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議案書の書き方|総会で採決にかける形にする

2026年10月7日 ・ Tsudoo編集部

議案書の書き方が分からないまま総会の日が近づいている、という相談は毎年決まった時期に増えます。議案書は文章の上手さを見せる書類ではなく、その場に来られなかった人が読んだだけで賛成か反対かを決められる形に、情報を並べ直す作業です。この記事では、町内会やPTA、サークルや教室の総会で使える議案書の構成、採決でつまずかないための書き方、配布と保存の段取りまでを順番に整理します。

議案書の書き方が問われるようになった背景

総会の議案書は昔から作られてきた書類ですが、求められる中身はここ数年で確実に変わりました。理由は単純で、総会の会場に足を運ぶ人が減ったからです。役員が読み上げて質疑を受け、その場の空気で決まっていた時代なら、議案書は箇条書きの一覧で足りました。いまは事前に配った紙とファイルだけで判断が終わります。会場での補足説明を前提にした議案書は、そのまま「説明が足りない議案書」になります。

マンション管理組合の総会について、管理会社の側からはこう説明されています。

多くの組合では、総会の場に実際に出席する組合員はごくわずかで、ほとんどが委任状もしくは議決権行使書の提出で意思を示します。このため総会の議案書には、十分な説明を記述する必要があります。 出典: s-kanri.com

この事情は、法律で総会が義務づけられている管理組合だけの話ではありません。町内会や自治会、PTA、少年団、同窓会、カルチャー教室の運営委員会でも、平日夜や日曜午前の集まりに全員がそろうことは、もう前提にできません。書面だけで判断される割合が上がったぶん、議案書に書いておくべき分量は増えています。

もうひとつの変化は、配り方です。紙で郵送するか手渡しするかの二択だった時代から、印刷した紙とPDFを併用する形が一般的になりました。高齢の会員が多い会では紙が残りますし、共働き世帯が多いPTAでは画面で読む人が増えます。同じ議案書を両方の形で出す前提に立つと、文字の大きさや改ページの位置まで作り方が変わってきます。議案書の書き方を考えるときは、中身の構成と配り方を、はじめから一緒に決めておくほうが後戻りが少なくなります。

書き始める前に集めておく情報

議案書を書く時間の大半は、実は情報を探す時間です。先に手元へそろえてしまえば、書く作業は1件あたり30分ほどで終わります。集めておくものは6つです。

1つめは会則です。決議に必要な賛成の数、招集の期限、議案を出せる人の範囲が書かれています。マンション管理組合のように法律の定めがある団体では、区分所有者の5分の1以上の者であって議決権の5分の1以上を有するものが、会議の目的である事項を示して集会の招集を請求できるとされており、この定数は規約で減らすこともできます。任意団体でも、同じような定めを会則に持っている会があります。

2つめは前回の議事録です。継続審議になった事項、次回に持ち越すと決めた事項が書かれています。ここを見ずに議案を組むと、同じ議論を繰り返します。

3つめは決算と予算の書類です。金額の裏付けになります。数字を議案書に書き写すときは、決算書の金額をそのまま使い、手元で計算し直さないほうが食い違いが出ません。

4つめは見積書です。金額が出る議案では、何社から取ったか、いつ取ったかまで記録します。見積の有効期限が総会の日を過ぎていると、その場で指摘されます。

5つめは名簿です。議決権を持つ人の数が分からないと、定数を満たしているかを判断できません。年度の途中で入退会があった場合は、基準となる日付を決めておきます。

6つめは前年の議案書です。書き方の型として最も役に立ちます。前年と同じ議案なら、変わったところだけを直します。

この6つがそろっていない状態で書き始めると、途中で手が止まり、何日かに分かれてしまいます。分かれるほど、書き方の調子がぶれます。

議案書と議事録と会則の違いを先に分ける

書き始める前に、似た書類との役割の違いをはっきりさせておくと迷いが減ります。とりまとめる立場の人が混乱しやすいのは、議案書、議事録、会則、予算書の4つです。

議案書は、これから決めてもらうことを書いた書類です。時間の向きは未来で、読み手に求めるのは判断です。議事録は、決まったことを書いた書類です。時間の向きは過去で、読み手に求めるのは確認です。会則や規約は、決め方そのものを定めた書類です。何人の賛成で決まるのか、誰が招集できるのか、いつまでに通知するのかが書かれています。予算書は金額の裏付けで、議案書に添える資料という位置づけになります。

この4つが混ざると、総会は必ず揉めます。よく見かける混ざり方は次の3つです。1つめは、議案書に前年度の活動報告だけを長く書いて、今年何を決めてほしいのかが書かれていないもの。2つめは、議案書の中に「決定事項」と書いてしまうもので、まだ決めていないことを決まったように書くと、当日その一点だけで議論が止まります。3つめは、会則を確かめずに賛成数の基準を書いてしまうものです。規約で3分の2の賛成が必要と定めている事項を、過半数で通したことにしてしまうと、決議そのものが後から覆ります。

書き始めるときの順番は決まっています。まず会則を開き、その議案が普通の決議で足りるのか、特別な多数を必要とするのかを確かめます。次に、前回の議事録を見て、継続審議になっている事項が残っていないかを拾います。そのうえで、今回決めてほしいことを1件ずつ切り分けて並べます。この順番を守るだけで、差し戻しになる議案書はほとんどなくなります。

議案書の基本の構成|入れる項目は7つ

議案書の構成は、団体の種類が違っても大きくは変わりません。次の7項目がそろっていれば、書面だけで判断できる形になります。

項目 書く内容
議案番号と件名 第1号議案のように番号を振り、件名は名詞で短く
提案者 会長、理事会、実行委員会など、誰が出した議案か
議案の内容 承認を求める事項そのもの。箇条書きで数値まで書く
提案理由 なぜ必要か。現状と困っていることを先に書く
期待される効果 承認された場合に何が変わるか
費用と財源 金額、どの費目から出すか、次年度以降の負担
決議の要件 過半数か特別多数か。会則の条番号も添える

件名は、名詞で終える形にそろえます。「集会所の網戸を直すこと」ではなく「集会所網戸の改修工事に関する件」のように書くと、議事録に写したときも、翌年の引き継ぎ資料に並べたときも読みやすくなります。

議案の内容の書き方には、ひとつだけ守るべき決まりがあります。承認を求める文を、そのまま読み上げれば採決できる一文にすることです。「網戸の改修について検討する」では採決になりません。検討することに賛成した人は、何に賛成したのか分からないままになります。「1階集会所の網戸12枚を、2026年11月中に張り替えることを承認する」のように、対象、数量、時期を入れて閉じます。

決議の要件を書いておく効果は見落とされがちです。当日の議長が判断に迷ったとき、議案書に「会則第18条により出席者の過半数」と書いてあれば、その場で確認する時間が要りません。マンション管理組合のように法律の定めがある団体では、根拠となる条文を添えておくと、後から異議が出たときの備えになります。

提案理由と効果を分けて書く|ここが採決を左右する

議案書で最も差が出るのが提案理由です。上位の解説記事が共通して指摘しているのは、説明が足りない議案書は必ず荒れるという点で、その説明とは相手を説得する文章のことではありません。役員が何を見て、何と比べて、なぜこの案にしたのかという道筋を、読み手が同じ順序でたどれるようにすることです。

提案理由は3つのかたまりに分けて書きます。現状、支障、選んだ案です。

現状には、いま何がどうなっているかを数字で書きます。「集会所の網戸が古くなっている」ではなく、「集会所の網戸12枚のうち7枚に破れがあり、設置から18年が経っている」と書きます。数字が入ると、読み手はその数字の妥当性だけを検討すればよくなり、判断が速くなります。

支障には、放っておくと何が起きるかを書きます。夏場に窓を開けられず、高齢者の集まりで室温が上がる、といった具体的な困りごとを並べます。ここを書かないと「まだ使えるのでは」という質問が必ず出ます。

選んだ案には、他の選択肢を検討した経緯を必ず1行入れます。「3社から見積もりを取り、最も安い1社と、工期が短い1社の2案を比べた」と書くだけで、議案の重みが変わります。比べていないのに比べたと書くのは論外ですが、比べたなら書き残さないと役員の手間が伝わりません。

期待される効果は、提案理由と混ぜないことが大事です。理由は過去と現在の話、効果は未来の話です。混ぜて書くと、どちらも印象論に見えます。効果の欄は、承認されたら何がどう変わるかだけを、2行から3行で書きます。

予算がからむ議案の書き方と注意点

金額が出てくる議案は、書き方のつまずきどころが決まっています。よくある落とし穴は4つです。

1つめは、総額しか書かないことです。工事費、材料費、諸経費の内訳がないと、金額の妥当性を検討できません。見積書を添付するとしても、議案書の本文に主要な内訳を書き写します。添付資料は読まれないことがあり、書面で判断する人は本文しか見ないこともあります。

2つめは、財源を書かないことです。同じ金額でも、今年度の予算内で収まるのか、繰越金を取り崩すのか、臨時徴収をするのかで、賛成する人の数は変わります。「一般会計の修繕費から支出し、不足分4万円は前年度繰越金を充当する」のように、出どころまで書きます。

3つめは、来年以降の負担に触れないことです。機器を入れる議案、サービスを契約する議案では、初年度だけでなく継続的にかかる費用が必ず出てきます。月額のかかる契約なら、年額に直した金額と、何年続く見込みかを書きます。金額の書き方は「月額500円(税込)」のように単位と税の扱いをそろえ、読み手が自分で計算しなくてよい形にします。

4つめは、上限を決めずに承認を求めることです。「見積もり額で施工する」と書くと、工事中に追加が出たときに再度総会が必要になります。「30万円を上限として執行し、上限を超える場合は改めて総会に諮る」という一文を入れておくと、役員が動ける範囲が明確になり、後で責任問題になりません。

予算議案でもうひとつ気をつけたいのが、決算の承認と予算の承認を1つの議案にまとめないことです。前年度の決算に納得できない人が、来年度の予算にも反対票を入れることになり、必要な予算が通らなくなります。番号を分け、別々に採決します。

議案書の配布と保存の方法|無料でできる範囲とおすすめの手順

議案書は作った時点では半分しか終わっていません。期限までに全員に届き、当日まで読める状態にあり、決議のあとも探せる場所に残っていて、はじめて役目を果たします。

届ける期限は会則で確かめます。マンション管理組合のように法律の定めがある団体では、区分所有法により、集会の招集通知は会日より少なくとも1週間前に、会議の目的である事項と議案の要領を示して発することとされています。任意団体の場合は会則の定めが基準になりますが、期限を決めていない会でも、質問を受けて答える時間を考えると2週間前が現実的です。紙の郵送なら、印刷と封入の手間を入れて3週間前から動き始める必要があります。

作成に使う道具は、無料の範囲で十分にそろいます。文書作成ソフトのテンプレートを使うか、前年の議案書を開いて日付と金額を差し替えるのが最も早い方法です。おすすめの手順は、白紙から書き始めず、前年度の議案書を複製して件名から順に上書きしていく形です。書き出しで止まる時間が消え、項目の抜けも防げます。ファイル名には年度と回数を入れ、2026年度定期総会第1号議案のように統一しておくと、翌年の担当者が探せます。

配布の段取りで多いつまずきは、紙とファイルで中身が違ってしまうことです。金額を直したのに、印刷済みの紙が古い版だったという事故は毎年どこかで起きます。修正したら版数を1つ上げ、ファイル名の末尾に版の番号を残す運用にしておくと、どちらが最新かで迷いません。

保存で気をつけたいのは、担当者個人の端末だけに残る状態を避けることです。役員が交代したときに議案書が見つからず、前例を確かめられないまま同じ議論を繰り返す会は少なくありません。議案書、添付の見積書、議事録の3点を同じ場所に保存し、次の担当者にその場所ごと引き継げる形にしておきます。個人のメールの送信履歴の中に議案書が散っている状態は、引き継ぎができない状態と同じです。

議案書の文例|使いまわせる3つの型

議案は中身が違っても、文の骨格は3種類に収まります。お金を使う議案、決まりを変える議案、人を決める議案です。型を覚えておけば、毎回書き出しで止まることがなくなります。

お金を使う議案の型は次のようになります。件名は「第2号議案 集会所網戸改修工事に関する件」。承認を求める文は「1階集会所の網戸12枚を、2026年11月中に張り替えることを承認する。工事費は上限30万円とし、一般会計修繕費および前年度繰越金から支出する」。提案理由には、設置からの経過年数と破損の枚数、夏場に窓を開けられない状況、見積もりを何社から取ってどの案を選んだかを書きます。効果の欄には、張り替え後は通気を確保できること、次の更新までの見込み年数を書きます。

決まりを変える議案の型では、変更前と変更後を並べて書くことが欠かせません。件名は「第3号議案 会則第12条改正に関する件」。承認を求める文は「会則第12条を別紙1の新旧対照表のとおり改正することを承認する」。本文には「現行 役員の任期は1年とする」「改正案 役員の任期は2年とし、再任を妨げない」と、条文をそのまま並べます。文章で「任期を延ばします」と説明するだけでは、どの語をどう直すのかが伝わらず、当日に文言の議論が始まります。新旧対照表を別紙にするなら、本文でその別紙を必ず参照します。規約の変更は特別な多数を求める会則が多いので、決議の要件の欄に条番号を添えます。

人を決める議案の型では、候補者の氏名と、選任の根拠、任期を書きます。件名は「第4号議案 役員選任に関する件」。承認を求める文は「別紙2の候補者名簿のとおり、2026年度役員を選任することを承認する。任期は2026年4月1日から2027年3月31日までとする」。候補者の経歴を長く書く必要はありませんが、選考の経緯は1行で残します。「役員選考委員会で各班からの推薦を受け、本人の承諾を得た」と書くだけで、選任の手続きに不備がなかったことが後から確認できます。欠員が出た場合の扱いを会則で定めているなら、そこにも触れます。

3つの型のどれでも共通するのは、件名を名詞で終えること、承認を求める文を1文で閉じること、別紙があるなら本文から参照することの3点です。この3点だけそろえておけば、文章の細かな言い回しは気にしなくてよくなります。

書面決議と電磁的方法で決めるときの議案書

会場に集まらずに決める形が増えたことで、議案書に求められる書き方も少し変わりました。書面決議では、議案書と議決権行使書を同じ封筒で配り、読み手はその紙だけで判断します。会場での補足説明がないので、議案書の完成度がそのまま結論を左右します。

書面で決めるときに追加で必要になる項目は3つあります。1つめは回答の期限で、日付と時刻まで書きます。2つめは提出先で、集会所の投函箱なのか班長への手渡しなのか、返送用の封筒を使うのかを明示します。3つめは、期限までに回答がなかった場合の扱いです。棄権として数えるのか、賛成とみなすのかは会則の定めによります。定めがないまま「賛成とみなす」と書くのは避けます。後から異議が出たときに、決議そのものが揺らぎます。

画面で回答を集める形にする場合は、紙で回答したい人の道を必ず残します。年配の会員が多い会では、新しいIDとパスワードを増やさないことが最初の関門になります。回答の入口を1つに絞ると、回答できない人が出て、その人の意思が集計から落ちます。紙と画面の両方で受け付け、集計の段階で1つにまとめる形が、いまのところ現実的です。

議案書を電子ファイルで配るときは、開く手間を増やさないことを優先します。PDFにして1つのファイルにまとめ、別紙も同じファイルに続けて入れます。本文と別紙が別ファイルに分かれていると、片方だけ読んで判断する人が出ます。ファイル名には年度、総会の回数、議案番号、版数を入れます。差し替えが出たときに、どれが最新かで迷わなくなります。

総会で採決できない議案にしないための点検

書き終えたら、提出前に機械的に点検します。時間がないときほど、この点検が効きます。

読み上げて採決できる一文になっているかを確かめます。件名ではなく承認を求める文を声に出して読み、「これに賛成の方は挙手をお願いします」と続けられるなら合格です。続けられない議案は、対象か数量か時期のどれかが欠けています。

1つの議案に2つの決定が入っていないかを確かめます。「規約を改正し、あわせて会費を改定する件」は2つの議案です。片方に賛成で片方に反対の人が投票できません。番号を分けます。

数字の単位と税の扱いがそろっているかを確かめます。税込と税別が混ざった議案書は、当日その確認だけで時間を取られます。

賛成数の基準が会則と合っているかを確かめます。規約変更や解散、多額の支出は、特別な多数を求める会則が多いです。根拠の条番号を書き添えます。

判断に必要な資料が本文から参照されているかを確かめます。添付資料があるなら、本文に「別紙1のとおり」と書きます。添付だけ渡して本文で触れないと、読まれません。

質問の受け先と締切が書かれているかを確かめます。書面で判断する人が増えているので、当日以外に質問できる窓口があるかどうかで、欠席者の納得度が変わります。連絡先は個人の携帯番号ではなく、会として受けられる窓口を書きます。

質疑と修正動議への備え方

議案書を出したあとに起きることまで想定しておくと、当日の進行が落ち着きます。総会で出る質問は、経験のある会ではだいたい決まっています。金額の根拠、他の案と比べたか、去年と何が変わったか、決めたあと誰が実行するか、この4つです。議案書を書き終えたら、この4つに本文のどこで答えているかを指さして確認します。答えている箇所がなければ、そこが当日に時間を取られる場所です。

想定される質問と答えを、議案書とは別に1枚のメモにしておく方法もおすすめできます。議案書に全部書き込むと本文が長くなりすぎるので、詳しい数字の根拠や経過はメモに回します。当日の議長と説明役が同じメモを持っていれば、答えが食い違いません。答えが食い違うと、議案の中身とは関係のないところで不信感が生まれます。

議案の一部を直してから採決したい、という声が出る場合もあります。金額の上限を下げる、実施の時期を延ばす、といった修正です。会則に修正動議の扱いが書かれているかを事前に確かめておきます。定めがない会では、修正案をその場で採決してから元の議案を採決する形が一般的ですが、進め方を決めていないと議事が止まります。議案書の余白に「修正がある場合の進め方」を役員の手控えとして書いておくと、議長が迷いません。

否決されたときの段取りも、先に決めておくほうが安全です。否決は失敗ではなく、その案では通らないという結論です。次にどうするかを白紙にしておくと、役員が何も動けないまま1年が過ぎます。「否決された場合は、次回の役員会で再検討し、必要なら臨時総会に諮る」という一文を議案書の末尾に入れておく会もあります。議案書の役目は、賛成を集めることではなく、結論を出せる形にすることです。

議案書が毎年もめる会と、もめない会で違っていること

議案書の作り方そのものより、その手前の状態で差がつきます。もめない会に共通しているのは、決めたことと決める前のことが、同じ場所にまとまって残っていることです。前年の議案書、そのときの議事録、配った日付、質問と回答が1か所にあれば、今年の議案書は前年を開いて上書きするだけで形になります。

逆に、資料が散っている会では、毎年ゼロから作り直すことになります。連絡はメッセージアプリの中に流れて消え、名簿は担当者の表計算ファイル、写真と見積書はそれぞれ別の場所にあるという状態です。この状態では、議案書を書く時間の大半が、去年どうしたかを探す時間に消えます。とりまとめる立場の人が続けられなくなる原因は、書く作業そのものより、この探す時間のほうです。

メッセージアプリを連絡手段として使っている会では、過去の投稿をさかのぼる形になり、決まったことと雑談が同じ列に並びます。その限界がどこにあるかは、LINEグループとの比較に、無料で使える範囲と役員が代わるときの引き継ぎの観点でまとめてあります。参加者の入れ替わりが多い会なら、LINEオープンチャットとの比較のほうが近い比較になります。

団体の種類ごとに、議案書を含む書類の残し方は少し変わります。年度で役員が入れ替わる前提の運営については町内会での使われかたに、学年の切り替わりで担当が全員替わる場合の考え方はPTAでの使われかたに整理してあります。会費と名簿を扱う任意団体ならサークルでの使われかたが参考になります。名簿や連絡先を扱う際に、メンバー以外は見られない状態を保てるかどうかも、議案書に個人情報が載る会では確かめておきたい点です。

導入や運用の判断で迷いやすい点はよくある質問にまとめてあります。議案書の書き方を整えることと、資料を1か所に集めることは別の作業に見えますが、翌年の担当者から見れば同じことです。今年の議案書を書き終えたら、その置き場所を決めるところまでを1セットにしておくと、来年の総会前に同じところで止まらずに済みます。

Q1. 議案書は何日前までに配ればよいですか?

会則の定めが基準です。マンション管理組合では区分所有法により、会日より少なくとも1週間前に会議の目的である事項と議案の要領を示して通知します。任意団体で期限を決めていない場合も、質問を受けて答える時間を考えると2週間前が現実的です。紙を郵送するなら印刷と封入を入れて3週間前から動きます。

Q2. 議案書と議事録は何が違いますか?

議案書はこれから決めてもらうことを書いた書類で、読み手に判断を求めます。議事録は決まったことを書いた書類で、読み手に確認を求めます。議案書に「決定事項」と書いてしまうと、まだ決めていないことを決まったように見せることになり、当日その一点で議論が止まります。番号と日付でひもづけて、両方を同じ場所に保存します。

Q3. 議案書は無料で作れますか?

作れます。文書作成ソフトのテンプレートを使うか、前年度の議案書を複製して件名と金額を上書きするのが最も早い方法です。白紙から書き始めると項目の抜けが出やすいので、前年の様式をそのまま使うことをおすすめします。ファイル名に年度と議案番号を入れておくと、翌年の担当者が探せます。

Q4. 金額が入る議案書で特に注意する点は何ですか?

総額だけでなく内訳を本文に書くこと、財源を明記すること、次年度以降の継続費用に触れること、上限額を決めることの4点です。「30万円を上限として執行し、上限を超える場合は改めて総会に諮る」のような一文を入れると、役員が動ける範囲がはっきりします。決算の承認と予算の承認は議案を分けて採決します。

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