「連絡 網 廃止」で検索する人の多くは、すでに廃止したほうがよいと感じています。紙に全員の電話番号が並んでいることへの不安、電話を順番に回す仕組みが今どき機能していないという実感、そして配った紙が回収できていないことへの後ろめたさ。どれも正しい感覚です。問題は、廃止したあとをどうするかが決まっていないために踏み出せない、という点にあります。
この記事では、廃止の判断をどこで下すか、廃止する前に何を決めておくか、配ってしまった紙をどう回収するか、そして代わりの手段に何を求めるべきかを順番に並べます。あわせて、廃止に反対が出たときにどう話を進めるかも書きます。結論だけ先に書くと、連絡網の廃止で難しいのは技術ではなく、「廃止したら誰がどうやって連絡するのか」という一点を全員が納得できる形で決めることです。ここを決めれば、残りは手順の問題になります。
連絡網が問題になるのは、手間よりも個人情報の扱い
連絡網を廃止したい理由を尋ねると、たいてい「手間だから」という答えが返ってきます。ただ、廃止の決め手になるのは手間ではありません。全員の電話番号を全員に配ってしまっているという状態そのものです。
紙の連絡網には、氏名と電話番号が並んでいます。家庭の固定電話の番号や、個人の携帯電話の番号がそのまま書かれていることも珍しくありません。これを全員に配ると、その情報はもう回収できません。写真を撮られていれば、紙を回収しても情報は残ります。退会した人の手元にも残ります。引っ越した人の番号も、番号が変わったあとも残り続けます。
企業の現場でも同じ議論が起きており、専門家の見解は明確です。
個人情報保護法後に、こうした個人情報開示を行う企業はほぼなくなったと感じます。 必要性もなく、また何より事件事故が起きた際に、会社の責任がより重くなる恐れもあるからです。 個人情報保護のため、直ちに廃止で良いでしょう。 出典: jinjibu.jp
ここで指摘されているのは2点です。ひとつは、必要性がないということ。もうひとつは、事故が起きたときに責任が重くなるということです。町内会やPTA、部活のような任意の団体でも、この2点は同じように当てはまります。何かあったときに「全員の連絡先を全員に配っていました」という状態は、説明が難しくなります。
だから廃止の議論は、手間の話から始めないほうが進みます。個人情報を全員に配る形をやめるという話から始めると、反対しにくくなります。手間の話は、そのあとに続けてください。
廃止の判断は「何の連絡網か」を確かめてから
一口に連絡網と言っても、中身は団体によってかなり違います。判断を下す前に、自分の会のものがどれに当たるかを確かめてください。専門家の回答も、この点を最初に確かめています。
具体的に何の連絡網なのかです。 特に使用しているわけではないのであれば、廃止すべきでしょう。 個人情報は使用する目的を明確にして、必要最低限の使用とすべきです。 出典: jinjibu.jp
確かめる観点は3つです。第1に、実際に使われているかどうか。年に1回も使っていない連絡網は、用途がないまま個人情報を配っている状態です。第2に、何のために使うのか。災害時の安否確認と、行事の中止連絡と、回覧の順番は、必要とされる速さも到達の確実さも違います。第3に、誰から誰へ流すのか。役員から会員へ一方向なのか、会員同士で回すのか。
この3つを確かめると、判断が自然に出ます。使っていないなら廃止でよい。使っているなら、何のために使っているかを書き出し、その用途を満たす別の手段を用意してから廃止する。どちらにしても「とりあえず残す」という選択が消えます。
注意したいのは、用途の書き出しを役員の記憶だけで済ませないことです。過去3年の総会の資料や役員会の記録を見て、実際に連絡網を使った場面を探してください。記憶では「災害のときに使う」と言われているものが、記録では一度も使われていないことがよくあります。逆に、記憶にない用途が記録から出てくることもあります。
書き出した用途の一覧は、廃止を議題に載せるときの資料になります。個人情報の扱いに関する一般的な考え方は個人情報保護委員会が公開している情報が参考になります。会としての方針を作るときの土台に使えます。
電話を順番に回す形そのものが抱える弱さ
個人情報の話と別に、電話を順番に回す仕組みには構造的な弱さがあります。廃止の議論で反対が出たときは、この弱さを具体的に示すのが早道です。
弱さは5つあります。第1に、1人が繋がらないとそこで止まることです。留守だったり、仕事中だったり、番号が変わっていたりすると、その先の人に届きません。飛ばす取り決めがあっても、飛ばした人へ後から連絡する作業が誰かに残ります。
第2に、伝言が変わることです。口で伝える内容は、回るうちに必ず変わります。「明日は中止」が「明日は延期」になり、時刻が1時間ずれます。行事の集合時刻のような数字は、とくに変わりやすい情報です。
第3に、到達までに時間がかかることです。30人を順番に回すなら、1件あたり2分でも1時間かかります。全員が家にいる時間帯でなければ、もっと伸びます。急を要する連絡には向きません。
第4に、届いたかどうかが分からないことです。最後の人まで回ったかを確かめるには、最後の人から役員へ折り返す取り決めが必要で、その折り返しが来なかったときに誰が追うのかまで決めておく必要があります。
第5に、電話をかける負担が特定の人に偏ることです。名簿の並び順で決まるため、毎回同じ人が複数人に連絡する形になることがあります。
この5つを紙に並べて総会に出せば、廃止に反対する意見はほとんど出ません。反対が出るのは、たいてい「代わりがない」という不安からです。代わりを示すのが本題になります。
廃止する前に決めておく5つのこと
廃止を決める前に、次の5つを決めてください。決めずに廃止すると、緊急のときに誰も動けない状態になります。
第1に、緊急の連絡を誰が出すかです。会長なのか、担当の役員なのか、どちらでもよいのか。複数の人が同時に出すと内容が食い違うため、出す人を決めるか、順番を決めます。
第2に、どの手段で出すかです。1つに絞るのが原則ですが、届かない人がいる前提で第2の手段も決めておきます。第1の手段で出し、届いていない人にだけ第2の手段で追う形にすると、手間が最小になります。
第3に、届いたことをどう確かめるかです。読んだかどうかが分かる仕組みなら、確かめる作業は不要です。分からない仕組みなら、返信を求めるか、班長が確認する形を決めます。
第4に、連絡先を誰が持つかです。全員に配る形をやめるのですから、誰かが持つ必要があります。役員だけが見られる形にするのが一般的です。メンバー以外は見られない場所で管理し、役員の交代のときに引き継ぐ形にすれば、紙で配り直す必要がなくなります。
第5に、電話を使う場面を残すかです。完全に電話をなくすのか、緊急のときだけは電話も使うのか。残すなら、誰が誰にかけるかを1枚の紙にして役員だけが持ちます。会員全員に配る形には戻しません。
この5つが決まっていれば、廃止の議題は通ります。決まっていない状態で廃止を提案すると、「何かあったらどうするのか」という質問に答えられず、議論が止まります。
配ってしまった紙をどう回収するか
廃止を決めたら、配ってしまった紙の扱いが残ります。ここを飛ばすと、廃止したのに情報は出回ったままという状態になります。
現実的な手順は4段階です。第1に、何部配ったかを確かめます。総会で配ったのか、班ごとに配ったのか、年度の途中で入った人にも配ったのか。配布の記録がなければ、名簿の人数を上限として考えます。
第2に、回収を呼びかけます。回覧や集会の場で、廃止の決定と一緒に回収を案内します。このとき、廃止の理由を個人情報の扱いとして説明すると協力が得られやすくなります。回収箱を集会所に用意し、期限を決めます。
第3に、回収できなかった分を前提にして対策を取ります。紙は必ず全部戻ってきません。だから「戻らないものがある」前提で、次の措置を取ります。連絡先が変わった人は、この機会に変更する。集合の連絡に使っていた番号を、役員の代表番号に切り替える。会としての連絡の入口を変えてしまえば、古い紙の価値は下がります。
第4に、記録を残します。いつ廃止を決め、いつ回収を呼びかけ、何部戻ったか。この記録が、あとから問題になったときの説明になります。議事録に3行書いておけば足ります。
紙の回収を完璧に行うことは不可能です。完璧を目指すよりも、「新しい入口に切り替えたので古い紙は使われない」状態を作るほうが確実です。回収の呼びかけは、その切り替えを周知する機会として使ってください。
代わりの手段に求める条件を4つに絞る
代わりの手段を選ぶとき、機能を並べて比べると判断が長引きます。連絡網の代わりとして必要な条件は、実は4つだけです。
第1に、役員から会員へ一方向に流せること。連絡網の主な用途は、決まったことを全員に伝えることです。会員同士のやりとりは別の話で、混ぜると連絡が埋もれます。大事な連絡が雑談で流れていく形は、連絡網の代わりになりません。
第2に、届いたかどうかが分かること。ここが連絡網のいちばんの弱点だったので、代わりの手段では必ず押さえます。読んだ人が分かる形か、返信が集まる形か、どちらかが必要です。
第3に、連絡先が会員同士に見えないこと。全員の番号を全員に配る形をやめるのが廃止の目的なので、代わりの手段で同じことが起きては意味がありません。参加している人の名前だけが見えて、連絡先は見えない形が望ましいです。
第4に、担当が代わっても引き継げること。1年で役員が交代する団体では、引き継ぐものが1つで済むかどうかで続くかが決まります。ログインする場所が2つ以上あると、引き継ぎ漏れが起きます。
この4条件で候補を見ると、選択肢はかなり絞られます。いま多くの団体が使っているチャットのグループは、第1と第3の条件で引っかかることがあります。その具体的な違いはLINEグループとの比較に整理してあります。電話番号を知らせずに参加できる形を検討しているならLINEオープンチャットとの比較も確かめてください。どちらも、連絡網の代わりとして使ったときに何が残るかという観点で読むと判断しやすくなります。
緊急のときと、普段の連絡を分けて設計する
連絡網の廃止でつまずくのは、たいてい「災害のときはどうするのか」という論点です。ここは普段の連絡と分けて設計するのが正解です。
普段の連絡に求められるのは、確実に届くことと、あとから見返せることです。行事の案内、会費の連絡、回覧の内容。これらは数時間から数日の猶予があります。だから、読んだ人が分かる形で一方向に流せれば足ります。
緊急の連絡に求められるのは、速さと、手段が生きていることです。災害のときは、電話が繋がらないことも、電気が止まることも、通信が混み合うこともあります。どの手段も落ちる可能性があるという前提で、複数の経路を用意しておく必要があります。
現実的な形は3層です。第1層は、普段使っている連絡の手段です。多くの人はここで受け取ります。第2層は、掲示です。集会所や掲示板に紙を出す。電源も通信も要りません。第3層は、直接訪ねることです。高齢の会員や1人暮らしの会員について、誰が訪ねるかを地図の上で決めておきます。
この3層のうち、第3層は連絡網とは別の仕組みです。名簿の並び順ではなく、家の場所の近さで決めます。だから連絡網を廃止しても、第3層は残せます。むしろ、連絡網があることで「電話すればよい」と思われていた分、廃止を機に訪ねる担当を決め直したほうが実効性が上がります。
町内会や自治会でこの3層をどう作るかは町内会での使われかたに整理しています。学校に関わる連絡の場合は、学校からの連絡と保護者のあいだの連絡を分ける必要があり、その形はPTAでの使われかたと学校での使われかたに例があります。
届いたことを確かめる方法を先に決める
連絡網の代わりを入れたあと、いちばん多い相談が「届いているのか分からない」です。確かめる方法を先に決めておけば、この相談は起きません。
方法は3つあります。第1に、読んだ人が分かる仕組みを使うことです。誰が読んだかが分かれば、読んでいない人にだけ追えます。全員に念押しの連絡を流す必要がなくなるため、通知を切られる原因も減ります。
第2に、返信を求めることです。「確認しました」の1文でよいので返信をもらう形にすると、届いた人が分かります。ただし返信を集める作業が役員に発生するため、毎回は続きません。重要な連絡だけに絞るのが現実的です。
第3に、班や学年の担当が確認することです。人を介する方法なので手間はかかりますが、電話を使わない人がいる団体では確実です。担当が5人から10人を見る形にすると、1人あたりの負担が軽くなります。
どの方法を選ぶにしても、数える習慣を付けてください。案内から1週間後に、何人が読んだかを数える。8割を下回っているなら、案内の仕方か手段そのものに問題があります。数えなければ、届いていないことに気づけません。
現場でよく聞くのは、参加していない会員が数人いる状態が放置され、その数人のために従来の手段を残し、残した手段に他の会員も流れていく、という順番です。廃止を決めたら、参加していない人を名簿と突き合わせて把握し、期限を決めて埋めるところまでを計画に入れてください。
参加しない人が出たときの扱いを決めておく
新しい手段に切り替えるとき、必ず参加しない人が出ます。理由は3つに分かれ、それぞれ対応が違います。
第1は、端末を持っていない人です。この場合は、紙か電話が必要になります。人数が少なければ、班の担当が伝える形で回ります。人数を先に数えておき、誰が担当するかを決めておきます。
第2は、端末は持っているが操作に不安がある人です。この場合は、集会の場で一緒に設定するのがいちばん早いです。案内の紙を渡して終わりにすると、たいてい入れられません。総会や行事のあとに15分の時間を取って、その場で設定を手伝う会を開く団体が増えています。
第3は、参加したくない人です。理由はさまざまですが、無理に参加させると別の問題が起きます。この場合は、参加しない人への連絡をどうするかを取り決めて、記録に残します。「参加しない会員には掲示と紙で伝える」と決めておけば、あとから「聞いていない」という相談が来ても説明できます。
3つに分けて数えると、対応が必要な人数が見えます。多くの団体では、実際に紙が必要な人は思っているより少数です。逆に、操作に不安がある人は思っているより多いので、手伝う場を作るほうが効きます。
大切なのは、参加しない人を理由に廃止を止めないことです。廃止の目的は個人情報を全員に配る形をやめることで、全員が同じ手段を使うことではありません。手段が複数あってよいのです。
名簿の作り直しを、廃止と同時に行う
連絡網を廃止するときは、名簿そのものを作り直す好機です。廃止だけを行って名簿を放置すると、古い情報が役員のあいだに残ります。
作り直しで決めるのは4点です。第1に、何を集めるかです。連絡網には氏名と電話番号が並んでいましたが、新しい手段では電話番号が不要になる場合があります。不要なら集めません。個人情報は、目的を明確にして必要最低限にとどめるという考え方が基本です。第2に、誰が保管するかです。会長と書記の2人が持つのか、1人だけが持つのか。2人以上にしておくと、急に連絡が取れなくなったときに困りません。
第3に、どこに保存するかです。紙で保管するなら鍵のかかる場所、電子で保存するなら役員だけが開ける場所に限ります。個人の端末に写して持ち歩く形は避けます。第4に、いつ更新するかです。年度の初めに全員へ確認する形にすると、引っ越しや番号の変更が反映されます。
作り直すときに、集める項目を減らせることに気づく団体は多いです。連絡網の時代は電話番号が必須でしたが、連絡の手段が変わると、必要なのは氏名と所属だけになることもあります。集める情報が少ないほど、管理の負担も、事故のときの影響も小さくなります。
名簿を作り直したことを議事録に残し、様式を引き継ぎ資料に入れておけば、次の役員が同じ判断をやり直す必要がなくなります。
切り替えの期間を、3ヶ月で区切る
廃止を決めてから実際に電話を回す形をやめるまでに、どれくらいの期間を取るかは悩みどころです。長すぎると立ち消えになり、短すぎると取り残される人が出ます。
現実的な区切りは3ヶ月です。1ヶ月めは案内と参加の期間です。新しい手段の案内を配り、集会の場で設定を手伝い、参加した人を名簿と突き合わせて数えます。この月はまだ従来の連絡網も生きています。2ヶ月めは並行の期間です。連絡を新しい手段で出しつつ、届いていない人には従来の方法で追います。ここで、どの連絡が届かなかったかを記録します。3ヶ月めは移行の完了です。連絡は新しい手段だけで出し、参加していない人には掲示と紙で伝える形に切り替えます。
この3ヶ月のあいだに集めておきたい数字は3つです。参加した人の割合、連絡が届かなかった件数、そして問い合わせの内容です。問い合わせが「どこで見るのか」に偏っているなら案内が足りていません。「変更は届いたのか」に偏っているなら通知の設定に原因があります。
3ヶ月という期間には、もうひとつの意味があります。行事が1回か2回は入るため、実際の連絡で試せることです。何も起きない期間に切り替えても、うまく回るかは分かりません。行事の連絡を1回通してみて初めて、抜けている手順が見えます。
期間を決めて議事録に書いておけば、途中で立ち消えになることを防げます。切り替えの作業は、期限がないと後回しになります。
廃止したあとに点検する項目
切り替えが終わったら、半年後と1年後に点検の時間を取ります。点検の予定を先に入れておかないと、うまくいっていない部分に誰も気づきません。
半年後に見るのは3つです。参加している会員の割合が下がっていないか。参加していない人への伝達が実際に行われているか。そして役員のあいだで連絡先の管理ができているかです。会員が入れ替わる団体では、新しく入った人への案内が抜けていることがよくあります。
1年後に見るのは2つです。引き継ぎが1回で済んだかどうかと、連絡網を復活させようという声が出ていないかです。復活の声が出るのは、たいてい何かが届かなかった経験があったときです。声が出たら、何が届かなかったのかを具体的に聞き取ってください。手段の問題ではなく、出す人や書き方の問題であることが多いです。
点検の結果は1枚の紙に残し、次の役員に渡します。これを2年続けると、団体としての判断の記録が溜まります。誰かが善意で連絡網を作り直そうとしたときに、その記録が歯止めになります。
廃止という言葉には、何かを失う響きがあります。ただ実際に行っているのは、全員の連絡先を全員に配るという形をやめて、必要な連絡が確実に届く形に組み替える作業です。組み替えたあとのほうが、連絡は速く、確実になり、とりまとめる立場の負担も減ります。順番を守って進めれば、難しい作業ではありません。
学校や園の連絡と、保護者のあいだの連絡を混ぜない
保護者が関わる団体では、連絡の経路が2種類あります。学校や園から保護者へ流れるものと、保護者のあいだで流れるものです。連絡網の廃止を検討するときは、この2つを混ぜないことが重要です。
学校や園からの連絡は、学校側が用意した手段で流れます。保護者の側で決められることはほとんどありません。一方、保護者のあいだの連絡は、役員が形を決められます。廃止の対象になるのは後者です。ここを区別せずに議論すると、「学校の連絡はどうなるのか」という質問で話が止まります。
区別した上で確かめたいのは、保護者のあいだの連絡が実際に何に使われているかです。委員会の日程、準備の分担、当日の集合時刻、そして欠席の連絡。この4つが中心になります。そのうち欠席の連絡は、学校へ直接行うものと、役員の担当へ行うものが混在していることがよくあります。混在していると、どちらにも届かない事故が起きます。
参加していない保護者が出ることへの懸念も、この分野ではよく語られます。
一応任意なのでLINEグループに未加盟の保護者もいるんですが、未加盟者がいると保育園の行事や卒園関連の連絡がタイムリーに行き届かない(し、別途その人に連絡するための手間がかかる)のでよほどのことがない限りは皆さんLINEグループに参加している感じです。 出典: shiratamaotama.com
ここに書かれているのは、参加が任意である以上、参加しない人への手間は残るという現実です。だからこそ、参加しない人への伝達方法を先に決めておく意味があります。決めておけば、その手間は誰か1人が毎回背負うものではなく、取り決めとして分担できます。
廃止を議題に出すときの進め方
最後に、廃止を正式に決めるまでの進め方です。役員の判断だけで廃止できる団体もありますが、記録を残しておくほうが後々の説明が楽になります。
進め方は4段階です。第1に、現状の整理を1枚にまとめます。連絡網を何部配っているか、過去3年で何回使ったか、電話を回す形の弱さを5点、そして個人情報を全員に配っている状態であること。この4項目です。
第2に、代わりの手段の案を1つに絞って示します。複数の案を並べて選ばせると、議論が長引いて結論が出ません。役員会で1つに決め、その理由を添えて提案します。決める立場の人が選択肢を並べるのではなく、決めた結果を示すほうが話が進みます。
第3に、参加しない人への扱いを一緒に示します。ここを示さないと、必ず質問が出て議論が止まります。「端末を持たない会員には掲示と紙で伝える」「操作を手伝う会を行事のあとに開く」という2行があれば十分です。
第4に、期日を決めます。いつから新しい手段に切り替え、いつまで従来の手段を並行させ、いつ紙を回収するか。3つの日付を決めて議事録に残します。
議事録に残すことには、もうひとつ意味があります。次の役員が「なぜ連絡網がないのか」と聞かれたときに、根拠を示せることです。廃止の経緯が残っていないと、数年後に誰かが善意で連絡網を復活させることがあります。廃止の理由を1行でも残しておけば、それを防げます。連絡や予定、出欠の扱いについてよく寄せられる疑問はよくある質問にまとめてありますので、議題の準備に使ってください。
Q1. 連絡網を廃止すると、災害のときに連絡が取れなくなりませんか?
普段の連絡と緊急の連絡を分けて設計すれば問題になりません。緊急のときは電話も通信も落ちる可能性があるため、連絡網があっても確実ではありません。普段使っている連絡の手段、集会所や掲示板への掲示、そして高齢の会員や1人暮らしの会員を誰が訪ねるかという3層を用意しておくほうが実効性が高くなります。
Q2. 配ってしまった紙の連絡網は、全部回収できますか?
全部は戻ってきません。写真を撮られていれば紙を回収しても情報は残ります。現実的な進め方は、回収を呼びかけて期限を決めつつ、戻らないものがある前提で会としての連絡の入口を新しい手段に切り替えることです。入口が変われば古い紙は使われなくなります。いつ廃止を決め、何部戻ったかを議事録に残しておいてください。
Q3. 代わりの手段は何を基準に選べばよいですか?
4つに絞れます。役員から会員へ一方向に流せること、届いたかどうかが分かること、会員同士に連絡先が見えないこと、そして担当が代わっても引き継げることです。全員の連絡先を全員に配る形をやめるのが廃止の目的なので、代わりの手段で連絡先が見えてしまうなら意味がありません。ログインする場所が1つで済むかも確かめてください。
Q4. スマートフォンを持たない会員がいる場合はどうしますか?
手段を複数持ってかまいません。端末を持たない人、操作に不安がある人、参加したくない人の3つに分けて人数を数え、それぞれの扱いを決めます。実際に紙が必要な人は少数で、操作に不安がある人のほうが多い傾向があります。総会や行事のあとに15分ほど時間を取り、その場で設定を手伝う会を開く団体が増えています。
