団体ごとの決め方

消防団のアンケートの取り方|答えが集まる聞き方と、締め切りの置き方

2026年9月17日 ・ Tsudoo編集部

消防団でアンケートを取ろうとすると、たいてい二つのことで詰まります。ひとつは、階級のある組織で率直な答えが返ってくるのか。もうひとつは、平日は仕事、休日は訓練という団員から、いつ答えを回収するのか。この記事では、消防団という組織の作りに合わせたアンケートの設計を、誰に聞くか、何を聞くか、どう配って締め切るか、結果をどこへ返すか、の順に書きます。先に結論を書くと、消防団のアンケートは匿名にしないと意味がなく、匿名を保つには紙を分団長経由で配らないことが条件になります。

消防団でアンケートを取る理由が、他の集まりと違うところ

町内会やPTAのアンケートは、行事をやるかやらないか、会費をいくらにするか、といった決めごとの合意を取るために使われます。消防団のアンケートは、そこが少し違います。

消防団は消防組織法に基づいて市町村に置かれる消防機関であり、団員は非常勤特別職の地方公務員という立場にあります。入るのも出るのも本人の意思ですが、階級があり、上からの指示で動く場面が多い組織です。そのため、活動が重いと感じている団員が、その場でそう言える構造になっていません。負担の話は、辞めるときに初めて出てきます。辞めてから聞いても手遅れです。

もうひとつ、団員の顔ぶれが大きく変わっています。消防庁の資料によれば、団員に占める被雇用者の割合は昭和43年の26.5%から令和5年には72.8%に達しています。自営業が中心だった時代の運営の仕方が、勤め人が7割を超えた現在の団員に合っているかどうかは、聞いてみないと分かりません。

団員の職業構成は、かつては自営業者などが中心を占めていましたが、被雇用者である団員の割合が増加しており、昭和43年の26.5%が、令和5年には72.8%に達しています。 出典: 消防庁

つまり消防団のアンケートは、合意を取るための道具ではなく、言えないでいることを拾い上げるための道具です。目的が違えば、設計も変わります。無記名にするかどうかは好みの問題ではなく、成立条件になります。

何を決めるために取るのかを、先に一行で書く

アンケートを配る前に、この一枚で何を決めるのかを一行で書いてください。書けないなら、まだ配る段階ではありません。

消防団で実際に決めごとになるのは、おおむね次のあたりです。

・操法大会に出るかどうか、出場する隊の数、訓練の回数 ・年間の訓練と行事のうち、減らしてよいものはどれか ・詰所での飲食や親睦の行事を、どこまで続けるか ・分団の会費を何に使い、いくらにするか ・連絡の出し方をどう変えるか ・入団の勧誘を、誰がどうやるか

消防庁がまとめた団員確保のマニュアルには、島根県出雲市の例が載っています。成り手不足を解決するために委員会を立ち上げ、現状と課題を把握するために団員向けアンケートを実施したところ、やりがいを感じている団員は多い一方で、家族の理解が進まない、勧誘の際に飲み会が多いという昔のイメージが残っている、操法大会などの訓練が大変、という声が出てきました。その結果を受けて、操法大会の出場隊数と訓練体制の見直しに踏み切っています。

この流れの大事なところは、アンケートが「意見を聞いた」で終わっていないことです。出す前に、どの決めごとに使うかが決まっていました。逆に、決めごとが決まっていないまま「消防団についてご意見をお聞かせください」と配ると、返ってきた自由記述を誰も処理できず、そのまま消えます。一度それをやると、次に配ったときの回収率が目に見えて落ちます。

誰に聞くかを、4つの層に分けて考える

消防団の課題は、団員の中だけを見ていても分かりません。聞く相手を層で分けます。

第1層は、現役の団員です。負担の実態、辞めたい理由、続けている理由。ここが本体です。

第2層は、団員の家族です。活動が続くかどうかを実際に左右しているのは、家族が納得しているかどうかであることが多いです。夜間の出動、休日の訓練、行事の後の付き合いを、家族がどう受け止めているか。団員本人に聞くと遠慮が入るので、別に聞いたほうが正確に出ます。

第3層は、団員の勤務先です。被雇用者が7割を超えている以上、平日の昼に人が出せるかどうかは勤務先の判断に握られています。消防団協力事業所表示制度を入れている市町村は令和7年4月1日現在で1,385団体、認定された事業所は18,007事業所あります。近隣の事業所に、団員が昼間に抜けることをどう思っているかを聞くのは、団員確保の実務そのものです。

第4層は、地域の住民です。佐賀県鳥栖市の例では、入団を勧めたい20代から40代に絞り、市内の学校と幼稚園、保育園を通じて保護者およそ3,300人から回答を得ています。結果として、消防団員と消防職員を混同している人が多いことが分かり、広報の中身がそこから決まりました。

4層すべてを一度にやる必要はありません。ただし、今回どの層に聞いているのかは、設問を作る前にはっきりさせてください。層が混ざると、設問の言葉づかいが定まらなくなります。

分団は人数が少ない。属性を聞くと、誰が書いたか分かる

無記名にしたつもりでも、答えを見れば書いた人が分かってしまう、という事故が起きやすいのが消防団です。

分団の人数は、多くても30人前後、少ない分団だと10人を切ります。この規模で、年代、職業、在団年数、役職、所属する部を同時に聞けば、組み合わせでほぼ一人に絞れます。女性団員が1人しかいない分団で性別を聞けば、その1人の回答は最初から名前が付いているのと同じです。

対策は3つあります。

ひとつめは、属性の設問を減らすことです。今回の決めごとに使わない属性は聞きません。訓練の回数を決めたいなら、必要なのは在団年数ではなく、平日の夜に出られるかどうかです。

ふたつめは、属性の刻みを粗くすることです。年代を5歳刻みで聞かず、20代以下、30代から40代、50代以上の3つにする。在団年数も、3年未満と3年以上の2つで足ります。

みっつめは、集計の単位を分団より大きくすることです。分団ごとに結果を出すと、人数の少ない分団では個人が見えます。団全体、あるいは複数の分団をまとめた地区単位で出すと決めておき、そのことを配るときに書いておきます。

消防庁の資料には、消防団等充実強化アドバイザーの助言として、匿名で実施することで率直な意見を吸い上げられる、という趣旨の記載があります。匿名は形式ではなく、答えの中身を左右する条件です。

設問は、消防団の言葉ではなく、時間と回数で聞く

「消防団活動に負担を感じますか」と聞くと、たいていの団員は「多少は感じる」と答えます。この答えからは何も決まりません。

決めごとにつながる聞き方は、時間と回数です。

・年間で、訓練と行事に何日出ていますか(実感で構いません) ・そのうち、減らしてよいと思うものはどれですか(複数選択) ・1回の訓練で、集合から解散まで何時間かかっていますか ・訓練の後の片付けや会計の作業に、月に何時間使っていますか ・平日の夜に出られるのは、週に何日ですか ・出動の連絡は、どの手段で受け取っていますか

これなら、返ってきた数字をそのまま議論に載せられます。「訓練が大変」ではなく「集合から解散まで平均3時間かかっており、うち1時間は待ち時間」という形にすると、削る場所が見えます。

設問数は10問を超えないようにしてください。出雲市の例で挙げられている設問も7問前後です。設問を増やすほど、後半の答えが雑になり、自由記述が空欄になります。

ひとつの設問でふたつを聞かないことも守ってください。「訓練と行事の回数は適切だと思いますか」は、訓練は多いが行事は少ないと感じている人が答えられません。訓練と行事は分けます。

締め切りは、出動と訓練の予定を見てから置く

消防団のアンケートは、締め切りの置き方で回収率が変わります。理由は単純で、団員が回答できる時間帯が限られているからです。

避けるべき時期がいくつかあります。

・年末年始の警戒期間。歳末特別警戒は多くの分団で総出になります ・操法大会の前2か月。訓練が集中し、それ以外のことを考える余裕がありません ・出初式の前後 ・年度替わりの直後。役職が動き、誰が誰に配るのかが定まりません ・台風期や大雨の予報が出ている週

置きやすいのは、大きな行事と行事の間にある、訓練の少ない時期です。期間は2週間を目安にします。1週間だと出張や夜勤で埋まっている人が取りこぼされ、1か月だと後回しにされて忘れられます。

締め切りを1回で終わらせないでください。締め切りの3日前に一度、残っている人にだけ届く形で声をかけると、回収率が上がります。全員に「まだの人は出してください」と流すと、すでに出した人がもう一度出そうとしたり、出したかどうか分からなくなったりします。誰が出していて誰が出していないかを、答えの中身と切り離して把握できる仕組みかどうかは、道具を選ぶときの条件になります。

紙を分団長経由で配ると、匿名が壊れる

消防団のアンケートで最も起きやすい失敗がこれです。

本部が用紙を作り、分団長に人数分渡し、分団長が団員に配り、書いたものを分団長が集めて本部に戻す。この流れだと、分団長は誰が出して誰が出していないかを把握します。封をしていても、集めるときに手渡しになれば、封筒の枚数と顔が結び付きます。回収の場が詰所であれば、その場で書いている人の紙が見えます。

結果として、団員は分団長が読む前提で書きます。分団の運営についての不満は、まず出てきません。

紙で配るなら、次のどれかを入れてください。

・回収先を分団ではなく、消防本部や市町村の担当課にする。返信用封筒を付ける ・詰所に投函箱を置き、鍵は本部の担当が持つ ・提出の有無を分団長に知らせない

もっとも、紙は集計に時間がかかります。100人規模で自由記述のある用紙を打ち直すと、担当者の作業は数日分になります。画面から答えられる形にすると、その作業が消えます。ただし切り替えるときは、スマートフォンを使っていない団員が確実にいるので、紙も残す前提で組みます。紙と画面のどちらで答えても、集計は1か所に集まる形にしておくことが条件です。

グループでの連絡をどこに置くかを考えるなら、いま使っている手段との違いを先に確かめておくと選びやすくなります。無料で広く使われている手段との違いを整理したLINEグループとの比較や、参加者を限定しない場との違いをまとめたLINEオープンチャットとの比較が参考になります。

報酬と会費のことを聞くときは、聞き方を変える

消防団のアンケートで、最も慎重に扱うべき設問がここです。

報酬の支給の仕方は、この数年で変わりました。総務省消防庁が定めた基準では、団員階級の年額報酬の標準額は36,500円、災害に関する出動報酬の標準額は1日あたり8,000円とされ、これらは団員個人に対して直接支給することとされています。あわせて、いったん個人に支給された報酬の全部または一部を団や分団に支払うよう求めることは、その趣旨を逸脱するものとして、早急に是正することが望ましいと明記されています。

消防団や分団の運営に必要な公務上の経費に充てるため、一旦団員個人へ直接支給された報酬の全部又は一部を消防団や分団に支払うように求めるようなことは、その趣旨を逸脱するものであり、早急に是正することが望ましい。 出典: 消防庁

同じページには、親睦会の会費などを目的とした集金について、消防団の運営は団員の総意に基づいて行われるべきものであり、まずは団員全体で議論してほしい、という記載もあります。つまり、会費をどうするかは団員全体で決める話であって、幹部が決めて通知する話ではありません。アンケートは、その議論の材料を集める場になります。

ここで気をつけることが2つあります。

ひとつは、現状の是非を問う形にしないことです。「いまの会費の集め方に問題があると思いますか」と聞くと、幹部を批判する設問に見えて、答えが偏ります。「会費が何に使われているかを知っていますか」「年間いくら払っているか把握していますか」のように、事実を聞く形にします。事実の集計だけで、たいてい問題は浮かび上がります。

もうひとつは、金額の希望を単独で聞かないことです。「会費はいくらが適当だと思いますか」だけを聞けば、当然ながら低い額に寄ります。費目とセットで聞いてください。何にいくら使っていて、どれを削るなら受け入れられるか。順番を付けてもらう形にすると、議論できる答えになります。

上から回ってきた調査を、そのまま団員に流さない

市町村、県、あるいは国から、消防団に対する調査の依頼が回ってくることがあります。装備の状況、活動の実績、団員の意識など、内容はさまざまです。

これを受け取った分団の担当が、そのまま団員に転送してしまう場面がよくあります。すると次のことが起きます。

団員から見ると、誰が何のために聞いているのか分かりません。設問が行政の言葉で書かれているため、意味を取り違えた答えが返ってきます。締め切りが短く設定されていることが多く、催促が続きます。そして、答えた結果がどう使われたのかは、団員には二度と伝わりません。

これが年に何度か繰り返されると、団員はアンケートという言葉そのものに反応しなくなります。分団が自分たちのために取ろうとしたときに、その反応が返ってきます。

対処は決まっています。

・上から来た調査は、まず担当が全文を読む。団員に聞かないと答えられない設問だけを抜き出す ・抜き出した設問を、団員に通じる言葉に書き直す ・誰が何のために聞いているか、答えがどこへ行くかを、冒頭に1行で書く ・分団で答えられる部分は、団員に配らず担当が埋める ・結果や、その後どうなったかが分かったら、団員に短く伝える

分団の担当が資料を読む手間は増えますが、団員20人の時間を守る仕事だと考えれば、割に合います。

聞いてはいけないことを、先に決めておく

アンケートは、聞いた時点で情報が手元に残ります。残った以上は管理する責任が生じます。だから、聞かないと決めることも設計の一部です。

消防団のアンケートで避けるべき設問は、おおむね次のとおりです。

・特定の団員についての評価。「◯◯分団長の指導についてどう思いますか」のような設問は、匿名であっても対象者に伝わり、組織を壊します ・辞めるつもりがあるかどうかを、記名で聞くこと。無記名でも、辞意の把握を目的にすると答えが歪みます ・健康状態、持病、通院の有無。必要なら別の枠組みで、目的を明示して集めるべき情報です ・家族構成の詳細。「同居の家族は何人ですか」までは活動の可否に関わりますが、名前や続柄は要りません ・勤務先の名称。協力事業所の話をするなら、団員本人ではなく市町村の担当から事業所に当たる筋になります ・宗教、支持政党、思想信条にあたるもの

聞かないと決めたことは、配る用紙にも書いておくと安心されます。「この調査では、個人を特定する情報と健康に関する情報は集めません」の一文があるだけで、答えの率直さが変わります。

家族に聞くという選択肢を、最初から外さない

団員が辞める理由の上位に、家族の理解が進まない、というものがあります。出雲市の例でもそれが出てきました。

家族に聞くのは気を使う話ですが、やり方はあります。団員本人に配る用紙の最後に、家族向けの1枚を付けて、「ご家族にお渡しください」と書いて渡す形です。回答は世帯単位ではなく、家族側から直接返ってくる経路を作ります。

聞くことは多くありません。

・消防団の活動で、負担に感じていることはありますか ・活動の予定は、事前に分かっていますか ・出動したとき、いつ帰ってくるか分かりますか ・活動中の事故について、補償の仕組みを知っていますか

4問目は特に効きます。消防団の活動中に負傷した場合は公務災害として補償されますが、家族がそれを知らないまま「危ないことをしている」とだけ思っているケースがあります。アンケートで聞くことが、そのまま説明の機会になります。

聞いた以上は、家族向けに結果と説明を返してください。返さないと、聞かれただけの不信が残ります。

出欠の確認と、意見を聞く調査を、同じ紙に載せない

分団の担当は忙しいので、1枚で済ませたくなります。次の訓練の出欠と、運営についての意見を、同じ用紙で聞こうとする。これは分けてください。

理由は3つあります。

ひとつめは、匿名にできなくなることです。出欠は名前が要ります。同じ紙に意見を書かせれば、名前付きの意見になります。

ふたつめは、期限の性質が違うことです。出欠は当日までに全員から返らなければ意味がありません。意見は、返ってこない人がいても集計できます。同じ紙にすると、意見の側に出欠と同じ強さの催促がかかり、書きたくない人にまで書かせることになります。

みっつめは、残す期間が違うことです。出欠は訓練が終われば役目を終えます。意見は、次の決めごとまで残しておく必要があります。混ぜると、片方を消せません。

出欠を取る仕組みと、意見を聞く仕組みを分けたうえで、どちらも同じ場所から出せるようにしておくのが実務的です。団員から見て入口が2つあると、片方を見落とします。

機能別団員のことを聞くなら、選択肢を具体的にする

団員確保の手段として、能力や事情に応じて特定の活動にだけ参加する機能別団員や機能別分団の制度があります。これを入れるかどうかは、既存の団員の受け止め方が分かれる話です。

抽象的に「機能別団員の導入についてどう思いますか」と聞くと、賛否だけが返ってきて、そこから先に進めません。聞くなら、地域で実際に足りていない役割を具体的に並べます。

・平日の昼間に、詰所へ来られる人 ・大規模災害のときだけ出る人 ・火災予防の広報や、応急手当の指導だけを担う人 ・車両を運転できる人 ・事務や会計だけを担う人

このうち、どれを新しく作るなら受け入れられるか、そして自分はどれなら続けられるか。2つを並べて聞くと、制度の設計に使える答えになります。基本となる団員から見て「自分たちの負担が増えるのではないか」という懸念が出やすい話なので、負担が増えるかどうかについての設問も同時に置いてください。

結果を返さないアンケートは、次から答えが来ない

集計が終わったら、次の3つを必ず出してください。

ひとつめは、回収率です。何人に配って何人から返ってきたか。50%を切っているなら、その結果で何かを決めるのは慎重にしたほうがよいという判断材料にもなります。

ふたつめは、集計の結果そのものです。設問ごとの数字を、加工せずに出します。自由記述は、個人が特定されないように整えたうえで、都合の悪いものを削らずに載せます。削ったことは必ず伝わります。

みっつめは、これを受けて何を決めたか、何を決めなかったかです。ここが最も重要です。「訓練の回数を年12回から8回に減らす」でも、「操法大会の出場は今年は変えない。理由は次のとおり」でも構いません。変えないという結論でも、理由が書いてあれば納得されます。何も書かないと、聞かれただけで終わったと受け取られます。

返す先は、団員だけではありません。第2層から第4層に聞いたなら、そこにも返します。事業所に聞いておいて結果を返さないと、次に協力を頼むときに応じてもらえません。

集計にかかる時間を、先に見積もっておく

アンケートの担当になった人が最も驚くのが、集計の作業量です。

選択式の設問だけなら、100件を手作業で数えても半日で終わります。問題は自由記述です。1件あたり数十字から数百字あり、これを読んで分類し、代表的なものを抜き出す作業は、100件で6時間から8時間かかります。紙で集めていれば、その前に打ち直す時間が加わります。

分団の事務を担っている人は、たいてい本業を持っています。この作業量を見積もらずに自由記述を5問置くと、集計が終わらないまま次の年度になります。

現実的な線は、自由記述を1問2問に絞ることです。「その他、消防団の運営について気づいたことがあれば書いてください」を末尾に1問だけ置き、それ以外は選択式にします。それでも十分に本音は出てきます。

答えを置く場所を選ぶときに見る点

アンケートの回答は、団員の負担、家庭の事情、勤務先への不満といった、外に出したくない内容を含みます。置き場所を選ぶときは、次の点を確かめてください。

ひとつめは、答えた内容を誰が見られるかです。メンバー以外は見られないことが前提で、そのうえで、分団の中でも見られる人を絞れるかどうかを見ます。誰でも見られる場所に置くと、匿名の意味がなくなります。

ふたつめは、出した人と出していない人が分かるかどうかです。中身と切り離して、提出済みかどうかだけを見られる形が理想です。これができないと、締め切り前の声かけが全員宛てになります。

みっつめは、担当が代わったときに引き継げるかどうかです。消防団の役職は数年で動きます。前の担当の個人の端末に集計途中のファイルが残っている状態は、翌年に必ず問題になります。

よっつめは、答える側に新しい登録を求めないことです。スマートフォンを使っていない団員、勤務先の都合でアプリを入れられない団員がいます。使い方を1から説明しなければならない道具は、回収率をそのまま下げます。

いつつめは、集計が終わった後に消せるかどうかです。個人が特定されうる自由記述を、何年も置きっぱなしにする理由はありません。

団体ごとの使い方の違いは、町内会での使われかたや、学校と保護者のやり取りをまとめたPTAでの使われかたを見ると、自分の分団に近い形が見つけやすくなります。導入の手順や費用の考え方についてはよくある質問にまとまっています。

消防団のアンケートで、いちばん効くのは2回目

1回目のアンケートは、たいてい回収率が伸びません。何に使われるか分からないからです。

効いてくるのは2回目です。1回目の結果が公表され、それを受けて何かが変わっていれば、2回目の回収率は明らかに上がります。逆に、1回目で結果も変化も出さなければ、2回目は配っても戻ってきません。

だから、1回目は範囲を狭くしてよいのです。全部を聞こうとせず、確実に変えられるひとつのことに絞って聞き、結果を出し、変える。訓練の集合時刻を30分遅らせる、連絡の手段をひとつ減らす、その程度でも構いません。変わったという事実が、次の回答を呼びます。

聞いて、返して、変える。この3つが揃って初めて、アンケートは組織の道具になります。揃わないうちは、用紙を配る手間が増えるだけです。取る前に、返す段取りと、変える権限のある会議の日程を先に押さえておいてください。

Q1. 消防団のアンケートは、無記名にしないと駄目ですか?

負担や辞めたい理由を聞くなら無記名が前提です。階級のある組織では、記名式にすると上に伝わることを織り込んだ答えしか返ってきません。ただし無記名にしても、年代と職業と在団年数を同時に聞けば分団の人数では個人が絞れます。属性の設問は今回の決めごとに必要なものだけに減らし、刻みも粗くしてください。

Q2. 回答期間はどのくらい取るのがよいですか?

2週間が目安です。1週間だと出張や夜勤の人が取りこぼされ、1か月だと後回しにされて忘れられます。歳末特別警戒、出初式の前後、操法大会前の2か月、年度替わりの直後は避けてください。締め切りの3日前に、まだ出していない人にだけ声をかけると回収率が上がります。

Q3. 自由記述はいくつ置くべきですか?

1問か2問に絞ってください。100件の自由記述を読んで分類する作業は6時間から8時間かかり、紙で集めていればその前に打ち直す時間が加わります。分団の事務を担う人は本業を持っているので、集計が終わらないまま年度が変わります。末尾に1問だけ置けば十分に本音は出てきます。

Q4. 団員の家族に聞くのは行き過ぎではありませんか?

活動が続くかどうかを左右するのは家族の理解であることが多く、聞く価値があります。団員に渡す用紙に家族向けの1枚を添え、回答は家族から直接返る経路にします。活動中の負傷が公務災害として補償されることを家族が知らない場合もあり、聞くこと自体が説明の機会になります。聞いた結果は家族にも返してください。

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