生徒募集のチラシを作る段になると、たいていデザインの話から始まる。ところが結果を分けるのは、絵の良さではなく3つの判断である。どこに配るか、何を載せるか、問い合わせをどう受けるか。この記事では、生徒募集のチラシを作る手順をこの3つの順に並べ、無料のテンプレートの使い方、書いてはいけない表示、配ったあとに反応を数える仕組みまでを整理する。教室や道場、少年団のように、続けることが前提の立場で読めるようにしてある。
チラシが効く場面と、効きにくい場面
先に、この手段が向いている場面を分けておく。向いていない場面に労力をかけても、返ってこない。
チラシが効くのは、通う場所が決まっている習い事である。ピアノ、書道、そろばん、学習塾、空手、体操、英語。生徒は自宅から通える範囲で探すため、配る範囲と教室の場所が重なっていれば届く。逆に、場所を選ばない形のものは、検索で探される。紙を配る意味が薄い。
もう1つ効くのは、始める時期が決まっているものである。学年が変わる時期、長期の休みの前、発表会や大会の後。この時期に合わせて配ると、ちょうど探している人に当たる。年間のどこでもいい手習いより、始める理由がある時期のほうが反応が出る。
効きにくいのは、月謝が高く、決めるまでに時間がかかるものである。紙を見た瞬間には決められないので、問い合わせまで間が空く。この場合は、1回で決めさせようとせず、体験に来てもらうことだけを目的にする。
そして、すでに定員に近い教室では配らない。問い合わせを受けて断ることになり、その人は次に別のところを探す。空いている枠の数を先に数えてから、配る枚数を決める。
載せる内容を、7つに絞る
紙は1枚である。載せられる量は限られている。入れる順に並べる。
1つめは、誰のための教室かである。対象の年齢や学年を最初に書く。小学生向けなのか大人も通えるのかが分からない紙は、読み進めてもらえない。
2つめは、場所である。住所より先に、最寄りの目印を書く。読む人は自分の生活の範囲かどうかを、地名か建物の名前で判断する。駐車場があるかどうかも、車で送る家庭には重い情報である。
3つめは、日時である。曜日と時間帯を書く。ここが自分の予定と合わなければ、他の情報を読む必要がない。複数のクラスがあるなら、表にして並べる。
4つめは、月謝と初期の費用である。書かない紙が多いが、書いたほうが問い合わせの質が上がる。金額を隠すと、金額を聞くだけの問い合わせが増え、対応の時間が消える。月額いくらか、入会のときに別に要るものがあるかを明記する。
5つめは、体験の案内である。いつ来られるのか、予約が必要か、持ち物があるか。ここを具体的に書くほど、次の一歩が踏みやすくなる。
6つめは、指導する人である。名前と、どういう経歴でどれくらい続けているか。長く続いていることが分かる情報は、子どもを預ける判断で効く。
7つめは、連絡先である。ここは次の節で詳しく扱う。紙の下のほうに小さく書かれていることが多いが、決める側から見れば最も重要な項目である。
逆に、載せなくてよいものもある。教室の理念を長く書いた文章、指導の方針の詳しい説明、他の教室との違いの主張。これらは紙では読まれない。体験に来た人に話すか、紙とは別に渡すものにまとめる。
連絡先は、受ける側の都合で決める
いちばん軽く扱われて、いちばん結果を左右するのがここである。問い合わせの入口をどう作るかで、取りこぼす数が変わる。
電話番号だけを載せる形は、取りこぼしが出る。日中に授業をしていれば出られない。留守番電話に残す人は少ない。子育て中の親が電話をかけられる時間は限られている。それでも電話は要る。年配の方や、急いでいる人はかけてくる。
だから、複数の入口を並べる。電話、文字で送れる手段、そして書き込む形の3つである。相手に合わせて選べるようにしておく。
文字で送れる手段は、すでに相手の端末に入っているものが強い。二次元コードを紙に載せて、読み取って送ってもらう形にする。文字のやりとりなら、授業の合間に返事を書ける。時間の指定も文字のほうが行き違いが少ない。
ただし、個人のアカウントをそのまま使うのは避ける。教室の連絡と個人のやりとりが同じ場所に混ざると、返事の漏れが起きる。教室として使うアカウントを分けておく。
書き込む形は、聞きたいことを先に揃えられる点が強い。名前、学年、希望の曜日、体験の希望日。この4つを埋めてもらえば、1往復で予定が決まる。文字のやりとりだけだと、この4つを聞くために何度も往復する。
そして、返事をいつ返すかを紙に書く。2日以内に返します、と書いてあるだけで、待っている側の不安が減る。返せない日があるなら、休みの曜日を書いておく。
問い合わせを受けたあとに何が起きるかも、1行で書いておく。日程を決めて、当日は動きやすい服装で来てもらう。この程度でよい。次に何が起きるか分からない連絡は、送るのに勇気が要る。
書いてはいけない表示を、先に確かめる
生徒募集の紙には、書き方の決まりが関わる場合がある。知らずに書くと、あとで直すことになる。
消費者庁が公開している特定商取引法の案内では、長期で継続する役務の提供と、それに対する高額の対価を約する取引が特定継続的役務提供として整理されている。現在指定されているのは7つの役務で、エステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、結婚相手紹介サービス、パソコン教室が挙げられている。
金額と期間の条件も示されている。語学教室、家庭教師、学習塾、パソコン教室は、期間が2月を超えるもので、金額はいずれも5万円を超えるものが対象とされている。入学金、受講料、教材費、関連商品の販売など、契約金の総額が5万円を超えていると対象になると注記されている。
この枠に入る場合、広告についての決まりが直接効いてくる。同じ案内では、誇大広告や著しく事実と相違する内容の広告による消費者トラブルを未然に防止するために、役務の内容などについて著しく事実に相違する表示や、実際のものよりも著しく優良であり若しくは有利であると人を誤認させるような表示を禁止していると説明されている。
紙に書きがちな表現で言えば、必ず成績が上がる、全員が合格している、どこよりも安い、といった書き方は危ない。実際の数字があるなら、その数字を範囲で正確に書く。根拠を示せない断定は書かない。
書面の交付についても決まりがある。契約の締結前には契約の概要を記載した概要書面を渡し、締結後には遅滞なく契約内容について明らかにした契約書面を渡さなければならないとされている。書面の字と数字は8ポイント以上であることが必要とされ、消費者に対する注意事項として書面をよく読むべきことを赤枠の中に赤字で記載しなければならないとも書かれている。
契約を解除できる決まりも示されている。法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内であれば、書面または電磁的記録により契約を解除できるとされている。紙に月謝だけを書いて、解約の条件をどこにも示していない教室は、問い合わせのあとで説明に手間がかかる。
自分の教室が対象に入るかを確かめる
7つの役務の名前だけを見て判断すると、誤りやすい。定義が細かく決められている。
学習塾については、学校の入学試験に備えるため、または学校教育の補習のための学力の教授で、事業者の事業所その他の事業者が用意する場所において提供されるものと定義されている。学校からは幼稚園と大学が除かれている。さらに注記として、家庭教師と学習塾には幼稚園または小学校に入学するためのいわゆるお受験の対策は含まれないとされ、学習塾には浪人生のみを対象にした役務は対象にならないとも書かれている。高校生と浪人生が両方含まれるコースは全体として対象になるとされている。
家庭教師については、いわゆる学習塾以外の場所において提供されるものに限ると定義されている。同じ学力の教授でも、どこで提供するかで扱いが分かれる。
語学教室については、語学の教授とされ、入学試験に備えるためや大学以外の学校における教育の補習のための学力の教授に該当するものは除かれている。英会話の教室と、英語の受験対策の塾では、どちらの枠に入るかが変わる。
ここから分かるのは、音楽教室、書道、そろばん、体操、武道といった教室は、指定されている7つの役務の中に名前が挙がっていないという点である。ただし、指導の内容が学力の教授に当たる形を含んでいれば話が変わる可能性がある。自分の教室がどちらなのか判断が付かないときは、紙を刷る前に確かめておくほうが安全である。
適用の除外についても示されている。営業のため、または営業として締結するもの、国や地方公共団体が行う役務の提供などの場合には法律が適用されないとされている。自治体の公民館の講座と、個人が開いている教室では、そもそも枠が違う。
どの枠に入るにしても、根拠のない断定を書かないという方針は共通である。書ける事実だけを並べ、判断は読む人に任せる。この形にしておけば、枠の判断を誤っても紙を作り直す事態にはならない。
無料のテンプレートを使う手順
紙のデザインを自分で組む必要はない。印刷を扱う事業者が、用途ごとの様式を無料で配っている。
印刷通販の事業者は、生徒の募集をテーマにしたものを次のように案内している。
「生徒・会員募集」がテーマのチラシ・フライヤー作成に使える無料テンプレート・デザインサンプルです。写真や文字を入れるだけで本格的なチラシが作成できます。テンプレート編集は無料。そのまま印刷注文が可能です。 出典: graphic.jp
編集が無料で、そのまま印刷の注文まで進める形になっている。自分で組むより早く、印刷に出したときに欄が切れる事故も起きにくい。
使うときの手順は4つである。1つめは、様式を選ぶ前に載せる文章を全部書いておくことである。様式に合わせて文章を削ると、いちばん大事な項目が落ちる。先に文章を決めて、それが収まる様式を選ぶ。
2つめは、写真を1枚だけ用意することである。教室の中の様子か、指導している場面がよい。人が写っている写真は効くが、生徒が写るなら同意を取る手順が必要になる。撮影の場で先に伝えておく形にしている教室が多い。
3つめは、文字の量を削ることである。様式に入る量より、実際に読まれる量のほうが少ない。余白を埋めようとせず、空けておく。
4つめは、刷る前に1枚だけ印刷して人に見せることである。教室に通っていない人に見せて、日時と場所と月謝がすぐ見つかるかを確かめる。作った本人には、どこに何を書いたか分かっているので気づけない。
二次元コードを載せるときは、実際に読み取って確かめる。印刷したものが読み取れないことは実際に起きる。小さすぎる、色が薄い、折り目に重なっている。この3つが原因になる。
写真の使い方と、同意の取り方
紙に写真を1枚入れると、読まれる割合が変わる。ただし、人が写る写真には手順が要る。
いちばん強いのは、指導している場面の写真である。教室の空間だけを撮ったものより、人が動いている写真のほうが様子が伝わる。ただし、生徒の顔が分かる写真を配布物に使うなら、本人と保護者の同意が必要になる。子どもの写真の扱いについては、撮影の場で先に伝えておくか、入会の案内に一文添えておくか、どちらかの形で同意を取る手順を決めている教室が多い。法律の解釈を自分だけで決めるのではなく、同意を取る手順を決めることが実務になる。
顔を出さない撮り方もある。後ろから撮る、手元だけを撮る、作品や道具を撮る。書道なら書いた字、そろばんなら盤と手、体操なら跳んでいる瞬間の後ろ姿。これだけでも、何をする場所かは伝わる。
指導する人の写真は、本人の判断で入れられるので迷いが少ない。顔が出ている紙は、預ける側の不安を下げる。1枚だけ、笑っていない自然な表情のものを入れる形が落ち着く。
撮る時期も考えておく。発表会や大会の日はよい写真が撮れるが、その日は運営で手いっぱいになる。撮る人を1人決めておくか、普段の練習の日に時間を取って撮るほうが確実である。
使った写真は、どこで撮ったものかと同意を取った日を記録しておく。紙を作り直すときに同じ写真を使えるかどうかの判断が付く。記録がないと、毎回撮り直すか、使うかどうかで迷うことになる。
そして、写真の保存先を決める。撮った人の端末の中だけにあると、次に紙を作るときに探せない。行事のあとに、使える写真だけを選んで保存する作業を入れておくとよい。教室の記録として残しておけば、案内の紙にも、通っている家庭への共有にも使える。
印刷の枚数とサイズを決める
刷ってしまってから余ると、無駄になる。決め方を示す。
サイズはA4かB5が基本である。手渡しや掲示ならA4、新聞に折り込むなら少し小さいものが扱いやすい。両面にするか片面にするかは、載せる情報の量で決まる。前の節の7項目だけなら、片面で足りる。
枚数は、配る方法から逆算する。反応の率は方法と地域で大きく変わるので、最初は少なく刷って試すほうがよい。1回目は数百枚で試し、反応があった配り方に次の予算を寄せる。最初に数千枚を刷って全部同じ方法で配ると、その方法が合わなかったときに手元に紙だけが残る。
紙の質も、用途で変える。ポストに入れる紙は、薄くても構わない。掲示する紙は、色が抜けにくいものを選ぶ。手渡しする紙は、持ち帰ってもらうのである程度の厚みがあるほうがよい。
納期は、配る時期から逆算する。学年の変わる時期に合わせるなら、その1か月前に配り終えたい。印刷に出す日は、そこからさらに2週間前に置く。時期を逃すと、同じ紙でも反応が落ちる。
費用は、枚数とサイズと納期の組み合わせで変わる。急ぐと上がり、枚数が増えると1枚あたりは下がる。事業者の画面で条件を入れると見積りが出る形になっているので、刷る枚数を決める前に2つか3つの条件で比べておく。
余った紙の使い道も先に決めておく。教室の入口に置く、体験に来た人に渡す、次の時期にもう一度配る。日付を刷り込んでしまうと使い回せないので、時期を示すなら曜日と時間だけにしておくとよい。
月謝や時間帯が変わる見込みがあるなら、そこだけを別の紙に分ける形もある。案内の本体は刷り置きし、変わる部分は手元の印刷機で刷った小さな紙を添える。毎年全部を刷り直すより費用が抑えられる。
配る場所は、教室から近い順に決める
同じ紙でも、配る場所で結果が変わる。判断の順を示す。
いちばん反応が出るのは、教室から歩いて通える範囲である。子どもが自分で通える距離かどうかは、家庭にとって大きい。この範囲を地図で囲み、その中に何世帯あるかを数える。数えた数が、最初に刷る枚数の目安になる。
配る方法は4つある。1つめはポストに直接入れる形である。範囲を自分で決められるので、教室の近くに絞れる。事業者に頼む形と、自分で歩く形がある。自分で歩くと、地域の様子が分かるという副産物がある。
2つめは新聞に折り込む形である。配る範囲を販売店の区域で指定する。新聞を取っている世帯にしか届かないので、対象の年齢層によって向き不向きがある。印刷の事業者がこの手配まで扱っている場合もあるので、刷るときに一緒に相談できる。
3つめは掲示である。公民館、児童館、スーパー、地域の掲示板。許可が要る場所と要らない場所があるので、先に尋ねる。町内会の掲示板は、会に相談すると貼らせてもらえることがある。掲示は費用がかからず、長く置いてもらえる点が強い。
4つめは手渡しである。発表会や地域の行事の場で渡す。すでに関心のある人に届くので、反応の率はいちばん高い。ただし枚数は伸びない。
どの方法でも、配った範囲と日付を記録する。記録がないと、次に配るときに同じ場所に重ねて配ることになる。同じ家に3回続けて入ると、印象が悪くなる。
地域の行事と組み合わせる形も検討したい。夏祭りや運動会のような場は、対象の年齢の子どもが集まっている。町内会や自治会と関わりがあるなら、そこで配らせてもらう相談ができる。地域の会の連絡がどう回っているかは町内会での使われかたに整理してあるので、誰に相談すればよいかの見当が付く。学校の配布物に入れられるかは学校の判断になるので、先に尋ねる。学校側の連絡の形は学校での使われかたにまとめてある。
反応を数える仕組みを、配る前に作る
配ったあとに、効いたかどうかが分からない教室が多い。原因は、数える準備をしていないことである。
最低限、3つを数える。配った枚数、問い合わせの件数、体験に来た人数である。この3つを配り方ごとに記録する。ポストに入れた分と掲示した分を分けて数えれば、次にどこへ寄せるかが決まる。
数え方は簡単でよい。問い合わせを受けたときに、どこで見たかを1つ聞く。紙を見た、掲示を見た、紹介された、検索した。これだけで配り方の評価ができる。聞き忘れるので、聞く項目を書いた紙を電話の横に置いておく。
紙の側にも工夫を入れられる。配る方法ごとに、紙の隅に小さく記号を入れておく。問い合わせのときに持っている紙の記号を尋ねれば、どこで配ったものかが分かる。書き込む形の問い合わせなら、方法ごとに別の入口を作る形もある。
そして、数えた結果を残す場所を決める。手帳の中や記憶に留めると、次の年に比べられない。年ごとに保存する場所を決めておけば、去年と同じ時期の数字を見られる。教室を続けていくうえで、この積み重ねが判断の速さを作る。
数字が出たら、判断は単純になる。反応があった方法に次の予算を寄せ、反応がなかった方法をやめる。全部を同じように続けると、効いていない分の費用が毎年出続ける。
よく起きる失敗と、その直し方
同じ失敗が繰り返されている。先に知っておけば避けられる。
1つめは、月謝を書かないことである。問い合わせが増えるように見えて、実際には金額を聞くだけの連絡が増える。対応の時間が消え、しかも決まらない。書くほうが、来る人の質が上がる。
2つめは、連絡先が電話だけであることである。日中に授業をしていれば出られない。文字で送れる入口を必ず1つ並べる。
3つめは、対象を広く書きすぎることである。どなたでも歓迎という書き方は、誰にも自分のことだと思われない。小学3年生から6年生まで、と絞ったほうが届く。
4つめは、時期を外すことである。学年が変わる時期を過ぎてから配ると、同じ紙でも反応が落ちる。配る日を先に決めて、そこから逆算して刷る。
5つめは、1回で判断してしまうことである。1回配って問い合わせがゼロだと、チラシは効かないと結論を出しがちである。配る場所と時期を変えて2回か3回試してから判断する。
6つめは、問い合わせを受けたあとの流れを決めていないことである。体験の日程を決めるまでに何往復もすると、その間に別の教室に決まる。聞く項目を先に揃えて、1往復で決まる形を作っておく。
7つめは、配った記録を残さないことである。どこに何枚配ったかが分からないと、次の年に同じ判断を最初からやり直すことになる。地図に線を引いて日付を書き込むだけでよい。この1枚があると、2年目から配る場所の精度が上がる。
問い合わせが来てからの流れを、先に作っておく
紙を配る仕事は、問い合わせが来た時点で半分終わっている。残りの半分のほうが、実は取りこぼしが多い。
まず、返事の型を作る。体験の候補日を2つか3つ添えて返す形にしておく。日程の相談を白紙で始めると、往復が増える。先に候補を出せば、選んで返してもらうだけで決まる。
次に、体験の当日までに1回連絡する。前日に、時間と場所と持ち物を1行で送る。これだけで、来ない人の数が減る。
3つめに、体験のあとの連絡を決める。その場で入会を求めない形にしておく。家で相談する時間が必要な家庭が多い。数日後に一度だけ、疑問がないかを尋ねる連絡を入れる。この1回を送るかどうかで、決まる割合が変わる。
4つめに、入会したあとの連絡の手段を先に用意する。休講の連絡、発表会の案内、月謝の案内。これが毎回個別のやりとりになると、生徒が増えるほど手が回らなくなる。まとめて届ける手段を先に持っておく。
個別のやりとりで全部を回している教室は、生徒が20人を超えるあたりで詰まる。同じ連絡を20回書くことになるからである。すでに保護者の端末に入っている手段で一斉に届ける形と、その限界がどこにあるかはLINEグループとの比較に整理してある。連絡先を互いに知らせずに参加してもらう形の癖はLINEオープンチャットとの比較で確かめられる。予定と出欠と連絡を1つに寄せた形はBANDとの比較で仕様ごとに比べられる。
集めたあとに続く形を、先に決めておく
生徒を集めることと、続けてもらうことは別の仕事である。ただ、後者の準備は集める前にできる。
問い合わせの記録を1か所にまとめる。誰が、いつ、どこで見て、どの日に体験に来て、入会したかどうか。この5項目を並べた表があれば、翌年の判断に使える。紙の束と記憶に散らばっていると、去年と比べられない。
連絡の手段を、体験の段階から同じものにする。問い合わせは文字のやりとりで、入会したら別の手段に移る形にすると、移る段でつまずく人が出る。最初から同じ場所で続けられるほうが、脱落が少ない。
休んだ生徒への共有の形も、先に決める。教室では毎週、休んだ人に同じ説明を繰り返す作業が発生する。その週にやったことを1つの場所に書いておけば、欠席した人が自分で確かめられる。この積み重ねが、月謝を払い続けてもらえる理由になる。教室や道場での回し方は教室での使われかたにまとめてある。大人が集まる形の教室なら、会員の出入りが多い場での回し方をまとめたサークルでの使われかたも参考になる。
そして、メンバー以外は見られない場所に連絡と予定と記録をまとめておくと、生徒が増えても手順が変わらない。個別のやりとりを積み上げる形は、人数が増えたところで必ず破れる。費用や人数の条件のように最初に確かめたくなる点はよくある質問に集めてある。
判断の順番をまとめると3つになる。まず、いま空いている枠が何人分あるかを数える。次に、教室から歩いて通える範囲に何世帯あるかを数える。最後に、問い合わせを受けたあと何往復で体験の日が決まるかを数える。この3つの数字が出れば、刷る枚数と配る場所と直すべき場所が決まる。デザインから始めると、たいてい遠回りになる。
Q1. 生徒募集のチラシに月謝は書くべきですか?
書いたほうがよいです。書かないと金額を聞くだけの問い合わせが増え、対応の時間がかかるうえに決まりません。月額いくらか、入会のときに別に必要なものがあるかを明記します。金額が分かった状態で連絡してくる人は、そのまま体験に進む割合が高くなります。
Q2. 無料のテンプレートは使えますか?
印刷通販の事業者が、生徒や会員の募集をテーマにした無料のテンプレートを配っています。編集は無料で、そのまま印刷の注文まで進める形になっていると案内されています。様式を選ぶ前に載せる文章を全部書いておくと、大事な項目が削られずに収まります。
Q3. 「必ず成績が上がる」と書いてもよいですか?
消費者庁の案内では、特定継続的役務提供について、著しく事実に相違する表示や、実際のものよりも著しく優良であり若しくは有利であると人を誤認させるような表示を禁止していると説明されています。学習塾や語学教室が対象に入る場合があるため、根拠を示せない断定は書かないほうが安全です。
Q4. 最初に何枚刷ればよいですか?
教室から歩いて通える範囲を地図で囲み、その中の世帯数を数えた数が目安になります。反応の率は配る方法と地域で大きく変わるので、1回目は数百枚で試し、反応があった方法に次の予算を寄せます。最初に数千枚を同じ方法で配ると、合わなかったときに紙だけが残ります。
