動画の文字起こしで最初に決めるのは、道具ではありません。手元にあるものが何なのかです。同じ「動画を文字にしたい」という相談でも、スマートフォンで撮った行事の記録、オンライン会議の録画、すでに公開している講習動画では、進む道がまったく変わります。町内会の防災訓練、PTAの説明会、部活の練習の記録、教室の発表会。とりまとめる立場の人が抱える「映像はあるが、文章が無い」という状態を、この記事ではファイルの種類ごとに片付けます。先に結論を書くと、追加の費用をかけずに終わる道が複数あり、迷うのはほぼ「拡張子が合わない」か「音が遠い」のどちらかです。
選べる道具は複数ある。まず並べて見る
この分野は選択肢が増えました。無料から使える道具を並べて紹介する記事も出ています。
ここからは、2026年6月時点で無料から使える動画文字起こしAIツールを7つ厳選して紹介します。単にツールを羅列するのではなく、「どんな業務シーンで使うべきか」まで踏み込んで解説します。 出典: genai-ai.co.jp
ただし、会の運営で使う道具を選ぶときの基準は、性能の比較とは少しずれます。見るのは3つです。役員が代わっても同じ手順で回るか。追加の費用が毎年かからないか。そして、会員の氏名や金額が入った音声をどこへ預けることになるか。
この3つで絞ると、候補はかなり減ります。すでに会や勤め先で使っている道具の中に機能があるなら、それを使うのがいちばん続きます。新しいサービスへ登録するたびにIDとパスワードが増え、翌年の担当者がそこで止まります。
以下では、手元にあるファイルの種類ごとに、どの道具に回せばよいかを順に書きます。
MP4やM4Aのファイルが手元にある場合
パソコンに動画ファイルがあり、Microsoft 365を会や勤め先で使っているなら、Wordの文字起こしがいちばん素直です。公式のサポートページには条件が具体的に書かれています。
アップロードできる形式は「.wav、.mp4、.m4a、.mp3 形式」です。対応ブラウザは新しいMicrosoft EdgeとChrome。Microsoft 365のサブスクリプションでは1か月あたり300分まで、Copilotのライセンスがある場合は30,000分までと示されています。対応する言語は80以上のロケールに及び、日本語が含まれます。
この機能の強みは、話者を分けて書き出すところです。公式の説明では、各話者を個別に区切って音声をテキストに変換し、タイムスタンプ付きのオーディオを再生しながらトランスクリプトを編集して修正できるとされています。誰が何を言ったかを残したい議事録には、この作りが合います。全文をWord文書として保存することも、一部だけを既存の文書へ挿入することもできます。
月300分という上限は、会の用途では十分な場合が多いです。2時間の総会を1本かけると120分を使いますが、月に1度の役員会なら余ります。逆に、毎週の練習を全部かけると足りません。かける動画を選ぶ運用にしてください。
拡張子が一覧に無いときは、先に音声を取り出す
手元の動画の拡張子を確かめてください。先に挙げた一覧に入っていない形式は読み込めません。スマートフォンやビデオカメラの機種によっては、一覧に無い拡張子で保存されていることがあります。
このときに取る道は2つです。1つは、動画のまま扱える道具に回すこと。もう1つは、音声だけを取り出して対応する形式にすることです。
音声だけを取り出す考え方には、別の利点もあります。文字起こしに映像は要りません。1時間の動画は数百メガバイトから数ギガバイトになりますが、音声だけなら桁が小さくなります。アップロードの待ち時間が短くなり、会のパソコンの回線が細い場合ほど差が出ます。
もっとも手早いのは、そもそも動画を撮らずに音声で録っておくことです。行事の様子を残す目的の映像と、議事を文字にする目的の音声は、別に録ったほうが両方うまくいきます。カメラは後ろの三脚、録音は演台の上。この2つを同時に回しておけば、映像がぶれても文字は残ります。
iPhoneで撮った動画の場合
行事の記録をiPhoneで撮っている会は多いはずです。この場合、映像から文字を起こすより、音声を録り直せる場面かどうかを先に考えてください。
というのは、iPhoneの標準のボイスメモに文字起こしの機能が入っているからです。Appleのユーザガイドには、オーディオの文字起こしはiPhone 12以降で、日本語を含む10言語に対応し、一部の国や地域では利用できないと書かれています。録音中にテキストを見ることもでき、録音後にはメニューから文字起こしをコピーできます。
つまり、次の行事では映像用のカメラと別にiPhoneを1台置いておけば、文字起こしの工程が丸ごと消えます。すでに撮ってしまった動画については別の道具に回すしかありませんが、来年からの段取りとしてはこちらが軽いです。
過去の音源についても、確かめる価値があります。ユーザガイドには、iOS 17以前のボイスメモで録音されたデータを開くと、発話が録音されている場合は文字起こしが自動的に行われる、と書かれています。端末に残っている去年の役員会の録音は、開くだけでテキストが付いている可能性があります。
オンライン会議の録画の場合
Zoomで開いた会議なら、録画の側に文字起こしの機能があります。公式の記事には、クラウドレコーディングのオーディオ文字起こしについて、Pro、Business、Education、Enterpriseのアカウントが前提であることと、対応言語に日本語が含まれることが書かれています。文字起こしはVTT形式で保存され、ダウンロードしてテキストエディタで開くことも、ウェブポータル上で語句を選んで修正することもできます。
注意したい点が2つあります。1つは、無料のベーシックではクラウドへの録画ができないことです。料金ページには、ベーシックの録画が「ローカルのみ」と書かれています。手元に落ちた録画ファイルから起こす形になるので、その場合は前の節で書いた道に戻ります。
もう1つは、会議中の字幕を記録の代わりにしないことです。公式の案内では、2026年5月18日以降、ユーザーは字幕を保存またはダウンロードできなくなるとされています。字幕は会議中に最大3分のスクロールバックとともに使え、録画の再生時にも使えますが、残したいならミーティング文字起こしを有効にするよう案内されています。会議中に画面に出ていた文字は、終わったら手元に残らないという前提で考えてください。
すでに公開している動画の場合
講習会の動画をすでにYouTubeへ上げているなら、そこから文章を取り出せます。ヘルプには、字幕付きの動画では全編の文字起こしを表示できると書かれており、動画の説明欄で文字起こしを表示をクリックすると、再生に合わせて字幕がスクロールします。字幕テキストの任意の行をクリックすると動画のその部分へ移動するので、必要な一節だけを確かめられます。
自分が上げた動画なら、音声認識で字幕そのものを作ることもできます。対応言語には日本語が含まれます。ただし品質については公式が率直に書いていて、機械学習で生成されるため品質にばらつきが出る可能性があり、内容を確認して正しく文字起こしされていない部分を編集するよう求められています。
字幕が生成されない原因も一覧になっています。処理が完了していない、言語が対応していない、動画が長すぎる、音質が悪い、冒頭の無音が長い、複数人の同時発話か複数言語が混ざっている、の6つです。会の録画では、冒頭の無音と同時発話が当たりやすいところです。
公開範囲だけは先に決めてください。文字にできるということは、検索で拾える文章がそこにあるということです。文字起こしのために一時的に上げるなら、限定公開で字幕だけを取り出し、テキストを整えたら非公開へ戻す形が現実的です。
自分が話して書き起こす場合
もう1つ、見落とされやすい道があります。動画を見ながら自分で要点を口述し、それを文字にする方法です。
Googleドキュメントの音声入力は、ツールメニューから音声入力を選んで使います。公式ヘルプによれば、この機能はChrome、Edge、Safariの最新版で動き、対応言語に日本語が含まれます。パソコンのマイクで拾った声をその場で文字にする作りなので、録画ファイルを読み込ませる用途には向きません。ただし、2時間の動画を全文起こす必要がなく、要点だけが欲しい場合には、こちらのほうが速く終わります。
句読点については条件があります。句読点の音声コマンドは英語のみで、アカウントとドキュメントの両方の言語を英語にする必要があると書かれています。日本語では句読点を手で打つ前提で考えてください。認識がずれた語には灰色の下線が付き、右クリックで候補が出ます。
使い分けの結論を1行で書くと、全文が必要ならWordかYouTube、要点だけならGoogleドキュメントの口述です。議事録として発言者まで残すなら前者、案内文を書くだけなら後者で足ります。
なお、この機能は組織の設定で止められていることがあります。公式ヘルプには、組織でこの機能が有効になっていない場合は管理者によって無効にされている可能性があると書かれています。勤め先のアカウントで試して出てこないときは、個人のアカウントで開き直すと動くことがあります。会の作業を勤め先のアカウントで回すのは、そもそも引き継ぎの面でも避けたほうがよい形です。
音の録り方で、結果の大半が決まる
どの道具を選んでも、崩れる原因は同じ場所にあります。録り方です。
距離がいちばん効きます。カメラを部屋の後ろに立てて内蔵マイクだけで録ると、壇上の話より手前の席の私語が大きく入ります。話し手の近くに録音機を1つ置くだけで結果が変わります。反響も同じで、集会所や体育館は壁と床が硬く、跳ね返った声が重なって入ります。人の耳は重なった声を分けますが、音声認識は分けません。
空調と機材の音も見てください。プロジェクターのファン、吹き出し口の風、椅子を引く音。どれも声と同じ帯域に乗ります。吹き出し口の真下や通路側に機材を置かないだけで違いが出ます。屋外の行事では風が最大の敵で、風の音はあとから取り除くのが難しいため、録る位置を風上から外してください。
進め方も効きます。質疑応答で複数人が同時に話すと、そこだけ文字が意味を失います。司会が「では、順にお願いします」「お名前からどうぞ」と一言入れる運用にしておくだけで、あとの作業が短くなります。冒頭に「本日の役員会を始めます」と声を出してから議事に入れば、認識の入り口もはっきりします。
出てきたテキストを直す順番
読み上げた言葉をそのまま文字にしたものは、そのままでは配れません。ただし頭から全部を整えるのは時間の使い方として損です。順番を決めてください。
最初は固有名詞です。人の名前、団体の名前、場所の名前。ここが崩れていると、読んだ人が別の話だと受け取ります。同じ語が同じ形で崩れることが多いので、置換で一度に直せます。
次が数字です。金額、日付、時刻、人数。話し言葉の数字は崩れやすく、崩れたまま配ると実害が出ます。「3千円」が「300円」になっていた、「14日」が「4日」になっていた、という取り違えは会費と出欠に直結します。数字だけは元の音に戻って確かめてください。タイムスタンプが付いている道具なら、該当箇所だけを数秒聞けば済みます。
3つめが、決まったことの抜き出しです。会議の文章は、決まったことと決まっていないことが混ざって出てきます。配る前に、決まったことだけを冒頭にまとめてください。読む人の大半はそこだけを読みます。
言い回しは直さなくてよい部分です。話し言葉のままでも意味は通ります。全文を整えたくなりますが、そこに時間を使うと次の回が続きません。毎回30分で終わる作り方にしてください。
配る前に、消しておくもの
文字起こしは、会議で出た言葉をそのまま残します。配る前に必ず目を通して、外に出さない言葉を落としてください。
落とす対象は決まっています。個人の連絡先、住所、口座の番号、体調や家庭の事情、そして人の評価に触れた発言です。会議の場では必要でも、文章として残ると意味が変わります。誰がどの家の事情で欠席したかは、口では共有されても議事録には残さない会が多いです。
子どもが関わる会では、もう一段慎重になります。名前と学年と出来事が同じ行に並ぶと、それだけで個人を特定できる情報になります。法律の解釈を会で断定する必要はありませんが、名前を頭文字にする、学年を書かない、といった運用を最初に決めておく会が多いと言われています。
判断に迷ったときの基準は1つです。その行を、会の外の人が読んでも困らないか。困るなら消す。配る相手が会の中だけであっても、文章は転送されます。転送された先で困るかどうかで決めてください。
誰が何をするかを、先に割る
文字起こしを続かせるのは機能ではなく役割分担です。ここを決めずに始めると、1人に全部が集まり、その人が抜けた年で止まります。
割り方は3つで足ります。録る役、直す役、配る役です。録る役は会場にいる人、直す役は家で作業できる人、配る役は連絡の担当。同じ人でなくてよいという前提を会の中で共有しておくと、引き受け手が増えます。2時間の会議なら、録るのは会議の時間だけ、直すのは30分、配るのは5分です。
決めておくことがもう1つあります。どこまで直すかの線です。固有名詞と数字は直す、言い回しは直さない。この線を紙1枚に書いておけば、担当が代わっても同じ品質で回ります。線が無いと担当ごとに丁寧さが変わり、丁寧な人が辞めた年に品質が落ちたように見えます。
残す期間も決めてください。動画は1年、テキストは会が続く限り、という形にしている会が多いと言われています。動画を持ち続けると容量と公開範囲の管理が要りますが、テキストなら軽く、検索もできます。記録として本当に必要なのはテキストのほうです。
録画を議題ごとに分けておく
2時間の会議を1本の動画として残す会は多いですが、文字にする前提なら分けたほうが扱いやすくなります。理由は3つあります。
1つめは、道具側の条件です。YouTubeの字幕の自動同期については、1時間以上にわたる動画の文字起こしはおすすめしないと公式に書かれています。Wordの文字起こしには月あたりの分数の上限があり、長い動画を1本かけるだけで枠を使います。議題ごとに区切れば、どちらの条件にも収まりやすくなります。
2つめは、探す手間です。会員が知りたいのは「会費が上がるのか」の一点だったりします。2時間の動画を渡されると、その一点を探すために早送りを繰り返すことになります。議題ごとに分かれていれば、該当する1本だけを開けば済みます。ファイルの名前に議題を入れておけば、一覧を眺めるだけで当たりが付きます。
3つめは、公開範囲です。同じ会議の中でも、全員に見せてよい議題と、役員の中で止めておく議題が混ざります。1本にまとめると範囲を分けられません。分けて残しておけば、配る相手を議題ごとに変えられます。
分けるきっかけは会議の中で作れます。司会が「では次の議題に入ります」と区切りを口に出すだけで、切る位置が分かります。休憩のたびに録画を止めて保存する運用にしておけば、編集の作業そのものが消えます。
ファイルの名前の付け方で、後から探せるかが決まる
保存した動画と音声には、自動の名前が付きます。そのままにしておくと、一覧が日付と連番の並びになり、半年後にどれがどれだか分からなくなります。会の記録として使うなら、保存した直後に名前を変えてください。
付け方は、頭から読んで絞れる順に並べるのが正解です。年度、会の種類、議題。この順で書くと、一覧を上から眺めるだけで当たりが付きます。「2026年度 役員会 会費改定」のような形です。「会費の話をした日」のような書き方は、同じ議題が2回出てきた時点で区別がつかなくなります。
議題ごとに分けたときは通し番号を付けておくと順番が崩れません。「2026年度 総会 1 予算」「2026年度 総会 2 役員選出」のように並べれば、必要な議題だけを開けます。文字起こしの結果を同じ名前で保存しておけば、動画とテキストが並んで見つかります。
引き継ぎのことも考えてください。翌年の担当者が見るのは、この一覧です。名前の付け方が年によって違うと、探す手が止まります。会として1つの形を決めて紙1枚に書いておけば、それだけで引き継ぎの資料になります。
外のサービスへ預けるときに確かめること
無料で使える文字起こしのサービスは多数あります。ブラウザで開いてファイルを投げれば結果が返ってくるものもあります。便利ですが、会の音声を預ける先としては、確かめることが3つあります。
1つめは、誰が運営しているかです。会社名と所在地が書かれていないサービスに、会員の氏名と住所が読み上げられた音声を渡すのは避けてください。文字起こしの対象になるのは会議の全部です。名簿の読み上げも、滞納の相談も、そこに入っています。
2つめは、預けたファイルの扱いです。処理のあとに消されるのか、学習に使われるのか、どこの国のサーバーに保存されるのか。書かれていないなら分かりません。分からないものに個人情報を渡さない、という線を会として引いておくほうが安全です。
3つめは、来年も同じ手順で使えるかです。無料のサービスは、条件が変わることも、終わることもあります。会の標準手順にしたあとで使えなくなると、翌年の担当者がゼロから探し直します。すでに会や勤め先で使っている道具の中に機能があるなら、そちらを標準にしたほうが続きます。
この3つを通らない場合の逃げ道は、個人が特定できる部分を録らないことです。名簿の読み上げがある議題はそもそも録音を止める。この判断は、どんな道具を使うかより前に決められます。
起こした文章を、会の人たちへどう配るか
テキストができた時点で作業は半分です。残りは配り方です。ここを決めずに始めると、同じ説明を何度も繰り返すことになります。
避けたいのは、長い文章をそのままトークへ流すことです。数千字の文章はスマートフォンで十数回のスクロールになり、次の連絡が1本入れば上へ流れます。欠席した人が「どこにありますか」と聞き、役員が同じものをもう一度貼る。この往復が毎回起きます。
現実的な形は2段構えです。要点3行を配り、全文は流れない場所に保存して、その場所を案内します。ふだんの連絡がLINEのグループなら、投稿が時系列で流れる性質と、記録として残す場所の作り方の違いを整理したLINEグループとの比較に、どこまでを今のまま続けられるかが書かれています。掲示板のように過去の投稿が並ぶ形を検討しているなら、アルバムや予定の扱いまで含めて比べたBANDとの比較のほうが判断材料になります。
会の性格によって詰まる場所は変わります。役員が1年か2年で入れ替わる前提で年度をまたいで記録を残すなら町内会での使われかた、同じ学年の保護者に同じ内容を繰り返している会ならPTAでの使われかた、行事の記録を学校単位で残す話なら学校での使われかた、発表会の動画を保護者に渡す範囲を決めたい教室なら教室での使われかたに、それぞれの前提が書かれています。
起こしたテキストを、何に使い回すか
文字にしたものを議事録だけで終わらせると、手間に対する見返りが小さくなります。同じテキストは、少なくとも3つの形に使い回せます。
1つめは案内文です。説明会で話された内容は、そのまま会員向けの案内に転用できます。話し言葉から要点を3つ抜き、締め切りと連絡先を足すだけで配れる形になります。動画を見た人が思い出しながら書くより、テキストから抜くほうが速く、抜け漏れも減ります。
2つめは質問への備えです。行事のあとには同じ質問が集まります。駐車場はどこか、費用はいくらか、当日の持ち物は何か。文字起こしを検索すれば、その場でどう答えられていたかが出てきます。答えを1回書いておけば、次に同じ質問が来たときは貼り直すだけで済みます。同じ説明を何度も繰り返す作業は、ここで消えます。
3つめは翌年の下敷きです。行事は毎年ほぼ同じ形で回ります。去年のテキストが残っていれば、今年の案内は日付と担当を差し替えるところから始められます。白紙から書くのと差し替えるのとでは、かかる時間が大きく違います。
この3つを見込んでおくと、文字起こしにかける30分が回収できます。逆に、1回配って終わりなら、その30分は毎回消えたままです。使い回す前提で保管場所を決めてください。
記録を1か所へ寄せると、何が変わるか
連絡の道具を扱う側から見ると、会の困りごとは種類が少ないことが分かります。集まるのは、過去の連絡が見つからない、同じことを何人にも説明している、役員が代わると引き継げない、誰に見られているのか分からない、の4つです。
文字起こしが直接効くのは、最初の2つです。動画のままだと検索できず、確かめるには再生の時間がそのままかかります。テキストになった瞬間に検索の対象になり、必要な一節だけを渡せるようになります。タイムスタンプから元の位置へ飛べる作りが各社の道具に入っているのは、この性質を前提にしたものです。
3つめの引き継ぎは、保管場所の問題です。役員個人のパソコンに動画とテキストがある限り、抜けた時点で会からは消えます。会として残すなら、個人のものではない場所に保存する必要があります。これは道具選びではなく会の取り決めです。
4つめの公開範囲が、動画を扱うときは最も重くなります。文字になるということは、検索で拾える文章がそこにあるということです。会場で出た氏名や金額が、動画では聞き流されても、文章では検索に当たります。取り消しがきかない性質のものなので、メンバー以外は見られない場所に保存することを先に決めてから、配り方を考える順番にしてください。始める前によく出る疑問はよくある質問にまとめてあるので、詰まったところだけ拾って読むのが早いです。
Q1. 動画のファイルをそのまま読み込ませられますか?
道具によって受け付ける形式が決まっています。Wordの文字起こしは公式のサポートページで.wav、.mp4、.m4a、.mp3と示されており、この一覧に無い拡張子は読み込めません。合わないときは音声だけを取り出して対応する形式にするか、動画のまま扱える別の道具に回してください。
Q2. 会の予算をかけずに続けられますか?
追加費用なしで組める形はあります。公開してよい動画ならYouTubeの自動字幕、iPhoneで録った音声ならボイスメモの文字起こし、Microsoft 365を会や勤め先で使っているならWordの文字起こしです。足りないのは道具ではなく、どれを標準にするかを先に決めておくことです。
Q3. 誰が話したかを残したいときは、どれを使えばよいですか?
話者を分けて書き出す作りになっているものを選んでください。Wordの文字起こしは各話者を個別に区切って変換すると公式が説明しています。iPhoneのボイスメモの文字起こしは1本の文章として出てくるため、発言者は後から手で入れることになります。
Q4. 2時間の動画を全部起こす必要がありますか?
目的によります。議事録として発言を残すなら全文が必要ですが、会員向けの案内を書くだけなら要点で足ります。その場合は動画を見ながら口述し、Googleドキュメントの音声入力で文字にするほうが速く終わります。議題ごとに録画を分けておくと、必要な部分だけを扱えます。