スポーツ少年団の会費をめぐる話し合いがまとまらないのは、「高い」という声と「渡すのが面倒」という声を、同じ会議で扱おうとするからです。この2つはまったく別の問題で、解き方も順番も違います。この記事は、団の役員が、まず額の根拠をそろえ、そのあとで受け渡しの形を1段ずつ変えていくための道筋を整理したものです。
額の話と、渡し方の話を分ける
最初にやることは議題を割ることです。会費の議論に持ち込まれる不満は、次の2種類に分かれます。
額に関する不満。年間でいくらかかるのか見えない。同じ地域の他の団より高い気がする。何に使われているのか分からない。学年で額が違う理由が説明されていない。
渡し方に関する不満。毎月現金を用意するのが手間。おつりが出ないよう小銭をそろえるのが面倒。練習に行けない月は誰に渡せばよいのか分からない。渡したのに記録されていなかった。
前者は総会で決める話です。後者は運用の工夫で解ける話で、総会を通す必要すらない場合が多い。ところが実際の会議では、渡し方の不満が「会費が高い」という形で表明されることがよくあります。手間が負担感になって、額への不満に化けるためです。
分けると、話が早く進みます。渡し方の改善は次の練習日から始められますし、始めれば額への不満も一定量が消えます。額の見直しは資料の準備に時間がかかるので、年度の後半に議題として立てる。この順番にすると、1年で両方が片づきます。
会費の中に何が入っているかを、費目で書き出す
額の根拠を作る作業は、費目の書き出しから始まります。多くの団では、会費の内訳を誰も説明できません。「昔からこの額」というのが唯一の根拠になっています。
書き出すのは、次のようなものです。
・年度の登録に関わるもの。日本スポーツ少年団への登録料、スポーツ安全保険の掛金 ・場所に関わるもの。グラウンドや体育館の使用料、照明の費用、駐車場代 ・道具に関わるもの。ボール、ライン用の石灰、練習用のビブス、救急用品、氷やスポーツドリンク ・指導に関わるもの。指導者の資格の取得と更新、講習会の受講料、指導者の交通費 ・大会に関わるもの。連盟や協会への年会費、大会のエントリー料、審判に関わる費用 ・団の運営に関わるもの。印刷代、通信費、会議の場所代
書き出したら、それぞれについて「本当に会費から出すべきか」を問い直します。特に2つめと5つめは要注意です。
自治体によっては、青少年の団体が公共の体育施設を使う場合に使用料の減免があります。市区町村の体育協会やスポーツ協会から、登録団体への補助が出ることもあります。地域の社会福祉協議会や、企業の助成制度が使える場合もあります。
これらを確認せずに全額を会費で賄っている団は少なくありません。確認の手間は、市区町村の担当課へ電話を1本かけるだけです。この1本で年間の総額が下がれば、額の議論そのものが不要になります。
指導者の資格に関わる負担を、どこが持つか
会費の議論で近年あらためて論点になっているのが、指導者に関わる費用です。日本スポーツ協会は、指導者の登録要件について次のように示しています。
スポーツ少年団に指導者登録するためにはJSPO公認スポーツ指導者資格の保有が完全に必須となりました(令和6(2024)年4月から完全必須化)。 出典: 日本スポーツ協会
同じページでは、単位団の登録要件として、原則として団員10名以上、18歳以上の指導者2名以上とされ、さらに少なくとも2名以上が理念を学んだ指導者である必要があるとも書かれています。
つまり、団を続けるには資格を持った指導者を確保し続ける必要があります。資格の取得には講習の受講と費用がかかり、維持にも登録が要ります。
これを誰が負担するかは、団によって考え方が分かれます。
・指導者本人が負担する。ボランティアである以上、資格も自己負担という整理 ・団が全額を負担する。団の登録要件を満たすための費用だから、という整理 ・団が半額を補助する。あるいは、取得のときだけ団が出し、更新は本人が持つ
正解はありませんが、決めておかないと後で困ります。指導者が入れ替わるたびに、そのつど交渉することになるからです。そして、資格を持った指導者が確保できなくなれば、団の登録そのものができません。会費の費目としては小さくても、団の存続に直結する項目です。
決めたら、規約か細則に1行で書きます。指導者を新しく迎えるときに、その1行を見せて説明する。これだけで、後の行き違いがほぼ消えます。
月額にするか、年額にするか
受け渡しの回数を減らす話の中で、最も効果が大きいのが納入の周期です。月ごとに集めている団が、学期ごとや半期ごとにまとめれば、それだけで受け渡しの回数は12回から3回や2回に減ります。
ただし、まとめるほど1回あたりの額が大きくなります。ここに家庭の事情が絡みます。
月額の利点は、1回の負担が軽いこと。辞めるときの区切りがつけやすいこと。途中入団の計算がしやすいこと。 月額の欠点は、受け渡しの機会が多く、未納の確認も毎月発生すること。
年額や半期の利点は、事務が劇的に軽くなること。年度の初めに予算が確定すること。 年額や半期の欠点は、1回の額が大きく、家庭によっては負担が集中すること。年度の途中で辞めた場合の返金の扱いが要ること。
現実的な折衷案としては、年度の初めに登録料と保険料と用具に関わる分を一括で集め、月々の分は学期ごとにまとめる形です。年に4回程度の受け渡しに収まります。
周期を変えるときは、変える理由を先に伝えます。「事務の負担を減らすため」ではなく「渡し忘れと集め忘れをなくすため」と伝えるほうが、受け止められやすい。事務の都合で家庭に負担を寄せる話に聞こえると、反発が出ます。
現金の受け渡しを減らす4つの段階
現金をやめる話は、一足飛びに進めようとすると失敗します。年配の指導者、口座を持たせたくない家庭、スマートフォンを使わない保護者。どの団にも一定数います。
段階を4つに分けて、1つずつ進めます。
第1段階は、受け渡しの回数を減らすことです。周期を月から学期に変える。費目をまとめて1回で集める。この段階では現金のままで構いません。回数が減るだけで、事故は目に見えて減ります。
第2段階は、受け渡しの場所と相手を1つに絞ることです。練習の場で誰が受け取ってもよい状態をやめ、決まった人が決まった日に受け取る形にします。指導者は受け取らない、と決めるのがここです。指導は指導、お金は会計と分けると、指導者の側も楽になります。
第3段階は、記録を1か所に集めることです。受け取った側が手帳に書く形をやめ、家庭からも見える場所に記録を置きます。この段階を踏むと、家庭からの「払いましたよね」という問い合わせがほぼ消えます。
第4段階で、はじめて現金以外の経路を足します。振込でも、他の方法でも構いません。重要なのは、この段階でも現金を残すことです。全部を切り替えるのではなく、現金以外の道を1本足す。事情のある家庭には現金の道が残り、多くの家庭は手間の少ない道を選びます。
第1段階と第2段階だけで、体感の負担はかなり下がります。第3段階と第4段階に進まなくても、そこで止めてよい団もあります。
免除と減額を、担当者の判断に委ねない
会費に免除や減額の仕組みを設けるなら、規定として先に書きます。書かないと、そのつどの判断になり、判断した人が恨まれる形になります。
書いておきたいのは、次のような場面です。
・兄弟が同じ団に所属している場合。2人目からいくら減額するか ・けがや病気で長期間活動できない場合。休団の扱いと、その間の会費 ・受験や学校の行事で一定期間離れる場合 ・経済的な事情がある場合。減免の申請先と、誰が判断するか ・年度の途中で入団した場合、退団した場合の月割
このうち、経済的な事情への対応がいちばん設計しにくい。申請の形にすると、申請すること自体が知られるのを恐れて誰も使いません。
やり方としては、判断する人を1人に限り、その人以外は申請の有無を知らない形にします。団長でも、会計でも構いませんが、複数人で審査する形にはしません。そして、減免の実績は総会でも人数だけを報告し、誰かは出さない。
もう1つ、免除の規定は「団費」に限定し、登録料と保険料は対象外にするのが実務的です。この2つは外部へ納めるお金で、団が値引きできる性質のものではないためです。ここを混ぜると、規定が説明できなくなります。
学年で額を変えるか、一律にするか
団費を学年で変えている団と、一律にしている団があります。どちらにも理屈があり、どちらを選ぶかで運用の手間が変わります。
学年で変える理由は、受けているものが違うからです。低学年は練習日が週1日で、大会にもほとんど出ない。高学年は週3日練習して、月に1度は大会がある。使っている時間と場所と道具の量が違うのだから、額も違ってよい、という考え方です。
一律にする理由は、公平さの見え方が違うからです。低学年の家庭も、いずれ高学年になります。団全体として長い目で見れば負担は等しくなる。学年で分けると、進級のたびに額が上がることになり、そのつど説明が要ります。
運用の手間では、一律が圧倒的に楽です。年度の切り替えで額の一覧を作り直す必要がなく、兄弟のいる家庭の計算も単純になります。
判断の基準としては、学年による活動量の差がどれくらいかを見ます。差が小さいなら一律にする。差が大きく、低学年の家庭から「同じ額なのに練習が少ない」という声が実際に出ているなら、分ける意味があります。
分ける場合は、区切りを細かくしすぎないことです。学年ごとに6段階にすると管理が破綻します。低学年と高学年の2区分、あるいは3区分までにとどめます。
用具とユニフォームは、会費の外に出す
団費の議論をするときに、あわせて整理したいのが、会費とは別に家庭が負担しているものです。
競技によりますが、家庭が自前で用意するものは相当な額になります。シューズ、グローブやラケットといった個人の道具、練習着、防具、遠征用のバッグ。これに団のユニフォームが加わります。
このうち、団のユニフォームは扱いを決めておく必要があります。選択肢は3つです。
・購入。家庭が買い取る。卒団後も手元に残るが、初期の負担が大きい ・貸与。団が持ち、卒団時に返す。家庭の負担は小さいが、団が在庫と傷みを管理する ・購入と譲渡の併用。卒団する子から譲り受け、次に入る子へ回す
3つめが、負担と手間のつり合いが取りやすい。ただし、サイズの管理と、譲る側の意思の確認が要ります。「卒団するときに寄付をお願いします」と入団のときから伝えておくと、円滑に回ります。
いずれにせよ、これらは会費とは別の負担です。年間の費用を家庭に示すときは、会費と、家庭が自前で用意するものの見込みを、分けて両方書きます。会費だけを示して「年間2万円です」と伝え、実際には用具で3万円かかったという状態が、最も不信を招きます。
休団の制度を、先に作っておく
けが、病気、受験、家庭の事情。子どもが一定期間活動できなくなることは必ず起きます。このときに会費をどう扱うかを決めていないと、そのつどの判断になります。
決めておく項目は4つです。
1つめ、休団を認める期間。1か月からか、3か月からか。短すぎると事務が増え、長すぎると使えません。
2つめ、休団中の団費の扱い。全額免除にするのか、半額にするのか、籍を残すための最低額を取るのか。籍を残す以上、団としての費用はいくらか発生し続けます。
3つめ、登録料と保険料の扱い。これらは年度単位で外部へ納めるもので、休団しても戻りません。この点は先に伝えておきます。
4つめ、復帰の手続き。連絡先と、いつから復帰するかの伝え方。
制度がないと、けがをした子の家庭は「辞める」しか選択肢がないと感じます。実際、長期のけがをきっかけに退団してしまう例は多い。休団という選択肢があると分かっているだけで、戻ってくる子は増えます。
そして、この制度は入団の説明のときに必ず伝えます。困ったときに使えるものは、困る前に知っていなければ使えません。
他の団の額を調べるときに、気をつけること
会費の見直しをするとき、近隣の団の額を調べるのは自然な発想です。ただし、単純に比較すると判断を誤ります。
比較できない要素が、少なくとも4つあります。
第一に、施設の条件です。学校の校庭を無償で借りている団と、有料の運動場を毎週借りている団では、前提が違います。
第二に、指導者の扱いです。完全に無償のボランティアで回している団と、交通費や謝金を出している団では、支出の構造が違います。
第三に、会費に含まれる範囲です。ある団の「月額2,000円」に大会参加費が含まれ、別の団では都度徴収かもしれません。年間の総額で比べなければ意味がありません。
第四に、団の規模です。団員15人の団と60人の団では、固定的にかかる費用を割る母数が4倍違います。小さい団のほうが1人あたりは高くなるのが当然です。
調べるなら、月額ではなく年間の総額を、しかも「会費に何が含まれているか」とセットで聞きます。そのうえで、自分の団の条件と照らして読む。他団の額をそのまま持ち帰って「うちは高い」と結論を出すのは、根拠になりません。
会費を上げるときの手順
会費の値上げは、少年団の運営で最も慎重さが要る決定です。金額の多寡ではなく、決め方で信頼が壊れます。
順番は次のとおりです。
1つめ、根拠を数字で示す。何がいくら上がったのか。施設の使用料か、大会のエントリー料か、道具の価格か。過去3年の支出の推移を並べます。
2つめ、上げない選択肢を先に検討したことを示す。減免や助成の確認をしたか、支出を減らす余地を探したか。この検討の跡がないと、値上げは安易に見えます。
3つめ、上げ幅と、上げたあとの年間総額を示す。月額だけを示すと小さく見えますが、家庭は年間で考えます。両方を出します。
4つめ、いつから適用するかを示す。年度の途中からの値上げは避けます。年度の切り替えに合わせるのが原則です。
5つめ、総会で決める。役員会で決めて通知する形にはしません。
そして、決めたあとに新しく入る家庭には、最初から新しい額で説明します。値上げの経緯を説明する必要はありません。
やってはいけないのは、値上げの代わりに徴収の名目を増やすことです。団費は据え置いたまま、大会協力金、施設維持費、備品積立といった項目を次々に足していく形は、家庭から見れば実質的な値上げでありながら、総額が見えにくくなる分だけたちが悪い。名目を増やすくらいなら、団費を上げて理由を1つ説明するほうが、はるかに納得されます。
もう1つ、値下げの検討も同じ手順で扱います。繰越金が積み上がっているのに額を据え置いている状態は、家庭から預かったお金を使わずに持っているということです。使う予定があるなら、その予定を示す。ないなら、下げるか、返す。据え置きを選ぶ場合でも、選んだ理由を総会の記録に残しておきます。
保険の掛金を、会費に含めるか別に集めるか
年度の登録に伴って必ず発生するのが保険の掛金です。これを会費に含めるか、別建てで集めるかは、団によって分かれます。
含める場合の利点は、家庭が保険の手続きを意識しなくてよいことです。会費を払えば自動的に加入している状態になります。欠点は、会費に何が含まれるのかが見えにくくなることと、途中入団の計算が複雑になることです。
別建てにする場合の利点は、何のためのお金かがはっきりすることです。「保険料として800円をお預かりします」と伝えれば、家庭は納得します。欠点は、集める回数が1回増えることです。
どちらでもよいのですが、含める場合でも、内訳としては必ず示します。スポーツ安全保険であれば、中学生以下の団体活動を対象とする区分の掛金は年額800円です。この数字を年間の費用の一覧に載せておくだけで、会費が何に使われているかの説明が1つ済みます。
あわせて、補償の中身も一度は家庭に伝えます。傷害の補償では入院と通院が治療の1日目から対象になり、賠償責任の補償では対人と対物を合わせて相当額まで備えがあります。金額の細かい部分は年度で見直されることがあるので、最新の内容は加入の手続きの前に確認します。
伝えておく理由は、けががあったときに家庭がどう動くかを知っておいてもらうためです。加入していることを家庭が知らないと、実際にけがをしても請求されないまま終わります。掛金だけ払って使われない状態は、会費の中でいちばん無駄な支出です。
なお、この保険は4名以上のアマチュアの団体で加入できる仕組みで、団体ごとの加入が前提になっています。子どもが複数の団体に所属している場合は、それぞれの団体で加入することになる点も、あわせて説明しておくと問い合わせが減ります。
会費を受ける口座は、団体の名義で持つ
団の規模が小さいと、会計の個人名義の口座で回している場合があります。事務は楽ですが、3つの問題を抱えています。
第一に、会計が交代するときに口座ごと移せません。新しい会計の口座に残高を移し、家庭への振込先の案内をやり直すことになります。少年団の会計は数年で交代するので、これが繰り返されます。
第二に、名義人の個人的な事情に団の資産が巻き込まれます。可能性は低くても、備えとしては不十分です。
第三に、家庭からの信頼の問題です。個人名義の口座に会費を振り込む形は、説明を求められたときに答えにくい。
団体名義の口座を作るには、規約と、役員の名簿と、総会の議事録が要ります。金融機関によって必要な書類が違うので、事前に確認します。この作業は年度の初めに1回やれば済み、以後は代表者の変更の手続きだけになります。
なお、口座を作る過程で規約を整えることになるのが、実は最大の効用です。会費の額、納入の時期、免除の扱い、会計の任期。これらが文章になっていない団は多く、口座を作る作業が規約を作るきっかけになります。
集めた会費の使い道を、年に1回見せる
会費への不満が最も減るのは、額を下げたときではなく、使い道が見えたときです。
見せ方は、決算書をそのまま配るより、1枚の要約のほうが伝わります。
・年間の収入の総額と、その内訳。会費、助成、大会の補助、繰越 ・年間の支出の総額と、大きい順に上位5つの費目 ・団員1人あたりに換算するといくらか ・翌年度へ繰り越す額と、その理由
このうち3つめが効きます。「年間で1人あたり2万円を預かり、1万8千円を使い、2千円を繰り越しました」という書き方は、細かい数字を並べるより理解されます。
繰越の理由を書くのも重要です。理由を書かずに繰越額だけが増えていくと、「余っているなら下げてほしい」という話になります。用具の更新のため、遠征の予備費のため、という説明が1行あれば足ります。
この1枚は総会で配りますが、総会に出席しない家庭のほうが多い団もあります。配る経路を別に用意しておくと、届く範囲が変わります。会費の説明のような資料は、後から読み返せる場所に置いておくことが条件です。流れて消える場所に置くと、聞いていないという話が翌年また出てきます。
会費が理由で辞める子がいる、という前提で立てる
少年団の会費は、家庭の負担として決して小さくありません。登録料と保険料に加え、団費、遠征費、用具、シューズ、ユニフォーム。年間で数万円になる団も珍しくない。
そして、この負担が理由で入団をためらう家庭や、続けられなくなる家庭が確かに存在します。日本スポーツ協会は、スポーツ少年団の理念の1つに、一人でも多くの青少年にスポーツの歓びを提供することを掲げています。会費の設計は、この理念と直接ぶつかる場面を持っています。
だから、額を決めるときには「この額で入れない子がいるかどうか」を1度は口に出して確認します。確認したうえで決めるのと、考えずに決めるのとでは、その後の対応が変わります。
具体的に取れる手は、いくつかあります。
・用具の貸し出しを団で持つ。特にユニフォームと、高額な保護具 ・卒団した子から用具を譲り受ける仕組みを作る ・遠征費のかかる大会への参加を、任意にする ・減免の窓口があることを、入団の説明で必ず伝える
最後の1つが特に大事です。制度があっても、あることを知らなければ使われません。入団の説明の中で、事務的に1行触れておく。それだけで、相談は出てきます。
入団の説明で、会費をいつどう伝えるか
入団に関わる説明で、会費の話をいつ出すかは判断が分かれるところです。最初に出すと敬遠され、後に出すと不信を招きます。
実務的な順番は、体験の段階では総額の目安だけを伝え、入団を決める段階で内訳を渡す形です。
体験の段階で伝えること。年間でおおよそいくらか。月々の団費と、それ以外にかかるもののおおまかな内訳。用具で自前で用意するものがあるかどうか。
入団を決める段階で渡すもの。年間の集金の予定。免除と減額の規定。支払いの方法と時期。年度の途中で辞めた場合の扱い。
この2段階にすると、体験に来た家庭が金額の話で身構えることがなくなり、かつ入団後に「聞いていない」が発生しません。
渡す資料は、口頭ではなく必ず文書にします。説明した人と聞いた人の記憶は、半年後には必ずずれます。文書があれば、そのずれが起きません。他の団体がどう説明資料を作っているかは、学校での使われかたやサークルでの使われかたが参考になります。入会にあたって伝えるべきことを1か所にまとめておく形は、団体の種類を問わず共通しています。
会費まわりの連絡を、どこに置くか
会費に関わる連絡は、他の連絡とは求められる性質が違います。
第一に、後から何度でも読み返せること。金額と期限と方法は、家庭が繰り返し確認します。次々に別の話題が流れる場所に置くと、探せなくなります。
第二に、支払いの状況が他の家庭に見えないこと。会費は家庭の事情に直結します。未納や減免の話が全員の見える場所で扱われる形は、少年団では避けます。
第三に、会計が代わっても引き継げること。過去の案内と規定が、次の会計にそのまま渡る形になっていることです。
いま使っている経路が、この3つのうちいくつを満たしているかを確認します。1つのグループに全員が入り、そこに次々と連絡が流れる形だと、1つめと2つめが満たせません。連絡が流れて消えるのか、置いておけるのかという違いについては、LINEグループとの比較で整理しています。
掲示板の形をした道具では、書いたものが残る代わりに、個別の相談がしにくいという別の問題が出ます。掲示板型の道具でどこまでできるかはBANDとの比較に整理してあります。会費の連絡では、全体への案内と、特定の家庭への個別の連絡の両方が必要になるので、この2つが分かれているかどうかを見ます。
導入や運用でよく出る疑問はよくある質問にまとまっています。保護者会で説明する前に一度読んでおくと、当日の質疑が短く済みます。
Q1. スポーツ少年団の会費に、決まった額はありますか?
決まった額はありません。日本スポーツ少年団へ納入する登録料や、スポーツ安全保険の掛金といった外部へ支払う分は決まっていますが、団費そのものは各団が決めます。だからこそ、費目を書き出して積み上げる形で額を出し、総会で決めた記録を残しておくことが必要になります。前年踏襲だけを根拠にすると、数年後に誰も理由を説明できなくなります。
Q2. 現金の受け渡しは、すぐにやめるべきですか?
段階を踏むほうが確実です。まず受け渡しの回数を減らし、次に受け取る人と日を1つに絞り、そのあとで記録を1か所に集め、最後に現金以外の経路を足します。最初の2段階だけでも負担はかなり下がります。切り替えたあとも現金の道は残しておくと、事情のある家庭が締め出されません。
Q3. 兄弟で入団している家庭の会費は、どう考えればよいですか?
団費については2人目から減額する団が多く、これは規定として先に書いておくと運用が安定します。ただし、日本スポーツ少年団への登録料とスポーツ安全保険の掛金は1人ごとに必ずかかるもので、団が値引きできる性質ではありません。免除の規定は団費に限定し、外部へ納める分は対象外と明記しておくと説明が通ります。
Q4. 会費を上げたいのですが、どう進めればよいですか?
数字を先に用意します。過去3年の支出の推移、上げない方法を検討した跡、上げ幅と年間の総額、適用の時期。この4点をそろえてから総会にかけます。役員会で決めて通知する形にはせず、年度の切り替えに合わせて適用します。決め方が丁寧であれば、額そのものへの反発はほとんど出ません。
