マンションの管理組合が出すお知らせは、読まれていない前提で設計する必要があります。掲示板の前で足を止める人は限られており、ポストに入った紙の多くはチラシと一緒に処分されます。それでも、消防設備の点検で在宅してもらえなければ作業は完了せず、断水の告知が届かなければ苦情になります。読まれないことを嘆くのではなく、読まれなくても作業が止まらない出し方に組み替えるのが実務です。ここでは、お知らせの種類ごとに経路と作り方を分けて示します。
届かないと作業が止まるものと、止まらないもの
最初にやるのは仕分けです。管理組合が1年間に出すお知らせを全部並べて、届かなかったときに何が起きるかで2つに分けてください。
作業が止まるものは、住戸の側に行動を求めるお知らせです。消防設備の点検で室内に立ち入るための在宅の依頼、給排水管の高圧洗浄、貯水槽の清掃に伴う断水、バルコニーの片付け、駐車場の車両の一時移動、大規模修繕の説明会への出席。これらは1戸でも届かなければ、その住戸だけ作業が残ります。残った住戸のために日を改めると、そのたびに費用が発生します。
止まらないものは、知らせるだけのお知らせです。理事会の報告、行事の案内、共用施設の使い方のお願い、季節の注意喚起。届かなくても、その日の作業は完了します。
この2つを同じ経路、同じ体裁で出しているのが、多くの管理組合の現状です。結果として、在宅の依頼が季節の案内に埋もれます。まず仕分けをして、前者だけを別の扱いにしてください。前者は返事が要るお知らせ、後者は返事の要らないお知らせと言い換えると、設計が単純になります。
仕分けたら、前者の年間の件数を数えます。多くのマンションで、年に6件から12件です。この数なら、1件ずつ丁寧に経路を設計できます。全部を丁寧にやろうとすると続かないので、絞るのが要点です。
出し手が2つあることを、読む側に伝える
マンションのお知らせには発信者が2種類あります。管理組合の理事会が出すものと、管理会社が出すものです。この2つが同じ掲示板に同じ体裁で並んでいると、読む側はどちらに問い合わせればよいか分かりません。
管理会社が出すのは、委託契約に基づく業務に関するものです。設備の点検、清掃、修繕の手配、駐車場の管理。日付と作業の内容が入っていて、問い合わせ先は管理会社の担当者になります。
理事会が出すのは、管理組合としての意思決定に関するものです。総会の案内、理事会の報告、規約や細則の変更、行事、居住者へのお願い。問い合わせ先は理事会または管理員経由になります。
読む側の実感としては、この区別は付いていません。マンションの管理や運営に疑問を持ったときの相談先として、マンション管理業者を挙げる区分所有者が71.2%で最も多く、理事長または理事が45.4%、他の居住者が25.1%という調査結果があります。つまり、誰が出したお知らせであっても、まず管理会社に聞かれるということです。
対処は簡単で、お知らせの右上に発信者を明記することです。「○○マンション管理組合 理事会」または「○○管理株式会社」と入れ、その下に問い合わせ先と受付時間を書きます。書体や紙の色を分けている管理組合もありますが、そこまでしなくても、発信者と問い合わせ先の2行があれば足ります。
理事会が出すお知らせの原稿を管理会社に作ってもらっている場合も、発信者は理事会です。誰が書いたかではなく、誰の名前で出すかで書いてください。
掲示板とポスティングとエレベーター内は、届く相手が違う
経路は3つあり、それぞれ届く相手が違います。組み合わせを間違えると、必要な人に届きません。
掲示板は、建物内を通る人に届きます。エントランスや集合ポストの前に設置されていることが多く、日常的に通る場所です。ただし、足を止めて読む人は限られます。届く相手は、建物内に住んでいる人だけです。住んでいない区分所有者には届きません。
そして掲示板には、法律上の役割もあります。規約の保管場所は建物内の見やすい場所に掲示しなければならないという定めがあり、賃借人など占有者に対しては次の条文があります。
前項に規定する場合には、集会を招集する者は、第三十五条の規定により招集の通知を発した後遅滞なく、集会の日時、場所、会議の目的たる事項及び議案の要領を建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。 出典: laws.e-gov.go.jp
掲示板は装飾ではなく、法律が到達の場所として使っている設備です。ここを整理するときは、義務として掲示するものと、任意で掲示するものを分けてください。
ポスティングは、全戸に確実に物理的に届きます。ただし読まれるかどうかは別です。集合ポストの下にゴミ箱が置かれているマンションでは、チラシと一緒に捨てられる確率が上がります。届く相手は、その住戸にいる人です。賃貸に出ている住戸なら、届くのは賃借人であって、区分所有者ではありません。
エレベーター内の掲示は、この3つのなかで最も読まれます。乗っている間の数十秒、他に見るものがないからです。ただし面積が小さいので、載せられるのは1件だけです。ここに貼るのは、期限が迫っている最重要の1件に限ってください。3枚貼った時点で、どれも読まれなくなります。
住んでいない区分所有者に届く経路は、この3つのなかにありません。登録された送付先への郵送か、電子での配信が要ります。賃貸戸数の割合が20%を超えるマンションが15.5%あるという調査結果を踏まえると、5戸に1戸に届かない経路だけで運用している管理組合が一定数あることになります。
1枚の作り方は、上から3行で決まる
お知らせの1枚は、読み始めてもらえるかが上から3行で決まります。載せる順番には型があります。
1行目に、日付と時間帯を書きます。「9月18日(木)9時から12時」のように、曜日まで入れてください。読む側が最初に知りたいのは、自分の予定に関係するかどうかです。
2行目に、対象を書きます。全戸なのか、特定の階なのか、駐車場の契約者だけなのか。「全戸」と書いてあれば自分に関係すると分かり、「3階から5階の住戸」と書いてあれば、該当しない人はそこで読むのをやめられます。読むのをやめてもらうのも設計のうちです。
3行目に、してほしいことを書きます。「在宅をお願いします」「バルコニーの物を片付けてください」「車両を移動してください」。ここが曖昧だと、読んでも行動につながりません。
この3行の後に、背景と詳細を書きます。なぜその作業が必要なのか、当日は誰が来るのか、立ち会いは要るのか、不在の場合はどうなるのか。特に「不在の場合はどうなるのか」は必ず書いてください。ここが書かれていないお知らせが多く、そのせいで問い合わせが増えます。
最後に、問い合わせ先と受付時間を書きます。管理員室の在室時間、管理会社の電話番号、緊急時の連絡先。3つを並べて、どういうときにどこへ連絡するのかを1行ずつ添えます。
全体で、A4の1枚に収めてください。2枚になった時点で、2枚目は読まれません。どうしても情報量が多いなら、1枚目に要点、詳細は別紙という形にして、1枚目だけで行動できるようにします。
期限のある掲示は、剥がす日を先に書く
掲示板が読まれなくなる最大の原因は、古い紙が貼りっぱなしになっていることです。終わった行事の案内、去年の総会の議事録、期限の過ぎた工事の告知。これらが残っていると、読む側は「どうせ古い情報だ」と判断して、掲示板そのものを見なくなります。
対処は1つで、貼るときに剥がす日を決めることです。紙の右下に小さく掲示期間を印刷し、その日が来たら剥がします。管理員がいる管理組合なら、掲示と撤去を業務として依頼できます。いない場合は、月初と月中の2回、理事の誰かが点検する日を決めてください。
掲示板の面積も配分を決めておきます。常設の区画と、期限付きの区画を分けます。常設は、規約の保管場所の掲示、管理員の勤務時間、緊急連絡先、ゴミの出し方。ここは動かしません。期限付きの区画は、多くて4枚までとし、5枚目を貼るときは古いものを剥がします。
枚数の上限を決めるのが要点です。上限がないと、貼る側は遠慮なく増やします。増えた掲示板は、情報量が多いのではなく、読まれない場所になります。
議事録や決算のように、読んでほしいが分量が多い書類は、掲示板に貼るものではありません。掲示板には「議事録を配布しました。手元にない方は管理員室へお申し出ください」という1枚を貼り、本体は配布か電子で届けます。掲示板に10ページの書類を貼っても、立って読む人はいません。
緊急のお知らせには、別の経路が要る
漏水、断水、停電、エレベーターの停止、火災報知器の作動、台風の接近。これらは、掲示板とポスティングでは間に合いません。掲示を見るのは次に建物を通るときで、ポスティングは配り終わるまでに数十分かかります。
緊急の連絡で押さえるべきは3点です。
1つ目が、発生から30分以内に第一報を出せる経路があるかです。内容は完璧でなくて構いません。「何が起きているか」「いま分かっていること」「次にいつ続報を出すか」の3つだけで足ります。続報の時刻を約束するのが要点で、これがあると問い合わせが減ります。
2つ目が、夜間と休日に誰が出すかです。管理員が不在の時間帯に発生したときの手順を、あらかじめ決めておいてください。管理会社の緊急対応窓口が第一報を出すのか、理事長が出すのか。決めていないと、誰も出さないまま朝になります。
3つ目が、住戸内に影響が及ぶかどうかの判断です。上階からの漏水は、下の住戸の生活に直接影響します。この場合は該当する住戸へ個別に連絡する必要があり、全戸へのお知らせとは別の作業になります。管理組合が過去1年間に経験した建物の不具合に係るトラブルは31.7%で、内訳は水漏れが20.1%、雨漏りが10.7%です。5戸に1戸以上のマンションで水漏れが起きている計算になるので、手順を決めておく価値があります。
災害への備えとしては、消防設備等の点検を実施している管理組合が69.5%、定期的に防災訓練を実施しているのが39.8%という調査結果があります。訓練を実施しているなら、その場で緊急連絡の経路を1回試してください。訓練の当日に第一報を流してみると、届かない住戸がその場で分かります。
年間の予定表を先に作ると、突発のお知らせが減る
お知らせが多すぎて読まれなくなる管理組合には、共通した原因があります。1年の予定を先に組んでいないので、直前になって1件ずつ告知しているのです。
管理組合が出すお知らせのうち、日程が決まっているものは全体の8割を占めます。消防設備の点検は年2回、貯水槽の清掃は年1回、給排水管の高圧洗浄は数年に1回、植栽の剪定は年2回から3回、排水溝の清掃、駐車場の車路の補修、総会、防災訓練。これらは前年度の実績を見れば時期が読めます。
年度の初めに、これらを1枚の予定表にまとめて全戸に配ってください。月ごとに何があるかが並んでいれば、住戸の側は先に予定を空けられます。そして直前のお知らせは、詳細を確定させるための1枚で済みます。「4月に配った予定表のとおり、9月18日に消防設備の点検を実施します。時間帯は次のとおりです」という書き方ができると、読む側の負担が減ります。
この予定表には、日程が確定していないものも載せてください。「大規模修繕の説明会(時期未定、9月頃を予定)」と書いておけば、後から突然出てきた印象を避けられます。
作る手順は簡単です。前年度に出したお知らせを全部集めて、日付順に並べます。管理会社に依頼すれば、委託業務の年間予定は出してもらえます。そこに理事会の日程と総会を足せば、1年分の骨格ができます。理事会を月に1回程度開催している管理組合が35.7%、2か月に1回程度が27.3%という調査結果がありますが、この開催日も予定表に入れておくと、居住者が意見を出すタイミングを掴めます。
予定表を作る副産物として、お知らせの総量が見えます。年に30枚配っているのか、60枚なのか。数えてみると、減らせるものが見つかります。
届いたかどうかを、どう確かめるか
紙で配っている限り、届いたかどうかは分かりません。分からないまま作業日を迎えて、在宅していない住戸が10戸出る。これが毎回繰り返されるのが、多くの管理組合の状態です。
確かめる方法は、お知らせの種類によって3段階に分かれます。
返事の要らないお知らせは、確かめる必要がありません。掲示して配布した記録が残っていれば足ります。ここに手間をかけないと決めるのが最初の判断です。
返事の要るお知らせは、返ってきた数を数えます。在宅の依頼なら、希望時間帯の回答が何戸から返っているか。全100戸のうち72戸から返事があれば、残りの28戸に絞って督促できます。紙の回収票を配る形でも、数えられれば構いません。要点は、返事がない住戸の一覧が作れることです。
作業が止まると費用が発生するお知らせは、電話か訪問で確認します。給排水管の高圧洗浄のように、1戸だけ後日にすると追加費用がかかる作業では、締切の3日前に未回答の住戸へ個別に連絡します。この作業を管理会社に含めてもらえるかは、委託契約の内容によります。
電子で配信する形に移すと、開いたかどうかが分かる仕組みを持つものがあります。ただし、開いた記録が取れることと、内容が理解されていることは別です。既読の数を追いかけるより、返事の数を追いかけるほうが実務に直結します。既読が90戸でも、返事が40戸なら、作業は止まります。
督促の出し方にも型があります。全戸に「まだの方はお早めに」と貼っても効きません。未回答の住戸にだけ、個別に届く形で出してください。全体への督促は、すでに出した人にとっては無関係な情報で、掲示板が読まれなくなる原因を1つ増やすだけです。
同じ質問が何度も来る案件は、お知らせにしない
管理員室と理事長に繰り返し寄せられる質問があります。ゴミの分別と収集日、粗大ごみの出し方、駐輪シールの申請、来客用駐車場の予約、鍵の紛失時の対応、共用施設の使い方、宅配ボックスの操作。
これらをお知らせとして出しても、その月に読んだ人にしか届きません。翌月に引っ越してきた人には届かず、また同じ質問が来ます。年に何度も同じ紙を貼ることになります。
対処は、お知らせと常設の情報を分けることです。繰り返し必要になる情報は、掲示板の常設区画に置くか、いつでも参照できる場所にまとめます。そして新しく入居した住戸には、その場所を案内する1枚を渡します。
まとめる項目は、多くのマンションで15項目前後です。それぞれ数行で足ります。作るのに半日かかりますが、一度作れば数年使えます。理事が交代しても引き継がれるので、新任の理事が同じ質問に答える負担も減ります。
置き配のように後から加わった運用も、この常設の情報に組み込んでください。国土交通省は置き配に関する使用細則を定める際のポイントを示しており、細則を作った管理組合は増えています。決めた直後にお知らせを1回出して終わりにすると、そのとき建物にいた人にしか届きません。細則を作ったら、必ず常設の側にも書き足してください。
賃借人に届く経路が、いつも抜ける
管理組合のお知らせで最も抜けやすい相手が、賃借人です。理由は、管理組合が賃借人と直接の関係を持っていないからです。
法律上は、占有者は建物や敷地の使用方法につき、区分所有者が規約または集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負うとされています。つまり、共用部分の使い方のルールは賃借人にも効きます。しかし、そのルールを賃借人へ伝える経路が定められているわけではありません。
実務で使える経路は3つです。
1つ目が、掲示です。建物内の掲示は賃借人の目にも入ります。総会の開催については、招集通知を発した後遅滞なく建物内の見やすい場所に掲示する義務があるので、これは必ず行います。
2つ目が、ポスティングです。住戸のポストに入れれば、そこに住んでいる人に届きます。区分所有者宛と居住者宛を分けたい場合は、宛名の書き方で区別してください。「区分所有者各位」と「ご入居者各位」を書き分けるだけで、読む側の判断が変わります。
3つ目が、貸主である区分所有者を経由する方法です。規約や細則の変更のように、賃貸借契約の内容に関わるものは、この経路が確実です。ただし時間がかかります。
賃貸に出す際に管理組合のルールを賃借人へ伝えることを、細則で区分所有者の義務としている管理組合もあります。入居時に規約と使用細則の写しを渡す運用です。居住者間の行為やマナーをめぐるトラブルが60.5%と最も多く、具体的には生活音が43.6%、違法駐車が18.2%、ペット飼育が14.2%という調査結果を踏まえると、入居の時点でルールが渡っているかどうかは、その後の1年を大きく左右します。
トラブルに関するお知らせは、名指しにしない
騒音、ゴミの出し方、違法駐車、ペット。特定の住戸の行為が原因で出すお知らせは、書き方を誤ると別のトラブルを生みます。
原則は3つあります。1つ目が、住戸や個人を特定できる書き方をしないことです。「3階の一部の住戸で」と書くだけでも、階数が分かれば絞り込めます。「共用部分において」「一部の住戸において」といった書き方にとどめてください。
2つ目が、事実と依頼だけを書き、評価を書かないことです。「深夜に大きな音が続いているとの申し出がありました」は事実、「非常識な行為です」は評価です。評価を書いた瞬間に、当事者は掲示を攻撃として受け取り、話し合いができなくなります。
3つ目が、繰り返さないことです。同じ内容のお知らせを3回貼っても、行動は変わりません。3回目を貼る段階で、それは掲示で解決する問題ではないという判断に切り替えてください。個別の連絡、理事会での協議、専門家への相談という順に進めます。専門家を活用しているマンションは41.4%で、弁護士を活用した例が14.5%あります。
管理費等の滞納に関する掲示も同じ考え方です。管理費や修繕積立金を3か月以上滞納している住戸があるマンションは30.1%ありますが、住戸番号や氏名を掲示に出すのは避けてください。滞納の事実を公開することが目的ではなく、回収することが目的です。掲示で回収された例より、掲示が原因で紛争になった例のほうが多く聞かれます。
文章の長さと言葉づかいで、読まれ方が変わる
同じ内容でも、書き方で読まれる量が変わります。管理組合のお知らせでよく見かける、直せる癖が4つあります。
1つ目が、前置きが長いことです。「日頃より管理組合の運営にご理解とご協力を賜り、厚く御礼申し上げます」で始まる1枚は、本題に入るまでに3行かかります。挨拶を入れるなら1行にとどめ、日付と用件を先に出してください。丁寧さは、文の長さではなく、必要な情報が揃っていることで伝わります。
2つ目が、受け身の多用です。「実施されます」「予定されております」と書くと、誰がやるのかが消えます。「管理会社の担当者が実施します」と主語を入れてください。誰が来るのかが分かると、当日に扉を開ける判断がしやすくなります。
3つ目が、専門用語をそのまま使うことです。共用部分、専有部分、修繕積立金、長期修繕計画、区分所有者。管理組合の運営に関わる人には日常語ですが、そうでない人には壁になります。マンション標準管理規約の認知状況では、名前ぐらいは聞いたことがあるという回答が30.9%で最も多いという調査結果があります。用語は初めて出てくるところで一度だけ短く言い換えてください。
4つ目が、否定形で書くことです。「バルコニーに物を置かないでください」より、「バルコニーの物を9月17日までに室内へ移してください」のほうが行動につながります。禁止ではなく、いつまでに何をするかで書くのが原則です。
文字の大きさも実務上の要素です。世帯主の年齢は60歳代が27.8%で最も多く、70歳以上の割合は25.9%に増えています。掲示板に貼る紙は、離れて立って読める大きさが要ります。A4を1枚貼るのではなく、要点だけをA3に大きく印刷して貼り、詳細は配布に回す形にすると、掲示板の前で立ち止まる人が増えます。
とりまとめる側から見た、お知らせの保管場所
紙とデジタルの併用に移すとき、管理組合の事情に照らして見るべき点は4つあります。
1つ目が、出す相手を切り替えられるかです。全区分所有者に出すもの、建物内の居住者に出すもの、駐車場の契約者だけに出すもの、理事だけで共有するもの。この4つを1つの場所で切り替えられないと、経路が増えていきます。
2つ目が、急ぎのものを分けられるかです。断水の第一報と、来月の行事の案内が同じ並びに出てくると、急ぎのものが埋もれます。通知の出し方を分けられるかを確認してください。
3つ目が、過去のものを日付順に探せるかです。半年前の工事の案内をもう一度見たいという要望は必ず出ます。流れて消える形式では、掲示板の代わりになりません。
4つ目が、住戸番号と個人が結び付く情報を扱える作りかどうかです。滞納や漏水の連絡では、どうしても住戸が特定される情報が出ます。連絡の場がメンバー以外は見られない状態でないと、扱える内容が限られます。
比較の材料としては、日常の連絡で広く使われているグループチャットとの違いをまとめたLINEグループとの比較、参加者の管理方法が異なるLINEオープンチャットとの比較、掲示と写真の扱いを比べたBANDとの比較が判断に使えます。公開範囲の考え方が違うFacebookグループとの比較、目的別に場所を分ける仕組みを持つDiscordとの比較も、経路の設計を考えるときの参考になります。
経路を分けて運用している団体の例としては町内会での使われかたが参考になります。仕組みを入れる前に確かめておきたい点はよくある質問に並んでいます。
お知らせは、出す回数を増やしても届きません。届かないと作業が止まるものを年に6件から12件に絞り、その6件から12件だけを確実に届ける経路を作る。残りは掲示板に貼って、読みたい人が読める状態にしておく。この割り切りができると、理事の作業も減ります。
Q1. 管理組合のお知らせは、掲示板とポスティングのどちらがよいですか?
届けたい相手で選びます。掲示板は建物内を通る人に届き、規約の保管場所や総会開催の掲示のように法律上の役割もあります。ポスティングは全戸に物理的に届きますが、読まれるとは限りません。住んでいない区分所有者にはどちらも届かないので、登録された送付先への郵送か電子での配信が別に必要です。
Q2. お知らせの1枚には、何をどの順で書けばよいですか?
1行目に日付と時間帯、2行目に対象、3行目にしてほしいことを書きます。その後に背景と詳細、最後に問い合わせ先と受付時間です。特に「不在の場合はどうなるのか」は必ず書いてください。ここが抜けていると問い合わせが増えます。全体はA4の1枚に収め、2枚目を作らないようにします。
Q3. 騒音や違法駐車のお知らせで、住戸を特定して書いてもよいですか?
避けてください。住戸や個人が特定できる書き方は別のトラブルを生みます。事実と依頼だけを書き、評価は書かないでください。同じ内容を3回貼っても行動は変わらないので、3回目の段階で個別の連絡や理事会での協議に切り替えます。管理費の滞納も同様で、住戸番号や氏名の掲示は行いません。
Q4. 賃借人にお知らせを届けるには、どうすればよいですか?
経路は3つあります。建物内の掲示、住戸へのポスティング、貸主である区分所有者を経由する方法です。総会の開催については、招集通知を発した後遅滞なく建物内の見やすい場所に掲示する義務があります。宛名を「区分所有者各位」と「ご入居者各位」で書き分けるだけでも、読む側の判断が変わります。
