから2週間以内に結果と会の対応を返す。この5つが揃えば、回収率は回を重ねるごとに上がります。設問の細部で迷う点はよくある質問にも同種の論点が並んでいるので、用紙を刷る前に一度確かめておくと刷り直しが減ります。
Q1. 役員の意向調査が戻ってこないのですが、どうすればよいですか?
2択にすると、重い方を避けるために提出しないという行動になります。「今年度引き受ける」「来年度以降なら」「当日の手伝いだけ」「今年度は難しい」のように段階のある選択肢にしてください。できない理由を書く欄は作らないほうが提出は早まります。締め切りは学級懇談会の日に合わせ、その場で書いてもらう形が確実です。
Q2. アンケートの締め切りはどう置けばよいですか?
用紙は担任から子ども、子どもから家庭と4回の受け渡しを経ます。配る日を週の前半に置き、締め切りは翌週の前半にして週末を1回はさんでください。日付だけでなく曜日でも書き、締め切りの2日前に学級全体へ一度声をかけます。前日締め切りにすると忘れた家庭が出せなくなるので、当日の朝も受け付けてください。
Q3. 保護者会のアンケートは無記名にしたほうがよいですか?
学級の人数が30人程度しかいない中では、自由記述に具体的な内容が書かれると書いた人がほぼ特定できます。無記名にする場合は、原文を読む役員を限り、共有するのは要約だけにするという扱いを用紙に明記してください。逆に日程や出欠、役員の意向は、未提出の家庭に声をかける必要があるため記名にします。
Q4. きょうだいが在籍する家庭から2枚返ってくるのを防ぐには?
子どもごとに答えるべき調査は2枚で構いませんが、会費や活動の頻度など世帯として答える調査は1枚に絞ります。用紙に「きょうだいが在籍している場合は上のお子さんの学級にのみご提出ください」と書いてください。集計の途中で、同じ保護者名が複数の学級から出ていないかを学年ごとに確認する工程も入れておきます。