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自治会のアンケートの取り方|答えが集まる聞き方と締め切り

2026年9月12日 ・ Tsudoo編集部

自治会でアンケートを取るとき、いちばん多い失敗は、集まった回答をそのまま総意として扱ってしまうことです。300世帯に配って80世帯から返ってきた。この80世帯は、区域の平均ではありません。行事に出ている世帯、役員に近い世帯、そして強い意見を持っている世帯が多く含まれます。ここを踏まえずに「7割が賛成」と総会で報告すると、あとで必ず異議が出ます。

もう1つ多い失敗が、締め切りです。回覧板に用紙を挟んで「3月10日までに」と書いても、回覧が10日に届く世帯があります。締め切りが機能していない状態で、未回収の世帯を役員が追いかけることになります。

ここでは、自治会が取るアンケートに絞って、誰に何を聞くか、選択肢をどう作るか、締め切りをどこに置くか、集まった回答をどう読むかを順に整理します。設問文を作る前に決めておく項目の話です。

自治会がアンケートを取る場面は決まっている

自治会が会員に意見を聞く場面は、実はそれほど多くありません。よくあるのは次の7つです。

・会費の改定について、賛否や許容できる金額を聞く ・行事の存続について聞く(夏祭り、餅つき、旅行、運動会) ・ごみ集積所の位置や、当番の回し方について聞く ・防災について聞く(備蓄の希望、要支援の有無、避難場所の認知) ・役員や班長のなり手について聞く ・回覧や連絡の方法を変えることについて聞く ・未加入世帯に、加入しない理由を聞く

この7つは、性質が3つに分かれます。第1に、賛否を数えて決めるもの。会費の改定と行事の存続がここに入ります。第2に、実態を把握するもの。防災の備えや連絡手段の保有状況がここです。第3に、要望を集めるもの。集積所や当番の改善案がここに入ります。

性質が違えば、聞き方も、回収率の読み方も変わります。賛否を数えるものは、回収率が低いと判断に使えません。実態の把握は、回収率が低くても傾向は読めます。要望の収集は、そもそも全員から集める必要がありません。

最初にどの性質のアンケートなのかを決めてから、設問を作ります。ここを決めずに「みんなの意見を聞こう」と始めると、賛否と実態と要望が1枚に混ざり、集計できない紙が返ってきます。

世帯で聞くか、個人で聞くか

自治会は、世帯を単位として構成される団体です。会費は世帯から徴収し、回覧は世帯に回り、当番は世帯で担当します。だからアンケートも、原則は世帯単位です。

地方自治法にも、認可地縁団体について次の定めがあります。

認可地縁団体の各構成員の表決権は、平等とする。 出典: laws.e-gov.go.jp

総会の表決権が平等である以上、その予備調査にあたるアンケートも、世帯ごとに1票として扱うのが筋が通ります。4人世帯が4票、単身世帯が1票では、総会の結果と食い違います。

ただし、世帯で1票と決めたら、誰が答えるのかを用紙に書いておきます。「世帯を代表する方が1名でご記入ください」の一文です。これがないと、夫婦で意見が分かれた世帯が2枚出してきたり、逆にどちらが書くかで話がまとまらず提出されなかったりします。

例外的に、個人単位で聞いたほうがよい設問もあります。防災訓練に何人参加できるか、祭りの手伝いに何人出せるか、といった人数を尋ねる設問です。これは意見ではなく数の把握なので、世帯の中の人数を書いてもらいます。

もう1つの例外が、子どもや高齢者に関わる設問です。子ども会の行事について聞くなら、対象の子どもがいる世帯だけに配ります。全戸に配ると、対象外の世帯が答えられずに未回収として計上され、回収率が実態より低く見えます。配る先を絞るだけで、回収率は上がります。

記名にするか、無記名にするか

これは、聞く内容によって決めます。どちらか一方に統一しようとすると、必ず無理が出ます。

記名にするのが向いているのは、実態の把握と、個別の対応が要る設問です。要支援の登録の意向、備蓄の希望、当番の免除の申し出。誰から来た回答なのか分からないと、その後の対応ができません。

無記名が向いているのは、賛否が割れる設問です。会費の値上げ、行事の廃止、役員のなり手。記名だと、反対と書きにくくなります。特に、班長や役員経験者が近所に住んでいる自治会では、記名の反対票はほとんど出ません。出ないことをもって「反対は少数だった」と読むと、判断を誤ります。

現場でよく使われるのが、その中間です。氏名は書かず、班の名前だけを書いてもらう形です。班単位の傾向が見えるので、集積所の場所のように地理が関わる論点では有効です。個人が特定されないので、反対も書かれます。ただし5世帯程度の小さい班では、班名だけでも誰が書いたか推測できてしまうので、その場合は班をまとめたブロック単位にします。

無記名にすると、必ず出てくる問題が二重回答です。1つの世帯が2枚出しても分かりません。紙で配る場合は、配った枚数を記録し、回収した枚数と突き合わせるところまではできます。それ以上の厳密さを求めるなら、記名にするしかありません。会費の改定のように議決に直結するものは、アンケートは無記名で傾向を見て、最終的な意思確認は総会の書面表決で行う、という二段構えにするのが確実です。

設問の数と、用紙の分量

自治会のアンケートで、答えてもらえる分量には上限があります。紙なら1枚の表裏まで。設問数なら10問まで。これを超えると、回収率がはっきり落ちます。

分量が増える原因は、たいてい「せっかく配るのだから」という発想です。会費の話を聞くついでに防災の話も聞き、行事の希望も聞き、連絡手段の話も聞く。役員会で意見を出し合うと、設問はいくらでも増えます。

分量を抑えるには、判断の材料になる設問だけを残す作業をします。この設問の答えが変わったら、決定が変わるか。変わらないなら削ります。「参考までに聞いておきたい」という設問は、全部これで落ちます。

用紙の作り方にも要点があります。設問は、答えやすいものから並べます。最初に「会費の値上げに賛成ですか」と置くと、そこで手が止まります。最初は世帯の人数や在住年数のような、考えずに書ける設問にします。

自由記述の欄は、最後に1つだけにします。設問ごとに自由記述の欄を付けると、書く負担が一気に増えます。最後に「ご意見がありましたらお書きください」を1つ置けば足ります。

紙の下部には、提出の方法と期限、そして問い合わせ先を必ず書きます。班長に渡すのか、集会所の箱に入れるのか、投函するのか。ここが書かれていない用紙は、書き終わってから提出先を探すことになり、そのまま机の上に残ります。

選択肢の作り方で結果が変わる

同じ質問でも、選択肢の作り方で結果は変わります。作為的にしないための目安を挙げます。

第1に、「どちらでもない」を置くかどうかです。置くと、そこに4割前後が集まることがあります。判断を求めたい設問では置きません。実態を知りたいだけの設問なら置いてかまいません。

第2に、金額を聞くときは賛否ではなく刻みで聞きます。「月300円から400円への値上げに賛成ですか」と聞くと、賛成か反対かしか出てきません。「維持できる会費の額として、どれが近いですか」と尋ね、300円、350円、400円、450円と並べれば、どこまでなら受け入れられるかが分かります。総会に出す議案の金額を決める材料になります。

第3に、行事の存続を聞くときは、廃止と継続の二択にしません。二択にすると、廃止に投票することが行事を否定することのように受け取られ、実際の負担感が数字に出ません。「毎年続ける」「隔年にする」「規模を縮小して続ける」「他の行事と統合する」「取りやめる」のように、間の選択肢を用意します。実際には、中間の選択肢に票が集まることが多くあります。

第4に、複数回答を認めるかどうかを明記します。「あてはまるものすべてに丸」なのか「1つだけ」なのか。書いていないと、世帯によって答え方が変わり、集計時に扱いが割れます。

第5に、選択肢の数は5つまでに収めます。それ以上並ぶと、上から順に読まずに最初の方から選ばれる傾向が出ます。

設問文で、答えを誘導しない

選択肢と同じくらい、設問の文章そのものが結果を動かします。役員会で作った文面は、無意識に役員の希望が入ります。配る前に、次の3点を確認してください。

第1に、前提を設問に埋め込まないことです。「会の運営費が不足していますが、会費の値上げに賛成ですか」という聞き方は、不足しているという前提を認めさせたうえで賛否を尋ねています。前提は説明文として別に書き、設問は「会費の改定について、どうお考えですか」と中立に置きます。

第2に、否定形で聞かないことです。「夏祭りを取りやめることに反対ではありませんか」のような文は、賛成と反対のどちらに丸を付ければよいのかが読み取れません。肯定形で聞き、選択肢で賛否を分けます。

第3に、1つの設問で2つのことを聞かないことです。「清掃と防災訓練の回数を減らすことについて」と聞くと、清掃は減らしたいが防災訓練は減らしたくない世帯が答えられません。設問を2つに分けます。分けると設問数が増えるので、代わりに別の設問を削ります。

もう1点、専門的な言い回しを避けます。「行政協力業務の見直しについて」と書かれても、区域の住民には何の話か伝わりません。「市から頼まれている回覧や委員の推薦を減らすことについて」と、具体的な作業の名前で書きます。役員のあいだで通じる言葉と、会員に通じる言葉は違います。

作った設問は、役員以外の人に1度読んでもらいます。班長でも、家族でも構いません。読んで意味が分からない設問は、配ってからも分かりません。

アンケートを取る前に、使い道を決めておく

配る前に決めておくべきことが1つあります。集まった結果を、何にどう使うのかです。

決めておく内容は3つです。第1に、この結果で何を決めるのか。会費の改定案の金額を決めるのか、行事の存続を決めるのか、それとも役員会の検討材料にとどめるのか。第2に、どの数字になったらどうするのか。「継続が6割を超えたら現行どおり続ける」「縮小が最多なら縮小案を総会に出す」というところまでです。第3に、決めた内容をいつどこに出すのか。次の役員会か、次の総会か。

この3つを先に決めておく理由は2つあります。1つは、設問が絞れるからです。使い道が決まっていれば、判断に要らない設問は自然に落ちます。もう1つは、結果が出たあとに解釈で揉めないからです。数字を見てから基準を作ると、「4割でも多数と言える」といった議論が始まり、決着しません。

決めた内容は、アンケートの用紙にも書きます。「この結果は、来年度の事業計画を決める資料として役員会で使い、総会に報告します」の一文です。答える側は、自分の回答がどこへ行くのかが分かると、答える気になります。何に使われるのか分からない紙は、後回しにされます。

逆に、使い道が決まっていないなら、アンケートを取らないという判断もあります。取れば、集計と公表の作業が発生し、答えた世帯には期待が生まれます。使わない結果を集めることは、双方の時間を使うだけです。

未加入世帯に理由を聞くとき

自治会が取るアンケートの中で、いちばん設計が難しいのが、加入していない世帯への調査です。相手は会員ではないので、答える義務も動機もありません。

配り方から違います。会員向けの回覧や班長経由の経路は使えません。投函になります。投函する以上、相手が読むのは封筒の表と最初の数行だけだと考えて作ります。

設問数は3問までにします。加入していない理由、加入する条件があるとすれば何か、自治会からの連絡を受け取りたいかどうか。この3つで足ります。10問の用紙を投函しても、返ってきません。

理由を尋ねる選択肢は、責める形にしないことです。「関心がない」という選択肢を入れると、それを選ぶこと自体が気まずくなり、返送されません。「会費の負担が大きい」「役員や当番を担えない」「必要性を感じない」「加入の方法を知らなかった」「その他」のように、事実として選べる形にします。実際には「加入の方法を知らなかった」が一定数出る自治会があり、それは受付の案内の問題として手が打てます。

返送の方法も工夫が要ります。班長に渡す形にすると、誰が何を書いたか分かってしまうので返ってきません。集会所の投函箱か、返信用の封筒を同封するか、あるいは画面から答えられる経路を用意します。無記名で答えられることを、用紙の最初に書いておきます。

回収率は低くて当然です。1割返ってくれば十分な調査だと考えて設計します。少数でも、加入しない理由が具体的に分かれば、入会の案内の作り方が変わります。

締め切りを、回覧に乗せない

自治会のアンケートで、締め切りが機能しない最大の原因は、用紙を回覧板に挟むことです。

回覧は順番に回ります。班の先頭の世帯には出した翌日に届き、末尾の世帯には10日後に届きます。全世帯に同じ締め切りを書いた紙を、届く日が10日違う経路で配っているわけです。末尾の世帯は、届いた時点で締め切りを過ぎていることさえあります。

対処は3つあります。

1つめは、アンケートは回覧ではなく戸別に配ることです。班長が全戸に投函する形なら、同じ日に届きます。手間はかかりますが、締め切りが意味を持ちます。

2つめは、締め切りを「配布から2週間後」ではなく、具体的な日付で、かつ余裕を持って置くことです。回覧で配るしかないなら、回覧が1周する日数を測っておいて、その日数に1週間足した日を締め切りにします。実測をしていない自治会は、ここで必ず読み違えます。

3つめは、画面で配る経路を併用することです。同時に全世帯へ届くので、締め切りの前提が成り立ちます。紙が必要な世帯には投函し、それ以外は画面で受ける形にすれば、投函する軒数も減ります。

締め切りを設定するときに、もう1つ決めておくことがあります。締め切りを過ぎた回答を受け付けるかどうかです。受け付けるなら、集計を締める日を別に決めます。受け付けないなら、その旨を用紙に書きます。決めていないと、締め切り後に届いた回答を入れるかどうかで役員会が揉めます。

回収率をどう読むか

回収した枚数を配った枚数で割った数字が、回収率です。この数字だけを見ても、判断には使えません。見るべきは、答えていないのが誰かです。

自治会のアンケートで、回答が偏る方向は決まっています。返ってきやすいのは、長く住んでいる世帯、行事に出ている世帯、高齢の世帯、そして役員の経験がある世帯です。返ってきにくいのは、転入して間もない世帯、共働きの世帯、集合住宅の世帯、そして若い単身世帯です。

つまり、回収率30%のアンケートの結果は、「自治会に関わっている世帯の意見」であって、区域の総意ではありません。行事の存続を聞けば継続に票が集まりやすく、連絡手段の変更を聞けば現状維持に票が集まりやすくなります。この偏りを知ったうえで読みます。

読み方を補正する方法が1つあります。班ごとの回収率を出すことです。集合住宅の多い班の回収率が10%で、戸建ての班が60%なら、集合住宅の世帯の意見はほとんど入っていないと分かります。全体の数字だけを見ていると、この差が見えません。

回収率が低かったとき、追加で配って回収率を上げようとするのは、ほとんどの場合うまくいきません。1回目で返さなかった世帯は、2回目も返しません。むしろ、次回のアンケートで聞き方を変えるほうが効果があります。設問を減らす、配る先を絞る、答える経路を増やす。この3つで回収率は動きます。

集めた回答をどう集計するか

紙で集めた場合、集計は手作業です。ここが役員の負担として最も重い部分になります。

100枚の用紙を、10問について集計すると、単純に千個の数字を数えることになります。2人で読み上げと記録に分かれても、数時間かかります。しかも自由記述が入っていれば、それを書き起こす作業が別に発生します。

負担を減らす方法は3つあります。

第1に、選択肢に番号を振り、丸を付ける形式に統一することです。記述式の答えが混ざると、分類の作業が入ります。

第2に、班ごとに集計してから合計することです。班長が自分の班の分を数えて、数字だけを出す。全部を1か所に集めてから数えるより、分担できます。

第3に、答えを画面から受け付けることです。集計が自動で終わるので、役員の作業は結果を読むところから始まります。紙で返ってきた分だけを役員が入力すれば、集計は1か所にまとまります。紙の回答が全体の2割なら、入力する枚数も2割です。

自由記述の扱いも決めておきます。全部を書き起こして総会に出すのか、要旨をまとめるのか。全部を出すと、特定の世帯への苦情や、個人が特定できる記述が混ざります。役員会で内容を確認し、個人に関わる部分を外してから公表する、という手順を先に決めておきます。

結果を公表しないと、次から答えてもらえない

アンケートで最も軽視されているのが、結果の公表です。答えたのに何も返ってこなければ、次のアンケートには答えません。これが、回収率が年々下がる自治会の共通点です。

公表するのは、次の4つです。

・配った数と、返ってきた数 ・設問ごとの結果(数字と割合) ・自由記述の要旨 ・その結果を受けて、役員会が何を決めたか

4番目がいちばん重要です。「7割が縮小を選んだので、来年から夏祭りは1日開催にします」まで書いて、はじめてアンケートが行動につながったことが伝わります。結果の数字だけを出して、決定を書かない報告は、答えた側から見ると何も起きなかったのと同じです。

決めるのに時間がかかる場合も、そのことを書きます。「総会に議案として出します」「役員会で継続して検討します」。途中経過でも、返しがあるかないかで次回の回収率が変わります。

公表の場は、回覧、掲示板、そして画面です。総会の議案書に載せるだけだと、総会に来ない世帯には届きません。アンケートを配った経路と同じ経路で結果を返すのが原則です。

防災に関するアンケートは、扱いを分ける

自治会が取るアンケートの中で、防災に関するものだけは性質が違います。集めた情報が、災害時に実際に使われるからです。

総務省が市区町村に聞いた調査でも、この分野の重要性が示されています。

自治会等のデジタル化を進める上で、市区町村として有効であると考える分野は、「災害時における安否確認」(72.1%)が最も多い。 出典: soumu.go.jp

72.1%と、他の分野を大きく引き離しています。自治会のアンケートで防災の項目を聞くときは、この用途を前提に設計します。

具体的には、3点を分けます。

第1に、災害時に使う情報は、無記名で聞いてはいけません。誰の世帯の情報かが分からなければ、使えません。要支援の有無、階段の上り下りの可否、酸素や医療機器の使用。これらは記名で、かつ本人の同意を得たうえで集めます。

第2に、集めた情報を誰が持つかを明示します。班長が持つのか、防災部が持つのか、市の要支援者名簿に載せるのか。書いていないと、答える側が判断できません。健康に関わる情報を求める以上、利用目的と保管者を書かずに配ることは避けてください。

第3に、答えたくない自由を保障します。「回答は任意です」「未回答でも不利益はありません」と明記します。防災の名目で答えを強く求めると、次の年から回答自体が減ります。

なお、要支援者の把握については、市区町村が制度として持っている場合があります。自治会が独自に集める前に、市の制度と重複していないかを確認したほうが、住民に二度書かせずに済みます。

紙と画面が混ざるときの決めごと

自治会のアンケートは、当面のあいだ紙と画面の併用になります。併用のしかたを決めておかないと、集計が二重になります。

決めることは3つです。

1つめは、同じ世帯が両方から答えないようにする方法です。いちばん確実なのは、画面で答える世帯には紙を配らない形にすることです。配る段階で分けておけば、二重回答は起きません。班長が誰に紙を配ったかを記録します。

2つめは、紙の回答を誰が画面側に入れるかです。班長が自分の班の分を入れるのか、役員がまとめて入れるのか。班長に任せるなら、班長が代理で入力できる形になっている必要があります。自分の回答しか入れられない仕組みでは、この運用が成り立ちません。

3つめは、締め切りをそろえるかどうかです。紙は回収の日数がかかるので、紙の締め切りを数日早く置く形が現実的です。ただし、公表するときは1つの締め切りとして扱います。

併用を続けるかどうかも、いずれ判断が要ります。紙の回答が全体の1割を切ったら、紙を希望制にする。この目安を先に決めておくと、毎年の議論が省けます。

もう1つ、併用のときに見落とされるのが、設問の文面をそろえることです。紙と画面で選択肢の順番が違っていたり、片方にだけ「その他」があったりすると、集計したときに数が合いません。用紙を作った人と画面を作った人が別だと、この食い違いは高い確率で起きます。配る前に、両方を並べて突き合わせる時間を10分取ってください。

聞く場所と答える場所を、同じにする

アンケートの手間の多くは、配ることと集めることに使われています。ここは道具の形で変わります。

自治会でよく使われているチャットのグループは、投稿に対して返信をもらう形になるため、答えが会話の中に混ざります。誰が答えて誰が答えていないかを数えるには、投稿をさかのぼることになり、しかも他の会員に回答が全部見えます。無記名で聞きたい設問には使えません。この形式の限界はLINEグループとの比較に整理があります。

投稿と反応が時系列で流れる形式全般に同じ問題があり、区域の連絡と意見の収集を同じ場所で行いたい場合には、集計の機能を持つ手段を選ぶことになります。掲示板型のサービスの機能の範囲はBANDとの比較で確認できます。

区域外の人が閲覧できる形式では、そもそも自治会のアンケートは取れません。会費の額や、集積所の場所や、防災の状況は、外に出す情報ではないからです。公開の範囲がどうなるかはFacebookグループとの比較に整理があります。メンバー以外は見られないことは、自治会が意見を集めるうえでの前提条件です。

回答の受け付けと集計を、連絡の配信と同じ場所で行うとどうなるかは、町内会での使われかたで確認できます。案内を配る場所と、答える場所と、結果を返す場所が同じなら、答える側は経路を覚える必要がありません。

導入や運用で出てくる疑問はよくある質問にまとまっています。アンケートの回収率を上げる工夫は、突き詰めると、聞く量を減らし、答える経路を短くし、結果を返す、という3つに集約されます。

Q1. 自治会のアンケートは、世帯単位と個人単位のどちらで取るべきですか?

原則は世帯単位です。自治会は世帯を単位に会費を集め、当番を割り振っている団体で、総会の表決権も構成員ごとに平等とされています。4人世帯が4票、単身世帯が1票では総会の結果と食い違います。用紙には「世帯を代表する方が1名でご記入ください」と明記してください。ただし参加人数を尋ねる設問だけは、世帯の中の人数を書いてもらいます。

Q2. アンケートは記名と無記名のどちらがよいですか?

聞く内容で分けます。要支援の登録や当番の免除など、その後の個別対応が必要な設問は記名です。会費の値上げや行事の廃止など、賛否が割れる設問は無記名にしないと反対意見が出てきません。中間の方法として、氏名は書かず班名だけを書いてもらう形もありますが、5世帯程度の小さい班では推測できてしまうので注意してください。

Q3. 締め切りまでに回答が集まりません。何が原因ですか?

用紙を回覧板に挟んで配っている場合、届く日が世帯によって10日ほど違うため、締め切りが最初から機能していません。戸別に投函するか、回覧が1周する日数を実測してその日数に1週間足した日を締め切りにしてください。同時に全世帯へ届く経路を併用すれば、締め切りの前提が成り立ちます。

Q4. 回収率が3割程度でも、結果を判断に使ってよいですか?

傾向を読む材料にはなりますが、総意として扱うのは避けてください。返ってきやすいのは長く住んでいる世帯と行事に出ている世帯で、転入して間もない世帯や集合住宅の世帯の意見はほとんど入っていません。班ごとの回収率を出すと、どの層の意見が欠けているかが見えます。議決に直結する事項は、アンケートで傾向を見たうえで、総会の書面表決で意思を確認する二段構えにしてください。

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