自主防災組織の訓練の日程を決めようとして、役員会で候補日を3つ出し、班長に都合を聞いてようやく1日に絞った。ところが消防署に指導をお願いしたら、その日は別の地区の訓練に行くので来られないと言われた。会場の小学校に連絡すると、その週末は運動会の準備で体育館が使えない。結局、最初からやり直しになる。自主防災組織の日程調整では、こうした手戻りがよく起きます。
原因は、候補日を出す順番にあります。自主防災組織の予定は、住民や役員の都合より先に、消防機関、会場になる学校、市町村の行事といった地区の外の予定に縛られています。外の予定を先に押さえ、そのあとで内側の都合を聞けば、手戻りはほとんどなくなります。ここでは、調整する予定の種類の分け方、候補を出す順番、暦との合わせ方、訓練をやめる基準、翌年に残す記録までを順に整理します。
自主防災組織の日程は、地区の外の予定に縛られている
町内会の行事や役員会なら、役員と会員の都合を合わせれば日程は決まります。自主防災組織の訓練は、そうはいきません。
消防庁の「自主防災組織の手引」は、防災訓練を実施するうえでのポイントとして、正しい知識や技術を身につけるために消防機関等の指導を受けること、市町村や消防機関等が主催する総合防災訓練には積極的に参加すること、訓練の実施を市町村などに届け出ることとなっている場合は忘れずに届け出ることを挙げています。つまり、訓練の日程には最初から、消防機関と市町村という2つの外部の相手が関わっています。
加えて、訓練の会場として使われることの多い小学校や中学校は、災害時には避難所になる施設であり、平時は学校です。学校の行事や部活動の予定が先に決まっていて、自主防災組織はその空いている日を使わせてもらう立場になります。
さらに、地区によっては消防団や近隣の自主防災組織、学校との合同訓練を行います。関係する相手が増えるほど、日程の自由度は下がります。
この構造を踏まえると、自主防災組織の日程調整の要点は、「どの予定から先に押さえるか」の順番に尽きます。役員の都合から聞き始めると、あとから外の予定とぶつかって、役員に聞き直すことになります。外から内へ、動かせないものから動かせるものへ、という順番を守ることが、調整の手間を減らす一番の方法です。
調整する予定を、性質で5つに分ける
自主防災組織が1年のうちに決める予定は、性質の違う5つに分かれます。まとめて「日程調整」と呼ぶと、どれも同じやり方で決めようとしてしまいます。
・総合訓練(地区の住民に広く参加を呼びかけ、情報伝達、消火、避難などを組み合わせて行う) ・個別訓練(消火器の使い方、救出・救護、避難所の開設など、テーマを絞って行う) ・資機材の点検(防災倉庫の中身、発電機や可搬式ポンプの動作、備蓄の期限を確かめる) ・会議(総会、役員会や幹事会、避難所運営の協議) ・外部の行事への参加(市町村の総合防災訓練、防災講習、リーダー研修)
この5つは、決め方が違います。総合訓練は、関係者が最も多く、準備にも時間がかかるので、1年の最初に日を固めます。個別訓練は、少人数で行えるので、総合訓練の日が決まったあとに、その前後に配置します。資機材の点検は、毎年同じ時期に固定してしまえば、調整そのものが要らなくなります。会議は、役員だけで決められるので、ほかの予定が決まってから最後に入れます。外部の行事は、日程を自分たちで決められないので、発表されたらそのまま予定表に書き写します。
5つを分けて考えるだけで、「全部の予定を毎回ゼロから調整する」状態から抜け出せます。実際に調整が必要なのは、総合訓練と個別訓練の2つだけ、ということも珍しくありません。
1番目に押さえるのは、市町村と消防の予定
候補日を考える前に、まず地区の外の予定を集めます。最初に確かめるのは、市町村と消防の予定です。
市町村が主催する総合防災訓練の日程は、自主防災組織の訓練とぶつけないようにします。同じ日に重なると、役員や住民が市町村の訓練に参加できなくなるうえ、消防機関の人手も市町村の訓練に回ります。市町村の訓練に地区として参加するなら、その日を自主防災組織の総合訓練と位置づけてしまう、という決め方もあります。
消防署に訓練の指導を依頼する場合は、依頼の受付の時期と方法を先に確かめます。依頼の締め切りや、何週間前までに申し込むかは、消防本部ごとに違います。とくに防災の日の前後や、火災予防運動の期間は、多くの地区や事業所が同じ時期に訓練を計画するので、依頼が重なりやすくなります。希望日を1つだけ伝えるのではなく、第2希望、第3希望まで添えて相談するのが実務的です。
訓練の実施を市町村に届け出る決まりがある地域では、届け出の期限も確かめます。消火訓練で水を出す、道路を使う、防災行政無線を使うなど、訓練の中身によって別の手続きが要る場合もあります。
こうして集めた外の予定は、1枚の年間の表に書き出します。この表が、候補日を考えるときの土台になります。
2番目は会場。避難所になる学校の行事と重ならない日を探す
外の予定の次に押さえるのは、会場です。総合訓練や避難所の開設訓練を学校で行う場合、学校の年間の行事予定が最大の制約になります。
学校の年間行事予定は、年度の初めに決まることが多く、運動会、学芸会、授業参観、入学式や卒業式の準備、長期休みの部活動の大会などが入っています。体育館や校庭は、行事の当日だけでなく、準備や片付けの日にも使えません。平日の放課後や休日でも、部活動や地域のスポーツ団体の利用が入っていることがあります。
学校との調整は、年度の初めに一度まとめて行うのが効率的です。自主防災組織の年間の訓練の希望をまとめて、学校の窓口になる教職員に相談し、体育館や校庭を使える日の候補をもらいます。訓練のたびに個別に相談すると、学校の側もそのつど行事予定を確かめる手間がかかります。
避難所運営の訓練を学校で行う場合は、学校の教職員に参加してもらうかどうかも、日程に影響します。休日の訓練に教職員の参加を求めるのか、平日の授業のあとに短時間で行うのかによって、選べる日は変わります。
学校以外の会場、たとえば公民館や集会所を使う場合も、予約の受付開始日を確かめておきます。公共施設は、予約の受付が数か月前から始まり、人気のある週末はすぐに埋まることがあります。候補日を決めてから会場を探すのではなく、会場の空きを見てから候補日を出す順番にします。
3番目に、欠けたら訓練が成り立たない人の都合を聞く
外の予定と会場で候補日が絞れたら、ここで初めて内側の人の都合を聞きます。ただし、役員全員の都合を合わせようとすると、日は決まりません。聞く相手を絞ります。
最初に聞くのは、その人が欠けたら訓練が成り立たない人です。
・防災倉庫の鍵を持っている人 ・可搬式の動力ポンプや発電機を操作できる人 ・無線機を扱える人 ・訓練の進行役(会長や、訓練の担当役員) ・消防署や学校との連絡の窓口になっている人
この人たちの都合で、候補日を2つか3つに絞ります。欠けたら困る人が1人しかいない役割があれば、それ自体が問題です。日程の調整をきっかけに、鍵やポンプの操作を2人以上ができるように準備を進めます。
次に、各班の担当者に候補日を示し、どの日なら班として訓練に人を出せるかを聞きます。ここでは個人の都合を細かく聞くのではなく、「この日なら班から誰かしら出られるか」を班長にまとめてもらいます。
回答の期限は1週間程度に区切ります。期限までに返事がない班は、「どの日でも出られる」ではなく「未回答」として扱い、班長に一度だけ確かめます。すべての班の返事がそろうまで待つと、会場の仮押さえの期限が切れてしまいます。
住民に聞くのは最後。聞くのは日ではなく時間帯
総合訓練は住民に広く参加してもらう行事ですが、住民一人ひとりに候補日の都合を聞くことはしません。数百世帯の都合は合わせようがなく、聞けば聞くほど決まらなくなるからです。
住民への対応は、「日を聞く」のではなく「決めた日を早く知らせる」ことに力を注ぎます。訓練の2か月前には日付を知らせ、1か月前に詳しい案内を出し、1週間前にもう一度知らせる。予定が分かっていれば、参加したい人は自分で都合をつけます。
住民の意見を日程に反映させたいときは、個別の訓練ごとではなく、年に一度まとめて聞きます。聞くのは、具体的な日付ではなく、時間帯の好みです。
・土曜日と日曜日のどちらが参加しやすいか ・午前と午後のどちらが参加しやすいか ・1回あたり何時間までなら参加できるか
この結果を翌年の年間の予定を組むときの参考にします。高齢の住民が多い地区では午前の短時間が好まれ、子育て世帯が多い地区では、子どもの習い事がある午前を避けたいという声が出ることがあります。地区の顔ぶれに合わせて時間帯を決めておけば、個別の日付を聞かなくても、参加しやすい訓練になります。
防災の暦に合わせる。ただし、その日そのものにこだわらない
訓練の時期は、防災の暦に合わせると、住民に意味が伝わりやすく、市町村の啓発とも足並みがそろいます。消防庁の手引に載っている防災計画の例では、訓練の時期について次のように書かれています。
訓練は、原則として春季及び秋季の火災予防運動期間中並びに防災の日に実施する。 出典: 総務省消防庁「自主防災組織の手引(令和5年3月)」防災計画(例)
これは例であり、それぞれの組織が防災計画で決めることです。そのうえで、実際の日程に落とすときには、暦の日そのものにこだわりすぎないことが大切です。
防災の日は9月1日で、年によっては平日にあたります。平日に総合訓練を行うと、勤めに出ている住民は参加できません。防災の日の前後の週末に行う、と決めておくほうが現実的です。
また、9月の初めはまだ暑さが厳しい時期です。屋外で長時間の訓練を行うと、参加者の体調を崩すおそれがあります。消火訓練のように屋外で行う内容は、秋の火災予防運動の時期に回し、防災の日の前後には、屋内でできる避難所の開設訓練や、短時間の安否確認訓練を行う、という振り分けも考えられます。
暦に合わせる利点は、「毎年この時期に訓練がある」と住民が覚えてくれることです。暦の日に完全に合わせるより、「9月の第1日曜日」「11月の第2日曜日」のように、毎年同じ決め方で日が決まる形にしておくと、調整の手間も減り、住民にも伝わりやすくなります。
年間の予定は、総会でまとめて決める
訓練のたびに日程を調整していると、調整だけで役員の時間がなくなります。1年分の主な予定は、総会でまとめて決めてしまうのが効率的です。
消防庁の手引に載っている規約の例では、総会は毎年1回開き、防災計画や事業計画、予算などを審議するとされています。事業計画の中に、年間の訓練の予定を日付まで入れて示し、総会で承認を得ておきます。
総会で決める予定には、本番の日と一緒に予備日を入れておきます。雨や暑さ、実際の災害のおそれで訓練を延期したとき、予備日が決まっていれば、あらためて調整をやり直さずに済みます。予備日は、本番の2週間後など、会場と消防署の都合をあらかじめ確かめた日にします。
総会で予定を示すためには、総会の前までに、外の予定と会場の空きを集めておく必要があります。年度の初めに総会を開く組織では、前年度の役員が年度末までに学校や消防署への相談を済ませ、新しい役員に引き継ぐ形になります。この引き継ぎがうまくいかないと、総会では「日程は役員会で決めます」としか示せず、結局は年度に入ってから個別に調整することになります。
総会で決まった予定は、全戸に配る紙と、見られる場所の両方に載せます。総会に出ていない住民にとっては、そこで初めて1年の訓練の日を知ることになるからです。
雨と暑さの判断を、日程と一緒に決めておく
訓練の日程を決めるときは、その日にやめる条件も一緒に決めておきます。当日の朝に役員が集まって相談するのでは、住民への連絡が遅れます。
雨の場合、防災訓練ならではの考え方があります。災害は天気を選ばないので、多少の雨なら訓練を行う、という考え方もあります。一方で、足元が滑る中で担架を運ぶ、はしごを使う、といった訓練は、けがの危険が高まります。訓練の中身ごとに、雨でも行うもの、屋内に切り替えるもの、中止するものを分けておきます。
・情報伝達訓練や安否確認訓練は、雨でも行う ・消火訓練や救出訓練は、屋外が危険なら体育館での説明と実演に切り替える ・避難訓練で長い距離を歩く内容は、強い雨なら中止する
暑さについては、環境省と気象庁が発表する熱中症警戒アラートのような公表された情報を、判断の基準に使うと、役員の主観で揉めずに済みます。「前日の夕方の時点で、地域に熱中症警戒アラートが出ていたら、屋外の訓練は屋内に切り替える」といった形で決めておきます。
判断する時刻と、判断する人と、知らせる方法も決めます。「前日の午後5時に会長と訓練担当が判断し、見られる場所に掲示して、班長から電話が要る世帯に伝える」。これを案内の紙に最初から書いておけば、住民は当日の朝に問い合わせる必要がなくなります。
実際に災害が迫っている日は、訓練をやめる
自主防災組織の訓練には、他の団体の行事にはない中止の理由があります。本物の災害のおそれがある日です。
台風が近づいている、大雨の警報が出ている、前日に大きな地震があった。こうした日に訓練を行うことは避けます。住民を集めること自体が危険になるうえ、消防機関は実際の警戒や出動に備えていて、訓練の指導に来られなくなります。市町村の職員も同じです。
判断の基準は、雨や暑さの基準とは別に決めておきます。
・訓練の前日から当日にかけて、地区を含む地域に気象の警報が出ている場合は中止 ・市町村から避難に関する情報が出ている場合は中止 ・消防署から指導に来られないと連絡があった場合は、指導が必要な内容を延期する
中止を決めたら、予備日に延期するのか、その年は行わないのかも決めます。台風の時期と訓練の時期が重なる地区では、秋の訓練が2年続けて中止になる、ということも起こり得ます。その場合は、次の年の訓練を、台風の時期を避けた春に移すなど、年間の予定そのものを見直します。
こうした日に訓練を中止した経験は、それ自体が防災の実地の練習になります。中止の判断をどう伝えたか、住民に伝わるまで何時間かかったかを記録しておくと、緊急時の連絡の見直しに役立ちます。
資機材の点検日は、調整しない日として固定する
5つの予定のうち、資機材の点検は、調整そのものをなくせる予定です。
消防庁の手引の防災計画の例では、防災資機材の定期点検について「毎年○月第○ ○曜日を全資機材の点検日とする」という形で、日を固定する書き方が示されています。毎年同じ月の同じ週の同じ曜日に決めてしまえば、役員は何年先でも点検日を知ることができ、そのつど都合を聞く必要がありません。
固定する月は、点検の中身に合わせて選びます。
・発電機や可搬式ポンプの燃料を入れ替えるなら、使う機会が増える季節の前 ・備蓄の食料や水の期限を確かめるなら、防災の日の前(期限の近いものを訓練で配れる) ・冬に凍結するおそれのある給水の設備があるなら、寒くなる前
点検は数人で1〜2時間あれば終わることが多いので、住民の都合を聞く必要はありません。点検の担当を2人以上決め、都合がつかない人がいても、残りの人で行える形にしておきます。
点検日を固定したら、ついでにやることも固定します。倉庫の紙のひな型を確かめる、名簿の封が開けられていないかを確かめる、鍵を持つ人の顔ぶれに変わりがないかを確かめる。点検日が、防災倉庫に関わるあらゆる確認の日になるようにしておくと、年に1回で抜けなく回ります。
図上訓練や役員会は、平日の夜に短時間で組む
地区の住民を集める総合訓練と違い、役員や班長だけで行う予定は、日程の組み方を変えます。
消防庁の手引は、防災訓練のポイントの1つとして、短時間でも訓練を行えるよう実施方法等を工夫し、毎年定期的に行うことを挙げています。また、代表的な訓練の1つとして、災害に対するイメージトレーニングである図上訓練を挙げています。
図上訓練は、集会所の机に住宅地図を広げて行えるので、会場の調整がほとんど要りません。平日の夜に90分程度で組めば、勤めのある役員も参加しやすくなります。消防署の指導がなくても、手引などの資料をもとに役員だけで行えます。
役員会や幹事会も同じです。毎月の開催日を「第2木曜日の午後7時」のように固定すれば、調整は要りません。欠席する人が出ても、開催を動かさないことを原則にします。開催日を動かし始めると、毎回の調整に時間がかかり、結局は開催の間隔が空いていきます。
平日の夜の予定を組むときは、終わりの時刻を必ず決めて知らせます。「午後7時から8時半まで」と示してあれば、翌日に仕事のある人も参加を決めやすくなります。
消防団や近隣の組織との合同訓練は、春に予定を持ち寄って決める
地区によっては、消防団の分団、隣接する自主防災組織、学校、地区内の事業所と合同で訓練を行います。消防庁の手引は、人口が少なく高齢者が多い地域について、近隣の自主防災組織と連携し、防災活動を共同で行うことや、小学校区程度の規模で連合組織を作ることにも触れています。
合同訓練の日程は、関係する組織がそれぞれ自分の予定を決めてから相談すると、空いている日がほとんど残りません。年度の初め、各組織が年間の予定を固める前に、予定を持ち寄る場を設けます。
持ち寄るものは、次のようなものです。
・各組織ですでに決まっている、動かせない行事 ・学校の年間行事予定(学校が加わる場合) ・消防団の出初式や操法大会の練習など、分団の主な予定 ・市町村の総合防災訓練の日程
合同訓練の日を先に決め、それを避けて各組織の単独の予定を組む、という順番にすれば、重なりを防げます。持ち寄りの場の世話役は、毎年同じ組織が担うか、持ち回りにするかを決めておきます。世話役が決まっていないと、誰も声をかけないまま各組織が単独で予定を決めてしまいます。
消防団は市町村の消防機関で、火災や災害があれば訓練の予定より出動が優先されます。合同訓練の日に分団が出動で来られなくなる場合も想定し、その場合に自主防災組織だけで行える内容を用意しておきます。
決まった日程と変更を、1か所で知らせる
日程が決まったあとに起きる混乱の多くは、変更の伝わり方から生まれます。訓練の日を延期した、集合時刻を30分早めた、会場を体育館から校庭に変えた。こうした変更が、最初の案内と別の経路で伝わると、古い情報のまま動く人が出ます。
変更を知らせるときは、最初の案内を出した場所と同じ場所で知らせます。そして、最初の案内そのものを書き直すか、変更したことが一目で分かるように、案内の先頭に「日程を変更しました」と書きます。古い案内を残したまま新しい案内を別に出すと、どちらが正しいのか分からなくなります。
紙の案内を全戸に配ったあとで変更が出た場合は、変更の紙を全戸に配り直すのが原則です。直前の変更で配り直しが間に合わない場合は、班長から、紙で案内を受け取っている世帯に直接伝えます。
変更の知らせには、次のことを必ず書きます。
・何が変わったのか(変わる前と変わった後の両方) ・変更の理由(短く) ・変わっていないこと(持ち物、集合場所など)
変わっていないことを書き添えるのは、変更の知らせを受け取った人が「ほかにも何か変わったのではないか」と不安になり、問い合わせてくるのを防ぐためです。
日程を決めた記録を、翌年の役員に残す
自主防災組織の日程調整で最も時間を取られるのは、毎年、同じ相手に同じ確認を最初からやり直すことです。役員が1年で代わる組織では、とくにこれが起きます。
翌年の役員に残す記録は、決まった日付だけでは足りません。次のような「決めるまでの情報」を残します。
・消防署への指導の依頼は、何か月前に、どの窓口に、どの方法で申し込んだか ・学校には、いつ、誰に相談し、体育館を使える日の候補をもらったか ・市町村への届け出は、何日前までに、どの様式で出したか ・訓練の当日の天候と、参加した人数 ・雨や暑さ、災害のおそれで中止や変更をした場合、いつ誰が判断し、どう伝えたか ・住民から出た、日程や時間帯についての声
これを年度ごとに1枚にまとめ、同じ場所に積み重ねていきます。3年分がそろえば、「消防署への依頼は3か月前に出せば第1希望が通る」「11月の第2日曜日は学校の行事と重なりやすい」といった、地区ならではの目安が見えてきます。
残した記録は、次の役員が自分で開ける場所に置いてはじめて役に立ちます。前任者の手帳や個人の端末に残っていても、次の役員には届きません。
予定を置く場所を選ぶときに見る点
日程をどこに置くかを選ぶときは、機能の多さより、変更に強いかどうかを見ます。見る点は3つです。
1つめは、予定を書き直したときに、案内も一緒に直るかどうかです。カレンダーと掲示板が別々だと、カレンダーの日付を直しても、掲示板の案内が古いまま残ります。LINEグループとの比較では、その都度トークで知らせる形と、予定を書き直すと掲示板のお知らせも一緒に直る形の違いが項目ごとに並べてあります。
2つめは、訓練の受付をどこまで細かく分けたいかです。避難所の開設訓練を午前の部と午後の部に分けて定員を設けるような場合、BANDとの比較の表を見ると、時間帯ごとに参加者を募る機能を持つ道具と、カレンダーと出欠にとどめている道具の差が分かります。受付を細かく分けない訓練なら、そこは決め手になりません。
3つめは、年配の役員や住民が迷わずに開けるかどうかです。新しいIDとパスワードを増やさずに入れるかどうか、画面の文字を大きくできるかどうかは、よくある質問で確かめられます。地区の連絡での使い方は町内会での使われかたに、次の集まりの日程と行事の写真が同じ場所に残っている例があります。役員が毎年代わる前提で記録が残る形はPTAでの使われかたで見られます。
参加者を広く募る入口を重視するならLINEオープンチャットとの比較、イベントの機能とアカウントの要否はFacebookグループとの比較、サーバーのイベント機能と画面の作りの違いはDiscordとの比較が参考になります。
どの道具を選んでも、外の予定から先に押さえ、動かせない日を固定し、やめる条件を先に決め、決めるまでの経緯を翌年に残す。この順番を守れば、自主防災組織の日程調整は、毎年ゼロからやり直す作業ではなくなります。
Q1. 訓練の候補日は、役員の都合から聞けばよいですか?
役員の都合より先に、地区の外の予定を押さえてください。市町村の総合防災訓練の日程、消防署に指導を依頼できる日、会場になる学校の行事予定を集めてから候補日を出すと、あとで役員に聞き直す手戻りが起きません。役員に聞くときも、鍵やポンプを扱える人など、欠けたら訓練が成り立たない人から先に確かめます。
Q2. 防災の日が平日の年は、どうすればよいですか?
防災の日そのものにこだわらず、前後の週末に行う形にしておくと、勤めのある住民も参加できます。9月の初めは暑さが厳しいので、屋外の消火訓練は秋の火災予防運動の時期に回し、防災の日の前後は屋内の避難所開設訓練にするなど、内容を振り分ける方法もあります。毎年同じ決め方で日が決まる形にすると、住民にも伝わりやすくなります。
Q3. 台風が近づいている日の訓練は、どう判断すればよいですか?
実際の災害のおそれがある日は、訓練を中止する基準を日程と一緒に決めておきます。地域に気象の警報が出ている場合や、市町村から避難に関する情報が出ている場合は中止にし、判断する時刻と判断する人、知らせる方法を案内に書いておきます。予備日を総会で決めておくと、延期のたびに調整をやり直さずに済みます。
Q4. 毎年の日程調整の手間を減らす方法はありますか?
資機材の点検日や役員会は、毎年同じ月の同じ週の同じ曜日に固定すると、調整そのものが要らなくなります。訓練は総会で年間の予定と予備日をまとめて決めます。さらに、消防署への依頼時期、学校への相談の相手、当日の天候や参加人数といった決めるまでの記録を年度ごとに残すと、翌年の役員が同じ確認を繰り返さずに済みます。
