シニア向けアプリで検索すると、歩数計、脳トレ、電話の簡単操作といったものが並びます。ただ、町内会や趣味の会をとりまとめる立場で探しているなら、欲しいものは少し違います。年配の会員がいる会で必要なのは、ひとりで楽しむアプリではなく、会の連絡が全員に届くアプリです。この記事では、シニア向けアプリと呼ばれているものを目的で4つに分け、そのうち団体の連絡に使えるものを選ぶ条件を並べます。文字の大きさ、新しいIDを増やさない工夫、無料で使える範囲の読み方、使いかたの教え方まで、決めたあとに困らない順で整理します。
シニア向けアプリという言葉が指す範囲は広い
シニア向けアプリという呼び方は、作り手の側から出てきた言葉ではありません。使う人の年齢で括った言い方なので、中身はまったく別のものが同じ棚に並びます。歩数を数えてポイントを貯めるアプリ、脳トレのクイズ、電話帳を大きな文字に置き換えるアプリ、そして会の連絡を回すアプリが、どれも同じ言葉で紹介されます。
この括り方のまま探すと、目的に合わないものを見比べることになります。歩数計の使いやすさを何時間くらべても、会の行事の連絡が届くかどうかは分かりません。
もうひとつ知っておきたいのは、シニア向けと書かれていないアプリのほうが、結果として年配の会員に使いやすい場合があることです。専用に作られたアプリは、その1つを覚えれば済む代わりに、家族や会の外の人とは同じ画面を共有できません。逆に、広く使われているアプリは、会員が家族との連絡でもう使い慣れていることがあります。すでに毎日開いているアプリの中に会の連絡が入るなら、覚えることは増えません。
会をとりまとめる立場で探すなら、年齢で括った棚から選ぶのではなく、会で起きている困りごとから逆に辿ってください。行事の出欠が集まらない、同じ質問に何度も答えている、写真を配る手段がない。困りごとが決まれば、見るべきアプリの種類は自然に絞られます。
シニア向けアプリは目的で4つに分かれる
棚の中身をほどくと、4つの型に分かれます。
1つめが、スマートフォンの操作そのものを簡単にするアプリです。画面に並ぶアイコンを大きくし、使う機能を電話とカメラとメールくらいに絞り、よく連絡する相手をワンタッチで呼び出せるようにします。緊急時のブザーや、家族へ居場所を知らせる機能が付いているものもあります。
「ラクホン」は、スマホの操作が難しい方にも使いやすいよう、機能をシンプルに表示し直した"全ての人にわかりやすく、操作しやすい"ラクラク電話アプリケーションです。 出典: shien-network.kanafuku.jp
このタイプは、公的な障害者IT支援のサイトでも紹介されており、対応OSはiOSとAndroidの両方、参考価格は無料と記載されています。会の連絡に直接は関わりませんが、会員のスマートフォンが操作しづらい状態のままだと、どの連絡アプリを入れても届きません。土台を整える道具として見てください。
2つめが、健康を測るアプリです。歩数、血圧、服薬の記録が中心で、歩いた分がポイントになるものもあります。個人で使うものなので、会の運営とは切り離して考えます。
3つめが、脳トレやゲームです。会話のきっかけとして役に立ちますが、会の連絡とは別の棚です。
4つめが、団体の連絡に使うアプリです。会員の名簿、行事の予定、出欠、写真、資料をひとまとめに扱います。とりまとめる立場が探しているのは、ほぼこの4つめです。以下はこの型に絞って書きます。
団体の連絡に使うなら、先に見るポイントは3つ
機能の一覧を見比べる前に、次の3つを確かめてください。この3つで落ちるアプリは、機能がどれだけ多くても会では続きません。
1つめが、会員の側に何を増やすかです。新しいアプリを入れる、新しいIDを作る、新しいパスワードを覚える。この3つのうち、いくつを会員に頼むことになるのかを数えてください。増える数が少ないほど、使い始めで落ちる人が減ります。
2つめが、とりまとめる側の作業がどれだけ減るかです。行事の出欠を紙で集めていた会なら、集計の手間が消えるかどうか。同じ質問に何度も答えていた会なら、答えを一度書けば全員が読めるようになるかどうか。ここが変わらないアプリは、入れても役員の負担は減りません。
3つめが、来年の役員に渡せるかどうかです。会の連絡が個人のアカウントの中にある状態だと、その人が役員を降りた時点で過去のやりとりが取り出せなくなります。会として1つのアカウントを持てるか、管理する人を後任に移せるか。この移し方が説明されているアプリを選んでください。
この3つを紙に書いて、候補のアプリごとに○と×を付けるだけで、候補は2つか3つに絞れます。多機能かどうかは、絞ったあとに見れば足ります。年配の会員が多い会では、使わない機能が画面に並んでいること自体が迷いの原因になるので、機能が多いことは長所とは言い切れません。
選ぶ前に、いまの連絡の流れを1枚に書き出す
候補のアプリを見比べる前にやっておくと効くのが、いまの連絡の流れを1枚の紙に書き出すことです。この作業をしていない会は、機能の一覧を眺めても、自分の会に効くかどうかの判断が付きません。
書き出すのは5つです。誰が連絡を作っているか、どの道を通って会員に届いているか、届くまでに何日かかっているか、返事をどこで受け取っているか、そして集計を誰が手で行っているかです。
多くの会では、役員が原稿を作り、班長に渡し、班長が回覧板か口頭で会員に伝えています。この形だと、会員に届くまでに5日前後かかり、班長によって伝わり方が変わります。返事は口頭で班長に戻り、班長が紙に書いて役員に渡し、役員が電卓で集計します。書き出してみると、手で数えている場所が2か所か3か所あることに気付きます。
この紙があると、候補のアプリを見るときの質問がはっきりします。役員が作った連絡がそのまま会員に届くか。返事が自動で集まるか。班長を通す工程を残すか、なくすか。機能の名前ではなく、この紙の上のどの工程が消えるかで比べられるようになります。
書き出した紙は捨てずに残してください。道具を入れたあと、消えた工程に赤で線を引くと、何が楽になったかを役員の会議で説明できます。総会で費用の承認をもらうときにも、この紙が一番の説明材料になります。
文字とボタンの見え方が、続くかどうかを決める
年配の会員に使ってもらうとき、最初の壁は機能ではなく見え方です。見えない文字は読まれず、押せないボタンは押されません。
確かめる場所は3つあります。文字の大きさを変えられるか、変えたときに文章が枠から切れないか、押す場所が指の幅より大きいか。スマートフォンの設定で文字を大きくすると、アプリの中の文字も一緒に大きくなるものと、そのまま変わらないものがあります。会員に配る前に、文字を最大にした状態で一度開いてみてください。文字だけ大きくなってボタンの名前が途中で切れるアプリは、その場で候補から外せます。
色の使い方も見てください。薄い灰色の文字を白い背景に載せている画面は、若い目には上品に見えますが、年齢とともに読みづらくなります。押せるボタンと、ただの飾りの区別が色の濃さだけで付けられている画面も、迷いの原因になります。
操作の回数も数える価値があります。行事の出欠を答えるまでに、画面を3回以上たどらせる作りだと、途中でやめる人が出ます。届いた連絡を開いて、その場で出席か欠席を押せば終わる形が理想です。
見え方の確認は、役員だけでやらないでください。会の中でいちばん操作に慣れていない会員に、実際の画面を1つ見てもらうのが早いです。役員が迷わなかった画面で、その人が3秒以上止まったら、そこが会全体でつまずく場所になります。
新しいIDとパスワードを増やさない
年配の会員がいる会で、いちばん多く止まる場所がここです。アプリの出来とは関係なく、使い始めの手続きで止まります。
新しいアプリを使うとき、ふつうはメールアドレスとパスワードを登録します。ところが、自分のメールアドレスを覚えていない会員は珍しくありません。携帯電話の会社を変えたときに古いアドレスが使えなくなり、新しいアドレスを家族が設定したまま、というのはよくある状態です。ここで手が止まると、アプリの中身を見る前に諦められてしまいます。
回避の道は3つあります。1つめが、招待の受け取りに電話番号を使えるアプリを選ぶこと。2つめが、リンクを開くだけで会に入れて、パスワードを後から決められるアプリを選ぶこと。3つめが、パスワードを紙に書いて渡す手順を役員の側で用意しておくことです。
3つめを選ぶなら、渡す紙の形まで決めてください。会員番号と初回のパスワードを印刷した小さな紙を、班長が手渡しで配る形にすると、配り終わった人と残っている人が目で数えられます。回覧板に挟んで回すと、誰まで届いたかが分からなくなります。
使い始めの会は、集まる日に合わせてください。総会や定例の集まりの後に30分の時間を取り、その場で登録を済ませてしまうのがいちばん速いです。持ち帰って家でやってもらう形にすると、登録が済んだ人と済んでいない人が混ざった状態が数か月続きます。
見えにくい人と聞こえにくい人に届ける
会の中には、目や耳に不自由のある会員がいます。会の連絡をアプリに移すと、この人たちへの届き方が変わります。悪くなる方向にも、良くなる方向にも変わります。
紙の回覧板は、字が小さければ読めません。口頭での連絡は、聞こえにくければ届きません。文字で残るアプリに移すと、文字を大きくして読めるようになり、その場で聞き取れなくても後から読み返せます。この点では、アプリに移したほうが届く人は増えます。
さらに、スマートフォンに元から入っている支援の機能を組み合わせられます。話した言葉を文字にするアプリは、会議や集まりの場で耳の代わりになります。
「音声文字変換&音検知通知」は、毎日の会話や周辺の音を認識しやすくし、聴覚障がいを持つ方や難聴の方を支援します。誰もが気軽に利用できる聴覚障がい者向けユーザー補助アプリです。 出典: shien-network.kanafuku.jp
会の側でできることは3つあります。連絡を画像だけで出さないこと、大事な日時は文章にも書くこと、音声の連絡には文字を添えることです。行事の案内をきれいなちらしの画像1枚で流すと、画面を拡大しないと読めず、読み上げの機能も働きません。同じ内容を文章でも書いておけば、両方の会員に届きます。
こうした配慮は、特定の会員のためだけのものではありません。移動中の会員、老眼が進んだ会員、騒がしい場所にいる会員にも同じように効きます。
無料のアプリは、どこまで無料かを読む
団体向けの連絡アプリには、無料で使えるものが複数あります。会費で運営している会では、無料の範囲が続くかどうかが決め手になります。
読む場所は4つです。参加できる人数の上限、保存できる写真や資料の容量、過去のやりとりを何日分さかのぼれるか、そして運営が何で成り立っているかです。
人数の上限は、会員だけでなく役員や来賓を数に入れて考えてください。上限に近い会は、翌年に会員が増えた時点で有料に移る判断を迫られます。容量は、行事の写真を保存し始めると急に減ります。1回の行事で撮る写真が100枚を超える会では、年に何回の行事を保存できるかで見積もってください。
さかのぼれる日数は、見落としやすい場所です。無料の範囲では古いやりとりが読めなくなる作りだと、去年の同じ行事のときにどう決めたかを調べられません。会の運営は前例を見ながら進むので、ここが切られると役員の仕事が増えます。
運営が何で成り立っているかも読む価値があります。広告で成り立っているサービスは、画面に広告が出ます。会員に配る画面なので、何が出るかは先に見ておいてください。有料に切り替わったときの金額と、切り替えずにやめる場合に会のやりとりを書き出せるかどうかも、使い始める前に確かめる項目です。書き出せる形が用意されていれば、あとで別の道具に移せます。
使いかたを教える段取りのコツ
道具を決めたあとに残るのが、使いかたを伝える仕事です。ここを段取りなしで始めると、役員が個別の電話対応に追われます。
コツは、教える内容を最小まで削ることです。会員に覚えてもらうのは、会の連絡がここに来る、開くとここに書いてある、答えるならここを押す。この3つだけで足ります。設定の変え方、写真の投稿の仕方、通知の細かい調整は、必要になった人が聞けばよい話です。最初から全部を説明すると、覚えることが多すぎて届きません。
紙の手順書は1枚に収めてください。画面の写真を3つか4つ並べ、矢印と短い文を添えるだけの形が読まれます。文字だけの説明書は、机の上で読まれずに終わります。
教える順番は、役員から始めます。役員が使えていない道具を会員にすすめると、質問に答えられません。役員の間で2週間ほど使ってみて、実際に出た質問を手順書に足してから会員に配ると、質問の数が目に見えて減ります。
最初に流す連絡の内容も決めておいてください。試しの連絡ではなく、答えないと困る本物の連絡を1通目にすると、開く人が増えます。次の行事の出欠を聞く連絡が向いています。1週間たっても開いていない会員には、班長から声をかけてもらう段取りまで決めておくと、紙と併用する期間を短くできます。
年配の会員が多い会におすすめできる組み合わせ
会の状況によって、おすすめできる形は変わります。3つの型に分けて整理します。
会員の大半がスマートフォンを持っていて、家族との連絡に使い慣れている会は、団体向けの連絡アプリに一本化するのが早いです。行事の予定、出欠、写真、資料を同じ場所に集めると、役員の作業が減ります。紙の回覧板は、決算書のように保存が要る書類だけに残します。
スマートフォンを持っている会員が半分くらいの会は、しばらく紙とアプリを並べて走らせてください。同じ内容を両方で出すのは手間ですが、アプリ側だけで出すと届かない会員が生まれます。並走の期間は1年を目安にして、行事を一巡させてから紙を減らす判断をすると、抜けが起きにくくなります。
スマートフォンを持っていない会員がまとまった数いる会は、連絡の一本化を目標にしないほうが無理がありません。役員と班長の間だけをアプリにして、班長から先は今のやり方を続ける形にすると、役員の集計作業だけが先に軽くなります。会員全体に広げるのは、次の代の役員に判断を渡してかまいません。
どの型でも共通するのは、操作を簡単にするアプリを土台に入れておくことです。文字とアイコンを大きくするアプリを先に入れてもらうと、その上に載る連絡アプリの見え方も揃います。
途中でやめる会と続く会の違い
連絡の道具を入れたあと、半年で元に戻る会と、何年も続く会があります。違いは3つに集まります。
1つめが、連絡の出し先を1つに絞ったかどうかです。新しい道具を入れたのに、急ぎの連絡は電話、行事の案内は紙、写真だけアプリという形にすると、会員はどこを見ればよいのか分からなくなります。分からない場所は見られなくなり、やがて誰も開かなくなります。入れた道具に連絡を寄せる決めをしてください。
2つめが、答える場所を1つにしたかどうかです。出欠をアプリで聞いておいて、電話での返事も受け付けると、集計が2か所に分かれます。集計が分かれると、役員は結局手で足し合わせることになり、楽になった実感が出ません。
3つめが、役員が代わるときの引き継ぎを一度でも通したかどうかです。最初の引き継ぎを乗り越えた会は、その後も続きます。逆に、引き継ぎで止まった会は、前の役員が持っていたアカウントが開けなくなって元のやり方に戻ります。引き継ぎの手順は、道具を入れた最初の年のうちに紙に書いて、会の記録として残してください。
やめる判断そのものは悪いことではありません。会に合わなかったと分かるのは収穫です。ただ、やめる前に会のやりとりと写真を手元に保存しておいてください。書き出さずにアカウントを消すと、その年の記録が取り出せなくなります。
会員の名簿と写真の扱いを先に決める
連絡をアプリに移すと、名簿と写真がその中に集まります。紙の名簿を金庫に保管していた会でも、アプリに移した瞬間に扱いが変わるので、使い始める前に決めておく項目があります。
決めるのは4つです。名簿に載せる項目、写真を保存する範囲、見られる人の範囲、そして退会した人の扱いです。名簿の項目は、会の運営に実際に使うものだけに絞ってください。行事の連絡を回すだけなら、氏名と連絡の手段があれば足ります。生年月日、勤務先、家族の人数まで集めている会は、それが何のために必要なのかを一度確かめてください。集めた項目は、そのまま守る対象になります。
写真は、行事の記録として残す価値がある一方で、扱いがいちばん気を使う対象です。子どもが写る写真については、載せてよいかを保護者に先に聞いておく会が多いです。会報に載せる場合と、会員だけが見る場所に保存する場合で扱いを分けている会もあります。法律の解釈を役員で決めてしまうのではなく、載せてよいかを本人か保護者に聞いた記録を残す形が安全です。
見られる人の範囲は、道具の作りで決まります。誰でも検索して辿り着ける場所と、招いた人だけが入れる場所では、名簿を保存してよいかの判断が変わります。招いた人だけが入る形の道具であれば、名簿と行事の写真を同じ場所に保存しても、会の外には出ません。
退会した人の扱いも、最初に決めておいてください。会を抜けた人が過去のやりとりを見続けられる状態は、会員から見ると気になります。抜けるときに会から外す手順を、役員の引き継ぎ書に1行で書いておけば足ります。
通知の出し方を決めて、嫌われないようにする
連絡がアプリに移ったあと、いちばん早く不満が出るのは通知です。届く数が多すぎると、音を切られ、やがて開かれなくなります。
対策は3つあります。1つめが、連絡の種類を分けることです。全員が読む必要のある連絡と、読まなくても困らない連絡を同じ扱いで流すと、大事なほうが埋もれます。行事の日程の変更や、会費の締め切りは全員向け。写真の投稿や雑談は、見たい人が見る形にします。道具の側で分けられるなら、部屋や掲示板を分けて使ってください。
2つめが、出す時間を決めることです。夜遅くに通知が鳴ると、年配の会員からは強く嫌われます。急ぎでない連絡は、朝の8時から夜の8時までに収める決めをしておくと、苦情が出ません。役員の会議が夜に終わる会では、書いた連絡をその場で流さず、翌朝に出す手順にしておいてください。
3つめが、1つの連絡に1つの用件だけを書くことです。行事の案内と会費の集金と役員の募集を1通にまとめると、読んだ人は最初の用件だけを覚えて、あとの2つを読み飛ばします。分けて出したほうが、通知の数は増えても伝わる量は増えます。
通知を切ってしまった会員への手当ても考えておいてください。通知が来なくても、決まった曜日に見る習慣があれば連絡は届きます。回覧板が毎週回っていた会なら、その曜日に合わせて連絡を出すようにすると、見に来る習慣がそのまま残ります。
使い始めて3か月たったら見直す項目
道具を入れた直後は、使えているかどうかの感覚がつかめません。3か月たったところで、数字で見直してください。
見る項目は4つです。連絡を開いている会員の数、出欠の返事が返る速さ、役員にかかってくる電話の本数、そして紙で出し続けている連絡の数です。
連絡を開いている会員の数は、道具の側で分かる場合があります。分からない場合は、出欠を聞く連絡を1本出して、返事が返ってきた人を数えれば代わりになります。会員の7割から返事が返るようになっていれば、道具としては回り始めています。半分に届かない会は、登録が済んでいない会員がまとまって残っているので、班長に確かめてもらってください。
出欠の返事が返る速さは、役員の作業量に直結します。紙で集めていた頃と比べて、締め切りまでに何割が返ってきたかを比べます。ここが改善していないなら、答える操作が多すぎるか、聞き方が分かりにくいかのどちらかです。
役員にかかってくる電話の本数は、いちばん正直な指標です。同じ質問の電話が減っていないなら、連絡に書いていない情報があります。何を聞かれたかを1か月分書き出すと、次からの連絡に足すべき項目が見えます。
紙で出し続けている連絡の数も数えてください。並走を続ける判断は悪くありませんが、数が減っていないなら、一本化の目標を立て直す時期です。この見直しは、役員の会議の議題に1行で入れておけば忘れません。
連絡の道具を比べるときに見る違い
団体の連絡に使える道具は複数あります。どれも連絡は回せますが、会員の情報の扱い、引き継ぎ、出欠の集計で性質が分かれます。
いま多くの会が使っているのはLINEのグループです。すでに全員が入れている点は強く、年配の会員も家族との連絡で使い慣れています。一方で、会の連絡と個人のやりとりが同じ画面に並び、過去の連絡がさかのぼりづらくなります。役員が代わるときに管理を移す手順もはっきりしません。この違いを整理したものがLINEグループとの比較にあります。
誰でも入れる公開の場所と、招いた人だけが入る場所の違いはLINEオープンチャットとの比較で整理しています。名簿や写真を扱う会では、メンバー以外は見られないことが前提になります。
掲示板と予定表を持つ無料のグループ機能から移す場合に何が変わるかはBANDとの比較にまとめました。行事の案内の出し方と、出欠の集計のしかたが変わります。同じく無料で使える仕組みとの違いはFacebookグループとの比較で扱っています。会員がそのサービスのアカウントを持っている必要があるかどうかが、年配の会員がいる会では大きな差になります。
町内会での実際の使いかたを並べたものが町内会での使われかたです。回覧板、行事の出欠、会費の案内をどこでまとめるかの例が入っています。趣味の会や同好会の形に近いものを見たい場合はサークルでの使われかたのほうが参考になります。
費用や使い始めの手順でよく聞かれることはよくある質問にまとめてあります。会費で運営している会は、年間でいくらかかるかを先に出し、総会の議題として承認をもらう形にしておくと、翌年の役員が支払いを続ける判断で迷いません。年配の会員が多い会では、機能の数より、覚えることの少なさで選んでください。
Q1. シニア向けと書かれたアプリでないと、年配の会員には使えませんか?
そうとは言い切れません。専用に作られたアプリは覚えることが少ない一方で、会の外の人と同じ画面を共有できません。会員が家族との連絡で毎日開いているアプリのほうが、新しく覚えることが増えないぶん定着しやすい場合があります。判断は、文字を大きくしたときに画面が崩れないか、出欠を答えるまでの操作が少ないかで行ってください。
Q2. メールアドレスを覚えていない会員には、どう登録してもらえばよいですか?
電話番号や招待リンクで会に入れる仕組みのアプリを選ぶのがいちばん確実です。それが選べない場合は、会員番号と初回のパスワードを印刷した紙を班長が手渡しで配り、登録は集まりの場で済ませてください。持ち帰って家で登録してもらう形にすると、済んだ人と済んでいない人が混ざった状態が長く続きます。
Q3. 紙の回覧板とアプリを、どのくらい並べて使えばよいですか?
行事を一巡させる1年間を目安にしてください。同じ内容を両方で出す手間はかかりますが、アプリ側だけにすると届かない会員が生まれます。1年たったところで、アプリで受け取れている会員の数を数え、紙を減らす範囲を決めます。決算書のように保存が必要な書類は、その後も紙で残してかまいません。
Q4. 無料のアプリを選ぶとき、どこを確かめればよいですか?
参加できる人数の上限、写真や資料の容量、過去のやりとりを何日分さかのぼれるか、運営が何で成り立っているかの4つです。とくに、やめるときに会のやりとりと写真を書き出せるかを先に確かめてください。書き出せる形が用意されていれば、あとで別の道具に移すときも記録が手元に残ります。