住所録の作り方でつまずくのは、表の作り方ではありません。どの項目を持つかを決めないまま入力を始めて、あとから列を足すことになる場面です。この記事では、住所録に入れる項目の決め方から、表計算ソフトで作るときに最初にやっておくこと、ふりがなを自動で出す方法、はがきの宛名印刷や他のソフトに渡すときの形、そして手書きの名簿から移すときの進め方までを順に整理します。町内会やPTA、同窓会のように名簿を引き継ぐ立場から見た判断の基準もまとめています。
住所録を作り直すことになるのは、たいてい引き継ぎの場面
住所録を新しく作る理由は、大きく2つに分かれます。年賀状の宛名を印刷するために自分のぶんを作る場合と、団体の名簿を次の担当へ渡すために作り直す場合です。手順は同じですが、決めることの重さが違います。
自分のぶんだけなら、項目を途中で足しても困りません。列を1つ増やして、空いているところに書き足せば済みます。ところが団体の名簿は、複数の人が入力し、複数の用途で使います。会費の集金に使う人と、行事の案内に使う人と、はがきを出す人が別なので、後から列を足すと、誰がどこまで埋めたのか分からなくなります。
引き継ぎの場面でよく起きるのが、前の担当が作った表と、新しい担当が作った表が2つ並んで動き出すことです。前の表には電話番号があり、新しい表にはメールアドレスがある。どちらも最新ではない状態になります。この形になると、名簿としては使えなくなり、行事のたびに2つを見比べる作業が発生します。
先に項目を決めてから入力を始める理由はここにあります。項目の一覧は名簿の設計図なので、これだけを先に1枚の紙に書いて、関係する人で合意しておくと、あとから作り直す必要がなくなります。合意まで含めても、かかる時間は30分ほどです。入力を始めてから直す手間と比べると、この30分は確実に回収できます。
住所録に入れる項目の決め方
項目は、使う場面から逆算して決めます。はがきを出すのか、行事の案内を送るのか、会費を集めるのかで必要な列が変わります。
年賀状の宛名を印刷することが目的なら、必要な項目はかなり少なくて済みます。実際の手順を公開している解説では、名前、名前フリガナ、郵便番号、住所、住所2、電話番号、メールアドレスの7項目で作る例が紹介されています。はがきの送付に必要なのは住所、郵便番号、氏名なので、それ以外は用途に応じて足す形です。
団体の名簿として使うなら、ここに3つ足すことを考えます。1つめは所属です。町内会なら班や組、PTAなら学年とクラス、同窓会なら卒業年と組にあたります。この列があると、一部の人だけに連絡するときに絞り込めます。2つめは会員かどうかの区分です。入会している人と、名前だけ残っている人を分けておかないと、会費の集計と案内の宛先がずれます。3つめは更新した日付です。いつ確認した情報なのかが分かると、古い住所に送ってしまう事故が減ります。
逆に、入れないほうがよい項目もあります。家族の人数や勤務先のように、いま使う予定のない情報です。名簿は集めた情報を守る責任が付いてくるので、使わない情報を持つほど、扱いが重くなります。持っていない情報は漏れません。
項目名の付け方にも決まりを作っておくと後が楽になります。「住所1」「住所2」のように番号を振るか、「都道府県市区郡」「町名番地以降」のように中身で名付けるか、どちらかにそろえます。表を作る人が複数いる会では、ここが混ざると結合できなくなります。
表を作り始める前にやっておく4つのこと
表計算ソフトで住所録を作るとき、最初にやっておくと後の手間が大きく減る作業が4つあります。どれも入力を始めたあとでは直しにくいものです。
1つめは、先頭行にタイトルを入れないことです。見た目を整えるために1行目に「住所録」と書きたくなりますが、あとで五十音順や都道府県順に並べ替えるときに表が崩れる原因になります。項目名の行を1行目に置き、2行目からデータを入れる形にします。
2つめは、記号と環境依存文字を使わないことです。郵便番号の前に付ける記号や、電話を表す1文字の記号を入力に混ぜると、並べ替えがうまくいかなくなります。項目名の側で「郵便番号」と書いてあれば、データの側に記号は不要です。
3つめは、住所を2つの列に分けることです。はがきに印刷するとき、1つの項目がそのまま1行として印刷されるため、長い住所は1行に収まりません。手書きの宛名で長い住所を2行に分けて書くのと同じ考え方で、都道府県から市郡までを1つめの列に、町名と番地以降を2つめの列に入れておきます。印刷の段階で分けようとすると、全件を手で直すことになります。
4つめは、半角で入力する列に入力モードの設定をしておくことです。郵便番号やメールアドレスの列を選んで、データの入力規則から日本語入力をオフにしておくと、その列に移ったときに自動で英語入力へ切り替わります。名前を打ったあとに毎回モードを切り替える手間がなくなり、全角と半角が混ざる事故も防げます。
この4つを先にやっておくと、入力の速さが変わるだけでなく、あとで並べ替えや検索をしたときに結果が崩れません。住所録は作る時間より、使う時間のほうが長く続きます。
ふりがなの列を自動で作る
五十音順に並べ替えるには、ふりがなの列が必要です。手で打ち直すと時間がかかるうえ、打ち間違いが混ざります。表計算ソフトには、入力した漢字のよみがなを取り出す関数が用意されていて、ふりがなを表示したい列にこの関数を入れ、名前の入っているセルを指定するだけで、カタカナのふりがなが自動で出ます。
ただし、この方法には1つはっきりした落とし穴があります。
ただし、他のデータから名前の情報をコピーした場合、入力した時の"フリガナ"情報が残っていないため、PHONETIC関数を設定してもフリガナに変換されません。ご注意ください。 出典: randstad.co.jp
つまり、自分で漢字を打ち込んだ名前にはふりがなが付きますが、別のファイルやウェブの画面からコピーして貼り付けた名前には付きません。前の担当から受け取ったファイルを貼り付けて作った名簿では、ふりがなの列が空のまま並ぶことになります。
この場合の対処は2つです。名前の列だけ自分で打ち直すか、ふりがなの列を手で埋めるかです。人数が少なければ打ち直すほうが早く、人数が多い名簿では、ふりがなを別の列として最初から人に書いてもらう形に切り替えたほうが確実です。申込みの用紙や入会の書類にふりがなの欄を作っておけば、この作業そのものが消えます。
全角と半角が混ざってしまった列は、全角の数字や英字やカタカナを半角にそろえる関数で整えられます。郵便番号や電話番号は、混ざったままだと並べ替えの結果が正しくなりません。入力し終わったあとに一度だけこの関数を通して、値を確定させておくと安全です。
はがきの宛名印刷や他のソフトに渡すとき
作った住所録を、はがきの宛名を作るソフトや文書作成ソフトで使うには、受け渡しの形をそろえる必要があります。よく使われるのがCSV形式です。カンマ区切りとも呼ばれ、データベースのファイル形式として広く使われています。表計算ソフトのファイルを名前を付けて保存するときに、ファイルの種類をCSVに変えるだけで作れます。
ここで注意すべき点が1つあります。CSVは書式設定や計算式、セルの幅を保存しません。色を付けて見やすくした表を、そのままCSVで保存すると、見た目の工夫はすべて落ちます。だから、見るための表と、渡すためのCSVは別のファイルとして持つのが正しい扱いです。元の表を上書きしてCSVにしてしまうと、次の年に開いたときに見づらい表だけが残ります。
計算式が落ちることにも注意が必要です。ふりがなの列を関数で作っていた場合、CSVに書き出した時点で計算式ではなく文字として固定されます。これは渡す側としては都合がよい動きですが、元のファイルを上書きしてしまうと、以後は名前を直してもふりがなが追従しません。
もう1つ、渡す前に必ず確かめることがあります。列の順番と項目名です。受け取る側のソフトは、項目名を手がかりに列を対応させます。「住所」と「住所1」のように名前が違うだけで、対応が外れて空欄のまま印刷されます。1件だけ試し刷りをして、住所が2行に分かれているか、氏名の位置が合っているかを見てから、全件を印刷してください。ここを飛ばすと、100枚単位で刷り直すことになります。
手書きの名簿から移すときの進め方
紙の名簿しかない状態から作り始めるときは、入力の順番を工夫すると途中で止まりません。
最初に、紙の名簿をそのまま写すのではなく、項目の一覧を先に作ります。紙の名簿には、欄外の書き込みや、線で消した跡や、後から足された名前が混ざっています。これを先に整理せずに入力すると、判断のたびに手が止まります。
次に、1件ぶんだけ試しに入力します。1件を通して入れてみると、足りない列と要らない列がはっきりします。ここで表の形を確定させます。
そのあとの入力は、列ごとにまとめて進めるほうが速く終わります。全員の名前を先に入れ、次に全員の郵便番号を入れ、その次に住所を入れる形です。1件ずつ横に入れていくよりも、同じ種類の情報を続けて打つほうが手が慣れ、入力モードの切り替えも減ります。
分担するなら、行で割ります。1人目が1行目から50行目、2人目が51行目から100行目という形です。列で分けると、あとで結合するときに行の対応がずれます。表を分けて渡すときは、それぞれのファイルに項目名の行を残しておいてください。
読めない文字と、古くて確認が必要な住所は、その場で悩まずに印を付けて先へ進みます。備考の列を1つ作って「要確認」と書いておけば、入力が終わったあとにまとめて確認できます。1件ごとに調べていると、名簿ができあがるまでに何週間もかかります。
紙の名簿は、入力が終わっても捨てないでください。入力の間違いを疑ったときに戻る先が必要です。保管する期間と、いつ処分するかを会として決めてから処分します。
無料のテンプレートを使うか、自分で作るか
住所録のテンプレートは無料で公開されているものが多く、はがきの宛名に対応した形のものも配られています。使う価値があるのは、項目の並びを考える時間を省ける点です。ただし、そのまま使うかどうかは会の事情で変わります。
テンプレートが向くのは、用途が年賀状の宛名印刷にほぼ限られている場合です。必要な項目が決まっているので、余計な列を消すだけで使えます。印刷の位置まで作り込まれているものを選べば、試し刷りの手間も減ります。
向かないのは、団体の名簿として使う場合です。所属の区分や会員かどうかの区分は会ごとに違うので、テンプレートの列に自分の会の事情を当てはめようとすると、無理な使い方になります。班と組の両方がある町内会では、1つの列に「3班2組」と書き込むことになり、あとで班だけで絞り込めなくなります。列は用途ごとに分けるのが原則です。
テンプレートを選ぶときに見る点は3つです。1つめは、項目の数が自分の用途より多すぎないこと。使わない列が並んでいると、埋めなくてよいのか判断に迷います。2つめは、計算式や入力の規則が組み込まれているかどうか。組み込まれている場合、列を消すと壊れることがあります。3つめは、CSVに書き出せる形になっているかどうかです。装飾の多いテンプレートは、渡すためのファイルとしては使いにくくなります。
自分で作る場合に迷いやすいのは、列の幅と表示の形です。見やすさのために工夫するのは自由ですが、その工夫はCSVには引き継がれません。見るための表を整えるのは、項目と入力の中身が固まったあと、最後にやる作業と考えてください。
五十音順で並べるか、地区や学年で並べるか
住所録を作ったあとに必ず出てくるのが、どの順番で並べるかという問題です。ここは1つに決めるのではなく、並べ替えができる形にしておくのが正解です。
五十音順は、特定の人を探すときに速い並び方です。会費の受け取りを記録するときや、電話をかけるときに向きます。ふりがなの列があれば、その列を指定して並べ替えるだけで作れます。
地区や班の順番は、配りものをするときに向きます。町内会の回覧や、地区ごとの担当が動くときは、この順番でないと使えません。学年とクラスの順番も同じ考え方で、PTAや部活の名簿では実務の順番になります。
同窓会の名簿は、卒業年と組の順番が基本になります。ここに五十音順を重ねると、卒業年の中で名前順に並ぶ形が作れます。並べ替えを2段階でかけるだけなので、列が分かれていれば1分で終わります。
大事なのは、並び順を固定した状態でファイルを配らないことです。地区順に並べた名簿を印刷して配ると、受け取った人は五十音順に戻せません。並べ替えは見る人がその場でやる作業なので、元のデータを1つ持っておき、見る側が必要な順番にする形にします。
印刷して配る運用を続けている会では、この並べ替えのために毎回担当者が作業しています。3種類の順番で配っている会もあり、そのぶん写しが増えます。写しが増えれば、古い情報が残る場所も増えます。
スマートフォンだけで住所録を作るとき
表計算ソフトをパソコンで開ける環境がない人も増えています。スマートフォンだけで住所録を作る場合、手順そのものは同じですが、詰まるところが変わります。
まず、列の多い表はスマートフォンの画面では扱いにくくなります。横に7列並んだ表を小さな画面で入力すると、隣の列に入れてしまう間違いが起きます。対策としては、1件ずつ入力する形の画面を使うことです。入力の画面が縦に並ぶ形なら、列を間違える事故は起きません。
次に、ふりがなを自動で出す関数は、スマートフォンのアプリでは使えないことがあります。ふりがなの列は、本人に書いてもらうか、入力する人が手で埋める前提で考えておくほうが確実です。
3つめに、CSVの書き出しが手間になります。スマートフォンから他のソフトへ渡す作業は、パソコンに比べて手順が増えます。はがきの印刷まで自分でやるつもりなら、印刷の段階だけパソコンを使える人に頼む形を最初から想定しておくと止まりません。
逆に、スマートフォンだけで完結しやすいのは、名簿を印刷せずに使う場合です。連絡の宛先として使うだけなら、書き出す必要がありません。会の名簿を作る目的が連絡であって印刷ではないなら、最初から連絡の仕組みの中に一覧を持つほうが手順が短くなります。
住所録が古くなる原因と、更新のしくみを決める
住所録は作った日が最も正確で、そこから毎日古くなります。1年たてば、引っ越しや電話の変更で何件かは届かなくなります。だから、作り方と同じくらい、更新のしくみを決めておくことが重要になります。
古くなり方には決まった型があります。いちばん多いのは、変更を本人が伝えたのに、名簿に反映されないまま埋もれることです。担当者が口頭で聞き、そのとき手元に名簿がないので後で直すつもりで忘れます。次に多いのは、名簿の写しが複数あって、直した写しと直していない写しが混ざることです。
対策は3つあります。1つめは、変更を受け付ける窓口を1つに決めることです。誰に伝えても直る形にすると、誰も直しません。2つめは、更新した日付の列を持つことです。日付が古い行だけを見れば、確認すべき相手が分かります。3つめは、写しを作らない運用にすることです。名簿を配らずに、必要な人が同じものを開いて見る形にすると、直した内容が全員に同時に反映されます。
年に1回の確認の機会を作っておくのも有効です。総会や年度はじめの案内に、登録されている内容を確かめる1行を添えて、変わっていたら知らせてもらう形です。全員に聞き直すと手間が大きいので、最後に確認した日から1年以上たっている人にだけ聞く形にすると、対象は毎年2割ほどに収まります。
入力の間違いを見つける確かめ方
住所録は、入力が終わった時点では必ず間違いが混ざっています。全件を目で読み直すのは現実的ではないので、間違いが集まりやすいところだけを見ます。
最初に見るのは、郵便番号の桁数です。7桁でない行だけを抜き出すと、打ち間違いがほぼそこに集まります。次に見るのは、都道府県が入っていない行です。住所の1つめの列に都道府県の名前が含まれていない行を抜き出せば、途中から書き始めてしまった行が見つかります。
3つめは、同じ名前が2回出てくる行です。分担して入力すると、境目の行が重複します。名前とふりがなの組み合わせで並べ替えると、重複は隣り合って現れるので目で見つかります。
4つめは、空欄です。空欄が悪いのではなく、空欄のままでよいのかどうかを決めていないことが問題になります。メールアドレスを持っていない会員の欄は空でよく、住所の空欄は確認が必要です。どの列が空でもよいかを先に決めておけば、確かめる対象がはっきりします。
確かめる作業は、名簿を使い始める前に一度だけやっておけば足ります。使い始めてから直すことになると、直した写しと直していない写しが並ぶ状態に戻ります。
住所録と一緒に持つとよい記録、分けるとよい記録
住所録を作ると、ほかの記録もそこに書き込みたくなります。会費を受け取ったかどうか、行事に参加したかどうか、役を引き受けた年。どれも名簿の隣にあると便利に見えますが、同じ表に入れると使いにくくなるものがあります。
同じ表に入れてよいのは、その人の性質として変わりにくい情報です。所属する班や組、卒業した年、入会した日付。これらは年をまたいでも変わらないので、名簿の列として持って問題ありません。
分けたほうがよいのは、年ごとに増える記録です。会費の受け取りは毎年発生し、行事の参加も毎年あります。これを名簿の列として足していくと、1年ごとに列が右へ伸び、3年で表が読めなくなります。年ごとの記録は別の表にして、名前で突き合わせる形にします。
もう1つ、名簿の列にすると事故が起きやすい情報があります。本人に見せない前提のメモです。「連絡がつきにくい」「会費の滞納あり」といった書き込みは、名簿を共有した瞬間に本人の目に触れます。会として記録が必要なら、担当者だけが見る別の場所に持ち、名簿そのものには書かないでください。
年ごとの記録を分けたうえで、名簿の側には最後に確認した日付だけを持たせるのが、いちばん長く使える形です。記録は増え続けますが、名簿の列は増えません。
名簿を預かる立場になったときの決まり
団体の住所録を作るということは、他人の個人情報を預かるということです。ここには決まったやり方があります。
非営利の団体だからといって、法律の外に出るわけではありません。個人情報保護委員会は、法律でいう事業について「営利・非営利の別は問いません」と示しています。扱う人数についても、次のように説明しています。
個人情報データベース等を事業の用に供している者であれば、当該個人情報データベース等を構成する個人情報によって識別される特定の個人の数の多寡にかかわらず、個人情報取扱事業者に該当します。 出典: ppc.go.jp
つまり、会員が20人の同窓会でも、名簿を作って活動に使っているなら扱いは同じです。実務として押さえる点は4つあります。集めるときに何に使うかを伝えること。伝えた目的の外に使わないこと。関係のない人に渡さないこと。そして、要らなくなったものを残さないことです。
いちばん事故が起きやすいのは、名簿のファイルをメールに添付して送り合う運用です。宛先を1件間違えるだけで外に出ます。しかも、送った先のファイルは回収できません。名簿を配らずに、必要な人だけがメンバー以外は見られない場所で同じものを見る形にすると、この事故は起きません。
印刷した名簿の扱いも決めておいてください。会議で配った紙をそのまま持ち帰る運用が続くと、名簿の写しが家庭に散ります。会議で配るなら、回収するか、その場で必要な部分だけを見る形にします。
名簿をどこに保存するか、判断の順番
住所録が完成したあとに残る問題は、どこに保存するかです。判断は次の順番で考えると迷いません。
最初に決めるのは、誰が見るかです。1人だけが使うなら手元のファイルで足ります。会として複数の人が使うなら、同じものを複数人が開ける場所が必要になります。写しを配る形は、この時点で候補から外れます。
次に決めるのは、引き継げるかどうかです。担当者の個人のアカウントの中に保存されている名簿は、その人が辞めたときに取り出せなくなります。会として持つ場所に置き換えておかないと、次の担当は一から作り直します。名簿の作り直しは、役員の交代でいちばん時間を取られる作業です。
3つめは、連絡の宛先とつながっているかどうかです。名簿と連絡の道具が別々だと、名簿を直しても連絡は届きません。逆に、連絡の仕組みの側にメンバーの一覧があるなら、名簿はそこにまとまります。いま多くの会で起きているのは、連絡はLINEのグループ、名簿は表計算ソフト、写真は別のアルバム、という形の分裂です。役員が代わるときに引き継ぐものが3つになり、どれか1つが欠けると翌年の担当が困ります。LINEのグループで名簿をどこまで代わりにできるかはLINEグループとの比較に整理してあります。
4つめは、アカウントを増やさずに済むかどうかです。会として道具を替えるときの障壁は、機能ではなくアカウントであることがほとんどです。年配の会員がいる会では、新しいIDとパスワードを増やさないことが最初の関門になります。この点をどう解いているかはよくある質問に書いてあります。
名簿と連絡と記録が同じ場所に残る形は、町内会での使われかたで、班ごとの区分と連絡の宛先が同じ画面に並ぶ例として公開しています。学年やクラスの単位で絞って連絡する形はPTAでの使われかた、卒業年ごとにまとまる形はサークルでの使われかたで確かめられます。
住所録の作り方そのものは、項目を決めて、表を整え、ふりがなを付け、CSVで渡す、という手順に落ち着きます。難しいのはそこではなく、1年後にその住所録が最新のままでいられるかどうかです。作るときに決めておくべきことは、列の名前だけでなく、誰が直すのか、どこに1つだけ置くのか、来年の担当に何を渡すのかの3つです。
Q1. 住所録に最低限必要な項目は何ですか?
はがきを出すことが目的なら、氏名、郵便番号、住所があれば足ります。実際の解説では、名前、名前フリガナ、郵便番号、住所、住所2、電話番号、メールアドレスの7項目で作る例が紹介されています。団体の名簿として使うなら、所属、会員かどうかの区分、更新した日付を足すと運用が楽になります。
Q2. 住所の欄を2つに分けるのはなぜですか?
はがきに印刷するとき、1つの項目がそのまま1行として印刷されるため、長い住所は1行に収まりません。都道府県から市郡までと、町名と番地以降を別の列に分けておくと、手書きの宛名と同じように2行で印刷できます。印刷の段階で分けようとすると全件を手で直すことになります。
Q3. ふりがなが自動で出ないのはどうしてですか?
別のファイルや画面からコピーして貼り付けた名前には、入力したときのふりがなの情報が残っていないためです。関数を設定しても変換されません。人数が少なければ名前を打ち直し、多い場合は申込みの用紙にふりがなの欄を作って、本人に書いてもらう形に切り替えるほうが確実です。
Q4. 住所録が古くなるのを防ぐにはどうすればよいですか?
変更を受け付ける窓口を1つに決め、更新した日付の列を持ち、写しを作らない運用にする、の3つです。年に1回、最後の確認から1年以上たっている人にだけ内容を確かめる案内を出すと、対象は全体の2割ほどに収まり、確認の手間が続けられる量になります。
