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自主防災組織の個人情報をどう扱うか|集めてよいものと、置き場所の決め方

2026年9月16日 ・ Tsudoo編集部

自主防災組織の役員を引き受けると、前任者から紙の束を渡されることがあります。班ごとの世帯の一覧、手書きの連絡網、市役所から届いた「避難行動要支援者」と書かれた封筒、数年前の訓練で集めた参加者の名簿。どれが何のための紙で、どこまで見てよく、いつ捨ててよいのか、誰も説明してくれません。個人情報の扱いに不安を感じて、封筒を開けないまま棚にしまってしまう、という話もよく聞きます。

自主防災組織が持つ個人情報は、ひとまとめに「個人情報だから慎重に」と扱うと、かえって判断がつきません。出どころによって、従うべき決まりも、見てよい人も、処分の仕方も違うからです。ここでは、情報を3つの箱に分けるところから始め、集めてよい項目の決め方、平時に閉じて災害時に開けられる置き場所、役員が代わるときの回収、漏れたときの対応までを順に整理します。

自主防災組織の個人情報は、出どころで3つの箱に分かれる

最初にやるのは、手元にある紙やファイルを、出どころで3つの箱に分けることです。

1つめの箱は、自主防災組織が自分たちで住民から集めた情報です。班ごとの世帯の一覧、世帯の人数や在宅の状況、災害時に声をかけてよい技能の登録、訓練の参加申込などが入ります。集めたのは組織自身なので、何のために集めたのか、誰が見るのか、いつ消すのかも、組織が決めて住民に説明する立場にあります。

2つめの箱は、市町村から提供された情報です。避難行動要支援者名簿の情報や、個別避難計画の情報がここに入ります。これは市町村が災害対策基本法に基づいて作った名簿の一部を、避難の支援のために預かっているものです。扱いの決まりは法律と市町村の地域防災計画にあり、組織が独自に使い道を広げることはできません。

3つめの箱は、訓練や災害の対応の中で生まれる記録です。安否確認の記録用紙、被害の報告、避難所の受付で書いてもらった名前、訓練で撮った写真などです。平時にはほとんど存在せず、発生したときに急に大量に増えるのが特徴です。

この3つを同じファイルに綴じている組織は珍しくありません。混ざっていると、市町村から預かった情報を自分たちの連絡網の作成に流用してしまう、訓練のときの名簿を何年も持ち続ける、といったことが起きます。箱を分けることが、あとの判断をすべて楽にします。

市町村から来る名簿情報は、法律で扱いが決まっている

2つめの箱の情報は、最も扱いが厳しく、同時に最も誤解の多い情報です。

災害対策基本法は、市町村長に避難行動要支援者名簿の作成を義務づけ、平常時から避難支援等関係者に名簿情報を提供することを定めています。提供先として条文に挙がっているのは、消防機関、都道府県警察、民生委員、市町村社会福祉協議会、自主防災組織などです。ただし平常時の提供は、市町村の条例に特別の定めがある場合を除き、本人の同意が得られることが前提です。一方、災害が発生し、または発生するおそれがある場合に、生命や身体を守るために特に必要があると認めるときは、本人の同意がなくても提供できるとされています。

提供を受けた側には、秘密を守る義務が課されています。

第四十九条の十一第二項若しくは第三項の規定により名簿情報の提供を受けた者(その者が法人である場合にあつては、その役員)若しくはその職員その他の当該名簿情報を利用して避難支援等の実施に携わる者又はこれらの者であつた者は、正当な理由がなく、当該名簿情報に係る避難行動要支援者に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。 出典: e-Gov法令検索「災害対策基本法」第49条の13

とりまとめる立場で読み落としてはいけないのは、条文の最後の「又はこれらの者であつた者」です。役員を退いたあとも、在任中に知った秘密を漏らしてはならない、ということです。

消防庁の「自主防災組織の手引」によると、令和4年4月1日現在、名簿を作成済みの1,739市町村のうち、自主防災組織に名簿情報を提供しているのは75.7%です。多くの地域で、自主防災組織はこの情報を預かる立場にあります。

名簿情報を受け取る前に、市町村と決めておくこと

名簿情報の管理の具体的なやり方は、市町村の地域防災計画で定めることになっています。災害対策基本法は、市町村長が名簿情報を提供するときに、提供を受ける者に対して漏えいの防止のために必要な措置を講ずるよう求めることなどに努めなければならない、としています。

消防庁の手引は、内閣府の取組指針が例示している措置として、次の4つを紹介しています。

・施錠可能な場所に保管する ・必要以上に複製しない ・組織の内部で取り扱う者を限定する ・取扱状況を報告する

市町村によっては、提供のときに取り扱いの約束を書面で交わすことがあります。受け取る前に、担当課に次の点を確かめておきます。

・誰が受け取り、誰が見てよいのか(役職で決めるのか、個人名で届け出るのか) ・写しを作ってよいのか、作るなら何部までか ・新しい名簿が届いたとき、古い名簿はどうするのか(返却か、組織で処分か) ・役員が代わるとき、市町村に何か届け出る必要があるか ・紛失したとき、どこに連絡するのか

確かめた内容は、名簿の封筒とは別の紙に書き、引き継ぎの書類に綴じておきます。封筒の中身だけが引き継がれて、扱いの約束が引き継がれないと、翌年の役員は何も知らずに写しを配ってしまいます。

全部を受け取らなくてよい。要る情報だけに絞る

名簿情報を預かることに役員が尻込みする理由の1つは、「他人の病気や障害のことまで詳しく知ってしまう」ことへの負担です。

消防庁の手引は、提供するのは名簿情報や個別避難計画情報であって、名簿や計画の全部である必要はなく、避難支援等の実施に必要な情報に限って一部を提供できる、と説明しています。そして、このことを説明すると関係者の協力を得やすくなるとも書いています。

自主防災組織が避難の支援や安否の確認をするために本当に要るのは、どこに住んでいる誰に、災害時に声をかけるべきか、という情報です。支援が必要な理由を大まかに知っておくことは役に立ちますが、診断名や障害の等級までは必要ないことがほとんどです。

市町村と話すときは、組織として必要な項目を先に示します。住所、氏名、世帯の状況、支援が必要な理由の大まかな区分(歩行が難しい、耳が聞こえにくい、など)、緊急時の連絡先。これで足りるなら、それ以上は受け取らないようにします。

受け取ったあとも、組織の中で全員が全部を見る必要はありません。班ごとに担当者が決まっているなら、担当者が見るのは自分の受け持ちの分だけにします。組織の中で持つ情報を減らすほど、管理の手間も、漏れたときの影響も小さくなります。

個別避難計画づくりに立ち会ったとき、聞いた話をどう扱うか

名簿情報を受け取るだけでなく、個別避難計画を作る場に自主防災組織が加わることがあります。消防庁の手引は、令和3年の災害対策基本法の改正で個別避難計画の作成が市町村の努力義務になったことを受けて、自主防災組織が市町村やケアマネジャーなどと連携し、避難行動要支援者を個別に訪問して本人と打合せを行ったうえで、誰がどこにどのように避難を支援するかを整理しておく必要がある、と書いています。

この訪問の場では、名簿には載っていない話を聞くことになります。夜は何時ごろに寝ているか、ベッドから一人で起き上がれるか、家族が何時に帰ってくるか、玄関の鍵をどこに置いているか。避難の支援には欠かせない話ですが、同時に、防犯の面でも本人の暮らしの面でも、外に出てはいけない話です。

扱いの原則は3つです。1つめは、聞いたことのうち、計画に書く内容は市町村の様式に書き、組織が独自のメモとして持ち帰らないことです。計画の記録は市町村が管理するものです。2つめは、訪問に行く人数を必要な人だけにすることです。支援を担う人と、班の担当者くらいにとどめ、役員が大勢で押しかけることは避けます。3つめは、訪問で知ったことを役員会の雑談で話題にしないことです。「あの家は夜はお一人だから」という一言が、悪意なく広がっていきます。

計画ができたあと、組織が平常時にその情報を受け取るには、名簿情報と同じく本人の同意が前提です。立ち会ったから知っている、ということと、組織として持ってよい、ということは別だと、訪問に行く人に伝えておきます。

自分たちで集める世帯の情報は、使い道から項目を決める

1つめの箱の情報は、組織が自分で集める以上、何を集めるかを自分で決めなければなりません。

まず押さえておきたいのは、自治会や町内会のような非営利の団体も、個人情報保護法の対象になり得ることです。個人情報保護委員会のFAQは、営利か非営利かを問わず、個人情報データベース等を事業の用に供していれば個人情報取扱事業者に該当し、自治会や町内会、マンション管理組合なども該当し得ると説明しています。自主防災組織もその前提で扱うのが安全です。

項目を決めるときは、使い道から逆算します。自主防災組織が世帯の情報を使うのは、主に次の場面です。

・災害時に、班ごとに安否を確かめる ・時間帯ごとに地区にいる人手を見積もり、班編成を考える ・訓練や啓発の連絡を届ける

この3つに要るのは、世帯主の氏名、住所、世帯の人数、時間帯ごとのおおよその在宅状況、連絡先くらいです。生年月日、勤め先、家族全員の氏名、家の間取りは、この使い道からは出てきません。

病歴のような情報は、個人情報保護法で要配慮個人情報とされ、取得には原則として本人の同意が要ります。自分たちで病気や障害のことを聞き取る必要が本当にあるのかは、市町村の名簿情報との役割分担を確かめてから判断します。同じ人の情報を、市町村の名簿と組織の独自の台帳の両方で持つことは避けます。

技能の登録や在宅の申告は、本人がいつでも取り消せる形にする

自分たちで集める情報の中でも、災害時に声をかけてよい技能の登録や、時間帯ごとの在宅の申告は、本人の事情で変わりやすい情報です。看護の仕事を辞めた、介護が始まって手伝える余裕がなくなった、夜勤の仕事に変わった。登録したときのままの情報が台帳に残っていると、災害時に当てにならないうえ、本人が望まない形で声がかかります。

集めるときの用紙に、「内容が変わったとき、登録をやめたいときは、班長に伝えてください。すぐに台帳から外します」と書いておきます。申し出る先を具体的な役割で書くことが大切です。「自主防災組織まで」と書くと、誰に言えばよいか分かりません。

申し出を受けた班長は、情報班の責任者に伝え、台帳と、配っている写しの両方を直します。写しの番号の記録があれば、どの写しを差し替えればよいかがすぐに分かります。取り消しの申し出を受けた記録そのものは、名前を書かずに件数だけを残し、年に1回の役員会で報告すると、登録の仕組みが本人の意思で動いていることを組織の中でも確かめられます。

自治会の名簿と、防災の台帳を混ぜない

自主防災組織の多くは自治会や町内会が兼ねているか、その一部門です。そのため、自治会の会員名簿をそのまま防災の台帳として使っていることがあります。

混ぜると困ることが2つあります。1つは、使い道の説明がずれることです。自治会の名簿は、会費の管理や総会の案内のために集めたものです。そこに「災害時の安否確認に使う」「在宅の状況を書き込む」という使い道を後から足すと、会員は何のために出した情報なのか分からなくなります。防災に使うなら、その目的を示して、あらためて同意を得るのが筋です。

もう1つは、自治会に入っていない世帯の扱いです。地区には、自治会に加入していない世帯も住んでいます。災害は加入の有無を選ばないので、自主防災組織としては未加入の世帯にも避難の情報を届け、安否を気にかけたいところです。しかし、会員名簿を台帳にしていると、未加入の世帯は最初から載りません。逆に、加入していない世帯の情報を本人の申し出なしに台帳に書き込むこともできません。

防災の台帳は、自治会の名簿とは別の用紙で、防災のためだけに申し出てもらう形にします。加入の有無にかかわらず、地区の全世帯に「災害時の安否確認のために、この用紙を出していただけますか」と配ります。出すかどうかは任意にし、出さない世帯には、班の担当者が災害時に外から様子を見る、という扱いにします。

置き場所は、「平時は閉じて、災害時に開ける」を両立させる

自主防災組織の個人情報の置き場所には、他の団体にはない難しさがあります。平時にはできるだけ人の目に触れないようにしたい一方で、災害時にはすぐに取り出せなければ意味がありません。

鍵のかかる金庫に入れ、鍵を会長だけが持つ形は、平時には安全ですが、会長が被災したり地区外にいたりすると、災害時に誰も開けられません。反対に、防災倉庫の棚に置いておけば災害時にすぐ使えますが、倉庫の鍵を持つ人は多く、平時に誰が見ても分かりません。

両立させるための工夫は、次のようなものです。

・封筒に入れて封をし、封の上に「開けてよい条件」と「開けてよい人の役割」を書く ・鍵は2人以上が持ち、どちらかが地区にいれば開けられるようにする ・封を開けたら、開けた日時と開けた人の名前を封筒に書く決まりにする ・平時に確認のため開けるのは、年に1回の点検日だけにする

画面で管理する場合も、考え方は同じです。見られる人を役割で限定し、見た記録が残る形にし、停電や回線の不通に備えて、最小限の紙の写しを封をした形で倉庫に置きます。

あわせて決めておきたいのが、名簿の原本を自宅に持ち帰らない、という決まりです。点検や更新の作業を家でやりたくなる気持ちは分かりますが、原本が役員の自宅を行き来するようになると、どこに何部あるのかを誰も把握できなくなります。作業は集会所で行い、終わったら元の場所に戻す。この1つの決まりが、置き場所の工夫をすべて生かすかどうかを左右します。

どの形にするかは、市町村から預かった名簿情報の管理の約束とも合わせて決めます。預かった情報について市町村が保管の場所や方法を指定している場合は、それに従います。

紙の写しは、担当ごとに必要な分だけ切り分ける

名簿や台帳を災害時に使うためには、ある程度の写しが必要です。ここで一冊丸ごとの写しを班長全員に配ると、写しの数だけ漏れる経路が増えます。

写しは、担当ごとに必要な分だけ切り分けて作ります。2班の担当者には2班の分だけ、要支援者の担当者には受け持ちの人の分だけ。全体の一覧を持つのは、会長と副会長と、情報班の責任者程度に限ります。

写しには、それぞれ番号を振ります。「2班用 第1部」「2班用 第2部」のように書き、どの番号を誰に渡したかを台帳に記録します。番号があると、回収のときに漏れがないかを確かめられます。

写しの作成日も書いておきます。世帯の状況は1年で変わるので、古い写しが残っていると、災害時に転出した世帯を探したり、新しく越してきた世帯を見落としたりします。新しい写しを渡すときは、古い写しと引き換えにするのを原則にします。

写しの配り方にも注意します。回覧板に挟む、郵便受けに入れる、画面に一覧を貼り付けて送る、といった方法は避けます。担当者に手渡しするか、見られる人が限られた場所に置き、受け取ったことを確かめます。

災害時に生まれる記録は、使い終わったら扱いを決める

3つめの箱の情報は、災害や訓練のときに一気に増えます。安否確認の記録用紙には、どの家の誰が無事で、誰がけがをしていて、誰と連絡がつかないかが書かれます。避難所の受付では、避難してきた人の名前や住所、家族構成、配慮が必要なことが書かれます。

発災直後は、こうした記録を集めて使うことが最優先です。人の命がかかっている場面で、個人情報を理由に記録を取らない、報告しない、ということがあってはなりません。個人情報保護法も、人の生命や身体の保護のために必要があり、本人の同意を得ることが難しい場合を例外として扱っています。

その一方で、落ち着いたあとの扱いは決めておく必要があります。

・避難所の受付の名簿は、避難所を開設した市町村の方針に従い、原則として市町村に引き渡す ・安否確認の記録は、対応が終わったら、残す必要があるものと処分するものに分ける ・無事だった人の名前を掲示板に貼り出すかどうかは、本人の意向と市町村の方針を確かめてから決める ・災害時に市町村から提供を受けた名簿情報は、使い終わったあとの返却や処分の方法を市町村に確かめる

災害が起きてから考える余裕はないので、防災計画か、名簿の管理の約束の中に、こうした「使い終わったあと」の扱いを書いておきます。

訓練で生まれる記録も同じです。訓練の参加者名簿や、安否確認訓練で書いた用紙は、訓練の振り返りが終わったら処分します。訓練には本物の名簿を使わず、架空の世帯を書いた練習用の用紙を使うと、処分の手間そのものがなくなります。

訓練の写真は、写っている人の事情まで考えて外に出す

3つめの箱のうち、訓練のたびに増えていくのが写真です。自主防災組織の訓練の写真は、市町村の広報紙に載る、補助金の実績報告に添える、地区の防災だよりに載せる、といった形で外に出ていく機会が多くあります。

ここで気をつけたいのは、写真が「写っている人の事情」まで伝えてしまうことです。避難行動要支援者の避難を支える訓練で、車いすの人を担当者が押している写真を載せると、その人が支援を必要としていることが、顔と一緒に地区の外にまで伝わります。安否確認訓練で、玄関に目印を出している家の写真を載せると、家の外観と住所の見当がつきます。

写真を外に出す前に、次の点を確かめます。

・支援を受ける役の人が、本人として写っていないか(訓練では役員が支援を受ける役を務める形にすると、この問題は起きにくくなります) ・家の表札や、番地の分かる看板が写り込んでいないか ・子どもの顔がはっきり写っていないか ・写っている人に、外に出すことを伝えてあるか

訓練の受付で「写真を撮り、防災だよりや市町村への報告に使うことがあります。写りたくない方は係にお伝えください」と一言伝え、腕章などで写らない人が分かるようにしておくと、当日の撮影で迷わずに済みます。

役員が代わるときに、名簿の写しを回収する

消防庁の手引に載っている規約の例では、防災委員の任期を5年、その他の役員を1年としています。この例に近い規約で動いている組織では、毎年、名簿の写しを持つ人が入れ替わることになります。

交代のときに起きやすいのは、前任者の手元に写しが残ることです。班長を退いた人の家の引き出しに、班の世帯の一覧が入ったまま、ということは珍しくありません。本人に悪意はなくても、数年後に家を片付けた家族が捨てる、古紙に出す、という形で外に出ていきます。

回収は、交代の場で行います。

・前任者から、番号付きの写しをすべて返してもらう ・番号の台帳と照らし合わせ、欠けている番号がないか確かめる ・端末に保存した写しや、撮影した画像があれば、その場で消してもらう ・画面の閲覧権限を、前任者から外し、後任者に付ける ・封をした名簿の鍵を、後任者に引き渡す

そして前任者には、名簿情報について秘密を守る義務が退任後も続くことを、一言伝えます。責める意味ではなく、知らないまま話してしまうことを防ぐためです。

交代の手順を紙1枚にしておき、毎年同じ紙を使って確認すると、役員が誰になっても抜けが出にくくなります。

漏れたときは、出どころの箱ごとに連絡先が違う

紛失や漏えいは、どれだけ注意しても起きることがあります。写しの入った鞄を置き忘れた、宛先を間違えて一覧を送った、倉庫の封が開けられていた。

気づいたら、まず何が漏れたのかを箱で分けます。連絡先が違うからです。

市町村から預かった名簿情報が含まれていたら、すぐに市町村の担当課に連絡します。名簿情報は市町村が作った名簿の一部で、対応の主体は市町村です。組織の判断で、名簿に載っている本人に謝罪の連絡を入れたり、事情を説明して回ったりすると、市町村の対応と食い違うことがあります。

組織が自分で集めた情報だけなら、会長と役員会で対応を決めます。何件の、どの項目が、どのような状態で外に出たのかを整理し、該当する本人への説明の仕方を決めます。個人情報保護法に基づく報告や本人への通知が必要になる場合の判断基準は、個人情報保護委員会が示しています。迷ったら、個人情報保護委員会の相談窓口や、市町村の担当課に相談します。

どちらの場合も、気づいた人が一人で抱え込まないことが大切です。連絡の順番と連絡先を、名簿の管理の紙に書いておきます。

置き場所を選ぶときに見る点

個人情報の置き場所に画面の道具を使うかどうかを考えるときは、便利さより、見られる人を決められるかどうかを先に見ます。見る点は3つです。

1つめは、入れる人を組織が選べるかどうかです。招待のリンクを知っていれば誰でも入れる形では、名簿に関わる連絡を載せられません。申し込みを受けてから承認する形や、招かれた人だけが入れる形を選べるかを確かめます。LINEグループとの比較LINEオープンチャットとの比較では、参加の管理の仕方と、匿名で参加できるかどうかの違いが整理されています。

2つめは、預けた情報がどこで、どの決まりのもとで管理されるかです。自主防災組織が扱う情報は、市町村から預かったものを含みます。BANDとの比較では、利用規約が準拠する法律や、保存容量を超えたときの自動削除の扱いが項目ごとに並んでいます。よくある質問には、メンバー以外は見られないことや、データの保管についての説明があります。

3つめは、役員が代わっても、閲覧の権限を渡し替えられるかどうかです。前任者の端末にだけ履歴が残る形だと、回収の手順が守れません。PTAでの使われかたには、連絡先を交換せずにやりとりし、役員が代わっても記録がグループに残る例があります。地区の連絡での使い方は町内会での使われかたで確かめられます。アカウントの要否が気になる場合はFacebookグループとの比較、若い担い手の入口の重さはDiscordとの比較が参考になります。

ただし、市町村から預かった名簿情報そのものを、画面の道具に載せてよいかどうかは、道具の側の仕様では決まりません。市町村との管理の約束で決まります。道具で扱うのは、訓練の案内や、名簿を含まない連絡までにとどめ、名簿情報は約束どおりの場所に置く。この線を引いておくことが、自主防災組織の個人情報の扱いでは最も確実です。

Q1. 市町村から届いた避難行動要支援者の名簿は、役員全員に配ってよいですか?

配る前に、市町村との管理の約束を確かめてください。災害対策基本法は名簿情報の提供を受けた者に秘密保持の義務を課しており、消防庁の手引は、取り扱う者の限定や必要以上の複製の禁止を措置の例として紹介しています。全員に一冊ずつ配るのではなく、担当ごとに受け持ちの分だけを切り分け、番号を付けて渡す形にします。

Q2. 自治会の会員名簿を、防災の台帳として使ってもよいですか?

会費の管理や総会の案内のために集めた名簿を、そのまま災害時の安否確認に使うと、集めたときの使い道と食い違います。また、自治会に加入していない世帯は名簿に載りません。防災の台帳は別の用紙で、目的を示したうえで地区の全世帯に任意で出してもらう形にするのが筋です。

Q3. 名簿を倉庫に置くと漏れそうで、金庫にしまうと災害時に開けられません。どうすればよいですか?

封をした封筒に「開けてよい条件」と「開けてよい人の役割」を書き、鍵を2人以上で持つ形にすると両立しやすくなります。開けたら日時と名前を封筒に書く決まりにし、平時は年に1回の点検日だけ開けます。市町村から預かった名簿情報について保管の方法が指定されている場合は、それに従ってください。

Q4. 役員を退いたあとは、名簿のことを話しても問題ありませんか?

市町村から提供された名簿情報については、災害対策基本法第49条の13で、提供を受けて避難支援等に携わった人は退いたあとも、正当な理由なく秘密を漏らしてはならないとされています。交代の場で写しを回収するときに、この義務が続くことを前任者に一言伝えておくと、知らずに話してしまうことを防げます。

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