金銭出納帳をエクセルで無料で付けたい、という探し方をする人のほとんどが、経理の担当ではありません。町内会の会計、PTAの会計、部活の集金係、教室の月謝の受け取り。1年か2年で回ってくる役を引き受けて、前の人から渡されたノートやファイルを見ながら困っている立場です。この記事では、無料でエクセルの金銭出納帳を用意する道筋、列の作り方、残高が合わなくなったときの直し方、そして年度の終わりに総会へ出すまでの流れを順に並べます。会計の資格がなくても、1年間まわして次の人に渡せる形にすることが目標です。
金銭出納帳が何を記録する帳簿なのか
最初に、何を書く帳簿なのかをはっきりさせます。金銭出納帳は、手元の現金がいくら入っていくら出て、いま残りがいくらなのかを1行ずつ書いていく帳簿です。
現金出納帳とは、日々の現金の入出金を記録・管理するための帳簿で、現金の流れを正確に把握するために不可欠なものです。手書きで管理されることもありますが、エクセルを活用すれば計算ミスを防げるため、効率的に管理できます。 出典: freee.co.jp
大事なのは、記録する対象が現金に限られることです。銀行の口座を通ったお金は、金銭出納帳ではなく預金出納帳に書きます。会費を振り込みで受け取っている会では、この2つを分けて持つほうが確実です。分けずに1つの表に混ぜると、手元の現金と表の残高が永久に合いません。
会の会計で困るのは、現金と口座の行き来です。会費を現金で集めて、まとめて口座に入れる。口座から引き出して、備品を現金で買う。この行き来を記録し忘れると、両方の帳簿が食い違います。現金から口座へ移したときは、金銭出納帳に出金として書き、預金出納帳に入金として書きます。同じ日付で2か所に書くのが決まりです。
もう1つ大事なのが、集計表と帳簿の違いです。総会に出す会計報告は、科目ごとに合計を並べた集計表です。金銭出納帳は、その合計を出す元になる1行ずつの記録です。集計表だけを作っていると、数字を疑われたときに根拠を示せません。帳簿を先に作って、集計表はそこから出す順番にしてください。
無料で金銭出納帳のエクセルを用意する3つの道
費用をかけずにエクセルの金銭出納帳を用意する道は3つあります。おすすめの順番は、いまの会費の規模で変わります。
1つめが、配布されているテンプレートをダウンロードする道です。会計ソフトを出している会社や、ビジネス書式を集めたサイトが、エクセル形式の現金出納帳を無料で配布しています。日付、勘定科目、摘要、入金、出金、残高の列が並んでいて、残高を自動で計算する式も入っています。開いた日から書き始められるのが利点です。
本記事で紹介した現金出納帳のエクセルテンプレートは、下記のリンクより無料でダウンロードできます。自動計算の関数も設定済みのため、ダウンロード後すぐに業務に取り入れられます。基本的な項目を記載していますので、よく使う勘定科目はプルダウンとして設定するなど、ぜひ自由にカスタマイズして、日々の業務にお役立てください。 出典: freee.co.jp
2つめが、エクセルやGoogleスプレッドシートの中にあるテンプレートを使う道です。ソフトの中からテンプレートを選ぶ画面に、家計簿や出納帳の形が用意されています。そのソフトで開いたときに書式が崩れないのが強みです。
3つめが、自分で列を並べて作る道です。必要な列は6つだけで、残高の式も1本です。慣れていれば15分ほどで形になります。自分で作った表は、科目を足したくなったときに自分で直せます。
会費の規模が小さく、月に20件ほどの入出金なら、どの道でも回ります。配布のテンプレートは列が多めに作られていることがあるので、要らない列を削る前提で受け取ってください。
無料のテンプレートを選ぶときに見る4つの点
テンプレートは数が多く、見た目で選ぶと使いにくいものに当たります。開いたら次の4つを確かめてください。
1つめが、残高の列が式になっているかです。式で入っていれば、入金と出金を打つだけで残高が出ます。手で打つ形のテンプレートは、1行ずれた時点で下が全部おかしくなります。式の中身も見て、前の行の残高を参照しているかを確かめてください。
2つめが、勘定科目の列に入力規則が付いているかです。選べる値が並んでいれば、表記のゆれが起きません。「会費」と「会費収入」が混ざった帳簿は、月末に科目ごとに合計を出すときに別のものとして扱われます。付いていなければ、自分で付けてください。会の科目は多くても15種類ほどに収まります。
3つめが、セルが結合されていないかです。見た目を整えるための結合が入っていると、並べ替えも絞り込みもできません。開いたらまず結合を探して、あれば解除してください。
4つめが、シートが月ごとに分かれているかです。1年分を1枚のシートに書く形と、月ごとにシートを分ける形があります。会の会計なら、月ごとに分けて月末の残高を次の月の先頭に繰り越す形が扱いやすくなります。1枚に全部書く形は、年度末に絞り込みで数えるときに向いています。どちらでも構いませんが、途中で変えないでください。
選ぶときに、税理士の監修が付いているかどうかを気にする必要はありません。会の会計で使う金銭出納帳は、列の並びが決まっている単純な帳簿です。監修の有無より、自分が毎月開いて書ける形かどうかで選んでください。
エクセルで金銭出納帳を作る手順
自分で作る場合の手順を並べます。順番を飛ばすと、あとから直すことになります。
最初に、1行目に項目名だけを並べます。日付、勘定科目、摘要、入金、出金、残高。この6つです。1行目にタイトルや会の名前を書かないでください。絞り込みも並べ替えも、そこでつまずきます。タイトルを入れたいなら、別のシートに書くか、ファイル名に入れてください。
次に、2行目に前月からの繰越を書きます。摘要に「前月繰越」、残高に前月末の金額を入れます。入金と出金は空にします。この行がないと、月の途中から見た人が残高の意味を取り違えます。
3行目から、1件を1行で書いていきます。入金と出金は、同じ行に両方書きません。どちらか片方だけです。両方入っている行があると、残高の意味が曖昧になります。
残高の列に式を入れます。3行目の残高は、前の行の残高に同じ行の入金を足し、同じ行の出金を引く形です。この式を下まで写せば、あとは入金と出金を打つだけで残高が出ます。
勘定科目の列に入力規則を入れます。データタブのデータの入力規則から、選べる値を並べます。収入の側は会費、寄付、雑収入。支出の側は消耗品費、通信費、会議費、行事費、慶弔費、雑費。会の実情に合わせて足し引きしてください。
日付の列は日付形式、入金と出金と残高の列は数値形式にします。金額の列に3桁区切りのカンマを付けると、桁の読み間違いが減ります。
最後に、表全体をテーブルにします。行を足したときに式と入力規則が自動で下に伸びるので、毎月の手間が減ります。ここまでで、金銭出納帳としての形は完成します。
残高が合わなくなる3つの原因と直し方
会計の担当がいちばん時間を取られるのが、手元の現金と表の残高が合わない場面です。原因は3つに絞られます。
1つめが、書き忘れです。小さな支出を後回しにして、そのまま忘れる。これがいちばん多い原因です。直し方は、忘れた日付の行を足して書き込むことです。すでに下に行が並んでいても、行を挿入すれば残高の式は下まで自動で計算し直されます。表の最後に足して日付だけ過去にする書き方はやめてください。並べ替えたときに残高がめちゃくちゃになります。
2つめが、現金と口座の行き来を書き忘れることです。口座から引き出したのに金銭出納帳に入金を書いていないと、表の残高より手元の現金が多くなります。現金を口座に入れたのに出金を書いていないと、逆になります。合わない金額が、引き出した金額や入金した金額とぴったり同じなら、これが原因です。
3つめが、立て替えです。担当が自分の財布から払って、あとで会のお金から受け取る。この途中の状態を書いていないと、その期間だけ合いません。立て替えは、払った日に「立替金」として出金を書かず、会のお金から精算した日に出金として書くのが単純です。摘要に立て替えた人と元の日付を書いてください。
合わないときのやり方は決まっています。まず、現金を数えて実際の金額を出します。次に、表の残高と比べて差額を出します。その差額と同じ金額の取引がないかを、当月の領収書の中から探します。だいたいここで見つかります。見つからなければ、前月末の繰越額から数え直してください。
差額が見つかっても、表の残高を手で書き換えてはいけません。原因の行を足すか直すかして、式に計算させます。残高を手で書き換えた帳簿は、次の人が見たときに根拠をたどれなくなります。
月と年度をまたぐときの締め方
金銭出納帳でつまずく場所として、月末と年度末の締めがあります。ここだけは手順を決めておいてください。
エクセルの現金出納帳を使えば、金銭管理の効率はアップします。しかし、月や期が変わる場合や期末に現金出納帳を締める場合では注意が必要です。 出典: freee.co.jp
月末の締めは4つの手順です。1つめが、その月の最後の行の下に「次月繰越」の行を足し、残高をそのまま書くことです。2つめが、実際の現金を数えて、その金額と一致することを確かめることです。3つめが、科目ごとの合計を出すことです。4つめが、翌月のシートの2行目に「前月繰越」として同じ金額を書くことです。
ここで手を抜きやすいのが2つめです。数えずに次の月へ進むと、合わなくなった月がどこだったか分からなくなります。差が出た月を特定できれば、探す範囲が1か月分に絞られます。毎月数えるのは、その月のためではなく、あとで探す範囲を狭めるためです。
年度末の締めは、月末の締めに3つ足します。1つめが、年度の科目ごとの合計を出して会計報告の形に並べることです。2つめが、通帳の写しと領収書をそろえて、帳簿の金額と照合することです。3つめが、会計監査の担当に帳簿と領収書を渡して見てもらうことです。
会則で会計年度と総会の時期が決まっているなら、逆算して締めの日を決めてください。総会の3週間前までに帳簿を閉じておけば、監査と資料作りに時間が取れます。前日に慌てると、合わない差額を探す時間がありません。
年度をまたぐときは、ファイルを新しくします。前年度のファイルはそのまま保存して、開いて書き換えないでください。
会費の入金をどう書き込むか
会の会計に特有の難しさが、会費の入金です。ここが会計担当の手間の大半を占めます。
難しさは3つあります。1つめが、集める期間が長いことです。年会費を4月に集め始めても、全世帯そろうのが7月になる。この間、誰が払って誰が払っていないかを追い続けることになります。2つめが、金額が人によって違うことです。世帯の人数、兄弟の有無、減免。3つめが、集める人が複数いることです。班長や学年委員がまとめて持ってくる形では、いつ誰から受け取ったかを記録する必要があります。
金銭出納帳の中で個人別の入金を追おうとすると、この3つで破綻します。帳簿には「4月分会費 1班 12世帯」のようにまとめて1行で書き、誰が払ったかは別の名簿で追ってください。帳簿は現金の動きの記録で、名簿は誰が払ったかの記録です。役割が違います。
名簿の側は、世帯名の列と、月または期ごとの列を並べた形にします。払った日付を入れるか、印を入れるか。どちらでも構いませんが、金額が人によって違う会なら、金額を入れる形にしてください。あとで帳簿の合計と突き合わせられます。
まとめて持ってきてもらう形では、渡した側の控えを必ず残してください。班長が集めた金額と、会計が受け取った金額が違ったとき、控えがなければどちらの数え間違いか分かりません。受け取った日付と金額と人の名前を書いた紙を2枚作り、1枚を渡してください。
未納の扱いは、会則に書いてあるとおりにします。書いていない場合は、会計が判断せずに役員会に諮ってください。会計の担当が独断で免除すると、翌年の担当が困ります。
エクセルで金銭出納帳を付けるメリット
エクセルで付ける利点は4つあります。ほかのツールを検討する前に、いま持っているもので何ができるかを確かめてください。
1つめが、費用がかからないことです。エクセルが入っているパソコンなら追加の支出はなく、Googleスプレッドシートなら無料のGoogleアカウントだけで足ります。会費で運営する集まりでは、新しい支出を総会にかけずに始められるのが大きな利点です。
2つめが、計算の間違いが減ることです。残高の式を1本入れておけば、足し引きの間違いは起きません。手書きのノートで残高を計算していると、1行間違えた時点で下が全部ずれます。
3つめが、会の事情に合わせられることです。会費の集め方、行事の科目分け、班別の集計。決まった形の会計ソフトでは表せない事情を、列を足すだけで表せます。
4つめが、引き継ぐ相手が開けることです。エクセルのファイルは、開けば中身が全部見えます。特定のサービスに入っているデータと違って、次の担当にアカウントを作らせる必要がありません。役員が1年で代わる会では、この点が効きます。
Googleスプレッドシートを選んだ場合は、さらに2つ増えます。複数の人が同時に開けることと、変更履歴が残ることです。変更履歴には誰がいつどこを直したかが残るので、監査のときに説明できます。名前を付けた版はスプレッドシートで最大15個まで作れるので、月末の締めごとに版の名前を付けておくと、あとで戻せます。
デメリットと注意すべきこと
利点の裏に、はっきりしたデメリットがあります。ここを知らずに使い続けると、年度末に止まります。
1つめが、式が壊れることです。行を挿入したり削除したりするうちに、残高の式が切れます。切れた行から下は計算されません。月末に現金を数える手順を入れておけば、切れた月に気づけます。
2つめが、ファイルが増えることです。「会計_最新」「会計_最新_修正」という名前のファイルが並び始めたら、その帳簿はもう信用できません。ファイルは1つにして、シートで月を分けてください。
3つめが、保存先です。担当のパソコンの中だけにあるファイルは、その人が抜けた時点で消えます。共有できる保存先を先に決めて、ファイル名の付け方も決めてください。会のメールアドレスで作ったオンラインの保存先に保存しておけば、引き継ぎがファイルの受け渡しではなく権限の付け替えで済みます。
4つめが、領収書との対応です。帳簿の行と領収書が1対1でつながっていないと、監査で確かめられません。行に連番を振り、領収書に同じ番号を書いておくのが確実です。
注意点として、帳簿の保存期間も決めてください。法人の帳簿書類については、確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存しなければならないと国税庁が示しています。町内会やPTAのような任意の団体にそのまま当てはまるわけではありませんが、会則で保存期間を決めるときの目安になります。決めていない会では、過去5年分を保存する形が多く見られます。
エクセルとほかのツールを比べる
会計の道具を、とりまとめる立場から比べます。
| 見る点 | エクセルの帳簿 | スプレッドシート | 会計ソフト |
|---|---|---|---|
| 費用 | 無料 | 無料 | 月額の支出が発生 |
| 同時に開けるか | 1人ずつ | 複数で同時に可 | 契約次第 |
| 変更履歴 | 残らない | 残る | 残る |
| 会の事情に合わせる | 自由 | 自由 | 決まった形に寄せる |
| 引き継ぎ | ファイルを渡す | 権限を付け替える | アカウントを渡す |
| 監査への説明 | 印刷して渡す | 画面か印刷 | 出力した帳票 |
この表から読めるのは、会計ソフトが必要になるのは、消費税の申告や決算書の作成が絡む場合に限られるということです。町内会やPTAの会計で扱うのは、現金と口座の出入りの記録と、科目ごとの集計です。ここまでならエクセルとスプレッドシートで足ります。
変更履歴が残るかどうかで選ぶなら、スプレッドシートに寄せてください。会計は、間違いが起きたときに誰がいつ直したかを示せることに価値があります。エクセルのファイルを上書き保存で回すと、その情報が残りません。
勘定科目を会に合う形で決める
金銭出納帳を1年まわせるかどうかは、勘定科目の決め方でほぼ決まります。ここを曖昧にしたまま書き始めると、年度末に科目ごとの合計が出せません。
決め方は2段階です。まず、収入と支出のそれぞれで、去年の記録を見ながら実際にあったものを並べます。次に、似たものをまとめて、数を絞ります。会の規模なら、収入で3つから5つ、支出で8つから12つに収まります。
収入の側でよく使う科目は、会費、寄付金、助成金、行事収入、雑収入です。市や区から補助を受けている会では助成金の科目を分けてください。補助の報告で、その支出だけを抜き出す必要が出ます。
支出の側でよく使う科目は、消耗品費、通信費、印刷費、会議費、行事費、慶弔費、保険料、備品費、雑費です。迷いやすいのが会議費と行事費の線引きです。役員が集まるときの茶菓子は会議費、盆踊りや運動会のような会員向けの催しは行事費、という形で決めて、決めた内容を摘要の書き方とあわせて紙に残してください。次の担当が迷わずに済みます。
雑費は最後の逃げ場です。ここに入る金額が年間の支出の1割を超えたら、科目が足りていません。何が雑費に入ったかを見て、新しい科目を1つ作ってください。総会で雑費の中身を聞かれたときに答えられないのが、いちばん困る形です。
科目を決めたら、入力規則の一覧に反映します。年度の途中で科目を足すのは構いませんが、名前を変えるのは避けてください。名前を変えると、それまでの行と新しい行が別の科目として数えられます。
総会に出す会計報告を帳簿から作る
帳簿を付ける目的は、総会に出す会計報告を作ることです。ここまでの流れを最後につなげます。
会計報告に並べるのは4つです。前年度からの繰越金、当年度の収入の科目別の合計、当年度の支出の科目別の合計、次年度への繰越金。この4つがそろっていて、繰越金に収入を足して支出を引いた額が次年度への繰越金と一致していれば、報告としての形は整います。
科目別の合計は、帳簿からピボットテーブルで出すのがいちばん早い道です。行に勘定科目、値に入金の合計と出金の合計を指定すれば、科目ごとの数字が一度に出ます。作るのは初回だけで、翌年からは更新を押すだけです。ピボットテーブルを作らない場合は、SUMIF関数で科目ごとの合計を出す表を別のシートに作ってください。どちらでも、帳簿の数字をそのまま使うことが大事です。集計表に手で数字を打ち込むと、帳簿と合わなくなります。
報告に添えるものが3つあります。1つめが、予算との比べた表です。総会で承認した予算と実際の支出を並べると、どこが超えてどこが余ったかが見えます。2つめが、年度末の現金と口座の残高の内訳です。繰越金が現金にいくら、口座にいくらあるかを分けて書いてください。3つめが、会計監査の担当の署名です。
総会で説明するときに気を付けることが1つあります。金額が大きく動いた科目については、理由を1行で添えてください。前年より3万円増えた科目があれば、その場で必ず聞かれます。帳簿の摘要に理由が書いてあれば、その場で答えられます。摘要をきちんと書くのは、この場面のためです。
引き継ぎのときに渡すものを決めておく
会計の担当が代わるとき、渡すものが決まっていないと、次の人は前年の数字の意味を自分で推測することになります。渡すものを5つに決めてください。
1つめが、帳簿のファイルです。年度ごとに1つのファイルにして、シートで月を分けた形で渡します。ファイル名に年度を入れておくと、数年たってから探すときに見つかります。
2つめが、領収書と通帳の写しです。帳簿の行に振った連番と、領収書に書いた番号が一致していることを確かめてから渡します。ここがつながっていないと、次の担当が監査で困ります。
3つめが、勘定科目の決め方を書いた紙です。会議費と行事費の線引きのような、去年の担当が判断したことを1枚に残します。これがないと、科目の付け方が担当ごとに変わり、年度をまたいだ比較ができなくなります。
4つめが、会費の名簿です。誰がいくら払ったか、減免の対象が誰か、未納がどうなっているか。帳簿とは別のファイルで持ってください。
5つめが、保存先とファイル名の決まりです。共有の保存先で回している会では、権限の付け替えだけで引き継ぎが終わります。担当のパソコンの中で回している会では、ここで必ず取りこぼしが出ます。
渡すときは、口頭の説明だけで済ませないでください。上の5つを並べた引き継ぎの一覧を1枚作り、渡した日付を書いて2人で控えを持つ形にすると、あとで「聞いていない」が起きません。会計は、間違いを疑われたときに記録で示せることに価値があります。
記録と連絡が分かれると何が起きるか
金銭出納帳の話は、帳簿の作り方では終わりません。会費を集める過程で、連絡が大量に発生します。ここが会計の担当の時間をいちばん奪う場所です。
起きることは3つに分かれます。1つめが、未納の催促です。メッセージアプリで1人ずつ声をかけることになり、誰に何回言ったかが分からなくなります。2つめが、金額と期限の問い合わせです。同じ質問に何度も答えることになります。3つめが、引き継ぎです。次の担当に渡すものが、帳簿のファイルとメッセージアプリの履歴の2つになります。履歴は渡せません。
この3つを減らす方向は決まっています。案内、名簿、やりとりを同じ場所に保存することです。集まり向けの連絡ツールは、この形を前提にしています。会費の案内が流れずに残り、誰が読んだかが分かり、メンバー以外は見られない形になっていれば、金額の話を安心して書けます。町内会の会計と会費の集め方は町内会での使われかたに、学年ごとに集金があるPTAの事情はPTAでの使われかたに整理があります。
いま使っているメッセージアプリと何が変わるかを先に知りたい場合は、LINEグループとの比較で、流れる画面と残る画面の違いを見比べられます。持ち回りで会計が代わるサークルのような集まりにはサークルでの使われかたが近い形です。料金や使える人数の条件はよくある質問に整理してあります。
金銭出納帳をエクセルで無料で始めるのは、正しい入り口です。そのうえで決めておくことが2つあります。保存先を会として持つことと、会費の連絡の履歴を次の担当に渡せる形で保存しておくこと。この2つを決めておけば、帳簿の形は何であっても1年後に困りません。
Q1. 金銭出納帳のエクセルテンプレートは無料で手に入りますか?
会計ソフトを提供している会社やビジネス書式の配布サイトが、現金出納帳のエクセルテンプレートを無料で配布しています。残高を自動で計算する式が入っているものを選んでください。エクセルやGoogleスプレッドシートの中にあるテンプレートの一覧にも、出納帳や家計簿の形が用意されています。
Q2. 金銭出納帳に必要な列は何ですか?
日付、勘定科目、摘要、入金、出金、残高の6つで足ります。残高の列には、前の行の残高に同じ行の入金を足して出金を引く式を入れてください。勘定科目の列には入力規則で選べる値を並べておくと、表記のゆれが起きず、月末に科目ごとの合計が出せます。
Q3. 手元の現金と帳簿の残高が合わないときはどうしますか?
まず現金を数えて実際の金額を出し、帳簿の残高との差額を出します。その差額と同じ金額の取引が当月の領収書にないかを探してください。書き忘れ、口座との行き来の記入漏れ、立て替えの3つが原因のほとんどです。残高を手で書き換えず、原因の行を足すか直して式に計算させます。
Q4. 帳簿は何年保存すればよいですか?
法人の帳簿書類については、確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存しなければならないと国税庁が示しています。町内会やPTAのような任意の団体にそのまま当てはまるわけではありませんが、会則で保存期間を決めるときの目安になります。決めていない会では5年分を保存する形が多く見られます。
