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自主防災組織の集金をどう回すか|誰が払ったかを追える形にする

2026年9月16日 ・ Tsudoo編集部

自主防災組織の集金は、始まりが曖昧なまま続いていることの多い仕事です。自治会費の中に防災の分が少し入っているらしい。炊き出し訓練では参加者から材料費をもらった。市から資機材の補助が出た年もある。こうしたお金が1冊の帳面に並び、班長が集めた現金が会計の手元に届くまでの道筋も、人によって違います。役員が1年で交代するたびに、「この世帯は払っているのか」「この発電機は誰のお金で買ったのか」が分からなくなります。

誰が払ったかを追える形にするには、集め方を工夫するより先に、お金の入り口を分けることが必要です。この記事では、自主防災組織に入ってくるお金の種類、世帯ごとの台帳の作り方、自治会に入っていない世帯や途中で越してきた世帯の扱い、補助金を受けたときに残す書類、訓練の実費や見舞金のように性質の違うお金の分け方を、順に整理します。

自主防災組織のお金には、入り口が3つある

自主防災組織の帳面に並ぶお金は、出どころで大きく3つに分かれます。

・自治会や町内会の会計から回ってくるお金(繰入金) ・住民から防災のために直接集めるお金(防災費、自主防災会費など) ・市町村から出る補助金や、資機材の現物支給

これに、商店や事業所からの協賛金、資源回収の売上が加わる地区もあります。消防庁の「自主防災組織の手引」は、活動費を確保している組織の工夫として、次のような例を挙げています。

自主防災活動の重要性を地区の住民に十分に説明し理解してもらった上で、地区の住民から定額を領収(防災費として独自に領収、町内会費の一部を自主防災会費とする、など) 出典: 総務省消防庁「自主防災組織の手引(令和5年3月)」

同じ「住民から定額をもらう」でも、防災費として独自に集める形と、町内会費の一部を充てる形では、帳面の上での扱いがまったく違います。前者は自主防災組織が自分で集金し、自分で領収します。後者は自治会がすでに集めたお金の中から、決まった額を回してもらうだけで、住民一人ひとりから見ると防災の集金は発生していません。

混乱の多くは、この2つが地区の中で混在しているところから始まります。たとえば、以前は自治会費に含めていたが、ある年から防災費を別に集めることにした。ところが自治会費は下げなかった。住民からは二重取りに見え、自治会の役員は「防災の分はもう渡している」と思っている。こうした行き違いは、入り口ごとに帳面の欄を分け、どの年度にどちらの方式だったかを1行ずつ残しておくだけで、ほとんど防げます。

最初にやることは、いまの帳面に並んでいる収入を、この3つの入り口のどれに当たるかで仕分けることです。仕分けられない収入があれば、それが次の役員を困らせる種になっています。

補助金は、全国の6割を超える市町村にある

3つめの入り口である補助金は、住民から集める額を決める前に確認しておくべきものです。補助で賄える費用を住民から集める必要はありませんし、補助を受けるなら、そのぶん記録の残し方が変わるからです。

手引に載っている消防庁の調べでは、全国1,741市町村のうち、自主防災組織への経費補助の制度があるのは1,132市町村です。制度の中身で数えると、資機材購入費の補助が875市町村、運営(活動)費の補助が807市町村、設立時の補助が359市町村、倉庫などの建設費の補助が353市町村にあります。お金ではなく資機材そのものを支給する制度は320市町村です。

この数字から分かるのは、補助の中心が「物を買うお金」だということです。発電機、可搬ポンプ、担架、テントのような資機材は補助の対象になりやすく、毎年の会議費や通信費のような運営の費用は、制度がない市町村も多い。住民から集めるお金は、主に運営の費用と、補助の自己負担分に充てることになります。

補助の対象になる経費、上限額、自己負担の割合、申請の時期、実績報告の様式は、市町村ごとに違います。役員が代わった年の春に、担当課(防災課、危機管理課などの名前が多い)へ一度問い合わせ、要綱の写しをもらって台帳と一緒に綴じておくと、翌年からは同じ問い合わせをせずに済みます。

補助を受けた資機材は、市町村によっては処分や譲渡に制限が付いていることがあります。倉庫を整理するときに勝手に捨ててよいかどうかは、要綱で確かめてください。どの資機材がどの年度の補助で買われたかを台帳に書いておけば、この確認は数分で終わります。

集める単位は世帯。台帳の1行は1世帯にする

住民から直接集める場合、単位は人ではなく世帯になります。手引に載っている規約の例でも、会員は「町内にある世帯」と定められています。災害時の安否確認や備蓄の配布も世帯ごとに行うので、お金の単位を世帯に揃えておくと、ほかの台帳と突き合わせやすくなります。

世帯単位にすると、判断に迷う家が出てきます。よくあるのは次のような場合です。

・二世帯住宅で、玄関と表札が2つある ・アパートやマンションの1室ごとに、入居者が入れ替わる ・住民票はあるが、実際には施設や子どもの家で暮らしている ・住む人のいない空き家 ・店舗や事業所だけで、夜は誰もいない建物

こうした家を毎年その場の判断で扱うと、ある年は2口、ある年は1口という揺れが起き、それが「去年は払わなくてよかったのに」という苦情になります。迷う家の扱いは一度幹事会で決め、決めた内容を台帳の備考欄と、別紙の「扱いの基準」に書いておきます。基準は長くなくてかまいません。「二世帯住宅は玄関の数で数える」「事業所は協賛金として別に扱う」といった一文で足ります。

台帳の1行には、世帯を識別する番号を振っておきます。住宅地図や班の区割り図で使っている番号と揃えると、安否確認の表や避難行動要支援者の担当表と同じ番号で話ができます。名前だけで管理すると、同じ名字の家が並ぶ地区や、世帯主が亡くなって名義が変わった家で、すぐに取り違えが起きます。

自治会と兼ねている組織は、内訳を1行で見せる

自治会がそのまま自主防災組織を兼ねている地区では、防災のために別の集金をしていないことがほとんどです。この場合でも、自治会費のうち防災にいくら回っているかは、決算書に1行で書いておくほうが後で困りません。

自治会の決算書には「自主防災会への繰入金」と支出側に書き、自主防災組織の決算書には「自治会からの繰入金」と収入側に同じ額を書きます。例えば年会費が3,600円で、そのうち600円を防災に充てると総会で決めているなら、世帯数を掛けた額が両方の決算書に一致して現れるはずです。一致しなければ、どちらかの帳面に漏れがあります。

この1行があると、住民から「防災のお金はどうなっているのか」と聞かれたときに、自治会費の中から毎年この額が回っていて、それで何を買ったかという説明がすぐにできます。逆にこの1行がないと、自治会の会計の中に防災の支出が埋もれ、自主防災組織としての決算書が作れません。補助金の申請で組織としての収支を求められたときにも、答えられなくなります。

内訳を見せることには、もう1つ効果があります。防災の活動を広げたいとき、自治会費を上げずに繰入の額だけを見直すという選択肢が見えるようになります。額の変更は、自治会と自主防災組織の両方の総会で扱う事項になるので、どちらの総会で先に決めるかも、年度の初めに段取りしておきます。

自治会に入っていない世帯から、防災費をもらうか

自主防災組織の集金で、ほかの団体にない難しさがあるのがここです。自治会の活動は会員のためのものですが、災害は加入しているかどうかと関係なく地区全体に及びます。火災が起きれば延焼を止めるのは地区全体のためですし、避難所の運営は地区の住民全員を相手にします。

そのため、自治会に入っていない世帯の扱いは、お金の話より先に「災害時に誰を支援の対象にするか」を決めておく必要があります。多くの地区では、安否確認や避難の呼びかけ、備蓄の配布を加入の有無で分けないという前提をとっています。この前提を決めてから、お金について次のどれかを選びます。

・集めない。訓練や講習は誰でも参加でき、災害時の支援も分けない ・任意の協力金として案内する。金額の目安は示すが、払わなくても扱いは変わらない ・賃貸の集合住宅は、管理会社や家主に協力金をお願いする

どれを選んでも、「払わない世帯は災害時に後回しになる」と受け取られる書き方は避けます。そう読める文面が一度出回ると、加入している世帯の中にも「払っているのに当然」という意識が生まれ、発災時の現場で余計な揉め事を招きます。

協力金をもらう場合は、台帳の区分欄に「協力金」と書き、自治会経由の世帯や防災費を払っている世帯と混ぜないようにします。協力金を払った未加入の世帯に、訓練の案内や防災の知らせをどう届けるかも、あわせて決めておきます。お金を受け取ったのに何も届かないという状態は、翌年の協力を失います。

台帳は「世帯×年度」の表を1枚にする

誰が払ったかを追える形の中心は、世帯ごと、年度ごとに1マスを持つ表です。帳面を年度ごとに作り直すと、何年も続けて払っていない世帯や、ある年から免除になった世帯の流れが見えません。世帯を縦に、年度を横に並べた表を1枚持ち、その年度の欄に受領の記録を書き込んでいきます。

1世帯の記録に入れる項目は、次の程度で足ります。

項目 書く内容の例
世帯番号 住宅地図と同じ番号
3班
区分 自治会経由、防災費、協力金、減免
金額 その年度に受け取った額
受領日 会計が受け取った日
受け取った人 班長の名前か、会計の名前
方法 現金、振込、自治会からの繰入
備考 年度途中の転入、減免の理由の区分

受け取った人の欄は、班長が集めた現金を会計に渡したときに、会計が受け取った日と一緒に埋めます。班長の手元で受け取った日と、会計が受け取った日を分けて書いておくと、現金がどこで止まっていたかが後から分かります。

減免の理由は、細かい事情を書かないようにします。「高齢単身」「病気療養」のような詳しい事情は、台帳を見る役員全員に知らせる必要のない情報です。「基準A」「基準B」のように、総会で決めた減免の基準の記号だけを書き、どの世帯がどの事情かは会長と会計だけが持つ別紙で管理します。

表の置き場所は、会計の個人の端末の中にしないことが大事です。会計が急に転居したり体調を崩したりすると、表ごと見られなくなります。少なくとも会長と監査役が同じものを見られる場所に置き、紙で持つなら年度末に写しを1部、組織の書類箱に入れておきます。

班長の家に現金が溜まる期間を短くする

世帯を回って集金するのは、多くの地区で班長の仕事です。班長は集めた現金を封筒に入れて自宅に置き、ある程度まとまったところで会計に届けます。この「自宅に置いている期間」が長いほど、紛失や数え違いが起きたときに原因が分からなくなります。

班長の手元に現金を置く期間を短くするには、会計への引き渡し日を先に決めてしまうのが確実です。例えば「集金を始めてから2週間後の日曜の午前」と決め、その日に集まった分だけを持ってきてもらい、残りは次の引き渡し日に回します。全世帯分が揃うまで待つ形にすると、最後の数軒のために全体の現金が何週間も班長の家に残ります。

引き渡しのときは、班長と会計の2人で数え、台帳の受領日と受け取った人の欄をその場で埋めます。封筒の表に班名と世帯番号の一覧を書き、中の金額と照らし合わせるだけで、数え違いの大半はその場で見つかります。

防災倉庫に現金を置くのは避けてください。倉庫の鍵は、発災時に誰でも開けられるよう複数の人が持っているのが普通です。鍵を持つ人が多い場所は、資機材を置くには向いていても、現金を置く場所には向いていません。

口座に入れるまでの日数も決めておきます。会計が受け取った現金を、何週間も自宅に置いたままにしていると、班長の家から会計の家へ、現金が溜まる場所が移っただけになります。

払っていない世帯への声かけを、班長ひとりに背負わせない

期限を過ぎても払っていない世帯への声かけは、班長にとっていちばん気の重い仕事です。近所づきあいのある相手に、お金のことで何度も訪ねるのは負担が大きく、班長のなり手が減る理由にもなります。

声かけの手順は、会として決めておきます。まず全世帯に向けて「今年度の集金は何日までです」という案内を一斉に出します。期限を過ぎた世帯には、会の名前で案内を1回だけ入れます。それでも反応がない場合は、班長が個別に訪ねるのではなく、会長か会計が年度末にまとめて扱います。個別の訪問は多くても2回までと決めておくと、班長は「会の決まりなので」と言って引き下がれます。

防災の集金の場合、未納への声かけの文面には特に気をつけます。「お支払いがないと、災害時の支援に差し支えます」のような書き方は、先に触れたとおり、支援を加入や支払いで分けるように読めてしまいます。未納の案内には、集めたお金で今年何を整えたか、次に何を買う予定かだけを書き、支払いの有無と災害時の扱いを結びつけない文面にします。

払えない事情がある世帯には、減免の基準があることを案内の中で知らせます。基準は申し出があって初めて使うものにし、班長が「あの家は大変そうだから」と判断して免除する形にはしません。班長の判断に任せると、班ごとに扱いがばらつき、隣の班との比較で不満が出ます。

年度の途中で越してきた世帯、出ていく世帯

年度の途中で越してくる世帯、出ていく世帯の扱いも、決めていない地区が多いところです。とくに集合住宅の多い地区では、1年に何度も入れ替わりがあり、そのたびに班長が判断に迷います。

決め方は大きく2つです。1つは、年度の途中で越してきた世帯には、その年度は集金しないという形。もう1つは、越してきた月から年度末までを月割りで計算する形です。月割りは公平に見えますが、計算を班長に任せると間違いが起き、端数の扱いでも揉めます。多くの地区では、半期で区切る(上半期に越してきたら年額、下半期なら半額)程度の粗い決め方にしています。

越していく世帯について、すでに払ったお金を返すかどうかも決めておきます。返さない決まりにするなら、規約か総会の議事録にその旨を残し、集金のときの案内にも一文入れておきます。案内に書いてあれば、越していく世帯から返金を求められたときに班長が困りません。

転入の世帯に集金の案内を渡すときは、防災費の説明だけを渡さないようにします。越してきたばかりの世帯が知りたいのは、お金のことより、最寄りの避難場所、地区の集合場所、ゴミ出しの決まりといった暮らしの情報です。防災費の案内は、地区の防災の最低限の情報と同じ1枚にまとめて渡すと、お金を求められたという印象が薄れ、何のためのお金かも伝わります。

補助金で買ったものは、別の綴りで追う

補助金を受けた年度は、住民から集めたお金とは別に、補助金のお金だけを追う綴りを作ります。補助金の実績報告では、多くの市町村で、何をいくらで買ったかを示す書類の提出を求められます。住民から集めたお金の領収書と混ざっていると、報告の時期に探し出すだけで何日もかかります。

綴りに入れておくものは、次のとおりです。

・交付の決定通知と、要綱の写し ・見積書(複数の業者から取るよう求められる場合もある) ・納品書と領収書の原本 ・購入した資機材の写真(倉庫に納めた状態のもの) ・購入を決めた幹事会か総会の記録 ・実績報告の控え

補助の中には、組織が先に代金を払い、報告を出したあとに補助金が振り込まれる形のものもあります。この場合、振り込まれるまでの間、誰かが代金を立て替えることになりがちです。会計が個人のカードで払い、補助金が入ったら自分の口座に戻す、という形は避けてください。領収書の宛名が個人になり、組織の支出だったことを示しにくくなります。支払いは組織の口座から行い、立て替えが必要なら、繰越金の中から一時的に出す決まりを先に作っておきます。

補助の対象になるのは、原則として申請した年度内に買ったものです。年度末に慌てて発注し、納品が翌年度にずれ込むと、補助の対象から外れることがあります。資機材の購入は、秋までに見積もりを取り、冬までに納品される段取りにしておくと安全です。

訓練の実費は、参加した人から集めて、その場で閉じる

炊き出し訓練の食材費、応急手当の講習で使う教材費、防災の視察の交通費といった、行事ごとにかかる実費は、世帯から集める防災費とは性質が違います。参加した人だけが負担するお金で、その行事が終われば収支が閉じるからです。

この実費を世帯単位の台帳に混ぜると、表が一気に読みにくくなります。行事ごとに1枚の収支表を作り、参加者から集めた額、実際にかかった額、差額の扱いを書いて、行事の翌週には閉じるようにします。例えば炊き出し訓練で参加者1人から300円をもらい、40人が参加したなら、集まった1万2,000円と食材の領収書の合計を並べるだけの表です。

差額が出たときの扱いは、先に決めておきます。余った分を防災費の会計に入れる、次回の訓練に繰り越す、参加者に返す、のどれでもかまいません。決めていないと、少額の余りが会計の財布に紛れ込み、翌年には何のお金だったのか誰にも分からなくなります。足りなかった分を防災費から補う場合も、行事の収支表に「防災費から補填」と書き、防災費の帳面にも同じ額を支出として書きます。

訓練には自治会に入っていない住民や、地区外に住む家族が参加することもあります。実費は参加者から一律にもらう形にしておけば、加入の有無で扱いを変えずに済みます。

見舞金や義援金は、会のお金ではなく預かり金として扱う

自主防災組織の集金には、ほかの団体ではあまり起きない種類のお金があります。地区の中で火災や浸水にあった世帯への見舞金と、ほかの地域の被災地へ送る義援金です。

どちらも、組織の活動費ではなく、住民から一時的に預かって誰かに渡すお金です。防災費の帳面に収入として入れてしまうと、組織の収入が膨らんで見え、決算の数字が実態と合わなくなります。預かり金の綴りを別に作り、集めた期間、集めた額、渡した先、渡した日、渡した額を1件ずつ書きます。

義援金は、送り先と送った日を、協力した住民に知らせるところまでが一続きの作業です。どこへ送ったのか分からないまま時間がたつと、次に同じ呼びかけをしたときに協力が集まりません。送金の控えの写しを添えて、「何日にどこへいくら送りました」と一度だけ知らせれば足ります。

地区内の世帯への見舞金は、額の基準を平時に決めておきます。火災で全焼した世帯にいくら、床上浸水ならいくら、という基準が規約や幹事会の決定にないと、発生のたびに役員が額を決めることになり、前の件との比較で不満が出ます。見舞金を受け取った世帯の名前を、地区全体に知らせるかどうかも、本人の意向を聞いてから決めます。

発災直後に使うお金を、平時に決めておく

防災の組織ならではの課題として、災害が起きた直後のお金があります。発災直後は、発電機の燃料、飲み水、ブルーシート、乾電池を急いで買う必要が出ることがあります。ところが、停電すれば口座からお金を下ろせないこともあり、会計がそのとき地区にいるとも限りません。

こうした場面に備えて、小口の現金を平時から分けて持っておく地区があります。例えば会長と副会長が1万円ずつを封筒に入れて保管し、使ってよい範囲を「燃料、水、応急の資材」と幹事会で決めておく、という形です。額は地区の規模によって違いますが、大事なのは額より、使ってよい範囲と、使ったあとの記録の仕方を決めておくことです。

発災直後はレシートをもらえないこともあります。その場合に備えて、封筒の中に「日付、買ったもの、金額、使った人」を書く紙を1枚入れておきます。落ち着いてから会計がその紙を見て帳面に書き写せば、非常時の支出も誰が何に使ったかを追えます。

小口の現金を持つ役員が交代するときは、封筒を中身ごと引き継ぎ、残額を2人で確かめて台帳に書きます。一度も使わないまま何年も同じ封筒が引き継がれていくのが、この仕組みがうまくいっている状態です。

1年で引き継げる形にしておく

自主防災組織の役員は、自治会の役員と同じく1年や2年で交代することが多く、会計も例外ではありません。規約の例では、監査役を2名置き、会計監査を毎年1回行ってその結果を総会に報告すると定めています。この監査が、引き継ぎの点検の役目を兼ねます。

年度末に次の会計へ渡すものを、あらかじめ一覧にしておきます。

・世帯×年度の台帳(最新の年度まで埋まったもの) ・減免の基準と、該当世帯を記した別紙 ・迷う家の扱いを決めた基準の紙 ・補助金の綴り(要綱の写し、交付決定、報告の控え) ・行事ごとの収支表 ・預かり金の綴り ・通帳と届出印の保管場所 ・小口現金の封筒と残額の記録 ・未納世帯の一覧と、声かけの経過

この一覧そのものを台帳の最初のページに貼っておくと、次の会計は何を受け取ったかをその場で確かめられます。受け取った側が一覧に署名する形にすれば、どこまで引き継いだかの記録にもなります。

集金の知らせと記録を、どこに置くか

最後に、集金に関わる知らせと記録をどこに置くかです。集金の知らせは、金額、期限、方法、減免の案内を、全世帯に同じ内容で届ける必要があります。台帳や補助金の書類は、会長、会計、監査役が同じものを見られる必要があります。どちらも、流れて消える場所や、特定の役員の端末の中には向きません。

いま使っている道具ごとに、向き不向きがあります。全員がすでに入っている手軽さがある一方で、トークが新しい発言で上へ流れ、履歴を端末ごとに持つ形の違いは、LINEグループとの比較で項目ごとに並べてあります。匿名で参加でき、人を広く集めるのに向いた形との違いは、LINEオープンチャットとの比較にまとまっています。お金の話は顔と名前の分かる相手の間で扱うものなので、この違いは見ておく価値があります。

保存容量がいっぱいになると古いファイルから自動で消える仕組みがあるかどうかは、補助金の書類の写しを何年も残す組織にとって大事な点で、BANDとの比較に詳しく書かれています。参加にFacebookのアカウントが要るかどうかはFacebookグループとの比較で、サーバーとチャンネルに分かれた画面の作りはDiscordとの比較で確認できます。

自治会を母体にする組織なら、お知らせを上に固定し、行事の写真と次の予定を同じ場所に残している町内会での使われかたが近い形です。料金や人数の上限、年配の方の使い方についてはよくある質問にまとまっています。

どの道具を選ぶにしても、集金を追える形にする中心は、入り口を分けること、世帯×年度の表を1枚持つこと、性質の違うお金を別の綴りにすることの3つです。この3つが揃っていれば、役員が代わっても、災害の直後でも、誰が払い、何に使ったかを説明できます。

Q1. 自主防災組織の会費は、自治会費とは別に集めるべきですか?

自治会がそのまま自主防災組織を兼ねているなら、別に集めず、自治会費の一部を繰入金として回す形がよく使われます。その場合も、自治会の決算書に繰入の額を1行で書き、防災側の決算書にも同じ額を収入として書いておくと、住民に説明しやすくなります。別に集めるなら、自治会費との二重取りに見えないよう、総会で内訳を示してから始めます。

Q2. 自治会に入っていない世帯からも、防災費を集めてよいですか?

災害は加入の有無に関係なく地区全体に及ぶため、まず災害時の支援を加入で分けないことを決め、そのうえでお金の扱いを選ぶのが順番です。集めない、任意の協力金として案内する、集合住宅は管理会社に協力をお願いする、といった形があります。どの形でも、払わない世帯が後回しになると読める文面は避けます。

Q3. 補助金で買った資機材の記録は、どこまで残せばよいですか?

交付決定の通知、要綱の写し、見積書、納品書と領収書の原本、倉庫に納めた状態の写真、購入を決めた会議の記録、実績報告の控えを、住民から集めたお金とは別の綴りにしておくと安心です。処分に制限が付く場合もあるので、どの資機材がどの年度の補助で買われたかを台帳に書いておくと、倉庫の整理のときに確認がすぐ終わります。

Q4. 災害の直後に必要な買い物のお金は、どう用意しておけばよいですか?

停電で口座から下ろせない場面や、会計が地区にいない場面に備えて、会長と副会長などが小口の現金を分けて保管しておく形があります。額よりも、燃料や水など使ってよい範囲を幹事会で決めておくことが大切です。封筒に日付、買ったもの、金額、使った人を書く紙を入れておけば、レシートがなくても後から帳面に書き写せます。

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