消防団の会費の話がこじれるのは、額の話と集め方の話を同時にやろうとするからです。「高い」という声と「現金は面倒」という声は別のことを言っているのに、同じ会議で扱うと結論が出ません。この記事は、分団の幹部が、まず額の根拠を作り、そのあとで受け渡しの形を1段ずつ変えていくための順番をまとめたものです。
会費の話の前に、公費で出る範囲を確かめる
会費の額を議論する前に、市町村が負担している範囲を全員で確認します。ここが曖昧なままだと、本来は公費で出るはずのものを団員の負担で埋める形が残り続けます。
公費で出るものは、活動に対する報酬だけではありません。出動に伴う交通費は費用弁償として支払われますし、活動に必要な被服は貸与されます。活動中に病気や負傷をしたり亡くなった場合は、市町村が条例で定めるところにより補償を行うことになっており、療養補償、休業補償、傷病補償年金、障害補償、介護補償、遺族補償、葬祭補償という7つの制度が設けられています。一定の期間を勤めて退団すれば、階級と勤務年数に応じて退職報償金が支給されます。
つまり、身に着けるものと、けがをしたときの備えと、辞めるときの慰労は、団員が積み立てて用意するものではありません。もし分団の会費でこれらに近いものを賄っているなら、額を議論する前に市町村へ確認するのが先です。
器具や資機材、詰所の維持についても同じです。市町村によって範囲は違いますが、消防の装備に関わるものは公費で持つのが基本の形です。会費の一覧に「ホースの補充」「発電機の修理」といった項目が並んでいるなら、その分は本来どこが持つのかを確かめてから額を決めます。
この確認をすると、たいてい会費の総額は下がります。会費の議論を「いくら払うか」から始めず、「そもそも払う必要があるか」から始める。この順番だけで、団員の受け止めが変わります。
会費と報酬は、別の財布として扱う
会費を設計するうえで外せないのが、報酬との線引きです。ここを混ぜると、税の扱いまで巻き込んで面倒なことになります。
報酬には課税の扱いが定められています。年額報酬は、年5万円までの部分が費用弁償として非課税で、これを超える部分は課税されます。出動報酬は、災害への出動が1日あたり8,000円まで、災害以外の出動が1日あたり4,000円までが非課税で、超えた部分は課税されます。出動に伴う交通費としての費用弁償は非課税です。
団員個人が受け取ったこのお金と、分団が集める会費は、まったく別のものです。報酬から自動的に会費が差し引かれる形にしてしまうと、団員は自分が何をいくら受け取り、何にいくら払っているのかが分からなくなります。
分けるための実務は単純です。報酬は市町村から団員の口座へ入り、会費は団員が分団へ払う。この2つの流れが別々に見えていれば足ります。合算して差引きの結果だけを見せる形にはしません。
若い団員ほど、ここを気にします。手取りがいくらで、そこから何にいくら出しているのかが見えない状態を、いまの世代は受け入れません。分けて見せることは、透明性のためであると同時に、団員をつなぎ止めるための実務でもあります。
会費を決める根拠は、団員の総意しかない
会費に法的な裏づけはありません。市町村の条例で決まっているのは報酬や補償の話であって、分団が集める会費は別のものです。消防庁は、この点について次のように示しています。
消防団における親睦会の会費等を目的とした集金については、消防団の運営は団員の総意に基づいて行われるべきものであり、まずは団員全体で議論していただくようお願いしたい。 出典: 総務省消防庁
団員全体で議論する、という言い方が重要です。幹部会で決めて下に通す形ではなく、払う人が納得して決める形が求められています。
議論の場は、年に一度の総会や団員会議で足ります。大事なのは、資料を出すことです。何にいくらかかっていて、公費で出る分を除いた残りがいくらで、団員数で割るといくらになるか。この3枚があれば、議論は1時間で終わります。
決めたら、決定の記録を残します。いつの会議で、出席者が何人で、どういう理由でその額にしたか。この記録が、翌年に入団する人への説明資料になります。記録がない会費は、数年経つと「昔から払っているもの」になり、誰も理由を答えられなくなります。
そして、毎年見直すと決めておきます。総意が根拠である以上、顔ぶれが変われば結論も変わってよい。据え置くと決めるのも見直しのうちです。見直しの機会を制度として置くだけで、不満が溜まり続けるのを防げます。
額は費目から積み上げる。前年踏襲で決めない
多くの分団で、会費の額は前年と同じです。理由を聞くと「昔からこの額だから」と返ってきます。この決め方には2つの問題があります。
1つは、団員数が減っているのに総額が変わらないことです。同じ支出を少ない人数で割れば、1人あたりは増えます。逆に、支出が減っているのに額を据え置いていれば、使わない金が積み上がります。どちらも、気づかないまま何年も続きます。
もう1つは、削れる費目が見つからないことです。総額しか見ていないと、何を削れば下がるのかが分かりません。費目に分けて初めて、要る要らないの議論ができます。
積み上げ方は、支出の性質で3つに分けるのが分かりやすい形です。活動に直接要るもの、行事に伴うもの、人の付き合いに関わるもの。この3つに分けて、それぞれの合計を出します。
分けると、議論の温度が変わります。活動に直接要るものは誰も削ろうと言いません。付き合いに関わるものは、議論できます。この2つを同じ袋で扱っていると、削る提案がすべて「団の伝統を軽んじる話」に見えてしまいます。
積み上げた総額を団員数で割り、月あたりに直してみるのも有効です。年12,000円と言われるより、月1,000円と言われるほうが受け止めやすい、という面はあります。ただし、実際に集めるのは年に一度のほうが手間は少ないので、見せ方と集め方は分けて考えます。
集め方を変える前に、額を下げられないかを見る
集め方の工夫は、額への不満を解消しません。払う額が納得できないまま集め方だけを変えても、便利になったという感想は出ません。だから順番として、額の見直しを先に置きます。
見直しの候補になりやすいのは、慰労会と記念品と、地域行事への負担金です。どれも、団の付き合いとして続いてきたもので、削る話をしにくい項目です。しかし、若い団員が最も負担に感じているのも、たいていここです。
進め方は、なくす方向ではなく、形を変える方向で提案します。年に2回の慰労会を1回にする。全員参加を前提にせず、出る人が会費を払う形にする。記念品の予算を下げる。こうした案なら、伝統を否定せずに額を下げられます。
負担金についても、確認の価値があります。地域の行事に消防団として出ているのに、その負担を団員が個人で出しているなら、行事の主催者や市町村と話す余地があります。出役に対する費用の扱いは、市町村によって違います。
見直しの結果、額が変わらないこともあります。それでも構いません。議論して据え置いたという事実が残るだけで、翌年の受け止めは変わります。理由を説明できる会費と、説明できない会費では、同じ額でも意味が違います。
現金の受け渡しを減らす4段階
額の話が片付いたら、集め方の話に入ります。一度に全部を変えようとすると、必ず途中で止まります。4段階に分けて、1年で1段ずつ進めるくらいのつもりで組みます。
第1段階は、費目と時期を1枚にすること。第2段階は、集める回数を減らすこと。第3段階は、受け取りの記録を1か所に移すこと。第4段階は、現金以外の道を1本足すこと。この順番に意味があります。
順番を守る理由は、前の段階が終わっていないと次が機能しないからです。費目が整理されていないのに回数を減らすと、何の分をまとめたのか分からなくなります。記録の置き場所が決まっていないのに振込を始めると、入金の確認ができません。
各段階の途中で止まっても、それまでの分は無駄になりません。第2段階まで進んだところで代替わりしても、次の担当はそこから続けられます。だから、引き継ぎのメモには「いまどの段階か」を書いておきます。
そして、どの段階でも、現金をやめると決めなくてよいことを団員に伝えます。減らすのであって、なくすのではない。この言い方の違いだけで、抵抗はかなり減ります。
第1段階と第2段階、まず紙1枚にまとめて回数を減らす
第1段階でやるのは、年間に発生する会費と、その時期を1枚に書き出すことです。分団費、行事ごとの負担、慰労会の会費、記念品の分。それぞれ、いつ、いくら必要かを並べます。
書き出すと、多くの分団で年に5回以上の集金があることが分かります。1回あたりの額は小さくても、回数が多いと「またか」という感覚になります。負担感は、総額よりも回数に強く連動します。
第2段階は、この回数を減らします。減らし方は2通りです。全員が負担するものは、年度の初めに1回でまとめて集める。参加する人だけが負担するものは、その行事ごとに集める。この2本に整理すると、全員に関わる集金は年1回になります。
まとめるときに注意するのが、額が大きく見えることです。2,000円を6回だったものが、12,000円を1回になると、負担が増えたように感じる団員がいます。年度の初めに配る紙で、内訳を示しておけば誤解は防げます。
分割の希望に応える余地も残します。一括が難しい団員がいたら、2回に分ける。これを最初から仕組みとして用意しておけば、個別の相談が持ち込まれても対応できます。
第3段階、受け取りの記録を1か所に移す
第3段階が、この4つの中で最も効果があります。現金のまま受け取るとしても、記録だけを1か所に集める。これだけで、集金にまつわる問題の大半が消えます。
いまの記録は、たいてい分散しています。班長の手帳、会計のノート、詰所に置いた名簿、幹部のやり取りに書かれた報告。どれが最新か分からず、突き合わせないと全体が見えません。
移す先に求める条件は3つです。団員以外の目に触れないこと、複数の役職が同時に見られること、そして役職が替わったときに見る権利を付け替えられること。メンバー以外は見られない場所であれば、団員の氏名と納入の状況を並べても外へ出る心配がありません。
書く項目は、氏名、班、受け取った日付、金額の4つで足ります。丸印だけでは、いつ受け取ったのか分からず、年度をまたいだときに確認できません。日付が入っていれば、問い合わせに即答できます。
この段階まで進むと、会計の引き継ぎが劇的に楽になります。前の担当が説明することが減り、次の担当は記録を見れば状況が分かります。集め方を変える本当の目的は、便利さより、この引き継ぎのしやすさにあります。
第4段階、現金以外の道を1本足す
最後の段階で、現金以外の受け取り方を用意します。ここで大事なのは、置き換えるのではなく、足すという考え方です。
始めるなら、金額が小さく、対象が限られる費目からです。行事の参加費や、慰労会の会費が向いています。全員に関わる分団費から始めると、うまくいかなかったときの影響が大きすぎます。
並行して半年ほど運用し、どちらが選ばれるかを見ます。年配の団員が多い分団では、現金のままが選ばれることもあります。それが結論なら、無理に変える必要はありません。集金の目的は、便利にすることではなく、確実に集まって記録が残ることです。
判断するときに見るのは2点です。集まる速さと、記録の手間。現金は集まるのが速い代わりに記録が人手に頼ります。振込は集まるのが遅い代わりに記録が自動で残ります。どちらの負担が自分の分団にとって重いかで決めます。
そして、どちらを選んでも、記録は第3段階で決めた1か所に集めます。ここが分かれてしまうと、せっかく1か所にした意味がなくなります。
免除と減額を、あらかじめ設計しておく
会費の運用で必ず出てくるのが、「この人からも同じ額を取るのか」という問題です。その都度の判断にすると、決めた人が恨まれます。条件を先に文章にしておきます。
まず、休団している団員です。療養や家庭の事情で活動に出られない期間がある場合、その期間の扱いを決めます。免除するのか、半額にするのか、そのままか。決めておけば、本人から言い出す気まずさがなくなります。
次に、年度の途中で入団した団員です。年間分をまとめて集める形にしている場合、途中入団の人は月割りにするのが分かりやすい形です。計算の基準を一度決めておけば、毎回同じ処理で済みます。
退団する人の扱いも決めます。年度の途中で辞めた場合に返金するのかしないのか。返金しないなら、集めるときにその旨を書いておきます。あとから言うと、必ずもめます。
そして、負担が難しい事情を申し出やすい形にします。誰に言えばよいか、どこまでの話が必要か。班長を通さず、直接分団長か会計に相談できる道を1本用意しておくと、言い出しやすくなります。額を集めることより、辞めさせないことのほうが分団にとっては大きい話です。
活動に出られない団員の扱いを、どう考えるか
会費の議論で最も難しいのが、活動への参加の度合いが違う団員をどう扱うかです。ここに正解はありませんが、決めておかないと必ず不満が溜まります。
いまの消防団には、いろいろな形の団員がいます。入団時に決めた特定の役割や活動に参加する機能別の団員、勤務地や通学先で入っている団員、学生の団員。全国の消防団のうち約8割が女性を団員として任命しており、家庭や仕事との兼ね合いで参加できる時間帯が限られる人も増えています。
こうした団員に、毎晩の訓練に出ている団員と同じ額を求めるかどうか。理屈で言えば、会費の使い道が全員に関わるもの、たとえば詰所の維持や器具の消耗なら、参加の度合いに関わらず同じ額でも筋は通ります。一方で、慰労会や親睦の費用は、参加する人が負担するのが自然です。
だから、費目を分けておくことが、ここでも効いてきます。全員が負担するものと、参加する人が負担するものを分けておけば、この議論は自動的に解決します。分けていないから、一律か個別かの二択になってしまうのです。
決めた内容は、入団の案内に書きます。入団してから「実はこういう負担がある」と知らされるのが、いま最も人が離れる場面です。年間いくら必要で、どういう場合に減るのかを最初に示すのが、誠実な形です。
決めたことを、会費の規程として文章にする
ここまで決めたことは、文章にして残さないと1年で消えます。難しい規程を作る必要はありません。A4で1枚あれば足ります。
書く項目は6つです。会費の目的、年間の額と内訳、集める時期と方法、免除と減額の条件、途中入団と退団の扱い、そして見直しの時期。この6つが書いてあれば、次の担当も新入団員も、聞かずに分かります。
目的の書き方には少し気を配ります。「分団の運営のため」だけでは何にでも使えてしまい、説明になりません。費目を挙げて書きます。書いていない用途に使いたくなったら、そのときに議論する。この往復が、会計への信頼を作ります。
作った1枚は、団員全員が見られる場所に置きます。詰所に貼るだけでは、来られない団員は見られません。連絡が流れる場所に置いて、いつでも参照できる形にします。
そして、改定の履歴を残します。いつ、何を、なぜ変えたか。数行で足ります。この履歴があると、数年後に同じ議論が持ち上がったときに、前回の結論と理由から始められます。
繰越金と積立を、どこまで持つか
会費を毎年集めていると、使い切らずに残る年が出てきます。この繰越金の扱いを決めていない分団は多く、気づくと相当な額が積み上がっていることがあります。
繰越金が積み上がること自体は悪くありません。操法大会の年のように支出が跳ね上がる年があるからです。問題は、いくらまで持つかを決めていないことです。上限がないと、毎年少しずつ増え、誰も理由を説明できない残高になります。
決め方は単純で、想定する最大の支出を目安にします。大会の年に必要な額、詰所の設備が壊れたときの応急の額。この合計を上限として、超えたら翌年の会費を下げる、と決めておきます。上限を決めることが、会費を下げる仕組みになります。
積立の名目を作る場合も、目的と期限を書きます。「詰所の改修のため」「車両の付属品の更新のため」といった名目と、いつまでにいくら貯めるか。目的のない積立は、数年後に何のためのお金か分からなくなり、使うことも下げることもできなくなります。
そして、残高は年に一度、必ず全団員に示します。会費を払っている人が残高を知らない状態は、それだけで不信を生みます。使途の明細まで配る必要はなく、収入、支出、残高の3行で足ります。
置き場所も決めておきます。繰越金が分団長や会計の個人名義の口座に入ったままだと、その人が替わるたびに移し替えが必要になり、亡くなった場合には口座そのものが動かせなくなります。任意の団体の名義で口座を作れるかどうかは金融機関によって扱いが違うので、地元の窓口に必要な書類を確かめておく価値があります。個人名義のまま運用するなら、通帳と印鑑を別の人が持ち、口座の存在と名義人を引き継ぎの資料に明記しておきます。
上部の団体への負担と、分団の会費を分ける
分団の会費を整理していると、分団の外へ出ていくお金が見つかることがあります。団本部への負担、消防団員の共済や見舞金の制度への掛金、地域の連合組織への負担金といったものです。
これらは、分団が自分の判断で減らせるものではありません。だからこそ、分団の会費の中に混ぜたままにしておくと、削れない部分を削ろうとする議論が起きて、話が進まなくなります。
整理の仕方は、費目の一覧で行を分けることです。分団の中で使うもの、分団の外へ出ていくもの。この2つを分けて示せば、議論できるのは前者だけだとすぐに分かります。
外へ出ていくものについても、内訳は確かめておきます。何のための負担で、どこが決めているのか。市町村の予算から出ているものなのか、団員の負担なのか。前任者から引き継いだまま、誰も内容を知らない負担が残っていることがあります。
確かめた結果は、規程に注記として書いておきます。「この分は団本部への負担で、額は本部が決める」と一行あれば、翌年に同じ質問が出ても答えられます。
会費が原因で辞める団員がいる、という前提で立てる
会費の設計で最後に押さえておきたいのが、会費が退団の理由になり得るという事実です。表向きの理由は仕事や家庭の事情でも、実際には負担が重かったという場合があります。
見分けるのは難しいのですが、兆候はあります。入団から1年か2年で辞める人が続く、慰労会の欠席が増える、集金の日に来ない人が固定してくる。こうした動きが出ているときは、額か集め方のどちらかに無理があります。
対策として効くのは、負担の全体像を最初に示すことです。年間いくらかかるのかを知らずに入った人は、後から知って「話が違う」と感じます。入団の案内に年間の目安を書いておけば、入る前に判断できます。
もう1つは、免除の道を明示することです。事情があるときに減らせると知っているだけで、人は残りやすくなります。実際に使わなくても、逃げ道がある状態が効きます。
そして、辞めた人に理由を聞く機会を作ります。辞める場で聞くのは難しいので、少し時間を置いてから、分団長が個別に聞く形にします。集めた話は、次の年の会費の議論の材料にします。人が減れば1人あたりの負担は増えるので、辞める人を減らすことが、いちばん効く会費対策です。
新入団員に、会費をいつどう伝えるか
会費の説明で最も大事な場面が、入団のときです。ここでの伝え方が、その人が何年続くかに影響します。
伝えるのは3つです。年間いくら必要か、いつ払うか、どういう場合に減るか。この3つを、入団の案内の紙に書いておきます。口頭だけだと、勧誘の場の雰囲気で流れてしまい、あとから「聞いていない」となります。
伝える順番も大事です。先に、公費で出る範囲を説明します。被服は貸与されること、活動中のけがは補償の対象になること、報酬が支払われること。そのうえで、これとは別に分団の会費があると説明します。順番を逆にすると、負担の話だけが印象に残ります。
金額を言うときは、内訳も添えます。「年12,000円です」だけでは高く感じますが、何に使われるかが分かれば受け止めが変わります。1行ずつ書いた紙を渡すのがいちばん早い方法です。
そして、途中入団の場合は月割りになることも伝えます。年度の途中で入った人が、いきなり年間分を求められると驚きます。計算の基準を先に決めておけば、その場で答えられます。
説明の場をどう作るか
最後に、決めたことをどう伝えるかです。会費は全員に関わる話なので、伝わり方がそのまま納得度になります。
伝える場は2つ用意します。年に一度の会議で口頭と資料で説明する場と、いつでも見返せる場所です。会議に出られない団員は必ずいるので、口頭だけでは届きません。会議の資料をそのまま置いておける場所が要ります。
置き場所に求める条件は4つです。過去の連絡をあとから探せること、誰が読んだか分かること、団員以外の目に入らないこと、役職が替わっても引き継げること。会費のように毎年参照される情報は、流れて消える場所に置くと、毎年同じ説明を繰り返すことになります。
いま多くの分団が使っている手段には、それぞれ得手不得手があります。全員がすでに入れている手軽さと引き換えに、過去の資料が流れて探しにくくなる点はLINEグループとの比較に整理しました。誰でも入れる形にしたときの見え方はLINEオープンチャットとの比較、掲示として残す運用に近いものはBANDとの比較、話題ごとに分けて残す形はDiscordとの比較にまとめてあります。
役職が数年で替わり、班に分かれ、地域の行事とも関わるという構造は、町内会や自治会と共通します。その運用の形は町内会での使われかたが参考になります。参加する人だけが負担する行事の会費をどう扱うかはサークルでの使われかたに近く、細かい条件はよくある質問にまとまっています。
会費の見直しは、一度やれば数年もちます。額の根拠を作り、1枚の規程にして、記録の置き場所を決める。この3つを自分の代で終わらせておけば、次の担当は集めることだけに集中できます。
Q1. 消防団の会費に、法律で決まった額はありますか?
ありません。市町村の条例で定められているのは報酬や公務災害補償などで、分団が集める会費はそれとは別のものです。消防庁も、親睦会の会費等を目的とした集金は団員の総意に基づいて決めるべきものとして、団員全体での議論を求めています。額の根拠は、費目の一覧と団員数で割った数字で作ります。
Q2. 会費を報酬から差し引く形にしてもよいですか?
避けてください。報酬は団員個人へ直接支給されるもので、そこから分団への支払いを求めることは基準の趣旨を逸脱すると消防庁が示しています。実務としても、差引きの結果だけを見せると、団員は自分がいくら受け取っていくら払っているのかが分からなくなります。2つの流れは別々に見える形にします。
Q3. 現金での集金をやめるべきですか?
やめる必要はありません。減らすことと、なくすことは別です。効果が大きいのは、現金のまま受け取りつつ、記録だけを1か所に移す段階です。ここまでで、二重徴収や引き継ぎの混乱はほぼ解消します。現金以外の道を足すかどうかは、そのあとに1つの費目で試してから判断します。
Q4. 活動に出られない団員からも同じ額を集めるべきですか?
費目を分けておくと判断が付きます。詰所の維持や器具の消耗のように全員に関わるものは一律でも筋が通り、慰労会や親睦の費用は参加する人が負担するのが自然です。分けていないと一律か個別かの二択になり、必ず不満が残ります。休団や途中入団の扱いも、条件を先に文章にしておきます。
