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自治会の会費の集め方を変える|現金の受け渡しを減らす順番

2026年9月12日 ・ Tsudoo編集部

自治会 kaihiの集め方を変えたいと考えている役員の多くが、最初に思い浮かべるのは電子決済です。ところが役員会で話を出すと、手数料は誰が持つのか、口座の名義はどうするのか、スマートフォンを持たない世帯はどうするのかと質問が続き、その日は結論が出ないまま終わります。翌年になると役員が代わり、また同じ話が最初から始まります。

原因は、いきなりいちばん遠い場所に飛ぼうとしていることです。現金の受け渡しを減らすには順番があります。回数を減らす、経路を短くする、現金以外の手段を足すの3段階です。この順に進めると、最初の2段階は総会の議決を待たずに始められ、しかも効果がはっきり出ます。3段階目に進む頃には、決めるべき論点が絞られています。この記事では、その順番と、それぞれの段階で決めることを具体的に書きます。

会費の払い方を変えるには、何を通す必要があるか

まず、何が規約で決まっていて何が決まっていないかを確認します。ここを飛ばすと、後で「総会にかけていない」と指摘されて差し戻されます。

多くの自治会の規約には、会費に関する条文があります。ただし書かれている内容は会によって差があります。よくあるのは次のパターンです。

・金額まで規約に書いてある。変更には総会の議決が必要 ・金額は「総会で定める」と書いてあり、毎年の総会で決議している ・納入の方法まで書いてある。「班長が集金する」と明記されている ・納入の方法は書いていない。慣例で班長が集金している

このうち、納入の方法まで規約に書いてある会は、方法を変えるのに総会の議決が要ります。書いていない会は、役員会の決定だけで変えられる可能性があります。自分の会がどちらなのかを、最初に確認します。

ここで重要なのは、規約に納入の方法を細かく書きすぎないことです。「班長が現金で集金する」と書いてあると、振込を1件受け付けるだけでも規約違反になりかねません。逆に方法を書かないか、「納入の方法は別に定める」という形にしておけば、実務の変更が役員会で完結します。規約を改正する機会があるなら、この形に寄せておくと後が楽になります。

もう1つ確認すべきなのが、会計年度と納入の時期です。年度の途中で払い方を変えると、同じ年度の中に2つの方法が混在します。決算のときに集計が複雑になるので、切り替えは年度の変わり目に合わせるのが基本です。

現金が動く場面を、まず全部数える

会費だけを見ていると、現金の受け渡しは年に1回か2回に見えます。実際には、自治会の1年には現金が動く場面がもっと多くあります。役員会で数えてみると、たいてい想定より多く出てきます。

・自治会費そのもの ・行事の参加費。夏祭り、運動会、バス旅行、新年会 ・共同募金や社会福祉協議会の会費などの募金 ・集会所の使用料 ・防犯灯や街路灯の電気代の負担金がある場合 ・祭礼の寄付 ・慶弔費 ・備品の購入や修繕の際の立て替えと精算 ・役員や当番への謝礼、記念品の代金

このうち会費は年1回か2回でも、他を合わせると現金が動く場面は年に10回を超えることがあります。役員や班長にとっての負担は、この合計です。会費の払い方だけを変えても、他が現金のままなら、現金を数えて渡して受け取る作業はなくなりません。

数え上げるときは、金額の大小ではなく回数で見ます。金額が小さくても、受け渡しが発生すれば記録と保管が必要になるからです。慶弔費のように金額が小さく回数も少ないものは後回しでよいのですが、行事の参加費のように毎回発生するものは、会費と同じかそれ以上に効きます。

数え上げた結果を役員会で共有すると、話の焦点が変わります。「会費を電子決済にするか」ではなく「年に何回ある現金の受け渡しのうち、どれから減らすか」という議論になります。後者のほうが決まりやすくなります。

減らす順番は、回数、経路、現金

現金の受け渡しを減らすには、3つの段階があります。難しい順に並べると、回数を減らすのがいちばんやさしく、現金以外の手段を足すのがいちばん難しくなります。

第1段階は回数です。受け渡しの回数そのものを減らします。決済の手段は変えないので、誰の同意も要らず、費用もかかりません。

第2段階は経路です。誰から誰へ渡るかを短くします。班長を経由する形を見直します。ここも決済の手段は変わりません。

第3段階が現金です。ここではじめて振込や電子決済の話になります。手数料、口座の名義、対応できない世帯の扱いという3つの論点が同時に出てきます。

多くの会が、いきなり第3段階から始めようとして止まります。第1段階と第2段階だけでも、班長の作業時間は大きく減ります。しかも第1段階と第2段階を済ませてから第3段階に進むと、切り替えの対象が絞られているぶん、判断が速くなります。

第1段階、受け渡しの回数を減らす

回数を減らす方法は3つあります。

1つ目は、まとめることです。年に2回に分けて集めている会費を、年1回にします。行事の参加費を都度集めるのをやめ、年度の初めに一括で預かる形にします。1回あたりの金額は大きくなりますが、受け渡しの回数は半分以下になります。

金額が大きくなることへの抵抗はあります。年3,000円を1回で集めるのと、1,500円を2回で集めるのでは、住民の感覚が違います。ただ、班長にとっての負担は回数に比例します。回数を減らす代わりに、金額を数か月前に予告する、分割で納めたい世帯には個別に応じる、といった配慮を用意すれば、多くの会で受け入れられます。

2つ目は、やめることです。数え上げた項目の中に、なぜ集めているのか誰も説明できないものが残っていることがあります。何年も前に始まった寄付、参加者がほとんどいない行事の積立、使われていない備品の維持費。役員会で1つずつ確認すると、やめられるものが見つかります。

3つ目は、外すことです。自治会が集めている募金のうち、任意のものは自治会を経由しない形に切り替えられる場合があります。募金を行っている団体が独自の納入手段を持っているなら、そちらに案内するだけで、自治会の受け渡しは1回減ります。行政や関係団体から依頼されている業務については、市区町村の担当窓口に相談すると、直接の受付に切り替えられることがあります。

この3つを実行するだけで、現金の受け渡しは年10回から年3回程度まで減らせる会があります。決済の手段は何も変えていないのに、負担は半分以下になります。

第2段階、経路を短くする

次に、渡る経路を見直します。現在の経路は、多くの会で「住民から班長へ、班長から会計へ」という2段構えです。この2段のうち、片方を減らせないかを考えます。

方法の1つは、受付の場を作ることです。集会所や公民館で、決まった日時に会計が直接受け付けます。班長が回らなくてよくなり、住民は都合のよい日に持参します。全戸がその日に来られるわけではないので、来られなかった世帯だけを班長が回る形になります。回る軒数が大幅に減ります。

もう1つは、班長を飛ばして会計に直接渡せる経路を用意することです。役員宅への持参、集会所の受付箱、行事の会場での受付。班長が回る前に払っておきたい世帯には、この経路のほうが好都合です。

経路を短くするときに必ず必要になるのが、記録の共有です。会計が直接受け取った分が班長に伝わらないと、班長が二重に集金に行きます。班長が受け取った分が会計に伝わらないと、会計が督促してしまいます。経路を増やすなら、記録は1か所にまとめるのが前提条件になります。

ここが、経路の見直しがうまくいく会といかない会の分かれ目です。記録の共有ができていない会では、経路を増やした結果、以前より混乱します。逆に記録が1か所にあれば、経路はいくつあっても問題になりません。

第3段階、現金以外の手段を足す

ここでようやく、振込や電子決済の話になります。この段階で決めることは3つです。

1つ目は、どの手段を用意するかです。銀行振込、口座振替、コンビニでの払込、QRコードによる決済、クレジットカード。それぞれ、住民側の手間と会側の手間と費用が違います。銀行振込は会側の準備が最も少ない一方、住民が窓口やATMまで行く手間が残ります。口座振替は住民の手間が最小ですが、金融機関との契約が必要です。

2つ目は、費用を誰が持つかです。これは後の項で詳しく書きます。

3つ目は、現金のままの世帯をどう残すかです。ここも後の項で書きます。

導入の規模を決めるときの目安になる調査があります。総務省が全国の市区町村に行った調査では、自治会のデジタル化を進めるうえで最も課題になると認識されていることとして、住民の多くが操作等に不慣れであることが41.2%、導入費や維持費が不明で自治会の財政を圧迫する可能性があることが18.2%、デジタル機器を保有していない住民が多いことが12.9%と挙げられています。費用と、使えない住民の存在が、上位に並んでいます。この2つに答えを用意してから提案すると、役員会で話が進みます。

団体名義の口座を作れるかどうかという壁

振込や口座振替を検討すると、必ずぶつかるのが口座の名義です。ここは自治会に固有の事情があります。

自治会や町内会は、そのままでは法人格を持ちません。法人格がないと、団体の名義で銀行口座を作れない場合があります。実務では、会長の個人名義に「自治会会計」といった肩書きを添えた口座を使っている会が多数を占めます。

この形には、いくつも問題があります。会長が代わるたびに口座を作り直すか、名義を変更する手続きが要ります。名義人となっている個人が亡くなった場合、相続の対象と誤解される可能性があります。名義人個人が債務を負った場合の扱いも不安定です。会の資産なのに、個人の資産と外形上は区別がつきません。

これを解決する制度が、地方自治法にあります。

町又は字の区域その他市町村内の一定の区域に住所を有する者の地縁に基づいて形成された団体は、地域的な共同活動を円滑に行うため市町村長の認可を受けたときは、その規約に定める目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う。 出典: laws.e-gov.go.jp

市町村長の認可を受けた自治会は認可地縁団体となり、団体として権利を持ち義務を負います。団体名義で資産を持てるようになるという意味です。以前は不動産などを保有することが認可の前提でしたが、2021年の法改正で、不動産の保有の有無にかかわらず幅広い地域活動を行う団体が認可を受けられるようになりました。

ただし、認可を受けている自治会は多数派ではありません。総務省の調査によれば、市町村が把握している地縁団体の総数が295,838団体であるのに対し、認可地縁団体の総数は令和4年度末で56,078団体です。割合にすると2割に届きません。つまり8割の自治会は、団体名義の口座を持てるかどうかという段階で止まっている可能性があります。

認可を受けるには、規約を整え、区域を明確にし、構成員の要件を満たしたうえで市町村長に申請します。手続きには相応の時間がかかるため、会費の払い方を変える話とは別の議題として、長い目で進めることになります。当面は個人名義の口座を使い続けるとしても、名義変更の手順と、通帳と印鑑の保管の責任者を役員会で決めておくと、事故を防げます。

会費の額そのものを見直すかどうか

払い方を変える話と、金額を変える話は別ですが、同じ時期に議題に上がりやすくなります。混ぜると通らなくなるので、分けて考えます。

金額の見直しが必要になる場面は決まっています。長年据え置いてきた会費で、集会所の光熱費や修繕費が賄えなくなった場合。防犯灯の電気代の負担が増えた場合。会員数が減って総収入が落ちた場合。行事を減らして支出が下がった場合は、逆に引き下げの検討になります。

金額を変えるには、ほぼ確実に総会の議決が要ります。そして、値上げの提案は反対されやすい議題です。反対されにくくするには、支出の内訳を先に開示することが有効です。何にいくら使っているかが分からないまま「上げます」と言われると、住民は納得しません。

払い方の変更を先に済ませておくと、この開示がやりやすくなります。記録が1か所にまとまっていれば、収入と支出を年度の途中でも示せるからです。年度末の総会でしか数字を見せられない状態より、説明の説得力が上がります。

順番としては、払い方を整え、記録を見せられるようにし、そのうえで金額の議論に進むのが無理がありません。逆に、値上げと払い方の変更を同時に提案すると、どちらの論点で反対されているのかが分からなくなり、両方とも通らない結果になりがちです。

手数料を誰が持つかを先に決める

現金以外の手段を足すと、必ず費用が発生します。振込手数料、口座振替の1件あたりの手数料、決済サービスの利用料。これを誰が負担するかを決めていないと、導入の直前で揉めます。

選択肢は3つです。

1つ目は、会が負担する方法です。会計の支出として計上します。透明性は高いのですが、会費収入から差し引かれるので、実質的に会費の値上げと同じ効果になります。年度の予算に計上して総会で承認を得る必要があります。

2つ目は、払う人が負担する方法です。振込手数料を住民が持ちます。現金なら無料なのに振込だと手数料がかかるとなると、移行が進みません。手数料の分だけ現金が有利になるので、現金を減らすという目的と矛盾します。

3つ目は、会費の額に織り込む方法です。手数料の想定額を含めて会費を設定し、どの手段で払っても住民の負担額は同じにします。公平ではありますが、会費の改定は総会の議決が必要なので、実行までに時間がかかります。

現実には1つ目を選ぶ会が多くなっています。決めるべきなのは、年間でいくらまで許容するかです。世帯数と手数料の単価から年間の総額を計算し、その金額を予算に組めるかどうかを役員会で確認します。100世帯の会で1件あたり100円の手数料なら年間1万円です。この金額を出す価値があるかどうかは、班長が集金に費やしていた時間と比べて判断します。

転入と転出があったときの扱いを決めておく

払い方を変えるときに、あわせて整理しておきたいのが年度の途中で出入りがあった世帯の扱いです。ここを決めていない会は多く、そのたびに役員が個別に判断しています。

決める項目は3つです。

1つ目は、年度の途中で転入した世帯から会費をいくら受け取るかです。全額を受け取る、月割りにする、その年度は受け取らずに翌年度から、という3通りがあります。全額を受け取る会が多数ですが、年度の終わりに近い時期の転入だと納得を得にくくなります。月割りにすると計算の手間が増えるので、四半期ごとに区切って半額か全額かを決める、といった簡略な形にしている会もあります。

2つ目は、年度の途中で転出した世帯に返金するかどうかです。返金しないと決めている会が大半です。ただし決めていないと、転出時に返金を求められて役員が困ります。規約か申し合わせに一行書いておくだけで、その場で答えられます。

3つ目は、払い方を変えたあとの反映です。口座振替を使っている場合、転出した世帯の引き落としを止める手続きが必要になります。止め忘れると、退会したはずの世帯から引き落とし続けることになり、これは実害のある事故です。誰がいつ止めるのかを、名簿の更新の手順に組み込んでおきます。

現金の集金であれば、転出した世帯には単に行かなければ済みます。自動で引き落とす形にすると、止める作業が新しく発生します。払い方を変えるとは、こうした管理の作業が増えることでもあります。増える作業を先に洗い出して、担当を決めてから移行するほうが安全です。

減免と免除の基準を、口約束にしない

会費の減免や免除は、多くの会で慣例として運用されています。高齢の単身世帯、長期に入院している世帯、災害で被害を受けた世帯、生活の状況によるもの。基準を文書にしている会は多くありません。

慣例のままだと、3つの問題が起きます。

1つ目は、役員が代わると基準が変わることです。前の会長が認めていた免除を、次の会長が知らずに集金してしまいます。免除されていた世帯からすると、突然扱いが変わったように見えます。

2つ目は、班長が判断を求められることです。玄関先で「うちは去年免除だったはず」と言われても、班長には確かめる手立てがありません。その場で判断させるのは、1年で交代する役職の人に対して負担が重すぎます。

3つ目は、決算のときに数字が合わないことです。免除の分が収入の見込みから抜けているのに、その理由が記録に残っていないと、監事に説明できません。

対処は、基準を書くことと、適用した事実を記録することの2つです。基準は細かくする必要はありません。「役員会が認めた場合に減免することができる」という一行と、申請の窓口を決めておくだけでも、班長は「役員会に伝えます」と答えられるようになります。適用の記録は、免除の事実と期間だけを残せば足ります。理由まで書くと、扱いに気を使う情報が増えてしまいます。

払い方を変える提案とあわせて、この整理も一度やっておくと、会費に関する運用がまとめて片づきます。

役員会に提案を通すための材料をそろえる

最後に、実務の話をします。会費の集め方を変える提案は、内容が正しくても通らないことがあります。判断する側に材料が足りないためです。

役員会に出す前にそろえておきたい材料は5つです。

・いまの受け渡しの回数。年に何回、誰が誰に渡しているか ・いま班長が費やしている時間の見積もり。世帯数と訪問の回数から概算する ・変えたあとの回数と時間の見積もり ・かかる費用の年額。手数料と、必要なら道具の費用 ・現金のまま残る世帯の割合の見込み

このうち2つ目と3つ目が最も効きます。数字がないと、話は好き嫌いの議論になります。20軒の班で平均2.5回訪問しているなら、班長ひとりあたりの訪問は年50回です。班が10あれば会全体で年500回になります。この数字を出すと、議論の質が変わります。

費用については、上限を示すことが大切です。「いくらかかるか分からない」が最も反対されやすい説明です。年間の上限額を提示し、それを超える場合は役員会に諮ると添えておけば、判断する側は安心できます。

現金のまま残る世帯の割合は、多めに見積もっておきます。半分は現金のままだと想定しておけば、実際にそうなっても計画どおりです。全戸が移行する前提で説明すると、移行しなかったときに失敗と見なされます。

提案の書き方としては、全部をいっぺんに決めようとしないことです。第1段階だけを提案し、次の役員会で結果を報告する。数字で改善が示せれば、第2段階の承認は取りやすくなります。1年でやりきろうとせず、2年か3年かけるつもりで進めるほうが、結果的に定着します。

現金のままの世帯を残す設計にする

現金以外の手段を足すときに最も大事なのが、現金をやめないことです。全戸を一斉に切り替えようとすると、必ず取り残される世帯が出ます。

取り残されるのは、スマートフォンを持たない世帯だけではありません。持っていても決済の設定をしたくない人、口座の情報を会に渡したくない人、家族の中で支払いの担当が決まっていて本人が操作しない世帯。理由はさまざまです。

現実的な設計は、現金を残したまま選択肢を足すことです。希望する世帯だけが新しい手段に移り、それ以外は今までどおりに払います。移行率が半分でも、班長が回る軒数は半分になります。全戸を切り替えなければ意味がない、という考え方をやめると、導入のハードルは一気に下がります。

このとき問題になるのが、2つの経路で入ってきたお金をどう1つの記録にまとめるかです。ここが第2段階で整理しておくべきことでした。記録が1か所にあれば、現金の世帯と振込の世帯が混在しても、誰が払って誰が払っていないかは一目で分かります。記録が分かれていると、班長は自分が集めた分しか分からず、振込で払った世帯にも訪問してしまいます。

移行の案内は、一度に全戸へ出すのではなく、段階を踏むほうが安全です。まず役員から試し、次に希望者を募り、問題がなければ全戸に案内する。役員が実際に使ってみると、説明のときに出てくる質問に答えられるようになります。

払い方を変えても、加入率は上がらない

最後に、期待の設定について書きます。会費の払い方を変えると加入率が上がるのではないか、と考える役員は少なくありません。実際には、そこまでの効果は出ないことが多いようです。

未加入の世帯が加入しない理由は、払い方の面倒さだけではありません。会費が何に使われているか分からない、当番や役が回ってくることへの負担感、行事に参加する時間がない。払い方はそのうちの1つにすぎません。

ただし、払い方を変える過程で、会費の使い道を説明し直す機会が生まれます。年度の予算と決算を分かりやすい形で示し、会費がどこに使われているかを見える形にすると、そちらのほうが加入の判断に効きます。払い方の変更は、その説明を作り直す口実として使うのが賢い進め方です。

町内会や自治会での情報の出し方と、公開範囲の分け方は町内会での使われかたに画面の流れがあります。会費の納入状況を役員だけが見られる形にする、会員は自分の状況だけ確認できる形にする、といった設計もここに含まれます。

いま使っている連絡の手段でどこまでできるかを確かめたい場合は、比較の記事が参考になります。公開範囲を絞ったチャットで会費の案内を流している会もありますが、金銭の受け取りに関する情報を扱えるかどうかは、サービスの規約で決まります。この制約はLINEオープンチャットとの比較に整理しました。ほかの手段との違いをまとめて見たい場合は比較のページに一覧があります。

導入や運用でよく出る疑問はよくある質問にまとめてあります。会費の集め方を変える提案を役員会に出す前に、想定される質問と答えを一通り用意しておくと、その場で結論まで持っていける可能性が高くなります。

なお、変更を案内するときの文面は、班長が読み上げても意味が通る短さにしておくと定着が早くなります。変わること、変わらないこと、いつから、困ったときの相談先。この4つだけを書いた紙を1枚作り、回覧と掲示の両方で出すのが確実です。長い説明文を作ると、読まれないまま「よく分からないから今までどおりにする」という反応が返ってきます。

順番を守れば、会費の集め方は変えられます。回数を減らし、経路を短くし、記録を1か所にまとめる。ここまで来たあとで現金以外の手段を足せば、切り替える世帯が少なくても効果が出ますし、途中で止まっても前の段階の成果は残ります。いきなり決済の話から入って何年も動かないより、確実な進め方です。

Q1. 会費の払い方を変えるには、総会の議決が必要ですか?

規約に納入の方法まで書いてあるかどうかで変わります。「班長が集金する」と明記されている会は、方法の変更に総会の議決が要ります。方法が書かれていない会や「納入の方法は別に定める」となっている会は、役員会の決定で変えられる可能性があります。まず自分の会の規約を確認するところから始めてください。

Q2. 自治会の名義で銀行口座を作れますか?

法人格がないと難しく、会長の個人名義に肩書きを添えた口座を使っている会が多数です。市町村長の認可を受けて認可地縁団体になれば団体名義で資産を持てますが、認可を受けているのは全国の地縁団体のうち2割に届きません。当面は個人名義を使うとしても、名義変更の手順と通帳や印鑑の保管の責任者は決めておくべきです。

Q3. 振込手数料は誰が負担すべきですか?

会が負担する形を選ぶ会が多くなっています。住民に負担させると現金のほうが安くなり、現金を減らすという目的と矛盾するためです。世帯数と手数料の単価から年間の総額を計算し、予算に組めるかどうかを役員会で確認します。100世帯で1件100円なら年間1万円が目安になります。

Q4. 全世帯を一斉に電子決済へ切り替えるべきですか?

一斉に切り替える必要はありません。現金を残したまま選択肢を足し、希望する世帯だけが移る形が現実的です。移行が半分でも班長が回る軒数は半分になります。ただし、現金と振込の記録が分かれると班長が二重に訪問してしまうので、記録を1か所にまとめることが前提になります。

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