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自治会の安否確認をどう取るか|返事が来ない人をどう扱うか

2026年9月12日 ・ Tsudoo編集部

自治会 anpiの仕組みを考えるとき、多くの会が「どうやって全員から返事をもらうか」を出発点にします。しかし実際に大きな地震が起きた地域の記録を見ると、返事が返ってくるのは登録者の6割前後です。全員から返事をもらうことは、現実には起きません。

だとすると、設計の中心は別のところにあります。返事が来なかった人をどう扱うかです。返事が来ない状態には少なくとも3つの意味があり、それぞれ次にやるべきことが違います。この区別ができる仕組みかどうかで、限られた役員の人手をどこに向けるかが決まります。この記事では、法律上の位置づけを確認したうえで、返事が来ない人の扱い方を具体的に整理します。

平時に持つ名簿と、発災時の安否確認は別のもの

最初に整理しておきたいのが、2つの別々の仕組みが混同されやすいという点です。

1つは、平時から持っておく名簿です。災害が起きたときに自力で避難することが難しい人を、あらかじめ把握しておくためのものです。これは自治会が独自に作るものではなく、市町村が作ります。

もう1つは、実際に災害が起きたときに全世帯の状況を確認する作業です。こちらは対象が全員で、平時の名簿とは範囲が違います。

この2つを混ぜて考えると、話が進まなくなります。名簿の話は個人情報の扱いと市町村との関係が絡み、自治会だけでは決められません。一方、発災時の安否確認は、自治会が自分たちで仕組みを決められる部分が大きくなります。まず後者から手を付けるのが現実的です。

名簿を受け取る側としての自治会の位置づけ

平時の名簿については、法律で枠組みが決まっています。災害対策基本法では、市町村長が避難行動要支援者名簿を作成しなければならないとされています。名簿に載せる項目も、氏名、生年月日、性別、住所または居所、電話番号その他の連絡先、避難支援等を必要とする事由と定められています。

この名簿を誰に渡すかも法律に書かれています。消防機関、都道府県警察、民生委員、市町村社会福祉協議会、そして自主防災組織が「避難支援等関係者」として列挙されています。多くの地域で自主防災組織は自治会や町内会が母体になっているので、実質的に自治会が受け取る側になります。

ただし、平時に受け取るには本人の同意が必要です。条例に特別の定めがある場合を除き、同意が得られない人の情報は渡されません。そのため、実際に自治会の手元に届く名簿は、対象者の一部にとどまることがあります。

一方で、実際に災害が起きた場面では扱いが変わります。

市町村長は、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、避難行動要支援者の生命又は身体を災害から保護するために特に必要があると認めるときは、避難支援等の実施に必要な限度で、避難支援等関係者その他の者に対し、名簿情報を提供することができる。この場合においては、名簿情報を提供することについて本人の同意を得ることを要しない。 出典: laws.e-gov.go.jp

つまり、平時には同意した人の分しか届かないが、発災時には同意なしで届き得る、という二段構えです。ここを役員が理解していないと、災害のあとに突然渡された名簿を前にして、何をしてよいのか分からなくなります。

自治会として準備しておくべきことは3つです。市町村の担当課がどこか、平時の名簿を受け取っているかどうか、発災時に誰がどこで受け取るのか。この3点を役員会の引き継ぎ資料に書いておくだけで、いざというときの動き出しが変わります。

返事が来ない人は、3つの層に分かれる

ここから本題です。安否確認を出したあと、返事が来ない人をひとまとめに「安否不明」と扱ってはいけません。少なくとも3つの層に分かれ、それぞれ意味が違います。

第1の層は、確認の連絡そのものが届いていない人です。端末を見ていない、電源が入っていない、通信が届いていない、あるいは登録している経路が古い。この層に含まれる人は、返事がないこと自体からは何も分かりません。無事かもしれないし、そうでないかもしれません。

第2の層は、連絡は届いていて、開いてはいるが返事をしていない人です。この層は、少なくとも端末を操作できる状態にあることが分かります。無事である可能性が高いと考えてよい層です。操作の方法が分からない、あとで返そうと思って忘れた、といった理由が大半を占めます。

第3の層は、そもそも安否確認の仕組みに登録していない人です。この層は、確認の対象にすら入っていません。人数を把握していないと、返事の集計だけを見て「9割が無事」と誤解することになります。

この3層が区別できるかどうかが、仕組みを選ぶときの最も重要な基準になります。届いたかどうかが分からない仕組みでは、第1層と第2層を区別できません。区別できなければ、全員に同じ優先度で対応することになり、限られた役員の人手が薄く広がってしまいます。

実際の記録を見ると、回答率は6割前後になる

抽象的な話を続けても判断できないので、実際の記録を見ます。

石川県金沢市のある町会連合会は、6つの町会からなり、世帯数は3,198世帯です。2019年から連絡用のアプリを導入していました。2024年の能登半島地震の際、このアプリの安否確認の機能を使って6町会で確認を行った結果が記録に残っています。

アプリの導入者1,536名のうち、回答があったのは910名で、回答率は59.2%でした。内訳は、無事が909名、連絡を希望した人が1名、支援を希望した人が0名です。回答しなかった626名のうち、既読だが未回答が79名、未読が547名でした。

この数字から読み取れることが3つあります。

1つ目は、回答率は6割程度にとどまるということです。日常的に使っているアプリで、事前に訓練も行っていた地域でこの水準です。全員から返事をもらう前提の設計は、現実に合いません。

2つ目は、既読と未読が分かれば、対応すべき人数が大きく絞れるということです。回答がなかった626名のうち、既読の79名は端末を操作できる状態にありました。残りの547名が、優先して確認すべき対象になります。既読と未読が区別できなければ、626名全員を同じ扱いにすることになります。

3つ目は、支援を要する回答は極めて少ないということです。910件の回答のうち、連絡を希望した人が1名、支援を希望した人が0名でした。安否確認の主な役割は、支援が必要な人を見つけることよりも、確認しなくてよい人を確定させることにあります。確認しなくてよい人が909名分確定すれば、残りに人手を集中できます。

この地域では、回答があった1名の内容に、同居する高齢の家族と小学生の子どもを残して出勤しているという事情が書かれており、町会側はその投稿者に連絡し、声かけができる体制を整えたと記録されています。1件でも拾えれば、仕組みとしての意味はあります。

未回答をどう扱うか、優先順位を先に決めておく

3つの層が分かったら、災害が起きる前に優先順位を決めておきます。当日に決めようとすると決まりません。

現実的な順序は次のようになります。

・第1順位。平時の名簿に載っている人のうち、未回答の人。自力で避難することが難しい人が含まれるため、最優先で確認する ・第2順位。未読の人のうち、単身の高齢世帯 ・第3順位。未読の人のうち、それ以外 ・第4順位。既読だが未回答の人 ・第5順位。登録していない世帯。ただし、これは災害の前に減らしておくべき対象

第4順位を下げているのは、端末を操作できる状態にあることが分かっているからです。ここに人手を割くより、未読の層に回すほうが効果があります。

確認の方法も決めておきます。電話をかけるのか、戸別に訪問するのか。訪問する場合、誰が何軒を担当するのかを、班ごとに決めておきます。災害の直後は道路の状況が悪く、想定より時間がかかります。1人あたりの担当軒数は、平時に考えるより少なめに設定しておくのが安全です。

確認に行った結果をどこに記録するかも決めます。訪問した人の頭の中にしか残らないと、同じ家に別の人がもう一度行くことになります。行ったかどうかを共有できる形にしておくと、無駄な往復が消えます。

登録していない世帯を、災害の前に減らす

3つの層のうち、災害が起きてからでは手の打ちようがないのが第3の層、つまり登録していない世帯です。ここは平時にしか減らせません。

登録が進まない理由は、だいたい次のどれかです。

・案内が届いていない。回覧では見たが、その場で登録しなかった ・端末を持っていない。あるいは持っているが操作に不安がある ・登録の手順の途中で止まった。入力する項目が多すぎた ・自治会の連絡は紙で十分だと考えている ・個人情報を出すことへの抵抗がある

このうち、会が手を打てるのは上の3つです。案内は回覧で1回出して終わりにせず、行事の場や総会の場で実際に登録の作業を手伝う機会を作ると進みます。手を動かして5分で終わることが分かれば、そこで登録する人が増えます。

端末の操作に不安がある世帯には、世帯の中の別の人が代理で登録する形を認めるという手があります。同居している子や孫の端末に登録してもらい、安否の回答もその人が代行する。世帯単位で状況が分かればよいので、本人が操作する必要はありません。

登録の手順そのものも見直す価値があります。氏名と住所と電話番号と生年月日を全部入力させる設計だと、途中で離脱する人が出ます。安否確認に必要な情報は、どの世帯かが分かることと連絡が取れることだけです。最初に求める項目を減らし、あとから追加できる形にすると、登録率は上がります。

紙で十分だと考えている世帯には、無理に登録を求めないという判断もあります。その代わり、その世帯を「訪問で確認する対象」として名簿に明記しておきます。登録していないことを問題にするのではなく、確認の方法が違うと整理すれば、当日の作業が組み立てられます。

通信が使えないときに、何が残るか

安否確認の仕組みを考えるうえで、避けて通れないのが通信の途絶です。

大きな災害が起きると、まず音声通話が集中して規制されます。基地局が停電すると、その周辺では携帯電話そのものが使えなくなります。非常用の電源で動く時間には限りがあるので、停電が長引けば通信も止まります。固定回線も、局舎や配線に被害があれば同様です。

したがって、通信を前提とした安否確認は、条件付きの手段だと考えておく必要があります。使えれば大幅に手間が減るが、使えないこともある。この前提を役員間で共有していないと、当日に混乱します。

備えとしては3つあります。

1つ目は、代替の手段を決めておくことです。前の項で触れた目印の方式は、通信が不要という点で代替になります。ほかに、集会所や公園を集合場所として決めておき、そこに来られる人は来るという方法もあります。集まった人の顔を見れば、それだけで安否が分かります。

2つ目は、端末の電源を確保することです。役員の端末が切れると、集約する役の人がいなくなります。乾電池式の充電器を役員分だけ備蓄しておく、集会所に電源を用意しておくといった準備が効きます。

3つ目は、時間差での実施です。発災の直後に通信が使えなくても、数時間から数日で復旧することがあります。一度目の安否確認が失敗しても、復旧後に再度出せば、そこで多くの回答が集まります。1回で終わらせる前提を捨てて、繰り返し出せる仕組みにしておくと、通信の状況に左右されにくくなります。

誰が発信し、誰が集約するかを決める

安否確認は、発信する人と集約する人がいなければ始まりません。ここが決まっていない会が非常に多くなっています。

決めておく項目は次のとおりです。

・発信する権限を持つ役職。会長のほか、最低でも2人 ・発信の判断の基準。震度いくつ以上か、気象の警報が出たときか ・集約を担当する役職と、その代理 ・班ごとの確認の担当者 ・役員自身が被災した場合の扱い

2つ目の判断の基準は、数字で決めておくと迷いません。地域で観測された震度が5弱以上なら自動的に発信する、といった形です。基準がないと、発信してよいのか大げさではないかと迷っているうちに時間が過ぎます。

5つ目は特に大切です。災害では役員自身も被災します。会長が発信できない状況を前提に、順位を決めておきます。順位の2番目と3番目に当たる人が、自分にその役割があることを知らなければ意味がないので、年度の初めに口頭でも伝えておきます。

班ごとの確認の担当者は、班長がそのまま担うことが多くなりますが、班長は1年交代です。災害がいつ起きるかは選べないので、年度の切り替わりの時期に空白が生じないよう、引き継ぎの日程を決めておきます。

役員が被災して誰も動けない場合に備えて、隣接する自治会との相互の応援を取り決めている地域もあります。実際に機能させるには平時の交流が要りますが、選択肢としては持っておく価値があります。

返事をもらう方式と、無事なら何もしない方式

安否確認の方法には、大きく2つの考え方があります。

1つは、全員から返事をもらう方式です。この記事でここまで扱ってきたのはこちらです。誰が回答したかが分かるので、対応の優先順位を付けられます。難点は、回答率が上がりきらないことと、返事がない理由が複数あることです。

もう1つは、無事なら何もしない方式です。玄関先に黄色いタオルや旗を掲げる、白い紙を貼るといった方法で、無事な世帯が目印を出します。目印が出ていない家だけを訪問します。停電や通信の障害があっても機能する点が最大の利点です。難点は、外に出られない人が目印を出せないこと、目印の意味を知らない新しい住民には伝わらないこと、そして誰かが実際に歩いて見て回る必要があることです。

どちらか一方を選ぶ必要はありません。むしろ両方を組み合わせている地域が多くなっています。通信が生きているうちに返事をもらい、返事がない世帯を目印の有無で確認し、それでも分からない世帯を訪問する。3段階にすると、訪問しなければならない軒数が最小になります。

目印の方式を採る場合、平時の準備が必要です。目印にするものを全戸に配り、意味を周知し、訓練で実際に出してもらいます。年に1回でも実際に出す機会がないと、災害のときに誰も出しません。目印を配ったまま何年も訓練していない地域では、いざというときに機能しなかったという話も聞きます。

回答の選択肢を、3つ以内にする

安否確認の文面と選択肢の作り方も、回答率を左右します。ここは細かい話に見えて、実際の差が大きく出る部分です。

まず、選択肢は3つ以内にします。無事、連絡してほしい、支援が必要、の3つで足ります。5つも6つも並べると、どれを選ぶか考えることになり、その時点で手が止まります。災害の直後は落ち着いて考えられる状態ではありません。1秒で押せる選択肢にします。

次に、いちばん押されるはずの選択肢を先頭に置きます。前出の記録では、910件の回答のうち909件が「無事」でした。ほぼ全員が同じものを押します。先頭にあれば、迷わず押して終われます。

自由に書ける欄は、必須にしません。必須にすると、何を書けばよいか考える時間が発生し、離脱の原因になります。任意の欄として置き、事情がある人だけが書く形にします。実際、事情を書いてくる人は全体のごくわずかですが、その1件が最も重要な情報になります。

文面には、いつ時点の状況を答えるのかを書き添えます。「現在の状況をお知らせください」だけだと、数時間後に見た人がいつの状況を答えればよいか迷います。発信の時刻と、回答の締め切りの目安を入れると、集計する側も判断しやすくなります。

回答したあとに状況が変わることもあります。最初は無事と答えたが、その後に自宅に被害が出た。この場合に回答を出し直せるかどうかも、事前に確認しておく点です。出し直せない仕組みだと、状況の変化を別の経路で伝えることになり、情報が二重になります。

集めた情報を、誰にどう渡すか

安否確認の結果は、自治会の中で完結するものではありません。市町村の災害対策本部、消防、避難所の運営、社会福祉協議会。どこかに渡す場面が出てきます。

決めておく項目は3つです。

1つ目は、渡す相手です。市区町村のどの部署に、どういう経路で渡すのか。平時に確認しておかないと、当日に電話がつながりません。

2つ目は、渡す内容の粒度です。「何世帯中何世帯の無事を確認、未確認が何世帯」という集計だけを渡すのか、未確認の世帯の一覧まで渡すのか。前者なら個人情報の扱いは軽くなりますが、受け取る側の役に立つのは後者です。どこまで渡すかを事前に取り決めておくと、当日に迷いません。

3つ目は、渡すタイミングです。何時間ごとに報告するのか、状況が変わったら随時なのか。決めておかないと、報告のために作業が止まることになります。

自治会が自分で判断できない部分もあります。名簿の情報を外部に渡してよいかどうかは、市町村との取り決めや条例に左右されます。この点は市区町村の防災の担当課に確認しておく事項です。地域によっては、自治会と市町村のあいだで個人情報の取り扱いに関する覚書を結んでいる例もあります。

平時に使っていないものは、災害のときにも使えない

安否確認のためだけに何かを導入しても、まず機能しません。これは経験則ではなく、市町村向けの手引きにも明記されている考え方です。日頃使われていない仕組みは、いざというときにも使われない傾向が強いとされています。

理由は単純です。年に1回しか触らないものは、操作を覚えていません。登録した端末を機種変更したあと、入れ直していません。そもそもそこに何かがあったことを忘れています。

したがって、安否確認の仕組みは、平時の連絡と同じ場所に置くのが正解です。回覧の代わりに使う、行事の出欠を取る、役員会の連絡に使う。日常的に開いている場所であれば、災害のときにも開かれます。

前出の金沢の町会連合会でも、回覧の機能を使った情報の発信、投票の機能を使った行事の出欠確認、問い合わせのやりとりなど、平時から積極的に使っていたことが記録されています。日常で使っているからこそ緊急時にも使えた、という評価が残されています。

全国の市区町村を対象にした調査でも、自治会のデジタル化で有効だと考える分野として、災害時における安否確認が72.1%と最も多く挙げられています。期待は大きいのですが、期待だけでは動きません。平時の使用が伴って初めて成立します。

訓練で確かめるのは、操作ではなく手順

訓練を年に1回か2回行っている地域があります。避難所に集まる形の訓練に加えて、実際に安否の回答を送ってみる訓練です。

訓練で確かめるべきなのは、住民が操作できるかどうかだけではありません。むしろ役員側の手順のほうが重要です。

・誰が安否確認の発信をするのか。その人が不在のときは誰か ・発信してから何分後に集計を見るのか ・未回答の一覧をどうやって出すのか ・誰が誰に電話をかけ、誰が訪問するのかの割り当て ・結果をどこに集約し、誰が市区町村に報告するのか

これらは、実際にやってみないと抜けが見つかりません。発信はできたが未回答の一覧を出す方法を誰も知らなかった、という事態は実際に起こります。

訓練のあとに結果を全員へ共有することも大切です。回答した人が何名で、未読が何名だったかを知らせると、次回の回答率が上がります。自分が回答したかどうかを覚えていない人に、行動を促す材料になります。

訓練は、避難所に集まる形のものと別に、その場から回答を送るだけの形でも成立します。集まる訓練は準備に手間がかかり、参加できる人も限られますが、回答を送るだけなら在宅のまま参加できます。仕事で参加できない世帯や、外出が難しい高齢の世帯も対象に含められる点が利点です。実際に、集合する訓練に加えて、その場に行かずに回答を送る形の訓練を年2回実施している地域もあります。

訓練の頻度は、年2回程度が現実的です。年1回では間隔が空きすぎ、それ以上増やすと参加率が落ちます。防災の日や地域の防災訓練に合わせると、別枠で日程を取る必要がなくなります。

安否の回答には、扱いに注意が要る情報が混ざる

最後に、集まった情報の扱いについて書きます。ここは見落とされがちです。

安否の回答には、自由に書ける欄を設けることが多くなっています。そこには、家族の健康状態、障害の有無、年齢、いま誰がどこにいるかといった情報が書き込まれます。前出の記録に残っている回答にも、家族の年齢と身体の状況が具体的に書かれていました。

これらは、扱いに配慮が必要な情報です。誰でも見られる場所に置いてはいけません。安否の回答を役員だけが見られる形にできるかどうかは、仕組みを選ぶときに確認すべき点になります。全員に見える掲示板に安否の状況を並べる設計は、平時の感覚では便利に見えますが、災害のあとに問題になります。

誰が見られるかを分けるだけでなく、集約した結果をどこまで会員に返すかも決めておきます。「何世帯の無事を確認しました」という集計は共有してよい情報ですが、特定の世帯が未確認であることを全体に流すのは避けるべきです。未確認だと知らせることで、その家が不在だと周囲に伝わってしまいます。会員に返すのは集計だけ、個別の状況は担当する役員の範囲にとどめる、という線引きが安全です。

保管の期間も決めておきます。災害の対応が終わったあと、いつまで持っておくのか。訓練で集めた回答も同様です。使い終わったものを消す手順がないと、古い情報が残り続けます。

安否の回答のように、全員に見せてはいけないものをどこに置くかという設計については、町内会での使われかたで実際の画面の流れを確認できます。平時の連絡と、役員しか開けない区画を同じ場所に共存させる形になっています。

いま使っている連絡の手段で安否確認ができるかを考えるとき、最初の壁になるのが誰が読んでいないかを把握できるかどうかです。グループのトークでは既読の人数までしか分からず、未読の人を特定できません。この性質はLINEグループとの比較に整理しています。人数が多い会では、投稿が流れて回答を集計できないという問題も重なります。

導入の前に確認しておきたい点はよくある質問に集めてあります。地域の事情に合わせて詰めたいことがあればお問い合わせから相談できます。

安否確認の仕組みを整えるときに、いちばん避けたいのは、全員から返事をもらえる前提で設計してしまうことです。返事は6割しか返ってきません。返ってこなかった4割を3つの層に分け、優先順位を付けて人手を配る。この考え方で組めば、限られた役員の人数でも確認を回せます。返事が来ないことを前提にした設計こそが、実際に機能する設計です。

Q1. 自治会は、市町村から避難行動要支援者名簿を受け取れますか?

災害対策基本法では、自主防災組織が名簿情報の提供先である避難支援等関係者として挙げられています。多くの地域で自治会や町内会が母体になっているため、受け取る立場になります。ただし平時は本人の同意が得られた人の分に限られ、実際に災害が発生した場合には同意なしで提供され得るという二段構えになっています。

Q2. 安否確認の回答率はどのくらいを見込めばよいですか?

日常的にアプリを使い、事前に訓練も行っていた地域の記録では、導入者1,536名のうち回答は910名で59.2%でした。全員から返事が来る前提の設計は現実に合いません。6割程度を見込んだうえで、返事が来なかった人をどう扱うかを先に決めておくほうが確実です。

Q3. 返事が来ない人には、どういう順番で対応すべきですか?

平時の名簿に載っていて未回答の人を最優先とし、次に未読の単身高齢世帯、その他の未読、最後に既読で未回答の人という順序が現実的です。既読の人は端末を操作できる状態にあることが分かっているため、優先度を下げられます。この区別ができる仕組みかどうかが、選ぶときの基準になります。

Q4. 安否確認のためだけに新しい仕組みを入れてもよいですか?

日頃使われていない仕組みは災害時にも使われない傾向が強いとされています。年に1回しか触らないものは操作を忘れますし、機種変更のあとに入れ直されません。回覧や行事の出欠など、平時の連絡と同じ場所に安否確認を置くほうが、実際に機能する可能性が高くなります。

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