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自主防災組織の緊急連絡をどう回すか|夜間と休日に届かせる組み方

2026年9月16日 ・ Tsudoo編集部

自主防災組織の緊急連絡網は、たいてい平日の昼間に役員が集まって作ります。会長から副会長へ、副会長から各班長へ、班長から班の世帯へ。紙の上ではきれいにつながっています。ところが、実際に地震や大雨が来るのは、深夜かもしれないし、連休の中日かもしれません。そのとき会長は帰省先にいて、副会長の家は停電し、班長の携帯電話は充電が切れている。平時に作った連絡網は、最初の一段目で止まります。

夜間と休日に届く緊急連絡は、連絡網の図をきれいにすることでは作れません。役職表どおりに人が集まらない前提で、誰が来ても動ける手順と、報告の型と、伝える単位を決めておくことで作ります。ここでは、自主防災組織ならではの「下り」と「上り」の二方向の連絡を軸に、参集の基準、本部の立ち上げ方、伝達の単位、報告の受け取り方、地区外にいる役員の使い方までを順に整理します。

自主防災組織の緊急連絡は、下りと上りの二方向で考える

町内会や自治会の緊急連絡というと、避難情報や断水の知らせを会員に届ける「下り」の連絡を思い浮かべます。自主防災組織の場合、それと同じ重さで「上り」の連絡があります。

消防庁の「自主防災組織の手引」は、自主防災組織を災害情報の中継点と位置づけています。市町村や消防機関からの情報を地域の住民に伝え、逆に地域の被害状況や住民の避難状況を集めて、市町村や消防機関に報告する役割です。そのために、防災計画で情報班を置き、伝達係と収集係の責任者を明確にするよう求めています。

この二方向は、必要な仕組みがまったく違います。下りの連絡は、1か所から多数へ、同じ内容を速く届けることが求められます。上りの連絡は、多数から1か所へ、ばらばらの内容を漏れなく集めて整理することが求められます。下りだけを想定した連絡網では、班から本部へ「3丁目で塀が倒れて道がふさがっている」「2班の山田さん宅の安否が確認できない」といった報告が、個人の電話に散らばり、誰も全体を把握できなくなります。

緊急連絡を組むときは、まず紙を2枚に分けます。1枚は下りの経路、もう1枚は上りの経路です。上りの紙には、報告を受ける人、報告の型、報告をまとめて市町村へ上げる人を書きます。この2枚目を作っておくと、発災後に報告をどこへ出せばよいかで迷う人がいなくなります。

夜間と休日は、役職表どおりに人が集まらない

平時の役職表は、会長、副会長、情報班長、消火班長といった順に並んでいます。緊急時にこの順番で指示が下りる前提で連絡網を作ると、夜間と休日には機能しません。

時間帯ごとに、地区に残っている顔ぶれは入れ替わります。平日の昼は、勤めに出ている役員が多く、地区にいるのは高齢の住民と子ども、在宅で仕事をしている人です。平日の夜は人数こそ多いものの、暗さと停電で外に出るのが危険になります。休日は旅行や帰省で役員が地区を離れていることがあり、年末年始やお盆はとくにその傾向が強まります。

加えて、役員自身も被災者です。会長の家が倒壊すれば、会長は指揮どころではありません。家族のけがの手当てが先になります。役員が自分の家族の安全を確かめてから動くのは当然のことで、それを前提に組むべきです。

ここから導かれるのは、「決まった人が来るのを待つ」組み方をやめることです。役職者が来るまで何も始まらない組織は、夜間と休日には動き出せません。代わりに、「最初に来た人が本部を開き、あとから来た役職者に引き継ぐ」組み方にします。役職表は、平時の運営と、落ち着いたあとの指揮系統のために使い、発災直後の最初の1時間は、来た人で回します。

参集の基準を、「連絡を待たずに集まる」条件で決める

夜間や休日に連絡網が止まる一番の原因は、「連絡が来たら集まる」という決め方です。連絡を出す人が動けなければ、誰も集まりません。

そこで、連絡を待たずに集まる条件を決めておきます。地震なら、地区で決めた震度以上の揺れがあったら、役員と各班の担当者は自分と家族の安全を確かめたうえで、決めた場所に集まる。この「震度いくつ以上」は、市町村の地域防災計画や、市町村職員の参集基準を参考にしながら、地区の実情に合わせて役員会で決めます。

大雨や台風は、地震とは考え方を変えます。雨は予報である程度前もって分かる一方、夜間に水が出てから外に出るのは危険です。集まることが正解とは限りません。基準は「市町村から避難情報が出たら、役員は自宅から班の担当者に電話や画面で状況を確認する。集会所には集まらない」「日没前に高齢者等避難が出たら、明るいうちに要支援者の担当者だけが動く」といった形で、集まる場合と集まらない場合を分けて決めます。

決めた基準は、各班の担当者が家族に説明できる言葉で書きます。「震度5弱以上の揺れがあったら、家族が無事なのを確かめてから、1時間以内に集会所の前に行きます」と家族が知っていれば、夜中に出かけることで家族を不安にさせずに済みます。

最初に着いた人がやることを、紙1枚にしておく

「来た人で回す」と決めたら、最初に来た人が迷わないように、やることを紙1枚にまとめます。役員でなくても、班の担当者でも、たまたま近くにいた住民でも、読めば動けるように書きます。

書くことは、順番のついた短い指示です。

・防災倉庫の鍵の在りか(誰が持っているか、どこに予備があるか) ・倉庫から出すもの(ラジオ、ライト、電池メガホン、記録用紙、住宅地図、筆記具) ・本部を開く場所(集会所が使えない場合の代わりの場所) ・最初にラジオか端末で確かめること(地区に出ている避難情報、避難所の開設状況) ・受付に「本部」の紙を貼り、来た人の名前と到着時刻を書いてもらう ・来た人の中から、下りの伝達係と上りの収集係を1人ずつ決める ・会長や副会長が来たら、ここまでの記録を渡して引き継ぐ

この紙は、防災倉庫の扉の内側と、集会所の分かりやすい場所に貼っておきます。役員の自宅にもそれぞれ1部置いてもらいます。

紙1枚にこだわるのは、発災直後に厚い防災計画を開いて読む人はいないからです。防災計画の本体は、落ち着いてから確かめるためのものです。最初の30分を動かすのは、この1枚です。

伝える単位を10〜20世帯に割る

下りの連絡を「班長から班の全世帯へ」で組むと、班長が1人で数十世帯を回ることになります。夜間にこれをやると、班長が回り終える前に夜が明けます。

消防庁の手引は、情報の収集・伝達体制を考えるときの単位について、次のように書いています。

地域の中で情報を収集・伝達しやすい単位、例えば 10~20 世帯で分割する等、地域の中で起きている状況を自分達でしっかり確認できるような情報収集・伝達体制をあらかじめ検討しておくと、災害時により効率よく活動することができる。 出典: 総務省消防庁「自主防災組織の手引(令和5年3月)」

班が30世帯なら、班の中を通りや建物ごとに2つか3つの小さな単位に分け、それぞれに伝達の担当を置きます。担当は役員である必要はありません。その単位の中で、夜間に在宅していることが多く、隣近所と顔見知りの人が向いています。

小さな単位にする利点は、速さだけではありません。10〜20世帯なら、担当者は全世帯の顔を思い浮かべられます。「この家は一人暮らしの高齢の方」「この家は昼間は留守」と分かっていれば、夜間にどこから回るべきかを判断できます。班長は、各単位の担当から報告を受けてまとめる役に回ります。

集合住宅が混ざる地区では、分け方を変えます。戸建ての通りと同じ感覚で「このマンションで1単位」とすると、数十世帯を1人が受け持つことになり、停電でエレベーターが止まった夜には上の階まで回れません。建物の中を階や棟で区切り、それぞれの区切りに住む人を担当にします。管理組合や管理会社が別に連絡の仕組みを持っている場合は、どこまでをそちらに任せ、何を自主防災組織の本部に報告してもらうかを平時に話し合っておきます。

担当は1単位に2人置きます。1人が不在でも、もう1人が回れるようにするためです。休日に家族で出かける予定があるときは、もう1人に一声かけておく、という約束を平時にしておきます。

下りの連絡は、行政の発表をそのまま渡し、地区の事情だけを足す

夜間の緊急時、住民の手元にはすでにいくつもの情報が届いています。緊急速報メール、防災行政無線、テレビやラジオ、市町村の防災アプリ。自主防災組織が同じ内容を言い換えて重ねると、情報が増えるだけで混乱のもとになります。

下りの連絡でやるべきことは2つに絞ります。1つは、行政の発表を言い換えずにそのまま渡すことです。避難情報の名称や警戒レベルの数字は、行政の表現どおりに書きます。自分たちで「念のため避難」「様子を見て」と言い足すと、受け取った住民の判断が割れます。

もう1つは、行政の発表には含まれない、地区の事情だけを足すことです。

・地区の住民が向かう避難所が開いたかどうか ・一時集合場所が使えるかどうか(使えない場合の代わりの場所) ・地区の中で通れなくなっている道 ・給水や物資の配布がどこで、何時から行われるか

この「足す部分」こそ、住民に一番近い自主防災組織にしか出せない情報です。逆に、行政の発表の解説や、他の地区の被害の話は流しません。

文面は短くし、最初の1行で何をすべきかが分かる形にします。「〇〇小学校の避難所が開きました。地区の方はこちらへ」のように、場所と行動を先に書きます。書いた時刻を必ず入れます。夜間の連絡は、時刻がないと古い情報と新しい情報の区別がつかなくなるからです。

上りの報告は、決まった型でしか受け取らない

上りの連絡で起きる混乱は、報告の中身がばらばらなことから生まれます。「何か大変そう」「誰かがけがをしたらしい」という報告は、本部で受け取っても動けません。

消防庁の手引は、情報収集訓練の例として、集めるべき情報に現場の住所と目標、現場の状況、負傷者の有無と程度、今後予測される状況、現在の措置、通報者を挙げています。そして、必ずメモを取り、情報を集めた人の名前と日付と時間を書くこと、報告の際も口頭だけで伝えることは避けることを求めています。

これをそのまま報告の型にします。

・どこで(住所か、目印になる建物) ・何が起きているか(火、倒壊、浸水、道路の通行止め、けが人など) ・けが人はいるか、何人か、どの程度か ・いま誰が何をしているか ・報告した人の名前と、班と、時刻

紙なら、この5項目の欄を印刷した報告用紙を各単位の担当者に配っておきます。画面なら、同じ5項目を書き写すひな型を用意しておき、その形で書かれた報告だけを本部で集計します。電話で受けた場合も、受けた人がこの用紙に書き起こしてから本部に回します。

型を決めておく利点は、受け取る側だけでなく、報告する側にもあります。慌てているときほど、何を伝えればよいか分からなくなります。欄を埋めるだけで必要なことが伝わる、という状態を作っておくことが、夜間の報告の質を決めます。

「異常なし」も報告させ、報告のない班と区別する

上りの報告でもう1つ大切なのは、何も起きていない班からも報告を受けることです。

消防庁の手引は、情報の収集・伝達の注意点として、「異常なし」も重要な情報であること、定期的な報告を行うことを挙げています。本部から見ると、報告が来ない班は「被害がない班」なのか「報告できない状態にある班」なのかが分かりません。この2つを取り違えると、本当に助けが要る班を後回しにしてしまいます。

そこで、報告の時刻を決めます。発災後の最初の報告は、たとえば集まってから30分以内。その後は1時間ごと。被害がなければ「2班、異常なし、確認できた世帯は18世帯中16世帯、残り2世帯は留守の様子」と報告してもらいます。

本部では、班ごとに最後に報告を受けた時刻を、住宅地図や模造紙に書いていきます。予定の時刻を過ぎても報告がない班が出たら、それは異常のしるしとして扱い、本部から人を送るか、隣の班の担当者に様子を見に行ってもらいます。

「報告することがないのに報告するのは手間だ」という声は、平時の話し合いでは出がちです。そのときは、報告がないことで本部が人手を割くことになる、と説明します。異常なしの一報は、地区の人手を本当に必要な場所へ回すための情報です。

夜間の安否確認は、家の外から分かる方法を決めておく

夜間に各戸の安否を確かめるとき、担当者が1軒ずつ呼び鈴を押し、玄関先で話を聞いて回るのは現実的ではありません。停電していれば呼び鈴は鳴らず、倒壊の危険がある家に近づくこと自体が危険です。

そこで、家の外から無事が分かる方法を平時に決めておきます。無事な家は玄関や門に決めた目印を出す、という方式を採っている地区は各地にあります。目印を決めるときは、夜間でも見えるかどうかを必ず確かめます。昼間には目立つ色の布でも、暗闇では見えません。懐中電灯の光で見つけやすい位置と素材を選び、訓練で夜に一度見て回って確認します。

担当者の回り方も決めておきます。

・夜間は必ず2人以上で回る ・目印が出ていない家だけに声をかける ・声をかけても応答がない家は、無理に入らず、住所と時刻を報告用紙に書いて本部に上げる ・倒壊や火災の危険がある家には近づかず、その状況を報告する

目印が出ていない家の一覧が本部に集まれば、明るくなってから優先して確認する家、救助を要請する家の判断ができます。担当者自身が二次災害に巻き込まれないことが、夜間の安否確認では何より優先されます。

休日に地区を離れている役員には、地区の外からできる役割を渡す

休日に役員が地区を離れていることは避けられません。平時の連絡網では、こうした役員は「不在」として扱われ、何の役割もありません。

しかし、地区の外にいる役員にも、できることがあります。むしろ、被災していない場所にいて、電気も通信も使える役員だからこそ担える役割があります。

・市町村や気象の発表を確かめ、地区に関係のある部分を本部に伝える ・地区の中から画面に上がってきた報告を読み、班ごとに整理して本部に返す ・地区の外にいる住民の家族からの問い合わせを受ける窓口になる ・避難所の開設状況や給水の場所など、公表された情報を画面に書き込む

地区の中にいる人は、停電や混乱の中で端末を見続ける余裕がありません。地区の外から情報を整理して送り返す人がいると、本部は目の前の対応に集中できます。

この役割は、発災してから思いつきで頼むのではなく、平時に「地区外にいたときの担当」として決めておきます。誰が担うかは、休日に地区を離れることが多い役員をあえて充てるのがよい、という考え方もあります。役割を持っていれば、地区の外にいても組織の一員として動けます。

避難行動要支援者の担当には、先に連絡を回す

大雨の予報で避難に時間がかかる人を先に動かす場面や、地震のあとに自力で動けない人の安否を確かめる場面では、要支援者の避難を支える担当者への連絡が、全体への連絡より先に要ります。

消防庁の手引は、個別避難計画の作成に関わる自主防災組織に対して、市町村や関係者と連携し、災害時に「誰が、どこに、どのように避難支援するか」、つまり情報伝達の方法、避難先、避難のタイミング、避難先までの経路や交通手段、支援する人などを整理しておくよう求めています。

緊急連絡の組み方として押さえておくのは、この「支援する人」が昼と夜で違う場合があることです。平日の昼に支援を担う人が、夜間は別の地区にいるかもしれません。担当者を1人に決めず、時間帯ごとに担当を決め、連絡の順番を先にしておきます。

もう1つは、支援を担う人自身の安全です。担当者が自分や家族の安全を確保できない状況で、要支援者の家に向かうことを求めてはいけません。担当者が動けないときは本部に報告し、本部が別の人を送るか、消防や市町村に伝える、という流れを決めておきます。要支援者の担当への連絡は、「行ってください」ではなく「行けるかどうか教えてください」の形で出します。

市町村や消防団との連絡は、本部の窓口を1本にする

発災後の上りの連絡で最後に詰まるのが、市町村や消防への報告です。各班の担当者や住民が、それぞれ市役所や消防に電話をかけると、同じ被害が何度も報告されたり、地区の中で把握していない報告が出ていったりします。

本部から外への連絡は、窓口を1人に決めます。夜間や休日は役職者が不在のことがあるので、「本部で連絡役に決まった人」とし、名前ではなく役割で決めておきます。けが人や火災など一刻を争うものは、見つけた人がその場で119番に通報することを妨げません。そのうえで、通報したことを本部に報告してもらいます。

消防団は、自主防災組織とは別の組織で、市町村の消防機関として独自の指揮系統で動きます。地区の消防団員が自主防災組織の役員を兼ねていることもありますが、発災時には団員としての出動が優先されます。その人を自主防災組織の連絡網の要に置いていると、出動した瞬間に連絡網が切れます。団員を兼ねる役員には、自主防災組織の側では代わりの担当を平時から決めておきます。

市町村への報告の形式や報告先は、地域防災計画や市町村の担当課の指示によって違います。どこに、どの形で報告するのかを、年に1回、担当課に確かめて本部の紙1枚に書き写しておきます。

電池と回線が切れたときは、決めた順番で手段を下げる

夜間の緊急連絡では、端末の電池と回線が最初の弱点になります。消防庁の手引も、災害時には電気や電話、インターネットの回線が不通になる可能性を考慮する必要があると書いています。

手段が使えなくなったときに、その場で次の手を考えるのでは遅れます。使える手段を順番に並べておき、上から使えなくなったら次に下げる、と決めておきます。

・画面での連絡(地区の担当者と本部の間) ・携帯電話の通話(画面が使えないとき) ・無線機(組織で持っている場合。使う人と通信の順番を決めておく) ・伝令(担当者が本部まで歩いて報告用紙を届ける) ・掲示(本部や集合場所に紙を貼り出す)

手引は、無線を使う場合に混信を起こさないよう、班長の通信統制に従う運用の訓練が欠かせないとしています。無線機を倉庫にしまったままで、誰も使い方を知らない状態では、この順番に入れても役に立ちません。

電池の確保も決めておきます。本部を開いたら、発電機やモバイル電池で本部の端末を最優先に充電する。各担当者には、就寝前に端末を充電しておく習慣を平時からお願いしておく。小さなことですが、夜間の連絡が続くかどうかは、ここで決まります。

誤った連絡を流したときは、同じ経路で同じ強さで取り消す

夜間の混乱の中では、誤った連絡を流してしまうことがあります。「〇〇川が氾濫した」という未確認の話を流した、避難所の場所を間違えた、けが人の人数を取り違えた。消防庁の手引は、流言には数字がからむことが多く、数字の伝達には特に注意するよう書いています。

誤りに気づいたら、元の連絡を流したのと同じ経路で、同じ強さで取り消します。画面で流したものを電話で訂正したり、全体に流したものを一部の人にだけ訂正したりすると、訂正を受け取らなかった人は誤った情報のまま動きます。

訂正の文面は、次の順に書きます。

・先ほどの連絡に誤りがあったこと ・誤っていた部分と、正しい内容 ・訂正した時刻

言い訳や経緯は書きません。夜中に長い文面を読む余裕は誰にもありません。

誤報を減らすためには、本部から流す前に、2人で内容を読み合わせる習慣を作ります。書いた人と別の人が、数字と地名だけを声に出して確認する。これだけで、人数や場所の取り違えの多くは防げます。

夜間と休日を想定した訓練は、図上訓練と連絡だけの訓練から始める

夜間の緊急連絡は、実際に夜に集まって訓練するのが理想ですが、暗い中を住民に歩かせる訓練は事故の危険があります。消防庁の手引が代表的な訓練として挙げている図上訓練を使い、まず机の上で試します。

図上訓練では、住宅地図を広げ、「土曜日の午前2時、震度6弱。会長と副会長は地区外にいる」といった条件を与えます。そのうえで、誰が本部を開くのか、どの班から報告が来て、どの班から来ないのか、要支援者の担当は動けるのかを、参加者が順番に答えていきます。答えに詰まったところが、連絡網の穴です。

次に、休日の朝などに、集まらずに連絡だけを流す訓練をします。本部役から模擬の情報を流し、各単位の担当者から「異常なし」の報告を型どおりに上げてもらいます。確かめるのは、全班から報告が上がるまでに何分かかったか、報告の型が守られたか、訂正の連絡が全員に届いたかです。

訓練の結果は数字で残し、翌年の訓練と比べます。報告がそろうまでの時間が縮まっていれば、連絡網が育っている証拠です。担当者が入れ替わった年に時間が延びていれば、引き継ぎを見直すきっかけになります。

連絡の置き場所を選ぶときに見る点

緊急連絡の経路に使う道具を選ぶときは、夜間と休日の条件で見ます。見る点は3つです。

1つめは、報告が他の発言に押し流されないかどうかです。発災直後は、安否の報告、被害の報告、励ましの言葉、関係のない質問が一斉に届きます。報告が会話の中に埋もれると、本部は班ごとの最終報告時刻を追えません。LINEグループとの比較では、トークが新しい発言で流れていく形と、掲示板に1件ずつ投稿として残る形の違いが、項目ごとに整理されています。

2つめは、連絡の要になる人が代わっても、記録が組織の側に残るかどうかです。本部の連絡役は、夜間と休日には役職者でない人が務めることになります。個人の端末にだけ履歴が残る形だと、引き継いだ人は前の報告を見られません。役員が代わっても記録がグループに残る例は、PTAでの使われかたで確かめられます。地区の連絡での使われ方は町内会での使われかたにあり、お知らせを上に固定して、次の予定と一緒に残している形が見られます。

3つめは、年配の担当者が夜中に迷わず開けるかどうかです。新しいIDとパスワードを覚えていないと入れない道具は、発災時に使えません。よくある質問では、LINEのアカウントでそのまま入れることや、文字を大きくする設定があることを説明しています。

参加者の匿名性や人数の多さを重視する形はLINEオープンチャットとの比較に、画面の作りと入口の重さの違いはDiscordとの比較に、アカウントの要否はFacebookグループとの比較に、投稿の添付の上限や保存容量の扱いはBANDとの比較にまとまっています。

どの道具を使っても、夜間と休日の緊急連絡を支えるのは、道具ではなく平時の決めごとです。連絡を待たずに集まる基準、最初に来た人が読む紙1枚、10〜20世帯の伝達の単位、報告の型、そして地区の外にいる役員の役割。これらを決めたうえで道具を選べば、連絡網は最初の一段目で止まらなくなります。

Q1. 夜間に地震が起きたとき、会長からの連絡を待つべきですか?

待たずに動ける基準を平時に決めておくことをおすすめします。地区で決めた震度以上の揺れがあったら、役員と班の担当者は家族の安全を確かめたうえで決めた場所に集まり、最初に来た人が本部を開きます。会長や副会長は、あとから到着した時点で記録を受け取って引き継ぎます。役職者の到着を待つ組み方は、夜間や休日には動き出せません。

Q2. 大雨のときも、集会所に集まるべきですか?

地震と同じ基準にしないほうが安全です。夜間に水が出てから外に出ることは危険なので、市町村から避難情報が出たら、役員は自宅から班の担当者と連絡を取り合い、集まらない判断を基準に含めておきます。避難に時間がかかる人の支援は、明るいうちに動けるよう、日没前の段階で担当者に先に連絡を回します。

Q3. 被害がない班からも報告を受ける必要がありますか?

必要です。報告が来ない班は、被害がないのか、報告できない状態にあるのかが本部から区別できません。報告の時刻を決め、被害がなければ「異常なし」と確認できた世帯数を型どおりに報告してもらいます。予定の時刻を過ぎても報告がない班は異常のしるしとして扱い、本部から人を送るか、隣の班に様子を見てもらいます。

Q4. 休日に地区を離れている役員は、何もしなくてよいですか?

地区の外にいる役員にも担える役割があります。電気や通信が使える場所にいる利点を生かし、市町村や気象の発表を確かめて本部に伝える、画面に上がってきた報告を班ごとに整理して返す、住民の家族からの問い合わせを受ける、といった役割です。発災後に頼むのではなく、平時に「地区外にいたときの担当」として決めておきます。

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