団体ごとの決め方

消防団の集金をどう回すか|誰が払ったかを追える形にする

2026年9月17日 ・ Tsudoo編集部

消防団の集金がやりにくいのは、公のお金と、団員が出し合うお金が、詰所という同じ場所で混ざっているからです。市町村から出るものと、慰労会や操法大会のために団員が出し合うものは、性質がまったく違います。この記事は、分団の会計を担う人が、何を集めていて、誰が払っていて、どこに記録が残るのかを、自分の代のうちに整理し切るための手順です。

消防団のお金は、公費と自主的な集金の2本立てになっている

まず、消防団に流れるお金の全体像を押さえます。消防団員は非常勤特別職の地方公務員という位置づけで、活動に対しては市町村の条例に基づいて報酬が支払われます。総務省消防庁は、令和3年4月13日付の消防庁長官通知として「非常勤消防団員の報酬等の基準」を定めており、団員階級の年額報酬の標準額を36,500円、災害に関する出動報酬の標準額を1日あたり8,000円としています。

これに加えて、出動に伴う交通費が費用弁償として支払われ、活動に必要な被服は貸与されます。活動中に死傷した場合は公務災害補償の対象になり、一定の期間を勤めて退団すれば退職報償金が支給されます。ここまでは公のお金であり、団員が負担するものではありません。

一方で、詰所の実際の運営には、公費でまかなわれない支出が出てきます。操法大会の練習中の飲料、年末警戒の夜食、地域の行事への負担金、退団する人への記念品、詰所の細かな消耗品。これらのために、団員が出し合っているお金があります。これが集金の対象です。

問題は、この2本が現場では混ざって見えることです。同じ詰所で、同じ幹部が扱っていて、同じ封筒に入っている。集金の話を整理する第一歩は、いま集めているものが公費で出るはずのものなのか、団員が自主的に負担するものなのかを、費目ごとに分けて見ることです。公費で出るはずのものを団員から集めているなら、それは集金の設計ではなく、市町村への確認の話になります。

報酬が個人へ直接支給になって、集金の位置づけが変わった

いま多くの分団が集金のやり方を見直しているのには、はっきりした理由があります。報酬の支給の形が変わったからです。消防庁は、報酬等の取り扱いについて次のように示しています。

消防団や分団の運営に必要な公務上の経費に充てるため、一旦団員個人へ直接支給された報酬の全部又は一部を消防団や分団に支払うように求めるようなことは、その趣旨を逸脱するものであり、早急に是正することが望ましい。 消防団の幹部が、団員の預金通帳・キャッシュカード・届出印等を預かり、預金を引き出す行為は、基準の趣旨を大きく逸脱するものであるため、早急に是正することが望ましい。 出典: 総務省消防庁

かつては、報酬がまとめて分団の口座に振り込まれ、そこから運営費を出す形が広く行われていました。団員は自分がいくら受け取っているかを知らないまま、分団の活動が回っていた。この形が明確に見直されて、報酬は団員個人に直接支給されることになりました。

すると、分団の運営費の出どころがなくなります。これまで報酬から自動的に賄われていたものを、あらためて団員から集めなければならなくなった。これが、いま多くの分団で集金の話が持ち上がっている背景です。

大切なのは、この変化を「集めにくくなった」と受け取らないことです。むしろ、何にいくらかかっているかが団員全員に見える形になった、と考えるほうが実態に合っています。今まで見えなかった金額が見えるようになったので、要る要らないの議論ができるようになりました。

いま集金の根拠になっているのは、団員の総意だけ

報酬から自動的に引く形が使えなくなった以上、集金には別の根拠が要ります。消防庁は、この点についても考え方を示しています。親睦のための会費などを目的とした集金は、消防団の運営が団員の総意に基づいて行われるべきものである以上、まずは団員全体で議論してほしい、という整理です。

つまり、いまの集金を支えているのは、市町村の条例でも、上からの指示でもなく、団員が話し合って決めたという事実だけです。ここを幹部が忘れると、集金が一方的な負担の押しつけに見えます。

だから、集金を続けるにしても見直すにしても、最初にやるのは団員全体での議論です。順序としては、何にいくらかかっているかを費目で示し、公費で出るものと出ないものを分け、残った分をどう負担するかを問う。この順番を守るだけで、話し合いの温度が変わります。

議論の記録も残します。いつの会議で、何人が出席し、どういう結論になったか。この記録がないと、次の年に入った団員が「なぜ払うのか」と聞いたときに、答えられるのが当時いた人だけになります。文章にして残しておけば、代が替わっても説明できます。

そして、決めたことは変えられる形にしておきます。総意が根拠である以上、総意が変われば集金も変わってよいはずです。「毎年見直す」と決めておくだけで、集金が既得の慣習として固まるのを防げます。

何のために集めているかを、費目で書き出す

集金の見直しは、費目の一覧を作るところから始まります。多くの分団では、この一覧そのものが存在しません。「昔からこの額」で回っているからです。

書き出す費目は、実際の支出の名前で書きます。操法大会の練習期間の飲料と氷、大会当日の弁当、年末警戒の夜食と燃料、詰所の電気代と水道代、掃除の道具と消耗品、地域の祭りや行事への負担金、退団者への記念品、新入団員の歓迎、団の親睦の会。それぞれに、年間でいくら出ているかを書きます。

書き出してみると、大きく2つに分かれることが分かります。活動そのものに要るものと、人の付き合いに要るものです。前者は削りにくく、後者は議論の余地があります。この2つを同じ袋で扱っていると、削る話が全部「付き合いを軽んじる話」に聞こえてしまいます。分けて示すだけで、議論が進みます。

金額が分からない費目が出てきたら、そこが最初に手をつける場所です。誰かが立て替えていて、精算していないか、額が誰にも共有されていない。この状態の費目は、たいてい特定の人の負担になっています。

一覧ができたら、団員数で割ります。1人あたり年間いくらか。この数字が出て初めて、集金の額が高いのか安いのかを議論できます。額だけを提示して同意を求めるのは、順序が逆です。

現金の手渡しが残る理由と、そこで起きること

消防団の集金は、いまも現金の手渡しが中心です。理由は明確で、団員が定期的に同じ場所に集まるからです。訓練の日に詰所で集めれば、その場で終わります。銀行の手数料もかかりません。

ただし、この形には決まって同じ問題が起きます。1つ目が、来なかった人の分が宙に浮くことです。仕事や家庭の事情で訓練に来られない団員は毎回います。その人の分は、次の機会に持ち越され、忘れられます。

2つ目が、記録が班長の頭の中にしかないことです。封筒に入れて受け取り、あとでまとめて会計に渡す。この間の記録が残っていないと、誰が払って誰が払っていないかが、班長にしか分かりません。班長が替わると、そこで情報が途切れます。

3つ目が、二重に集めてしまうことです。班長にも払い、会計にも払った。あるいは、払ったつもりで払っていない。人の記憶に頼っている限り、この食い違いは必ず起きます。額が小さいので誰も強く言い出せず、そのまま曖昧に終わることが多いのも特徴です。

4つ目が、幹部が団員のお金を預かる形に近づいてしまうことです。前に引いた消防庁の整理にあるとおり、通帳やカードを幹部が預かる行為は是正の対象です。集金の現場でも、「あとで払うから立て替えておいて」の積み重ねが、似た構図を作ることがあります。線をはっきりさせておいたほうが安全です。

誰が払ったかを追える形にするための最低条件

追える形にするために必要なものは、意外と少なくて済みます。必要なのは、団員の一覧と、その横に払ったかどうかが書ける欄と、その一覧を複数人が見られる状態です。この3つだけです。

団員の一覧は、班と氏名と入団の時期が分かるものにします。年度の途中で入団した人、休団している人、勤務地から通っている人がいるので、一律に同じ額とは限りません。一覧の段階でそれが分かるようにしておきます。

払ったかどうかの欄は、受け取った日付を書く形にします。丸印だけだと、いつ受け取ったか分からず、期をまたいだときに混乱します。日付が入っていれば、あとから「何月に受け取ったか」を答えられます。

そして、この一覧を班長と会計の両方が見られる状態にします。紙の一覧を会計が1枚だけ持っていると、班長は自分の班の状況しか分かりません。同じ一覧を全員の班長が見られると、集まっていない班が自分で気づけます。メンバー以外は見られない場所に置けば、団員の氏名と納入の状況が外に出る心配もありません。

追える形にする効果は、催促がしやすくなることだけではありません。会計を引き継ぐときに、口頭で説明する項目が減ります。一覧を見れば分かる状態なら、引き継ぎは一覧の場所を教えるだけで済みます。

班長が立て替える構造を、まずやめる

分団の会計で最も多い個人の負担が、班長の立替です。集まっていない分を班長が自腹で埋めて会計に渡す。この形は、記録の上ではきれいに見えるので、外からは問題が見えません。

立替が起きる理由は、締切があるのに集金が終わらないからです。大会の弁当を発注する期限、慰労会の店に払う期限。期限に間に合わせるために、班長が立て替えます。そして、あとから回収しきれずに終わります。

やめる方法は2つあります。1つは、支払いの期限より前に集金を終える設計に変えることです。行事の直前に集めるのをやめて、年度の初めに年間分をまとめて集める形にすると、立替が起きる場面がなくなります。

もう1つは、立て替えたら必ず記録に残す形にすることです。誰が、いつ、いくら立て替えたかを一覧に書く。書けば、精算されていない立替が残っていることが全員に見えます。見えないまま消えていくのが、いちばん良くない形です。

そして、立替を美談にしないことです。「班長が出しておいた」で回っていると、班長のなり手がいなくなります。役を引き受けることと、金を出すことは別です。この線を団として明示しておくと、若い団員が役を受けやすくなります。

年間の集金の予定を、1枚にまとめる

集金がばらばらに発生すると、団員は「また集金か」と感じます。同じ総額でも、回数が減れば負担感は下がります。

まず、年間の集金の機会を全部並べます。年度の初めの分団費、操法大会の年の追加、年末警戒の分、慰労会の会費、地域行事の負担金、退団者への記念品の分。それぞれの時期と額を1枚の紙にします。

並べると、まとめられるものが見つかります。年度の初めに1回で済むもの、その行事に参加する人からだけ集めるもの、そもそも集めなくてよいもの。この整理だけで、回数が半分になる分団は珍しくありません。

まとめられないのは、参加する人が限られる支出です。慰労会に出ない団員から会費を集めるのは筋が通りません。参加する人からその都度集めるものと、全員が負担するものを、はっきり分けます。

作った1枚は、年度の初めに全団員に配ります。いつ、いくら必要になるかが年間で見えていれば、団員は準備できます。突然「来週までに5,000円」と言われるのと、4月の時点で分かっているのとでは、受け止めがまったく違います。

領収と記録は、2人の目を通す

金額の大小に関わらず、扱う人が1人だけという状態は避けます。疑いを持たれないためであり、担当した人を守るためでもあります。

具体的には、受け取る人と記録する人を分けます。班長が受け取り、会計が記録する。会計が受け取ったなら、副の担当が一覧に記入する。この分け方だけで、意図しない記入漏れも減ります。

領収書は、団員が求めた場合に出せる形にしておきます。全員に毎回発行する必要はありませんが、求められたら出せることが大事です。出せない仕組みだと、それだけで不信の材料になります。

支出の側も同じです。買った物のレシートを、誰が何のために買ったかのメモとともに残します。レシートだけだと、あとから見て何の支出か分かりません。「操法大会の練習用、飲料」という一行があるだけで、次の年の予算の材料になります。

そして、年に一度、団員全体に収支を示します。細かい帳簿を配る必要はありません。何にいくら使い、いくら残っているかが分かる、A4で1枚の紙で足ります。この1枚があるかどうかで、集金への納得度が変わります。

未納が出たときの扱いを、個人対個人にしない

集金には必ず未納が出ます。ここの扱いを決めていないと、催促が班長と団員の個人的なやり取りになり、人間関係の問題になります。

まず、期限を過ぎたときの流れを決めます。期限の1週間後に全体へ「まだの方はお願いします」と一度流し、そのあとに個別に声をかける。個別の声かけは、班長ではなく会計から行う。この順にすると、班長が板挟みになりません。

全体への呼びかけは、名前を出さずに行います。誰が払っていないかを全員に知らせるのは、集金の効率としては強力ですが、団の空気を確実に悪くします。名前を出さずに済ませられるなら、そのほうがよいです。

払えない事情がある団員への扱いも、事前に決めておきます。休団中の人、年度の途中で入った人、勤務地から通っていて行事に参加できない人。一律に同額を求めるのが難しい場合があります。免除や減額の条件を先に文章にしておけば、その都度の判断が要りません。

そして、最終的に集まらなかった分をどうするかも決めます。翌年度に繰り越すのか、その年の支出を削るのか。決めていないと、結局は誰かの立替で埋まります。埋めた人が二度と役を受けなくなるのが、いちばんの損失です。

入団と退団のタイミングで、金額をどう按分するか

消防団は年度の途中でも人が入り、人が抜けます。集金の設計は、この出入りを前提にしていないと必ず破綻します。

按分の方法は、月割りが最も分かりやすい形です。年度の初めに年間分を集めるなら、途中入団の人は残りの月数で割った額にします。計算は面倒に見えますが、一度決めておけば毎回同じです。

退団する人の扱いも決めます。返金するのか、しないのか。返金しないなら、集めるときにその旨を伝えておく必要があります。あとから「途中で辞めたのに返してもらえない」と言われる形は避けたいところです。

機能別の団員や、勤務地から通っている団員の扱いも整理します。参加できる活動が限られる人に、全員と同じ額を求めるかどうか。ここは団の考え方が分かれるところで、正解はありません。ただ、決めていないまま慣習で運用しているのが、いちばん不満を生みます。

そして、こうした取り決めは新入団員に最初に伝えます。入団してしばらく経ってから「実は分団費がある」と言われるのが、若い団員が離れるきっかけになりがちです。入団の案内の段階で、年間いくら必要かを示しておくのが誠実な形です。

会計を1年で引き継げる形にする

消防団の役職は数年で替わります。会計も例外ではありません。引き継ぎで情報が失われる前提で作らないと、数年ごとに一から作り直すことになります。

引き継ぎで渡すものは、3つに絞れます。費目の一覧、団員ごとの納入の記録、支出の記録。この3つが1か所にまとまっていて、次の担当が見られる状態になっていればよいです。

やってはいけないのが、前任者の私物の端末や、個人のノートに記録が残っている形です。渡すときにコピーを作ることになり、古いほうが誰の管理下にもないまま残ります。団として持っている場所に置いて、担当が替わったら見る権利を付け替える。この形にすると、引き継ぎが数分で終わります。

紙の帳簿を使っている分団も多いはずです。紙が悪いわけではありませんが、詰所に置いた1冊しかない状態だと、確認したいときに詰所へ行くしかありません。会計と分団長と班長が、それぞれの場所から同じものを見られる形にすると、確認のための移動が消えます。

引き継ぎのメモには、決めごとの理由も書きます。「この費目は令和何年の会議で削った」「この額は団員数が減ったので見直した」。理由が残っていれば、次の担当が同じ議論を繰り返さずに済みます。

市町村から分団に出ているお金がないかを、先に確かめる

集金を設計する前に、必ず確かめておきたいことがあります。市町村から分団に対して、運営のための交付金や補助が出ていないかどうかです。

多くの市町村では、団員個人への報酬とは別に、分団の運営や器具の維持のための費用が予算化されています。名称は市町村によって違い、運営交付金、分団交付金、消防団活動費などと呼ばれます。これが出ているのに知られていない分団は、実際にあります。前任者が受け取り、前任者が使い、記録が残っていない場合です。

確かめ方は簡単で、市町村の消防担当の窓口に聞くことです。「うちの分団に、報酬とは別に交付されているものはありますか」と聞けば答えが返ってきます。あわせて、その使い道に条件があるか、報告の義務があるかも聞いておきます。

出ているものを把握しないまま集金の額を決めると、団員から集めなくてよいものまで集めることになります。逆に、交付金があるのに報告を出していないと、翌年から止まることもあります。

そして、公費で買えるものを団員のお金で買っていないかも見ます。器具の点検、詰所の修繕、備品の更新は、本来は市町村が負担する範囲に入ることが多い項目です。ここを団員の集金で埋めているなら、それは集金の問題ではなく、市町村との話の問題です。

分団の口座を、誰の名義で持つか

集めたお金の置き場所も、決めておくべき論点です。多くの分団では、歴代の会計や分団長の個人名義の口座が使われてきました。

個人名義には、はっきりした弱点があります。名義人が亡くなったときに口座が凍結されること、名義人の個人の資産と区別がつかないこと、そして名義人が替わるたびに口座を作り直すか、名義変更の手続きをすることになることです。どれも、いざというときに分団が困る形です。

任意の団体として口座を作れるかどうかは、金融機関によって扱いが違います。規約と、代表者を決めた議事録と、会計の記録があれば作れる場合があります。地元の金融機関に、必要な書類を聞いてみる価値はあります。

個人名義のまま運用するなら、最低限の防御をします。通帳と印鑑を別の人が管理する、残高を年に一度は全団員に示す、口座の存在と名義人を引き継ぎのメモに明記する。この3つです。名義人が誰にも知られていない口座があると、その人が辞めた瞬間に行方が分からなくなります。

前に引いた消防庁の整理にもあるとおり、幹部が団員の通帳やカードを預かる行為は是正の対象です。分団の口座と、団員個人の口座は、はっきり分けます。ここを曖昧にすると、集金の話ではなく、より深刻な問題になります。

現金以外の方法を試すなら、1つの費目から始める

集金の方法を変えるとき、一度に全部を変えようとすると必ず反発が出ます。始めるなら、1つの費目からです。

選ぶなら、金額が小さくて、参加する人が限られている費目がよいです。慰労会の会費や、行事の参加費が向いています。全員に関わる分団費から変えると、うまくいかなかったときの影響が大きすぎます。

試すときは、両方の方法を並べます。振込でも現金でもよい、という形にしておけば、変えたくない団員が困りません。半年ほど並行して、どちらが選ばれるかを見ます。結果として現金のままがよいという結論なら、それも1つの答えです。

見るのは、集まる速さと、記録の手間です。現金だと集まるのは速いが記録が残らない。振込だと集まるのは遅いが記録が自動で残る。この差が、自分の分団にとってどちらが重いかで決めます。年配の団員が多い分団では、現金の速さが勝つこともあります。

うまくいったら、次の費目に広げます。広げるたびに、団員に説明する手間はかかります。ただ、一度に全部を変えるより、結果として早く定着します。

集金の前提は、団員の顔ぶれが変われば変わる

長く続いてきた集金の仕組みは、当時の団員の顔ぶれを前提に作られています。顔ぶれが変われば、前提も変わります。

以前と比べて、勤務先が地元から離れている団員、日中はまったく地域にいない団員、家庭や学業と両立している団員の割合が上がっています。全国の消防団のうち約8割は女性を団員として任命しており、参加できる時間帯が限られる人を前提に組み直す必要が出ています。夜の訓練に毎回顔を出せる人ばかりではありません。

すると、詰所で現金を集める形が前提にできなくなります。集金の日に来られない人が、一定の割合で常にいる状態になるからです。この人たちを「来ない人」として扱い続けると、集金の未納がその人たちに偏り、居心地が悪くなって辞めます。

対応としては、集金の機会を訓練の日に固定しないことです。期限だけを決めて、方法は複数用意する。詰所で渡してもよいし、班長に渡してもよいし、振り込んでもよい。どれでも同じ記録に載る形にしておけば、集金の側は困りません。

そして、集金の額そのものも見直しの対象にします。参加できる活動が少ない団員に、同じ額を求め続けるのが妥当かどうか。ここを議論の場に出せるかどうかが、団員が減っていく分団と、そうでない分団の分かれ目になります。

集金の連絡をどこで流すか

最後に、集金に関わる連絡をどこで流すかを整理します。集金は、金額と期限と方法を全員に正確に伝える必要があるので、流れて消える場所には向きません。

必要な条件は4つです。過去の連絡をあとから探せること、誰が読んだか分かること、団員以外の目に入らないこと、そして役職が替わったときに引き継げること。この4つが揃っていれば、集金の連絡で困る場面はほぼなくなります。

いま多くの分団が使っている手段は、それぞれ性格が違います。全員がすでに入れている手軽さの一方で、過去の連絡が流れて探しにくくなる点についてはLINEグループとの比較に整理しました。誰でも入れる形で運用したときの見え方はLINEオープンチャットとの比較にまとめてあります。掲示の形で残す運用に近いものはBANDとの比較が参考になります。

地域の役職が数年で替わり、班に分かれて集金する構造は、町内会や自治会とよく似ています。その運用の形は町内会での使われかたにまとめてあります。行事ごとに参加者から集める形についてはサークルでの使われかたが近く、細かい条件はよくある質問にまとまっています。

分団の会計が自分の代でできることは、そう多くありません。費目を1枚にする、納入の記録を追える場所に移す、年間の予定を年度の初めに配る。この3つを済ませて次に渡せば、それだけで数年分の混乱が消えます。

Q1. 消防団の報酬から分団の運営費を引いてもよいですか?

消防庁は、団員個人へ直接支給された報酬の全部または一部を消防団や分団に支払うよう求めることについて、基準の趣旨を逸脱するものであり早急に是正することが望ましい、と示しています。運営費が必要なら、報酬から引くのではなく、費目を示して団員全体で議論したうえで集める形にします。

Q2. 分団費の額は誰が決めるのですか?

条例で決まっているものではなく、団員の総意で決まるものです。消防庁も、親睦会の会費等を目的とした集金は団員全体で議論してほしいという考え方を示しています。費目の一覧と年間の支出を示したうえで、団員数で割った1人あたりの額を提示して決めるのが、納得を得やすい進め方です。

Q3. 現金での集金をやめると、手数料の分だけ損になりませんか?

金額だけを見ると割高に見えることがあります。ただ、現金には別の費用が乗っています。集金の日に来られなかった人の追跡、二重徴収の確認、班長の立替、引き継ぎの説明。これらにかかる時間と人間関係の消耗を含めて比べると、判断は変わります。全部を一度に変えず、まず記録の置き場所だけを移す進め方もあります。

Q4. 誰が払ったかの記録は、どこまで残せばよいですか?

団員の一覧、受け取った日付、金額の3つが残っていれば足ります。丸印だけでなく日付を入れておくと、期をまたいだときに確認できます。この一覧を会計と班長の両方が見られる場所に置けば、集まっていない班が自分で気づけるようになり、催促の手間も減ります。

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