マンションの管理組合で当番表を作ろうとしている人が最初につまずくのは、そもそも何を割り振っているのかが曖昧なままだからです。分譲マンションの当番は、掃除の順番ではありません。中心にあるのは理事の輪番で、これは1年から2年にわたって責任を負う役職の割り当てです。ここを掃除当番と同じ感覚で表にすると、断られたときに打つ手がなくなります。この記事では、割り振りの単位、飛ばしてよい住戸の線引き、重さの違う役割のならし方、交代の頼み方を順に整理します。
当番という言葉で呼ばれているものが、実は3種類ある
管理組合で当番と呼ばれているものを分けると、性質の違う3つが混ざっています。
1つ目は理事と監事の輪番です。総会で選任され、任期のあいだ管理組合の業務執行に責任を持ちます。理事会に出席し、議事録に名前が残り、場合によっては契約の当事者になります。他の2つとは重さが桁違いです。
2つ目は、理事以外で持ち回りにしている役割です。防災訓練の係、共用部の植栽の水やり、防犯パトロール、集会室の鍵の管理、掲示板の張り替え。組合によってあったりなかったりします。マンションでは管理員や清掃業者が入っていることが多いので、町内会のような日常の清掃当番は必ずしも存在しません。
3つ目は、順番待ちの割り当てです。駐車場の区画、駐輪場の位置、トランクルーム。これは義務ではなく権利の配分で、当番表というより抽選と入替の話です。同じ表に載せると混乱します。
当番表を作り直すときは、この3つを別の紙に分けることから始めてください。1つ目は総会の決議が必要で、2つ目は理事会または細則で決まり、3つ目は使用細則の領域です。決める場所が違うものを1枚にまとめると、変更したいときに何を通せばよいのか分からなくなります。以下は主に1つ目の理事の輪番を扱いますが、2つ目の割り振り方も後半で触れます。
順番で回している組合が8割近い
全国の管理組合を対象にした調査で、役員の選任方法が集計されています。重複回答で、順番によるものが78.3%と圧倒的に多く、以下は立候補が34.5%、推薦が16.8%、抽選が8.1%でした。つまり、ほとんどの組合が輪番を採用しつつ、立候補の枠を残している形です。
輪番が主流なのには理由があります。まず、区分所有者は全員が管理組合の構成員です。根拠になっているのは区分所有法の次の条文です。
区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。 出典: laws.e-gov.go.jp
全員で構成する、と書かれていて、脱退という選択肢がありません。加入が任意の団体なら「やりたい人がやる」で成り立ちますが、全員が構成員である以上、負担も全員で分けるという発想になります。ここが町内会や部活と根本的に違う点で、輪番表の正当性はこの条文に支えられています。
もう1つは、立候補だけでは埋まらないからです。標準管理規約は、理事および監事を総会の決議によって組合員のうちから選任すると定めています。組合員の中から必要な人数を確保しなければならず、100戸のマンションで理事が10人なら、単純計算で10年に1度は自分の番が来ます。立候補が34.5%あるとはいえ、それだけで毎年の定数を満たせる組合は多くありません。
当番表を作る側の立場でいうと、輪番を採っている以上、表そのものが組合の公平さを示す文書になります。誰がいつ回ってくるかが先まで見えていて、飛ばした住戸には理由が書いてある。この2つが満たされていれば、その年の理事が個別に説明する場面はほとんど起きません。
任期1年が過半数で、何が失われるか
役員の任期も同じ調査で出ています。1年が57.1%、2年が38.1%、3年以上が1.2%、特に定めはないが2.1%でした。半数以上の組合が毎年、理事会の全員または一部を入れ替えています。
任期1年の利点は、負担が重くならないことです。引き受けるほうも「1年なら」と言いやすい。欠点は、経験が残らないことです。大規模修繕のように数年がかりで進む案件では、検討を始めた理事会と、契約する理事会と、工事を見届ける理事会が全部別の顔ぶれになります。
これを緩和する方法として、標準管理規約は補欠の役員の任期を前任者の残任期間とすること、任期の満了または辞任によって退任する役員は後任が就任するまで引き続き職務を行うことを定めています。実務でよく使われるのは半数改選です。理事の半分を毎年入れ替える形にすれば、任期は2年でも毎年の負担は分散し、前年を知っている人が必ず理事会に残ります。当番表を組み直すなら、この半数改選への移行を同時に検討する価値があります。
ただし任期を規約で定めている組合では、半数改選への変更は規約変更にあたる可能性があります。規約の制定、変更または廃止は、組合員総数の過半数であって議決権総数の過半数を有する組合員の出席を要し、出席組合員およびその議決権の各4分の3以上で決するとされています。当番表の見直しのつもりが重い決議になることがあるので、着手する前に自分の組合の規約の書き方を確認してください。
割り振りの単位を、部屋番号か階か棟かで決める
輪番表の作り方は、大きく3つに分かれます。
部屋番号順は最も単純です。101号室から順に必要人数を切り出し、翌年は続きから始めます。表が1本の列で済み、誰が見ても次が分かります。欠点は、同じ階から複数の理事が出る年と、1人も出ない年ができることです。
階ごとに割り振る方法は、各階から1人ずつ出す形にできます。掲示物の伝達や階ごとの困りごとを拾うには向いていますが、階によって戸数が違うマンションでは回ってくる頻度に差が出ます。10戸ある階の住戸は10年に1度、4戸しかない階の住戸は4年に1度になります。
棟や号棟で分ける方法は、団地型のマンションで使われます。棟ごとに理事を出し、全体の理事会で集まる形です。棟の規模差が同じ問題を生むので、戸数に応じて人数を割り当てる必要があります。
どれを選ぶかは、理事会で何を決めているかによります。建物全体の修繕と会計が中心なら部屋番号順で十分です。階や棟ごとの事情を吸い上げる必要があるなら、階や棟を単位にする意味が出ます。表を作り直すときに大事なのは、選んだ理由を1行でも表に書き添えておくことです。翌年の理事が「なぜこの順番なのか」を聞かれて答えられます。
飛ばしてよい住戸と、飛ばせない住戸
輪番表で毎年もめるのがここです。線引きの根拠は、実は規約と法律にかなり書いてあります。
まず、はっきり飛ばさなければならない人がいます。標準管理規約は役員の欠格条項を置いていて、破産者で復権を得ない者、拘禁刑以上の刑に処せられて執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者、暴力団員等は役員になれません。これは組合の裁量ではなく、規約上の要件です。
次に、賃貸に出している区分所有者です。ここは誤解が多いところで、部屋を貸していても区分所有者であるかぎり組合員であり、役員になる資格があります。逆に、そこに住んでいる賃借人は組合員ではありません。区分所有法は、区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者について、会議の目的たる事項に利害関係がある場合には集会に出席して意見を述べることができると定めていますが、議決権はありません。つまり、住んでいる人ではなく所有している人が輪番の対象です。全国調査では賃貸住戸がないマンションが12.8%、賃貸戸数割合が20%を超えるマンションが15.5%あり、賃貸の多い組合ほどこの整理が重要になります。
海外に住んでいる区分所有者については、標準管理規約に国内管理人の届出の仕組みがあります。国内管理人は代理人として議決権を行使できますが、役員になれるかどうかは組合の規約次第です。
そして、飛ばすかどうかを組合が決められるのが高齢や病気を理由とする辞退です。ここに明文の基準はありません。だからこそ、細則で先に決めておく価値があります。年齢で一律に外すのか、申し出があった年だけ順番を後ろに送るのか、辞退した場合に協力金を求めるのか。全国調査では、外部役員の選任を検討する理由として区分所有者の高齢化が42.7%、役員のなり手不足が42.3%と、ほぼ並んで挙がっています。辞退が増えることは織り込んで設計してください。
役割ごとの重さを、持ち点でならす
理事といっても、負う重さは同じではありません。標準管理規約では、理事長は管理組合を代表して業務を統括し、規約や総会または理事会の決議により理事長の職務として定められた事項を遂行します。未納の管理費等の請求について、理事会の決議により管理組合を代表して訴訟その他の法的措置を追行できるのも理事長です。会計担当理事は現金と帳簿を扱い、監事は理事の職務の執行を監査します。平理事とは負担が違います。
この差を放置すると、輪番が形骸化します。順番で理事にはなるが、理事長は毎年同じ人が引き受ける、という状態です。その人が引っ越したり体調を崩したりした瞬間、組合が止まります。
持ち点でならす方法が現実的です。理事長を3点、副理事長と会計担当理事を2点、平理事と監事を1点として、住戸ごとに累計を記録します。累計が少ない住戸から重い役に当てる。この記録が数年たまると、「あの家はいつも軽い役だ」という不満が数字で否定できるようになります。
もう1つ現実的なのは、理事長を輪番の中で回すのではなく、前年の副理事長が翌年の理事長になる形に固定することです。半数改選と組み合わせると、常に前年を知っている人が理事長席に座ります。標準管理規約では、理事長、副理事長および会計担当理事は理事会の決議によって理事のうちから選任すると定められているので、この運用は理事会の中で決められます。総会の決議を取り直す必要がない点が使いやすいところです。
一周するまでの年数を、先に計算しておく
輪番表を作る前に必ず出しておきたい数字が1つあります。全住戸を一周するのに何年かかるか、です。
計算は単純で、対象になる住戸数を1年あたりの必要人数で割ります。理事が10人、監事が2人の組合で、対象住戸が96戸なら、96を12で割って8年です。8年に1度、自分の番が来ることになります。この数字が出ていれば、住戸を持っている人は自分の生活の予定と重ねて考えられます。子どもの受験の年、親の介護が始まりそうな時期、定年の前後。あらかじめ分かっていれば、番が来る前に前後の住戸と入れ替える相談もできます。
逆に、この数字が出ていない組合は、毎年その場しのぎで頼むことになります。理事長が「そろそろお願いできませんか」と個別に回って、断られたら次を探す。この形は担当者の負担が大きいうえに、断りやすい人にばかり負担が寄ります。
周期の数字は、辞退が増えると自動的に短くなります。96戸のうち20戸が高齢や遠方を理由に外れると、実質76戸を12人で回すことになり、周期は6.3年に縮みます。つまり、辞退を認めることは残った人の負担を増やすことと表裏です。細則で辞退の条件を決めるときは、この計算を総会の資料に付けてください。「辞退を認めると残りの人の番が2年早く来ます」と数字で示せば、条件を厳しくするか協力金を設けるかという議論に自然に進みます。
協力金と報酬を、どう扱うか
輪番を続けるための道具として、金銭を使う組合があります。方向は2つで、引き受けた人に払うか、引き受けなかった人から受け取るかです。
引き受けた人に払う形は、規約に根拠があります。標準管理規約は、役員が別に定めるところにより、役員としての活動に応ずる必要経費の支払と報酬を受けることができると定めています。必要経費と報酬は別物で、前者は交通費や通信費のような実費、後者は職務に対する対価です。金額は細則で定めるのが通常の形です。理事長だけ金額を厚くして役割の重さを反映させている組合もあります。
引き受けなかった人から受け取る形、いわゆる協力金や非役員負担金は、規約または細則に定めがなければ徴収できません。総会でどの決議が必要になるかは、額をどこに書くかによって変わります。導入するときは、辞退の理由を問わず一律に取るのか、遠方や高齢は免除するのかを同時に決めてください。免除の線引きが曖昧なまま始めると、翌年から個別の交渉が発生します。
金銭を絡めるときにもう1つ確認しておきたいのが、利益相反です。標準管理規約は、役員が自己または第三者のために管理組合と取引をしようとするとき、および管理組合が役員以外の者との間で役員と利益が相反する取引をしようとするときは、理事会において重要な事実を開示して承認を受けなければならないと定めています。役員に報酬を出す組合では、その決め方が理事会の中で完結しないよう、金額の根拠を総会の議案として残しておくのが安全です。
外部の専門家を役員に入れるという選択肢
輪番がどうしても回らなくなったときの出口として、組合員以外から役員を選ぶ方法があります。標準管理規約は、外部専門家を役員として選任できることとする場合の条文を別に示していて、その場合は組合員以外の者から理事または監事を選任する方法を細則で定めるとしています。
実態としてはまだ少数です。管理者の選任状況を見ると、92.1%が管理組合の代表者で、区分所有者以外の第三者が管理者となっているマンションは3.7%でした。監事も97.7%が区分所有者で、第三者は1.1%です。一方で、外部役員の選任について検討している、または将来必要となれば検討したいという意向を持つ組合は34.6%あります。いま導入している組合は少ないが、意向は3組合に1組合という状況です。
専門家そのものの活用はもっと広がっていて、何らかの専門家を活用しているマンションは41.4%です。種類は建築士が15.6%、弁護士が14.5%、マンション管理士と管理業務主任者がそれぞれ13.8%でした。活用の形は単発のコンサルティング業務が65.2%と大半で、顧問契約が22.2%、管理者や理事長への就任は2.9%にとどまります。
この数字の並びが示しているのは、いきなり役員を外部に委ねるより、まず特定の課題について単発で専門家に入ってもらう組合が圧倒的に多いということです。輪番が回らないという課題に対しても、順番はこれと同じで構いません。細則の作り直しや、辞退の基準の設計をマンション管理士に1度見てもらう。それで回るようになるなら、役員を外部化する必要はありません。
理事会が何回あるかで、当番の重さが決まる
引き受けるかどうかを判断する人が最も気にするのは、拘束される時間です。全国調査では理事会の開催状況が集計されていて、月に1回程度開催しているが35.7%、2か月に1回程度が27.3%でした。単棟型と団地型では差が大きく、月1回程度の割合は単棟型が28.6%、団地型が75.2%です。
当番を頼むときに「理事になってください」とだけ言うと、相手は最悪のケースを想像します。実際の負担を数字で言えるかどうかで、返事が変わります。年に何回、1回あたり何時間、平日の夜か土日か。この3つを最初に伝えてください。
そして、この数字を減らす余地があるかも考える価値があります。理事会の議題の大半が報告事項なら、開催を減らして書面や事前共有に回せます。標準管理規約は、理事の過半数の承諾があるときに書面または電磁的方法による決議を認めている事項があり、WEB会議システム等を用いて開催する会議も理事会の会議に含めると明記しています。開催回数そのものを設計しなおせば、当番の重さが下がります。
なお、WEB会議の活用状況を見ると、総会と理事会のどちらにも活用したことがある組合は2.1%、理事会のみ活用したことがあるが7.7%、総会も理事会も活用したことがないが75.8%でした。規約が認めていても、実際に使っている組合はまだ少数です。裏を返せば、ここは当番の負担を下げる余地が残っている場所です。
理事以外の当番を、どこまで表に載せるか
理事の輪番とは別に、防災訓練の係や共用部の見回りを持ち回りにしている組合があります。載せるかどうかの判断基準は、その仕事に権限が伴うかどうかです。
権限が伴わない作業、たとえば訓練当日の受付や、掲示物の張り替えは、輪番表に載せる必要がありません。理事会が当日ごとに担当を決めれば足ります。表に載せると、その年に該当しない住戸が「自分の番ではない」と考えて協力しなくなる副作用があります。
権限が伴うもの、たとえば集会室の鍵の管理や、共用部の備品の発注は、誰が持っているかを表にしておくべきです。引き継ぎの対象になるからです。
判断に迷う典型が、機械式駐車場の入替と自転車置場の位置替えです。これは当番ではなく権利の配分なので、輪番表には載せず、使用細則の側で抽選の周期と方法を決めます。全国調査でも、定めている使用細則の種類として駐車場が81.8%と最も高く、自転車置場やバイク置場が72.9%で続きます。多くの組合が既に細則を持っているので、当番表を作り直すときに細則を読み返せば、重複して書いてしまう事故を避けられます。
災害への備えについては、全国調査で管理組合の対応状況が出ています。消防設備等の点検を実施しているが69.5%、定期的に防災訓練を実施しているが39.8%、災害時の避難場所を周知しているが30.3%、自主防災組織を組織しているが16.6%でした。防災の役割を輪番に組み込むかどうかは、自主防災組織を持っているかどうかで変わります。組織があるならその中で分担し、無いなら理事会の担当理事に寄せるのが現実的です。
交代の頼み方と、代わりを探す責任を誰が持つか
当番表の運用で最後に決めるべきは、順番が回ってきた人が引き受けられないと言ったときの手順です。ここを決めていない組合が、毎年3月に理事長の携帯電話に頭を下げさせています。
決めるべきは3点です。誰に申し出るか。いつまでに申し出るか。代わりを誰が探すか。
申し出先は理事長ではなく、輪番表を管理している役職に置くのが安全です。理事長が受けると、断りにくさが働いて実態が見えなくなります。期限は総会の議案書を作る前、逆算すると年度末の2か月前あたりが現実的です。標準管理規約では、通常総会を新会計年度開始以後2か月以内に招集し、招集通知は会議を開く日の2週間前までに発することになっています。議案に役員候補の名前を載せる以上、その前に固まっている必要があります。
代わりを探す責任は、辞退した本人に持たせる組合と、理事会が持つ組合に分かれます。本人に持たせる方式は公平に見えますが、実際には近所づきあいの負担を個人に押し付けることになり、断りきれずに引き受けた人が途中で投げ出す原因になります。理事会が名簿の次の順位から声をかけ、断られたらさらに次へ進む方式のほうが、結果的に早く埋まります。そのかわり、辞退した住戸の順番は翌年に繰り越すことを明記してください。飛ばしたまま消えると、不公平が累積します。
当番表をどこに保存し、どうやって全員に見せるか
表を作っても、見られていなければ機能しません。保管場所の選択肢は4つあります。
掲示板に貼る方法は、住戸番号と氏名が並ぶことになり、外部の人が入れるエントランスに貼るのは避けたほうがよい形です。住戸番号だけにする、あるいは掲示板を管理員室の中に置くといった工夫が要ります。
総会の議案書に載せる方法は、記録として残る点が優れています。ただし年に1回しか更新されず、途中の交代が反映されません。
各戸に配布する方法は確実ですが、紙代と手間がかかり、更新のたびに配り直すことになります。
連絡用のグループやアプリに保存する方法は、更新が即時に反映され、過去の版と入れ替えられます。名簿に近い情報を扱う以上、メンバー以外は見られない状態が保てることが条件になります。誰でも検索して入れる場所には保存できません。この点は道具ごとに仕組みが違うので、いま使っているものと候補を並べて確認しておくとよいです。参加方法と公開範囲の違いはLINEオープンチャットとの比較に整理してあります。グループの中で連絡と写真と予定を扱う道具の違いはBANDとの比較にあります。
年度替わりで表が壊れる場所を、先に塞ぐ
輪番表がおかしくなるのは、たいてい年度の切り替えの前後です。壊れ方は決まっていて、4つあります。
1つ目は、売買で住戸の持ち主が変わったのに表が追いついていない場合です。標準管理規約は、新たに組合員の資格を取得し、または喪失した者は直ちにその旨を書面により管理組合に届け出なければならないと定めています。この届出が出ていないと、既に引っ越した人に順番が回ります。理事長は組合員名簿等を毎年1回以上、内容を確認しなければならないとされているので、その確認と輪番表の突き合わせを同じ月に行う運用にしてください。
2つ目は、辞退や交代の記録が口頭で終わっている場合です。翌年の理事は前年の経緯を知りません。誰が飛ばされ、その順番はいつに繰り越されたのかを、表そのものに書き込んでおく必要があります。
3つ目は、表の管理者が変わるときです。前年の理事長のパソコンの中にしか原本がない、という状態はよく起きます。原本の保管場所を組合として決め、年度末に権限を移す手順を書いておいてください。
4つ目は、表計算の書式が引き継がれない場合です。凝った表ほど翌年の担当が扱えず、作り直しになります。列は住戸番号、氏名、過去の役職と年度、累計の持ち点、辞退の記録。この5列で足ります。関数や色分けを凝らすほど、翌年に開けない確率が上がります。
もう1つ、表を更新する担当を決めておくことも忘れないでください。理事長は他の仕事が多く、表の維持まで手が回りません。副理事長か、輪番表を担当する理事を1人決めて、その職務として引き継ぐ形にすると続きます。標準管理規約は、理事長、副理事長および会計担当理事を理事会の決議によって理事のうちから選任すると定めているので、役割分担は理事会の中で決められます。
とりまとめる立場から見た当番表の本質は、公平な割り振りの装置であると同時に、引き継ぎの装置だという点です。他の団体が当番と連絡をどう畳んでいるかは町内会での使われかたに例があります。導入の前によく出る質問はよくある質問にまとまっています。表そのものより、表を毎年正しく更新し続ける仕組みのほうが、長い目で見て効きます。
Q1. マンションの理事は、輪番と立候補のどちらで決めるべきですか?
全国調査では順番による選任が78.3%と最も多く、立候補が34.5%、推薦が16.8%、抽選が8.1%でした。多くの組合は輪番を土台にしつつ立候補の枠を残しています。区分所有者は全員が管理組合の構成員で脱退できないため、負担を全員で分ける輪番と相性がよく、立候補だけでは毎年の定数を満たせない組合がほとんどです。
Q2. 部屋を賃貸に出している区分所有者にも、理事の順番は回りますか?
回ります。役員は組合員のうちから総会の決議で選任され、組合員の資格は区分所有者であることに紐づくためです。そこに住んでいる賃借人は組合員ではなく、集会に出席して意見を述べることはできますが議決権はありません。住んでいる人ではなく所有している人が輪番の対象だと整理してください。
Q3. 高齢を理由に理事を辞退したいと言われたら、どうすればよいですか?
辞退の扱いに明文の基準はないため、組合の細則で先に決めておくのが確実です。年齢で一律に外すのか、申し出のあった年だけ順番を後ろへ送るのかを決め、飛ばした場合は翌年へ繰り越すことを表に記録します。外部役員の選任を検討する理由として高齢化が42.7%と最も多く挙がっており、辞退が増える前提で設計しておくのが安全です。
Q4. 理事の負担を軽くするには、何から手をつければよいですか?
理事会の開催回数と1回あたりの時間を先に見直してください。月1回程度の開催が35.7%、2か月に1回程度が27.3%です。報告事項が中心なら事前共有に回せますし、規約はWEB会議システム等を用いた理事会も認めています。ただし総会も理事会も活用したことがない組合が75.8%で、まだ余地が残っている部分です。
