自主防災組織のお知らせは、ほかの集まりの連絡と比べて、読まれにくい条件がそろっています。締め切りのある集金や、日付の決まった行事と違い、防災の知らせは「今日読まなくても困らない」ように見えるからです。ところが、いざ災害が近づいたときに住民が頼りにするのは、それまで読み流してきた知らせの中身です。一時集合場所はどこか、班の担当は誰か、本部はどこに立つのか。平時に届いていなければ、非常時に一から伝えることになります。
この記事では、読まれないことを前提にしたうえで、自主防災組織のお知らせをどう出せば必要なことだけは残るのかを整理します。お知らせの種類の分け方、常に置いておく情報と流す情報の区別、訓練の日に近所を驚かせないための告知、行政から届く情報を地区の言葉に直す手順、届きにくい世帯への出し方までを順に見ていきます。
防災のお知らせは、急ぎに見えないことが最大の弱点
自主防災組織は全国に広がっていて、地区の防災を担う仕組みとしては珍しいものではなくなりました。消防庁の白書は、その規模を次のように示しています。
自主防災組織は、地域住民の連帯意識に基づく自発的な防災組織であり、令和6年4月1日現在で、全国1,741市区町村のうち1,697市区町村で16万7,233の自主防災組織が設置され、自主防災組織による活動カバー率(全世帯数のうち、自主防災組織の活動範囲に含まれている地域の世帯数の割合)は増加傾向にある(第4-2図、資料4-1)。 出典: 総務省消防庁「令和6年版 消防白書」
組織がこれだけあっても、住民の側から見ると、自主防災組織は「自治会の中の防災の係」くらいの存在であることが多いものです。お知らせが自治会の連絡と同じ回覧や同じグループに流れると、差出人の区別がつかず、防災の知らせは祭りや清掃の知らせの間に埋もれます。
防災の知らせが読まれにくい理由は、大きく3つあります。
・読んだあとにすることがない。「備えましょう」で終わる知らせは、読んだ瞬間に役目を終えてしまう ・中身が毎年ほとんど同じに見える。一時集合場所も避難所も変わらないので、去年と同じ紙だと思われる ・怖い話が続くと、目をそらされる。被害想定の数字を並べるほど、読む人は減っていく
どれも、書き手の熱意では解決しません。解決するのは、知らせの設計です。1通ごとに「読んだ人がすること」を1つだけ置く。変わった部分だけを目立たせる。怖さではなく手順を書く。この3点を守るだけで、同じ内容でも残り方が変わります。
もう1つ押さえておきたいのは、自主防災組織の知らせには、住民の全員に届けるべきものと、役員や班長だけに届ければよいものが混ざっていることです。班長あての資機材点検の割り振りを全世帯向けの知らせに載せると、住民には関係のない話が増え、次から開かれなくなります。宛先を分けることが、読まれない前提での最初の工夫になります。
お知らせを「置いておく情報」と「流す情報」に分ける
自主防災組織が出す情報を並べてみると、性質の違う2つに分かれます。
1つめは、年に何度も変わらず、住民がいつでも確かめられる状態にしておきたい情報です。
・一時集合場所と、地区の指定避難所 ・班の区切りと、班長の呼び方(名前ではなく「3班の班長」のような役割名) ・発災時に本部を置く場所 ・防災倉庫の位置と、鍵を持っている役割 ・非常時にどこを見れば知らせがあるか
2つめは、その時だけ意味を持ち、終われば用がなくなる情報です。
・訓練の案内と、雨天時の扱い ・備蓄品の入れ替えや配布の知らせ ・資機材の点検日と、その結果 ・市町村から届いた制度や講習の案内 ・役員の募集や、班長の交代
混乱の多くは、この2つが同じ流れの中に置かれていることから起きます。一時集合場所の知らせを年に1回だけ流すと、翌月には誰も見つけられません。反対に、訓練の案内をずっと掲示し続けると、終わった訓練の紙が残って、新しい知らせが目に入らなくなります。
置いておく情報は、流さずに固定します。紙なら各戸に1枚配って冷蔵庫や玄関に貼ってもらう形、連絡の道具を使うなら上に固定して常に最初に目に入る形です。そして、流す知らせの末尾に毎回「避難場所と本部の場所は、固定してある案内をご覧ください」と1行添えます。流す知らせが読まれなくても、固定した案内への道筋だけは繰り返し示されることになります。
置いておく情報は、変わったときだけ流す情報に格上げします。避難所の指定が変わった、班の区切りを組み直した、本部の設置場所を集会所から学校に移した。こうした変更は、固定した案内を直すと同時に、変わった点だけを短く知らせます。「前と何が違うのか」が1行で分からない知らせは、去年と同じ紙だと思われて読まれません。
置いておく情報には、もう1つ届け方があります。地区に越してきた世帯へ、最初に渡すことです。流す知らせは、越してくる前のものを遡って読んでもらえません。一時集合場所、班の区切り、本部の場所、非常時にどこを見るか。この4点を1枚にしたものを、自治会の加入の案内やごみ出しの説明と一緒に渡しておけば、その世帯は1年分の知らせを見逃していても、非常時に必要な最低限だけは手元に持っていることになります。自治会に入らない世帯にも、この1枚だけは渡すと決めておくと、加入の有無で防災の情報に差が出ずに済みます。
1通には、読んだ人がすることを1つだけ書く
防災の知らせが読まれない最大の理由は、読んだあとにすることがないことでした。そこで、流す知らせは必ず「読んだ人が何をするか」から書き始めます。
たとえば、備蓄の知らせを比べてみます。
・読まれにくい形:「日頃から食料や水の備蓄をお願いします。最低3日分、できれば1週間分が望ましいとされています」 ・残りやすい形:「集会所の備蓄の入れ替えで、期限の近い保存水を1世帯2本お配りします。10月5日の午前中に集会所へお越しください」
後者は、日付と場所と行動が決まっています。読んだ人は、行くか行かないかを決めるだけです。しかも、保存水を受け取った世帯は、自分の家の備蓄のことを思い出します。備えを呼びかける知らせより、物を配る知らせのほうが、結果として備えにつながることは珍しくありません。
行動を1つに絞ると、1通に詰め込める情報は減ります。それでかまいません。訓練の案内、備蓄の配布、班長の交代を1通にまとめると、読む人は最初の話題だけを読んで閉じます。3つの知らせは3通に分け、それぞれに1つの行動を置きます。
件名や1行目の書き方も決めておきます。自治会の知らせと同じ場所に流すなら、先頭に【防災】と入れるだけで差出人の区別がつきます。そのあとに行動と日付を置きます。
・【防災】10月5日 保存水の配布(集会所・午前中) ・【防災】11月16日 地区の訓練 雨天は23日に延期 ・【防災】3班の班長が交代しました
本文は、件名の中身を補うだけにします。持ち物、所要時間、来られない場合の扱い。この3つを書けば、たいていの知らせは足ります。防災の意義や過去の災害の話を前置きに入れたくなりますが、それは知らせではなく読みものです。読みものは別に出し、知らせの本文には入れないほうが、どちらも読まれます。
訓練の知らせは、参加しない住民に向けても書く
自主防災組織の知らせで、ほかの集まりにない性質を持つのが、訓練の告知です。訓練の案内は参加者を集めるための知らせですが、同時に、参加しない住民に「その日、地区で何が起きるか」を伝える知らせでもあります。
訓練では、日常では起きないことが起こります。
・可搬ポンプのエンジン音や、放水の水しぶき ・消火器の放射訓練で出る粉や煙 ・炊き出しの煙やにおい ・担架を運ぶ人の列や、道路の一時的な占有 ・避難の呼びかけに使う拡声器の声
訓練を知らない住民がこれを見ると、本当に火事や事故が起きたと思うことがあります。近所の住民が消防に通報してしまった、という話も聞かれます。訓練を知らせる相手には、参加を呼びかける住民だけでなく、訓練会場の周りの住民、近くの事業所、通りかかる人まで含まれます。
そこで、訓練の知らせは2種類を用意します。
1つは、参加者向けの案内です。集合時刻、集合場所、服装、持ち物、雨天時の判断の時刻と連絡の出し方を書きます。
もう1つは、周辺向けの告知です。参加を求めない代わりに、「何時から何時まで、どこで、どんな音や煙が出るか」を具体的に書きます。会場の前に貼る紙、周辺の家に入れる1枚、近くの事業所への一声が中心になります。自治会に入っていない世帯にも届けたい知らせなので、会員だけが見られる場所に置くだけでは足りません。
周辺向けの告知には、問い合わせ先を役割名で書いておきます。「当日の責任者は自主防災会の会長です。会場の本部テントにいます」。個人の携帯番号を掲示に書く必要はありません。当日その場で聞けることが分かれば、住民は安心します。
訓練が終わったら、参加しなかった住民向けに、結果の知らせを1通出します。ここでも行動を1つに絞ります。「訓練で確認した、地区の消火栓の位置を地図にしました。ご自宅から一番近い1か所だけ確かめておいてください」。訓練に来なかった人にも、訓練の成果の一部を持ち帰ってもらう形です。
行政から届く情報は、そのまま転送せず地区の言葉に直す
自主防災組織には、市町村や消防から多くの情報が届きます。ハザードマップの改定、防災講習の案内、補助制度の募集、避難情報の出し方の変更。これらをそのまま転送すると、住民は自分に関係があるのかどうか判断できず、読み飛ばします。
届いた情報は、住民に出す前に3つの問いで読み直します。
・この地区で、何が変わるのか ・この地区の誰に、関係があるのか ・住民がすることは、何か
たとえば、市のハザードマップが改定されたという知らせが届いたとします。そのまま「ハザードマップが改定されました。市のホームページをご覧ください」と流しても、見に行く人はわずかです。地区の役員が先に新しい地図を見て、「川沿いの2班と3班の区域で、浸水の想定が広がりました。一時集合場所の公園は想定区域に入ったため、大雨のときの集合場所は小学校に変わります」と書き直せば、関係する世帯ははっきり自分のことだと分かります。
言い直すときは、防災の用語を暮らしの言葉に置き換えます。「指定緊急避難場所」と「指定避難所」の違いを正確に説明するより、「大雨のときに逃げる先」と「家に戻れないときに泊まる先」と書くほうが伝わります。正式な用語は、括弧で添える程度にします。
一方で、行政の情報を言い直すときに、行政が出していないことを付け足してはいけません。避難のタイミングや、補助の対象になるかどうかを、自主防災組織が独自に判断して書くと、住民がそれを行政の判断だと受け取ります。言い直すのは「この地区の場合どこが関係するか」までにとどめ、判断の根拠になる元の情報は必ず併記します。
市町村から届く講習や補助の案内には、締め切りがあるものが多くあります。これを地区で知らせる場合は、市町村の締め切りより前に、地区としての取りまとめの締め切りを置くかどうかを先に決めます。個人で申し込む制度なら、地区で取りまとめる必要はありません。「申し込みは各自で市へ」と書くだけで、役員の仕事が1つ減ります。
読まれない前提で、繰り返し出す仕組みを作る
どれほど工夫しても、1回の知らせで全員に届くことはありません。自主防災組織の知らせは、繰り返し出すことを前提に組み立てます。
消防庁の手引も、紙の広報だけでは足りないことを指摘しています。
ただし、広報紙等だけでは、地域住民との顔のみえる関係づくりやコミュニケーションが不足してしまうため、学習会や講演会・研修会を開催し、住民参加の第一歩となる場(機会)づくりも重要である。 出典: 総務省消防庁「自主防災組織の手引(令和5年3月)」
知らせは、それだけで完結させるものではなく、人が集まる場とつなげて繰り返すものです。同じ内容を、次のような機会に重ねて出します。
・流す知らせで1回 ・地区の行事(夏祭り、清掃、敬老会)の受付で、口頭と1枚の紙で1回 ・訓練の集合時に、本部から1回 ・班長が回るとき(会費の集金や配布物のついで)に1回
繰り返すときに、毎回書き直す必要はありません。むしろ、同じ言い回しを使い続けたほうが、住民の記憶に残ります。「大雨のときの集合場所は小学校」という1行を、1年間どの場面でも同じ言葉で出し続けます。
世の中が防災に目を向ける時期に合わせるのも、繰り返しの負担を減らす方法です。9月1日の防災の日を含む防災週間(8月30日から9月5日)、春と秋の火災予防運動、梅雨入り前の大雨への備えの時期には、テレビやニュースでも防災が話題になります。この時期に地区の知らせを出すと、住民の関心が高いぶん、同じ内容でも読まれやすくなります。毎年この時期に「地区の集合場所の確認」を出す、と決めてしまえば、書く人が迷うこともありません。
繰り返しの記録も残しておきます。何月にどの知らせを、どの経路で出したか。1年分の記録があれば、翌年の役員はそれをなぞるだけで同じ繰り返しを再現できます。
届きにくい世帯には、知らせの経路ではなく「人」を足す
自主防災組織の知らせが特に届きにくいのは、次のような世帯です。
・昼間は仕事で地区にいない共働きの世帯 ・自治会に入っていない、集合住宅の賃貸の世帯 ・日本語の読み書きに不慣れな外国出身の住民 ・スマートフォンを持たない、あるいは使わない高齢の単身の世帯 ・越してきたばかりで、地区の誰とも面識のない世帯
この人たちに向けて、紙を増やしたり、連絡の道具を増やしたりしても、あまり届き方は変わりません。届かない理由が経路ではなく、「地区の知らせを自分あてのものだと思っていない」ことにあるからです。
効くのは、人を1人足すことです。集合住宅なら、管理組合や大家、管理会社に、防災の知らせを掲示してもらう相手として声をかけます。自治会に入っていない世帯が多い建物でも、掲示板の管理者はいます。外国出身の住民が多い地区なら、職場や学校、地域の日本語教室など、その人たちがすでに通っている場所の担当者を介して伝えます。高齢の単身の世帯には、民生委員や近所の見守りの担い手と、知らせの中身を共有しておきます。
文面は、届きにくい世帯に合わせて書くと、結果として全員に読みやすくなります。1文を短くする。漢字に頼りすぎない。日付は曜日と一緒に書く。「一時集合場所」より「地震のときに最初に集まる公園」と書く。こうした書き方は、日本語に不慣れな人にも、急いで読む共働きの世帯にも効きます。
届きにくい世帯について、名前や家族構成を一覧にして持つかどうかは、別の問題です。避難行動要支援者の名簿のように、扱いの決まりがある情報もあります。知らせを届けるための工夫と、個人の情報を集めることは切り分け、知らせの側では「誰に頼めば届くか」という経路の情報だけを持つようにします。
班長あての知らせは、住民向けの流れに混ぜない
冒頭で触れたとおり、自主防災組織の知らせには、全世帯に届けるものと、役員や班長だけに届ければよいものが混ざっています。この2つを同じ流れに置くと、住民向けの知らせが読まれなくなるだけでなく、班長あての知らせも埋もれます。
班長あての知らせの典型は、次のようなものです。
・資機材の点検の割り振り(どの班が、どの倉庫の、何を見るか) ・訓練の前の打ち合わせの日程と、当日の持ち場 ・防災倉庫の鍵の受け渡しと、返却の確認 ・市町村から届いた、役員向けの研修や説明会の案内 ・避難行動要支援者の支援に関わる担当者どうしの連絡
このうち最後のものは、中身に個人の事情が含まれることがあり、住民向けの場に流してはいけない種類の連絡です。ほかの項目も、住民が読んでもすることがないという点では、住民向けの知らせを薄めるだけです。
分け方は単純で、住民向けの場とは別に、役員と班長だけが入る場を1つ作ります。紙で回しているなら、班長あての綴りを別にします。連絡の道具を使っているなら、役員だけが入れるグループを別に作ります。
分けたうえで、住民向けの知らせを出すときは、役員の場にも「住民向けにこの知らせを出しました」と一言添えます。班長は住民から「あの知らせはどういう意味か」と聞かれる立場なので、住民より先に中身を知っておく必要があります。訓練の案内なら、住民向けに出す2日ほど前に役員の場へ下書きを置き、班長が質問を受けられる状態にしてから流すと、当日の問い合わせが本部に集中しにくくなります。
役員の場に置いた知らせは、年度の終わりに次の役員へそのまま渡します。どの時期に、どんな段取りの連絡をしたかが残っていれば、新しい班長は1年目から同じ流れで動けます。
雨天中止と訂正は、最初の知らせに書いておく
防災の知らせで、あとから出す連絡が最も多くなるのは、訓練の雨天中止と、内容の訂正です。この2つは、最初の知らせの段階で扱いを決めておくと、あとの混乱が小さくなります。
雨天の扱いは、案内に次の3つを書きます。
・判断する時刻(例:当日の朝7時) ・判断の知らせを出す場所(例:固定してある防災の案内の一番上) ・中止の場合の扱い(延期する日、または中止のみ)
自主防災組織の訓練は、屋外で資機材を使うことが多いため、雨でも決行できる内容と、雨では危ない内容が混ざります。放水や炊き出しは雨で中止にし、集会所での図上訓練や安否確認の手順の確認だけは実施する、という形もあります。この場合は「雨の場合は屋内の部だけ行います」と最初から書いておけば、当日に出す知らせは「屋内の部のみ実施」の1行で済みます。
気象の警報が出ている日は、訓練そのものを取りやめる判断が必要です。実際に災害の恐れがある日に、訓練のために住民を屋外に集めることは避けるべきです。案内には「警報が出ている場合は中止します」と書き、判断の基準を天気の良し悪しではなく、発表されている情報に置いておきます。
訂正は、元の知らせと同じ場所に、同じ強さで出します。日時を間違えた知らせを流したら、元の知らせを直すだけでなく、「訂正:11月16日の訓練の集合時刻は9時ではなく9時30分です」と、訂正であることが件名で分かる形で出し直します。元の知らせだけを黙って書き換えると、すでに読んだ人は古い時刻を覚えたままです。
お知らせを書く人を、情報班として固定しない
消防庁の手引に載っている班編成の例では、情報班の日常の役割として、情報の収集・伝達と広報活動が挙げられています。多くの自主防災組織で、お知らせを書くのはこの情報班か、会長や事務局の1人です。
書く人が1人に固定されると、その人が忙しい年や、役を降りた年に、知らせが止まります。防災の知らせは、止まっても誰も気づきません。気づくのは、災害が近づいて、住民が「そういえば集合場所の知らせを最近見ていない」と思ったときです。
止めないための工夫は、書く作業を分けることです。
・何を知らせるかを決めるのは、役員会 ・文面の型を持っているのは、情報班 ・実際に流すのは、その知らせに関係する班(備蓄なら給食・給水班、点検なら消火班)
型があれば、書く人が代わっても知らせの形は変わりません。件名の付け方、本文の3項目(持ち物、所要時間、来られない場合)、末尾の固定案内への1行。この型を1枚にしておき、役員の交代のときに渡します。
年間で出す知らせの一覧を作っておくのも有効です。4月に班長の一覧、6月に大雨のときの集合場所、8月末に防災週間に合わせた集合場所の確認、秋に訓練の案内と結果、冬に備蓄の入れ替え。月ごとの一覧があれば、書く人は「今月は何を出すか」を考えずに済みます。
一覧には、去年実際に出した文面を添えておきます。翌年の担当者は、日付と変わった部分だけを直せば出せます。防災の知らせは中身が毎年ほとんど変わらないという弱点は、書く側にとっては使い回しがきくという強みでもあります。
お知らせの置き場所を選ぶときに見る点
ここまでの出し方を実際に回すには、知らせをどこに置くかが効いてきます。道具を選ぶときは、機能の多さより、自主防災組織の知らせの性質に合うかどうかで比べます。見る点は4つです。
1つめは、置いておく情報を固定できるかどうかです。一時集合場所や本部の場所は、流さずに常に最初に目に入る状態にしておきたい情報です。新しい発言で上に流れていく形と、掲示板に1件ずつ残り、大事な知らせを上に固定できる形の違いは、LINEグループとの比較で項目ごとに並べてあります。
2つめは、予定を直したときに案内も一緒に直るかどうかです。訓練の延期や集合時刻の訂正は、元の知らせと予定の両方を直さないと、古い情報が残ります。予定を書き直すと掲示板の知らせも一緒に直る形があることは、同じ比較の表で確かめられます。
3つめは、入れる人を選べるかどうかです。防災の知らせには、班長の役割や倉庫の鍵の扱いのように、地区の住民だけに伝えたい情報が含まれます。匿名で広く人を集める場と、顔と名前の分かる会の場の違いは、LINEオープンチャットとの比較にまとまっています。周辺向けの訓練の告知のように、会員以外にも届けたい知らせは、紙の掲示と組み合わせて考えます。
4つめは、年配の住民が迷わず開けるかどうかです。新しいIDとパスワードを作らずに入れるか、文字を大きくできるかは、よくある質問で確かめられます。参加にFacebookのアカウントが要るかどうかはFacebookグループとの比較、サーバーとチャンネルに分かれた画面の作りが初めての人に迷いやすい点はDiscordとの比較、保存容量がいっぱいになったときの扱いはBANDとの比較に書かれています。
地区の連絡での具体的な形は、町内会での使われかたで見られます。回覧板の代わりに知らせを上に固定し、行事の写真と次の集まりの予定が同じ場所に残っている例で、防災訓練の予定も並んでいます。役員が1年で代わる組織では、PTAでの使われかたにある、延期の知らせと延期後の予定が同じ画面に並ぶ形も参考になります。
自主防災組織の知らせで最後に残るのは、1通ごとの文面の出来より、同じ場所に同じ情報が置かれ続けているかどうかです。読まれない前提で、固定する情報を決め、流す知らせに行動を1つだけ置き、繰り返す時期と書く人の型を残す。この順で整えれば、道具を選ぶのはその後で足ります。
Q1. 自治会の連絡と自主防災組織のお知らせは、同じ場所で出してもよいですか?
同じ場所で出してもかまいません。ただし差出人が分かるように、件名の先頭に【防災】と入れるなどの区別をつけてください。一時集合場所や本部の場所のように常に確かめられる状態にしたい情報は、流さずに上に固定し、自治会の行事の知らせに埋もれないようにすることが大切です。
Q2. 訓練の日に近所から通報されないためには、何をしておけばよいですか?
参加者向けの案内とは別に、周辺向けの告知を用意します。何時から何時まで、どこで、放水の音や煙など何が起きるかを具体的に書き、会場の前への掲示や周辺の家への1枚の配布、近くの事業所への一声で伝えます。当日の問い合わせ先は、個人の電話番号ではなく本部テントの責任者のように役割で示します。
Q3. 市から届いたハザードマップの改定の知らせは、どう伝えればよいですか?
そのまま転送するより、役員が先に新しい地図を見て、地区のどの班の区域で何が変わったか、住民が何をすればよいかに言い直して出すほうが伝わります。ただし避難のタイミングなど行政が出していない判断を付け足さず、元の情報の出どころは必ず併記してください。
Q4. お知らせを書く担当が毎年代わって、知らせが止まってしまいます。どうすればよいですか?
件名の付け方、本文に入れる項目、末尾に添える1行をまとめた文面の型と、月ごとに出す知らせの一覧を作り、去年実際に出した文面を添えて引き継ぎます。何を出すかは役員会で決め、実際に流すのは備蓄や点検など関係する班が担う形にすると、1人に負担が集まらず、担当が代わっても止まりにくくなります。
