文字起こしアプリを無料で使いたいと思って検索すると、10本以上を並べた紹介記事が出てきます。ところが実際に入れてみると、1回3分で止まる、毎日の枠を使い切る、そもそも案内されていたサービスが終わっている、といったことが起きます。無料で使える範囲は「1か月の合計時間」と「1回あたりの長さ」の2つで区切られていて、ここを分けて確かめないと選べません。各社の公式ページに書かれている今日時点の条件を並べ、長い録音でも止まらないものの見分け方まで整理します。
無料のアプリが増えた背景と、いま起きている入れ替わり
文字起こしのアプリがこれだけ増えたのは、音声を文字にする中核の部分を各社が広く提供するようになったためです。認識の仕組みを自分で作らなくても、その上に画面と保存の仕組みを載せればサービスとして成り立ちます。参入が増えた結果、無料の枠を用意して使い始めてもらう形が標準になりました。
ここで注意が要るのは、入れ替わりの速さです。無料の枠は各社の判断で変わり、サービスそのものが終わることもあります。アプリを紹介している記事の多くは公開された時点では正確でも、条件が動いたあとまで追いかけているものは少数です。
その例として、無料の枠が大きいアプリとして長く紹介されてきたサービスがあります。紹介記事では次のように説明されていました。
CLOVA NoteはAIを活用した音声認識アプリです。提供はLINEのAIテクノロジーブランドである「LINE CLOVA」で、現在β版が提供されています。LINEアカウントがあれば月300時間までは無料で使用でき、ユーザーデータの取得に同意すると月600時間まで利用枠を拡大できます。 出典: pfu.ricoh.com
書かれた時点では正しい内容です。ただし公式サイトでは、このサービスのβ版が2025年7月31日をもって終了したことが案内されており、後継として正式版のサービスを利用する形に変わっています。後継のサービスにも無料のプランはありますが、無料で使える文字起こしの時間は月300分で、かつての月300時間とは桁が2つ違います。
この1件が示しているのは、無料のアプリを選ぶときは紹介記事の数字をそのまま信じないほうがよいということです。提供元の料金のページを開いて、今日の数字を自分の目で確かめる。この一手間を省くと、会の予算を組んだあとで前提が崩れます。とりまとめる立場で道具を決めるなら、確かめる先を公式のページに固定しておきます。
無料の枠は三つの軸で比べる
無料という言葉が示す範囲は各社で違います。比べるときに見る軸は三つで足ります。
一つ目は、期間あたりの合計時間です。月あたりで区切るものと、1日あたりで区切るものがあります。月120分と毎日10分は、月の合計ではほぼ同じですが、使い方がまったく違います。月の枠なら1回の会議に集中して使えますが、日の枠は毎日少しずつしか使えません。毎月1回の総会を文字にしたい会と、毎週の短い連絡を文字にしたい会では、選ぶものが逆になります。
二つ目は、1回あたりの長さです。ここが無料の枠のいちばんの関門になります。合計時間に余裕があっても、1回の上限が3分なら、60分の会議の録音はそのまま扱えません。紹介記事では合計時間だけが目立つように書かれていることが多く、1回の上限は表の下の方に小さく書かれています。合計と1回を必ず並べて見ます。
三つ目は、預けた音声が学習に使われるかどうかです。無料のプランでは学習に使う扱いで、有料のプランでは使わない扱いに分かれているサービスがあります。会議の録音には会員の名前や家庭の事情が入るため、会として使う道具を決めるときは、料金より先にここを確かめる必要があります。役員会で説明を求められたときに、公式のページに書かれている内容を答えられる状態にしておきます。
この三つに加えて、確かめておくと後で楽になる点が二つあります。データが何日で消えるかと、書き出せる形式です。無料の枠では一定の期間で自動的に削除されるものがあり、消える前に別の場所へ保存する手順を決めておく必要があります。書き出しは、文字としてコピーできるか、テキストのファイルとして取り出せるか、字幕の形式に対応しているかを見ます。取り出せない形に文字が溜まると、道具を替えるときに過去が持ち出せません。
主なアプリの無料枠を並べて見る
実際の数字を並べます。どれも各社の公式ページに書かれている条件です。
Nottaのフリープランは、クレジットカードの登録が不要で、文字起こしの時間が月120分までです。ただし1回につき3分までという上限があり、ファイルの取り込みは月50個まで、AI要約は月10回までです。話し手を区別する機能は無料の範囲に含まれます。1回3分という区切りがあるため、会議をそのまま流し込む用途には向きません。短い連絡の記録や、精度を確かめるための試用に向いた枠です。
文字起こしさんは1日単位の区切りです。登録しない状態では最初の3分まで、無料の会員登録をすると毎日10分まで使え、1ファイルでも10分までです。画像からの文字起こしは無料登録後に毎日10枚までです。毎日リセットされる形なので、短い記録を日々作る使い方に向きます。音声と動画のほか画像とPDFにも対応し、条件に合うファイルであれば最大1GB・5時間までの取り込みに対応しています。長い録音を扱えるかどうかは、契約するプランで決まる形です。
LINE WORKS AiNoteのフリープランは無料で、共有の文字起こし時間が月300分、利用できる人数が最大30人、1回あたりの文字起こしは60分までです。データの保管期間は1年で、無料のプランはデータを学習に利用する扱いになっています。AI要約とWeb会議の録音は無料のプランでは使えません。1回60分まで使えるのは、ここまで挙げたなかでは長いほうで、月1回の役員会を文字にする用途には収まります。人数を最大30人まで登録できる点も、会で使うことを考えると扱いやすい条件です。
UDトークは、公式サイトで商用でも無料で使えるアプリと案内されています。配布されているのはiOSとAndroid向けで、導入の実績として1000団体以上の団体と150以上の教育機関が挙げられ、累計の配布数は100万を超えています。法人向けのプランも用意されていますが、団体で使う範囲であれば費用をかけずに始められる形です。話したことをその場で文字にして見せる使い方に向いており、耳の聞こえにくい参加者がいる集まりで選ばれています。
四つを並べると、性格の違いが見えてきます。1回の長さで選ぶならAiNoteのフリープラン、毎日少しずつ使うなら文字起こしさん、話し手の区別が要るならNotta、その場で見せるならUDトーク。会がどの場面で使うかを先に決めておけば、この並びから1つに絞れます。
端末に入っているアプリで足りる場合
新しいアプリを入れる前に、手元の端末の機能を確かめる価値があります。追加の費用がかからないうえ、会員登録が増えないという利点が大きいためです。年配の役員がいる会では、新しいIDとパスワードを増やさないことが最初の関門になります。
iPhoneのボイスメモには文字起こしが組み込まれています。Appleのユーザガイドには、オーディオの文字起こしがiPhone 12以降の日本語を含む言語で利用でき、一部の国や地域では利用できないと書かれています。録音している最中に波形の上部から上にスワイプすると、文字起こしの状況をその場で確認できます。録音のあとは、文字起こしの一部を選んでコピーすることも、全文をまとめてコピーすることもできます。タイトルや文字起こしに含まれる語で録音を検索でき、文字の中の語句を選ぶとその位置から再生が始まります。iOS 17以前で録音したデータを開いた場合も、発話が含まれていれば自動で文字起こしが行われます。
月ごとの上限という考え方がないのが、端末の機能の強みです。長い会議を毎月記録する会で費用をかけたくない場合、ここが現実的な答えになります。1時間半の総会を毎月2回記録しても、枠を気にする必要がありません。
弱点は二つあります。一つは、共有の手数です。文字を他の役員に渡すにはコピーや書き出しの操作が挟まります。もう一つは、要約がないことです。全文の文字が出るだけなので、そこから3行にまとめる作業は人が行います。この二つが必要ないなら、端末の機能だけで十分に回ります。
もう一つの選択肢が、すでに契約しているソフトの機能を使う形です。会の事務で有料のオフィスのソフトを契約しているなら、文書作成のソフトに文字起こしの機能が付いていることがあります。増えるものが何もないので、稟議も引き継ぎも要りません。新しいサービスを探す前に、いま払っているものの中身を一度確かめておくと、無駄な契約を避けられます。
長い録音で止まらないものの見分け方
集まりの記録でいちばん困るのが、長い録音です。総会は1時間半、行事の打ち合わせは1時間。無料の枠の多くは、この長さを想定していません。
見分け方は単純で、料金の表の「1回あたり」の行だけを見ます。ここが60分以上あれば、1本の録音をそのまま扱えます。3分や10分なら、録音を分ける作業が毎回付いてきます。合計時間の数字が大きいことに目を奪われて、1回の上限を見落とすのがよくある失敗です。
1回の上限が短いものを使う場合、録音の側で分けます。会議の最中に議題が切り替わったところで録音を止め、次の議題から新しい録音を始める。この形にしておくと、無料の枠の中で順番に処理できるうえ、あとから探すときにも議題ごとに分かれていて役に立ちます。会議の終わりに1本の長い録音を分割する作業をするより、録りながら分けるほうが手間がかかりません。
司会と記録の担当が別なら、議題の切り替わりで合図を決めておきます。司会が「次の議題に移ります」と言った時点で録音を切る、という決まりにすれば、記録の担当が判断に迷いません。合図を決めていないと、切る場所が発言の途中になり、前後がつながらない記録になります。
もう一つの手が、容量の側の上限を確かめることです。時間の上限とは別に、1ファイルあたりの容量の上限があります。長い録音は容量も大きくなるため、時間は足りていても容量で弾かれることがあります。録音の音質の設定を標準に戻すと、容量はかなり小さくなります。会議の記録であれば、高い音質の設定は要りません。
有料のプランに移る場合も、1回あたりの長さで選びます。Nottaのプレミアムプランは1回につき5時間までで、月の合計は1,800分です。文字起こしさんは、月額1,100円(税込)のベーシックが1ファイル最大90分、月額2,200円(税込)のバリューが最大3時間、月額3,300円(税込)のプレミアムが最大5時間です。AiNoteのソロプランは1回180分までで、共有の文字起こし時間は月600分です。総会を1本で扱うなら、どのプランでも足ります。
無料のまま使い続けるための工夫
有料に移らずに回している会もあります。工夫の型は三つです。
一つ目は、使い分けです。毎回の短い連絡の記録は毎日の枠があるものを使い、年に数回の長い記録は端末の機能を使う。無料のものを2つ併用すると、片方の上限に当たりません。両方に会員登録が要るという負担はありますが、記録を作るのはとりまとめる人の端末1台なので、会員に手間は及びません。
二つ目は、文字にする範囲を絞ることです。1時間半の総会を全部文字にする必要があるかを考え直します。決議に関わる部分と、質疑の部分だけを文字にすれば、20分前後で足ります。残りの部分は録音のまま保存しておけば、必要になったときに聞き返せます。全部を文字にするという前提を外すと、無料の枠に収まります。
三つ目は、月の初めに枠を確かめる決まりです。月の枠があるものは、月末に残りが分からなくなります。月の初めに残りの枠を見る手順を作業の手順に入れておくと、締め切り前に枠が尽きる事故が起きません。日の枠のものは翌日に回復するので、この心配がありません。
やめておいたほうがよい工夫が一つあります。複数のアカウントを作って枠を増やすことです。利用の規約に反する場合があるうえ、どのアカウントにどの記録があるか分からなくなり、引き継ぎができなくなります。無料の枠が足りないなら、有料に移るか、扱う量を減らすかのどちらかを選びます。
無料で回す形を続ける場合も、手順を1枚に書き残しておきます。どのアプリを何のために使うか、上限は何か、どこに書き出すか。3行で足ります。書いておかないと、担当が代わった時点でアプリ探しから始まることになります。
有料に移る目安と、契約するときの決まり
無料で始めて、どこで有料に移るかを先に決めておくと、毎回悩まずに済みます。目安は二つの数字を並べるだけで出ます。
一つは、1か月に文字にする合計の長さです。定例の役員会が月1回で1時間半、行事の打ち合わせが月2回で1時間なら、合計は3時間半です。もう一つは、無料の枠に収めるために録音を分けてつなぐ作業の時間です。分ける作業に毎月30分かかっているなら、月額1,100円(税込)を払う判断は簡単に付きます。役員の時間は無料ではありません。
相場も押さえておきます。個人で使う範囲のプランは、月額1,100円から2,000円台に集まっています。文字起こしさんのベーシックは月額1,100円(税込)で音声24時間まで、年払いにすると総額11,000円(税込)で年288時間までです。Nottaのプレミアムは年間で申し込むと月あたり1,185円(税込)、総額14,220円(税込)で、月1,800分まで扱えます。AiNoteのソロプランは年額契約で月あたり1,440円(税別)です。どれも、集まりの会計で判断できる範囲に収まります。
会として契約する場合は、名義を会にします。役員個人の名義にすると、交代のときに引き継げません。会の名義の連絡先で契約し、支払いの記録を会計に残しておきます。月額1,100円のような小さな金額でも、名義が個人だと引き継ぎで必ず止まります。年間の総額で予算表に載せておくと、翌年度の役員が判断できます。
年に数回しか使わない会は、使う月だけ契約する形も取れます。文字起こしさんは最低の契約期間がなく、いつでも解約できると案内されています。総会のある月だけ契約して解約する形なら、年に2回で2,200円(税込)で足ります。解約後も最後の決済から30日間は枠が保持されるので、月末の総会にも間に合います。
枠を少しだけ足したい場合の選択肢もあります。AiNoteでは、追加の文字起こし時間100分とAI要約2回をまとめたオプションが用意されており、毎月追加する年額契約で月あたり360円(税別)、必要な月だけ追加する形で440円(税別)です。上のプランに移るほどではないときに、この形が使えます。
会として使うときに確かめる安全の条件
会議の録音には、会員の名前、家庭の事情、金額が入ります。会として道具を決めるなら、料金より先に確かめる項目があります。
一つ目は、預けた音声が学習に使われるかどうかです。文字起こしさんは、アップロードされたファイルと文字起こしの結果が自社または外部の仕組みの学習に利用されることはないと案内しています。AiNoteは、無料のプランではデータを学習に利用する扱いで、有料のプランでは学習に利用しない扱いと明記されています。同じサービスでもプランによって扱いが違うので、自分が使うプランの行を見ます。
二つ目は、保管される場所です。文字起こしさんは、ファイルと結果を国内の地域のサーバーで保管すると案内しています。通信と保存の両方を暗号化し、ファイルは公開のURLでは取得できず、期限付きの署名されたURLからのみ取得できる仕組みと説明されています。国内で保管されることを求められる場面では、この記載が判断材料になります。
三つ目は、いつ消えるかです。文字起こしさんでは、無料で利用した分のデータは最長30日で自動的に削除され、有料のプランのデータは削除されず履歴から確認できると案内されています。AiNoteのフリープランはデータの保管期間が1年、ソロプランが3年です。無料の枠で作った記録は消える前提で扱い、会に残す分は別の場所へ保存する手順を決めておきます。
四つ目は、説明できる状態にしておくことです。役員会や総会で「録音を外に預けて大丈夫か」と聞かれたときに、どのサービスを使い、どこに保管され、学習に使われないかを答えられるようにします。答えられないと、道具の是非ではなく信用の話になります。公式のページの記載を印刷して議事の資料に添えておくと、この場面で話が早く終わります。
録音してよいかを先に決めておくことも必要です。会議の冒頭で「記録のために録音します」と伝え、議事録に残す。この一手間で、あとから問題になる場面のほとんどを避けられます。個人の情報の扱いについての一般的な考え方は、個人情報保護委員会の案内が参考になります。
三つの型から選ぶと決まる
製品名を並べて比べると決まりません。三つの型に分けて、自分の会に合う型の中で選ぶほうが早く終わります。
一つ目は、端末で完結する型です。iPhoneのボイスメモが当たります。会員登録も月額も要らず、月の上限もありません。役員が代わるときに引き継ぐIDが増えない点が、集まりの運営では大きな利点になります。要約と共有の手数を人が担う前提であれば、これで足ります。
二つ目は、無料の枠があるサービスの型です。Notta、文字起こしさん、AiNoteのフリープランが当たります。要約や話し手の区別といった機能が付き、書き出しの形も選べます。代わりに上限があり、預けた音声の扱いを確かめる必要があります。月に扱う量が上限の内側に収まるなら、費用をかけずに機能を得られます。
三つ目は、その場で見せる型です。UDトークが当たります。話した内容をすぐに文字にして画面に出すので、聞こえにくい参加者がいる集まりで効きます。あとから記録として残す用途より、その場の伝達を助ける用途に向いています。
選ぶときの問いは一つです。要約と話し手の区別が本当に必要かどうかです。必要ないなら一つ目の型で足ります。必要なら二つ目の型を選び、そこで上限と安全の条件を確かめます。機能の多いものから見始めると、使わない機能に払う形になりやすいところです。
試すときに見るのは精度ではありません。精度は録り方でかなり動くので、比べても判断材料になりにくいところです。見るのは手数で、録音を始めるまでに何回タップするか、終わってから文字を取り出すまでに何回タップするか。忙しい月に使われなくなる道具は、たいていここが多いものです。短い打ち合わせで一度試して、本番の総会で初めて使うのは避けます。
話し手を分ける機能が要るかどうか
無料のアプリを比べていると、話し手を自動で区別する機能が目に付きます。会議の記録では便利そうに見える機能ですが、要るかどうかは記録の使い道で決まります。
必要になるのは、誰が言ったかが後で問われる記録です。役員会で意見が割れた議題、会計に関する質疑、外部への対応を決めた場面。こうした記録では、発言者が分からないと議事録として使えません。話し手の区別があると、文字起こしの結果に発言者の並びが付くので、整えるときに迷いません。
必要ないのは、決まったことだけを残す記録です。行事の段取りの確認、連絡事項の読み上げ、練習の予定の共有。誰が言ったかを残す必要がなく、結論だけを3行にまとめれば足ります。この用途のために機能の多いプランを選ぶと、使わない機能に払う形になります。
話し手の区別が付いている場合も、名前は自動では入りません。「話者1」「話者2」のような番号が振られるだけで、その番号が誰かを当てるのは人の作業です。会議の冒頭で出席者が順番に一言ずつ話す時間を作ると、番号と名前の対応が最初の数行で分かります。この一手間を入れるかどうかで、整えるときの時間が変わります。
精度にも条件があります。複数の人が同時に話している部分は、どのアプリでも区別が崩れます。議論が白熱した場面は番号が入り乱れるので、その部分だけは人が聞き返す前提にしておきます。反響のある部屋でも崩れやすくなるため、窓とドアを閉め、端末を話し手の近くに保つだけでも結果が変わります。
無料の枠で話し手の区別を使えるものもあります。Nottaのフリープランには話者識別が含まれています。まずは無料の枠で試し、自分の会の会議で番号が正しく振られるかを確かめてから、有料に移るかを決めるのが無理のない順番です。
文字にしたあとの保存先と、読める範囲を決める
アプリを選んで文字が出るようになったあと、多くの会が同じところでつまずきます。できた文字の保存先が決まっていないことです。役員それぞれの端末に残り、連絡の流れに長文が貼られ、半年後には誰も探せません。手で議事録を作っていた頃と、結果が変わりません。
効くのは、流れる連絡と、残す記録を分けることです。連絡は読んで終わるもの、記録はあとから引くもの、と役割を決めます。手段ごとの性格の違いはLINEグループとの比較で整理しており、話題ごとに場所を分ける形についてはDiscordとの比較にまとめています。会議の記録のように何年も参照するものは、会話の流れとは別の場所に積むほうが、あとで効きます。お知らせと予定と記録を1か所に集める形を検討している会は、BANDとの比較で違いを確かめられます。
読める範囲も先に決めておきます。会議の記録には、参加していない人の話や家庭の事情が入ります。文字になると探せる形で残るため、口頭なら流れていた話が引ける状態になります。メンバー以外は見られない場所に記録を集める形にしておけば、役員が公開範囲の判断に神経を使わずに済みます。共有のサービスのリンクで配ると、そのリンクが会の外に出たときに止められません。
保存先は一か所に決め、ファイル名の形もそろえます。日付と議題だけの短い形にしておくと、並べたときに探せます。年度ごとにまとめておき、前年度までは参照用として分けておくと、量が増えても使えます。保存の期間も決めておきます。総会の議事録は無期限、日常の打ち合わせの記録は1年、といった形です。決めていないと、削除してよいか分からない記録が積み上がります。
集まりの性格によって、向いている形は変わります。回覧と行事の記録が中心の会では町内会での使われかた、学年や学級で読める範囲を分けたい場合はPTAでの使われかた、学級や部の単位で共有する記録が中心なら学校での使われかたに、それぞれ近い形が並んでいます。導入の段取りで迷ったときはよくある質問も判断材料になります。
決める順番を整理します。先に決めるのは保存先と読める範囲、次に配り方、最後に文字起こしのアプリです。この順番で決めると、アプリを入れ替えても記録の保存先は変わらないので、役員が代わっても同じ形が続きます。逆の順番で始めると、アプリを変えるたびに記録の場所が動き、過去が追えなくなります。無料のアプリは今日から試せますが、上限の確かめ方と保存先の決め方こそが、続く会と続かない会を分けています。
Q1. 無料の文字起こしアプリで1時間の録音を扱えますか?
1回あたりの上限を見て判断します。Nottaのフリープランは1回3分、文字起こしさんの無料登録は1ファイル10分までなので、そのままでは扱えません。LINE WORKS AiNoteのフリープランは1回60分まで、月の合計300分までなので1時間の録音を1本で扱えます。iPhoneのボイスメモには月の上限がありません。
Q2. 紹介記事に書かれた無料の枠は信じてよいですか?
提供元の料金のページで今日の数字を確かめてください。無料の枠が大きいアプリとして長く紹介されてきたサービスの一つは、β版が2025年7月31日に終了し、後継の無料プランでは文字起こしの時間が月300分になっています。紹介記事は公開時点では正確でも、条件が変わったあとまで追っているものは少数です。
Q3. 預けた音声が学習に使われるかはどこで分かりますか?
各社の料金のページかセキュリティの案内に書かれています。文字起こしさんは、アップロードしたファイルと結果を学習に利用しないと案内しています。LINE WORKS AiNoteは無料のプランでは学習に利用する扱い、有料のプランでは利用しない扱いと明記されています。同じサービスでもプランで違うため、使うプランの行を見ます。
Q4. 有料に移るなら月額いくらを見ておけばよいですか?
個人で使う範囲のプランは月額1,100円から2,000円台に集まっています。文字起こしさんのベーシックは月額1,100円(税込)で音声24時間まで、年払いは総額11,000円(税込)です。Nottaのプレミアムは年間契約で月あたり1,185円(税込)、総額14,220円(税込)です。契約は会の名義で行い、年間の総額で予算表に載せます。
