団体ごとの決め方

マンションの管理組合の個人情報をどう扱うか|集めてよいものと保管場所の決め方

2026年9月13日 ・ Tsudoo編集部

マンションの管理組合が持っている情報は、意外と重いものです。誰が何号室に住んでいて、家族が何人いて、緊急時にどこへ連絡すればよく、どの住戸が管理費を滞納しているか。これが1年ごとに交代する理事の手元を通っていきます。個人情報の扱いで管理組合が事故を起こすのは、法律を知らないからではなく、保管場所と引き継ぎを決めていないからです。ここでは、集めてよいものの線引きと、保管場所の決め方を順に示します。

管理組合も個人情報を取り扱う立場にある

まず前提を1つ確認します。管理組合は営利企業ではありませんが、個人情報保護法の適用を受けます。

法律は、個人情報データベース等を事業の用に供している者を個人情報取扱事業者と定めています。ここでいう事業には、営利か非営利かの区別がありません。名簿を作って住戸番号順に並べ、必要なときに引ける状態にしていれば、それは個人情報データベース等にあたります。管理組合の規模が小さくても変わりません。かつては取り扱う件数によって適用の有無が分かれる時期がありましたが、その区別は現在ありません。

そして、区分所有法にも名簿に関する定めがあります。管理組合法人については、区分所有者名簿を備え置き、区分所有者の変更があるごとに必要な変更を加えなければならないとされています。法人化していない管理組合にこの条文が直接適用されるわけではありませんが、規約でこれに準じた定めを置いている例は多くあります。

実際の整備状況を見ると、組合員名簿を整備している管理組合は86.0%、居住者名簿は82.8%、緊急連絡先は81.7%です。総戸数の規模が小さいほど整備していない割合が高くなる傾向があります。裏を返すと、8割を超える管理組合が個人情報を保有している状態にあります。

「うちは小さいから関係ない」という判断はできません。むしろ小規模な管理組合のほうが、理事長の自宅に名簿が保存されたままになりやすく、事故が起きやすい構造にあります。

何のために集めるかを、先に書く

個人情報の扱いで最初にやることは、集める作業ではありません。何のために集めるのかを決めて、書くことです。

法律は、個人情報を取り扱うに当たっては利用の目的をできる限り特定しなければならないと定めています。そのうえで、書面で取得する場合には次の定めが置かれています。

個人情報取扱事業者は、前項の規定にかかわらず、本人との間で契約を締結することに伴って契約書その他の書面(電磁的記録を含む。以下この項において同じ。)に記載された当該本人の個人情報を取得する場合その他本人から直接書面に記載された当該本人の個人情報を取得する場合は、あらかじめ、本人に対し、その利用目的を明示しなければならない。 出典: laws.e-gov.go.jp

名簿の届出用紙は、まさにこの書面にあたります。入居のときに書いてもらう用紙も、年に1回の更新で回収する確認票も、直接書面で個人情報を取得する場面です。

多くの管理組合の届出用紙には、利用目的が書かれていません。「入居時に提出してください」とだけ書かれた用紙が配られ、氏名と連絡先が集まります。この状態で集めた情報を、後から別の用途に使うと、目的外の利用になります。

書くべきことは4つです。1つ目が、何に使うのか。総会の招集通知の送付、管理費等の請求、緊急時の連絡、防災の際の安否確認、といった具体的な用途を並べます。2つ目が、誰が見るのか。理事長と理事、管理会社の担当者、といった範囲を書きます。3つ目が、どこに保存するのか。管理員室の施錠された保管庫、といった場所です。4つ目が、いつまで保管し、いつ廃棄するのか。

これを1枚の様式に落とし込むと、届出用紙の上半分になります。下半分が記入欄です。この形にしておくと、集めた後の判断が全部そこに戻れます。「防災訓練の名簿として使ってよいか」という質問が出たときに、用紙に書いてあれば使え、書いていなければ使えません。

利用目的を変更する場合には、変更前の目的と関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行ってはならないという定めもあります。新しい用途が出てきたら、範囲内かどうかを確かめてください。判断に迷うなら、次の名簿の更新のときに用紙を作り直すのが確実です。

3つの名簿を分けて、それぞれの粒度を決める

管理組合が持つ名簿は、性質の異なる3つに分かれます。1つの表にまとめると、必要のない人に必要のない情報が見える状態になります。

1つ目が、組合員名簿です。区分所有者が誰で、どの住戸を持ち、連絡先はどこか。総会の招集通知を送る先であり、管理費を請求する先です。持っていない管理組合はほとんどありません。住んでいない所有者の送付先が、この名簿の中心的な情報になります。

2つ目が、居住者名簿です。実際にその住戸に住んでいるのは誰か。賃借人の氏名、同居している家族の人数。共用部分の使い方に関する連絡や、居住者間のトラブルの対応で使います。

3つ目が、緊急連絡先です。本人と連絡が取れないときに、誰に連絡すればよいか。離れて暮らす家族、勤務先、近隣に住む親族。使う場面は限られますが、必要になったときには他に代えがききません。

この3つは、更新される頻度が違います。組合員名簿は売買のときに、居住者名簿は入退去のときに、緊急連絡先は本人の事情が変わったときに更新されます。実際の更新状況を見ると、変更のたびに更新している、または年1回以上定期的に内容を確認しているのは、組合員名簿で68.7%、居住者名簿で60.9%、緊急連絡先で51.3%です。緊急連絡先は半分が古いまま放置されています。

更新の仕組みは、年1回に固定するのが現実的です。総会の議案書を配るときに、登録内容を印字した確認票を同封し、変更がある人だけ返してもらう形です。全員に書き直させると回収率が落ちます。変更がない人は何もしないでよい形にしてください。

集めなくてよいものを、はっきり決める

事故を減らす最も確実な方法は、持たないことです。持っていない情報は漏れません。

管理組合の届出用紙でよく見かける項目のうち、本当に必要か検討すべきものが5つあります。

1つ目が、勤務先です。かつては日中の連絡先として意味がありましたが、携帯電話が普及した現在、管理組合が勤務先を知っている必要はほとんどありません。

2つ目が、家族全員の氏名と生年月日です。世帯人数だけで足りる場面が大半です。防災の観点で乳幼児や高齢者の有無を知りたいなら、年齢そのものではなく「支援が必要な方の有無」という形で聞けば足ります。

3つ目が、健康状態や障害に関する情報です。これは要配慮個人情報にあたり、法律は原則としてあらかじめ本人の同意を得ないで取得してはならないと定めています。管理組合が病名や障害の等級を保有する必要は、通常ありません。

4つ目が、車のナンバーと車種です。駐車場を契約している住戸については必要ですが、契約していない住戸から集める理由はありません。

5つ目が、ペットの詳細です。飼育を届け出る細則があるなら種類と頭数までで足り、動物病院や血統書の情報までは要りません。

集めるかどうかを判断する基準は1つです。その情報がないと実行できない管理組合の業務が、具体的に言えるかどうか。言えないなら集めない。この基準で届出用紙を見直すと、項目が3割は減ります。

減らすときに一緒に見直したいのが、記入欄の作り方です。氏名を書かせる欄が世帯全員分あると、書く側は全員分を埋めようとします。世帯人数だけを聞きたいなら、数字を書く欄を1つ置けば足ります。欄があるから書かれる、という関係を意識してください。用紙の様式そのものが、集める情報の量を決めています。

もう1つ、任意の項目には「任意」と明記してください。緊急連絡先のように、書いてもらえると助かるが必須ではない項目があります。必須と任意が区別されていない用紙は、書きたくない項目のせいで提出そのものが止まります。必須を3項目に絞り、残りを任意にすると、提出率が上がります。

名簿を配ってよいか、閲覧させてよいか

管理組合でよく相談が出るのが、この論点です。答えは、配ることと閲覧させることを分けて考えると整理できます。

法律は、あらかじめ本人の同意を得ないで個人データを第三者に提供してはならないと定めています。名簿を全戸に配ることは、他の組合員という第三者への提供にあたります。したがって、配るなら本人の同意が要ります。届出用紙の利用目的に「組合員名簿として全戸へ配布します」と明記し、それを承知のうえで提出してもらう形にすれば、同意を得たと整理できます。書いていない状態で配るのは避けてください。

実際の運用は分かれています。組合員名簿の閲覧について、閲覧理由が妥当な場合は閲覧できるとする管理組合が37.1%、請求があれば閲覧できるが16.9%、配布しているので閲覧の必要がないが3.0%で、合わせて57.0%の管理組合が確認できる体制にあります。一方、閲覧を認めていない管理組合は38.2%です。

ここで混同されやすいのが、規約と議事録の閲覧です。区分所有法は、規約を保管する者は利害関係人の請求があったときは正当な理由がある場合を除いて閲覧を拒んではならないと定めており、この規定は議事録にも準用されます。中古で部屋を買おうとする人や仲介業者から閲覧を求められるのは、この条文が根拠です。

しかし、この条文が対象にしているのは規約と議事録であって、名簿ではありません。名簿の閲覧請求は別の話で、個人情報の第三者提供として判断します。組合員が「総会の招集を請求したいので他の区分所有者の連絡先を知りたい」と求めてきた場合のように、正当な理由が認められる場面はありますが、無条件に応じるものではありません。請求の理由を書面で出してもらい、理事会で判断する手順を決めておいてください。

保管場所。紙の名簿がいちばん残る

法律は、取り扱う個人データの漏えいや滅失などを防ぐため、安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならないと定めています。ただし、具体的に何をすればよいかまでは書かれていません。管理組合の実情に照らすと、押さえる場所は4つです。

1つ目が、紙の原本の保管場所です。届出用紙の原本は、管理員室の施錠できる保管庫に保存します。理事長の自宅に保存する運用は避けてください。理事は1年か2年で交代し、そのたびに名簿が引っ越します。引っ越しの途中で写しが残ります。

2つ目が、写しの管理です。事故の大半は原本ではなく写しから起きます。総会の受付名簿、防災訓練の点呼表、工事の在宅確認表。これらは名簿から作られた写しで、作業が終わると誰の管理下にもない紙として残ります。作った写しには作成日と廃棄予定日を書き、使い終わったら裁断する。この習慣だけで、事故の確率は大きく下がります。

3つ目が、電子ファイルの保管場所です。名簿を表計算ソフトで管理している管理組合は多くありますが、そのファイルが理事の個人のパソコンにあると、退任後もそこに残ります。共用の保管場所を決め、個人の端末に保存しない運用にしてください。持ち出しが必要なときは、その都度取り出して、終わったら消します。

4つ目が、見られる人の範囲です。理事全員が名簿の全項目を見る必要はありません。会計担当は住戸番号と請求先が要りますが、緊急連絡先までは要りません。役割ごとに見られる範囲を分けられる保管場所かどうかは、選ぶときの判断材料になります。

管理会社に預けている部分を、契約書で確かめる

多くの管理組合は、名簿の管理を含めた事務を管理会社に委託しています。この場合、管理会社は委託先という位置づけになり、委託した側には委託先を監督する責任が残ります。預けたから終わり、ではありません。

確かめる点は3つです。1つ目が、委託契約書に個人情報の取り扱いに関する条項があるかどうか。何を預け、どう管理し、契約が終わったらどう返却または廃棄するのかが書かれているかを見てください。

2つ目が、預けている情報の範囲です。組合員名簿は預けているが緊急連絡先は預けていない、という状態なら、緊急時に管理会社は連絡できません。逆に、必要のない情報まで預けているなら減らせます。

3つ目が、管理会社を変更するときの手順です。委託先を変えるときに、旧の会社が持っている名簿がどうなるのかを、契約の段階で決めておきます。返却されるのか、廃棄されるのか、廃棄の証明が出るのか。委託先の変更は数年に一度しか起きないので、そのときになって初めて考えると間に合いません。

管理者の選任状況を見ると、92.1%が管理組合の代表者で、区分所有者以外の第三者が管理者となっているマンションは3.7%です。第三者管理者方式を採る場合は、名簿の保管主体そのものが外部になります。国土交通省は外部管理者方式等に関するガイドラインも示しているので、この方式を検討している管理組合は、個人情報の保管と閲覧の取り決めを併せて確認してください。

役員が交代するときが、いちばん漏れる

理事が輪番で1年ごとに交代する管理組合では、年に1回、名簿が丸ごと引き継がれます。ここが最も危険な場面です。

引き継ぎで決めておくことが4つあります。

1つ目が、渡すものの一覧です。何を渡したかを書面にして、双方で確認します。紙の名簿、電子ファイル、鍵、印鑑。一覧がないと、何が渡っていないかも分かりません。

2つ目が、渡さないものの処分です。前任者の手元にある写しや、個人のパソコンに保存したファイルは、引き継ぎの対象ではなく、廃棄の対象です。「消してください」と口頭で言うだけでは残ります。引き継ぎの書面に、廃棄の確認欄を作ってください。

3つ目が、連絡用のグループからの退会です。理事の連絡に個人のメッセージアプリを使っている場合、退任した人を外す作業が必要になります。外し忘れると、翌年の理事会の議論を前任者が読み続けることになります。滞納や居住者間のトラブルを扱う場である以上、これは避けたい状態です。連絡の場がメンバー以外は見られないだけでなく、抜けた人が過去のやり取りを追えなくなる形かどうかを確認してください。

4つ目が、引き継ぎの時期です。総会で新しい理事が選任されてから、実際に引き継ぐまでに数週間空くことがあります。その間、名簿は誰の管理下にあるのかを決めておいてください。

外部の役員を選任する意向を持つマンションが34.6%あり、その理由として区分所有者の高齢化が42.7%、役員のなり手不足が42.3%を占めるという調査結果があります。担い手が減るほど、引き継ぎの負担は重くなります。引き継ぐものが1つにまとまっているかどうかで、次の担い手が見つかるかどうかも変わります。

滞納している住戸を、掲示してよいか

管理費や修繕積立金を3か月以上滞納している住戸があるマンションは30.1%で、築年数が古いほど割合が高くなる傾向があります。3戸に1戸近い管理組合が抱えている問題です。

住戸番号や氏名を掲示板に貼り出すという案は、たびたび出ます。しかし、これは避けてください。理由は2つあります。

1つ目が、目的外の利用にあたる可能性が高いことです。管理費の請求のために集めた情報を、制裁のために公開することは、当初の利用目的の範囲を超えます。

2つ目が、回収につながらないことです。滞納の理由は、資金がない、口座の残高が足りていなかった、相続の手続が終わっていない、所在が分からない、と分かれます。公開して解決するのは、このうちどれでもありません。むしろ紛争になり、回収がさらに遠のきます。

やるべきことは、掲示ではなく手順の実行です。督促の書面を出し、記録を残し、それでも支払われないなら法的な手続に進む。この順番を細則で定めておけば、理事が交代しても対応が続きます。

総会の議案書や決算書に滞納の状況を載せる場合も、住戸が特定できる形にはしないでください。滞納の件数と金額の合計、経過月数ごとの内訳までにとどめます。組合員に対する説明としては、それで足ります。

防犯カメラの映像も同じ考え方です。設置するなら、何のために撮っているのか、何日保存するのか、誰が見られるのかを細則で定めてください。居住者から「特定の日時の映像を見せてほしい」と求められたときに、その場で判断すると必ず揉めます。警察からの照会に応じる場合の手順も、あらかじめ決めておくと迷いません。

行事の写真と、掲示物に写り込む顔

防災訓練、夏祭り、清掃活動、餅つき。管理組合が行事を実施すると、写真が残ります。この扱いを決めていない管理組合がほとんどです。

写真は、写っている人が誰か分かる限り個人情報として扱われます。したがって、名簿と同じ考え方で線を引きます。何のために撮るのか、どこに載せるのか、いつまで保存するのか。この3つを決めてから撮ってください。

実務で決めておくべきことは3つです。1つ目が、撮影することを事前に知らせることです。行事の案内に「当日の様子を撮影し、理事会だよりと掲示板に掲載します」と1行入れておきます。この1行があるかないかで、後から苦情が来たときの対応が変わります。

2つ目が、写りたくない人の受け皿です。当日の受付で申し出てもらう形が現実的です。名札の色を変える、腕章を渡すといった方法もありますが、小規模な行事なら口頭の申し出で足ります。申し出た人の一覧は、その日のうちに写真を選ぶ担当へ渡します。

3つ目が、載せる場所と範囲です。建物内の掲示板に貼るのと、誰でも見られる場所に載せるのとでは、意味がまったく違います。管理組合の行事の写真を公開の場に出す必要は、通常ありません。メンバー以外は見られない場所に保存し、必要な人だけが見られる形にしてください。

子どもが写っている写真は、特に慎重に扱います。保護者の意向は家庭ごとに違い、同じ行事のなかでも分かれます。全体を撮った写真であっても、顔がはっきり分かるものは、載せる前に一度確認する運用にしている管理組合が多くあります。

掲示物に写り込む顔もあります。防災訓練の報告、清掃活動の告知に使う写真、工事の進捗を伝える掲示。これらも同じ扱いです。人が写っていない構図で撮れるなら、そのほうが後の作業が減ります。

入居と退去のときに、消す作業を決めておく

名簿は、足す作業には気を配られますが、消す作業は忘れられます。退去した賃借人の情報、売却した区分所有者の連絡先、退任した役員の個人の携帯番号。これらが何年も残っている管理組合は珍しくありません。

区分所有法は、規約および集会の決議は区分所有者の特定承継人に対しても効力を生ずると定めています。ルールは次の持ち主に引き継がれますが、前の持ち主の個人情報を持ち続ける理由にはなりません。

消す作業を決めるときは、3つの区切りを設けます。

1つ目が、退去または売却の届出が出た時点です。居住者名簿と緊急連絡先は、この時点で更新します。空室になった住戸は、空室と記録して連絡先の欄を空けます。3か月以上の空室が1戸もないマンションは55.4%にとどまるので、残りの管理組合には必ず空室の行があります。

2つ目が、会計上の処理が終わった時点です。管理費の精算や滞納の回収が残っている間は、請求のために連絡先が要ります。処理が終わってから消します。

3つ目が、記録として残す期間の満了です。総会の議事録に載っている氏名のように、記録の一部として残るものは消せません。名簿から消すことと、過去の記録を書き換えることは別です。ここを混同しないでください。

そして、消したことを記録に残します。いつ、どの住戸の情報を、どの範囲で消したか。1行の記録で足ります。これがあると、翌年に「あの人の連絡先はどこへ行ったのか」という問い合わせに答えられます。

漏れたときに、何をするか

万が一に備えて、手順を1枚にまとめておいてください。法律は、個人データの漏えい等が生じ、個人の権利利益を害するおそれが大きいものとして規則で定める事態が生じたときは、個人情報保護委員会に報告しなければならないと定めています。あわせて、本人に対しても通知しなければならないとされています。

管理組合で起きうる漏えいは、想像しやすいものばかりです。名簿を入れた鞄を電車に置き忘れる。総会の受付名簿を会場に残したまま帰る。名簿の電子ファイルを誤って全戸に送信する。管理員室が荒らされる。どれも、悪意がなくても起きます。

決めておくのは3つです。1つ目が、気づいた人が誰に連絡するかです。理事長と管理会社の両方に、その日のうちに連絡する形にしておきます。2つ目が、状況を記録する様式です。いつ、何が、どの範囲で漏れた可能性があるのか。記憶が新しいうちに書き留めないと、後から報告の内容が固まりません。3つ目が、本人への連絡の方法です。該当する住戸へどう伝えるかを決めておきます。

個人情報保護委員会のページには、事業者向けの手引きや報告の様式が公開されています。実際に起きてから探すのではなく、手順書を作る段階で一度目を通しておくと、判断が早くなります。

とりまとめる側から見た、保管場所の選び方

ここまでの内容を踏まえて、名簿と連絡の保管場所を選ぶときに見る点を4つ挙げます。

1つ目が、見られる範囲を役割で分けられるかです。理事全員が全項目を見る必要はありません。会計、防災、渉外で必要な情報は違います。分けられない仕組みだと、全員が全部を見る運用にならざるを得ません。

2つ目が、抜けた人が過去に遡れない形かどうかです。理事が毎年交代する以上、入れ替わりは必ず起きます。退任した人が過去のやり取りを読み続けられる形は、管理組合には向きません。

3つ目が、本人が自分で更新できるかです。引っ越し、連絡先の変更、家族構成の変化。本人が直接直せる形なら、理事が転記する作業が消え、転記の途中で写しが生まれることもなくなります。

4つ目が、引き継ぐ単位が1つで済むかです。名簿は表計算ソフト、連絡はメッセージアプリ、写真は誰かの端末、書類は管理員室。この状態だと、交代のたびにどれかが失われます。

比較の材料としては、日常の連絡に使われているグループチャットとの違いをまとめたLINEグループとの比較、参加者の管理方法が異なるLINEオープンチャットとの比較、写真と投稿の扱いを比べたBANDとの比較が参考になります。情報の公開範囲を細かく設定できるかどうかはFacebookグループとの比較で確かめられます。

運用の形を具体的に見るなら、地域の役員が輪番で回る例をまとめた町内会での使われかた、年度で担当が入れ替わる例をまとめたPTAでの使われかたが近い形です。運用を始める前に確認しておきたい点はよくある質問に並べてあります。

個人情報の扱いは、規程を作って終わりではありません。届出用紙に利用目的を書く、写しに廃棄予定日を書く、引き継ぎの一覧を作る。この3つを今年のうちに済ませておけば、来年の理事はそのまま続けられます。

Q1. 小さなマンションの管理組合でも、個人情報保護法の対象になりますか?

なります。名簿を作って住戸番号順に引ける状態にしていれば個人情報データベース等にあたり、営利か非営利かも問われません。取り扱う件数によって適用が分かれる区別も現在はありません。むしろ小規模な管理組合のほうが、理事長の自宅に名簿が保存されたままになりやすく、事故の起きやすい構造にあります。

Q2. 組合員名簿を全戸に配ってよいですか?

配るには本人の同意が要ります。他の組合員も第三者にあたるため、同意なく提供することはできません。届出用紙の利用目的に「組合員名簿として全戸へ配布します」と明記したうえで提出してもらう形にしてください。調査では、閲覧を認めていない管理組合が38.2%あり、対応は分かれています。

Q3. 管理費を滞納している住戸を掲示板に貼り出してもよいですか?

避けてください。請求のために集めた情報を制裁のために公開することは、当初の利用目的の範囲を超える可能性が高く、回収にもつながりません。督促の書面を出し、記録を残し、必要なら法的な手続に進む順番を細則で定めてください。総会の資料に載せる場合も、件数と金額の合計にとどめ、住戸が特定できる形にはしません。

Q4. 役員が交代するとき、名簿はどう引き継げばよいですか?

渡すものの一覧を書面にし、双方で確認します。同時に、前任者の手元にある写しや個人の端末に保存したファイルは廃棄の対象なので、引き継ぎの書面に廃棄の確認欄を作ってください。連絡用のグループから退任者を外す作業も忘れずに行います。新しい理事が選任されてから実際に引き継ぐまでの間、誰が保管するかも決めておいてください。

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